特許第6846430号(P6846430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6846430鉱酸によってイソシアネートに基づくキセロゲルおよびエアロゲルを作製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846430
(24)【登録日】2021年3月3日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】鉱酸によってイソシアネートに基づくキセロゲルおよびエアロゲルを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/28 20060101AFI20210315BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20210315BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20210315BHJP
   C08G 18/16 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   C08J9/28CFF
   C08G18/00 F
   C08G18/30 020
   C08G18/16
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-538932(P2018-538932)
(86)(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公表番号】特表2018-532035(P2018-532035A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016074308
(87)【国際公開番号】WO2017064044
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】15190183.2
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/242,324
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518132488
【氏名又は名称】ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】レルスベルク,ヴィブケ
(72)【発明者】
【氏名】フリッケ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインリッヒ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】レベンティス,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ソティリウ−レベンティス,カリクリア
(72)【発明者】
【氏名】サエード,アドナン エム.
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103319719(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0248125(US,A1)
【文献】 特表2012−520386(JP,A)
【文献】 特開2000−001560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00− 9/42
C08G 18/00−18/87
C08G 71/00−71/04
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性材料を製造するための方法であって、
a) 混合物(I)を用意する工程であって、混合物(I)は、
(i) 組成物(A)であって、
成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートと、
少なくとも1種の鉱酸(aa)と
を少なくとも含む、組成物(A)
および
(ii) 溶媒(B)
を含む、工程、
b) 組成物(A)中の成分を反応させ、有機ゲルを得る工程ならびに
c) 得られたゲルを乾燥させる工程
を少なくとも含み、
鉱酸(aa)が、硫黄、ホウ素、窒素、リン、ケイ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素、クロム、バナジウム、マンガン、レニウム、テクネチウム、ヒ素、セレンまたはテルルを含む無機オキソ酸からなる群より選択され
前記組成物(A)が、40〜99mol%の範囲の量の成分(ai)を含み、且つ
前記溶媒(B)が、ケトン、アルデヒド、アルキルアルカノエート、アセタール、ジアルキルエーテル、環状エーテル、アミド、スルホキシド、脂肪族又は脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、有機カーボネート及びフッ素含有エーテル、並びにこれら溶媒の2種以上の混合物より選択される、
方法。
【請求項2】
組成物(A)が、
− 0〜2wt%の範囲の量のアミン、
− 0〜20wt%の範囲の量のアルコールおよび
− 0〜1wt%の範囲の量の水
(但し、0を除く)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多官能性イソシアネートが、芳香族、脂肪族、脂環式および芳香脂肪族イソシアネートからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
組成物(A)が、60〜1mol%の範囲の量の鉱酸(aa)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
工程c)による乾燥が、ゲルに含まれる液体の臨界温度および臨界圧力より低い温度および圧力において、ゲルに含まれる液体を気体状態に変換することによって実施される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
断熱材料としてまたは真空絶縁パネルのために、請求項1からのいずれか一項に記載の方法によって得られるもしくは得ることができる多孔性材料を使用する方法。
【請求項7】
触媒として、請求項1からのいずれか一項に記載の方法によって得られるもしくは得ることができる多孔性材料を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性材料を製造するための方法であって、混合物(I)を用意する工程であって、混合物(I)は、組成物(A)であって、成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートと、少なくとも1種の鉱酸(aa)とを少なくとも含む、組成物(A)および溶媒(B)を含む、工程、組成物(A)中の成分を反応させ、有機ゲルを得る工程ならびに得られたゲルを乾燥させる工程を少なくとも含む、方法を対象とする。さらに、本発明は、このようにして得ることができる多孔性材料、ならびに断熱材料および触媒として多孔性材料を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
数ミクロンまたはこれを著しく下回るサイズ範囲の細孔および少なくとも70%の高い多孔度を有する多孔性材料、例えばポリマーフォームは、理論的考察に基づけば、特に良好な断熱材である。
【0003】
小さな平均細孔径を有するこのような多孔性材料は例えば、ゾル−ゲル法によって作製された後に乾燥させた、有機エアロゲルまたはキセロゲルの形態であってよい。ゾル−ゲル法においては、最初に、反応性有機ゲル前駆物質に基づくゾルを作製し、次いで、架橋反応によってゾルをゲル化して、ゲルを形成する。ゲルから多孔性材料、例えばエアロゲルを得るためには、液体を除去しなければならない。この工程は以降、簡潔性を目的として乾燥と呼ぶ。
【0004】
WO95/02009は、真空絶縁の分野における用途に特に適したイソシアネート系キセロゲルを開示している。上記公報は、キセロゲルを作製するためのゾル−ゲル法に基づいた方法も開示しており、公知のポリイソシアネート、特に芳香族ポリイソシアネートおよび非反応性溶媒が使用されている。活性水素原子を有するさらなる化合物として、脂肪族もしくは芳香族ポリアミンまたはポリオールが使用されている。上記公報において開示された例は、ポリイソシアネートがジアミノジエチルトルエンと反応する例を含む。開示されたキセロゲルは一般に、およそ50μmの平均細孔サイズを有する。一例として、10μmの平均細孔径が言及される。
【0005】
WO2011/069959、WO2012/000917およびWO2012/059388は、多官能性イソシアネートおよび多官能性芳香族アミンに基づく多孔性材料を記載しており、このアミン成分は、多官能性置換芳香族アミンを含む。記載された多孔性材料は、イソシアネートに対して不活性の溶媒中でイソシアネートを所望の量のアミンと反応させることによって作製される。触媒の使用は、WO2012/000917およびWO2012/059388から公知である。
【0006】
US2012/152846A1は、ポリ尿素の多孔性三次元網目構造および炭素の多孔性三次元網目構造ならびにこれらの製造方法を開示している。一例によれば、ポリ尿素エアロゲルは、トリイソシアネートを水およびトリエチルアミンと混合して、ゾル−ゲル法による材料を形成し、ゾル−ゲル法による材料を超臨界乾燥させて、ポリ尿素エアロゲルを形成することによって製造される。ポリ尿素エアロゲルを熱分解の工程に供することにより、炭素骨格を有する三次元網目構造を生じさせ、炭素エアロゲルを得ることができる。ポリ尿素エアロゲルの密度およびモルフォロジーは、初期の反応混合物中のイソシアネートモノマーの量を変更することによって制御できる。
【0007】
しかしながら、ポリ尿素に基づく公知の多孔性材料の材料特性、特に機械的安定性および/または圧縮強さならびに熱伝導率は、すべての用途において満足ではない。
【0008】
従来技術から公知のイソシアネートおよびアミンに基づく配合品に伴う特定の課題は、混合不良である。混合不良は、完全な混合の前にゲル化反応がかなりの度合いまですでに進行していることが理由となって、イソシアネートとアミノ基との間の高い反応速度の結果として起きる。混合不良は、不均一でありかつ満足でない材料特性を有する多孔性材料をもたらす。
【0009】
公知の多孔性材料の別の欠点は、大抵の場合、出発物質のコストが高いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO95/02009
【特許文献2】WO2011/069959
【特許文献3】WO2012/000917
【特許文献4】WO2012/059388
【特許文献5】US2012/152846A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を回避することであった。特に、上述した欠点を有しないまたは上述した欠点の程度が減じた多孔性材料が、提供されるべきである。多孔性材料は、空気の流通がある状態において、すなわち、大気圧において低い熱伝導率を有するべきである。さらに、多孔性材料は、高い多孔度、低い密度および十分に高い機械的安定性も同時に有するべきである。さらに、多孔性材料は、コストがより低い出発物質から作製すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、多孔性材料を製造するための方法であって、
a) 混合物(I)を用意する工程であって、混合物(I)は、
(i) 組成物(A)であって、
成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートと、
少なくとも1種の鉱酸(aa)と
を少なくとも含む、組成物(A)
および
(ii) 溶媒(B)
を含む、工程、
b) 組成物(A)中の成分を反応させ、有機ゲルを得る工程ならびに
c) 得られたゲルを乾燥させる工程
を少なくとも含む、方法によって解決される。
【0013】
本発明の多孔性材料は、好ましくは、エアロゲルまたはキセロゲルである。本発明の目的のために、キセロゲルは、液相の臨界温度および臨界圧力より低いとき(「亜臨界条件」)の乾燥によってゲルから液相が除去されるゾル−ゲル法によって作製された、多孔性材料である。エアロゲルは、超臨界条件下でゲルから液相が除去されるゾル−ゲル法によって作製された、多孔性材料である。
【0014】
驚くべきことに、本発明の方法によれば、ポリ尿素に基づくエアロゲルが、著しい量の水および/またはアミンを用いない方法によって得られることが判明した。
【0015】
好ましい実施形態は、特許請求の範囲および本明細書において見出すことができる。好ましい実施形態の組合せは、本発明の範囲を外れない。使用される成分の好ましい実施形態は、下記で記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によれば、多孔性材料を製造するための方法において、組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)が、工程a)において用意される。組成物(A)は、成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートおよび少なくとも1種の鉱酸(aa)を含む。工程b)によって、溶媒(B)の存在下で組成物(A)中の成分を反応させて、ゲルを形成する。次いで、本発明の方法の工程c)によってゲルを乾燥させる。
【0017】
上記に開示の方法は、改善された特性を有する多孔性材料をもたらす。
【0018】
組成物(A)は、成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートおよび少なくとも1種の鉱酸(aa)を含む。組成物(A)は、さらなる成分をさらに含み得る。本発明との関連において、組成物(A)は、さらなる成分を含まないことが可能であり、すなわち、本発明の一実施形態によれば、組成物(A)は、成分(ai)としての1種または複数の多官能性イソシアネートおよび1種または複数の鉱酸(aa)からなる。
【0019】
組成物(A)が、ごく少量のアミン、アルコールおよび水を含むことは、有利であることが判明した。本発明によれば、組成物(A)は、好ましくは0〜2wt%の範囲の量、特に0〜1wt%の範囲の量、より好ましくは0.1〜0.5wt%の範囲の量のアミンを含む。さらに、本発明によれば、組成物(A)は、好ましくは0〜20wt%の範囲の量、特に0〜10wt%の範囲の量、より好ましくは0.1〜5wt%の範囲の量のアルコールを含む。組成物(A)は、好ましくは0〜1wt%の範囲の量、特に0〜0.5wt%の範囲の量、より好ましくは0.1〜0.2wt%の範囲の量の水を含む。
【0020】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、組成物(A)が、
− 0〜2wt%の範囲の量のアミン、
− 0〜20wt%の範囲の量のアルコールおよび
− 0〜1wt%の範囲の量の水
を含む、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0021】
特に好ましい一実施形態において、水は使用されない。さらなる一実施形態によれば、本発明は、水が使用されない、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0022】
組成物(A)は、少なくとも1種の鉱酸(aa)を含む。本発明との関連において、原則的に、任意の鉱酸を使用することができる。本発明によれば、組成物(A)が2種以上の鉱酸を含むことも可能である。
【0023】
本発明との関連において、鉱酸は、炭素を含まない酸である。本発明との関連においては例えば、硫黄、ホウ素、窒素、リン、ケイ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素、クロム、バナジウム、マンガン、レニウム、テクネチウム、ヒ素、セレンまたはテルルを含む無機オキソ酸が、適切である。
【0024】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、鉱酸(aa)が、硫黄、ホウ素、窒素、リン、ケイ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素、クロム、バナジウム、マンガン、レニウム、テクネチウム、ヒ素、セレンまたはテルルを含む無機オキソ酸からなる群より選択される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0025】
鉱酸(aa)は例えば、HNO、HNO、H、HPO、HPO、HPO、H、H10、HSO、HSO、H、H、H、HBO、HCrO、HCr、HVO、HMnO、HTcO、HTcO、HReO、HReO、HSiO、HOCN、HNCO、HONC、H、HPO、HPO、H、HPH、HAsO、HAsO、HSO、H、H、H、HSO、HSeO、HSeO、HTeO、HTeO、HTeO、HClO、HClO、HClO、HClO、HBrO、HBrO、HBrO、HBrO、HIO、HIO、HIO、HIOからなる群より選択され得る。鉱酸(aa)は例えば、ドデカモリブダトリン酸、ドデカモリブダトリン酸三アンモニウムおよびドデカタングストリン酸等のヘテロポリ酸およびイソポリ酸からなる群より選択することもできる。
【0026】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、鉱酸(aa)が、HNO、HNO、H、HPO、HPO、HPO、H、H10、HSO、HSO、H、H、H、HBO、HCrO、HCr、HVO、HMnO、HTcO、HTcO、HReO、HReO、HSiO、HOCN、HNCO、HONC、H、HPO、HPO、H、HPH、HAsO、HAsO、HSO、H、H、H、HSO、HSeO、HSeO、HTeO、HTeO、HTeO、HClO、HClO、HClO、HClO、HBrO、HBrO、HBrO、HBrO、HIO、HIO、HIO、HIOからなる群より選択される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0027】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、鉱酸(aa)が、ヘテロポリ酸およびイソポリ酸からなる群より選択され、特に鉱酸(aa)が、ドデカモリブダトリン酸、ドデカモリブダトリン酸三アンモニウムおよびドデカタングストリン酸からなる群より選択される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0028】
本発明による方法において使用される溶媒に可溶な鉱酸を使用することは、有利であることが判明した。しかしながら、本発明の方法の最後の段階中に使用される溶媒に完全に可溶ではない鉱酸を使用することもできる。この場合、鉱酸を使用して、本方法において得られた多孔性材料を浸すことができる。
【0029】
一般に、使用される鉱酸(aa)および成分(ai)の量は、広範な範囲にわたり得る。本発明によれば、鉱酸は好ましくは、60〜1mol%の範囲の量、好ましくは57〜5mol%の範囲の量、より好ましい54〜20mol%の範囲の量で使用される。
【0030】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、組成物(A)が、60〜1mol%の範囲の量の鉱酸(aa)を含む、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0031】
本発明によれば、組成物(A)は、成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートをさらに含む。
【0032】
多官能性イソシアネート(ai)は以降、一まとめにして、成分(ai)と呼ぶ。言及されたモノマー成分が、反応済みの形態で多孔性材料中に存在することは、当業者にとって明白であろう。本発明の目的のために、化合物の官能性は、分子1個当たりの反応性基の数である。モノマー成分(ai)の場合、官能性は、分子1個当たりのイソシアネート基の数である。多官能性化合物は、少なくとも2の官能性を有する。
【0033】
異なる官能性を有する化合物の混合物が成分(ai)として使用される場合、成分の官能性は、いずれの場合も、個別の化合物の官能性の数平均によって与えられる。多官能性化合物は、分子1個当たり少なくとも2個の上述した官能基を含む。
【0034】
好ましくは、使用される成分(ai)の量は、40〜99mol%の範囲、特に50〜95mol%の範囲、より好ましい60〜90mol%の範囲、特に好ましくは70〜85mol%の範囲である。
【0035】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、組成物(A)が、40〜99mol%の範囲の量の成分(ai)を含む、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0036】
可能な多官能性イソシアネートは、芳香族、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族イソシアネートである。このような多官能性イソシアネートは、それ自体は公知であり、またはそれ自体は公知の方法によって製造することができる。多官能性イソシアネートは、特に混合物として使用することもできるが、この場合は結果として、成分(ai)が、様々な多官能性イソシアネートを含む。モノマー構成ブロック(ai)であり得る多官能性イソシアネートは、モノマー成分の分子1個当たり2個のイソシアネート基(以降、ジイソシアネートと呼ぶ)または2個より多いイソシアネート基を有する。
【0037】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、多官能性イソシアネートが、芳香族、脂肪族、脂環式および芳香脂肪族イソシアネートからなる群より選択される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0038】
特に適切な多官能性イソシアネートは、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−および/または2、6−ジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネートおよび/またはp−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、1,3−ビス(1−イソシアナト−1メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、1−(イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチル−1−エチル)ベンゼン)(TMI)、1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンおよび/またはオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−および/または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−および/または2,6−ジイソシアネートならびにジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−および/または2,2’−ジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン(TIPM)である。
【0039】
多官能性イソシアネート(ai)として、芳香族イソシアネートが好ましい。特に好ましい成分(ai)の多官能性イソシアネートは、次の実施形態、すなわち、
i) トリレンジイソシアネート(TDI)、特に2,4−TDIもしくは2,6−TDIまたは2,4−および2,6−TDIの混合物を主体とした多官能性イソシアネート、
ii) ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特に2,2’−MDIもしくは2,4’−MDIもしくは4,4’−MDI、もしくはポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも呼ばれるオリゴメリックMDI、もしくは上述したジフェニルメタンジイソシアネートの2種もしくは3種の混合物、もしくはMDIの作製において得られた粗製MDI、または少なくとも1種のMDIのオリゴマーと上述した低分子量MDI誘導体の少なくとも1種との混合物を主体とした多官能性イソシアネート、
iii) トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン(TIPM)、
iv) 実施形態i)による少なくとも1種の芳香族イソシアネートと、実施形態ii)による少なくとも1種の芳香族イソシアネートとの混合物
である。
【0040】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、イソシアネート混合物が、成分(ai)として使用される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0041】
オリゴメリックジフェニルメタンジイソシアネートは、多官能性イソシアネートとして特に好ましい。オリゴメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以降、オリゴメリックMDIと呼ぶ)は、オリゴメリック縮合生成物または複数のオリゴメリック縮合生成物の混合物であり、したがって、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の誘導体(複数可)である。多官能性イソシアネートは好ましくは、モノメリック芳香族ジイソシアネートと、オリゴメリックMDIとの混合物から構成されることも可能である。
【0042】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、多官能性イソシアネートが、モノメリック芳香族ジイソシアネートとオリゴメリックMDIとの混合物である、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。ポリメリックMDIおよびモノメリックMDIの混合物が使用される場合、混合物中のポリメリックMDIの量は例えば、100%〜30%の範囲、好ましくは95%〜40%の範囲、より好ましくは90%〜45%の範囲である。モノメリックMDIの量は例えば、いずれの場合においてもポリメリックMDIおよびモノメリックMDIの合計に対して、60%〜0%の範囲、好ましくは55%〜10%の範囲、より好ましくは50%〜15%の範囲である。
【0043】
MDIの異性体の適切な混合物は、例えば、2,4−MDIおよび4,4’−MDIを含む。100質量%である組成物2,4−MDIおよび4,4’−MDIを含む混合物の総質量に対する質量による2,4−MDIの合計割合は、好ましくは0〜56質量%、特に0.4〜54質量%、より好ましくは0.8〜52質量%、特に好ましくは1.2〜50質量%である。出発物質中の異性体の量を、言及された範囲に順守することにより、特に有利な細孔構造、低い熱伝導率および乾燥中における少ない収縮を有する多孔性材料がもたらされる。オリゴメリックMDIは、複数の環および2より多い官能性、特に3または4または5の官能性を有する、1種または複数のMDIの縮合生成物を含む。オリゴメリックMDIは公知であり、ポリフェニルポリメチレンイソシアネートまたはポリメリックMDIと呼ばれることが多い。オリゴメリックMDIは通常、様々な官能性を有するMDI系イソシアネートの混合物から構成される。オリゴメリックMDIは通常、モノメリックMDIとの混合物として使用される。
【0044】
オリゴメリックMDIを含むイソシアネートの(平均)官能性は、約2.2〜約5の範囲、特に2.3〜3.5の範囲、特に2.4〜3の範囲にわたり得る。このような様々な官能性を有するMDI系多官能性イソシアネートの混合物は、特に、MDIの作製において得られる粗製MDIである。
【0045】
MDIを主体とした多官能性イソシアネートまたは複数の多官能性イソシアネートの混合物が公知であり、例えばBASF Polyurethanes GmbHからLupranat(登録商標)の名称で販売されている。
【0046】
成分(ai)の官能性は、好ましくは少なくとも2、特に少なくとも2.2、および特に好ましくは少なくとも2.4である。成分(ai)の官能性は、好ましくは2.2〜4、特に好ましくは2.4〜3である。
【0047】
好ましい一実施形態において、成分(ai)は、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネートおよびオリゴメリックジフェニルメタンジイソシアネートの中から選択される少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含む。この好ましい実施形態において、成分(ai)は、特に好ましくは、オリゴメリックジフェニルメタンジイソシアネートを含み、少なくとも2.4の官能性を有する。
【0048】
使用される成分(ai)の粘度は、幅広い範囲にわたり得る。成分(ai)は、好ましくは1〜300mPa.s、特に好ましくは2〜250mPa.sの粘度を有する。
【0049】
成分(ai)および(aa)は以降、一まとめにして、有機ゲル前駆物質(A’)と呼ぶ。成分(ai)および(aa)の部分的な反応により、実際のゲル前駆物質(A’)が生じ、続いて、このゲル前駆物質がゲルに変換されることは、当業者にとって明白である。
【0050】
さらなる成分
組成物(A)は、成分(ac)としての少なくとも1種の触媒をさらに含み得る。使用される成分(ac)の量は、好ましくは少なくとも0.1質量%、特に少なくとも0.2質量%、特に好ましくは少なくとも0.3質量%、特に少なくとも0.5質量%である。使用される成分(ac)の量は、いずれの場合においても組成物(A)の総質量に対して、好ましくは最大で20質量%、特に最大で18質量%、特に好ましくは最大で16質量%、特に最大で14質量%である。
【0051】
さらなる一実施形態によれば、組成物(A)は、触媒として作用するさらなる成分を不含であり、特に、組成物(A)は好ましくは、少なくとも1種の第三級アミノ基を含む触媒を不含である。
【0052】
組成物(A)は、例えば赤外線吸収剤または難燃剤等のさらなる添加剤も含み得る。適切な添加剤は、当業者に公知である。
【0053】
溶媒(B)
本発明によれば、反応は、溶媒(B)の存在下で起きる。
【0054】
本発明の目的のために、溶媒(B)という用語は、液体状希釈剤、すなわち、より狭義の意味の溶媒と、また分散媒体との両方を含む。混合物は、特に、真溶液、コロイド溶液または分散物、例えば、エマルションまたは懸濁液であってよい。混合物は、好ましくは、真溶液である。溶媒(B)は、工程(a)の条件下で液体の化合物、好ましくは有機溶媒である。
【0055】
溶媒(B)は、原則的に、任意の適切な化合物または複数の化合物の混合物であってよく、溶媒(B)は、混合物が工程(a)において用意される温度および圧力の条件(略して溶解条件)下で液体である。溶媒(B)の組成物は、当該組成物が、有機ゲル前駆物質を溶解または分散させることができるように、好ましくは溶解させることができるように選択される。好ましい溶媒(B)は、有機ゲル前駆物質(A’)のための溶媒のものであり、すなわち、反応条件下で有機ゲル前駆物質(A’)を完全に溶解させる溶媒である。溶媒(B)の存在下における反応の反応生成物は、最初にゲルであり、すなわち、溶媒(B)によって膨潤した粘弾性の化学物質による網目構造である。工程(b)において形成された網目構造に対して良好な膨潤剤である溶媒(B)は一般に、微細な細孔および小さな平均細孔径を有する網目構造をもたらすが、工程(b)から生じたゲルに対して良好でない膨潤剤である溶媒(B)は一般に、大きな平均細孔径を有する粗大な細孔の網目構造をもたらす。
【0056】
したがって、溶媒(B)の選択は、所望の細孔サイズ分布および所望の多孔度に影響する。一般に、溶媒(B)の選択も同様に、沈殿した反応生成物の形成による沈殿またはフロキュレーションが本発明の方法の工程(b)の最中または後に著しい程度で起きないように実施される。
【0057】
適切な溶媒(B)が選択された場合、沈殿した反応生成物の割合は通常、混合物の総質量に対して1質量%未満である。特定の溶媒(B)中で形成されて沈殿した生成物の量は、ゲル化点前に適切なフィルターを用いて反応混合物をろ過することによって、質量測定により決定することができる。
【0058】
可能な溶媒(B)は、イソシアネート系ポリマーのための従来技術から公知の溶媒である。好ましい溶媒は、成分(ai)および(aa)のための溶媒のものであり、すなわち、反応条件下で成分(ai)および(aa)の構成要素をほぼ完全に溶解させる溶媒である。溶媒(B)は好ましくは、成分(ai)に対して不活性であり、すなわち、非反応性である。可能な溶媒(B)は例えば、ケトン、アルデヒド、アルキルアルカノエート、ホルムアミドおよびN−メチルピロリドン等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、脂肪族および脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物ならびにフッ素含有エーテルである。上述した化合物の2種以上の混合物も、同様に可能である。さらに、アセタール、特にジエトキシメタン、ジメトキシメタンおよび1,3−ジオキソランも、溶媒(B)として可能である。
【0059】
同様に、ジアルキルエーテルおよび環状エーテルも、溶媒(B)として適切である。好ましいジアルキルエーテルは特に、2〜6個の炭素原子を有するジアルキルエーテル、特にメチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテルおよびエチルt−ブチルエーテルである。好ましい環状エーテルは、特に、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびテトラヒドロピランである。アルデヒドおよび/またはケトンは、溶媒(B)として特に好ましい。溶媒(B)として適したアルデヒドまたはケトンは特に、一般式R−(CO)−R(式中、RおよびRがそれぞれ、水素であり、または1個、2個、3個、4個、5個、6個もしくは7個の炭素原子を有するアルキル基である)に対応するアルデヒドまたはケトンである。適切なアルデヒドまたはケトンは特に、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペンタアルデヒド、2−メチルペンタアルデヒド、2−エチルヘキサアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、フルフラール、アクロレインダイマー、メタクロレインダイマー、1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒド、6−メチル−3−シクロヘキセンアルデヒド、シアノアセトアルデヒド、エチルグリオキシレート、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、5−メチル−2−アセチルフラン、2−アセチルフラン、2−メトキシ−4−メチルペンタン−2−オン、5−メチルヘプタン−3−オン、オクタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンおよびアセトフェノンである。上述したアルデヒドおよびケトンは、混合物の形態で使用することもできる。置換基1個当たり最大3個の炭素原子を有するアルキル基を有するケトンおよびアルデヒドは、溶媒(B)として好ましい。さらなる好ましい溶媒は、アルキルアルカノエート、特にメチルホルメート、メチルアセテート、エチルホルメート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、グリセリントリアセテートおよびエチルアセトアセテートである。好ましいハロゲン化溶媒は、WO00/24799の4頁12行目〜5頁4行目に記載されている。さらなる適切な溶媒(B)は、例えば、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはブチレンカーボネート等の有機カーボネートである。多くの場合、特に適切な溶媒(B)は、上述した溶媒から選択される、完全に混和できる2種以上の化合物の使用によって得られる。
【0060】
好ましくは、乾燥した溶媒、すなわち、水を実質的に不含の溶媒が、溶媒(B)として使用される。この点に関して、水を実質的に不含であるとは、溶媒が、0.5質量%未満の水、好ましくは0.1質量%未満の水を含むことを意味する。
【0061】
工程(c)の乾燥中に収縮しすぎない十分に安定なゲルを得るためには、工程(b)において、100質量%である組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)の総質量に対する組成物(A)の割合は、一般に1質量%以上でなければならない。100質量%である組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)の総質量に対する組成物(A)の割合は、好ましくは少なくとも2質量%、特に好ましくは少なくとも3質量%、特に少なくとも3.5質量%である。
【0062】
一方、用意された混合物中の組成物(A)の濃度は、濃度が高すぎる場合は好ましい特性を有する多孔性材料が得られないため、高すぎないようにしなければならない。一般に、100質量%である組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)の総質量に対する組成物(A)の割合は、50質量%以下である。100質量%である組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)の総質量に対する組成物(A)の割合は、好ましくは45質量%以下、特に好ましくは42質量%以下、より好ましくは39質量%以下、特に36質量%以下である。100質量%である組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物(I)の総質量に対する質量による組成物(A)の合計割合は、好ましくは1〜45質量%、特に2〜42質量%、より好ましくは3〜39質量%、特に好ましくは3.5〜36質量%である。出発物質の量を、言及された範囲に順守することにより、特に有利な細孔構造、低い熱伝導率および乾燥中における少ない収縮を有する多孔性材料がもたらされる。
【0063】
反応前には、使用される成分を混合すること、特に、使用される成分を均一に混合することが必要である。混合速度は、混合不良を回避するために、反応速度に対して高くすべきである。適切な混合方法は、当業者にそれ自体は公知である。
【0064】
本発明によれば、溶媒(B)が使用される。溶媒(B)は、2種以上の溶媒、例えば3種または4種の溶媒の混合物であってもよい。適切な溶媒は例えば、2種以上のケトンの混合物、例えばアセトンとジエチルケトンとの混合物、アセトンとメチルエチルケトンとの混合物またはジエチルケトンとメチルエチルケトンとの混合物である。
【0065】
さらなる好ましい溶媒は、プロピレンカーボネートと1種または複数の溶媒との混合物、例えばプロピレンカーボネートとジエチルケトンとの混合物もしくはプロピレンカーボネートと2種以上のケトンとの混合物、例えばプロピレンカーボネートとアセトンおよびジエチルケトンとの混合物、プロピレンカーボネートとアセトンおよびメチルエチルケトンとの混合物またはプロピレンカーボネートとジエチルケトンおよびメチルエチルケトンとの混合物である。
【0066】
本発明によれば、有機ゲルが得られる後に、溶媒(B)が溶媒(S)によって置きかえられることも可能である。溶媒(S)は例えば、本発明の方法の工程c)において使用される溶媒および液体と混和できる任意の溶媒であってよい。
【0067】
適切な溶媒(S)は例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルホルメート、メチルアセテート、エチルホルメート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される。
【0068】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、有機ゲルが得られた後かつ工程c)より前に、溶媒(B)が溶媒(S)によって置きかえられる、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。特に、本発明は、有機ゲルが得られた後かつ工程c)より前に、溶媒(B)が溶媒(S)によって置きかえられる、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法であって、溶媒(S)が、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルホルメート、メチルアセテート、エチルホルメート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される、方法を対象とする。
【0069】
多孔性材料を作製するための好ましい方法
本発明の方法は、
(a) 上記に記載した組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物を用意する工程、
(b) 溶媒(B)の存在下で組成物(A)中の成分を反応させて、ゲルを形成する工程ならびに
(c) 工程(b)において得られたゲルを乾燥させる工程
を少なくとも含む。
【0070】
工程(a)から(c)の好ましい実施形態を、下記で詳細に記載する。
【0071】
工程(a)
本発明によれば、組成物(A)および溶媒(B)を含む混合物が、工程(a)において用意される。
【0072】
組成物(A)の成分、例えば成分(ai)および(aa)は好ましくは、それぞれが溶媒(B)の一部をなす適切な量で、互いに別々に用意される。別々に用意することにより、ゲル化反応を、混合前および混合中に最適にモニタリングまたは制御することが可能になる。
【0073】
工程(a)において用意された1種または複数の混合物は、さらなる構成要素として、当業者に公知の慣例的な補助剤をさらに含み得る。例として、界面活性物質、難燃剤、核形成剤、酸化安定剤、潤滑剤および離型剤、染料および顔料、例えば加水分解、光、熱または変色に対する安定剤、無機および/または有機充填剤、補強材ならびに殺生物剤を挙げることができる。上述した補助剤および添加剤に関するさらなる情報は、専門家による文献、例えば、Plastics Additive Handbook、第5版、H.Zweifel編集 Hanser Publishers、Munich、2001において見出すことができる。
【0074】
工程(b)
本発明によれば、工程(b)において、組成物(A)の成分の反応が、溶媒(B)の存在下で起きて、ゲルを形成する。反応を実施するためには、最初に、工程(a)において用意される成分の均一な混合物を作製しなければならない。工程(a)において用意される成分の用意は、従来の方法によって実施することができる。ここで、好ましくは、撹拌器具または別の混合器具が、良好で迅速な混合を達成するために使用される。均一な混合物を作製するために必要な時間は、混合不良を回避するために、ゲル化反応によりゲルの少なくとも部分的な形成が起きる時間より短くすべきである。他の混合条件は一般に重要ではなく、例えば、混合は、0〜100℃および0.1〜10bar(絶対圧)において実施することができ、特に、例えば室温および大気圧において実施することができる。均一な混合物が作成された後には、混合装置のスイッチを切ることが好ましい。
【0075】
本発明の目的のために、ゲルは、液体と接触した状態で存在するポリマーに基づく架橋系である(SolvogelもしくはLyogelとして公知であり、または、液体が水の場合は、アクアゲルもしくはヒドロゲルとして公知である)。ここで、ポリマー相は、連続的な三次元網目構造を形成する。
【0076】
本発明の方法の工程(b)において、ゲルは通常、放置すること、例えば、混合物が中に存在する容器、反応容器または反応器(以降、ゲル化装置と呼ぶ)を単に静置することによって形成される。混合物は、ゲルの形成を妨げる可能性があるため、ゲル化(ゲル形成)中にもう撹拌または混合されないことが好ましい。ゲル化中の混合物を覆っておくことまたはゲル化装置を閉じておくことは、有利であることが判明した。
【0077】
ゲル化は、当業者にそれ自体は公知であり、例えばWO2009/027310の21頁19行目〜23頁13行目に記載されている。
【0078】
工程(c)
本発明によれば、工程(b)において得られたゲルは、工程(c)において乾燥される。
【0079】
超臨界条件下での乾燥は原則的に、好ましくはCOまたは超臨界乾燥という目的に適した他の溶媒による溶媒の置きかえ後に可能である。このような乾燥は、当業者にそれ自体は公知である。超臨界条件は、COもしくはゲル化溶媒の除去のために使用される任意の溶媒、または、それらの混合物が、超臨界状態で存在する、温度および圧力を特徴付ける。このようにすれば、溶媒を除去したときのゲル本体の収縮を低減することができる。
【0080】
しかしながら、単純なプロセス条件という観点から、ゲルに含まれる液体の臨界温度および臨界圧力より低い温度および圧力おいて、ゲルに含まれる液体を気体状態に変換することによって得られたゲルを乾燥させることが好ましい。得られたゲルの乾燥は好ましくは、それぞれ溶媒(B)または(S)の臨界温度および臨界圧力より低い温度および圧力において、溶媒(B)または(S)を気体状態に変換することによって実施される。したがって、乾燥は好ましくは、あらかじめさらなる溶媒によって置きかえることなく、反応中に存在する溶媒(B)を除去することによって実施される。しかしながら、本発明によれば、溶媒(B)は、適切な溶媒(S)によって置きかえられることもあり得る。溶媒(B)が溶媒(S)によって置きかえられた場合、乾燥は、溶媒(S)の除去によって実施される。
【0081】
このような方法も同様に当業者に公知であり、WO2009/027310の26頁22行目〜28頁36行目に記載されている。
【0082】
さらなる一実施形態によれば、本発明は、工程c)による乾燥が、ゲルに含まれる液体の臨界温度および臨界圧力より低い温度および圧力において、ゲルに含まれる液体を気体状態に変換することによって実施される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。さらなる一実施形態によれば、本発明は、工程c)による乾燥が、超臨界条件下で実施される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法を対象とする。
【0083】
多孔性材料の特性および多孔性材料を使用する方法
本発明は、本発明の方法によって得ることができる多孔性材料をさらに提供する。エアロゲルは、本発明の目的のための多孔性材料として好ましく、すなわち、本発明によって得ることができる多孔性材料は、好ましくは、エアロゲルである。
【0084】
したがって、さらに、本発明は、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法によって得られるまたは得ることができる、多孔性材料を対象とする。特に、本発明は、工程c)による乾燥が、超臨界条件下で実施される、上記に開示の多孔性材料を製造するための方法によって得られるまたは得ることができる、多孔性材料を対象とする。
【0085】
平均細孔径は、統計学的に有意な数の細孔を使用した走査型電子顕微鏡法および後続の画像分析によって測定される。対応する方法は、当業者に公知である。
【0086】
多孔性材料の体積平均細孔径は、好ましくは、400ナノメートル以下である。多孔性材料の体積平均細孔径は、特に好ましくは300ナノメートル以下、非常に特に好ましくは200ナノメートル以下、特に100ナノメートル以下である。
【0087】
高い多孔度と複合した非常に小さな細孔サイズは、低い熱伝導率の観点からも、作製の観点からも、十分に機械的に安定な多孔性材料を得るためにも望ましいが、体積平均細孔径には、実用上の下限が存在する。一般に、体積平均細孔径は、少なくとも5nm、好ましくは少なくとも10nmである。本発明によって得ることができる多孔性材料は好ましくは、少なくとも70体積%、特に70〜99体積%、特に好ましくは少なくとも80体積%、非常に特に好ましくは少なくとも85体積%、特に85〜95体積%の多孔度を有する。体積%単位の多孔度は、多孔性材料の合計体積のうち指定された割合が、細孔で占められていることを意味する。非常に高い多孔度は通常、最低の熱伝導率という観点から望ましいが、多孔度には、多孔性材料の機械的特性および加工性によって上限が課されている。
【0088】
組成物(A)の成分、例えば成分(ai)および(aa)は、本発明によって得ることができる多孔性材料中に反応性の(ポリマー)形態で存在する。本発明による組成物のため、モノマー構成ブロックは主に、多孔性材料中の尿素結合部を介して結合している。
【0089】
多孔性材料中のモノマー構成ブロックの結合部のmol%の測定は、固体の状態または膨潤した状態において、NMR(核磁気共鳴)分光法によって実施される。適切な測定法は、当業者に公知である。
【0090】
本発明によって得ることができる多孔性材料の密度は、通常20〜900g/l、好ましくは50〜800g/l、特に好ましくは80〜7500g/lである。
【0091】
本発明の方法は、ポリマー粉末または粒子だけでなく、コヒーレントな多孔性材料も与える。ここで、得られた多孔性材料の三次元形状は、ゲルの形状によって決定され、そしてゲルの形状は、ゲル化装置の形状によって決定される。したがって、例えば、円筒形のゲル化容器は通常、後で乾燥させて、円筒形の形状を有する多孔性材料を生じさせることができる、ほぼ円筒形のゲルを生じさせる。
【0092】
本発明によって得ることができる多孔性材料は、高い機械的安定性と複合した低い熱伝導率、高い多孔度および低い密度を有する。さらに、多孔性材料は、小さな平均細孔サイズを有する。上述した特性の組合せにより、材料は、断熱の分野における絶縁材料として使用することができ、特に、空気の流通がある状態で建築資材としての用途のために使用することができる。本発明によって得ることができる多孔性材料は、有利な熱的特性、ならびに、簡単に加工できることおよび高い機械的安定性、例えば低いぜい性等のさらなる有利な特性も有する。
【0093】
本発明は、断熱材料としてまたは真空絶縁パネルのために、上記に開示の多孔性材料、または上記に開示の方法によって得られるもしくは得ることができる多孔性材料を使用する方法も対象とする。断熱材料は例えば、建物の内部または外部の絶縁のために使用される絶縁材料である。本発明による多孔性材料は、有利なことに、例えば複合材料等の断熱系中に使用することができる。
【0094】
したがって、さらなる一実施形態によれば、本発明は、多孔性材料が、内部または外部の断熱系中に使用される、上記に開示の多孔性材料を使用する方法を対象とする。さらなる一実施形態によれば、本発明は、多孔性材料が、水タンクまたは製氷機用の断熱系中に使用される、上記に開示の多孔性材料を使用する方法も対象とする。
【0095】
上記に開示のように、本発明による方法は、細孔中に金属粒子を含む多孔性材料を作製するためにも適している。このような多孔性材料は、触媒としてのまたは触媒中への使用に適している。したがって、さらなる一実施形態によれば、本発明は、多孔性材料が、触媒として使用される、上記に開示の多孔性材料を使用する方法も対象とする。
【0096】
本発明は、次の実施形態を含み、ここで、これらの実施形態は、当該実施形態において規定されたそれぞれの相互依存性によって示されている実施形態の特定の組合せを含む。
【0097】
1. 多孔性材料を製造するための方法であって、
a) 混合物(I)を用意する工程であって、混合物(I)は、
(i) 組成物(A)であって、
成分(ai)としての少なくとも1種の多官能性イソシアネートと、
少なくとも1種の鉱酸(aa)と
を少なくとも含む、組成物(A)
および
(ii) 溶媒(B)
を含む、工程
b) 組成物(A)中の成分を反応させ、有機ゲルを得る工程ならびに
c) 得られたゲルを乾燥させる工程
を少なくとも含む、方法。
【0098】
2. 組成物(A)が、
− 0〜2wt%の範囲の量のアミン、
− 0〜20wt%の範囲の量のアルコールおよび
− 0〜1wt%の範囲の量の水
を含む、実施形態1による方法。
【0099】
3. 多官能性イソシアネートが、芳香族、脂肪族、脂環式および芳香脂肪族イソシアネートからなる群より選択される、実施形態1または2による方法。
【0100】
4. 組成物(A)が、40〜99mol%の範囲の量の成分(ai)を含む、実施形態1から3のいずれかによる方法。
【0101】
5. 鉱酸(aa)が、硫黄、ホウ素、窒素、リン、ケイ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素、クロム、バナジウム、マンガン、レニウム、テクネチウム、ヒ素、セレンまたはテルルを含む無機オキソ酸からなる群より選択される、実施形態1から4のいずれかによる方法。
【0102】
6. 組成物(A)が、60〜1mol%の範囲の量の鉱酸(aa)を含む、実施形態1から5のいずれかによる方法。
【0103】
7. 有機ゲルが得られた後かつ工程c)より前に、溶媒(B)が溶媒(S)によって置きかえられる、実施形態1から6のいずれかによる方法。
【0104】
8. 工程c)によって乾燥させる工程が、ゲルに含まれる液体の臨界温度および臨界圧力より低い温度および圧力において、ゲルに含まれる液体を気体状態に変換することによって実施される、実施形態1から7のいずれかによる方法。
【0105】
9. 実施形態1から8のいずれかによる方法によって得られるまたは得ることができる、多孔性材料。
【0106】
10. 断熱材料としてまたは真空絶縁パネルのために、実施形態9による多孔性材料、または実施形態1から8のいずれかによる方法によって得られるもしくは得ることができる多孔性材料を使用する方法。
【0107】
11. 触媒として、実施形態9による多孔性材料、または実施形態1から8のいずれかによる方法によって得られるもしくは得ることができる多孔性材料を使用する方法。
【0108】
下記において、例を使用して、本発明を説明する。
【実施例】
【0109】
1. 材料
Desmodur RE(登録商標):M105−ISO11909に従った9.3±0.2%のNCO含量、およそ3の官能性およびDIN53015に従った20℃において3mPa.sの粘度を有する、酢酸エチル中の約27%トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート(TIPM)の溶液。
【0110】
2. 方法
2.1 物理的特性決定
バルク密度(ρ)を、試料の質量および物理的寸法から計算した。Micromeritics AccuPyc II1340機器を使用して、ヘリウムピクノメトリーによって、骨格密度(ρ)を測定した。
【0111】
2.2 構造的特性決定
細孔サイズが1.7〜300nmの範囲である場合のBET表面積および細孔サイズ分布を、Micromeritics ASAP2020という表面積および多孔度の分析装置を使用して、77KにおけるN収着ポロシメトリーによって測定した。Micromeritics Tristar II3020バージョン3.02を使用して、0℃において、760torr(0.03の相対圧力)に至るまでのCO収着によって、ミクロ細孔分析を実施した。
【0112】
3. HBOを使用した多孔性材料の製造
3.1 多孔性材料BPUA−xを作製するための好ましい手順
一般的な手順において、HBO(0.61g、0.01mol)を無水DMF中に溶解させ、溶液を13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に加えた。得られたゾルを室温においてN中で15分撹拌し、(Wheaton 4mLポリプロピレン製Omni−Vials 内径1.04cm、Fisher部品番号225402)に注ぎ込み、次いで、この型を密封し、ゲル化のために放置した。ゾル中のモノマー(TIPM+HBO)の合計質量パーセント濃度は、溶媒(DMF)の量の変更によって変更したが、試料の名称では、添え字−xによって表されている。BPUA−xのゲル化を室温で実施した。すべての処方およびゲル化時間を、表1に要約する。ゲルを室温において型の中で12時間エージングし、型から取り出し、DMF(2倍)およびアセトン(4倍、毎回の洗浄でゲルの体積の4倍を使用する)によって洗浄し、液体COが超臨界流体(SCF)として抜き出されるオートクレーブ内で乾燥させた。
【0113】
3.2 多孔性材料PUA−yを作製するための好ましい手順
一般的な手順において、13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)、HO(0.54g、0.03mol)および無水DMFの溶液の質量に対して0.3%w/wのEtNを加えた。得られたゾルを室温においてN中で10分撹拌し、型(Wheaton 4mLポリプロピレン製Omni−Vials 内径1.04cm、Fisher部品番号225402)に注ぎ込み、この型を密封し、ゲル化のために室温で放置した。ゾル中のモノマー(TIPM+HO)の合計質量パーセント濃度は、溶媒(DMF)の量の変更によって変更したが、試料の名称では、添え字−yによって表されている。すべての処方およびゲル化時間を、表に要約する。ゲルを室温において型の中で12時間エージングした。続いて、ゲルを型から取り出し、DMF(2倍)、アセトン(4倍、毎回の洗浄でゲルの体積の4倍を使用する)によって洗浄し、液体COがSCFとして抜き出されるオートクレーブ内で乾燥させた。
【0114】
3.3 乾燥
超臨界流体(SCF)COによる湿潤ゲルの乾燥を、オートクレーブ(SPIDRY Jumbo Supercritical Point Dryer、SPI Supplies,Inc.West Chester、PAまたはSpeedSFEシステム、Applied Separations、Allentown、PA)内で実施した。試料をオートクレーブに装入し、すべての試料が沈み込むまでアセトンを加えた。加圧容器を閉じ、液体COがすべてのアセトンを置きかえ、これらのアセトンが排出されるまで液体COを室温で導入した。すべてのアセトンが試料の細孔から抜き出されるまで、液体COをさらに数回容器に導入した。この時点でCOが出現し始め、ドライアイスを形成した。続いて、オートクレーブの温度を40℃に上昇させ、SCFCOを気体として逃がした。
【0115】
【表1】
【0116】
aホウ酸の体積は、1.43g cm-3のその密度に基づいて計算した。b商用Desmodur REの質量は、本発明者らの実験室において測定したその密度(1.022g cm-3)に基づいて計算した。cDesmodur RE中のTIPMの質量は、供給業者が提供した27%w/wの濃度に基づいて計算した。
【0117】
【表2】
【0118】
a商用Desmodur REの質量は、本発明者らの実験室において測定したその密度(1.022g cm-3)に基づいて計算した。bDesmodur RE中のTIPMの質量は、供給業者が提供した27%w/wの濃度に基づいて計算した。d触媒(Et3N)の量は、触媒の濃度が、ゾル(Desmodur RE+H2O+DMF)に対して0.3%w/wにおいて一定のままであるように変更した。cH2Oの量は、TIPMのNCO基に対する化学量論量、すなわち、TIPMに対して3mol当量に設定した。
【0119】
【表3】
【0120】
a3種の試料の平均。b線状収縮=100×(型の直径-試料の直径)/(型の直径)。c単一の試料、50回の測定の平均。dVTotal=(1/ρb)-(1/ρs)によって計算。e細孔の累積容積は、N2収着データおよびBJH脱着法から1.7nm〜300nmの間である。f細孔の合計細孔容積は、P/Po=0.03において1点吸収法を使用した、273KにおけるCO2収着データから7.97Å未満である。gBJHプロットから、最初の数がピーク最大値であり、丸かっこ()内の数は、半値全幅である。
【0121】
【表4】
【0122】
aホウ酸の体積は、1.43g cm-3のその密度に基づいて計算した。b商用Desmodur REの質量は、本発明者らの実験室において測定したその密度(1.022g cm-3)に基づいて計算した。cDesmodur RE中のTIPMの質量は、供給業者が提供した27%w/wの濃度に基づいて計算した。
【0123】
4. 他の鉱酸を使用した多孔性材料の製造
4.1 一般手順
リン酸(純粋)をAcros Organicsから購入し、リン酸(98%)をAlfa Aesarから購入し、テルル酸(99%以上)、亜セレン酸(98%)、過ヨウ素酸(99%以上)および金酸をSigma−Aldrichから購入した。すべてのゾルは、モノマー(TIPM+鉱酸)の質量パーセントが16%の一定に保持されるように配合した。すべての処方およびゲル化時間を、表S.9に要約する。材料特性決定データを、表S.10に示す。具体的には、下記のとおりである。
【0124】
4.2 TIPMおよびHPOのゲル化
PO(0.98g、0.010mol)を無水DMSO(13.1mL、14.5g)中に溶解させ、溶液をドライアイス/アセトン浴(−78℃)中で冷却した。この溶液を解凍したら、冷たい(−78℃の)13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に加え、混合物を激しく撹拌した。
【0125】
4.3 TIPMおよびHPOのゲル化
PO(1.23g、0.015mol)を無水DMSO(14.3mL、15.8g)中に溶解させ、溶液をドライアイス/アセトン浴(−78℃)中で冷却した。この溶液を解凍したら、冷たい(−78℃の)13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に加え、混合物を激しく撹拌した。
【0126】
4.4 TIPMおよびHSeOのゲル化
SeO(1.93g、0.015mol)を無水DMF(20.5mL、19.4g)中に溶解させ、溶液をドライアイス/アセトン浴(−78℃)中で冷却した。冷たい溶液を、冷たい(−78℃の)13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に加え、混合物を激しく撹拌した。
【0127】
4.5 TIPMおよびTe(OH)のゲル化
Te(OH)(1.14g、0.005mol)を無水DMF(16.1mL、15.3g)中に溶解させ、溶液を13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に室温で加え、混合物を激しく撹拌した。
【0128】
4.6 TIPMおよびHIOのゲル化
IO(1.36g、0.006mol)を無水DMF(17.3mL、16.4g)中に溶解させ、溶液を13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に室温で加え、混合物を激しく撹拌した。
【0129】
4.7 TIPMおよびHAuOのゲル化
AuO(2.48g、0.01mol)を無水DMF(112.5mL、106.9g)中に溶解させ、溶液を13.6gのDesmodur RE(3.67g、0.01molのTIPMを含有する)に室温で加え、混合物を激しく撹拌した。
【0130】
得られたゾルを型に注ぎ込み、ゲルになるまで室温で放置したが、例外として、HAuOゾルは、90℃のオーブン内に入れた。エージング(室温で12時間だが、例外として、HAuOゲルは、90℃でエージングした)の後、ゲルを型から取り出し、DMF(2倍)、アセトン(4倍、毎回の洗浄でゲルの体積の4倍を使用する)によって洗浄し、液体COが端部において超臨界流体(SCF)として取り出されるオートクレーブ内で乾燥させた。
【0131】
【表5】
【0132】
a3種の試料の平均。b線状収縮=100×(型の直径-試料の直径)/(型の直径)。c単一の試料、50回の測定の平均。dVTotal=(1/ρb)-(1/ρs)によって計算。e細孔の累積容積は、N2収着データおよびBJH脱着法から1.7nm〜300nmの間である。f細孔の合計細孔容積は、P/Po=0.03において1点吸収法を使用した、273KにおけるCO2収着データから7.97Å未満である。gBJHプロットから、最初の数がピーク最大値であり、丸かっこ()内の数は、半値全幅である。