特許第6847412号(P6847412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6847412カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材とカーボンナノチューブ集合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6847412
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材とカーボンナノチューブ集合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/89 20060101AFI20210315BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20210315BHJP
   C01B 32/162 20170101ALI20210315BHJP
【FI】
   B01J23/89 M
   B01J37/02 301M
   C01B32/162
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-228695(P2016-228695)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-83169(P2018-83169A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桜井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】フタバ ドン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】畠 賢治
【審査官】 中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538780(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0212016(US,A1)
【文献】 特表2008−520429(JP,A)
【文献】 特開2006−015342(JP,A)
【文献】 特開2015−54811(JP,A)
【文献】 特開2014−131952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C01B 32/158−32/178
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に設けられた、第VIIIB族遷移金属から選択される触媒金属元素と、前記触媒金属元素と合金を形成可能な貴金属元素から選択される助触媒金属元素と、加熱時に前記触媒金属元素又は前記助触媒金属元素が凝集することを防ぎ、前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素との混合を促進する合金化補助物質とを含む、触媒前駆体層と、
を含み、
前記触媒前駆体層において、前記触媒金属元素の元素数をM、前記助触媒金属元素の元素数をNとしたときに、N/Mが0.01以上2以下である、カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材。
【請求項2】
前記基材の表面に、金属酸化物を含む下地層を有する、請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材。
【請求項3】
前記合金化補助物質が、前記触媒金属元素と配位する部位を2箇所以上有する高分子有機化合物又は低分子有機化合物である、請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材。
【請求項4】
前記合金化補助物質は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びこれらの誘導体、並びにエチレンジアミン、ビピリジン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、フェナントロリン、クラウンエーテル、ポルフィリン、及びこれらの誘導体、からなる群から選ばれた1つ以上である、請求項1乃至3の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材。
【請求項5】
前記合金化補助物質が、前記触媒前駆体層中に2重量%以上存在する、請求項1乃至4の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材を製造し、
前記触媒前駆体層を加熱することにより前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素とを含んだ金属触媒微粒子を基材上に形成し、
炭化水素ガスを前記金属触媒微粒子に接触させて、カーボンナノチューブ集合体を成長させることを含む、カーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【請求項7】
前記金属触媒微粒子を形成する前記基材の面にアルミナをスパッタリング法により堆積させて下地層を形成し、
前記下地層をO2プラズマで処理して、前記下地層上に前記触媒前駆体層を形成することを含む、請求項6に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【請求項8】
前記触媒金属元素を含む金属化合物と、前記助触媒金属元素を含む金属化合物と、前記合金化補助物質と、を溶解させた溶液を基材上に塗布して、乾燥させることにより、前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材を製造する、請求項6又は7に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【請求項9】
前記触媒前駆体層を加熱することにより前記合金化補助物質が熱分解して、還元性ガスを発生し、
前記還元性ガスが前記触媒金属元素を還元し、前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素とを合金化及び微粒子化して、前記金属触媒微粒子を形成する、請求項6乃至の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【請求項10】
粒子径が1nm以上10nm以下の範囲にある前記金属触媒微粒子が前記基材上に1×1010個/cm2以上の個数密度で形成される、請求項乃至9の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【請求項11】
0.1mg/cm2以上の収量でカーボンナノチューブ集合体を前記基材の表面から成長することができる、請求項乃至10の何れか一に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ集合体の製造方法に関する。特に、短時間かつ効率的に、高活性を発現する金属触媒微粒子を基材上に高密度に調整する方法を用いた、カーボンナノチューブ集合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、及び生体関連材料などの機能性新素材へのカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)の展開が期待されており、その用途、品質、及び量産性などに対する検討が精力的に進められている。
【0003】
CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、CVD法とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃以上1200℃以下の高温雰囲気下で炭素化合物などの原料ガスを触媒微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類や配置、あるいは原料ガスの種類や、還元性ガス、雰囲気ガス、合成炉や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。また、このCVD法は、単層CNTと多層CNTのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基材を用いることで、基材面に多数のCNTが垂直に配向したCNT集合体を製造することができる、という利点を備えている。
【0004】
CNTのなかでも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイアモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、及び金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、電子デバイス、蓄電デバイスの電極、MEMS部材、及び機能性複合材料のフィラーなどの材料として注目されている。
【0005】
また、金属不純物が少なく、800m/g以上の高い比表面積を有する垂直配向したCNT集合体は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタやアクチュエータなどの用途に好適である。
【0006】
このような垂直配向したCNT集合体が創製されれば、CNTの応用分野が飛躍的に拡大するものと予測されるが、実用化を推進するためには、垂直配向したCNT集合体の量産性を向上させることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−171108号公報
【特許文献2】特開2010−248073号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Shunsuke Sakurai et al, “Role of Subsurface Diffusion and Ostwald Ripening in Catalyst Formation for Single-Walled Carbon Nanotube Forest Growth” J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 2148-2153
【非特許文献2】Wen-I Liang et al, “In Situ Study of Fe3Pt-Fe2O3 Core-Shell Nanoparticle Formation” J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 14850?14853
【非特許文献3】D. N. Futaba et al, “84% Catalyst Activity of Water-Assisted Growth of Single Walled Carbon Nanotube Forest Characterization by a Statistical and Macroscopic Approach”, J. Phys. Chem. B, 2006, 110 (15), pp 8035-8038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CVD法においては、CNT集合体、特に単層CNT集合体を高効率で合成するためには、微細、かつ高活性を発現する触媒微粒子を、基材上に高密度に配置する必要がある。特許文献2など従来の化学気相成長法では、触媒微粒子を調整するために、フォーメーション工程と呼ばれる以下のような工程が必要だった。即ち、還元ガスをCNT製造装置外部から供給し、CNT製造装置内に配置された基材上の触媒物質に接触させるとともに、触媒物質および還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、触媒物質を還元、及びまたは微粒子化する工程が必須であった。このフォーメーション工程の後に、不活性ガスで希釈された原料ガスを触媒微粒子に接触させるCNT成長工程により、CNT集合体を製造することができる。
【0010】
しかしながら、このフォーメーション工程には、以下のような問題がある。第一に、フォーメーション工程において大量に供給された還元性ガスが基材周りに残存した状態では、続くCNT成長工程において製造装置内に供給される原料ガス(炭化水素)の分解が抑制され、CNT成長効率が低下してしまう。残留水素を速やかに基材周りから排除するために、製造装置内から還元性ガスを高速で排出するか、あるいは(特許文献2のように)フォーメーション工程に適した雰囲気にあるチャンバーからCNT成長工程に適した雰囲気にあるチャンバーまで基材を搬送する必要があるが、いずれも一定の時間が必要となり、製造効率が低下する。第二に、多くの還元性ガスは可燃性や毒性を有しており、このようなガスを大量に使うため、コスト面や安全面からも問題のある工程である。
【0011】
しかしながら、従来技術では、還元ガスを用いないと、例えば不活性ガス雰囲気中で基材上にある触媒物質を加熱するのみでは、高活性を発現する触媒微粒子を、基材上に高密度に配置することはできず、その後のCNT合成工程でもカーボンナノチューブは合成できないことが知られていた(非特許文献1)。
【0012】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決するものであって、従来のフォーメーション工程を省いても、なお高効率でカーボンナノチューブを製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態によると、基材と、前記基材の上に設けられた、触媒金属元素と、電子親和力が50 kJ/mol以上である助触媒金属元素と、加熱時に前記触媒金属元素又は前記助触媒金属元素が凝集することを防ぎ、前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素との混合を促進する合金化補助物質とを含む、触媒前駆体層と、を含む、カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材が提供される。
【0014】
前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材において、前記合金化補助物質が、前記触媒金属元素と配位する部位を2箇所以上有する高分子有機化合物又は低分子有機化合物であってもよい。
【0015】
前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材において、前記合金化補助物質は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びこれらの誘導体、並びにエチレンジアミン、ビピリジン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、フェナントロリン、クラウンエーテル、ポルフィリン、及びこれらの誘導体、からなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0016】
前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材において、前記合金化補助物質が、前記触媒前駆体層中に2重量%以上存在してもよい。
【0017】
前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材において、前記触媒前駆体層において、前記触媒金属元素の含有元素数をM、前記助触媒金属元素の含有元素数をNとしたときに、N/Mが0.01以上2以下であってもよい。
【0018】
前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材において、前記基材の表面に、金属酸化物を含む下地層を有してもよい。
【0019】
また、本発明の一実施形態によると、前記何れかのカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材を製造し、前記触媒前駆体層を加熱することにより前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素とを含んだ金属触媒微粒子を基材上に形成し、炭化水素ガスを前記金属触媒微粒子に接触させて、カーボンナノチューブ集合体を成長させることを含む、カーボンナノチューブ集合体の製造方法が提供される。
【0020】
前記カーボンナノチューブ集合体の製造方法において、前記触媒金属元素を含む金属化合物と、前記助触媒金属元素を含む金属化合物と、前記合金化補助物質と、を溶解させた溶液を基材上に塗布して、乾燥させることにより、前記カーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材を製造してもよい。
【0021】
前記カーボンナノチューブ集合体の製造方法において、前記触媒前駆体層を加熱することにより前記合金化補助物質が熱分解して、還元性ガスを発生し、前記還元性ガスが前記触媒金属元素を還元し、前記触媒金属元素と前記助触媒金属元素とを合金化及び微粒子化して、前記金属触媒微粒子を形成してもよい。
【0022】
前記カーボンナノチューブ集合体の製造方法において、粒子径が1nm以上10nm以下の範囲にある前記金属触媒微粒子が前記基材上に1×1010個/cm以上の個数密度で形成されてもよい。
【0023】
前記カーボンナノチューブ集合体の製造方法において、0.1mg/cm2以上の収量でカーボンナノチューブ集合体を前記基材の表面から成長してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態によると、高温下の炉内において、原料ガスおよび触媒賦活物質を、触媒に接触させ、CNT集合体を成長させる化学気相成長法において、短時間かつ効率的に、高活性を発現する金属触媒微粒子を基材上に高密度に調製することができるため、従来よりも効率的に、カーボンナノチューブ集合体の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るCNT集合体製造用触媒基材の製造方法及びCNT集合体の製造方法を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るCNT集合体の製造装置100の模式図である。
図3】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図4】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図5】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図6】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図7】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図8】本発明の一実施例に係るCNT集合体のSEM像である。
図9】(A)は本発明の一実施例に係るCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のラマンスペクトルである。
図10】(A)は比較例のCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は比較例のCNT集合体のラマンスペクトルである。
図11】(A)は比較例のCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は比較例のCNT集合体のラマンスペクトルである。
図12】(A)は比較例のCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は比較例のCNT集合体のラマンスペクトルである。
図13】(A)は参考例のCNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像であり、(B)は参考例のCNT集合体のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明に係るカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材及びカーボンナノチューブ集合体の製造方法について説明する。なお、本発明のカーボンナノチューブ集合体製造用触媒基材及びカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
本発明者らは、遷移金属元素である触媒金属元素を含んだ化合物と、電子親和力の高い助触媒金属元素を含んだ化合物とが、分子レベルで混合された触媒前駆体層を形成し、これを加熱することで、加熱時の雰囲気を問わず、CNTの製造に適した粒子径かつ高密度の金属触媒微粒子を形成できることを見出した。
【0028】
<触媒金属元素>
触媒金属元素としては、第VIIIB族遷移金属からCNT集合体の合成用触媒として良く用いられる1種類以上を選択することができる。特に、CNT集合体の合成用触媒として良く用いられる、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種類以上が望ましい。
【0029】
<助触媒金属元素>
助触媒金属元素は、電子親和力の高いことが望ましい。一実施形態において、助触媒金属元素は、50kJ/mol以上、望ましくは100kJ/mol以上の電子親和力を有する。一般的に貴金属元素類に代表される電子親和力の高い金属元素は、プラスの電荷を有した状態にある種々の金属化合物であっても、高温に加熱されると、その雰囲気に依らず、金属単体に分解される。例えば、塩化白金(II)(PtCl2)は空気中で加熱されると、白金と塩素に分解する。即ち、PtCl2→Pt + Cl2の化学反応を生じる。このように生じた金属状態にある助触媒金属元素は、酸化状態にある触媒金属元素と接触混合された際に、これの還元を助け、その結果、触媒金属元素と助触媒金属元素からなる合金を形成させる働きを有する。例えば、非特許文献2に依れば、塩化白金と塩化鉄の混合水溶液を嫌気下で加熱分解させることで、鉄-白金の合金相が形成される。
【0030】
特に、助触媒金属元素は、CNTの触媒として一般的な鉄、コバルト又はニッケルと、合金を形成しうる組成比が広い元素であることが望ましい。例えば、貴金属元素であるプラチナ、ロジウム、イリジウム、パラジウムは、鉄と完全固溶体を形成する。
【0031】
また、CNT製造用の触媒は比較的高温で用いられるため、融点が高い元素であることが望ましく、一実施形態において、助触媒金属元素は、融点が1000℃以上、望ましくは1500℃以上、より望ましくは1800℃以上、さらに望ましくは2000℃以上である。
【0032】
このような観点から、助触媒金属元素は、貴金属元素は助触媒金属元素として望ましい元素群である。一実施形態において、助触媒金属元素は、金(Au、223kJ/mol、融点:1064℃)、銀(Ag、電子親和力:126kJ/mol、融点:961℃)、)、白金(Pt、電子親和力:205kJ/mol、融点:1769℃)、パラジウム(Pd、電子親和力:54kJ/mol、融点:1552℃)、ロジウム(Rh、電子親和力:110kJ/mol、融点:1960℃)、イリジウム(Ir、電子親和力:150kJ/mol、融点:2443℃)、ルテニウム(Ru、電子親和力:101kJ/mol、融点:2250℃)、オスミウム(Os、電子親和力:104kJ/mol、融点:3045℃)からなる群から選択されることが望ましい。ただし、銀は鉄とは合金を形成しないため、触媒金属元素として鉄を選択する場合には、助触媒金属元素は銀以外の上記貴金属から選択する。また、異なる一実施形態において、助触媒金属元素は、クロム(Cr、電子親和力:64kJ/mol、融点:1857℃)、銅(Cu、電子親和力:119kJ/mol、融点:1085℃)であっても良い。また一実施形態において、助触媒金属元素は、上記貴金属等から選択する1つ以上の組み合わせであってもよい。なお、本発明に係る助触媒金属元素には、一般的な助触媒として用いられるタングステンやモリブデンは含まれない。
【0033】
本発明においては、このような助触媒金属元素の特徴を利用して、触媒金属元素と助触媒金属元素が分子レベルで混合された触媒前駆体層を形成する。一実施形態において、触媒前駆体層は、還元性ガスを使わずとも、電子親和力の高い助触媒金属元素により、触媒金属元素の還元された金属状態を安定化させる効果を有する。これにより、触媒金属−助触媒金属合金が生成され、この合金が基材上で微粒子化することにより、CNTの製造に好適な金属触媒微粒子を形成することができる。
【0034】
触媒金属元素と助触媒金属元素を分子レベルで混合された触媒前駆体層を形成する手段として、触媒前駆体層において両元素が混合された状態を保持する役割を持つ合金化補助物質を、触媒前駆体層に混入する手法が有効である。これにより、合金が形成されるのに適切な温度まで触媒前駆体層を昇温する過程において、触媒金属元素あるいは助触媒金属元素が単一の粒子として凝集することを防ぐことができる。
【0035】
触媒前駆体層において、触媒金属元素に対する助触媒金属元素の含有量は特に限定されない。ただし、助触媒金属元素の含有量が少なすぎると、触媒金属元素の還元及び微粒子化を促進する効果を発揮しない。また、助触媒金属元素の含有量が多すぎると、触媒金属元素が希釈され過ぎてしまい、金属触媒微粒子が十分なCNTの成長活性を示すことが出来なくなる。そのため、助触媒金属元素数/触媒金属元素数の比は0.01以上2以下、望ましくは0.01以上0.8以下、より望ましくは0.01以上0.5以下である。
【0036】
<触媒原料物質>
触媒金属元素及び助触媒金属元素は、金属元素のみからなる金属単体だけでなく、金属化合物を触媒原料物質として用いることができる。一実施形態において、触媒原料物質は、塩化物などの金属塩、酸化物、窒化物、硫化物、又はアセチルアセテート錯体などの有機金属化合物を含む形態で存在していてもよい。また、微量であれば、触媒金属を構成する元素以外の金属元素が混ざっていてもよい。
【0037】
<合金化補助物質>
合金化補助物質は、合金が形成されるのに適切な温度まで触媒前駆体層を昇温した時に、合金化補助物質自体が熱分解するまで、触媒金属元素又は助触媒金属元素が単一の粒子として凝集することを抑える機能を有することが望ましい。このような機能を有する物質として、触媒金属元素と配位できる配位部位を2箇所以上有する高分子有機化合物又は低分子有機化合物であることが望ましい。合金化補助物質として、具体的には、アルコール性の水酸基、カルボニル基、エーテル基など、配位部位として機能する官能基を2つ以上する有機化合物が挙げられる。さらに具体的には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される高分子有機化合物、並びに多座配位子であるエチレンジアミン、ビピリジン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、フェナントロリン、クラウンエーテル、ポルフィリン、及びこれらの誘導体からなる群から選択される低分子有機化合物が挙げられる。
【0038】
合金化補助物質の熱分解温度は、特に限定されないが、300℃以上900℃以下の範囲が好ましい。300℃以下では合金化が進行しないため、合金化補助物質が熱分解した後、触媒金属元素又は助触媒金属元素が単一の粒子として凝集が起こりやすい。一方、900℃以上では、合金化補助物質が分解した後に基材上に調製される大半の金属触媒微粒子が、オストワルド熟成などの現象により高速で消失してしまい、CNT合成に適した高個数密度の金属触媒微粒子の調製には不適である。
【0039】
合金化補助物質は、熱分解する際に還元性ガスを発生する物質であることが好ましい。触媒前駆体層内で発生した還元性ガスは、触媒前駆体層内にある触媒原料物質に直ちに接触することができ、触媒原料物質に含まれる触媒金属元素及び助触媒金属元素を還元及び/又は微粒子化することができる。還元性ガスとは、例えば、水素、一酸化炭素、アンモニア、二窒化酸素(NO)、二酸化硫黄(SO)等の触媒金属元素及び/又は助触媒金属元素に対して還元作用を有する物質である。例えば、熱分解時に水素ガスを発生する、水素原子を含んだ有機化合物であれば、合金化補助物質として用いることができる。
【0040】
触媒前駆体層における触媒原料物質に対する合金化補助物質の含有量については、触媒原料物質に含まれる全ての金属元素を配位させる必要もないため、特に限定されない。ただし、ある程度の量があることが触媒金属元素及び助触媒金属元素の凝集を防ぎやすいことから、触媒前駆体層の中に2重量%以上、望ましくは5重量%以上、より望ましくは50重量%以上含まれる。
【0041】
<触媒前駆体層>
触媒前駆体層の厚さは、CNT集合体の製造に十分な触媒前駆体層が得られる限り、特に限定されない。また、触媒前駆体層全体の厚さについては特に限定されるものではなく、基材全体を被覆している必要もない。ただし、典型的には、触媒前駆体層を熱分解後に得られる金属触媒微粒子の総体積が、1nm程度の合金膜の体積に相当する触媒前駆体層の膜厚とするため、成膜後の触媒前駆体層としては10nm以上、望ましくは100nm以上である。
【0042】
触媒前駆体層における触媒原料物質と合金化補助物質との混合状態は、限定されるものではない。即ち、触媒原料物質が微粒子状や膜状などの形態で、合金化補助物質と分離して存在していても構わない。ただし、合金化をより促進するため、合金化補助物質に触媒原料物質を構成する金属元素が配位することにより、触媒前駆体層を構成する物質が分子レベルで混合されていることが望ましい。
【0043】
<基材>
基材は、その表面にCNTを成長させる触媒を担持することのできる部材であり、最低限400℃以上の高温でも形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。基材の形態としては、平板等の平面状の形態が、本発明の効果を用いて、大量のCNTを製造するために好ましい。しかしながら、粉末、または線状体の集合体で、平面状をなす基材でもよい。平面状の基材を用いると、原料ガスと触媒賦活物質を触媒に均一に供給しやすいため好ましい。
【0044】
これまでにCNTの製造に実績のある材質としては、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、砒素、燐、アンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金および酸化物、またはシリコン、石英、マグネシア、スピネル、カルシア、ドロマイト、クロミア、ジルコニア、チタニア、ムライ、ガラス、マイカ、グラファイト、アルミナ、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、酸化ジリコニウム、ゼオライト、シリカ、酸化チタン、ダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックおよびこれらの混合物が挙げられる。金属は、シリコンやセラミックと比較して廉価である点が好ましく、特に、鉄−クロム(Fe−Cr)合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金、および鉄−クロム−ニッケル(Fe−Cr−Ni)合金などが本発明の実施に好適である。
【0045】
粉末、または線状体としては、具体的には、板状アルミナ・石英フレーク・石英繊維・セラミック繊維・繊維状酸化チタンなどを例示できる。
【0046】
<下地層>
基材の表面に、金属酸化物を含む下地層を有してもよい。下地層は、触媒層の下地として、基材の表面に配置された層である。下地層は、基材の表面に、既知の金属酸化物を成膜することにより形成することができる。特に長尺な単層CNTの成長に実績がある、アルミナやMgOが適しているが、これらに限定されるものではない。
【0047】
<触媒前駆体層成膜工程>
図1を参照して、触媒前駆体層成膜工程を説明する。基材101の表面に下地層102を形成する(図1(A))。下地層102は、例えばスパッタリング法により形成することができる。下地層102の表面(又は上面)に触媒前駆体層106を成膜する(図1(B))。触媒前駆体層106の成膜工程は特に制限はない。塗布法や蒸着法など、選択された触媒原料物質と合金化補助物質の組み合わせによって適時選択してよい。ただし、形成される触媒前駆体層においては、合金化補助物質と触媒原料物質が分子レベルで混合されていることが望ましい。そのため、触媒前駆体層106の成膜工程としては、それぞれ少なくとも一部の触媒原料物質および合金化補助物質を溶解させた溶液を基材上に塗布する工程と、基材を乾燥させる工程からなることが望ましい。
【0048】
前述した触媒前駆体層106の成膜工程において、溶液の溶媒は問わないが、触媒原料物質及び合金化補助物質の溶解度が高い溶媒を選択することが望ましい。例えば水やアルコール類を選ぶことができる。
【0049】
溶液内にて溶解した触媒原料物質及び合金化補助物質は、保管された溶液内及び塗布工程の後の乾燥工程においてそれぞれが分離や凝集しないことが望ましい。そのため、合金化補助物質は、イオン状で溶解した触媒金属元素と助触媒金属元素とに溶液内で配位結合している事が望ましい。これによって金属元素同士が接触することが抑えられ、保管された溶液内、ならびに塗布工程後の乾燥工程における触媒金属元素と助触媒金属元素の凝集が抑制される。
【0050】
塗布する方法も問わないが、スピンコート、デッィプコート、スプレーコート、ブレードコートの他、各種塗工技術や印刷技術が該当する。乾燥工程における条件についても特に限定するものではないが、乾燥温度は合金化補助物質の分解や反応が起こる温度以下であることが望ましい。例えば室温にて真空や大気下で乾燥してもよく、その際、溶液の溶媒が未乾燥のまま残存していても良い。
【0051】
<金属触媒微粒子形成工程>
触媒前駆体層106を加熱し、金属触媒微粒子107を形成する(図1(C))。触媒前駆体層106を加熱し、合金化補助物質が熱分解した後、合金化補助物質に配位していた触媒金属元素と助触媒金属元素が直ちに接触する。触媒前駆体層106を加熱すると同時に、触媒原料物質である助触媒金属元素が構成していた化合物の熱分解も進行し、金属状態に還元された助触媒金属元素単体も生成される。触媒金属元素が助触媒金属元素に接触すると、両者の混合が進行する。助触媒金属元素との合金化により触媒金属元素の還元も進行し、基材101上で金属触媒微粒子107の形成が進行する。
【0052】
本発明においては、加熱時の雰囲気は問わず、還元性ガス、不活性ガス、酸化性ガスのいずれであってもよい。本工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加してもよい。還元性ガスとは、例えば水素、アンモニア、一酸化炭素、二窒化酸素(NO)、二酸化硫黄(SO)及びそれらの混合ガスである。不活性ガスとは、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトンなどや、これらの混合ガスが挙げられ、特に窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合ガスが好適である。酸化性ガスとは酸素、乾燥空気、水蒸気などである。
【0053】
金属触媒微粒子形成温度は特に限定されず、CNT成長工程と違っていてもよい。ただし、用いた合金化補助物質の熱分解開始温度以上であることが望ましい。低温過ぎると、触媒金属元素と助触媒金属元素が接触できず、合金化が進行しない。
【0054】
触媒前駆体層106の加熱時間は、特に制限ないが、合金化補助物質の分解を十分に開始させる必要がある。合金化補助物質やその量、また分解温度に依存するが、典型的には1秒以上であることが望ましい。
【0055】
適切な触媒原料物質並びに合金化補助物質の量や混合状態、ならびに加熱温度と時間を選択することにより、基材に直交する向きに配向したCNT集合体を成長させるのに好適な粒子径や個数密度を有する金属触媒微粒子107を基材101上に形成することができる。
【0056】
具体的には、生成する金属触媒微粒子107の粒子径は、それぞれ1nm以上10nm以下の範囲にあることが望ましい。より好ましくは、1nm以上5nm以下の範囲にあることが望ましい。金属触媒微粒子107の個数密度は1×1010個/cm以上、より好ましくは3×1010個/cm以上、さらに好ましくは1×1011個/cm以上であることが望ましい。金属触媒微粒子の個数密度の測定方法としては、例えば金属触媒微粒子形成工程の後で基材をCNT製造装置から取り出し、基材表面を原子力顕微鏡(AFM)で直接測定することができる。あるいは、次のCNT成長工程で成長したCNT109の直径、及びCNT集合体の密度とCNT109の直径および層数から以下のようにCNTの本数密度を求め、これが触媒の個数密度と同等であると推定することができる。即ちCNTの本数密度は(CNT集合体の重量密度)/(CNTの線密度)となるが、CNT集合体の重量密度はCNT集合体の重量測定と高さ測定を行うことで算出し、またCNT線密度は、非特許文献3に記載されるCNTの直径との比例関係から算出することができる。CNT109の直径はTEMによる直接観察や吸収スペクトルにおける吸収バンドエネルギーから測定することができる。
【0057】
<CNT成長工程>
次に、基材101に原料ガス(例えばブタンまたはアセチレン等の炭化水素ガス)を含んだ混合ガスを接触させることにより、金属触媒微粒子107から高速にかつ高収量で効率良くCNT集合体109が製造される(図1(D))。前記混合ガスには、雰囲気ガスと、触媒賦活物質(例えば水)とが含まれていても良い。
【0058】
<製造装置>
上述した金属触媒微粒子形成工程及びCNT成長工程に用いる装置は特には限定されず、既知の装置を用いることができる。また、金属触媒微粒子形成工程とCNT成長工程とは、同一温度、同一のキャリアガスで行うことが可能であるため、2つの工程に用いるチャンバーを分けなくてもよい。また、温度やガス流量をそれぞれの工程で適時調整することもできるため、金属触媒微粒子形成工程とCNT成長工程とでチャンバーを分けてもよい。例えば、金属触媒微粒子形成工程は大気中で加熱するための汎用電気炉を用い、CNT成長工程は別の装置を用いても良い。
【0059】
製造装置の一例を図2に示す。図2は、特願2010−279725に記載した本発明の一実施形態に係るCNT集合体の製造装置100の模式図である。製造装置100は、例えば、触媒前駆体層106を予め成膜した基材101(例えばシリコンウエハ)が基材ホルダ105に載置された合成炉110を備える。合成炉110には、第1ガス流路145および第2ガス流路147が配設され、触媒前駆体層106表面と概して垂直に交わるように基材101が配設される。第1ガス流路145には、第1ガス供給管141を介して原料ガスボンベ161、雰囲気ガスボンベ163及び還元ガスボンベ165が接続する。また、第2ガス流路147には、第2ガス供給管143を介して、触媒賦活物質ボンベ167が接続する。第1ガス供給管141には、第1炭素濃度調整手段171が配設され、原料ガスボンベ161、雰囲気ガスボンベ163及び還元ガスボンベ165から供給される第1ガスの炭素濃度を調整する。また、第2ガス供給管143には、第2炭素濃度調整手段173が配設され、触媒賦活物質ボンベ167から供給される第2ガスの炭素濃度を調整する。
【0060】
合成炉110には、第1ガス流路145および第2ガス流路147から供給されたガスを外部へ排出するガス排出管150が配設される。また、合成炉110には、加熱手段130が配設される。第1炭素濃度調整手段171、第2炭素濃度調整手段173及び加熱手段130は、図示しない制御手段により制御することができる。
【0061】
<CNT集合体製造工程>
図2を参照しながら説明すると、触媒前駆体層106を成膜した基材101が基材ホルダ105に載置され、合成炉110内には、第1ガス供給管141から第1ガス流路145を介して供給された雰囲気ガス(例えばヘリウム)が満たされている。触媒前駆体層106表面と第1ガス流路145および第2ガス流路147とは概して垂直に交わるように基材101を配設し、原料ガスが効率良く触媒に供給されるようにする。
【0062】
この段階で上述した金属触媒微粒子107を形成する場合には、合成炉110内を所定の温度(例えば750℃)に加熱し、その状態を所望の時間保持する。触媒前駆体層106および雰囲気ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、触媒金属元素並びに助触媒金属元素を還元及び/または微粒子化する。このとき、第1ガス供給管141から第1ガス流路145を介して合成炉110内に雰囲気ガスを供給してもよい。
【0063】
この加熱により、触媒前駆体層106が還元され、様々な粒子径を有する金属触媒微粒子107になり、CNT109の触媒として好適な状態に調整される。また、必要に応じて第2ガス供給管143から第2ガス流路147を介して触媒賦活物質を含む第2ガスを添加してもよい。この工程により、触媒金属元素の還元、CNTの成長に適合した状態の触媒金属元素を含んだ金属微粒子化促進、および触媒金属元素の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。次いで第1ガス流路145からの雰囲気ガスの供給を所望(反応条件)に応じて停止あるいは低減する。
【0064】
続いて、原料ガスと触媒賦活物質の各々を、合成炉110内に配設された互いに異なる配管から金属触媒微粒子107からなる触媒層103の近傍のガス混合領域180に供給する。すなわち、原料ガス(例えばブタンまたはプロパン)と、雰囲気ガスを含む第1ガスを、第1ガス供給管141から第1ガス流路145を介して合成炉110内に供給し、触媒賦活物質(例えば水)を含む第2ガスを第2ガス供給管143から第2ガス流路147を介して合成炉110内に供給する。第1ガス流路145および第2ガス流路147から供給されたこれらのガスは、基材101の触媒層103表面に対して略平行方向に向いたガス流を形成した後に、触媒層103の近傍のガス混合領域180で混合し、所定量で、基材101上の触媒層103表面に供給される。
【0065】
CNTの生産終了後、合成炉110内に残余する、第1ガスに含まれる原料ガス、第2ガスに含まれる触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉110内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制するために、第1ガス流路145から雰囲気ガスのみを流す。
【0066】
冷却ガス環境下でCNT集合体、触媒、および基材101を、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては、第2ガス供給管143から供給する不活性ガスが好ましく、特に安全性、経済性、およびパージ性などの点から窒素が好ましい。このようにして、CNT複合材料に用いるCNT109を製造することができる。
【0067】
<CNT集合体>
製造されたCNT109は、垂直配向体である。CNT109の長さは、10μm以上であることを特徴とする。より好ましくは、100μm以上であり、より好ましくは300μm以上である。また、CNT109の層数は得には限定されないが、単層を10%以上含むことが望ましく、より望ましくは、50%以上含むことが望ましい。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
実施例1として、触媒金属元素として鉄を用い、助触媒金属元素としてイリジウムを用い、合金化補助物質としてクエン酸及びポリビニルアルコール(PVA)を用いて、CNT集合体製造用触媒基材を作製した。まず、基材としてシリコンウエハ(縦40mm×横40mm)を準備し、シリコンエハの表面に酸化シリコン(SiO)膜を500nm形成した。触媒を配置する基材の面のSiO膜上にアルミナをスパッタリング法により堆積させ、40nm以上の下地層を形成した。下地層を形成した基材をアセントで超音波洗浄した後に、イソプロピルアルコール(IPA)で更に超音波洗浄した。その後、触媒前駆体層の塗工性を向上させるため、下地層をOプラズマで処理した。
【0069】
70mM FeCl、10mM イリジウム(Ir)、80mM クエン酸及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製した。基材の下地層を形成した面に塗布溶液をスピンコート法により塗布した。その後、基材を200℃で1分間加熱して、塗布溶液を乾燥させることにより、膜厚10μmの触媒前駆体層を形成し、CNT集合体製造用触媒基材を作製した。
【0070】
CNT集合体製造用触媒基材を合成炉に搬入し、Heを500sccm供給しながら、750℃で6分間加熱して、触媒金属元素と助触媒金属元素とを合金化及び微粒子化して、金属触媒微粒子を形成した。
【0071】
合成炉にHeを500sccm、20% アセチレン(C)(ヘリウムで20%に希釈したアセチレンを100sccm導入)を10sccm、触媒賦活物質として、窒素でバブリングした水を50sccm導入し、CNT集合体を合成した。
【0072】
また、金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、基材の表面に形成された金属触媒微粒子を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した像を図3(A)に示す。粒子径が5nm、個数密度が2×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0073】
合成されたCNT集合体のラマンスペクトルを図3(B)に示す。ラマンスペクトルは、ラマン分光測定装置(サーモエレクトロン社)を使用して、532nmの励起波長を用いた。実施例1のCNT集合体は、1560cm−1以上1600cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をG、1310cm−1以上1350cm−1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときに、G/D比が2.0であった。また、CNT集合体の収量は、0.621mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、345μmであった。
【0074】
(実施例2)
実施例2として、70mM FeCl、18mM イリジウム、88mM クエン酸及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は10μmであった。
【0075】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0076】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図4(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が4nm、個数密度が3×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0077】
実施例1と同様の条件で測定した実施例2のCNT集合体のラマンスペクトルを図4(B)に示す。実施例2のCNT集合体のG/D比は2.8であった。このことから、実施例2のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、CNT集合体の収量は、0.489mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、149μmであった。
【0078】
(実施例3)
実施例3として、70mM FeCl、10mM イリジウム及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は10μmであった。
【0079】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0080】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図5(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が4nm、個数密度が4×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0081】
実施例1と同様の条件で測定した実施例3のCNT集合体のラマンスペクトルを図5(B)に示す。実施例3のCNT集合体のG/D比は2.3であった。このことから、実施例3のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、CNT集合体の収量は、0.408mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、92μmであった。
【0082】
(実施例4)
実施例4として、酸素存在下での金属触媒の微粒子化を行った。実施例4として、実施例2と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。
【0083】
実施例4のCNT集合体製造用触媒基材を合成炉に搬入し、酸素(O)を500sccm、窒素(N)を1500sccm供給しながら、750℃で5分間加熱して、触媒金属元素と助触媒金属元素とを合金化及び微粒子化して、金属触媒微粒子を形成した。
【0084】
その後、合成炉にHeを500sccm供給しながら、750℃で6分間加熱して、合成炉内から、O及びNを除去した。合成炉にHeを500sccm、20% アセチレン(C)(ヘリウムで20%に希釈したアセチレンを100sccm導入)を10sccm、触媒賦活物質として、窒素でバブリングした水を50sccm導入し、CNT集合体を合成した。
【0085】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図6(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が1.5nm、個数密度が7×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。したがって、本実施例の結果から、本発明に係るCNT集合体製造用触媒基材は、酸素存在下においても金属触媒の微粒子化が可能であることが実証された。
【0086】
実施例1と同様の条件で測定した実施例4のCNT集合体のラマンスペクトルを図6(B)に示す。実施例4のCNT集合体のG/D比は38.0であった。このことから、実施例4のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、CNT集合体の収量は、0.009mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、16μmであった。
【0087】
(実施例5)
実施例5として、70mM FeCl、7mM ルテニウム(Ru)、77mM クエン酸及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は10μmであった。
【0088】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0089】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図7(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が2nm、個数密度が2×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0090】
実施例1と同様の条件で測定した実施例5のCNT集合体のラマンスペクトルを図7(B)に示す。実施例5のCNT集合体のG/D比は6.1であった。このことから、実施例5のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、実施例5で製造したCNT集合体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図8に示す。CNT集合体の収量は、0.694mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、370μmであった。
【0091】
(実施例6)
実施例6として、70mM FeCl、10mM イリジウム、80mM クエン酸、及び1wt% グリセリンを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は約100nmであった。本実施例において、グリセリンは300℃以下の低温で蒸発することから、クエン酸のみが合金化補助物質として働いている。
【0092】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0093】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図9(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が2nm、個数密度が6×1010個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0094】
実施例1と同様の条件で測定した実施例6のCNT集合体のラマンスペクトルを図9(B)に示す。実施例6のCNT集合体のG/D比は15.2であった。このことから、実施例6のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、CNT集合体の収量は、0.142mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、76μmであった。
【0095】
(比較例1)
比較例1として、助触媒金属元素を用いずに、CNT集合体製造用触媒基材を作製した。比較例1として、70mM FeCl、70mM クエン酸及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は10μmであった。
【0096】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0097】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図10(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が5nm、個数密度が1×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0098】
実施例1と同様の条件で測定した比較例1のCNT集合体のラマンスペクトルを図10(B)に示す。比較例1のCNT集合体のG/D比は3.3であった。しかし、CNT集合体の収量は、0.029mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、6μmとなり、実施例1に比してCNT合成量が著しく低下した。
【0099】
(比較例2)
比較例2として、触媒金属元素及び助触媒金属元素をスパッタリング法により成膜して、CNT集合体製造用触媒基材を作製した。触媒を配置する基材の面のSiO膜上にアルミナをスパッタリング法により堆積させ、40nm以上の下地層を形成し後に、鉄(Fe)をスパッタリング法により2.5nm堆積させた。さらに、Irをスパッタリング法により0.4nm堆積させた。
【0100】
実施例1と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0101】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図11(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が0.9nm、個数密度が6×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0102】
実施例1と同様の条件で測定した比較例2のCNT集合体のラマンスペクトルを図11(B)に示す。比較例2のCNT集合体のG/D比は10.4であった。しかし、CNT集合体の収量は、0.007mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、7μmとなり、実施例1に比してCNT合成量が著しく低下した。
【0103】
(比較例3)
比較例3として、助触媒金属元素を用いずに、CNT集合体製造用触媒基材を作製し、酸化雰囲気で金属触媒微粒子形成工程を行った。比較例3として、70mM FeCl、70mM クエン酸及び1wt% PVAを含む塗布溶液を調製したこと以外は実施例4と同様にCNT集合体製造用触媒基材を作製した。なお、形成した触媒前駆体層の膜厚は10μmであった。
【0104】
実施例4と同様の条件で、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例4と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0105】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図12(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上には粒子径1nm以上の構造が観察できず、金属触媒微粒子の形成は確認できなかった。
【0106】
実施例4と同様の条件で測定した比較例3のラマンスペクトルを図12(B)に示す。比較例3においてはCNTの存在を示すGバンドのピークが観察されなかった。また、CNT集合体の収量は、0mg/cmであった。
【0107】
(参考例1)
参考例1として、従来のCNT集合体製造用触媒基材を水素で還元して微粒子化した例を示す。参考例1として、SiO膜を500nm形成したシリコンエハにアルミナをスパッタリング法により堆積させ、40nm以上の下地層を形成した。
【0108】
下地層に鉄(Fe)をスパッタリング法により1.8nm堆積させた。
【0109】
CNT集合体製造用触媒基材を合成炉に搬入し、水素(H)を500sccm供給しながら、750℃で6分間加熱して、触媒金属元素を微粒子化して、金属触媒微粒子を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、CNT集合体を合成した。
【0110】
金属触媒微粒子を形成した段階で基材を合成炉から取り出し、CNT集合体製造用触媒基材に形成された金属触媒微粒子のAFM像を図13(A)に示す。CNT集合体製造用触媒基材上に、粒子径が2.8nm、個数密度が6×1011個/cmの金属触媒微粒子が形成されているのが確認できた。
【0111】
実施例1と同様の条件で測定した参考例1のCNT集合体のラマンスペクトルを図13(B)に示す。参考例1のCNT集合体のG/D比は8.0であった。このことから、参考例1のCNT集合体は、グラファイト化度が高く、高品質であることが確認された。また、CNT集合体の収量は、2.208mg/cm、CNT集合体の高さの平均は、914μmであった。この結果から、上述した実施例の示したCNT集合体製造用触媒基材は、参考例1と同様に、CNTの合成に有効であることが示された。
【符号の説明】
【0112】
100:製造装置、101:基材、102:下地層、103:触媒層、105:基材ホルダ、106:触媒前駆体層、107:金属触媒微粒子、CNT、110:合成炉、141:第1ガス供給管、143:第2ガス供給管、145:第1ガス流路、147:第2ガス流路、161:原料ガスボンベ、163:雰囲気ガスボンベ、165:還元ガスボンベ、167:触媒賦活物質ボンベ、171:第1炭素濃度調整手段、173:第2炭素濃度調整手段
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