【実施例】
【0098】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例、比較例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
【0099】
<樹脂−金属複合体の吸光度測定>
樹脂−金属複合体の吸光度は、光学用白板ガラス製セル(光路長10mm)に0.01wt%に調製した樹脂−金属複合体分散液(分散媒:水)を入れ、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD−3700)を用いて、金の場合570nmの吸光度を測定した。金の場合570nmでの吸光度が0.9以上を○(良好)、0.5〜0.9未満を△(可)、0.5未満を×(不可)とした。
【0100】
<固形分濃度測定及び金属担持量の測定>
磁製るつぼに濃度調整前の分散液1gを入れ、70℃、3時間熱処理を行った。熱処理前後の重量を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
【0101】
固形分濃度(wt%)=[乾燥後の重量(g)/ 乾燥前の重量(g)]× 100
【0102】
また、上記熱処理後のサンプルを、さらに500℃、5時間加熱処理を行い、加熱処理前後の重量を測定し、下記式より金属担持量を算出した。
金属担持量(wt%)=
[500℃加熱処理後の重量(g)/500℃加熱処理前の重量(g)]×100
【0103】
<樹脂粒子及び樹脂−金属複合体の平均粒子径の測定>
ディスク遠心式粒度分布測定装置(CPS Disc Centrifuge DC24000 UHR、CPS instruments, Inc.社製)を用いて測定した。測定は、樹脂−金属複合体を水に分散させた状態で行った。
【0104】
<イムノクロマトグラフによる評価>
各実施例等で作製した樹脂−金属複合体標識抗体分散液を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って樹脂−金属複合体分散液の性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、樹脂−金属複合体標識抗体分散液を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。
【0105】
<金属粒子の平均粒子径の測定>
金属粒子の平均粒子径の測定は、樹脂−金属複合体分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作製した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU−9000)により観測した画像から、金属粒子の面積平均径を測定した。
【0106】
[実施例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.00g)を80gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.100g)を加え、窒素気流下において250rpm、60℃で30分間撹拌した。撹拌後、9.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を5分かけて滴下し、250rpm、60℃で6時間撹拌することで、平均粒子径0.45μmの樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を遠心分離(9000rpm、10分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させ、10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0107】
<樹脂−金属複合体の合成>
前記樹脂粒子分散液(3.05g)に30mM塩化金酸水溶液(80g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した後、55gの純水に再度分散させ、金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。この金イオン吸着樹脂粒子分散液45gを10mMのジメチルアミンボラン水溶液(450ml)に8分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径0.6μmの樹脂−金複合体を得た。この樹脂−金複合体を遠心分離(3000rpm、120分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、37gの純水に再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。この樹脂−金複合体分散液中の樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.20であった。また、樹脂−金複合体における金粒子の平均粒子径は22.0nm、金の担持量は49.4wt%であった。作製した樹脂−金複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図3に示した。
【0108】
[実施例2]
実施例1で得た樹脂粒子分散液(3.05g)に10mMの塩化金酸水溶液(56g)を加えた他は、実施例1と同様の方法で、金イオン吸着樹脂粒子分散液、平均粒子径0.6μmの樹脂−金複合体及び1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。この樹脂−金複合体分散液中の樹脂−金複合体の吸光度は1.04であった。また、樹脂−金複合体における金粒子の平均粒子径は7.61nm、金の担持量は36.8wt%であった。
【0109】
[実施例3]
<樹脂粒子の合成>
2−VP(9.90g)及びDVB(0.100g)を450gの純水に加え、窒素気流下において250rpm、60℃で30分間撹拌した。30分撹拌した後、9.00gの純水に溶解したAIBA(0.100g)を5分かけて滴下し、250rpmで6時間撹拌することで平均粒子径0.10μmの樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を遠心分離(9000rpm、20分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させ、10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
<樹脂−金属複合体の合成>
樹脂粒子分散液(5.0g)に30mMの塩化金酸水溶液(198g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した後、1.5gの純水に再度分散させ、金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。この金イオン吸着樹脂粒子分散液(1.5g)を10mMのジメチルアミンボラン水溶液(65ml)に2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径0.22μmの樹脂−金複合体を得た。この樹脂−金複合体に10wt%の分散剤(BYK194)600μlを加え1時間撹拌した後、遠心分離(9000rpm、10分)により沈殿させ、上澄みを除去した。その後、適量の純水を加え再度分散させ、限外濾過膜により精製し、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。この樹脂−金複合体分散液中の樹脂−金複合体の吸光度は1.12であった。また、樹脂−金複合体における金粒子の平均粒子径は22.6nm、金の担持量は37.0wt%であった。
【0110】
[比較例1]
<イムノクロマトの評価>
着色ラテックス(メルクミリポア社製、着色Estapor機能性粒子、K1030、平均粒子径;392nm、570nmでの吸光度は0.83、400nmでの吸光度は1.11)1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して着色ラテックスに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して着色ラテックスをブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して着色ラテックス標識抗体を作製した。
作製した着色ラテックス標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って着色ラテックスの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、着色ラテックス標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を以下に示した。
【0111】
【表1A】
【0112】
上記表1Aから、着色ラテックス標識抗体は、16倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0113】
以上の実施例及び比較例の吸光度の結果をまとめて表1Bに示した。
【0114】
【表1B】
【0115】
[比較例2]
〈金コロイドの合成〉
500ml三つ口丸底フラスコに1mM 塩化金酸水溶液を250ml入れ、加熱還流装置を用い、激しく攪拌しながら沸騰させ、沸騰後38.8mMクエン酸ナトリウム水溶液を25ml添加し、溶液が淡黄色から濃紅色に変化することを確認した。攪拌しながら10分間加熱を続けた後、室温で30分程度攪拌放冷をおこなった。孔径2μmのメンブランフィルターを用いて溶液をろ過し、三角フラスコに移し冷暗所で保存した。作製した粒子の平均粒径は12.3nmであった。
【0116】
<イムノクロマトの評価>
得られた金コロイド1ml(OD=10)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して金コロイドに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して金コロイド表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して金コロイド標識抗体を作製した。
作製した金コロイド標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って金コロイドの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、金コロイド標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を以下に示した。
【0117】
【表2】
【0118】
上記表2から、金コロイド標識抗体は、32倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0119】
[比較例3]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0120】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0121】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)と528mMのホウ酸水溶液(10ml)の混合溶液を4分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径250nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.69であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は75.0nm、金の担持量は52.3wt%であった。
【0122】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0123】
【表3】
【0124】
上記表3から、樹脂−金複合体標識抗体は、16倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0125】
[実施例4]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を0.5分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径500nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、40分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0126】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0127】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径510nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.01であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は46.3nm、金の担持量は54.2wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0128】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0129】
【表4】
【0130】
上記表4から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0131】
[実施例5]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を0.5分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径613nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、40分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0132】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0133】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径625nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.98であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は55.3wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0134】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0135】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0136】
【表5】
【0137】
上記表5から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0138】
[実施例6]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、4−ビニルピリジン(4−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径438nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0139】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0140】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径448nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.99であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は24.0nm、金の担持量は55.7wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0141】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0142】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0143】
【表6】
【0144】
上記表6から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0145】
[実施例7]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、3−ビニルピリジン(3−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径429nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0146】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0147】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径436nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.03であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は24.3nm、金の担持量は55.5wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0148】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0149】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0150】
【表7】
【0151】
上記表7から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0152】
[実施例8]
2−(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート(DPA、10.3g)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(0.2g)とポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.0g)を85gの純水に溶解した後、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで70℃で30分間撹拌した。撹拌後、2.00gの純水に溶解したペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS、0.10g)を2分かけて滴下し、150rpm、70℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径338nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0153】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0154】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径345nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.96であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は24.6nm、金の担持量は48.5wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0155】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0156】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0157】
【表8】
【0158】
上記表8から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0159】
[実施例9]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](3.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.250g)を2分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径370nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0160】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0161】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径393nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.92であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は14.9nm、金の担持量は55.8wt%であった。得られた樹脂−金複合体の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図4に、その断面の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真を
図5に、それぞれ示した。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0162】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0163】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0164】
【表9】
【0165】
上記表9から、樹脂−金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0166】
[実施例10]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径380nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0167】
上記樹脂ビーズ(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0168】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径399nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.96であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は53.2wt%であった。得られた樹脂−金複合体の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図6に、その断面の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真を
図7に、それぞれ示した。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0169】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0170】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0171】
【表10】
【0172】
上記表10から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0173】
実施例9の
図5と実施例10の
図7の断面画像を比較すると、金粒子の60〜100%、好ましくは75〜100%が、樹脂粒子の表面から深さ方向に粒子半径の50%の範囲内に存在している実施例10の方がイムノクロマトの検出感度に優れていた。
【0174】
[標識抗体の作製に関する試験例]
【0175】
[作製例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.00g)を80gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.100g)を加え、窒素気流下において250rpm、60℃で30分間撹拌した。撹拌後、9.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を5分かけて滴下し、250rpm、60℃で6時間撹拌することで、平均粒子径0.36μmの樹脂粒子A−1を得た。前記A−1を遠心分離(9000rpm、10分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させ、2.1wt%の樹脂粒子分散液B−1を得た。
【0176】
<樹脂−金複合体の合成>
前記B−1(19.09g)に30mM塩化金酸水溶液(106.6g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した後、40gの純水に再度分散させ、金イオン吸着樹脂粒子分散液C−1を調製した。前記C−1(20g)を3.3mMのジメチルアミンボラン水溶液(600ml)に4分かけて滴下した後、8℃で1時間撹拌し、さらに室温で5時間撹拌することで、平均粒子径0.38μmの樹脂−金複合体D−1を得た。前記D−1を遠心分離(3000rpm、120分)により沈殿させ、上澄みを除去した後、適量の純水を加えて再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液E−1を得た。E−1中の樹脂−金複合体F−1の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.0であった。また、F−1における金粒子の平均粒子径は22.0nm、金の担持量は49.1wt%であった。
【0177】
[試薬等]
試験例、参考試験例では以下の試薬等を使用した。
抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(7.15mg/mL/PBS):アドテック株式会社製
結合用緩衝液a:100mM ホウ酸溶液をHClでpH≒3に調整した。
結合用緩衝液b:100mM ホウ酸溶液をHClでpH≒4に調整した。
結合用緩衝液c:100mM ホウ酸溶液をHClでpH≒5に調整した。
結合用緩衝液d:100mM ホウ酸溶液 pH≒6.5
結合用緩衝液e:100mM ホウ酸溶液をNaClでpH≒7.5に調整した。
結合用緩衝液f:100mM ホウ酸溶液をNaClでpH≒8.5に調整した。
結合用緩衝液g:50mM 2−モルフォリノエタンスルホン酸溶液 pH≒3.8
ブロック用緩衝液a:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒5に調整した。
ブロック用緩衝液b:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒7に調整した。
ブロック用緩衝液c:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
ブロック用緩衝液d:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒9.5に調整した。
洗浄用緩衝液:5mMトリス溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
保存用緩衝液:洗浄用緩衝液に、スクロースを10重量%濃度になるように添加した。
インフルエンザA型陽性コントロール(APC):インフルエンザA型ウィルス不活化抗原(アドテック株式会社製)を、検体処理液(アドテック株式会社製)を用いて100倍希釈して調製した。APCの抗原濃度は、5000FFU/mlに相当する。
陰性コントロール:検体処理液(アドテック株式会社製)
AuNCPビーズ:作製例1で得た樹脂−金複合体(1重量%;平均粒子径380nm)
【0178】
[試験例1]
【0179】
(結合工程)
マイクロチューブ[アイビス(登録商標;アズワン社製)2mL]に、樹脂−金属複合体としてAuNCPビーズ0.1mLを投入し、結合用緩衝液a0.9mLを添加した。転倒混和によって十分に混合した後、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体100μgを添加し、室温で3時間かけて転倒撹拌を行い、樹脂−金属複合体で標識した抗インフルエンザA型モノクローナル抗体を含む標識抗体含有液A−1を得た。
【0180】
(ブロック工程)
次に、標識抗体含有液A−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣にブロック用緩衝液a1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行い、さらに、室温で2時間かけて転倒撹拌を行い、標識抗体含有液B−1を得た。
【0181】
(洗浄処理)
次に、標識抗体含有液B−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に洗浄用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行った。この操作を3回繰り返し、洗浄処理とした。
【0182】
(保存処理)
次に、氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に保存用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行うことによって、標識抗体含有液C−1を得た。
【0183】
[試験例2]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液bを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液A−2,B−2、C−2を得た。
【0184】
[試験例3]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液cを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液A−3,B−3,C−3を得た。
【0185】
[試験例4]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液dを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液A−4,B−4、C−4を得た。
【0186】
[参考試験例1]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液eを用いた場合、樹脂−金属複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0187】
[参考試験例2]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液fを用いた場合、樹脂−金属複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0188】
[試験例5]
試験例1のブロック工程でブロック用緩衝液aの代わりにブロック用緩衝液bを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液B−5、C−5を得た。
【0189】
[試験例6]
試験例1のブロック工程でブロック用緩衝液aの代わりにブロック用緩衝液cを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液B−6、C−6を得た。
【0190】
[参考試験例3]
試験例1のブロック工程でブロック用緩衝液aの代わりにブロック用緩衝液dを用いたところ、結合工程後の標識抗体は良好な分散性を示したが、ブロック工程後に標識抗体が凝集してしまい、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0191】
[試験例7]
試験例1の結合工程で結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液gを用いる以外は試験例1と同様にして、標識抗体含有液A−7,B−7、C−7を得た。
【0192】
<評価方法>
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。発色レベルは金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。スクリーニング評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)を用いた。性能評価において、抗原はAPCの2倍希釈列(1倍〜1024倍希釈)を用いた。
【0193】
<スクリーニング評価>
96ウェルプレートの7ウェルに、試験例1〜7で得られた標識抗体含有液C−1〜7を3μLずつ入れ、それぞれにAPC100μLを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μLずつ添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を表11に示した。なお、表11における数値が大きい程、発色レベルが高い(発色が強い)ことを意味する。
【0194】
【表11】
【0195】
表11から、試験例1で得られた抗体標識含有液C−1は、最も強い発色を示し、優れた標識性能を有することが確認された。
【0196】
<性能評価>
96ウェルプレートの12ウェルに、試験例1で得られた標識抗体含有液C−1を3μLずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍希釈、それぞれAPC×1〜APC×1024と表す)及び陰性コントロールを、それぞれ100μLを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μL添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を表12に示した。なお、表12における数値が大きい程、発色レベルが高い(発色が強い)ことを意味する。
【0197】
【表12】
【0198】
表12から、試験例1で得られた標識抗体含有液C−1は、256倍希釈の抗原に対しても良好な発色を示し、優れた標識性能を有することが確認された。
【0199】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
【0200】
本国際出願は、2014年7月1日に出願された日本国特願2014−136356号及び2014年7月1日に出願された日本国特願2014−136357号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容をここに援用する。