【文献】
L. L. Mendes(他7名),MI-SBTVD: a proposal for the Brazilian digital television system SBTVD,Journal of the Brazilian Computer Society,BR,2007年 3月,Vol.12, No.4,pp.57-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
OFDMフレーム内に配置されたTMCCセルからTMCC信号を取得することによって、前記OFDMフレームの同期を検出するとともに、伝送パラメーターを取得するTMCC信号受信処理部と、
前記伝送パラメーターに基づいて、前記OFDMフレームに含まれるデータセルを復調するとともに、前記データセルから、前記OFDMフレーム1個あたりちょうどn個(nは1以上の整数)収容されたLDPCブロックをそれぞれ取得する復調部と、
前記復調部によって取得された前記LDPCブロックについてLDPC復号処理を行ってLDPC符号化前のデータを取得するLDPCデコーダーと、
を具備し、
受信する前記OFDMフレームは、
周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、
(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、各々の前記シンボルにおいて、前記K本のキャリアの端のキャリアからQ本ごとの一定間隔でパイロットセルが配置されており、且つシンボルに依らず一定のキャリアに連続的に前記パイロットセルを配置し、
前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をNldpcビットとしたとき、
D×L=n×Nldpc
という条件を満たす、
チップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した先行技術の各々には、次のような問題がある。
特許文献1に記載されているOFDM伝送方式のキャリア配置方法では、LDPC符号を内符号として用いる場合について、特に考慮された記述はない。
特許文献2には、OFDM伝送方式におけるLDPC符号の適用が記述されているものの、LDPCブロックの先頭ビットの検出方法は開示されていない。
特許文献3および非特許文献1には、OFDM伝送方式におけるLDPCブロックの送信および受信方法が説明されており、LDPCブロックの正常な復号ができるような仕組みが記述されている。即ち、LDPCブロックの先頭ビットが検出できる仕組みが記述されている。しかしながら、特許文献3および非特許文献1に記載されている技術では、OFDMフレーム内にLDPCブロックを格納しようとするときに、OFDMフレーム内に使用されない領域が生じる可能性がある。つまり、特許文献3および非特許文献1に記載されている技術では、伝送効率が悪くなってしまう可能性があった。
【0009】
非特許文献2には、複数のOFDMフレームにまたがってLDPCブロックを配置することによって、OFDMフレーム内に使用されない領域が生じないようにする技術が記載されている。この場合、OFDMフレーム内でLDPCブロックの先頭を検出する必要があるため、LDPCブロックの先頭ビットの位置を表す制御信号を埋め込むようにしている。非特許文献2の技術では、特許文献3および非特許文献1の技術と比べると伝送効率が向上するものの、LDPCブロックの先頭ビット位置を示す制御信号によって、情報伝送のためのビット数が若干減るという問題が残る。また、送信側でLDPCブロックの先頭ビット位置を示す制御信号を埋め込んだり、受信側でその制御信号を検出したりする必要があるため、それぞれ、送信回路および受信回路が複雑化するという問題もある。
【0010】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行われたものである。本発明は、伝送効率を低下させることなく、また、送受信の回路を複雑にすることなく、LDPC符号を内符号として用いたOFDM伝送を行うための送信装置、受信装置、フレーム構成方法、チップ、およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による送信装置は、互いに直交する複数のキャリアを用い、且つ所定のシンボル数で構成したOFDMフレームを送信する送信装置であって、伝送するデータをLDPCで符号化してLDPCブロックを出力するLDPCエンコーダーと、前記OFDMフレーム内に、前記LDPCエンコーダーから出力された前記LDPCブロックを伝送するためのデータセルと、復調基準となるパイロット信号を伝送するためのパイロットセルと、OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCCセルとを配置し、且つ、1個の前記OFDMフレームに含まれる前記データセルにちょうどn個(nは1以上の整数)の前記LDPCブロックを収容させるOFDMフレーム生成部と、を具備することを特徴とする。
【0012】
[2]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、前記OFDMフレーム生成部は、前記シンボルの有効シンボル長をTeとし、ガードインターバル長をTgとし、ガードインターバル長と有効シンボル長の比であるガードインターバル比RをTg/Teとし、前記ガードインターバル比Rの逆数1/R以下の最大整数をMとし、M以下の整数をQとしたとき、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、各々の前記シンボルにおいて、前記K本のキャリアの端のキャリアからQ本ごとの一定間隔で前記パイロットセルを配置し、且つシンボルに依らず一定のキャリアに連続的に前記パイロットセルを配置し、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たし、L個の前記TMCCセルを、前記OFDMフレーム内の同一のキャリアに配置する、ことを特徴とする。
【0013】
[3]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、前記OFDMフレーム生成部は、前記データセルの変調多値数がM1_1,M1_2,・・・,M1_mのm個(mは1以上の整数)に限定されている場合に、log
2(M1_1),log
2(M1_2),・・・,log
2(M1_m)の最大公約数をN
bitsとし、前記シンボルの有効シンボル長をTeとし、ガードインターバル長をTgとし、ガードインターバル長と有効シンボル長の比であるガードインターバル比RをTg/Teとし、前記ガードインターバル比Rの逆数1/R以下の最大整数をMとし、M以下の整数をQとしたとき、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、各々の前記シンボルにおいて、前記K本のキャリアの端のキャリアからQ本ごとの一定間隔で前記パイロットセルを配置し、且つシンボルに依らず一定のキャリアに連続的に前記パイロットセルを配置し、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 N
bits×D×L=n×N
ldpc という条件を満たし、L個の前記TMCCセルを、前記OFDMフレーム内の同一のキャリアに配置する、ことを特徴とする。
【0014】
[4]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、前記OFDMフレーム生成部は、前記シンボルの有効シンボル長をTeとし、ガードインターバル長をTgとし、ガードインターバル長と有効シンボル長の比であるガードインターバル比RをTg/Teとし、前記ガードインターバル比Rの逆数1/R以下の最大整数をMとし、M以下の整数をQとしたとき、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、且つ、LがNsp(Nspは、2以上の整数)で割り切れるようなLとNspの値に基づき、周波数方向と時間方向の両方向に分散させて前記パイロットセルを配置するため、L行K列の2次元配列において、各々の前記シンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔で前記パイロットセルを配置し、且つ、前記パイロットセルを配置し得る前記キャリアにおいて時間方向にNsp個のシンボルごとの間隔で前記パイロットセルを配置し、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たし、L個の前記TMCCセルを、前記OFDMフレーム内の同一のキャリアに配置する、ことを特徴とする。
【0015】
[5]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、前記OFDMフレーム生成部は、連続するFs個(Fsは、正整数)の前記OFDMフレームをスーパーフレームとして、前記シンボルの有効シンボル長をTeとし、ガードインターバル長をTgとし、ガードインターバル長と有効シンボル長の比であるガードインターバル比RをTg/Teとし、前記ガードインターバル比Rの逆数1/R以下の最大整数をMとし、M以下の整数をQとしたとき、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、周波数方向と時間方向の両方向に分散させて前記パイロットセルを配置するため、Fs個の前記OFDMフレームから成る前記スーパーフレームの(L×Fs)行K列の2次元配列において、各々の前記シンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔で前記パイロットセルを配置し、且つ、前記パイロットセルを配置し得る前記キャリアにおいて時間方向にNsp個(Nspは、2以上の整数)のシンボルごとの間隔で前記パイロットセルを配置し、且つ、前記OFDMフレームの境界を跨る箇所においても前記Nsp個のシンボルごとの前記パイロットセルの配置間隔を維持し、(Fs×L)は、Nspの倍数であり、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たし、L個の前記TMCCセルを前記OFDMフレーム内の同一のキャリアに配置し、前記スーパーフレームの先頭の前記OFDMフレームを検出するための信号を、当該先頭のOFDMフレーム内の所定のシンボルにおける前記TMCCセル内に配置する、ことを特徴とする。
【0016】
[6]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、空間多重数Nant(Nantは、2以上の整数)の空間多重方式のMIMOにより前記OFDMフレームを送信する送信装置であって、前記OFDMフレーム生成部は、前記LDPCブロックをNant個のサブブロックに分割して、分割された各々の前記サブブロックをNant個の送信アンテナに対応するように、各送信アンテナに対応する前記OFDMフレーム内に配置し、ちょうど整数個の前記サブブロックを前記OFDMフレーム内のデータセルに収容し、前記OFDMフレーム生成部によって生成された各OFDMフレームをそれぞれの前記送信アンテナから送信する、ことを特徴とする。
【0017】
[7]また、本発明の一態様は、上記の送信装置において、前記OFDMフレーム生成部は、前記LDPCエンコーダーから出力された前記LDPCブロックを変調して前記データセルに格納するためのデータ信号を出力する変調部と、前記パイロット信号を生成するパイロット信号発生部と、前記OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCC信号を生成するTMCC信号発生部と、前記OFDMフレーム内に時間方向に配列されるシンボルごとに、前記データセルと前記パイロットセルと前記TMCCセルとをそれぞれ配置するキャリアを表す配置情報を記憶するフレーム構成パターン記憶部と、前記変調部から出力される前記データ信号と、前記パイロット信号発生部から出力される前記パイロット信号と、前記TMCC信号発生部から出力される前記TMCC信号とを入力し、制御信号にしたがって、前記データ信号と前記パイロット信号と前記TMCC信号とを切り替えて出力するスイッチと、前記フレーム構成パターン記憶部から、前記シンボルごとに前記配置情報を読み出し、前記データ信号を前記データセルに配置し、前記パイロット信号を前記パイロットセルに配置し、前記TMCC信号を前記TMCCセルに配置するよう、前記スイッチに対して前記制御信号を供給するスイッチ制御部と、を含むことを特徴とする。
【0018】
[8]また、本発明の一態様による受信装置は、互いに直交する複数のキャリアを用い、且つ所定のシンボル数で構成したOFDMフレームを受信する受信装置であって、前記OFDMフレーム内に配置されたTMCCセルからTMCC信号を取得することによって、前記OFDMフレームの同期を検出するとともに、伝送パラメーターを取得するTMCC信号受信処理部と、前記伝送パラメーターに基づいて、前記OFDMフレームに含まれるデータセルを復調するとともに、前記データセルから、前記OFDMフレーム1個あたりちょうどn個(nは1以上の整数)収容されたLDPCブロックをそれぞれ取得する復調部と、前記復調部によって取得された前記LDPCブロックについてLDPC復号処理を行ってLDPC符号化前のデータを取得するLDPCデコーダーと、を具備することを特徴とする。
【0019】
[9]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、受信する前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、各々の前記シンボルにおいて、前記K本のキャリアの端のキャリアからQ本ごとの一定間隔でパイロットセルが配置されており、且つシンボルに依らず一定のキャリアに連続的に前記パイロットセルを配置し、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たす、ことを特徴とする。
【0020】
[10]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、受信する前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、前記データセルの変調多値数がM1_1,M1_2,・・・,M1_mのm個(mは1以上の整数)に限定されており、log
2(M1_1),log
2(M1_2),・・・,log
2(M1_m)の最大公約数をN
bitsとし、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、各々の前記シンボルにおいて、前記K本のキャリアの端のキャリアからQ本ごとの一定間隔でパイロットセルを配置し、且つシンボルに依らず一定のキャリアに連続的に前記パイロットセルを配置し、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 N
bits×D×L=n×N
ldpc という条件を満たす、ことを特徴とする。
【0021】
[11]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、受信する前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、且つ、LがNsp(Nspは、2以上の整数)で割り切れるようなLとNspの値に基づき、周波数方向と時間方向の両方向に分散させてパイロットセルが配置され、L行K列の2次元配列において、各々の前記シンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔で前記パイロットセルが配置され、且つ、前記パイロットセルを配置し得る前記キャリアにおいて時間方向にNsp個のシンボルごとの間隔で前記パイロットセルが配置され、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たす、ことを特徴とする。
【0022】
[12]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、連続するFs個(Fsは、正整数)の前記OFDMフレームがスーパーフレームであり、前記TMCC信号受信処理部は、前記TMCC信号に基づいて前記スーパーフレームの同期を検出するものであり、受信する前記OFDMフレームは、周波数方向のキャリア数K且つ時間方向のシンボル数Lの(K×L)個のセルで構成されるものであり、(K−1)がQで割り切れるようなKとQの値に基づき、周波数方向と時間方向の両方向に分散させてパイロットセルが配置され、Fs個の前記OFDMフレームから成る前記スーパーフレームの(L×Fs)行K列の2次元配列において、各々の前記シンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔で前記パイロットセルが配置され、且つ、前記パイロットセルを配置し得る前記キャリアにおいて時間方向にNsp個(Nspは、2以上の整数)のシンボルごとの間隔で前記パイロットセルが配置され、且つ、前記OFDMフレームの境界を跨る箇所においても前記Nsp個のシンボルごとの前記パイロットセルの配置間隔が維持され、(Fs×L)は、Nspの倍数であり、前記シンボルごとのデータセル数をD個とし、前記LDPCブロックの符号長をN
ldpcビットとしたとき、 D×L=n×N
ldpc という条件を満たす、ことを特徴とする。
【0023】
[13]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、空間多重数Nant(Nantは、2以上の整数)の空間多重方式のMIMOにより送信される前記OFDMフレームを受信する受信装置であって、前記復調部は、前記空間多重数に対応するNant個の前記OFDMフレームのそれぞれのデータセルからサブブロックを取得し、前記LDPCデコーダーは、それらのNant個の前記サブブロックから復元されたLDPCブロックについてLDPC復号処理を行う、ことを特徴とする。
【0024】
[14]また、本発明の一態様は、LDPC符号を内符号としてOFDM方式で送信するためのOFDMフレームを構成するフレーム構成方法であって、前記OFDMフレーム内に、LDPC符号化されたLDPCブロックを伝送するためのデータセルと、復調基準となるパイロット信号を伝送するためのパイロットセルと、OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCCセルとを配置し、且つ、1個の前記OFDMフレームに含まれる前記データセルにちょうどn個(nは1以上の整数)の前記LDPCブロックを収容させる、ことを特徴とするフレーム構成方法である。
【0025】
[15]また、本発明の一態様は、伝送するデータをLDPCで符号化してLDPCブロックを出力するLDPCエンコーダーと、OFDMフレーム内に、前記LDPCエンコーダーから出力された前記LDPCブロックを伝送するためのデータセルと、復調基準となるパイロット信号を伝送するためのパイロットセルと、OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCCセルとを配置し、且つ、1個の前記OFDMフレームに含まれる前記データセルにちょうどn個(nは1以上の整数)の前記LDPCブロックを収容させるOFDMフレーム生成部と、を具備することを特徴とするチップである。
【0026】
[16]また、本発明の一態様は、OFDMフレーム内に配置されたTMCCセルからTMCC信号を取得することによって、前記OFDMフレームの同期を検出するとともに、伝送パラメーターを取得するTMCC信号受信処理部と、前記伝送パラメーターに基づいて、前記OFDMフレームに含まれるデータセルを復調するとともに、前記データセルから、前記OFDMフレーム1個あたりちょうどn個(nは1以上の整数)収容されたLDPCブロックをそれぞれ取得する復調部と、前記復調部によって取得された前記LDPCブロックについてLDPC復号処理を行ってLDPC符号化前のデータを取得するLDPCデコーダーと、を具備することを特徴とするチップである。
【0027】
[17]また、本発明の一態様は、コンピューターを、伝送するデータをLDPCで符号化してLDPCブロックを出力するLDPCエンコーダー、OFDMフレーム内に、前記LDPCエンコーダーから出力された前記LDPCブロックを伝送するためのデータセルと、復調基準となるパイロット信号を伝送するためのパイロットセルと、OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCCセルとを配置し、且つ、1個の前記OFDMフレームに含まれる前記データセルにちょうどn個(nは1以上の整数)の前記LDPCブロックを収容させるOFDMフレーム生成部、として機能させるためのプログラムである。
【0028】
[18]また、本発明の一態様は、コンピューターを、OFDMフレーム内に配置されたTMCCセルからTMCC信号を取得することによって、前記OFDMフレームの同期を検出するとともに、伝送パラメーターを取得するTMCC信号受信処理部、前記伝送パラメーターに基づいて、前記OFDMフレームに含まれるデータセルを復調するとともに、前記データセルから、前記OFDMフレーム1個あたりちょうどn個(nは1以上の整数)収容されたLDPCブロックをそれぞれ取得する復調部、前記復調部によって取得された前記LDPCブロックについてLDPC復号処理を行ってLDPC符号化前のデータを取得するLDPCデコーダー、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、無駄なパディング処理や、フレーム同期のための複雑な処理を行う必要がなくなり、且つ、すべての伝送可能ビット(フレーム内のデータセル)を情報伝送に割り当てることができる。即ち、本発明によれば、装置を複雑にすることなく、伝送効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態による送信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、送信装置1は、データ取得部11と、LDPCエンコーダー12と、変調部13と、パイロット信号発生部16と、TMCC信号発生部17と、スイッチ21と、OFDMフレームタイミング制御部31と、OFDMフレーム構成パターン記憶部33と、スイッチ制御部35と、IFFT部41と、直交変調部42と、DA変換部43と、送信高周波部44とを含んで構成される。この構成による送信装置1は、LDPCにより符号化されたデータを、OFDMフレーム内に含めて送信する。なお、OFDMフレームは、互いに直交する複数のキャリアを用い、且つ所定のシンボル数で構成したものである。
なお、OFDMは、「Orthogonal Frequency Division Multiplexing」(直交周波数分割多重」を表す。また、LDPCは、「low-density parity-check code」(低密度パリティ検査符号)を表す。また、TMCCは、「Transmission and Multiplexing Configuration and Control」を表す。また、IFFTは、「Inverse Fast Fourier Transform」(逆高速フーリエ変換)を表す。
【0032】
データ取得部11は、伝送対象とするデジタルデータを、外部から取得し、LDPCエンコーダー12に供給する。
LDPCエンコーダー12は、データ取得部11から供給されるデータを、LDPCで符号化し、LDPCブロックとして順次出力していく。具体的には、LDPCエンコーダー12は、誤り訂正のための冗長符号化を行う。後述するように、1個のOFDMフレームが、ちょうど整数個のLDPCブロックを収容する。LDPCエンコーダー12は、あるOFDMフレーム内の最初のLDPCブロックの先頭ビットを、OFDMフレームタイミング制御部31から供給されるOFDMフレーム開始タイミングの信号にしたがって、出力する。
【0033】
変調部13は、LDPCエンコーダー12から出力されたLDPCブロックを構成するビットを、順次、所定の変調方法により変調していく。変調部13は、OFDMフレーム内のデータセルに格納するためのデータ信号を出力する。変調部13における変調方式については、後述する。変調部13は、必要に応じて、複数種類の変調方式を使い分ける。また、例えば電波伝搬状況等に応じて、適応的に複数種類の変調方式を切り替えて使用してもよい。変調部13は、直列に入力されるビット列について、変調多値数に応じたシンボルマッピングを行う。変調部13がシリアル/パラレル変換を行うとも捉えられる。
【0034】
パイロット信号発生部16は、OFDMフレームタイミング制御部31からの制御により、OFDMフレームフォーマットに合わせて、パイロット信号を発生させる。なお、パイロット信号は、受信側でチャネル推定するために用いられる既知参照信号である。
TMCC信号発生部17は、OFDMフレームタイミング制御部31からの制御により、OFDMフレームフォーマットに合わせて、TMCC信号を発生させる。
【0035】
スイッチ21は、変調部13からのデータキャリア(データセル)と、パイロット信号発生部16からのパイロットキャリア(パイロットセル)と、TMCC信号発生部17からのTMCCキャリア(TMCCセル)とを入力する。そして、スイッチ21は、スイッチ制御部35からの制御信号にしたがって、入力信号を切り替える。スイッチ21は、この切り替えの結果として適切に配置された各信号で構成されるOFDMフレームを、IFFT部41に出力する。つまり、スイッチ21は、変調部13から出力されるデータ信号と、パイロット信号発生部16から出力されるパイロット信号と、TMCC信号発生部17から出力されるTMCC信号とを入力とする。そして、スイッチ21は、スイッチ制御部35からの制御信号にしたがって、データ信号とパイロット信号とTMCC信号とを切り替えて出力する。なお、スイッチ21の後段に、OFDMフレームを、あるいはその一部である1シンボル分の信号を一時的に蓄積するバッファメモリを設けてもよい。また、後述するように、スイッチ制御部35は、OFDMフレーム構成パターン記憶部33を参照することにより、予め定められたフレーム構成になるように、スイッチ21の切り替え制御を行う。
【0036】
OFDMフレームタイミング制御部31は、OFDMフレームの開始タイミングを決定し、その開始タイミングを表す信号を発生するものである。OFDMフレームタイミング制御部31は、このOFDMフレームの開始タイミングを表す信号を、LDPCエンコーダー12と、パイロット信号発生部16と、TMCC信号発生部17と、スイッチ制御部35とに供給する。OFDMフレームタイミング制御部31が供給するタイミングの信号に基づいて、これら各部は、OFDMフレームを生成する。つまり、OFDMフレームタイミング制御部31が出力するタイミングの信号にしたがって、送信装置1の全体が同期しながら、OFDMフレームを生成し、送出していく。
【0037】
OFDMフレーム構成パターン記憶部33は、送信するOFDMフレームのフォーマットの情報を記憶する。具体的には、OFDMフレーム構成パターン記憶部33は、OFDMフレーム内の、シンボルごとのキャリア(セル)の配置を記憶する。後述するように、キャリアには、データキャリア、パイロットキャリア、TMCCキャリア等の種類がある。OFDMフレーム構成パターン記憶部33は、また、データキャリア(データセル)に関して、複数個のLDPCブロックをOFDMフレーム内にどのように配置するかを表す情報を記憶する。なお、具体的な、OFDMフレームの構成例については、後で、
図2,
図3,
図6を参照しながら説明する。
【0038】
スイッチ制御部35は、OFDMフレームタイミング制御部31からの信号により、OFDMフレームの開始タイミングを読み取る。そして、スイッチ制御部35は、OFDMフレームの先頭シンボルから順に、各シンボルにおけるキャリア配置をOFDMフレーム構成パターン記憶部33から読み出す。そして、スイッチ制御部35は、読み取ったキャリア配置の情報にしたがって、スイッチ21を切り替える制御を行う。つまり、スイッチ制御部35は、データ信号をデータセルに配置し、パイロット信号をパイロットセルに配置し、TMCC信号をTMCCセルに配置するよう、スイッチ21に対して制御信号を供給する。スイッチ制御部35のこの制御により、スイッチ21は、予め定められたフレーム構成にしたがって、各信号を切り替えて、IFFT部41への出力を行うよう動作する。
【0039】
IFFT部41は、スイッチ21から入力される周波数領域の信号を、時間領域の信号に変換する。IFFT部は、具体的には、逆高速フーリエ変換の処理を行う。
直交変調部42は、IFFT部41から入力される複素信号を、搬送波の同相成分と直交成分として変調する。
DA変換部43は、直交変調部42から入力される変調信号を、デジタル−アナログ(digital-to-analog)変換する。
送信高周波部44は、DA変換部43から出力される変調信号を、無線周波数に変換し、送信する。
【0040】
なお、上記の各部のうちの、少なくともスイッチ21と、OFDMフレームタイミング制御部31と、OFDMフレーム構成パターン記憶部33と、スイッチ制御部35を含む機能が、OFDMフレーム生成部を構成する。なお、OFDMフレーム生成部の機能として、変調部13や、パイロット信号発生部16や、TMCC信号発生部17を加えてもよい。
OFDMフレーム生成部は、OFDMフレーム内に、LDPCエンコーダー12から出力されたLDPCブロックのためのデータセルと、復調基準となるパイロット信号のためのパイロットセルと、OFDMフレーム同期情報を少なくとも含むTMCCセルとを配置する。これにより、OFDMフレーム生成部は、OFDMフレームを構成し、出力する。その際、OFDMフレーム生成部は、1個のOFDMフレームに含まれるデータセルにちょうどn個(nは1以上の整数)のLDPCブロックを収容させる。
【0041】
送信装置1は、上記の構成により、OFDMフレームの内符号としてLDPCを用いた場合に、伝送効率が良くなるよう、適切に定められたパラメーターを用いてOFDMフレームを構成する。
ここで、パラメーターとは、FFTポイント数、OFDMフレームを構成するキャリア数(K)、パイロット信号を何本のキャリアごとに挿入するかを表すパイロット挿入間隔(Q)、そのパイロット挿入間隔を前提としたときのパイロットキャリア数、K本のキャリアのうちのデータを伝送するためのデータキャリアが何本であるかを表すデータキャリア数(D)、OFDMフレームを構成する時間方向の長さ(シンボル数)であるフレーム長(L)、1個のOFDMフレームに格納されるLDPCブロックの数(n)、K本のキャリアのうちのパイロットキャリアとデータキャリア以外のキャリア(TMCC、AC等)の数などといった数値である。
なお、「AC」については、後で説明する。
【0042】
ここではまず、想定される5つの場合について説明する。これらの場合の各々について、後で、パラメーターの例を説明する。
【0043】
[場合1]この場合は、パイロット信号の配置として、コンティニュアスパイロット方式(連続的パイロット方式)を用いる。コンティニュアスパイロット方式では、パイロット信号のために割り当てるキャリアが、時間の経過に伴って変化せず一定である。また、データの変調方式を任意とする。つまり、任意の変調多値数に対して、伝送効率が良くなるように、OFDMフレームを構成する。
[場合2]この場合は、パイロット信号の配置として、コンティニュアスパイロット方式を用いる。また、データの変調方式について制約を設ける。つまり、あらかじめ定められた変調多値数の集合を前提として、その集合に属するいずれの変調多値数に対しても、伝送効率が良くなるように、OFDMフレームを構成する。変調多値数に制約が加わることにより、OFDMフレームの構成の仕方が多様になる。
[場合3]この場合は、パイロット信号の配置として、スキャッタードパイロット方式(分散パイロット方式)を用いる。スキャッタードパイロット方式では、パイロット信号のために割り当てるキャリアがOFDMフレーム内での時間の経過に伴って変化する。あるキャリアがパイロットキャリアとして用いられるとき、そのキャリアがパイロットキャリアとして用いられる周期(時間方向の周期)をNsp(シンボル数)とする。そして、フレーム長(1フレームのシンボル数)Lを、Nspの整数倍とする。
[場合4]この場合は、パイロット信号の配置として、スキャッタードパイロット方式を用いる。また、あるキャリアがパイロットキャリアとして用いられる周期をNspとするとき、連続するNsp個のOFDMフレームを1個のスーパーフレームとして扱う。これにより、フレーム長LがNspの周期でない場合にも、スーパーフレームの先頭シンボルにおいてはパイロットキャリアとして用いられるキャリアの配置が、必ず一定となる。スーパーフレーム内のシンボル位置が定まれば、パイロットキャリアの配置が定まる。
[場合5]この場合は、空間多重方式であるMIMOを用いる。送信装置側で、送信アンテナの数をNantとする。つまり、空間多重数がNantである。LDPCエンコーダーから出力されたLDPCブロックは、Nant個のサブブロックに分割され、それぞれの送信アンテナから送信される。受信側では、Nant個のサブブロックを復元し、それらのサブブロックを基にLDPCブロックが再現される。
【0044】
まず、上で説明した「場合1」および「場合2」における、つまりコンティニュアスパイロット方式を用いる場合の、OFDMフレームの構成方法を説明する。
図2は、本実施形態において、コンティニュアスパイロット方式を適用した場合の、OFDMフレームの配置例を示す概略図である。同図において、横軸は周波数であり、縦軸は時間である。図示するように、1個のOFDMフレームは、K個のキャリア(「サブキャリア」と呼んでもよい)を含む。各キャリアにはキャリア番号が付与されている。キャリア番号は0,1,2,・・・,K−1と表記されている。また、1個のOFDMフレームは、L個のシンボル(伝送シンボル,時間方向の単位)を含む。各シンボルには、シンボル番号が付与されている。シンボル番号は、0,1,2,・・・,L−1と表記されている。図示する1個の丸印(白丸、黒丸、二重丸)は、セル(「キャリア」等とも呼ばれる)である。つまり、1個のOFDMフレームは、2次元のL行K列に配置された(L×K)個のセルで構成される。
【0045】
なお、セルには3種類のセルがある。白丸で示すセルは、データセルであり、LDPC符号化されている伝送対象のデータを持つ。黒丸で示すセルは、パイロットセルであり、送信側および受信側で共に既知のパイロット信号を持つ。パイロット信号は、復調の際の基準として用いられる。二重丸で示すセルは、TMCCセルであり、OFDMフレームの同期を検出するための情報や、伝送パラメーターの情報を持つ。図示するOFDMフレームにおいては、周波数(キャリア)によって、どの種類のセル(データセル、パイロットセル、TMCCセル)が配置されているかが決まっている。
なお、上記の3種類のセルの他に、補助的な付加情報を伝送するためのAC(Auxiliary Channel)セルをさらに配置するようにしてもよい。
【0046】
各キャリアは、例えば、QPSK(四位相偏移変調,Quaternary Phase-Shift Keying)、16QAM(16直角位相振幅変調,16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM,256QAMなどといった変調方式で変調される。
【0047】
1個のOFDMフレームは、複数のLDPCブロックに区切られている。OFDMフレームの区切りは、LDPCブロックの区切りでもある。つまり、OFDMフレームの区切りのタイミングは、LDPCブロックの伝送の基準となるタイミングである。図示する例では、1個のOFDMフレームは、n個のLDPCブロックを含んでいる。各LDPCブロックには、1,2,・・・,nの番号が付与されている。
【0048】
ここで、キャリア数と、パイロットキャリアの配置間隔との関係について説明する。
伝送シンボルの有効シンボル長をTeとし、ガードインターバル長をTgとし、ガードインターバル長と有効シンボル長の比であるTg/TeをRとする。Rをガードインターバル比と呼ぶ。そして、ガードインターバル比の逆数(1/R)以下の最大整数をMとし、M以下の任意の整数をQとする。Qは、パイロットキャリアの配置間隔である。キャリア数Kの値が(Qの倍数+1)であれば、復調の際の基準となるパイロットキャリアを両端のキャリアからQ本ごとに一定間隔で配置することが可能となる。図示する例では、パイロットキャリアは、両端のキャリアからちょうどQ本ごとの一定間隔で配置されている。この場合、pを非負整数とすると、パイロットキャリアを伝送するためのキャリアの番号kは、k=p×Qによって決定される。ただし、0≦k≦K−1である。図示するOFDMフレームにおいては、一例としてQ=8としている。したがって、図の左端のキャリアから、キャリア番号k=0,8,16,・・・と、8本おきにパイロットキャリアを配置している。また、キャリア数Kが(8の倍数+1)であるため、図の右端のキャリア番号K−1は8の倍数である。したがって、右端のキャリアにもパイロットキャリアが配置される。
以上のように、キャリア数Kの値を(Qの倍数+1)とすることにより、パイロットキャリアはキャリアの両端とその間をQ本おきに配置することができる。
【0049】
次に、パイロットキャリアの配置間隔Qとガードインターバル比Rの関係について説明する。
一例として、ガードインターバル比R=1/8の場合を考える。ガードインターバル比の逆数(1/R)以下の最大整数がMであるので、M=8である。つまり、パイロットキャリアの配置の間隔は最大で8である。そして、M以下の任意の整数Qを導入し、Qをパイロットキャリアの間隔とすることができる。従って、パイロットキャリアの間隔を8以下の任意の整数にすることができる。ただし、Qの値を小さくし過ぎると、全キャリアに対するパイロットキャリアの比率が大きくなるため、データの伝送効率が低下してしまう。
【0050】
白丸で示すデータキャリア(データセル)には、内符号であるLDPC符号により符号化されたLDPCブロックを割り当てる。1個のデータセルの変調多値数がM1の場合、そのデータセルには、Ns[ビット]を割り当てることができる。ただし、Ns=log
2(M1)である。LDPC符号の符号長(LDPCブロックの長さ。ブロック長。)をN
ldpc[ビット]とすると、1個のLDPCブロックを伝送するために必要なデータセルの数は、(N
ldpc/Ns)である。
一例として、キャリア変調方式が64QAMである場合、変調多値数M1が64であるので、Ns=log
2(64)=6[ビット]である。したがって、N
ldpc=64800[ビット]の場合、1個のLDPCブロックを伝送するために必要なデータセルの個数は、10800(=64800/6)個である。
【0051】
送信装置1は、各々がNs[ビット]の情報を有する(N
ldpc/Ns)個のデータセルで構成されるLDPCブロックを、OFDMフレーム内に収める。前述の通り、OFDMフレームは、L個のシンボルで構成されている。送信装置1は、1個のOFDMフレーム内に、ちょうど整数個のLDPCブロックを収めるようにする。これにより、OFDMフレーム内のデータセルが全て無駄なく使われることとなり、伝送効率が良くなる。
従来の技術では、整数個のLDPCブロックをちょうど1個のOFDMフレームに収められない場合が生じ得た。その場合は、余ったデータセルがデータの伝送に用いられないため、無駄となり、伝送効率が悪くなってしまう。それに対して、本実施形態の送信装置1は、無駄なく、データセルを、データの伝送に用いることができる。
【0052】
送信装置1は、1個のOFDMフレームがちょうど整数個のLDPCブロックを収容されるように、下の式(1)で表される条件を満たすように、OFDMフレームを構成する。
【0053】
D×L×Ns=n×N
ldpc ・・・ (1)
【0054】
なお、式(1)において、Dは、正整数であり、1個のOFDMフレームを構成するデータキャリアの本数である。また、Lは、前述の通り、OFDMフレーム長、即ち1個のOFDMを構成する伝送シンボルの個数である。また、nは、正整数である。
送信装置1は、上の式(1)を満たすような、DおよびLの値を用いて、OFDMフレームを構成する。これにより、1個のOFDMフレームに、n個のLDPCブロックが収容される。
【0055】
[場合1]におけるパラメーターについて:
適応変調を用いる場合など、変調方式を切り替え得る場合、即ち、変調多値数を切り替え得る場合がある。任意の変調方式に切り替え得る場合、即ち、任意の変調多値数に切り替え得る場合には、式(1)におけるNsを1とすればよい。Ns=1とした場合、式(1)は、下の式(2)のように表される。
【0056】
D×L=n×N
ldpc ・・・ (2)
【0057】
上の式(2)の条件を満たすDおよびLを用いることにより、送信装置1は、任意の変調多値数に切り替えても、伝送効率を高く維持することができる。
【0058】
表1,表2,表3,表4,表5は、「場合1」において、且つ、FFTポイント数を2048または8192とした場合に使用し得るパラメーターの例である。また、これらのパラメーターの例は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]またはN
ldpc=44880[bit]の場合である。送信装置1は、例えば、これらの表に列挙するパラメーターのいずれかを使用してOFDMフレームを構成し、送信する。
表1は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表2,表3は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表1,表2,表3の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
表4は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表5は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表4,表5の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
なお、これらのパラメーター集合は、次の範囲内において探索されたものである。即ち、フレーム長Lの値を、200以上且つ500以下としている。また、FFTポイント数が2048である場合のデータキャリア数Dの値を、1350以上且つ1440以下としている。また、FFTポイント数が8192である場合のデータキャリア数Dの値を、624以上且つ6500以下としている。
【0064】
[場合2]におけるパラメーターについて:
データキャリアの変調多値数が、限定された値しかとらない場合には、DとLの値に関する条件が緩和され得る。
変調方式が変化しても変調多値数がm通りに限定されている場合、それらの変調多値数を、M1_1,M1_2,・・・,M1_mとする。これらの変調多値数に対応する、1データセルあたりの情報量Nsは、それぞれ、log
2(M1_1),log
2(M1_2),・・・,log
2(M1_m)である。これらlog
2(M1_1),log
2(M1_2),・・・,log
2(M1_m)の最大公約数がN
bitsであるとき、DおよびLが満たすべき条件は、式(1)におけるNsを上記N
bitsで置き換えて、下の式(3)で表される。
【0065】
D×L×N
bits=n×N
ldpc ・・・ (3)
【0066】
式(3)の条件を満たす場合に、変調多値数がM1_1,M1_2,・・・,M1_mのいずれの値をとっても、1個のOFDMフレームに収容されるLDPCブロックの数は、ちょうど整数個となる。なお、最大公約数N
bitsが1である場合には、式(3)は式(2)と同じ条件を表す。最大公約数N
bitsが1でない限りは、式(3)の条件は、式(2)の条件よりも緩和されている。条件が緩和されていると、即ち、DとLの値の組み合わせはより多く存在する。
【0067】
例えば、変調多値数を4(QPSK)、16(16QAM)、64(64QAM)、256(256QAM)に限定した場合、1個のデータセルが持つ情報量は、それぞれ、2、4、8、16[bit]である。この場合、2と4と8と16との最大公約数は2である。
【0068】
表6,表7,表8,表9,表10,表11,表12は、「場合2」(変調多値数を2,4,8,16に限定した場合)において、且つ、FFTポイント数を2048または8192とした場合に使用し得るパラメーターの例である。また、これらのパラメーターの例は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]またはN
ldpc=44880[bit]の場合である。送信装置1は、例えば、これらの表に列挙するパラメーターのいずれかを使用してOFDMフレームを構成し、送信する。
表6は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表7,表8,表9は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表6,表7,表8,表9の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
表10は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表11,表12は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表10,表11,表12の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
【0076】
なお、表6から表12までに示すパラメーター集合も、表1から表5までと同じ範囲内において探索されたものである。即ち、フレーム長Lの値を、200以上且つ500以下としている。また、FFTポイント数が2048である場合のデータキャリア数Dの値を、1350以上且つ1440以下としている。また、FFTポイント数が8192である場合のデータキャリア数Dの値を、624以上且つ6500以下としている。
【0077】
以上、コンティニュアスパイロット方式を適用する場合に用いるパラメーターについて説明した。「場合1」および「場合2」の各々において、送信装置1は、上記の条件式を満たすようにOFDMフレームを構成する。
【0078】
これにより、信号を受信する受信装置側では、OFDMフレームの同期さえ取れれば、即ちOFDMフレームの先頭シンボルさえ検出できれば、複雑な処理回路を用いることなく、OFDMフレーム内に配置された複数のLDPCブロックを、順次、検出することができる。これにより、受信装置側では、LDPC復号が可能となる。また、OFDMフレーム内のデータセルに、無駄なくLDPCブロックが配置されているため、伝送効率を最大化できる。なお、OFDMフレームの同期検出は、TMCCキャリアを用いて行うことができる。TMCCキャリアは常に一定の周波数のキャリアに配置されるため、そのキャリアを監視することにより、OFDMフレームの同期検出が可能となる。TMCCキャリアによるOFDMフレームの同期検出の方法は、例えば、文献「ARIB STD−B33 テレビジョン放送番組素材伝送用 可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム 標準規格」に記載されている。
【0079】
次に、パイロット信号を、周波数方向と時間方向の両方に分散して配置した、OFDMフレームを構成する場合について説明する。
図2に示した配置では、パイロット信号は、OFDMフレーム内のどのシンボルにおいても、同じキャリア(周波数)に割り当てられていた。つまり、コンティニュアスパイロット方式を用いていた。
ここでは、コンティニュアスパイロット方式の代わりに、パイロットキャリアが周波数方向と時間方向の両方に分散して配置されるスキャッタードパイロット方式を用いる。このスキャッタードパイロット方式の場合も、同様に、1個のOFDMフレーム内のデータセル部分に、LDPCブロックをちょうど整数個収めるように、データキャリア数D、およびシンボル長Lを決定すればよい。
【0080】
図3は、本実施形態において、スキャッタードパイロット方式を適用した場合の、OFDMフレームの配置例を示す概略図である。この場合も、横軸は周波数(キャリア)方向であり、縦軸は時間(シンボル)方向である。そして、1個のOFDMフレームは、L行K列の(L×K)個のセルで構成される。また、キャリアには、0からK−1までのキャリア番号が付与されている。また、シンボルには、0からL−1までのシンボル番号が付与されている。
【0081】
図示するように、この配置例では、シンボルごとに、パイロット信号を配置するキャリア(周波数)は異なる。ここでは、一例として、あるシンボルから次のシンボルに移ると、パイロット信号が配置されるキャリアが、2個ずつずれていっている。パイロット信号が配置され得るあるキャリアについて見た場合、パイロット信号の、シンボル方向の挿入周期はNsp(Nspは、2以上の整数)である。つまり、図示するOFDMフレームでは、周波数方向と時間方向の両方向に分散させてパイロットセルが配置されている。OFDMフレームは、L行K列の2次元配列である。そして、その2次元配列において、各々のシンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔でパイロットセルを配置し、且つ、パイロットセルを配置し得るキャリアにおいて時間方向にNsp個のシンボルごとの間隔でパイロットセルを配置している。
【0082】
ここでは、一例として、Nsp=4の場合を図示している。また、この配置例では、フレーム長Lが、パイロット挿入周期であるNspの整数倍になるようにしている。言い換えれば、LがNspで割り切れるようにする。これにより、あるOFDMフレームと次のOFDMフレームとの境界部分においても、パイロット信号の挿入周期Nspを維持しつつ、OFDMフレームの最初のシンボルにおいては常に同じパイロット配置とすることができる。つまり、LがNspの整数倍となるようにすることにより、パイロット信号の抽出を容易にすることができる。
【0083】
[場合3]におけるパラメーターについて:
この場合、1個のOFDMフレームにちょうど整数個のLDPCブロックが収まるようにするためには、データキャリアの本数DとOFDMフレーム長Lとが下の式(4)の条件を満たすようにする。
【0084】
D×L=n×N
ldpc 且つ LはNspの整数倍 ・・・ (4)
【0085】
なお、このスキャッタードパイロット方式においても、キャリア数Kが(Qの倍数+1)であるようにする。Qは、ここでも、キャリア方向のパイロット間隔である。また、Nspの整数倍がQとなるように、K,Q,Nspの値を定める。
【0086】
具体的なパラメーターの値の例は、次の通りである。
「場合1」と同じ条件でパラメーター値の組み合わせを探索すると、「場合3」において適切なパラメーターは、表1,表2,表3,表4,表5に示したパラメーターのうち、LがNspの倍数となるものである。Nsp=4の場合、次の通りである。
即ち、表13,表14,表15,表16は、「場合3」(ただし、Nsp=4)において、且つ、FFTポイント数を2048または8192とした場合に使用し得るパラメーターの例である。また、これらのパラメーターの例は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]またはN
ldpc=44880[bit]の場合である。送信装置1は、例えば、これらの表に列挙するパラメーターのいずれかを使用してOFDMフレームを構成し、送信する。
表13は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表14は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表13,表14の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
表15は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表16は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表15,表16の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
【0091】
[場合4]におけるパラメーターについて:
「場合4」では、時間的に連続するNsp個のOFDMフレームを1個のスーパーフレームとして扱う。そして、OFDMフレームをまたがっても、パイロット挿入周期Nspを維持するようにする。これにより、1個のOFDMフレームのフレーム長LがNspの倍数でない場合にも、スーパーフレームの先頭シンボルにいては常に同じパイロット信号の配置とすることができる。したがって、受信側では、パイロット信号の抽出を容易に行うことができる。
【0092】
この場合、データキャリア数Dとフレーム長Lとの関係として、下の式(5)の条件を満たすようにする。なお、式(5)で表す条件は、コンティニュアスパイロット方式において式(2)で表した条件と同一である。
【0093】
D×L=n×N
ldpc ・・・ (5)
【0094】
なお、この場合、スーパーフレームを構成する各OFDMフレームのTMCC信号内に、スーパーフレーム内における順序を示すOFDMフレーム番号(1,2,・・・,Nsp)を埋め込んでおくようにする。これにより、スーパーフレームの先頭のOFDMフレーム(番号が1)を、容易に検出できるようになる。
【0095】
上記の式(5)は、式(2)と同一であるため、「場合4」において送信装置1が用いることのできるパラメーターの例は、「場合1」におけるそれらと同一である。つまり、「場合4」におけるパラメーターの例は、表1,表2,表3,表4,表5に示したものと同一である。
つまり、「場合4」においてスーパーフレームを用いることにより、「場合3」よりも幅広い候補の中からパラメーターを設定することができる。
【0096】
[場合4]の変形例:
上述した「場合4」では、時間的に連続するNsp個のOFDMフレームを1個のスーパーフレームとして扱った。変形例として、ここでは、Fs個(Fsは、正整数)のOFDMフレームを1個のスーパーフレームとして扱う。ただし、(Fs×L)は、Nspの倍数である。そして、この変形例においても、パイロットセルが配置されるあるキャリアにおいて、パイロットセルの配置間隔はNspである。そして、この配置間隔Nspは、OFDMフレームの境界を跨ぐ箇所でも維持される。上記の通り(Fs×L)はNspの倍数であるため、スーパーフレームの先頭のシンボルにおいては、必ず、パイロットセルが配置されるキャリアは一定である。
【0097】
つまり、スーパーフレームを用いる本例においても、周波数方向と時間方向の両方向に分散させてパイロットセルを配置している。そして、Fs個のOFDMフレームから成るスーパーフレームは、(L×Fs)行K列の2次元配列に相当する。このスーパーフレーム内の各々のシンボルにおいて周波数方向にQ本ごとの間隔でパイロットセルを配置している。且つ、このスーパーフレーム内の、パイロットセルを配置し得るキャリアにおいて時間方向にNsp個のシンボルごとの間隔でパイロットセルを配置している。そして、スーパーフレーム内のOFDMフレームの境界を跨る箇所においてもNsp個のシンボルごとのパイロットセルの配置間隔を維持している。
【0098】
一例として、L=100,Fs=2,Nsp=8の場合、(Fs×L)は、Nspの倍数であるため、スーパーフレームの先頭のシンボルにおいては、必ず、パイロットセルが配置されるキャリアは一定である。
なお、Nsp個のOFDMフレームが1個のスーパーフレームを成す場合は、Fs個のOFDMフレームが1個のスーパーフレームを成す場合の、特殊ケースである。
【0099】
次に、送信装置1から送信される信号を受信する受信装置について説明する。
図4は、受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、受信装置2は、受信高周波部51と、AD変換部52と、直交復調部53と、FFT部54と、スイッチ61と、OFDMフレーム構成パターン記憶部63と、スイッチ制御部65と、TMCC信号受信処理部66と、チャネル推定部67と、等化処理部71と、復調部72と、LDPCデコーダー73と、データ出力部74と、を含んで構成される。
【0100】
受信高周波部51は、送信装置1側から送信された無線信号を受信し、中間周波数信号に変換する。
AD変換部52は、受信高周波部51が受信した信号を、アナログ−デジタル(analog-to-digital)変換する。
直交復調部53は、AD変換部52から出力される信号を、信号搬送波と同相成分と直交成分の振幅(複素信号)に変換する。
FFT部54は、直交復調部53から出力される時間領域の複素信号を、周波数領域の信号に変換する。具体的には、FFT部54は、高速フーリエ変換処理を行う。
【0101】
スイッチ61は、FFT部54からの信号を入力し、データ信号とパイロット信号とTMCC信号を切り替えて、振り分ける。スイッチ61は、スイッチ制御部65からの制御信号に基づき、切り替えを行う。なお、後述するように、スイッチ制御部65は、OFDMフレーム構成パターン記憶部63を参照することにより、予め定められたOFDMフレームの構成にしたがって、スイッチ61を制御する。
【0102】
OFDMフレーム構成パターン記憶部63は、送信装置1において説明したOFDMフレーム構成パターン記憶部63と同様に、OFDMフレームの構成に関する情報を記憶している。具体的には、OFDMフレーム構成パターン記憶部63は、OFDMフレーム内のシンボルごとの、キャリアの配置の情報を記憶している。
スイッチ制御部65は、OFDMフレーム構成パターン記憶部63からOFDMフレームの構成の情報を読み取り、スイッチ61が、シンボルごとに、各キャリアの信号を、データ信号とパイロット信号とTMCC信号とに振り分けるよう制御する。
【0103】
TMCC信号受信処理部66は、受信したTMCC信号の処理を行う。
受信装置2が受信処理を開始した当初は、OFDMフレーム同期が取れていない。したがって、受信装置2は、OFDMフレーム構成パターン記憶部63からキャリア配置の情報を読み取っても、一般的には、その時点で受信しているシンボルがOFDMフレーム内の何番目のシンボルであるかを把握することができない。つまり、スイッチ61による正常な振り分けを行うことができない。ただし、TMCCキャリアは、どのシンボルにおいても同じキャリア番号に割り当てられているため、OFDMフレーム同期が取れていなくても、正常に受信することができる。したがって、受信処理を開始した当初、TMCC信号受信処理部66がまずTMCCキャリアを処理することにより、OFDMフレーム同期が取れ(あるいは、スーパーフレームを用いている場合にはスーパーフレーム同期が取れ)、また、伝送パラメーターを検出することができる。
【0104】
なお、TMCC信号受信処理部66は、伝送パラメーター検出部661と、OFDMフレーム同期検出部662と、を含んで構成される。
伝送パラメーター検出部661は、TMCC信号から、伝送パラメーターを検出し、復調部72に供給する。
OFDMフレーム同期検出部662は、TMCC信号から、OFDMフレーム同期を取る。なお、前述のスーパーフレームを用いている場合には、OFDMフレーム同期検出部662は、TMCC信号から、OFDMスーパーフレーム同期を取る。OFDMフレーム同期検出部662は、OFDMフレーム(あるいはOFDMスーパーフレーム)の同期を取ると、同期信号を、スイッチ制御部65と、チャネル推定部67と、LDPCデコーダー73とに供給する。これにより、受信装置2は、OFDMフレーム(あるいはOFDMスーパーフレーム)の受信処理を正常に進めることができるようになる。つまり、受信装置2は、TMCC信号だけでなく、データ信号やパイロット信号の受信処理を正常に進めることができるようになる。
【0105】
つまり、TMCC信号受信処理部66は、OFDMフレーム内に配置されたTMCCセルからTMCC信号を取得することによって、OFDMフレームの同期を検出するとともに、伝送パラメーターを取得するものである。
【0106】
チャネル推定部67は、受信したパイロット信号に基づいて、伝送路の応答(チャネル応答)を推定する。パイロット信号は、振幅および位相が既知の参照信号である。つまり、チャネル推定部67は、受信したパイロット信号(振幅を原点からの距離とし、位相を回転角とした極座標形式で表され得る複素数)を、既知の元のパイロット信号(同様に、複素数)で除算することにより、チャネル応答を算出する。また、チャネル推定部67は、パイロットキャリア以外のキャリア部分については、補間によりチャネル応答を算出する。
等化処理部71は、チャネル推定部67が推定したチャネル応答を用いて、受信したデータ信号を複素除算することにより等化する。
【0107】
復調部72は、等化処理部71による等化後のデータ信号を復調する。復調部72は、データセルの復調処理を行った結果、そのデータセルに対応するビット列を出力する。復調部72は、パラレル/シリアル変換を行っていると捉えることができる。つまり、復調部72は、伝送パラメーターに基づいて、OFDMフレームに含まれるデータセルを復調する。また、復調部72は、受信したOFDMフレーム1個あたりちょうどn個(nは1以上の整数)収容されたLDPCブロックをそれぞれ取得し、LDPCデコーダー73に供給する。
LDPCデコーダー73は、復調部72から出力されたビット列を基に、LDPCの復号処理を行う。具体的には、LDPCデコーダー73は、復調部72から出力されるビット列からLDPCブロックを特定し、そのLDPCブロックの単位で復号処理を行う。なお、LDPCブロック長は、N
ldpc[bit]である。
データ出力部74は、LDPCデコーダー73で復号されたデータを、外部に出力する。
【0108】
なお、受信装置2において、ビットデインターリーブ処理、周波数デインターリーブ処理、時間インターリーブ処理を行う機能部を設けてもよい。これらの処理は、それぞれ、送信装置1側におけるビットインターリーブ処理、周波数インターリーブ処理、時間インターリーブ処理の逆処理である。ビットデインターリーブ処理、周波数デインターリーブ処理、時間インターリーブ処理自体は、既存の技術により行うことができる。これらの処理を付加した場合、マルチパス特性や移動受信特性等の改善につながる。
【0109】
[場合5]におけるパラメーターについて:
この「場合5」では、無線方式として、空間多重MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)を用いる。MIMO方式では、送信装置は、複数の送信アンテナから同じ周波数で別の情報を送信する。つまり、送信装置は、複数の送信アンテナのそれぞれから、
図2や
図3で示したOFDMフレームを送信する。このとき、異なるアンテナから送信されるOFDMフレームのフォーマットは、同一である。ただし、各送信アンテナから送出されるパイロット信号の内容(値)は、送信アンテナごとに異なる。なお、MIMO自体は、既存の技術である。各アンテナのパイロット信号の値の設定の仕方や、受信装置側でのMIMO検出の仕方に関しては、既存の技術を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0110】
本実施形態の特徴は、MIMO方式を用いる場合における、OFDMフレームの構成である。特に、複数の送信アンテナに対応するOFDMフレーム(あるいは、OFDMスーパーフレーム)の全体の中に、ちょうど整数個のLDPCブロックを収容する方法が、本実施形態の特徴である。MIMO方式を用いる場合、伝送するLDPCブロックは、各送信アンテナに対応するOFDMフレームに分配される。
【0111】
図5は、MIMO方式を用いて、LDPCブロックをOFDMで伝送する際の、LDPCブロックとOFDMフレームとの関係を示す概略図である。ここでは、送信アンテナ数をNantとする。Nantは、2以上の整数である。そして、各々の送信アンテナには送信アンテナ番号1,2,・・・,Nantが付与されている。送信側では、1個のLDPCブロックを、Nant個のサブブロックに分割する。分割された各々のサブブロックは、送信アンテナに対応している。各サブブロックは、それぞれの送信アンテナ用のOFDMフレーム内の所定の位置に収容される。1個のOFDMフレームは、複数のLDPCブロックに対応する、サブブロックの領域を有している。
これらのサブブロックは、各送信アンテナから送出され、伝送路上を伝送する。そして、受信側では、受信信号から、各OFDMフレームが復元される。また、各OFDMフレームから、LDPCサブブロックが取り出され、元のLDPCブロックとして再現される。
【0112】
つまり、送信装置側の機能構成は、次の通りである。まず、LDPCエンコーダーが、送信対象のデータをLDPC符号化し、LDPCブロックを出力する。次に、各LDPCブロックを、Nant個のサブブロックに分割する。そして、送信装置1は、これらNant個のサブブロックを基に、それぞれの送信アンテナ用のOFDMフレームを構成する。OFDMフレーム内のデータセルには、上記のサブブロックが配置される。送信装置1は、1個のOFDMフレームにちょうど整数個のサブブロックを配置する。また、送信装置1は、OFDMフレーム内には、パイロット信号やTMCC信号も配置する。そして、送信装置1は、それらのOFDMフレームを各送信アンテナから送信する。
つまり、送信装置内のOFDMフレーム生成部は、LDPCブロックをNant個のサブブロックに分割して、分割された各々のサブブロックをNant個の送信アンテナに対応するように、各送信アンテナに対応するOFDMフレーム内に配置し、ちょうど整数個のサブブロックをOFDMフレーム内のデータセルに収容する。
【0113】
そして、受信装置側の構成は、次の通りである。受信装置側では、複数個のアンテナにより、送信装置側からMIMO方式で送信された信号を受信する。そして、受信装置は、各送信アンテナ用のOFDMフレームを復元する。そして、受信装置は、複数のOFDMフレームから、同一のLDPCブロックに対応するサブブロックをそれぞれ抽出し、LDPCブロックを再現する。そして、受信装置内のLDPCデコーダーが、LDPC復号処理を行い、元のデータを取得する。
【0114】
図6は、MIMO方式を用いる場合の、OFDMフレームの構成の例を示す概略図である。同図においては、代表として、送信アンテナ1の送信信号(OFDMフレーム)と、送信アンテナNantの送信信号(OFDMフレーム)とだけを示しており、途中のOFDMフレーム(送信アンテナ2から、送信アンテナ(Nant−1)まで)を省略している。
各々のOFDMフレームが、L個のシンボルとK個のキャリアで、即ち(L×K)個のセルで構成されている。1個のLDPCブロックは、送信アンテナ1のOFDMフレームから送信アンテナNantのOFDMフレームまでに、分散して配置される。図中では、Nant個のOFDMフレームが、n個(nは正整数)のLDPCブロック(ブロック番号1からnまで)を収容している。
【0115】
図6に示したOFDMフレームの構成は、
図2に示したコンティニュアスパイロット方式を、MIMO構成とした場合の例である。
本例では、n個のLDPCブロックを、複数アンテナに対応したNant個のOFDMフレームに割り当てるために、下の式(6)で表す条件を満たすようにする。
【0116】
Nant×D×L=n×N
ldpc ・・・ (6)
【0117】
この式(6)の条件を満たすときに、ちょうど整数個のLDPCブロックを、無駄なくNant個のOFDMフレーム内のデータセルに配置することができる。
なお、式(6)は、「場合1」における式(2)の左辺にNantを乗じて得られた等式である。
【0118】
同様に、「場合2」、「場合3」、「場合4」のそれぞれに対応して、MIMO方式を適用することもできる。
【0119】
「場合2」にMIMO方式を適用する場合、前記の式(3)の左辺にNantを乗じることにより、次の式(7)が得られる。変調多値数に制約がある場合には、送信装置が、この式(7)にしたがって、OFDMフレームを構成するようにすればよい。
【0120】
Nant×D×L×N
bits=n×N
ldpc ・・・ (7)
【0121】
また、「場合3」のスキャッタードパイロット方式にMIMO方式を適用する場合、前記の式(4)の左辺にNantを乗じることにより、次の式(8)が得られる。スキャッタードパイロット方式を用いる場合には、送信装置が、この式(8)にしたがって、OFDMフレームを構成するようにすればよい。
【0122】
Nant×D×L=n×N
ldpc 且つ LはNspの整数倍 ・・・ (8)
【0123】
また、「場合4」のスーパーフレームを定義して用いる方式にMIMO方式を適用する場合、前記の式(5)の左辺にNantを乗じることにより、次の式(9)が得られる。この場合には、送信装置が、この式(9)にしたがって、OFDMフレームを構成するようにすればよい。なお、式(9)は、結果として、式(6)と同一の式である。
【0124】
Nant×D×L=n×N
ldpc ・・・ (9)
【0125】
送信装置は、これら、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)のそれぞれの場合における条件を満たすパラメーターを用いて、OFDMフレームを構成する。
表17,表18,表19,表20,表21,表22,表23は、「場合5」において、上記の式(6)にしたがって、且つ、FFTポイント数を2048または8192とした場合に使用し得るパラメーターの例である。また、これらのパラメーターの例は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]またはN
ldpc=44880[bit]の場合である。送信装置は、例えば、これらの表に列挙するパラメーターのいずれかを使用してOFDMフレームを構成し、送信する。
なお、「場合5」において上記の式(9)にしたがう場合も、同じパラメーター値を用いることができる。
【0126】
表17は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表18,表19,表20は、LDPCブロック長N
ldpc=64800[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表17,表18,表19,表20の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
表21は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が2048であり、キャリア数K=1721の場合の例である。
表22,表23は、LDPCブロック長N
ldpc=44880[bit]であり、FFTポイント数が8192であり、キャリア数K=6881の場合の例である。
なお、表21,表22,表23の各行の通し番号を、各表の右端に便宜的に付している。
【0134】
上述した実施形態における送信装置または受信装置の機能は、電気回路・電子回路を用いて実現する。
【0135】
なお、上述した実施形態における送信装置または受信装置の一部の機能を、半導体チップとして実現するようにしてもよい。チップは、半導体集積回路をパッケージ化し、信号の入出力のためのリード線や、電源を供給するためのリード線を付けたものである。
一例としては、送信装置1(
図1)における、LDPCエンコーダー12と、変調部13と、パイロット信号発生部16と、TMCC信号発生部17と、スイッチ21と、OFDMフレームタイミング制御部31と、OFDMフレーム構成パターン記憶部33と、スイッチ制御部35との機能を含んだ1個のチップとして構成する。ただし、チップが、ここに列挙した機能以外の機能を有していてもよいし、ここに列挙した機能の一部を欠いていてもよい。
また、一例としては、受信装置2(
図4)における、スイッチ61と、OFDMフレーム構成パターン記憶部63と、スイッチ制御部65と、TMCC信号受信処理部66と、チャネル推定部67と、等化処理部71と、復調部72と、LDPCデコーダー73との機能を含んだ1個のチップとして構成する。ただし、チップが、ここに列挙した機能以外の機能を有していてもよいし、ここに列挙した機能の一部を欠いていてもよい。
【0136】
なお、上述した実施形態における送信装置または受信装置の機能の少なくとも一部をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0137】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。