特許第6846969号(P6846969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6846969
(24)【登録日】2021年3月4日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】銀被覆ニッケル粉末およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20210315BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20210315BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20210315BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20210315BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   B22F1/00 M
   B22F1/02 A
   B22F9/08 A
   B22F1/00 C
   H01B13/00 501Z
   H01B5/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-60625(P2017-60625)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2017-186661(P2017-186661A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2020年1月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-70667(P2016-70667)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】増田 恭三
(72)【発明者】
【氏名】道明 良幸
(72)【発明者】
【氏名】江原 厚志
(72)【発明者】
【氏名】井上 健一
(72)【発明者】
【氏名】尾木 孝造
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−144441(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1416986(CN,A)
【文献】 特開2001−073001(JP,A)
【文献】 特開2014−218701(JP,A)
【文献】 特開2015−190043(JP,A)
【文献】 特開2010−043345(JP,A)
【文献】 特開2004−052044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0264191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−8/00
C22C 1/04−1/05
C22C 33/02
B22F 9/00−9/30
H01B 5/00−5/16
H01B 13/00、
13/004−13/016、
13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによってニッケル粉末中の酸素含有量を低減させた後、この酸素含有量を低減させたニッケル粉末の表面を銀からなる層により被覆して、銀からなる層の被覆量が4〜40質量%である銀被覆ニッケルを製造することを特徴とする、銀被覆ニッケル粉末の製造方法。
【請求項2】
前記ニッケル粉末中の酸素含有量を0.8質量%以下に低減させることを特徴とする、請求項1に記載の銀被覆ニッケル粉末の製造方法。
【請求項3】
前記ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が2.0質量%・g/m以下になるように前記ニッケル粉末中の酸素含有量を低減させることを特徴とする、請求項1または2に記載の銀被覆ニッケル粉末の製造方法。
【請求項4】
前記ニッケル粉末をアトマイズ法により製造することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末の製造方法。
【請求項5】
前記ニッケル粉末の平均粒径が0.1〜15μmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末の製造方法。
【請求項6】
表面が銀からなる層により被覆された銀被覆ニッケル粉末において銀被覆ニッケル粉末に対する銀からなる層の被覆量が4〜40質量%であり、酸素含有量が0.7質量%以下であり、5.6MPaの圧力を加えたときの体積抵抗率が0.1〜10mΩ・cmであることを特徴とする、銀被覆ニッケル粉末。
【請求項7】
前記銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が1.0質量%・g/m以下であることを特徴とする、請求項に記載の銀被覆ニッケル粉末。
【請求項8】
前記銀被覆ニッケル粉末に5.6MPaの圧力を加えたときの体積抵抗率が0.1〜mΩ・cmであることを特徴とする、請求項またはに記載の銀被覆ニッケル粉末。
【請求項9】
前記銀被覆ニッケル粉末の平均粒径が0.1〜15μmであることを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末。
【請求項10】
銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積が0.1〜5m/gであることを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末。
【請求項11】
銀被覆ニッケル粉末中の塩素含有量が100ppm未満であることを特徴とする、請求項乃至10のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末。
【請求項12】
前記銀被覆ニッケル粉末の色差(L)が48以上であることを特徴とする、請求項乃至11のいずれかに記載の銀被覆ニッケル粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀被覆ニッケル粉末およびその製造方法に関し、特に、導電性ペーストなどに使用する銀被覆ニッケル粉末およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の電極や配線を形成するために、銀粉などの導電性の金属粉末に溶剤、樹脂、分散剤などを配合して作製した導電性ペーストが使用されている。
【0003】
しかし、銀粉は、体積抵抗率が極めて小さく、良好な導電性物質であるが、貴金属の粉末であるため、コストが高くなる。
【0004】
そのため、導電性ペーストなどに使用する導電性の金属粉末として、比較的安価なニッケル粉末の表面を銀で被覆した銀被覆ニッケル粉末を使用することが検討されている。
【0005】
このような銀被覆ニッケル粉末として、銀とニッケルからなり、銀とニッケルの合計100質量部に対して、銀を6〜15質量部を含み、圧力5.6MPaにおける粉体抵抗値が0.1〜0.5Ω・mmである銀被覆ニッケル粉末(例えば、特許文献1参照)や、ニッケルを含むコア粒子の表面に銀が被覆された銀コートニッケル粒子において、銀コートニッケル粒子の表面の全域にわたって、多数の凸部が形成されて表面が凹凸形状になり、平面視における凸部の大きさが0.05〜1μmであり、銀コートニッケル粒子中の銀の被覆率が50%以上である銀コートニッケル粒子(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−144441号公報(段落番号0012)
【特許文献2】特開2014−218701号公報(段落番号0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の銀被覆ニッケル粉末や特許文献2の銀コートニッケル粒子は、導電性が十分ではないという問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、導電性が良好で安価な銀被覆ニッケル粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによってニッケル粉末中の酸素含有量を低減させた後、この酸素含有量を低減させたニッケル粉末の表面を銀含有層により被覆することにより、導電性が良好で安価な銀被覆ニッケル粉末を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明による被覆ニッケル粉末の製造方法は、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによってニッケル粉末中の酸素含有量を低減させた後、この酸素含有量を低減させたニッケル粉末の表面を銀含有層により被覆することを特徴とする。
【0011】
この銀被覆ニッケル粉末の製造方法において、ニッケル粉末中の酸素含有量を0.8質量%以下に低減させるのが好ましく、ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が2.0質量%・g/m以下になるようにニッケル粉末中の酸素含有量を低減させるのが好ましい。ニッケル粉末は、アトマイズ法により製造するのが好ましく、平均粒径が0.1〜15μmであるのが好ましい。銀含有層は、被覆量が3〜50質量%であるのが好ましく、銀または銀化合物からなる層であるのが好ましい。
【0012】
また、本発明による銀被覆ニッケル粉末は、表面が3〜50質量%の銀含有層により被覆され、酸素含有量が0.7質量%以下であり、色差(L)が48以上であることを特徴とする。
【0013】
この銀被覆ニッケル粉末において、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が1.0質量%・g/m以下であるのが好ましく、銀被覆ニッケル粉末に5.6MPaの圧力を加えたときの体積抵抗率が0.1〜10mΩ・cmであるのが好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末の色差(L)が50〜80であるのが好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末の平均粒径が0.1〜15μmであるのが好ましく、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積が0.1〜5m/gであるのが好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末中の塩素含有量が100ppm未満であるのが好ましく、銀含有層が銀または銀化合物からなる層であるのが好ましい。
【0014】
なお、本明細書中において、「平均粒径」とは、(ヘロス法によって)レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)をいう。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導電性が良好で安価な銀被覆ニッケル粉末を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による銀被覆ニッケル粉末の製造方法の実施の形態では、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによってニッケル粉末中の酸素含有量を低減させた後、この酸素含有量を低減させたニッケル粉末の表面を銀含有層により被覆する。
【0017】
原料となるニッケル粉末は、ニッケルを溶解温度以上で溶解し、タンディッシュ下部から落下させながら高圧ガスまたは高圧水を衝突させて急冷凝固させることにより微粉末とする、(ガスアトマイズ法、水アトマイズ法などの)所謂アトマイズ法により製造するのが好ましい。特に、高圧水を吹き付ける、所謂水アトマイズ法により製造すると、粒子径が小さいニッケル粉末を得ることができるので、銀被覆ニッケル粉末を導電性ペーストに使用した際に粒子間の接触点の増加による導電性の向上を図ることができる。
【0018】
このようにして得られたニッケル粉末の粒子径は、(ヘロス法によって)レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が0.1〜15μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがさらに好ましく、2〜5μmであるのが最も好ましい。体積基準の累積50%粒子径(D50径)が0.1μm未満では、銀被覆ニッケル粉末の導電性に悪影響を及ぼすので好ましくない。一方、15μmを超えると、微細な配線の形成が困難になるので好ましくない。なお、ニッケル粉末をアトマイズ法により製造する場合、ニッケル溶湯に脱酸剤として少量のリン(P)を添加することにより、0.001〜1質量%のPを含むニッケル粉末を製造して、ニッケル粉末として使用してもよい。
【0019】
ニッケル粉末中の酸素含有量の低減は、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによって行う。ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによって、ニッケル粉末の(主に表面に存在する)酸素が除去される。また、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによって、ニッケル粉末の表面が銀含有層により被覆され易い状態になると考えられる。ニッケル粉末中の酸素含有量を低減させるために、ニッケル粉末を酸洗した場合、このように酸洗したニッケル粉末の表面を銀含有層で被覆しても、導電性が良好な銀被覆ニッケル粉末を得ることができない。
【0020】
水素雰囲気は、還元することができる程度の水素が存在する雰囲気であればよく、水素雰囲気中の水素濃度が5体積%以上であるのが好ましく、50体積%以上であるのがさらに好ましい。ニッケル粉末の水素雰囲気中における還元は、ニッケル粉末を水素雰囲気中において加熱することによって行うのが好ましく、ニッケル粉末を十分に還元するために、加熱の温度が100〜400℃であるのが好ましく、加熱の時間が1〜20時間であるのが好ましい。
【0021】
銀被覆ニッケル粉末の導電性を向上させるために、ニッケル粉末中の酸素含有量の低減により、酸素含有量が0.8質量%以下になるのが好ましく、0.5質量%以下になるのがさらに好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末の導電性を向上させるために、ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が2.0質量%・g/m以下になるのが好ましく、1.0質量%・g/m以下になるのがさらに好ましい。
【0022】
銀含有層は、銀または銀化合物からなる層であるのが好ましい。銀被覆ニッケル粉末に対する銀含有層の被覆量は、3〜50質量%であるのが好ましく、4〜40質量%であるのがさらに好ましい。銀含有層の被覆量が3質量%未満では、銀被覆ニッケル粉末の導電性に悪影響を及ぼすので好ましくない。一方、50質量%を超えると、銀の使用量の増加によってコストが高くなるので好ましくない。
【0023】
ニッケル粉末を銀含有層で被覆する方法として、ニッケルと銀の置換反応を利用した置換法や、還元剤を用いる還元法により、ニッケル粉末の表面に銀または銀化合物を析出させる方法を使用することができ、例えば、溶媒中にニッケル粉末と銀または銀化合物を含む溶液を攪拌しながらニッケル粉末の表面に銀または銀化合物を析出させる方法や、溶媒中にニッケル粉末および有機物を含む溶液と溶媒中に銀または銀化合物および有機物を含む溶液とを混合して攪拌しながらニッケル粉末の表面に銀または銀化合物を析出させる方法などを使用することができる。
【0024】
この溶媒としては、水、有機溶媒またはこれらを混合した溶媒を使用することができる。水と有機溶媒を混合した溶媒を使用する場合には、室温(20〜30℃)において液体になる有機溶媒を使用する必要があるが、水と有機溶媒の混合比率は、使用する有機溶媒により適宜調整することができる。また、溶媒として使用する水は、不純物が混入するおそれがなければ、蒸留水、イオン交換水、工業用水などを使用することができる。
【0025】
銀含有層をより均一に形成するために、溶液中にキレート化剤を添加してもよい。キレート化剤としては、銀イオンと金属ニッケルとの置換反応により副生するニッケルイオンなどが再析出しないように、ニッケルイオンなどに対して錯安定度定数が高いキレート化剤を使用するのが好ましい。特に、銀被覆ニッケル粉末のコアとなるニッケル粉末は主構成要素としてニッケルを含んでいるので、ニッケルとの錯安定度定数に留意してキレート化剤を選択するのが好ましい。具体的には、キレート化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミンおよびこれらの塩からなる群から選ばれたキレート化剤を使用することができる。
【0026】
銀被覆反応の際には、銀塩を添加する前に溶液中にニッケル粉末を入れて攪拌し、ニッケル粉末が溶液中に十分に分散している状態で、銀塩を含む溶液を添加するのが好ましい。この銀塩を含む溶液は、一挙に(好ましくは40秒以下の短時間で)添加してもよいし、反応速度を制御するために、連続的に(好ましくは10分間以上の時間で)添加してもよい。この銀被覆反応の際の反応温度は、反応液が凝固または蒸発する温度でなければよいが、好ましくは40〜95℃、さらに好ましくは60〜90℃の範囲で設定する。また、反応時間は、銀または銀化合物の被覆量や反応温度によって異なるが、1分〜5時間の範囲で設定することができる。
【0027】
上述した銀被覆ニッケル粉末の製造方法の実施の形態により、本発明による銀被覆ニッケル粉末の実施の形態を製造することができる。
【0028】
本発明による銀被覆ニッケル粉末の実施の形態では、表面が3〜50質量%(好ましくは4〜40質量%)の銀含有層により被覆され、酸素含有量が0.7質量%以下(好ましくは0.6質量%以下)であり、色差(L)が48以上(好ましくは50〜80)である。
【0029】
この銀被覆ニッケル粉末の導電性を向上させるために、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積に対する酸素含有量の比が、1.0質量%・g/m以下であるのが好ましく、0.8質量%・g/m以下であるのがさらに好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末に5.6MPaの圧力を加えたときの体積抵抗率が、0.1〜10mΩ・cmであるのが好ましく、0.1〜5mΩ・cmであるのがさらに好ましく0.1〜2mΩ・cmであるのが最も好ましい。また、銀被覆ニッケル粉末に10MPaの圧力を加えたときの体積抵抗率が、0.05〜6mΩ・cmであるのが好ましく、0.08〜3mΩ・cmであるのがさらに好ましく0.1〜1.2mΩ・cmであるのが最も好ましい。
【0030】
上述した銀被覆ニッケル粉末の製造方法の実施の形態では、ニッケル粉末を水素雰囲気中で還元することによって予めニッケル粉末中の酸素含有量を低減させており、このように酸素含有量を低減させることによって、ニッケル粉末の表面を銀含有層により均一に被覆することができ、このようにニッケル粉末の表面を銀含有層により均一に被覆することによって、銀被覆ニッケル粉末の色差(L*)の値が高くなり、銀被覆ニッケル粉末に圧力を加えたときの体積抵抗率も低くなる。なお、上述した銀被覆ニッケル粉末の製造方法の実施の形態では、銀被覆ニッケル粉末の色差(L*)の値を80まで高くすることができ、銀被覆ニッケル粉末の導電性を向上させるために、銀被覆ニッケル粉末の色差(L*)の値が50〜80であるのが好ましい。
【0031】
また、銀被覆ニッケル粉末の粒子径は、(ヘロス法によって)レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が0.1〜15μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがさらに好ましく、2〜7μmであるのが最も好ましい。体積基準の累積50%粒子径(D50径)が0.1μm未満では、銀被覆ニッケル粉末の導電性に悪影響を及ぼすので好ましくない。一方、15μmを超えると、微細な配線の形成が困難になるので好ましくない。
【0032】
また、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は、0.1〜5m/gであるのが好ましく、0.1〜2m/gであるのがさらに好ましく、0.1〜1m/gであるのが最も好ましい。BET比表面積が0.1m/g未満では、微細な配線の形成が困難になるので好ましくない。一方、5m/gを超えると、銀被覆ニッケル粉末を導電性ペーストに使用した際に粘度が高くなり過ぎるので好ましくない。
【0033】
なお、銀被覆ニッケル粉末中の塩素含有量は、100ppm未満であるのが好ましく、50ppm未満であるのがさらに好ましく、10ppm未満であるのが最も好ましい。塩素含有量が100ppm以上になると、銀被覆ニッケル粉末を導電性ペーストに使用して配線を形成した際に、配線が腐食して導電性が悪化し易くなる。このように塩素含有量が少ない銀被覆ニッケル粉末は、アトマイズ法で製造したニッケル粉末を銀含有層により被覆することによって得ることができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明による銀被覆ニッケル粉末およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0035】
[実施例1]
純度99.99%のニッケル15kgを1600℃に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、大気雰囲気中において水圧150MPaで高圧水を吹き付けて急冷凝固させ、得られたスラリーを固液分離し、固形分を水洗し、乾燥し、解砕し、分級して、ニッケル粉末を得た。
【0036】
このようにして水アトマイズ法により得られたニッケル粉末を、水素雰囲気(水素100体積%)中において200℃で10時間加熱して熱処理を行い、水素還元したニッケル粉末を得た。
【0037】
このように水素還元したニッケル粉末(銀被覆前のニッケル粉末)について、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求めた。
【0038】
BET比表面積は、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、BET比表面積測定器(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を使用し、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、30体積%の窒素と70体積%のヘリウムの混合ガスを流しながら、BET1点法により測定した。その結果、BET比表面積は0.45m/gであった。
【0039】
タップ密度(TAP)は、ニッケル粉末0.5gを内径6mmの有底円筒形のダイに充填してニッケル粉末層を形成し、このニッケル粉末層の上面に0.16N/mの圧力を均一に加えた後、ニッケル粉末粉層の高さを測定し、このニッケル粉末層の高さの測定値と、充填されたニッケル粉末の重量とから、ニッケル粉末の密度を求めて、ニッケル粉末のタップ密度とした。その結果、タップ密度は4.3g/cmであった。
【0040】
酸素含有量は、酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA−920)により測定した。その結果、酸素含有量は0.37質量%であった。なお、BET比表面積に対する酸素含有量は0.82質量%・g/mになる。
【0041】
炭素含有量は、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−220V)により測定した。その結果、炭素含有量は0.01質量%であった。
【0042】
粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール))を使用して、分散圧5barで測定した。その結果、累積10%粒子径(D10)は1.1μm、累積50%粒子径(D50)は2.9μm、累積90%粒子径(D90)は7.0μmであった。
【0043】
また、EDTA−2Na二水和物 119.0gと炭酸アンモニウム119.0gを純水1385.0gに溶解して70℃まで昇温した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物554.1gと炭酸アンモニウム277.1gを純水2207.2gに溶解して70℃まで昇温した溶液に、30%硝酸銀水溶液192.4gを純水185.3gに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を用意した。
【0044】
次に、窒素雰囲気下において、上記の水素還元したニッケル粉末250gを溶液1に加えて攪拌し、この水素還元したニッケル粉末が分散した溶液に溶液2を30分間かけて添加して攪拌した後、固液分離し、水洗し、真空中において70℃で10時間乾燥し、解砕し、篩分して、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0045】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、上記と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求めるとともに、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0046】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.62m/g、タップ密度は4.4g/cm、酸素含有量は0.36質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.58質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は3.3μm、累積90%粒子径(D90)は8.1μmであった。
【0047】
銀被覆ニッケル粉末の銀被覆量は、銀被覆ニッケル粉末を硝酸で溶解した後、塩酸を添加して生成した塩化銀(AgCl)の沈殿を乾燥し、重量を測定することにより求めた。その結果、銀被覆ニッケル粉末中の銀含有量(銀被覆量)は20.8質量%であった。
【0048】
銀被覆ニッケル粉末の色差は、測定試料として銀被覆ニッケル粉末5gを秤量して直径30mmの丸セルに入れ、10回タッピングして表面を平らにし、色差計(日本電色工業株式会社製のSpectro Color Meter SQ2000)を使用して、SCE(正反射光除去)モードで測定した。その結果、銀被覆ニッケル粉末の色差L、aおよびbはそれぞれ58.1、0.0および6.1であった。
【0049】
銀被覆ニッケル粉末の圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末6.0gを粉体抵抗測定システムの測定容器(三菱化学アナリテック株式会社製のMCP−PD51型)内に詰めた後に加圧を開始して、それぞれ5.6MPaおよび10MPaの荷重がかかった時点の(圧粉体の)体積抵抗率を測定した。その結果、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ0.27mΩ・cmおよび0.19mΩ・cmであった。
【0050】
[実施例2]
EDTA−2Na二水和物 238.0gと炭酸アンモニウム238.0gを純水2770.0gに溶解して70℃まで昇温した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物248.7gと炭酸アンモニウム124.3gを純水990.5gに溶解して70℃まで昇温した溶液に、30%硝酸銀水溶液86.3gを純水86.2gに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を使用し、実施例1と同様の水素還元したニッケル粉末500gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0051】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0052】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.74m/g、タップ密度は4.6g/cm、酸素含有量は0.55質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.74質量%・g/m、炭素含有量は0.03質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.1μm、累積50%粒子径(D50)は3.0μm、累積90%粒子径(D90)は14.1μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は5.2質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ52.1、0.2および5.9であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1.6mΩ・cmおよび0.9mΩ・cmであった。
【0053】
[実施例3]
EDTA−2Na二水和物166.6gと炭酸アンモニウム166.6gを純水1939.0gに溶解して70℃まで昇温した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物367.5gと炭酸アンモニウム183.7gを純水1463.7gに溶解して70℃まで昇温した溶液に、30%硝酸銀水溶液127.6gを純水122.9gに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を使用し、実施例1と同様の水素還元したニッケル粉末350gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0054】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0055】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.84m/g、タップ密度は4.5g/cm、酸素含有量は0.54質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.64質量%・g/m、炭素含有量は0.03質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は3.1μm、累積90%粒子径(D90)は8.0μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は10.1質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ51.8、0.2および5.6であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1.1mΩ・cmおよび0.66mΩ・cmであった。
【0056】
[実施例4]
EDTA−2Na二水和物142.8gと炭酸アンモニウム142.8gを純水1662.0gに溶解して70℃まで昇温した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物480.7gと炭酸アンモニウム240.4gを純水1914.9gに溶解して70℃まで昇温した溶液に、30%硝酸銀水溶液166.9gを純水160.8gに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を使用し、実施例1と同様の水素還元したニッケル粉末300gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0057】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0058】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.80m/g、タップ密度は4.4g/cm、酸素含有量は0.52質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.65質量%・g/m、炭素含有量は0.03質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は3.1μm、累積90%粒子径(D90)は7.7μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は15.5質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ55.3、0.2および5.7であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1.2mΩ・cmおよび0.7mΩ・cmであった。
【0059】
[実施例5]
EDTA−2Na二水和物88.1gと炭酸アンモニウム88.1gを純水1024.9gに溶解して70℃まで昇温した溶液(溶液1)と、EDTA−2Na二水和物731.5gと炭酸アンモニウム365.7gを純水2913.6gに溶解して70℃まで昇温した溶液に、30%硝酸銀水溶液254.0gを純水244.6gに溶解した溶液を加えて得られた溶液(溶液2)を使用し、実施例1と同様の水素還元したニッケル粉末185gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0060】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0061】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.70m/g、タップ密度は4.1g/cm、酸素含有量は0.34質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.49質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.4μm、累積50%粒子径(D50)は3.8μm、累積90%粒子径(D90)は10.2μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は34.0質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ59.4、−0.1および6.4であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1.8mΩ・cmおよび0.13mΩ・cmであった。
【0062】
[実施例6]
溶液2を30分間かけて添加する代わりに5秒間で一挙に添加した以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0063】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0064】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.53m/g、タップ密度は4.7g/cm、酸素含有量は0.38質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.72質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は3.4μm、累積90%粒子径(D90)は7.8μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は21.3質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ56.6、−0.1および5.2であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1.0mΩ・cmおよび0.61mΩ・cmであった。
【0065】
[比較例1]
水素還元を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。なお、銀被覆前のニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求めたところ、BET比表面積は0.44m/g、タップ密度は5.0g/cm、酸素含有量は0.96質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は2.18質量%・g/m、炭素含有量は0.01質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.1μm、累積50%粒子径(D50)は2.7μm、累積90%粒子径(D90)は6.5μmであった。
【0066】
得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0067】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.66m/g、タップ密度は4.7g/cm、酸素含有量は0.77質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は1.17質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は3.0μm、累積90%粒子径(D90)は7.6μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は19.6質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ45.6、0.2および8.4であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ36mΩ・cmおよび18mΩ・cmであった。
【0068】
[比較例2]
溶液2を30分間かけて添加する代わりに5秒間で一挙に添加した以外は、比較例1と同様の方法により、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0069】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0070】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.72m/g、タップ密度は4.7g/cm、酸素含有量は0.80質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は1.11質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.1μm、累積50%粒子径(D50)は2.9μm、累積90%粒子径(D90)は7.3μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は20.4質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ46.9、0.1および8.9であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ1100mΩ・cmおよび310mΩ・cmであった。
【0071】
また、実施例1〜6および比較例1〜2の銀被覆ニッケル粉末中の塩素含有量を求めたところ、いずれも10ppm未満であった。なお、銀被覆ニッケル粉末中の塩素含有量は、銀被覆ニッケル粉末1gと超純水10mLを秤量してフッ素樹脂製の容器に入れ、125℃で20時間抽出して得られた抽出液を採取し、この抽出液を使用して、イオンクロマトグラフ(東ソー株式会社製のIC−2010)により測定した。
【0072】
[比較例3]
水素還元を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、ニッケル粉末を得た。このニッケル粉末260gを、4Lの純水が入った5Lのステンレスタンクに入れ、さらに51.4mLの希硝酸を加えて撹拌することにより、ニッケル粉末を酸洗した。この水溶液は、ニッケルの溶解により、薄い緑色になった。その後、薄い緑色の上澄みを除去し、純水でデカンテーションして、ニッケル粉末を洗浄して、乾燥させずに水中で保持し、ニッケル分散液とした。
このニッケル分散液を実施例1と同様の溶液1に加えて撹拌し、この溶液に実施例1と同様の溶液2を30分間かけて添加して攪拌した後、固液分離し、水洗し、真空中において70℃で10時間乾燥し、解砕し、篩分して、銀により被覆されたニッケル粉末(銀被覆ニッケル粉末)を得た。
【0073】
このようにして得られた銀被覆ニッケル粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量、粒度分布、銀被覆量、色差(L、a、b)および圧粉体抵抗を求めた。
【0074】
その結果、銀被覆ニッケル粉末のBET比表面積は0.90m/g、タップ密度は4.0g/cm、酸素含有量は0.80質量%、BET比表面積に対する酸素含有量は0.89質量%・g/m、炭素含有量は0.02質量%であり、累積10%粒子径(D10)は1.2μm、累積50%粒子径(D50)は2.9μm、累積90%粒子径(D90)は7.2μmであった。また、銀含有量(銀被覆量)は20.7質量%であり、色差L、aおよびbはそれぞれ42.0、0.3および8.7であった。また、圧粉体抵抗として、銀被覆ニッケル粉末の圧粉体の体積抵抗率はそれぞれ2.2mΩ・cmおよび1.5mΩ・cmであった。
【0075】
これらの実施例および比較例の銀被覆ニッケル粉末の製造条件および銀被覆前後のニッケル粉末の特性を表1〜表3に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】