特許第6843485号(P6843485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843485多電極基板支持アセンブリ及び位相制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843485
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】多電極基板支持アセンブリ及び位相制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210308BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20210308BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20210308BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20210308BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/302 101B
   H01L21/302 101C
   H01L21/31 C
   H05H1/46 A
   H05H1/46 L
   C23C16/505
   C23C16/458
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-560986(P2017-560986)
(86)(22)【出願日】2016年4月19日
(65)【公表番号】特表2018-526811(P2018-526811A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016028311
(87)【国際公開番号】WO2016204860
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】14/742,142
(32)【優先日】2015年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー カーティク
(72)【発明者】
【氏名】レーン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウォング ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ラウフ シャヒド
(72)【発明者】
【氏名】ヌグエン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ ケネス エス
(72)【発明者】
【氏名】リンドリー ロジャー アラン
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−176860(JP,A)
【文献】 特開2007−266231(JP,A)
【文献】 特表2011−529273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/458
C23C 16/505
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
内部に埋設されたチャッキング電極を有する本体であって、チャッキング電極は、本体の基板支持面に隣接して配置された第1の高周波電極を含む本体と、
支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内に配置された第2の高周波電極と、
基板支持アセンブリに結合された電力印加システムとを含み、電力印加システムは、
第1の整合ネットワークを介して第1の高周波電極に結合された第1の高周波電源と、
第2の整合ネットワークを介して第2の高周波電極に結合された第2の高周波電源と、
整合回路と第1及び第2の高周波電極との間に結合されたセンサと、
センサ並びに第1の高周波電源及び第2の高周波電源の両方と通信するコントローラであって、チャンバ内のプラズマを調整するために、第1の高周波電源及び第2の高周波電源によって印加される電力の一方又は両方を調整するように構成されたコントローラとを含む基板支持アセンブリ。
【請求項2】
基板支持アセンブリであって、
内部に埋設されたチャッキング電極を有する本体であって、チャッキング電極は、本体の基板支持面に隣接して配置された第1の誘電体に埋め込まれた第1の高周波電極を含む本体と、
支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内に配置された第2の誘電体に埋め込まれた第2の高周波電極と、
基板支持アセンブリに結合された電力印加システムであって、
整合ネットワークを介して第1及び第2の高周波電極の両方に結合された単一の高周波電源と、
整合回路と第1及び第2の高周波電極との間に結合されたセンサとを含む電力印加システムと、
第1の誘電体と第2の誘電体との間に配置された金属接地板であって、第2の高周波電極を第1の高周波電極から電磁的に隔離するように構成された金属接地板と含む基板支持アセンブリ。
【請求項3】
第2の高周波電極は、第1の高周波電極の表面積よりも大きい表面積を含む、請求項1又は2記載の支持アセンブリ。
【請求項4】
第2の高周波電極は、第1の高周波電極の直径よりも大きい直径を含む、請求項1又は2記載の支持アセンブリ。
【請求項5】
高周波電源と第1の高周波電極及び第2の高周波電極の両方との間に結合された電力分割器を含む、請求項2記載の支持アセンブリ。
【請求項6】
チャンバ内のプラズマを調整する方法であって、
基板支持アセンブリの基板支持面に隣接する第1の電極に第1の高周波電力及び直流電力を供給するステップであって、第1の高周波電力は、第1の電源によって供給されるステップと、
支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内の第2の電極に第2の高周波電力を供給するステップであって、第2の高周波電力は、第2の電源によって供給されるステップと、
第1及び第2の高周波電力のパラメータをセンサによって監視するステップと、
監視されたパラメータに基づいて第1及び第2の高周波電力の一方又は両方を、センサ並びに第1の電源及び第2の電源の両方と通信するコントローラによって調整するステップとを含む方法。
【請求項7】
チャンバ内のプラズマを調整する方法であって、
基板支持アセンブリの基板支持面に隣接して配置された第1の誘電体に埋め込まれた第1の電極に第1の高周波電力及び直流電力を供給するステップと、
支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内に配置された第2の誘電体に埋め込まれた第2の電極に第2の高周波電力を供給するステップであって、
第1及び第2の高周波電力は、単一の電源によって供給され、
第2の電極は、第1の誘電体と第2の誘電体との間に配置された金属接地板によって第1の電極から電磁的に隔離されているステップと、
第1及び第2の高周波電力のパラメータを監視するステップと、
監視されたパラメータに基づいて第1及び第2の高周波電力の一方又は両方を調整するステップとを含む方法。
【請求項8】
第1及び第2の高周波電力は、単一の整合ネットワークによって分割される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
調整するステップは、第1及び第2の高周波電力の一方又は両方を位相シフトするステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
プラズマは、エッチングプロセス、堆積プロセス、又はストリッピングプロセスのために利用される、請求項6又は7記載の方法。
【請求項11】
第2の電極は、第1の電極の表面積よりも大きい表面積を含む、請求項6又は7記載の方法。
【請求項12】
第2の電極は、第1の電極の直径よりも大きい直径を含む、請求項6又は7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書に開示される実施形態は、概して、半導体製造に関し、より詳細には、基板支持アセンブリ及びそれを使用する方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
デバイスパターンのフィーチャサイズが小さくなるにつれて、これらのフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)要件は、安定した再現性のあるデバイス性能にとってより重要な基準となる。処理チャンバ内で処理される基板全域にわたる許容可能なCD変動は、チャンバの非対称性(例えば、チャンバ及び基板の温度、フローコンダクタンス、及びRFフィールド)のために達成することが困難である。
【0003】
現在の半導体製造業界では、トランジスタ構造は、(例えば、FinFet技術の開発に伴い)ますます複雑化し、困難になってきている。基板処理レベルでは、微細な局所的なプロセス調整ならびに基板全域にわたる全体的な処理調整を可能にするためのプロセス均一性制御の進歩が必要とされている。基板全域にわたるトランジスタ密度は半径の2乗に応じて増加するので、複数の材料界面及び/又は複数の幾何学的形状の存在に起因して電磁場及びプラズマ密度及び化学薬品が変化する基板エッジでプロセスを制御する能力が要求されている。
【0004】
したがって、プロセス調整を改善する態様を提供する改良された基板支持アセンブリが必要とされている。
【概要】
【0005】
本明細書で開示される実施形態は、プラズマチャンバ内のプラズマの調整を可能にする方法及び装置を提供する。一実施形態では、チャンバ内のプラズマを調整する方法が提供される。この方法は、基板支持アセンブリの基板支持面に隣接する第1の電極に第1の高周波電力及び直流電力を供給するステップと、支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内の第2の電極に第2の高周波電力を供給するステップと、第1及び第2の高周波電力のパラメータを監視するステップと、監視されたパラメータに基づいて第1及び第2の高周波電力の一方又は両方を調整するステップとを含む。
【0006】
別の一実施形態では、チャンバ内のプラズマを調整する方法が提供される。この方法は、基板支持アセンブリの基板支持面に隣接する第1の電極に第1の高周波電力及び直流電力を供給するステップと、支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内の第2の電極に第2の高周波電力を供給するステップと、第1及び第2の高周波電力のパラメータを監視するステップと、監視されたパラメータに基づいて第1及び第2の高周波電力の一方又は両方の位相をシフトさせるステップとを含む。
【0007】
別の一実施形態では、基板支持アセンブリが提供される。基板支持アセンブリは、内部に埋設されたチャッキング電極を有する本体を含み、チャッキング電極は、本体の基板支持面に隣接して配置された第1の高周波電極を含む。本体はまた、支持面からより遠い位置で基板支持アセンブリ内に配置された第2の高周波電極を含む。基板支持アセンブリはまた、基板支持アセンブリに結合された電力印加システムを含む。電力印加システムは、整合ネットワークを介して第1及び第2の高周波電極の一方又は両方に結合された高周波電源と、整合回路と第1及び第2の高周波電極との間に結合されたセンサとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、本明細書に開示される実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
図1】基板支持アセンブリの一実施形態を有する例示的なエッチング処理チャンバの断面概略図である。
図2】基板支持アセンブリ及び電力印加システムの別の一実施形態を有する処理チャンバの別の一実施形態の部分概略断面図である。
図3】基板支持アセンブリ及び電力印加システムの別の一実施形態を有する処理チャンバの別の一実施形態の部分概略断面図である。
図4】一実施形態に係る第1の波形及び第2の波形を示す例示的な位相図である。
【0009】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態に開示された要素を特定の説明なしに他の実施形態に有益に使用してもよいと理解される。
【詳細な説明】
【0010】
本明細書で開示される実施形態は、処理チャンバ内のプラズマの調整を可能にする基板支持アセンブリ及び電力印加システムを提供する。基板支持アセンブリは、電力印加システムに結合された複数の電極を含むことができ、チャンバ内のプラズマの位相制御を可能にする。位相制御を使用して、チャンバ内のプラズマ均一性及び/又はプラズマ分布を操作することができる。制御されたプラズマ分布を利用して、基板全域にわたって半径方向にプラズマ密度を調整することができる。例えば、プラズマを調整して、基板の中心での密度に対して基板のエッジでより大きな密度を有するプロファイル及びその逆のプロファイルを有することができる。基板支持アセンブリ及び電力印加システムは、エッチング処理チャンバにおいて以下に説明されるが、基板支持アセンブリ及び電力印加システムは、プラズマ処理チャンバの他のタイプ(とりわけ、物理蒸着チャンバ、化学蒸着チャンバ、イオン注入チャンバ、ストリッピングチャンバなど)ならびにプラズマプロファイルの調整が望ましい他のプラズマシステム内で利用することができる。
【0011】
図1は、基板支持アセンブリ101を有する例示的なエッチング処理チャンバ100の断面概略図である。上述したように、基板支持アセンブリ101は、他の処理チャンバ(例えば、とりわけ、プラズマ処理チャンバ、化学蒸着チャンバ、イオン注入チャンバ、ストリッピングチャンバ)ならびに基板の表面でプラズマプロファイルを制御する能力が望ましい他のシステム内で利用してもよい。
【0012】
処理チャンバ100は、接地されたチャンバ本体102を含む。チャンバ本体102は、内部容積124を囲む、壁104、底部106、及び蓋108を含む。基板支持アセンブリ101は、内部容積124内に配置され、処理中に上で基板134を支持する。処理チャンバ100の壁104は開口部(図示せず)を含み、それを通して基板134を内部容積124の内外へロボット搬送させることができる。ポンピングポート110が、チャンバ本体102の壁104又は底部106のうちの1つに形成され、ポンピングシステム(図示せず)に流体接続される。ポンピングシステムを利用して、処理副生成物を除去しながら、処理チャンバ100の内部容積124内の真空環境を維持する。
【0013】
ガスパネル112は、チャンバ本体102の蓋108又は壁104のうちの少なくとも1つを貫通して形成された1以上の入口ポート114を介して処理チャンバ100の内部容積124に処理ガス及び/又は他のガスを供給する。ガスパネル112によって供給される処理ガスは、内部容積124内で励起され、プラズマ112を形成する。プラズマ122を利用して、基板支持アセンブリ101上に配置された基板134を処理する。処理ガスは、チャンバ本体102の外部に位置するプラズマアプリケータ120から処理ガスに誘導結合されたRF電力によって励起させることができる。図1に示す例示的な実施形態では、プラズマアプリケータ120は、整合回路118を介してRF電源116に結合された一対の同軸コイルである。他の実施形態(図示せず)では、プラズマアプリケータは、容量結合プラズマシステムで使用することができる電極(例えば、シャワーヘッド)であってもよい。プラズマ122はまた、他の技術を利用して形成してもよい。
【0014】
基板支持アセンブリ101は、一般的に、少なくとも基板支持体132を含む。基板支持体132は、真空チャック、静電チャック、サセプタ、又は他の基板支持面とすることができる。図1の実施形態では、基板支持体132は静電チャックであり、以下、静電チャック126として説明する。
【0015】
基板支持アセンブリ101は、ヒータアセンブリ170を更に含むことができる。基板支持アセンブリ101はまた、冷却ベース130を含むことができる。あるいはまた、冷却ベース130は、基板支持アセンブリ101から離れていてもよい。基板支持アセンブリ101は、支持ペデスタル125に着脱可能に結合させることができる。ペデスタルベース128及びファシリティプレート180を含むことができる支持ペデスタル125は、チャンバ本体102に取り付けられる。ペデスタルベース128は、基板支持アセンブリ101の導電性部分をチャンバ本体102から電気的に絶縁する誘電体材料を含むことができる。支持アセンブリ101は、支持ペデスタル125から定期的に取り外すことができ、基板支持アセンブリ101の1以上のコンポーネントの再生(改修)を可能にする。
【0016】
基板支持アセンブリ101は、導電性材料のメッシュとすることができるチャッキング電極136を含む。静電チャック126は、取り付け面131と、取り付け面131とは反対側の基板支持面133とを有する。チャッキング電極136は、チャッキング電源138に結合され、チャッキング電源138は、通電されると基板134をワークピース支持面133に静電クランプする。静電チャック126は、一般的に、誘電パック又は誘電体150に埋設されたチャッキング電極136を含む。誘電体150、ならびに基板支持アセンブリ101及び支持ペデスタル125の他の部分は、絶縁リング143内に配置することができる。絶縁リング143は、誘電材料(例えば、石英又はプロセス適合性のある他の誘電材料)とすることができる。フォーカスリング145は、誘電体150の周辺部の周りに配置することができる。フォーカスリング145は、誘電体又は導電性材料とすることができ、基板134と同じ材料を含んでいてもよい。フォーカスリング145を利用して、プラズマ122の電磁場に対して基板134の表面を延ばすことができる。フォーカスリング145はまた、基板134のエッジでの電磁場の増大を最小にするとともに、この界面での材料の変化に起因する化学作用を最小限に抑えることができる。
【0017】
チャッキング電極136は、モノポーラ又はバイポーラ電極として構成することができる、又は別の適切な配置を有することができる。チャッキング電極136は、基板134を誘電体150の上面に静電的に固定する直流(DC)電力を供給するチャッキング電源138にRFフィルタ182を介して結合されている。RFフィルタ182は、処理チャンバ100内でプラズマ122を形成するために利用されるRF電力が、電気機器に損傷を与えること、又はチャンバの外部に電気的危険をもたらすことを防止する。誘電体150は、セラミックス材料(例えば、AlN又はAl2O3)から製造することができる。あるいはまた、誘電体150は、ポリマー(例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトンなど)から製造することができる。
【0018】
冷却ベース130を使用して、基板支持アセンブリ101の温度を制御する。冷却ベース130は、熱伝達流体源144に結合されてもよい。熱伝達流体源144は、冷却ベース130内に配置された1以上の導管160を通って循環される熱伝達流体(例えば、液体、気体、又はそれらの組み合わせ)を供給する。隣接する導管160を通って流れる流体は、静電チャック126と冷却ベース130の異なる領域との間の熱伝達の局所的制御を可能にするように分離させることができ、これは基板134の横方向の温度プロファイルを制御するのを助長する。基板支持アセンブリ101はまた、内部に封止された1以上の抵抗ヒータ(図示せず)を含むヒータアセンブリ170を含むことができる。ヒータアセンブリ170は、抵抗ヒータへの電力を制御するために使用することができるヒータ電源156に結合される。ヒータ電源156は、RFフィルタ184を介して結合されてもよい。RFフィルタ184は、ヒータ電源156をRFエネルギーから保護するために使用することができる。静電チャック126は、ヒータ電源156によって印加される電力を制御し、冷却ベース130の動作を制御するために、温度フィードバック情報をコントローラ148に提供するための1以上の温度センサ(図示せず)を含むことができる。
【0019】
静電チャック126の基板支持面133は、基板134と静電チャック126の基板面133との間に画定された間隙に裏面熱伝達ガスを供給するためのガス流路(図示せず)を含むことができる。静電チャック126はまた、基板134を静電チャック126の基板支持面133の上方に持ち上げて、処理チャンバ100の内外へのロボット搬送を促進するためのリフトピンを収容するためのリフトピン穴(両方とも図示せず)を含むことができる。
【0020】
電力印加システム135は、基板支持アセンブリ101に結合される。電力印加システム135は、チャッキング電源138、第1の高周波(RF)電源142、及び第2のRF電源178を含むことができる。電力印加システム135の実施形態は、コントローラ148と、コントローラ148と第1のRF電源142及び第2のRF電源178の両方と通信するセンサ装置181とを更に含むことができる。
【0021】
コントローラ148は、様々なサブプロセッサ及びサブコントローラを制御するための工業環境で使用可能な汎用データ処理システムの任意の形態の1つとすることができる。一般的に、コントローラ148は、他の共通コンポーネントの中でもとりわけ、メモリ174及び入出力(I/O)回路176と通信する中央処理装置(CPU)172を含む。コントローラ148のCPUによって実行されるソフトウェアコマンドは、処理チャンバに、例えば、エッチャントガス混合物(すなわち、処理ガス)を内部容積124に導入させる。コントローラ148はまた、プラズマアプリケータ120、第1のRF電源142、及び第2のRF電源178からのRF電力の印加による処理ガスからのプラズマ122を制御するために利用され、これによって基板134上の材料の層をエッチングすることができる。
【0022】
上述したように、基板支持アセンブリ101は、1つの態様で基板134をチャッキングするように機能するとともに第1のRF電極としても機能することができるチャッキング電極136を含む。ヒータアセンブリ170はまた、第2のRF電極154を含み、チャッキング電極136とともに、RF電力を印加してプラズマ122を調整することができる。第1のRF電源142は、第2のRF電極154に結合することができ、一方、第2のRF電源178は、チャッキング電極136に結合することができる。第1のRF電源142及び第2のRF電源178のそれぞれに、第1の整合ネットワーク151及び第2の整合ネットワーク152を設けることができる。第2のRF電極154は、図示のように導電性材料の中実金属板とすることができる。あるいはまた、第2のRF電極154は、導電性材料のメッシュであってもよい。
【0023】
第1のRF電源142及び第2のRF電源178は、同じ周波数又は異なる周波数で電力を生成することができる。いくつかの実施形態では、第1のRF電源142及び第2のRF電源178の一方又は両方が、13.56メガヘルツ(MHz)の周波数又は2MHzの周波数で電力を生成することができる。他の実施形態では、第1のRF電源142が13.56MHzの周波数で電力を生成することができ、第2のRF電源178が2MHzの周波数で電力を生成することができる、又はその逆とすることができる。第1のRF電源142及び第2のRF電源178の一方又は両方からのRF電力は、プラズマ122を調整させるために変えることができる。例えば、センサ装置181を使用して、第1のRF電源142及び第2のRF電源178の一方又は両方からのRFエネルギーを監視することができる。センサ装置181からのデータは、コントローラ148に伝達されることができ、コントローラ148を利用して、第1のRF電源142及び第2のRF電源178によって印加される電力を変えることができる。一実施形態では、第1のRF電源142及び第2のRF電源178の一方又は両方の位相角が監視され調整され、これによってプラズマ122を調整する。
【0024】
位相角を変えることによって、プラズマの均一性を調整することができる。位相角を変えることにより、チャッキング電極136及び第2のRF電極154全域にわたる電圧/電流分布が変化する。位相角を変えることによって、基板134全域にわたるプラズマの空間分布を調整することもできる。例えば、位相角は、エッチング速度が中心で速いか、又はエッジで速いか、又は平坦であるかにかかわらず、プロセスを微調整するために利用することができる。位相角を調整することはまた、処理結果に直接影響を与えるシースの動力学にも影響を与える可能性がある。チャッキング電極136は、第2のRF電極154に比べてプラズマ122及び基板134の表面により近いので、この態様によるプラズマの制御は極めて有効となる可能性がある。いくつかの実施形態では、電力印加システム135は、チャッキング電極136へのRF電力(例えば、周波数及び/又はワット数)の制御、第2のRF電極154へのRF電力(例えば、周波数及び/又はワット数)の制御、及びチャッキング電極136と第2のRF電極154との間の位相の制御を含む3つの制御モードを提供する。この制御スキームは、より大きなプロセス調整能力及び/又は効果的なエッジ制御の能力を提供する。増大したエッジ制御は、2つの同心電極のサイズ差及び/又はそれらに印加されるRF電力の位相制御によることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2のRF電極154の表面積は、チャッキング電極136の表面積より大きくすることができる。例えば、チャッキング電極136は、第1の寸法又は直径を含むことができ、一方、第2のRF電極154は、第1の直径よりも大きい第2の寸法又は直径を有する。一実施形態では、チャッキング電極136は、基板134の直径に実質的に等しい第1の直径を有する。第2のRF電極154は、第1の直径よりも大きい第2の直径を含むことができる。一実施形態では、第2のRF電極154は、チャッキング電極136の表面積よりも約50%大きい表面積を有することができる。他の実施形態では、第2のRF電極154は、チャッキング電極136の表面積よりも約70%〜約80%大きい表面積を有することができる。1以上の実施形態では、表面積の差を利用して、基板134の異なる位置で処理速度を制御することができる。例えば、第2のRF電極154に供給される電力が増加すると、基板134のエッジの処理速度が増加する。チャッキング電極136に供給される電力が増加すると、基板134の中央領域は、基板134のエッジにほとんど影響を与えずにより速い速度でエッチングすることができる。したがって、基板134全体の個別の領域に対する差動制御が達成される。
【0026】
図2は、基板支持アセンブリ101及び電力印加システム205を有する処理チャンバ200の別の一実施形態の部分概略断面図である。処理チャンバ200の下部のみが基板支持アセンブリ101として示されており、電力印加システム205は、多くのタイプの処理チャンバで利用することができる。例えば、処理チャンバ200の上部は、とりわけ、プラズマエッチング、化学蒸着、イオン注入、ストリッピング、物理蒸着、プラズマアニーリング、及びプラズマ処理のためのハードウェアと共に構成することができる。
【0027】
処理チャンバ200は、整合ネットワーク151を介して第1のRF電源142に結合された第2のRF電極154を有する基板支持アセンブリ101を含む。チャッキング電極136は、整合ネットワーク152を介して第2のRF電源178に結合される。第1のRF電源142、第1の整合ネットワーク151、及び第2のRF電極154は、電力印加システム205の第1のRFシステム210を含むことができる。同様に、第2のRF電源178、第2の整合ネットワーク152、及びチャッキング電極136は、電力印加システム205の第2のRFシステム215を含むことができる。
【0028】
電力印加システム205は、一実施形態では、第1のセンサ220及び第2のセンサ225を含むセンサ装置181を含む。第1のセンサ220及び第2のセンサ225の各々は、電圧及び電流センサ(例えば、V/Iセンサ)とすることができる。したがって、第1のRFシステム210及び第2のRFシステム215の各々の電圧及び電流は、本明細書に記載の実施形態に従って監視及び調整することができる。第1のセンサ220及び第2のセンサ225の各々からの信号は、コントローラ148に送信することができ、第1のRFシステム210及び第2のRFシステム215の各々に印加される電力を変更及び調整して、処理チャンバ200内のプラズマの分布及び/又は密度を制御することができる。
【0029】
図3は、基板支持アセンブリ101及び電力印加システム305を有する処理チャンバ300の別の一実施形態の部分概略断面図である。処理チャンバ300の下部のみが基板支持アセンブリ101として図示されており、電力印加システム305は、他の処理チャンバと共に利用することができる。例えば、処理チャンバ200の上部は、とりわけ、プラズマエッチング、化学蒸着、イオン注入、ストリッピング、物理蒸着、プラズマアニーリング、及びプラズマ処理のためのハードウェアと共に構成することができる。
【0030】
処理チャンバ300は、第1のRF電源142に結合されたチャッキング電極136を有する基板支持アセンブリ101を含む。しかしながら、この実施形態では、第2のRF電極310も第1のRF電源142に結合される。第2のRF電極310は、冷却ベース130と静電チャック126の誘電体150との間に位置するセラミックスプレート315内に配置することができる。第2のRF電極310は、金属接地板320によってチャッキング電極136から分離することができる。金属接地板320は、セラミックスプレート315と誘電体150との間に配置することができる。金属接地板320を利用して、チャッキング電極136から第2のRF電極310を電磁的に隔離する。第2のRF電極310は、導電性メッシュ325とすることができる。あるいはまた、第2のRF電極310は、導電性材料からなる中実プレートであってもよい。金属接地板320は、接地電位に結合されたアルミニウム板であってもよい。
【0031】
第1のRF電源142は、チャッキング電極136と第2のRF電極310の両方に操作可能に結合される。単一の整合ネットワーク330が、第1のRF電源142と、チャッキング電極136及び第2のRF電極310の各々との間に配置される。したがって、第1のRFシステム335及び第2のRFシステム340が提供され、各々のシステムのチャッキング電極136及び第2のRF電極310は、第1のRF電源142及び整合ネットワーク330を共有する。センサ装置181は、他の実施形態と同様に、第1のセンサ220及び第2のセンサ225を含むが、センサ装置181は、オプションであってもよく、又は初期の及び/又は定期的な較正のためにのみ利用されてもよい。コントローラ345及び位相シフタ350の一方又は両方もまた、第1のRFシステム335及び第2のRFシステム340の各々に含まれてもよい。例えば、位相シフタ350を利用して、センサ装置181からのフィードバックに基づいて位相角を制御してもよく、これは電力印加システム305の動作を制御するために利用されるコントローラ345の必要性を無くすことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、整合ネットワーク330は、第1のRF電源142からチャッキング電極136及び第2のRF電極310の各々への電力を変える電力分割器として利用することができる。1つのRF発生器を電力分割回路360及び位相制御/遅延回路(例えば、位相シフタ350)と共に利用して、複数の電極駆動を実施することは、所有コストを低減することができる。他の実施形態では、整合ネットワーク330の回路は、2つの機能を果たす。第1の機能は、インピーダンス整合とすることができ、一方、第2の機能は、チャッキング電極136と第2のRF電極310との間の電力分割とすることができる。電力分割の方法は、チャッキング電極136又は第2のRF電極310のいずれかに結合された可変インピーダンス回路355を介して制御可能とすることができる。可変インピーダンス回路355を利用して、チャッキング電極136及び第2のRF電極310の相対インピーダンスを変えることができる。いくつかの実施形態では、チャッキング電極136及び第2のRF電極310の相対インピーダンスを変化させることによって、チャッキング電極136と第2のRF電極310との間の電力分配が変化する。第2のRF電極310とチャッキング電極136との間の電力分配を変化させることを利用して、プラズマを調整することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、分割及び整合後の第1のRF電源142からのRF信号の位相は、第1のセンサ220及び第2のセンサ225によって検出される。信号は、コントローラ345に送信することができる。コントローラ345を利用して、位相シフタ350を制御して、チャッキング電極136と第2のRF電極310との間の位相差を制御することができる。位相シフタ345は、位相遅延回路又はより高度な装置(例えば、高RF電力ベクトル変調器)とすることができる。この実施形態では、2つのRFホットの電極、チャッキング電極136、及び第2のRF電極310は、互いに電気的に分離されている。チャッキング電極136又は第2のRF電極310の結合分離(デカップリング)は、複数のRF発生器間のクロストークが低減されるので、より容易な位相及び/又は電力制御を生成することができる。結合分離はまた、より敏感な及び/又はより効果的なエッジ調整を提供することができる。より大きな電極は、基板134の中心領域に与える影響をより小さくできるので、改善されたエッジ調整は、第2のRF電極310及びチャッキング電極136の相対的なサイズに起因することができる。更に、結合分離はまた、位相角操作レジームを増加させることができる。更に、システム全体が同じ規格に従って製造される場合、第1のセンサ220及び第2のセンサ225は、初期較正の後にチャンバに必要でないかもしれない。
【0034】
図4は、第1の波形405及び第2の波形410を示す例示的な位相図400である。第1の波形405は、第1のRFシステム210(図2)又は335(図3)からのRF信号を示すことができ、第2の波形410は、第2のRFシステム215(図2)又は340(図3)からのRF信号を示すことができる。第1の波形405及び第2の波形410は、整合ネットワークの下流の第1のセンサ220及び第2のセンサ225(図2又は図3)によって測定することができる。この例では、第1の波形405及び第2の波形410が同じ周波数及び振幅を有するものとして図示されているが、第1の波形405及び第2の波形410は、異なる周波数及び/又は振幅を有してもよい。
【0035】
第1の波形405と第2の波形410との間の位相差θは、プラズマの所望の特性に基づいて要望通りに変えることができる。位相角は、約0度〜約360度の間で変えることができる。第1の波形405及び第2の波形410は、プラズマの所望の特性に基づいて建設的又は破壊的とすることができる。
【0036】
RF位相差及び/又は位相角の制御は、微細なプロセス調整のための強力なノブを提供する。例えば、RF位相差及び/又は位相角の制御を利用して、平均エッチング速度、エッチング速度の均一性、エッチング速度のスキュー、クリティカルディメンジョン(CD)の均一性、CDのスキュー、CDの範囲、及びプラズマ均一性及び/又はプラズマ密度のうちの1以上を制御することができる。
【0037】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
図1
図2
図3
図4