【実施例1】
【0016】
図1は、本実施例の表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置であり、表示パネル11、表示コントローラ12、ゲートドライバ13A及び13B、及びデータドライバ14−1〜14−pを含む。
【0017】
表示パネル11は、複数の画素部P
11〜P
nm及び画素スイッチM
11〜M
nm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、n本のゲート線GL1〜GLnと、これに交差するように配されたm本のデータ線DL1〜DLmと、を有する。なお、以下の説明では、n本のゲート線GL1〜GLnのうち、任意の1つのゲート線をゲート線GLkとして、m本のデータ線DL1〜DLmのうち、任意の1つのデータ線をデータ線DLxとして記載する場合がある。画素部P
11〜P
nm及び画素スイッチM
11〜M
nmは、ゲート線GL1〜GLn及びデータ線DL1〜DLmの交差部に設けられている。
【0018】
画素スイッチM
11〜M
nmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1〜Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0019】
画素部P
11〜P
nmは、データドライバ14−1〜14−pから映像データに対応した階調電圧信号Vd1〜Vdmの供給を受ける。画素スイッチM
11〜M
nmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1〜Vdmが画素部P
11〜P
nmの各画素電極に供給され、各画素電極が充電される。画素部P
11〜P
nmの各画素電極における階調電圧信号Vd1〜Vdmに応じて画素部P
11〜P
nmの輝度が制御され、表示が行われる。なお、以下の説明では、階調電圧信号Vd1〜Vdmのうち、任意の1つの階調電圧信号をVdxとして記載する
場合がある。
【0020】
表示装置100が液晶表示装置である場合、画素部P
11〜P
nmの各々は、画素スイッチを介してデータ線と接続される透明電極と、半導体基板と対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P
11〜P
nmに供給された階調電圧信号Vd1〜Vdmと対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0021】
表示コントローラ12は、クロックパルスの周期(以下、クロック周期と称する)が一定のクロック信号CLK を生成する。そして、表示コントローラ12は、クロック信号CLKのクロックタイミングに応じて、映像データ信号VDSをデータドライバ14−1〜14−pに供給する。映像データ信号VDSは、所定数のデータ線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データとして構成されている。
【0022】
また、表示コントローラ12は、各種の設定を含む制御信号CSを映像データ信号VDSに追加する。クロック信号CLKは、例えば埋め込みクロック方式で形成され、映像データ信号VDS、制御信号CS、クロック信号CLKを一体化したシリアル信号として各データドライバ14−1〜14−pに供給し、各映像データVDの表示制御を行う。
【0023】
また、表示コントローラ12は、データドライバ14−1〜14−pのうちゲートドライバ13A及び13Bに近い位置に設けられた両端のデータドライバ14−1及び14−pに対し、ゲートタイミング信号GS1を供給する。ゲートタイミング信号GS1は、一定周期のタイミング信号である。
【0024】
ゲートドライバ13A及び13Bは、データドライバ14−1及び14−pから変調周期を有するゲートタイミング信号GS2の供給を受け、これに応じてゲート信号のパルス幅、つまりゲート信号の選択期間を変調したゲート信号Vg1〜Vgnをゲート線GL1〜GLnに供給する。ゲート信号Vg1〜Vgnの供給により、画素行毎に画素部P
11〜P
nmが選択される。そして、選択された画素部に対して、データドライバ14−1〜14−pからデータ信号Vd1〜Vdmが供給されることにより、画素電極へのデータ信号Vd1〜Vdmの書き込みが行われる。
【0025】
データドライバ14−1〜14−pは、データ線DL1〜DLmを分割した所定数のデータ線毎に設けられている。例えば、データドライバ1個あたり960出力を有し、表示パネルが1画素列あたりデータ線1本を備えている場合、4Kパネルは12個、8Kパネルは24個のデータドライバでデータ線が駆動される。データドライバ14−1〜14−pは、表示コントローラ12から、それぞれ別々の伝送路で、制御信号CS、クロック信号CLK及び映像データ信号VDSが一体化されたシリアル信号の供給を受ける。表示コントローラ12と各データドライバ間の伝送路が1ペア(2本)の場合、1データ期間に、データドライバの出力数分の映像データVD及び制御信号CSがシリアル化された差動信号として供給される。
【0026】
データドライバ14−1〜14−pは、それぞれシリアル化された映像データ信号VDSをパラレル展開した映像データVDを生成し、1画面の書き換え時間に対応する1フレーム期間内において周期が変化する変調データタイミング信号を生成する。例えば、変調データタイミング信号の周期は、1フレーム期間内において段階的に変化する。その変調データタイミング信号のデータタイミング(データ期間)に基づいて、映像データVDの各々に対応した階調電圧信号Vd1〜Vdmを、データ線DL1〜DLmを介して画素部P
11〜P
nmに供給する。上記変調データタイミング信号は、各データドライバから書き込み先である画素部までのデータ線上の距離に応じて異なるタイミング(データ期間)となるように設定される。具体的には、1フレーム期間内において、データドライバに近いデータ線近端の画素部へ階調電圧信号を供給する1データ期間は短く、データドライバから遠いデータ線遠端の画素部へ階調電圧信号を供給する1データ期間は長く設定される。
【0027】
ここで、本明細書において、データ線近端の画素部とは、ゲート線及びデータ線の交差部に設けられた画素部であって、複数のデータ線上の位置のうち、データドライバとの間の1方向(
図1の例では、縦方向)の距離が相対的に近いデータ線上の位置に設けられた画素部に相当する。
【0028】
また、データ線遠端の画素部とは、ゲート線及びデータ線の交差部に設けられた画素部であって、複数のデータ線上の位置のうち、データドライバとの間の1方向(
図1の例では、縦方向)の距離が相対的に遠いデータ線上の位置に設けられた画素部に相当する。
【0029】
また、データドライバ14−1〜14−pのうち左端部に位置するデータドライバ14−1は、信号ラインを介してゲートドライバ13Aに接続されている。また、右端部に位置するデータドライバ14−pは、信号ラインを介してゲートドライバ13Bに接続されている。データドライバ14−1及び14−pは、表示コントローラ12から一定周期のゲートタイミング信号GS1の供給受け、ゲートタイミング信号GS1に基づいて、変調データタイミング信号のデータタイミングに対応した周期(タイミング及びパルス間隔)を有するゲートタイミング信号GS2を生成し、ゲートドライバ13A及び13Bにそれぞれ供給する。上記ゲートタイミング信号GS2は、ゲートドライバ13A及び13Bが各ゲート線に供給するゲート信号の選択タイミングが、データドライバ14−1及び14−pからのデータ線上の距離に応じて異なるタイミングとなるように設定される。具体的には、1フレーム期間内において、データドライバに近いデータ線近端の画素部へのゲート信号の選択期間は短く、データドライバから遠いデータ線遠端の画素部へのゲート信号の選択期間は長く設定される。上記変調データタイミング信号と上記ゲートタイミング信号GS2のそれぞれの変調周期は、独立に設定されているのではなく、互いに相関を保ったタイミング設定がなされている。以下の説明では、データドライバ14−1及び14−pを総称して特定ドライバとも称する。
【0030】
なお、
図1において、データドライバ14−1〜14−p間のタイミング調整のための制御信号を、例えば特定ドライバ14−1及び14−pから特定ドライバ以外のデータドライバへ供給するようにしてもよい(図示せず)。
【0031】
また、
図1において、表示コントローラ12から供給されるゲートタイミング信号GS1を、ゲートタイミング信号GS1の設定情報に置き換え、当該設定情報を映像データ信号VDS、制御信号CS、クロック信号CLKとともに一体化したシリアル信号として、データドライバ14−1〜14−pのうちの少なくとも特定データドライバ14−1及び14−pへ伝送する構成としてもよい。
【0032】
また、
図1において、特定ドライバ14−1及び14−pで生成するゲートタイミング信号GS2は複数のゲートタイミング信号群で構成され、ゲートドライバ13A及び13Bにそれぞれ供給されてもよい。そして、ゲートドライバ13A及び13Bは、供給された複数のゲートタイミング信号群のタイミング合成により、各ゲート線に供給するゲート信号の選択タイミングが生成されるように構成されてもよい。
【0033】
また、
図1において、表示コントローラ12は、映像データ信号VDSを含む所定周期のシリアル信号及び所定周期のゲートタイミング信号GS1を出力する構成で、所定周期の信号供給を行う既存の表示コントローラを流用することができる。
図1の表示装置は、データドライバ14−1〜14−pの各々において、データ線出力信号(階調電圧信号)のパルス幅(データ期間)の変調を行う構成とされ、特定ドライバ14−1、14−pにおいて、データ線出力信号(階調電圧信号)のパルス幅(データ期間)の変調及びゲート信号のパルス幅(選択期間)の変調を行う構成とされている。
【0034】
図1の構成では、表示パネル11とゲートドライバ13A及び13Bとの距離が近い特定ドライバ14−1及び14−pにおいて、所定のタイミング相関を保つ変調データタイミング信号とゲートタイミング信号GS2が生成されるため、表示パネル11のゲート線及びデータ線に供給されるゲート信号及びデータ線出力信号(階調電圧信号)に対する信号伝送路の影響によるタイミングずれが生じにくく、高品質表示が実現できる。
【0035】
図2は、特定ドライバであるデータドライバ14−1及び14−pを構成するドライバIC14Aで、所定数の出力端よりそれぞれ出力される映像データVDに対応した階調電圧信号Vdの出力タイミング(データ期間)及びゲートタイミング信号GS2によるゲート信号の出力タイミングやパルス幅の制御に関わる主要ブロックの構成を示すブロック図である。
【0036】
ドライバIC14Aは、レシーバ20、シリパラ変換回路21、ロジック回路22、PLL(Phase Locked Loop)23、タイミングジェネレータ24、メモリ25、ラッチ&レベルシフト回路26、DAC(Digital to Analog Converter)27、アンプ28及びバッファ29を含む。PLL23、タイミングジェネレータ24及びメモリ25は、タイミング制御部30を構成している。表示コントローラ12から出力されたシリアル信号(制御信号CS、映像データ信号VDS、クロック信号CLK)及びゲートタイミング信号GS1がドライバIC14Aに入力される。
【0037】
レシーバ20は、表示コントローラ12から出力された高速シリアル信号(制御信号CS、映像データ信号VDS及びクロック信号CLK)を受信する受信装置である。高速シリアル伝送された制御信号CS、映像データ信号VDS及びクロック信号CLKはレシーバ20を介してシリパラ変換回路21でパラレル展開され、個別信号毎に分離される。
【0038】
シリパラ変換回路21は、埋め込みクロック信号CLKから一定周波数のクロック信号CLKA及び書き込みクロック信号W−CLKを取り出し、クロック信号CLKAをPLL23に供給し、書き込みクロック信号W−CLKをメモリ25に供給する。また、シリパラ変換回路21は、シリアル化された制御信号CSから制御信号CSAを取り出し、ロジック回路22へ供給する。制御信号CSAは、必要に応じ、ロジック回路22が制御するPLL23及びタイミングジェネレータ24の設定情報を含む。また、シリパラ変換回路21は、シリアルデータとして供給された映像データ信号VDSをパラレルデータに変換し、パラレルデータに変換された映像データVDを、書き込みクロック信号W−CLKのクロックタイミングに応じて、書き込みデータW−Dataとしてメモリ25に書き込む。
【0039】
ロジック回路22は、予め設定されていた設定情報や、制御信号CSAからの設定情報に従って、PLL23の周波数変調及びタイミングジェネレータ24のタイミングを制御する。ロジック回路22は、例えば制御信号CSAより追加または変更される設定値を一時的に記憶するレジスタ等を含む。
【0040】
PLL23は、シリパラ変換回路21から供給されたクロック信号CLKAに基づいて変調クロック信号M−CLKを生成する。PLL23は、ロジック回路22の制御に応じてクロック信号CLKAに周波数変調を行い、変調クロック信号M−CLKを生成する。
【0041】
タイミングジェネレータ24は、PLL23から変調クロック信号M−CLKを受ける。タイミングジェネレータ24は、ロジック回路22の制御に応じて、変調クロック信号M−CLKに基づき、1フレーム期間内において周期が変化する変調データタイミング信号を生成する。タイミングジェネレータ24は、その変調データタイミング信号のデータタイミング(データ期間)に基づいて、読み出しクロック信号R−CLK及びラッチクロック信号L−CLKを生成し出力する。また、タイミングジェネレータ24は、ゲートタイミング信号GS1を受け、ゲートタイミング信号GS1に基づいて、変調データタイミング信号のデータタイミングに対応した周期(タイミング及びパルス間隔)を有するゲートタイミング信号TSを生成し出力する。ゲートタイミング信号TSは、バッファ29で増幅され、ゲートタイミング信号GS2としてドライバIC14Aから出力される。
【0042】
メモリ25は、書き込みクロック信号W−CLKのクロックタイミングに応じて、書き込みデータW−Dataを書込み、データ信号の1データ期間の変調タイミングに応じた読み出しクロック信号のR−CLKに対応して、映像データR−Dataを読みだす。メモリ25は、読み出した映像データR−Dataを、ラッチ&レベルシフト回路26へ供給する。なお、メモリ25は、一定周期の書込みクロック信号W−CLKと変調周期の読出しクロック信号R−CLKのタイミング差に応じた期間に映像データR−Dataを一時保存するメモリ容量を備える。
【0043】
ラッチ&レベルシフト回路26は、階調電圧信号のドライバIC14Aからの出力タイミングを決めるラッチクロック信号L−CLKに応じて、映像データR−Dataをラッチし、出力電源電圧に応じた高電圧ビット信号(2値の高電圧デジタル信号)にレベル変換し、高電圧ビット信号HBSを出力する。
【0044】
DAC27は、高電圧ビット信号HBSの入力を受け、高電圧ビット信号HBSに対応する階調レベル電圧を選択(デジタルアナログ変換)して、アナログの階調電圧信号としてアンプ28へ供給する。
【0045】
アンプ28は、DAC27で選択された階調電圧信号を増幅してデータ線へ出力する。なお、
図2において、メモリ25、ラッチ&レベルシフト回路26、DAC27、アンプ28の各ブロックは、ドライバIC14Aの出力数に対応した回路群として構成される。
【0046】
また、ロジック回路22に供給される各種設定情報は、表示コントローラ12から送られる制御信号CSAとは別に、ドライバIC14Aの外部から供給する構成としてもよい。例えば、ドライバIC14Aの外部に、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等からなる設定記憶装置15を設けることもできる。設定記憶装置15には、ゲートタイミング信号GS2のパルス幅の変調及び階調電圧信号Vdのデータ期間の変調の設定を変更する変更設定情報を記憶させることもできる。例えば、表示装置100の起動時に、ドライバIC14Aが、設定記憶装置15に記憶されている設定値を読み出し、読み出した設定値に基づいてゲートタイミング信号GS2のパルス幅の変調、階調電圧信号Vdのデータ期間の変調、及びそれぞれの信号のタイミング変更を行うこともできる。なお、設定記憶装置15は、記憶している設定値を外部からの調整に応じて適宜変更可能に構成されている。
【0047】
前述したように、
図2を特定ドライバ14−1及び14−pの構成として説明したが、特定ドライバ14−1、14−p以外のデータドライバも
図2と同様の構成としてもよい。その場合、特定ドライバ以外のデータドライバは、ゲートタイミング信号GS1が入力されず、ゲートタイミング信号GS2を出力しない設定とする。例えば、
図2の構成のデータドライバにおいて、表示コントローラ12から送られる制御信号CSA又は外部からの設定情報に基づき、タイミングジェネレータ24内のゲートタイミングを調整する回路(図示せず)及びバッファ回路29の動作を停止する設定を備えてもよい。これにより、ドライバIC14Aは、供給する設定情報により特定ドライバとその他のデータドライバとを切り替えることができ、データドライバの汎用性を高めることができる。
【0048】
また、特定ドライバ14−1及び14−pから特定ドライバ以外のデータドライバへタイミング調整の制御信号を供給する場合、特定ドライバ14−1及び14−pはバッファ29から当該制御信号を出力する構成としてもよい。制御信号を受ける特定ドライバ以外のデータドライバは、ゲートタイミング信号GS1の代わりに制御信号を受ける構成としてもよい。
【0049】
図3Aは、データドライバ14−1〜14−pのうちの1つのデータドライバ14におけるデータ線DLxへの出力に対応する映像データVDと内部信号の1フレーム期間のタイミングチャートを示している。
図3Aの上段は、シリアル化された映像データ信号VDSにおけるゲート線GLn及びデータ線DLxに対応する映像データVDを表す。
図3Aの中段は、シリアル化された映像データ信号VDSがパラレル展開された各映像データVDのデータ期間を示している。ゲート線GLn、GL(n−1)、・・・、GL1の順(すなわち、データドライバから遠い側から近い側に向かう順)に、各ゲート線の選択期間に対応する映像データVDが順次伝送されている。
図3Aの下段は、パラレル展開された映像データVDをメモリ25へ書き込むタイミングを制御するクロック信号W−CLKを示す。なお、以下の説明では、データドライバ14−1〜14−pのうちの一つを指して、単にデータドライバ14と称する。
【0050】
図3Aの上段に示すように、各映像データVDは、スタートパルスやコンフィグデータ等を含むオーバーヘッドOHと、データドライバ14の出力数に対応した実データであるRGBデータと、ダミーデータDDと、から構成されている。映像データ信号VDSは、データドライバ14の出力数に応じた多数の映像データVDがシリアル化されている。例えば、映像データ信号VDSが、1ペア(2本)の伝送路の差動信号で伝送される場合、映像データ信号VDSは、
図3Aの中段に示す1データ期間に、データドライバ14の出力数個の映像データVDを含んで構成され、映像データ信号VDSの周期は、1データ期間の出力数分の1とされる。したがって、映像データ信号VDSに埋め込まれたクロック信号CLKも、非常に高い周波数となっている。
【0051】
図3Aの中段に示すように、映像データ信号VDSの先頭及び末尾にはブランク期間(V−blank、blankとして示す)が設けられている。ブランク期間には、各種設定情報を含む制御信号CSが盛り込まれ、映像データ信号VDSと一体化された一連のシリアル信号として表示コントローラ12からデータドライバ14へ供給される。
【0052】
その後、前述したように、シリパラ変換回路21は、周期一定の書き込みクロック信号W−CLKに従って、データドライバ14の出力数に応じてパラレル展開された各映像データVDを、書き込みデータW−Dataとしてメモリ25に順次書き込む。
【0053】
図3Bは、
図3Aと同様に、データ線DLxの出力に対応する映像データと内部信号であって、読み出しクロック信号R−CLK、読み出しクロック信号R−CLKに基づいてメモリ25から読み出された映像データVD、及びラッチクロック信号L−CLKのクロックタイミングを示す1フレーム期間のタイムチャートである。また、
図3Bにおいては、ラッチクロック信号L−CLKに基づき、データドライバ14から出力される階調電圧信号Vdxと、各ゲート線に順次出力されるゲート信号の各タイミングを示すゲートCLKも併せて示している。
【0054】
図3Bに示すように、メモリ25から読み出される各映像データVDは、読み出しクロック信号R−CLKに基づいて、メモリ25への書込順と同じ順番で読み出される。すなわち、ゲート線GLn、GL(n−1)、・・・、GL1の順(データドライバ14から遠い側から近い側に向かう順)に、各ゲート線の選択期間に対応する映像データVDがメモリ25から順次読み出される。ここで、読み出しクロック信号R−CLKにおいては、データドライバ14から遠い画素行に書き込む映像データVDについては書込みクロック信号W−CLKよりデータ期間が長く、データドライバ14から近い画素行に書き込む映像データVDについては書込みクロック信号W−CLKよりデータ期間が短くなるように、クロックタイミングが変調されている。なお、同一の映像データVDに対し、書込みクロック信号W−CLKの周期(又は、書込まれる映像データVDのデータ期間)と読出しクロック信号R−CLKの周期(又は、読み出される映像データVDのデータ期間)が異なるため、このタイミング差の期間、一時的にメモリ25にデータを保持している。
【0055】
また、データドライバ14からデータ線へ出力するタイミング(1データ期間)を決めるラッチクロック信号L−CLKは、例えば、読み出しクロック信号R−CLKを1データ期間遅らせたクロック信号とされている。ラッチクロック信号L−CLKに基づいて、デジタルアナログ変換された階調電圧信号Vdxがデータドライバ14からデータ線DLxへ出力される。
図3Bにおいて、階調電圧信号Vdxが出力される各データ期間は、ラッチクロック信号L−CLKの立上りエッジから次の立上りエッジまでのタイミング(Thn、Th(n−1)、・・・、Th1)で生成される。すなわち、データドライバ14に近い側(データ線近端)の画素に供給されるデータ信号Vdxの1データ期間は短く、データドライバ14から遠い側(データ線遠端)の画素に供給される階調電圧信号Vdxの1データ期間は長くなるように設定される。なお、
図3Bの階調電圧信号Vdxの出力波形は、図示の便宜のために、最大階調電圧と最小階調電圧を交互に出力した波形例を示している。
【0056】
ゲートCLK(
図2のゲートタイミング信号TS)は、タイミングジェネレータ24において、ゲートタイミング信号GS1と変調データタイミング信号に基づき生成される。ゲートCLKは、ラッチクロック信号L−CLKの立上りエッジ(1データ期間のタイミング)から所定の期間(dh(n+1)、dhn、dh(n−1)、・・・、dh1)ずれたタイミングに生成される。このゲートCLKのタイミングに基づき、ゲート線GLn、・・・GLk・・・、GL1に対応したゲート信号Vgn、・・・Vgk・・・、Vg1の選択期間(すなわち、パルス幅)が設定される。ゲートCLKのタイミングに基づき、バッファ29において、ゲートドライバ13A及び13Bの駆動回路に応じたゲートタイミング信号GS2が生成される。
【0057】
なお、大画面の表示装置では、階調電圧信号の画素電極への充電率を高めるため、ゲート信号のプリチャージが行われる場合がある。ゲート信号のプリチャージを行う場合、画素電極へ充電する階調電圧信号を選択するゲート信号において、当該階調電圧のデータ期間に対応したゲート信号の選択期間に対し、複数個前の選択期間からゲート信号の選択期間を開始する。すなわち、複数の選択期間にわたるゲート信号のパルス幅に設定する。例えば、
図3BのゲートCLKで設定するゲート信号Vgkの選択期間Thkに対し、複数個前の選択期間から選択期間Thkまでパルス幅を拡張したゲート信号となるようにゲートタイミング信号GS2を生成するようにしてもよい。
【0058】
図4は、本実施例のゲートドライバ13A又は13Bから各ゲート線に出力されるゲート信号Vg1、・・・Vgk・・・、Vgnと、データドライバ14からデータ線DLxに出力される階調電圧信号Vdxの1フレーム期間における信号波形を示す図である。なお、階調電圧信号Vdxは、信号遅延に関する説明の便宜上、ゲート信号の選択期間(Th1、Thk、Thn)に対応する1データ期間において低電位の階調電圧から高電位の階調電圧へ変化する信号波形を示す。
【0059】
ここでは、階調電圧信号Vdxの供給に対して、データ線遠端の1データ期間をThn、データ線近端の1データ期間をTh1として示している。階調電圧信号Vdxに対する1データ期間は、データ線近端では1データ期間が短く、データ線遠端側に向かって1データ期間が長くなるように各データ期間が設定される。
【0060】
データ線近端ではデータ線のインピーダンスの影響が小さいため、信号波形の立ち上がりの鈍りが小さい。従って、1データ期間Th1が短くなっても、データドライバ14から出力された階調電圧信号Vdxの電圧レベルをそのままデータ線近端の画素電極に書き込むことができる。
【0061】
これに対し、データ線遠端では、データ線インピーダンスの影響を大きく受けて信号波形の立ち上がりが大きく鈍る。しかしながら、1データ期間Thnが長いため、データドライバ14から出力された階調電圧信号Vdxの電圧レベルに到達することができ、当該電圧レベルをデータ線遠端の画素電極に書き込むことができる。これにより同一階調の全画面表示において、データ線インピーダンスに依存したデータ線方向の画素充電率を均一にすることができる。
【0062】
一方、ゲート信号Vg1、・・・Vgnは、階調電圧信号Vdxの1データ期間に応じて、データ線近端から遠端に向かってパルス幅(選択期間)が広くなるように設定される。すなわち、データ線近端の画素を選択するゲート信号Vg1はパルス幅が短く、データドライバ遠端の画素を選択するゲート信号Vgnのパルス幅は長い。これによりデータ線方向の画素に対する同一の階調電圧信号の画素充電率を均一化することができる。なお、
図4では、ゲート信号のパルス幅を1データ期間と同等に設定した例を示している。ここで、前述したように、ゲート信号のプリチャージを行うため、ゲート信号のパルス幅を拡幅してもよい。
【0063】
また、ゲート信号Vg1〜Vgnは、データ線遠端からデータ線近端に向かう順、すなわちVgn、・・・、Vgk、・・・、Vg1の順に、ゲートドライバ13A及び13Bから順次出力される。ゲート信号Vgn、・・・、Vgk、・・・、Vg1でそれぞれ選択された階調電圧信号Vdxが、データ線DLxに順次出力される。
【0064】
なお、ゲート信号Vg1〜Vgnの出力順を、
図4とは逆にデータドライバ近端からデータドライバ遠端に向かう順、すなわちVg1、・・・、Vgk、・・・、Vgnの順とすることも可能である。ただし、この場合、映像データVDのメモリ25からの読出しは、当該映像データVDのメモリ25への書込みより常に後になるため、メモリ25から最初の映像データVDを読み出す読み出しクロック信号R−CLKのタイミングは、最初の映像データVDをメモリ25に取り込む書き込みクロック信号W−CLKのタイミングより所定期間遅らせる必要がある。この場合、書き込みクロック信号W−CLKと読出しクロック信号R−CLKとのタイミング差は、
図4の場合より大きくなり、映像データを一時保存するために必要なメモリ25のメモリ容量が大きくなる場合がある。
【0065】
一方、
図4に示すようにVgn、・・・、Vgk、・・・、Vg1の順にゲート信号を出力する場合、映像データVDを読み出す読み出しクロック信号R−CLKのクロックタイミングの周期は、当該映像データVDをメモリ25に書込む書き込みクロック信号W−CLKの一定のクロックタイミングの周期と比べて、読出し開始直後は周期が長く、徐々に周期が短くなる。このため、最初の映像データVDの読み出しを、最初の映像データVDの書き込みから少しだけ遅れたタイミングから開始することができる。この場合、書き込みクロック信号W−CLKと読出しクロック信号R−CLKとのタイミング差が小さく、映像データを一時保存するために必要なメモリ25のメモリ容量を小さくできる。
【0066】
また、本実施例では、データ信号Vdxとゲート信号Vg1〜Vgnとのタイミング差dh1、・・・dhk・・・dhnを、ゲートドライバ13A又は13Bからの距離に応じて調整する。例えば、ゲート線遠端では、ゲート信号Vgnがオフする(ハイレベルからローレベルへ変化する)タイミングが遅いため、次のゲート信号Vg(n−1)で選択すべき階調電圧信号までゲート信号Vgnで選択して画素電極に誤充電が生じないように、タイミング差dhnを大きく設定する必要がある。なお、データドライバ14からのデータ線上の距離に応じてもタイミング差dh1、・・・dhk・・・dhnを可変にするように構成してもよい。
【0067】
なお、
図4では、データ信号Vdxとゲート信号Vg1〜Vgnとのタイミング差dh1、・・・dhk・・・dhnのタイミング差は、それぞれのゲート信号の選択期間の終了タイミングと、データ信号Vdxの各データ期間の終了タイミングとのタイミング差で設定されている。
【0068】
図5は、映像データVDに対応した階調電圧信号Vdxを書き込む際の1データ期間と、データドライバ14からの各ゲート線GL1、…、GLnの位置との対応関係を示す図である。
【0069】
本実施例の表示装置100とは異なり、データドライバからのゲート線の位置に関わらず階調電圧信号Vdxの書き込み期間を一定とした場合、破線Aとして示すように、1データ期間の長さは一定(
図5に示す一定値To)となる。
【0070】
これに対し、本実施例の表示装置100では、実線Bとして示すように、データドライバ14に近いゲート線GL1側の1データ期間及びゲート選択期間は短く、データドライバ14から遠いゲート線GLn側の1データ期間及びゲート選択期間は長く設定される。なお、実線Bの特性曲線は、データドライバ14からのゲート線位置に対応するデータ線のインピーダンス(配線抵抗と配線容量の積)に依存した曲線となる。
【0071】
そして、本実施例の表示装置100は、1データ期間を最小値Thから最大値Tmまで変化させるとともに、1フレーム期間内のその平均値がToの近傍となるように設定する。例えば、PLL23及びタイミングジェネレータ24は、変調周期の読み出しクロック信号R−CLKを生成するにあたり、その周期の平均値が、周期一定の書込みクロック信号W−CLKの周期とほぼ同等となるように制御する。
【0072】
図3A及び
図3Bに示すように、ゲート線GLnからゲート線GL1に向かってゲート線を順次選択する場合、GLn側では周期一定の書き込みクロック信号W−CLKに対して読み出しクロック信号R−CLKの周期が長いため、そのタイミング差に相当する期間、映像データVDをメモリ25に保存する必要がある。
【0073】
一方、ゲート線GLkを選択するタイミングでは、書き込みクロック信号W−CLKと読み出しクロック信号R−CLKとは同じ周期となる。また、ゲート線GL1側では書き込みクロック信号W−CLKに対して読み出しクロック信号R−CLKの周期が短く、メモリ25に保持した映像データVDの読み出し速度が上がり、メモリ25に一時保存したデータが徐々に減る。本実施例では、1フレーム期間内の最後のゲート線GL1を選択するタイミングでメモリ25の一時保存データが最小となるように、タイミング制御を行う。
【0074】
メモリ25は、メモリ25に書き込む書き込みデータW−Dataとメモリ25から読み出す読み出しデータR−Dataとの差分に応じた映像データVDを一時的に記憶する容量を最低限有していればよい。なお、書き込みデータW−Dataと読み出しデータR−Dataとの差分は、
図5の破線Aと実線Bとで挟まれた分の面積に対応している。
【0075】
上記のような読み出しクロック信号R−CLKの制御によれば、メモリ25に書込む書き込みデータW−Dataと読み出しデータR−Dataとの差分が極小化され、メモリ25の容量を抑えることができる。また、上記のような読み出しクロック信号R−CLKの制御によれば、
図3A及び
図3Bに示すように、書込みのトータル時間と読出しのトータル時間とが、どちらもそれぞれ1フレーム期間内に納まるように制御される。
【0076】
図5に示すように、本実施例の表示装置100では、実線Bの特性曲線に応じて、1データ期間を最小値Thから最大値Tmまで変化させることができる。画素充電率の不足をより改善させるためには、1データ期間の最大値Tmが前述した固定値の1データ期間Toに比べて大きい(長い)ほど良い。但し、1データ期間の最大値Tmが大きいほど最小値Thは小さく(短く)なる。本発明者の代表的な検討事例では、1データ期間の最小値Thを期間Toに対して0.5倍とした場合、1データ期間の最大値Tmは期間Toの1.2倍程度である。この1データ期間の可変範囲が広いほど、各種表示装置への適用性能が高くできる。本実施例の表示装置100では、1データ期間の最小値Thから最大値Tmまでの変調への対応をデータドライバ14のメモリ25により実現している。
【0077】
一方、前述したように、表示コントローラに対応する制御回路からデータドライバに変調した映像データ信号を伝送する場合、1データ期間の最小値Thを期間Toに対し0.5倍とするには、映像データ信号の伝送周波数を2倍に上げなければならない。4Kパネルや8Kパネルの映像データ信号の伝送周波数を2倍に上げるのはシステムの構成上容易ではない。したがって、表示パネルのデータ線及びゲート線へ供給する階調電圧信号の1データ期間及びゲート信号のパルス幅を変調し、画素電極の充電率の低下による画質の劣化を抑制する表示装置の実現には、本実施例のように、所定周期のシリアル映像データ信号を受け変調周期にタイミング変換するデータドライバを備える表示装置100が好適である。
【0078】
図6は、本実施例の表示装置100を大画面パネルとし、且つゲートドライバを表示パネルの画素部と同様に薄膜トランジスタを用いて表示パネルと一体で形成するGOA(Gate On Array)の技術を用いて構成した場合のシステム構成の一例を示す図である。なお、図示の便宜により、表示パネルの半分に対応する構成図を示す。
【0079】
表示コントローラ12は、TCON(Timing Controller)−IC31として構成されており、電源を供給するPM(Power Management)IC32とともに、TCON基板TBに設けられている。PMIC32は、複数のレベルの電源電圧(例えば、高圧のDC電源電圧及び低圧のDC電源電圧)を供給可能に構成されている。ゲートドライバ13A及び13Bは表示パネル11上に形成されており、
図6ではゲートドライバ13BをGOA34として示している。
【0080】
データドライバ14−1〜14−pは、ドライバIC(図中、D−ICであって、表示パネル半分に対応する14−y〜14−pとして示す)で構成される。各ドライバICは、COF(Chip On Film)上に実装されている。各COFは、S−PCB(Printed Circuit Board)と表示パネルとの間を接続する。大画面パネルでは、PCBサイズの制約で複数のS−PCBを設け、S−PCB間はケーブルコネクタを介したFPC(Flexible Printed Circuits)で接続される。TCON−IC31と表示パネル中央側のS−PCBとの間はケーブルコネクタを介してFFC(Flexible Flat Cable)により接続されている。
【0081】
また、複数のS−PCBのうち表示パネルの両端部に位置するS−PCBは、ゲート信号用の高振幅のゲートタイミング信号GS2を出力するレベルシフト回路であるL/S−IC33を有する(図中、D−IC14−pとL/S−IC33を示す)。L/S−IC33は、PMIC32から、FFC、S−PCB及びFPCの配線を経由してゲート信号用の高圧のDC電源電圧の供給を受ける。
【0082】
TCON−IC31は、映像データ信号VDS、クロック信号CLK及び制御信号CSを一体化したシリアル信号を生成し、FFC、S−PCB(及び一部はFPC)及びCOFの配線を経由してデータドライバ14−1〜14−pの各々に供給する。例えば、TCON−IC31は、これらの信号を低電圧シリアル差動信号(LV_signal)として、PtoP(Point to Point)方式で各ドライバICに供給する。
【0083】
また、TCON−IC31は、データドライバ14−1〜14−pの複数のドライバICのうち、ゲートドライバ13A又は13Bに最も近い端部に位置する特定ドライバIC(図中、データドライバ14−p)に対し、ゲートタイミング信号GS1(LV_signal)を供給する。ゲートタイミング信号GS1の供給を受けた特定ドライバICは、
図2のブロック図で示したような構成を有し、特定ドライバIC内でゲートタイミング信号GS1と変調データタイミング信号に応じた変調周期のゲートCLK(ゲートタイミング信号TS)を生成する。当該ドライバICは、
図3BのゲートCLK(ゲートタイミング信号TS)で設定されるゲート選択期間のタイミングに基づき、GOA34の回路に対応したゲートタイミング信号GS2(LV_signal)を生成する。特定ドライバICから出力されたゲートタイミング信号GS2(LV_signal)は、L/S−IC33によって高電圧の信号(HV_signal)にレベル変換され、特定ドライバICのCOFを経由して表示パネル11上のGOA34に供給される。
【0084】
かかる構成によれば、TCON−IC31から特定ドライバIC(データドライバ14−p)に供給するゲートタイミング信号GS1を低電圧信号(LV_signal)とすることができるため、信号数を削減することができる。
【0085】
例えば、大画面の表示装置において、画素充電率を高めるために、ゲート信号Vg1〜Vgnのパルス幅を1データ期間の正の整数倍(例えば、2〜4倍)設けて、各ゲート線GL1〜GLnの選択期間に対するプリチャージを行うことができる。その場合、GOAに供給する高電圧のゲートタイミング信号の信号数として、例えば正の整数倍×2の信号数が必要となる。そして、TCON基板に設けられたL/S−ICで生成した複数の高電圧のゲートタイミング信号が、FFC、S−PCB、FPC、COFの長い配線を経由してGOAに供給される構成が適用されていた。一方、本実施例の表示装置100では、ゲート線GL1〜GLnのゲート信号選択期間に対するプリチャージを行う場合でも、ゲートタイミング信号GS1は、例えばゲート信号のスタートパルスなどの単純な低電圧信号とすることができる。GOAに必要なゲートタイミング信号GS2は、パルス幅の変調も含め、全て特定ドライバIC(データドライバ14−p)で生成し、L/S−IC33によって高電圧信号にレベル変換してGOA34に供給してもよい。したがって、本実施例の表示装置100では、TCON−IC31からS−PCBやFFC、FPCを経由した長配線で供給されるゲートタイミング信号(GS1)の信号数の削減の効果が大きい。そして、ゲートタイミング信号(GS1)の信号数の削減により、S−PCBの面積の削減の効果を得ることができる。
【0086】
また、L/S−IC33をGOA34に近いS−PCB上に設けることにより、GOA34に供給する高振幅のHV_signalの配線距離(伝送路)が短く、他の信号へのノイズの影響や配線長に応じた信号遅延を抑制することができる。なお、PMIC32からL/S−IC33に供給される高圧のDC電源電圧の配線では、伝送する信号に振幅がないため、他の信号へのノイズの影響はほとんど生じない。
【0087】
以上のように、本実施例の表示装置100では、データドライバ14−1〜14−pから映像データVDの書き込み対象である画素までの距離に応じて、データ線近端では1データ期間が短く、データ線遠端では1データ期間が長い階調電圧信号Vd1〜Vdmを生成し、データ線DL1〜DLmに印加する。また、特定ドライバであるデータドライバ14−1及び14−pは、階調電圧信号の1データ期間に合わせて、映像データの書き込み対象である画素までのデータドライバからの距離に応じてゲート線の選択期間が変化するゲートタイミング信号GS2を生成する。ゲートタイミング信号GS2を受けるゲートドライバは、映像データの書き込み対象である画素までのデータドライバからの距離に応じてゲート線の選択期間が変化するゲート線信号Vg1〜Vgnを生成し、ゲート線GL1〜GLnに印加する。
【0088】
かかる構成によれば、表示コントローラ12は、データドライバ14−1〜14−pに向けて、一定周期でシリアル化されて一体化された映像データ信号VDS、クロック信号CLK、制御信号CS、及び一定周期のゲートタイミング信号GS1を送信する。このため、表示コントローラ12とデータドライバ14−1〜14−pとの間の信号伝送では、変調信号を伝送することによる伝送周波数の大幅な増加が生じない。また、伝送周波数の増加に応じて、伝送経路の部品においてその性能を上げるために変更する必要がない。
【0089】
また、本実施例の表示装置100では、データ信号Vdxの生成及び出力だけでなく、ゲートタイミング信号GS2の生成をデータドライバ14−1及び14−pが行う。従って、表示コントローラ12(TCON−IC31)の構成の変更は不要であり、データドライバ14−1〜14−pの構成の変更に集約することができる。
【0090】
従って、本発明に係る表示装置によれば、装置規模の増大を抑えつつ、画質の劣化を抑制することが可能となる。