特許第6844962号(P6844962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6844962積層体、その製造方法、電子部品の製造方法、及び積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844962
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】積層体、その製造方法、電子部品の製造方法、及び積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/06 20190101AFI20210308BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20210308BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20210308BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20210308BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210308BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B32B7/06
   G02B5/00 Z
   B32B27/18 Z
   C09J7/00
   C09J11/06
   C09J201/00
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-131660(P2016-131660)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-1604(P2018-1604A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−191553(JP,A)
【文献】 特開2015−224316(JP,A)
【文献】 特開2003−119434(JP,A)
【文献】 特開2011−076767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C09J 1/00−201/10
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体であって、
前記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、前記支持体と前記基板との間に設けられており、前記支持体と前記基板とを接着し、
前記光重合開始剤はオキシム系光重合開始剤であり、
前記分離層と前記基板とは接触しており、
前記分離層と前記基板との界面において、前記分離層の表面粗さSaは100Å以上であり、
前記支持体に対する前記分離層の接着性は、前記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する積層体。
【請求項2】
光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体であって、
前記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、前記支持体と前記基板との間に設けられており、前記支持体と前記基板とを接着し、
前記光重合開始剤はオキシム系光重合開始剤であり、
前記分離層と前記基板との界面において、前記分離層の表面粗さSaは100Å以上であり、
前記支持体に対する前記分離層の接着性は、前記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する積層体。
【請求項3】
前記感光性組成物は、更に、樹脂と、光重合性モノマーと、光吸収剤とを含有する請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
光重合開始剤を含有する感光性組成物からなる塗膜を光透過性支持体上に形成することと、
前記塗膜に、前記光重合開始剤を分解する光を照射した後、前記塗膜を加熱により硬化させて、表面粗さSaが100Å以上である分離層を形成することと、
前記分離層上に基板を積層することとを含む、積層体の製造方法。
【請求項5】
前記光重合開始剤はオキシム系光重合開始剤である請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱の温度が前記感光性組成物の硬化温度以上である請求項又はに記載の方法。
【請求項7】
前記感光性組成物は、更に、樹脂と、光重合性モノマーと、光吸収剤とを含有する請求項からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記感光性組成物において、前記光吸収剤の含有量が50質量%以下である請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記光吸収剤は、カーボンブラック、又は吸収波長の異なる2種以上の顔料の組み合わせである請求項又はに記載の方法。
【請求項10】
前記塗膜の厚さが1.0μm以上である請求項からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1からのいずれか1項に記載の積層体中の基板上に電子素子を実装することと、
前記素子が実装された前記積層体中の前記分離層に、前記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光を照射して、前記支持体に対する前記分離層の接着性を低下させることと、
前記素子が実装された前記積層体から前記支持体を分離することとを含む、電子部品の製造方法。
【請求項12】
光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体において、前記分離層と前記基板との接着性を向上させる方法であって、
前記分離層と前記基板との界面において、前記分離層の表面粗さSaを調整することを含み、
前記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、前記支持体と前記基板との間に設けられており、前記支持体と前記基板とを接着し、
前記光重合開始剤はオキシム系光重合開始剤であり、
前記分離層と前記基板とは接触しており、
前記支持体に対する前記分離層の接着性は、前記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する方法。
【請求項13】
光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体において、前記分離層と前記基板との接着性を向上させる方法であって、
前記分離層と前記基板との界面において、前記分離層の表面粗さSaを調整することを含み、
前記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、前記支持体と前記基板との間に設けられており、前記支持体と前記基板とを接着し、
前記光重合開始剤はオキシム系光重合開始剤であり、
前記支持体に対する前記分離層の接着性は、前記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、その製造方法、上記積層体を用いた電子部品の製造方法、及び積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子(電子部品)を含む半導体パッケージ(半導体装置)としては、WLP(Wafer Level Package)等が知られている。WLP及びPLP等の半導体パッケージには、ベアチップの端部にある端子をチップエリア内に再配置する、ファンイン型WLP(Fan−in Wafer Level Package)等のファンイン型技術と、チップエリア外に端子を再配置する、ファンアウト型WLP(Fan−out Wafer Level Package)等のファンアウト型技術とが知られている。特に、ファンアウト型技術は、パネル上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型PLP(Fan−out Panel Level Package)に応用されており、半導体装置の集積化、薄型化及び小型化等を実現するため、これらのようなファンアウト型技術が注目を集めている。
【0003】
ファンアウト型技術を含む半導体封止技術により電子部品等の封止体を形成するために、積層体が用いられている。例えば、特許文献1には、被研削基材と、上記被研削基材と接している接合層と、光吸収剤及び熱分解性樹脂を含む光熱変換層と、光透過性支持体と、を含み、但し、上記光熱変換層は、上記接合層とは反対側の上記被研削基材の表面を研削した後に、放射エネルギーが照射されたときに分解して、研削後の基材と上記光透過性支持体とを分離するものである、積層体が記載されている。このような積層体において、接合層は接着層ともいい、光熱変換層は分離層ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−64040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の積層体においては、分離層自体の接着性が不足していることから、電子素子等を実装するための基板と分離層とを確実に接着するためには、別途、接着層を設ける必要があった。その結果、分離層及び接着層の各々を個別に形成しなければならず、積層体の量産において、大きな負荷となっている。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、接着層としての機能を兼備する分離層を備える積層体、その製造方法、上記積層体を用いた電子部品の製造方法、及び積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、分離層と基板との界面において、分離層の表面粗さSaを100Å以上に調整することにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の第一の態様は、光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体であって、
上記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、上記支持体と上記基板との間に設けられており、上記支持体と上記基板とを接着し、
上記分離層と上記基板との界面において、上記分離層の表面粗さSaは100Å以上であり、
上記支持体に対する上記分離層の接着性は、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する積層体である。
【0009】
本発明の第二の態様は、光重合開始剤を含有する感光性組成物からなる塗膜を光透過性支持体上に形成することと、
上記塗膜に、上記光重合開始剤を分解する光を照射した後、上記塗膜を加熱により硬化させて、表面粗さSaが100Å以上である分離層を形成することと、
上記分離層上に基板を積層することとを含む、積層体の製造方法である。
【0010】
本発明の第三の態様は、上記積層体中の基板上に電子素子を実装することと、
上記素子が実装された上記積層体中の上記分離層に、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光を照射して、上記支持体に対する上記分離層の接着性を低下させることと、
上記素子が実装された上記積層体から上記支持体を分離することとを含む、電子部品の製造方法である。
【0011】
本発明の第四の態様は、光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体において、上記分離層と上記基板との接着性を向上させる方法であって、
上記分離層と上記基板との界面において、上記分離層の表面粗さSaを調整することを含み、
上記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、上記支持体と上記基板との間に設けられており、上記支持体と上記基板とを接着し、
上記支持体に対する上記分離層の接着性は、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接着層としての機能を兼備する分離層を備える積層体、その製造方法、上記積層体を用いた電子部品の製造方法、及び積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法を提供することができる。上記積層体では、分離層と基板との間に接着層を設けなくても、分離層と基板との接着性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪積層体≫
本発明に係る積層体は、光透過性支持体と、分離層と、基板とを備え、
上記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、上記支持体と上記基板との間に設けられており、上記支持体と上記基板とを接着し、
上記分離層と上記基板との界面において、上記分離層の表面粗さSaは100Å以上であり、
上記支持体に対する上記分離層の接着性は、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する。
【0014】
本発明に係る積層体は、上記基板を上記光透過性支持体に仮止めした積層体として用いるのであれば、具体的な用途は特に限定されない。具体的には、例えば、ウェハサポートシステムにおいて利用される、半導体ウェハ(上記基板)をサポートプレート(上記光透過性支持体)に対して仮止めした積層体が挙げられる。
【0015】
<光透過性支持体>
本発明で用いる支持体は光透過性を有している。これは、積層体の外側から光を照射したときに、当該光が支持体を通過して上記分離層に到達することを目的としている。したがって、支持体は、必ずしも全ての光を透過させる必要はなく、分離層に吸収されるべき(所望の波長を有している)光を透過させることができればよい。
【0016】
また、本発明に係る積層体において、支持体は、基板を支持するための構成である。よって、支持体は、基板を加工及び搬送する等の場合に、基板の破損又は変形等を防ぐために必要な強度を有していればよい。
【0017】
以上のような観点から、光透過性支持体としてはガラス板、アクリル板等が挙げられ、上述の目的を果たし得る構成であれば、光透過性支持体として採用し得る。
【0018】
<基板>
本発明で用いる基板は、特に限定されず、無機材料層であっても有機材料層であってもよい。無機材料層としては、例えば、シリコンウェハ等の半導体ウェハ、ガラス基板等が挙げられる。有機材料層としては、例えば、フレキシブル基板、モールド材等として用いられているものが挙げられる。有機材料層に含まれる有機物としては、例えば、ポリエステル(例えば、PET、ポリエチレンナフタレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度又は低密度のポリエチレン等が挙げられる。
【0019】
<分離層>
本発明で用いる分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、より具体的には、上記感光性組成物は、更に、樹脂と、光重合性モノマーと、光吸収剤とを含有する。以下、上記感光性組成物に含まれる各成分について説明する。
【0020】
[光重合開始剤]
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエ−テル類;チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン等の硫黄化合物;2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体等のイミダゾリル化合物;p−メトキシトリアジン等のトリアジン化合物;2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアミノケトン化合物;オキシムエステル化合物(例えば、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム))等のオキシム系光重合開始剤;等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、感光性組成物の感度を十分に保つ観点から、オキシム系光重合開始剤が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。このようなオキシムエステル化合物としては、下記式(C−1)で表されるものが好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
上記式(C−1)中、Rc1は、−NO又は−CORc5を示す。また、Rc5は、置換基を有していてもよい、複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基を示す。Rc2〜Rc4はそれぞれ独立に一価の有機基を示す。
【0024】
c5で表される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。この中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0025】
c5で示される縮合環式芳香族基としては、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。また、Rc1で示される芳香族基としては、フェニル基が挙げられる。
【0026】
複素環基、縮合環式芳香族基、又は芳香族基は、置換基を有していてもよい。特にRc5が芳香族基である場合には、置換基を有していることが好ましい。このような置換基としては、−NO、−CN、−SOc6、−CORc6、−NRc7c8、−Rc9、−ORc9、−O−Rc10−O−Rc11等が挙げられる。
【0027】
c6は、それぞれ独立にアルキル基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。Rc6におけるアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0028】
c7、Rc8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアルコキシ基のアルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、又はエステル結合により中断されていてもよい。また、Rc7とRc8とが結合して環構造を形成していてもよい。Rc7、Rc8におけるアルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0029】
c7とRc8とが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。これらの中でも、モルホリン環が好ましい。
【0030】
c9は、水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。Rc9におけるアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0031】
c10、Rc11は、それぞれ独立にアルキル基を表し、これらはハロゲン原子で置換されていてもよく、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。好ましい炭素数やその具体例は、上記Rc6の説明と同様である。
【0032】
これらの中でも、Rc5としては、ピロリル基、ピリジル基、チエニル基、チオピラリル基、ベンゾチエニル基、ナフチル基、置換基を有するフェニル基が好ましい例として挙げられる。
【0033】
上記式(C−1)中、Rc2は、一価の有機基を示す。この有機基としては、−Rc12、−ORc12、−CORc12、−SRc12、−NRc12c13で表される基が好ましい。Rc12、Rc13は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。また、Rc12とRc13とが結合して窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。
【0034】
c12、Rc13で示されるアルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜5のものがより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピロキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられる。
【0035】
c12、Rc13で示されるアルケニル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜5のものがより好ましい。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エテニル基、プロピニル基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。また、このアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基を有するものの例としては、2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)エテニル基等が挙げられる。
【0036】
c12、Rc13で示されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、炭素数6〜10のものがより好ましい。アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【0037】
c12、Rc13で示されるアラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、炭素数7〜12のものがより好ましい。アラルキル基の例としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、フェニルエテニル基等が挙げられる。
【0038】
c12、Rc13で示される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられる。この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。複素環基の例としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
【0039】
これらのRc12、Rc13のうち、アルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
【0040】
また、Rc12とRc13とが結合して形成し得る環構造としては、複素環が挙げられる。この複素環としては、少なくとも窒素原子を含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環が挙げられる。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。複素環の例としては、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、Rc2としては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基であることが最も好ましい。
【0042】
上記式(C−1)中、Rc3は、一価の有機基を示す。この有機基としては、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、下記式(C−2)で表される基、又は置換基を有していてもよい複素環基が好ましい。置換基としては、上記Rc5の場合と同様の基が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【化2】
【0043】
上記式(C−2)中、Rc14は、酸素原子で中断されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基を示す。このようなアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、sec−ペンチレン基等の直鎖状又は分枝鎖状の基が挙げられる。これらの中でも、Rc14はイソプロピレン基であることが最も好ましい。
【0044】
上記式(C−2)中、Rc15は、−NRc16c17で表される一価の有機基を示す(Rc16、Rc17は、それぞれ独立に一価の有機基を示す)。そのような有機基の中でも、Rc15の構造が下記式(C−3)で表されるものであれば、光重合開始剤の溶解性を向上することができる点で好ましい。
【化3】
【0045】
上記式(C−3)中、Rc18、Rc19は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rc18、Rc19はメチル基であることが最も好ましい。
【0046】
c3で示される複素環基としては、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つの原子を含む5員環以上、好ましくは5員環又は6員環の複素環基が挙げられる。複素環基の例としては、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の含窒素5員環基;ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基等の含窒素6員環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素含硫黄基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基等の含窒素含酸素基;チエニル基、チオピラニル基等の含硫黄基;フリル基、ピラニル基等の含酸素基;等が挙げられる。これらの中でも、窒素原子又は硫黄原子を1つ含むものが好ましい。この複素環には縮合環が含まれていてもよい。縮合環が含まれる複素環基の例としてはベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0047】
また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記Rc5の場合と同様の基が挙げられる。
【0048】
上記式(C−1)中、Rc4は、一価の有機基を示す。この中でも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、Rc4はメチル基であることが最も好ましい。
【0049】
光重合開始剤の含有量は、本発明で用いる感光性組成物の固形分に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得るとともに、硬化不良を抑制することができる。
【0050】
[樹脂]
本発明で用いる感光性組成物は、樹脂を含有する。樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
樹脂としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート、エチレン、スチレン等のモノマーが単独で重合して得られる単独重合体;上記モノマーの2種以上が共重合して得られる共重合体;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。更に、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂も好適に用いることができる。
【0052】
また、他の樹脂としては、エポキシ化合物と不飽和基含有カルボン酸化合物との反応物を、更に多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂も好適に用いることができる。その中でも、それ自体の硬化性が高い点で、下記式(A−7)で表される樹脂が好ましい。
【化4】
【0053】
上記式(A−7)中、Xは、下記式(A−8)で表される基を示す。
【化5】
【0054】
上記式(A−8)中、Ra3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra4は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wは、単結合又は下記式(A−9)で表される基を示す。
【化6】
【0055】
また、上記式(A−7)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0056】
また、上記式(A−7)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(A−7)中、mは、0〜20の整数を示す。
【0057】
上記式(A−7)で表される樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜110mgKOH/gであることがより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、十分な現像性が得られる。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができる。
【0058】
また、上記式(A−7)で表される樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、耐熱性、膜強度を向上させることができる。また、質量平均分子量を40000以下とすることにより、現像液に対する十分な溶解性を得ることができる。なお、本明細書において、質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定された標準ポリスチレン換算のものをいう。
【0059】
上記式(A−7)で表される樹脂を、上述の単独重合体及び/又は共重合体と併用してもよい。上記単独重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。上記共重合体としては、例えば、スチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体等が挙げられる。
【0060】
樹脂の含有量は、感度、現像性、耐薬品性、耐候性等の観点から、本発明で用いる感光性組成物の固形分に対して20〜70質量%であることが好ましく、35〜50質量%であることがより好ましい。
【0061】
[光重合性モノマー]
光重合性モノマーとしては、特に限定されず、従来公知の単官能モノマーや多官能モノマーを用いることができる。光重合性モノマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0063】
一方、上記多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0064】
光重合性モノマーの含有量は、樹脂に対して、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、効果的に硬化性を向上させることができる。
【0065】
[光吸収剤]
光吸収剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラックや、吸収波長の異なる2種以上の顔料の組み合わせ等が挙げられる。カーボンブラックを用いることで、高い効率で光を吸収することができる。また、吸収波長の異なる2種以上の顔料の組み合わせを用いることで、広い範囲の波長を吸収することができる。光吸収剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0066】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができ、チャンネルブラックやファーネスブラックを用いることが好ましい。
【0067】
吸収波長の異なる2種以上の顔料の組み合わせに用いる顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものや、後述する黒色顔料が挙げられる。これらの顔料は、吸収波長の異なる2種以上である限り、いかなる組み合わせであってもよい。
【0068】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0069】
黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀、錫等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属合金又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。
【0070】
光吸収剤の含有量は、得られる分離層の表面粗さSa、分離層と基板との接着性等の観点から、本発明で用いる感光性組成物の固形分に対して、50質量%以下であることが好ましく、5〜48質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることが更により好ましい。
【0071】
[有機溶剤]
本発明で用いる感光性組成物は、希釈のための有機溶剤を含有することが好ましい。この有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0072】
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤に対して優れた溶解性を示すとともに、黒色顔料等の不溶性成分の分散性を良好にすることができるため好ましい。
【0073】
(S)成分の含有量は、本発明で用いる感光性組成物の固形分濃度が5〜30質量%となる量が好ましく、15〜25質量%となる量がより好ましい。
【0074】
[その他の成分]
本発明で用いる感光性組成物は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、架橋剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0075】
[感光性組成物の調製方法]
本発明で用いる感光性組成物は、上記各成分を全て撹拌機で混合することにより得られる。なお、得られた組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタを用いて濾過してもよい。
【0076】
分離層と基板との界面において、分離層の表面粗さSaは、100Å以上であり、好ましくは100〜500Åであり、より好ましくは200〜400Åである。上記Saが100Å以上であると、分離層と基板との接着性が向上しやすい。結果を表2に示す。なお、本明細書において、表面粗さSaとは、ISO25178に準拠して測定される。
【0077】
支持体に対する分離層の接着性は、光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する。これにより、積層体を作成する際、光重合開始剤を分解するために光照射を行ったときは、支持体に対する分離層の接着性が確保され、その後、所望の時点で、光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射を行うことで、支持体に対する分離層の接着性を低下させ、分離層を有する構造体、例えば、電子素子が基板上に実装された積層体から支持体を分離することができる。
【0078】
≪積層体の製造方法≫
本発明に係る、積層体の製造方法は、光重合開始剤を含有する感光性組成物からなる塗膜を光透過性支持体上に形成すること(以下、「塗膜形成工程」ともいう。)と、
上記塗膜に、上記光重合開始剤を分解する光を照射した後、上記塗膜を加熱により硬化させて、表面粗さSaが100Å以上である分離層を形成すること(以下、「分離層形成工程」ともいう。)と、
上記分離層上に基板を積層すること(以下、「基板積層工程」ともいう。)とを含む。積層体の製造方法における感光性組成物としては、分離層について上述した上記感光性組成物を用いることができる。
【0079】
塗膜形成工程において、上記塗膜は、例えば、有機溶剤を含有する上記感光性組成物を光透過性支持体上にスピン塗布する方法等により形成することができる。その際、適宜、有機溶剤を蒸発させて、塗膜を乾燥させてもよい。
【0080】
分離層形成工程においては、光重合開始剤の感度、加熱の温度、塗膜の厚さ等を調整することにより、表面粗さSaが100Å以上である分離層を形成することができる。その観点から、光重合開始剤は、好ましくはオキシム系光重合開始剤であり、露光量は、感光性組成物の組成によっても異なり、好ましくは20〜300mJ/cm程度、より好ましくは50〜250mJ/cm程度である。同様の観点から、加熱の温度は、好ましくは感光性組成物の硬化温度以上、具体的には190℃以上であり、塗膜の厚さは、好ましくは1.0μm以上(例えば、1.0〜2.0μm)である。加熱の温度の上限としては、特に限定されず、例えば、350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下である。
【0081】
上記塗膜は、光吸収剤を含有するため、上記の通りに光を照射した場合に、塗膜表面近傍にしか光が届かず、光硬化する領域は、塗膜表面近傍に限られる。その後、上記塗膜を加熱すると、未硬化の塗膜内部において生じた熱対流の影響で、塗膜表面近傍において光硬化した領域に凹凸が生じ、その結果、表面粗さSaが100Å以上になると推測される。なお、上述の熱対流が生じやすいため、塗膜の厚さは1.0μm以上であることが好ましいと推測される。
【0082】
基板積層工程においては、分離層に基板を接触させ、適宜、加圧することにより、分離層上に基板を積層する。このとき、基板との界面における分離層の表面粗さSaは100Å以上であるため、分離層と基板との接着性は優れたものとなりやすい。
【0083】
≪電子部品の製造方法≫
本発明に係る、電子部品の製造方法は、上記積層体中の基板上に電子素子を実装することと、
上記素子が実装された上記積層体中の上記分離層に、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光を照射して、上記支持体に対する上記分離層の接着性を低下させることと、
上記素子が実装された上記積層体から上記支持体を分離することとを含む。この方法では、電子部品に適した材料により形成した基板を含む積層体を用いることによって、より容易に電子部品を製造することができる。
【0084】
即ち、基板上に電子素子を実装するプロセス中は、基板が光透過性支持体に強固に接着されているので、基板の処理及び搬送が容易である。一方で、プロセス後には、基板と光透過性支持体とを容易に分離することができる。したがって、基板上に実装した電子素子を破損させることなく、容易に電子部品を製造することができる。電子素子としては、トランジスター、ダイオード、IC、LSI、CPU等の半導体素子、その他の素子等が挙げられる。
【0085】
≪積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法≫
本発明に係る、積層体において分離層と基板との接着性を向上させる方法は、光透過性支持体と、分離層と、基板とを備える積層体において、上記分離層と上記基板との接着性を向上させる方法であって、
上記分離層と上記基板との界面において、上記分離層の表面粗さSaを調整することを含み、
上記分離層は、光重合開始剤を含有する感光性組成物の硬化物からなり、上記支持体と上記基板との間に設けられており、上記支持体と上記基板とを接着し、
上記支持体に対する上記分離層の接着性は、上記光重合開始剤を分解する光の波長とは異なる波長を有する光の照射により低下する方法である。
【0086】
上述の通り、本発明は、分離層の表面粗さSaと、分離層・基板間の接着性とが関係を有するとの知見を得てなされたものである。この知見に基づき、本方法においては、上記Saを調整することにより、積層体において分離層と基板との接着性を向上させることができる。なお、上記Saは、例えば、上述の通り、分離層を形成する際に、光重合開始剤の感度、加熱の温度、塗膜の厚さ等を調整することにより調整することができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において「部」、「%」はそれぞれ質量基準である。
【0088】
<合成例1>
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(A−10)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【化7】
【0089】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂A1を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
この樹脂A1は、上記式(A−7)で表される樹脂に相当する。
【0090】
<実施例1〜3及び比較例1〜5>
表1に示す量で、下記に示す溶剤以外の成分を当該溶剤に溶解し、撹拌機で2時間混合した後、孔径5μmのメンブランフィルタで濾過し、固形分濃度20質量%の感光性組成物を調製した。
・カーボンブラック(御国色素社製)
・樹脂混合物(樹脂A1/樹脂A2=9/1(質量比)の混合物)
合成例1で得られた樹脂A1
スチレン/メタクリル酸=80/20(質量比)の共重合体(樹脂A2、質量平均分子量13000)
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
・高感度光重合開始剤
「OXE−02」(BASF社製;エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム))
・低感度光重合開始剤
「トリアジンPMS」(日本シイベルヘグナー製;4−メトキシスチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン;構造式は下記の通り)
【化8】
・溶剤
3−メトキシブチルアセテート/シクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=50/25/25(質量比)の混合溶剤
【0091】
<評価>
[表面粗さSaの評価]
実施例又は比較例で調製した感光性組成物を、スピンコーター(TR25000:東京応化工業社製)を用いてガラス基板(Corning社製、EXG)上に塗布し、100℃で60秒間乾燥して膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜に、ミラープロジェクションアライナー(TME−150RTO:トプコン社製)を用いて紫外線(波長365nm、露光量:表1に示す通り)を照射した。そして、表1に示すポストベーク温度で20分間、循環式オーブンにてポストベークを行い、硬化膜を得た。
【0092】
ガラス基板上に形成された上記硬化膜の表面粗さSaを、ISO25178に準拠し、光学干渉顕微鏡タリサーフCCI6000により測定した。
【0093】
[Cu薄膜密着性の評価]
実施例又は比較例で調製した感光性組成物を用いて、上記[表面粗さSaの評価]と同様にしてガラス基板上に硬化膜を形成した。
この硬化膜上にスパッタにより、厚さ0.7μmのCu薄膜を形成させ、上記硬化膜とCu薄膜との密着性を評価するため、クロスハッチテストを行った。具体的には、ISO2409(ASTM D−3359)に準拠し、Cu薄膜を2.0mmの間隔で100目クロスカット(縦横11カットずつ)し、このクロスカットした箇所に、粘着テープを強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がしてCu薄膜の剥離の有無を調べ、クラス0Bからクラス5Bまでの6段階で評価した。結果を表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
表1及び2から分かるように、分離層と基板との界面において、分離層の表面粗さSaを100Å以上に調整すると、分離層と基板との接着性に優れることが確認された。Saは、光重合開始剤の感度、カーボンブラック等の光吸収剤の量、露光量、及びポストベーク温度により調整できることが確認された。