特許第6843069号(P6843069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6843069チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定
<>
  • 特許6843069-チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定 図000002
  • 特許6843069-チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定 図000003
  • 特許6843069-チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定 図000004
  • 特許6843069-チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定 図000005
  • 特許6843069-チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843069
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】チャンバ洗浄終点に対するインシトゥエッチング速度の決定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210308BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H01L21/302 101H
   C23C16/44 J
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-555327(P2017-555327)
(86)(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公表番号】特表2018-514087(P2018-514087A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】US2016024475
(87)【国際公開番号】WO2016171845
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年3月14日
(31)【優先権主張番号】62/151,825
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バーティア, シドハース
(72)【発明者】
【氏名】パテル, アンジャナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】カジャ, アブドゥル アジズ
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−536306(JP,A)
【文献】 特開2011−192872(JP,A)
【文献】 特開昭63−244739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/302、21/3065、
21/31−21/32、21/365、21/461、
21/469−21/475、21/86、
H01J 37/30−37/36、
H05H 1/00− 1/54、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
終点検出の方法であって、
汚れていないチャンバ環境で第1のプラズマ洗浄処理を実行することと、
前記第1のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第1のエッチング速度を決定することと、
前記2以上の時間間隔によって定義された第1の傾きを決定することであって、前記第1の傾きが前記第1のエッチング速度を時間の関数として定義する、決定することと、
汚れたチャンバ環境で第2のプラズマ洗浄処理を実行することと、
前記第2のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第2のエッチング速度を決定することと、
前記2以上の時間間隔によって定義された第2の傾きを決定することであって、前記第2の傾きが前記第2のエッチング速度を時間の関数として定義する、決定することと、
洗浄終点時間を決定するために前記第1の傾きと前記第2の傾きとを比較することと
を含む方法。
【請求項2】
前記汚れていないチャンバ環境には材料が堆積していない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマ洗浄処理及び前記第2のプラズマ洗浄処理が、フッ素系化学物質、塩素系化学物質、酸素系化学物質、又はこれらの組み合わせ及び混合物を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプラズマ洗浄処理に対する前記2以上の間隔と前記第2のプラズマ洗浄処理に対する前記2以上の間隔とが同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記2以上の時間間隔が、終点時間範囲を定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記終点時間範囲が、前記第1の傾きと前記第2の傾きとを比較することによって決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の傾きと前記第2の傾きとが等しい点で前記終点時間範囲内に前記洗浄終点時間を決定すること
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記洗浄終点時間を決定した後に、総洗浄時間の5%未満の量の洗浄時間を前記洗浄終点時間に加えることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
終点検出の方法であって、
汚れていないチャンバ環境で第1のプラズマ洗浄処理を実行することと、
前記第1のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第1のエッチング速度を決定することと、
前記2以上の時間間隔によって定義された第1の傾きを決定することであって、前記第1の傾きが前記第1のエッチング速度を時間の関数として定義する、決定することと、
汚れたチャンバ環境で第2のプラズマ洗浄処理を実行することと、
前記第2のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第2のエッチング速度を決定することと、
前記2以上の時間間隔によって定義された第2の傾きを決定することであって、前記第2の傾きが前記第2のエッチング速度を時間の関数として定義する、決定することと、
前記2以上の時間間隔によって定義された終点時間範囲を決定することと、
前記第1の傾きと前記第2の傾きとが等しい点で洗浄終点時間を決定するために、前記終点時間範囲内の前記第1の傾きと前記第2の傾きとを比較することと
を含む方法。
【請求項10】
前記第1のプラズマ洗浄処理に対する前記2以上の間隔と前記第2のプラズマ洗浄処理に対する前記2以上の間隔とが同一である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
終点検出の方法であって、
汚れていないチャンバ環境で第1の洗浄処理を実行することと、
前記第1の洗浄処理に対する第1のエッチング速度を決定することと、
前記汚れていないチャンバ環境で第2の洗浄処理を実行することと、
前記第2の洗浄処理に対する第2のエッチング速度を決定することであって、前記第1のエッチング速度及び前記第2のエッチング速度が第1の傾きを定義する、決定することと、
汚れたチャンバ環境で第3の洗浄処理を実行することと、
前記第3の洗浄処理の第3のエッチング速度を決定することと、
前記汚れたチャンバ環境で第4の洗浄処理を実行することと、
前記第4の洗浄処理の第4のエッチング速度を決定することであって、前記第3のエッチング速度及び前記第4のエッチング速度が、第2の傾きを前記第1の傾きの2%以内に定義する、決定することと、
前記第1の傾きと前記第2の傾きとが等しい洗浄終点時間を決定することと
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の傾きが熱的に不安定な曲線の傾きである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の洗浄処理、前記第2の洗浄処理、前記第3の洗浄処理、及び前記第4の洗浄処理が、フッ素系化学物質、塩素系化学物質、酸素系化学物質、又はこれらの組み合わせ及び混合物を利用する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の傾きと前記第2の傾きとが等しい間隔にわたって前記第1の傾きと前記第2の傾きとを比較することによって、終点時間範囲を決定すること
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記洗浄終点時間を決定した後に、総洗浄時間の5%未満の量の洗浄時間を前記洗浄終点時間に加えることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、処理チャンバ洗浄終点を決定するための方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、チャンバ洗浄終点検出に対するインシトゥエッチング速度決定のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄時間は、半導体製造処理及び機器の生産性における重要な要素であることが多い。洗浄時間は、一般に、1つの製造機器の洗浄に要する時間の量を指す。洗浄処理は、製造設備の耐用年数を増加させるために周期的に実行されることが多い。洗浄処理はまた、製造機器内の準最適な処理環境の結果として、欠陥のあるマイクロデバイスを製造する可能性を低減する。したがって、機器洗浄に関連する洗浄時間は、粒子減少及びスループット効率に比較的大きな影響を及ぼす。
【0003】
不十分な洗浄時間は、製造機器内の反応生成物及び副生成物の望ましくない蓄積を引き起こし、装置の欠陥及び処理の流れを増やす可能性がある。代替的には、過剰な洗浄時間は、結果的に腐食性環境への長時間の曝露を生じさせ、製造機器の構成要素の早期劣化をもたらす可能性がある。加えて、過剰な洗浄時間は、一般にスループットに負の影響を与える。
【0004】
洗浄時間を決定するための現在の終点検出方法は、一般に、二次的ラジカル又はプラズマ信号をモニタすることを含む。従来の方法は、終点決定のための残留ガス分析(RGA)、発光分光法(OES)、非分散赤外分光法(NDIR)などの使用を含む。しかしながら、これらの方法は、準最適な計測条件の結果として、不正確な終点決定を提供することがある。例えば、RGAについての二次的プラズマ分離不足により、適切な終点を決定するのに正確でないデータが生じる可能性がある。別の例では、OESの検出位置におけるラジカル/プラズマの不足は、終点データに悪影響を及ぼすことがある。加えて、前述の分析を実行するために必要とされる器具は、非常に高価であり、終点検出を行うことが望ましいすべての種類の機器に適合しないことがある。
【0005】
したがって、本技術に必要とされるものは、終点検出のための改良された方法である。
【発明の概要】
【0006】
1つの実施形態では、終点検出の方法が提供される。方法は、汚れていないチャンバ環境で第1のプラズマ洗浄処理を実行することと、第1のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第1のエッチング速度を決定することとを含む。2以上の時間間隔によって定義された第1の傾きが決定され、第1の傾きが、第1のエッチング速度を時間の関数として定義し得る。第2のプラズマ洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され、第2のエッチング速度は、第2のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で決定され得る。2以上の時間間隔によって定義された第2の傾きが決定され、第2の傾きは、第2のエッチング速度を時間の関数として定義し得る。第1の傾き及び第2の傾きが、洗浄終点時間を決定するために比較され得る。
【0007】
別の実施形態では、終点検出の方法が提供される。方法は、汚れていないチャンバ環境で第1のプラズマ洗浄処理を実行することと、第1のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で第1のエッチング速度を決定することとを含む。2以上の時間間隔によって定義された第1の傾きが決定され、第1の傾きが、第1のエッチング速度を時間の関数として定義し得る。第2のプラズマ洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され、第2のエッチング速度は、第2のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔で決定され得る。2以上の時間間隔によって定義された第2の傾きが決定され、第2の傾きは、第2のエッチング速度を時間の関数として定義し得る。2以上の時間間隔によって定義された終点時間範囲が決定され、第1の傾きと第2の傾きとが実質的に等しい点で洗浄終点時間を決定するために、第1の傾き及び第2の傾きが終点時間範囲内で比較され得る。
【0008】
更に別の実施形態では、終点検出の方法が提供される。方法は、汚れていないチャンバ環境で第1の洗浄処理を実行することと、第1の洗浄処理に対する第1のエッチング速度を決定することとを含む。第2の洗浄処理は、洗浄処理環境で実行され、第2の洗浄処理に対する第2のエッチング速度が決定され得る。第1のエッチング速度及び第2のエッチング速度は、第1の傾きを定義し得る。第3の洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され、第3の洗浄処理の第3のエッチング速度が決定され得る。第4の洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され、第4の洗浄処理に対する第4のエッチング速度が決定され得る。第3のエッチング速度及び第4のエッチング速度は、傾きを第1の傾きの約2%以内に定義し得る。洗浄終点時間は、第1の傾きと第2の傾きとが実質的に等しい場合に決定され得る。
【0009】
本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で概説した本開示のより具体的な説明が実施形態を参照することにより得られ、それら実施形態の幾つかは添付図面に示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載の実施形態による洗浄処理終点時間を決定するための方法の工程を示す。
図2】本明細書に記載の実施形態による汚れていないチャンバ環境及び汚れたチャンバ環境で実行されるプラズマ処理のための洗浄時間の関数としてエッチング速度を図示するグラフを示す。
図3】方法の実施形態が本明細書に記載に実施形態にしたがってその内部で実施され得る処理システムを概略的に示す。
図4】本明細書に記載の実施形態による洗浄処理終点時間を決定するための方法の工程を示す。
図5】本明細書に記載の実施形態による汚れたチャンバ環境で実行されるプラズマ処理のための堆積時間又は堆積厚の関数としてエッチング速度を図示するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、洗浄終点を決定するための方法に関する。第1のプラズマ洗浄処理は、第1の傾きによって定義された洗浄時間関数を決定するために、汚れていないチャンバ環境で実行され得る。第2のプラズマ洗浄処理は、第2の傾きによって定義された洗浄時間関数を決定するために、汚れたチャンバ環境で実行され得る。第1及び第2の傾きが、洗浄終点時間を決定するために比較され得る。
【0013】
図1は、洗浄処理終点時間を決定するための方法100の工程を示す。工程110において、第1のプラズマ洗浄処理が、汚れていないチャンバ環境で実行され得る。汚れていないチャンバ環境は、本明細書に記載されるように、チャンバの処理空間内の様々な構成要素の上に実質的に材料が堆積していないチャンバ環境である。プラズマ洗浄処理は、インシトゥで生成されたプラズマを利用してもよく、又はプラズマが遠隔で生成されてもよい。誘導性結合、容量性結合などの適したプラズマ生成技術、又は熱的プラズマ生成技術が、洗浄プラズマを形成するために利用されてもよい。
【0014】
様々な洗浄化学物質が、洗浄プラズマを形成するために利用されてもよい。洗浄プラズマを形成するのに適した前駆体材料は、フッ素含有材料、塩素含有材料、酸素含有材料などを含む。チャンバ環境に堆積した材料と反応性がある洗浄プラズマ化学物質が選択され得ると考えられる。1つの実施形態では、第1のプラズマ洗浄処理中に、NFから形成されたフッ素ラジカルが利用され得る。工程110は、一般に、工程140のプラズマ洗浄処理などのプラズマ洗浄処理の後続の比較用のベースライン基準を定義するために実行される。以下に記載されるように、ベースライン基準が熱的に不安定であり得ることに留意すべきである。
【0015】
図2は、汚れていないチャンバ環境及び汚れたチャンバ環境で実行されるプラズマ処理のための洗浄時間の関数としてエッチング速度を図示するグラフ200を示す。曲線202は、汚れていないチャンバ環境における時間の関数としてのエッチング速度を表し、曲線204は、汚れたチャンバ環境における時間の関数としてのエッチング速度を表している。図示されるように、曲線202の傾きは、時間とともにわずかに増加し、その増加は、汚れていないチャンバ環境内の温度が上昇した結果として洗浄ラジカルが再結合したというよりむしろ、汚れていないチャンバ環境内の処理チャンバ構成要素の温度が上昇したことに起因し得ると考えられる。
【0016】
図1を再び参照すると、方法100は、第1のプラズマ洗浄処理中に2以上の時間間隔206、208(図2を参照)で第1のエッチング速度を決定することにより、工程120において継続する。2つの時間間隔が記載されているが、第1のエッチング速度を調査するために、より多くの時間間隔が選択されてもよいと考えられる。2以上の時間間隔206、208は、洗浄終点範囲210を定義し得る。第1のエッチング速度は、例えば、Å/秒などの特定の時間量以内に除去される材料の量を指す。図2に示されるように、第1のエッチング速度は、第1の時間間隔206及び第2の時間間隔208において決定され得る。1つの実施形態では、第1のエッチング速度は、第1の時間間隔206に対応し、第2のエッチング速度は、第2の時間間隔208に対応し得る。第1のエッチング速度は、主要な第1のプラズマ洗浄処理において決定され、第2のエッチング速度は、二次的な第1のプラズマ洗浄処理において決定され得る。
【0017】
工程130では、2以上の間隔206、208によって定義される曲線202の第1の傾きが決定され得る。第1の傾きは、洗浄終点範囲210内の曲線202上の点を選択することによって決定され、第1の傾きは、選択された点における接線となり得る。したがって、第1の傾きは、一般に、汚れていないチャンバ環境の第1のエッチング速度を時間の関数として定義する。
【0018】
工程140において、第2のプラズマ洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され得る。汚れたチャンバ環境は、汚れたチャンバ環境内の様々な構成要素の上に材料が堆積している点で、汚れていないチャンバ環境と異なる。1つの実施形態では、第2のプラズマ洗浄処理は、第1のプラズマ洗浄処理と類似していてもよい。したがって、同一又は類似の化学物質及び処理条件が、第1及び第2のプラズマ洗浄処理の両方で利用されてもよい。
【0019】
工程150において、2以上の時間間隔206、208における第2のエッチング速度が、第2のプラズマ洗浄処理中に決定され得る。曲線204は、汚れたチャンバ環境における時間の関数としての第2のエッチング速度を表す。一般に、工程120中に利用される時間間隔は、工程150中に利用される時間間隔と同一である。第1のエッチング速度と同様に、第2のエッチング速度は、例えば、Å/秒などの特定の時間量以内に除去される材料の量を指す。上述のように、第2のエッチング速度は、第1の時間間隔206及び第2の時間間隔208において決定され得る。1つの実施形態では、第2のエッチング速度は、熱的酸化物エッチング速度を表す。
【0020】
1つの実施形態では、第3のエッチング速度は、第1の時間間隔206に対応し、第4のエッチング速度は、第2の時間間隔208に対応し得る。第3のエッチング速度は、主要な第2のプラズマ洗浄処理(即ち、第3のプラズマ洗浄処理)において決定され、第2のエッチング速度は、二次的な第2のプラズマ洗浄処理(即ち、第4のプラズマ洗浄処理)において決定され得る。1つの実施形態では、第2のエッチング速度(即ち、第3及び第4のエッチング速度)は、例えば、エリプソメータのような光学計測機器などの適した計測機器によって決定され得る。
【0021】
工程160では、2以上の間隔206、208によって定義された第2の傾きが、曲線204に対して決定され得る。工程130における第1の傾き決定と同様に、第2の傾きは、洗浄終点範囲210内の曲線204上の点を選択することによって決定され、第2の傾きは、選択された点における接線となり得る。したがって、第2の傾きは、一般に、汚れたチャンバ環境の第2のエッチング速度を時間の関数として定義する。
【0022】
第2の曲線204は第1の曲線202に対して漸近的な関係を有し得ることに留意すべきである。洗浄終点範囲210内の第1の曲線202と第2の曲線204との間の差分212は、第1の曲線202の熱的不安定性によって引き起こされると考えられる。
【0023】
工程170において、第1の傾き及び第2の傾きは、洗浄終点時間を決定するために比較され得る。一般に、第1の傾き及び第2の傾きは、例えば約2%以内など、約5%未満ほど異なることがある。洗浄終点範囲210内の洗浄終点時間は、第1の傾き及び第2の傾きが実質的に等しいときに決定され得る。本明細書で利用されるように、実質的に等しい傾きとは、約2%しか異ならない第1の傾き及び第2の傾きを指す。
【0024】
オプションで、洗浄時間終点を決定した後に、完全な洗浄を保証するために、ある量の追加的洗浄時間が洗浄時間終点に加えられてもよい。1つの実施形態では、洗浄時間の追加的量は、総洗浄時間の約5%未満であり得る。
【0025】
図3は、方法100の実施形態が内部で実施され得る処理システム300を概略的に示す。本明細書に記載の方法100は、従来の終点検出処理に関連する外部機器を使用せずに、有利なインシトゥ洗浄終点決定を提供すると考えられる。処理システム300は、第1の処理チャンバ306及び第2の処理チャンバ308にそれぞれ連結されている第1の遠隔プラズマ源302及び第2の遠隔プラズマ源304を含む。第1及び第2の処理チャンバ306、308は、一般に、洗浄処理実行後にフォアライン310を介して排気される。
【0026】
図4は、洗浄処理終点時間を決定するための方法400の工程を示す。工程410において、プラズマ洗浄処理は、汚れたチャンバ環境で実行され得る。洗浄処理は、ある実施形態において、工程140に関して記載された処理と類似であり得る。工程420において、エッチング速度データを生成するために、エッチング速度が堆積時間又は堆積厚の関数として決定され得る。工程430において、エッチング速度データは、洗浄終点を示すグラフに表示されたデータの傾きにおける変曲点又は変化を決定するために分析され得る。したがって、エッチング速度データは、洗浄終点、及び/又は処理チャンバ又は処理チャンバ構成要素を十分に洗浄するために洗浄処理が実行される時間量を決定するために利用され得る。
【0027】
図5は、汚れたチャンバ環境で実行されるプラズマ処理のための堆積時間又は堆積厚の関数としてエッチング速度を図示するグラフ500を示す。グラフ500は、堆積時間又は堆積厚の関数としてのエッチング速度のデータ501を示す。データ501は、処理チャンバ環境から材料を能動的に除去するエッチング速度を表示する第1の傾き502を含む。データ501はまた、材料が能動的に除去されていない又は増加した速度で除去されていない場合に、エッチング速度を表示する第2の傾き506を含む。第2の傾き506は、汚れていないチャンバ環境と関連するエッチング速度を示すと考えられる。
【0028】
データ501の変曲点504は、傾き502、506が異なる場合の第1の傾き502と第2の傾き506との間の点に存在する。変曲点504は、チャンバ環境が十分に洗浄されているが過度に洗浄されていない場合に、洗浄終点を決定するために利用され得る。方法100と同様に、変曲点504の分析を介して洗浄時間終点を決定した後に、完全な洗浄を保証するために、ある量の追加的洗浄時間が洗浄時間終点に加えられてもよい。1つの実施形態では、洗浄時間の追加的量は、総洗浄時間の約5%未満であり得る。
【0029】
従来の終点検出方法は、一般に、フォアライン310で廃水を分析する。しかしながら、各チャンバ306、308内の洗浄エッチング速度が異なり、欠陥のある終点は、複数のチャンバからの単一の廃水流のモニタリング結果として示されることがある。本明細書に記載の方法は、チャンバ306、308の各々に適用され得、終点検出は、分離したチャンバ毎に個別化された終点検出の結果として改良され得ると考えられる。例えば、本開示に記載の方法は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.,から入手可能なPRODUCER(登録商標)などの様々な単一又は複数のチャンバ構造上で実施され得る。
【0030】
要するに、インシトゥの終点検出は、汚れていないチャンバ環境で第1のプラズマ洗浄処理を実行すること、及び汚れたチャンバ環境で第2のプラズマ洗浄処理を実行することによって、決定され得る。第1及び第2のプラズマ洗浄処理に対する洗浄時間関数が導き出され、関数の傾きが、適した洗浄終点を決定するために比較され得る。終点検出はまた、汚れていないチャンバ環境を示すエッチング速度データの変曲点を分析することによって決定されてもよい。本明細書に記載の方法を利用することによって、過度の洗浄によるチャンバ構成要素への損傷を防止しつつ、洗浄終点時間の精度及びスループットが向上し得ると考えられる。
【0031】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5