特許第6848106号(P6848106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6848106
(24)【登録日】2021年3月5日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】手動測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20210315BHJP
   G01B 5/20 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   G01B21/20 101
   G01B5/20 C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-67887(P2020-67887)
(22)【出願日】2020年4月3日
(62)【分割の表示】特願2018-25503(P2018-25503)の分割
【原出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2020-148777(P2020-148777A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信策
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩三郎
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−310642(JP,A)
【文献】 特開2001−311616(JP,A)
【文献】 特開2009−276129(JP,A)
【文献】 特開2011−027616(JP,A)
【文献】 特開2002−98520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/20
G01B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定プローブが手動で移動するようにされた手動測定装置において、
前記測定プローブ先端近傍に装着されるサブモニタを備え、
該サブモニタが、前記測定プローブの方向ベクトルに基づいてナビゲーションの方向を表示する機能と、前記方向ベクトルが指し示す位置の設計図をリアルタイムで表示する機能とを有することを特徴とする手動測定装置。
【請求項2】
前記サブモニタが、前記測定プローブの測定点迄の誘導経路を表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の手動測定装置。
【請求項3】
前記サブモニタが、前記測定プローブが測定許容範囲に入ったことを表示する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の手動測定装置。
【請求項4】
前記サブモニタが、前記測定プローブによる測定値取得を指示する機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の手動測定装置。
【請求項5】
前記サブモニタが、前記設計図上に測定用の指定ポイントを表示する機能を有し、前記指定ポイントの近傍をなぞって、通過する点の座標を取得するようにされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の手動測定装置。
【請求項6】
前記サブモニタが、カメラ機能を有し、該カメラ機能を利用して取得した画像を拡大/縮小するようにされていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の手動測定装置。
【請求項7】
前記サブモニタが、タッチパネルディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の手動測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動測定装置に係り、特に、マニュアル三次元測定機に用いるのに好適な、測定プローブが手動で移動するようにされた手動測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に多関節型三次元測定機20で例示する如く、特許文献1に記載されたような、アーム機構22の先端に配置された測定プローブ24が手動で移動するようにされたマニュアル三次元測定機は、デスクトップコンピュータ30(または専用電装)のディスプレイ32上に表示される設計情報や測定条件を参照しながら、測定プローブ24でワークWを接触または非接触で測定するシステムである。図において、26は、多関節型三次元測定機20を設置するための三脚台である。
【0003】
このようなシステムで、測定者Uは自分が測定しなければならないワークW上の位置などをデスクトップコンピュータ30のディスプレイ32上で確認し、実際のワークWの位置と照らし合わせて測定を行う。つまり、測定のたびに測定者Uはディスプレイ32とワークWを交互に見る動作を繰り返している。ワークWの大きさや測定状況によってはディスプレイ32を直接視認できない場合も考えられる。本来測定者Uは測定のたびにワークWから大きく視線を外さずに測定する方が効率的で信頼性の高い結果を得られるはずであるが、このシステムは測定者Uがデスクトップコンピュータ30のディスプレイ32に視線を向けることを前提としている点が大きな欠点となっている。
【0004】
図2はノートブックコンピュータ(ノートパソコン)34に接続されている例である。この場合は、ワークWの近傍に設置することもできデスクトップコンピュータよりは改善され、測定しながらディスプレイを確認することはデスクトップコンピュータより容易ではあるが、やはり視線を外すために、ほとんどの場合測定を中断して表示内容を確認しなければならない。また、ワークWの大きさや測定環境によっては、ノートパソコン34でも近くに置くことができず、したがってディスプレイを直接視認できない場合も考えられ、デスクトップコンピュータと同様の問題を抱えている。
【0005】
なお、特許文献2には、関節アーム座標測定機の土台の付近に、開閉式のディスプレイを備えた電装部を設けることが記載されている。
【0006】
又、特許文献3には、アームの先端にテキストを表示可能なスクリーンを設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−47014号公報
【特許文献2】特表2013−517504号公報
【特許文献3】米国特許第6131299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の技術においても、アーム先端に装着されるのは、テキストスクリーンであるため、適切なナビゲーションや測定指示を行うことはできなかった。
【0009】
又、例えば自動車部品用検査ゲージ・検査治具は、指定されたポイントを測定するが、図3に例示する如く、測定者には実際のワークW上の位置がわからず、多関節型三次元測定機では指定されたポイントを測定することが困難であるという問題点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記従来の問題を解消するべくなされたもので、測定プローブが手動で移動するようにされた手動測定装置において、前記測定プローブ先端近傍に装着されるサブモニタを備え、該サブモニタが、前記測定プローブの方向ベクトルに基づいてナビゲーションの方向を表示する機能と、前記方向ベクトルが指し示す位置の設計図をリアルタイムで表示する機能とを有することにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
ここで、前記サブモニタが、前記測定プローブの測定点迄の誘導経路を表示する機能を有することができる。
【0012】
又、前記サブモニタが、前記測定プローブが測定許容範囲に入ったことを表示する機能を有することができる。
【0013】
又、前記サブモニタが、前記測定プローブによる測定値取得を指示する機能を有することができる。
【0014】
又、前記サブモニタが、前記設計図上に測定用の指定ポイントを表示する機能を有し、前記指定ポイントの近傍をなぞって、通過する点の座標を取得するようにすることができる。
【0015】
又、前記サブモニタが、カメラ機能を有し、該カメラ機能を利用して取得した画像を拡大/縮小するようにすることができる。
【0016】
又、前記サブモニタを、タッチパネルディスプレイとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンピュータのディスプレイが直接視認できない状況でも、視線を外すことなく、また測定を中断することなく、制御ソフトウェアの情報を手元で確認できるようにすることによって、測定者が測定作業に集中できるようになる。
【0018】
従って、次のような効果を奏する。
【0019】
(1)測定時間の短縮
制御ソフトウェアの表示内容を確認するために、測定を中断してディスプレイを確認する必要がないため、測定時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
(2)測定品質の向上
測定プローブを保持したままワークと同一視野で測定情報を確認できるため、無駄な動作が不要となって測定に集中でき、結果として測定品質を向上することが可能となる。
【0021】
(3)測定ミスの低減
サブモニタに測定点迄の誘導経路を表示してナビゲーションすることにより、実際のワーク上の測定位置とサブモニタに表示されたナビゲーション情報を照らし合わせながら測定ができるため、測定ミスの低減が期待できる。
【0022】
(4)使い勝手の向上
サブモニタがタッチパネルディスプレイである場合、そのタッチパネル操作により制御ソフトウェアの操作が可能となるため、手元でほとんどの操作が可能となり、使い勝手を大幅に向上することができる。
【0023】
(5)コンピュータの操作無しに結果を確認できる
ワークの測定結果を確認する場合、従来は(測定中の場合は一旦測定プローブを手放し、コンピュータの場所に移動した上で)コンピュータのマウス等を操作して画面上に表示されたワーク図形を回転・移動・拡大・縮小して確認したい位置が見えるようにしなければならなかったが、本発明によれば、測定プローブを保持したままサブモニタ上で結果を確認できる。
【0024】
(6)実際のワークを見ながら設計値が確認できる
測定するワークの各部の設計値は、従来、CAD図面(紙)やディスプレイ画面上に表示されたCADデータを確認し、目の前のワークと照らし合わせ、必要な設計値を一時的に覚えておく必要があったが、本発明によれば、設計値を確認したい部分に測定プローブを向けることにより、測定プローブが指している測定位置の設計値をサブモニタ上に表示することができるため、測定者は設計値を覚えている必要がなくなる。
【0025】
(7)コンピュータのディスプレイを確認できない(確認しづらい)場合に有効
大きなワークの場合、ワークの影にコンピュータのディスプレイが隠れてしまい直接視認できない場合や、ディスプレイが遠くなり表示内容を確認できない場合、従来はコンピュータの位置をその都度変更するか、測定を中断して測定者がコンピュータの場所まで移動しなければならなかったが、本発明によれば、コンピュータも測定者も移動する必要はなく、手元のサブモニタを確認することで良く、大抵の場合コンピュータに直接接続されたディスプレイでの確認は不要となる。
【0026】
(8)制御ソフトウェアを手元で操作できる
制御ソフトウェアは、大抵の場合マウスやキーボードによりメニュー等を操作しなければならない。測定機が小型でノートパソコンが近くにあれば、片手で測定プローブを保持しながらもう片方の手でコンピュータの操作をすることもできるが、大抵の場合は測定プローブから一旦手を離し、両手でコンピュータを操作しなければならない。コンピュータが離れた場所にある場合は、測定者の移動が伴うことも少なくないが、サブモニタがタッチパネルディスプレイであれば、手元に装着されているサブモニタのタッチパネルで制御ソフトウェアの操作も可能となるため、使い勝手を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来の多関節型三次元測定機とデスクトップコンピュータを用いて測定している状態の一例を示す斜視図
図2】従来の多関節型三次元測定機とノートパソコンを用いて測定している状態の一例を示す斜視図
図3】従来の問題点を説明するための斜視図
図4】本発明の第1実施形態の全体構成を示す斜視図
図5】同じく要部構成を示す拡大斜視図
図6】同じくリンク機構を示す側面図
図7】同じく処理部の構成を示すブロック図
図8】同じく測定手順の例を示す斜視図
図9】同じく作用を示す斜視図
図10】本発明の第2実施形態の全体構成を示す斜視図
図11】同じく要部構成を示す拡大斜視図
図12】本発明の第3実施形態の全体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0029】
最初に、本実施形態に係る多関節型三次元測定機20の構成を説明する。
【0030】
多関節型三次元測定機20は、図4に示す如く、測定プローブ24と多関節のアーム機構22とを有する。測定プローブ24は、ワークWを測定するためのものであり、その先端(プローブ先端)が例えばボール形状とされている。アーム機構22は、図4で示す如く、基部22Aで第1関節22Bを介して第1アーム22Cを支持し、第1アーム22Cは第2関節22Dを介して第2アーム22Eを支持し、第2アーム22Eは第3関節22Fを介してアームヘッド22Gを支持している。アームヘッド22Gは、アーム機構22の先端とされ、測定プローブ24を備えている。第1関節22B、第2関節22D、第3関節22Fは、互いに直交する軸方向で回転可能とされており、回転角度を検出可能なロータリー型のエンコーダ(図示せず)を2つ内蔵している。つまり、本実施形態のアーム機構22の軸は、6軸とされている(これに限定されず、アーム機構22の軸は7軸等であってもよい)。これらすべてのエンコーダの出力に基づくことで、測定プローブ24の位置(座標)を特定することが可能とされている。基部22Aは、ワークWの置かれる作業台10等に直接的に配置されてもよいし、三脚台26を介して配置されていてもよい。
【0031】
このような多関節型三次元測定機20でワークWの三次元形状を測定する際には、測定者Uは、図4及び図5に示すアームヘッド22Gに設けられたグリップ22Hを掴んで操作し測定プローブ24を手動移動させる。即ち、多関節型三次元測定機20は、アーム機構22の軸に駆動源を有さないパッシブな構成とされている。そして、測定者Uは、ワークWに対して測定プローブ24を自由な方向から近づけることができ、自由な角度で接触させることが可能である。そして、測定者Uは、図示せぬスイッチの操作により、ワークWの測定のオン・オフを切り替えることができる。
【0032】
本発明の第1実施形態は、本発明を上記のような多関節型三次元測定機20に適用したもので、図5に詳細に示す如く、測定プローブ24の先端近傍に、図6に示される角度可変のリンク機構42を介して、タッチパネルディスプレイを有する携帯端末(いわゆるスマートフォン)40をサブモニタとして装着したものである。
【0033】
前記リンク機構42により、測定者Uが測定時に携帯端末40の位置や角度を調整することができ、携帯端末40や測定個所の視認性が向上する。なお、リンク機構42を省略することもできる。
【0034】
前記携帯端末40は、デスクトップコンピュータ又はノートパソコン34と有線又は無線通信で接続され、ノートパソコン34上の制御ソフトウェアから送信された測定情報をテキストデータやグラフィックデータとして前記携帯端末40上に表示したり、音や音声で通知したりする機能を有している。又、前記携帯端末40のタッチパネルディスプレイで入力された情報や音声認識で入力された情報をノートパソコン34上の制御ソフトウェアに送信する機能も搭載され、制御ソフトウェアの操作を携帯端末40から行うことも可能である。
【0035】
例えば、前記ノートパソコン34に含まれる処理部36の構成を図7に示す。前記ノートパソコン34には、図7に詳細に示す如く、座標及びベクトル生成部126、データ管理部128、ワーク形状記憶部130、座標計算部132、表示制御部136を含む処理部36と、表示部38とが備えられている。
【0036】
前記座標及びベクトル生成部126は、多関節型三次元測定機20の出力(エンコーダ
の出力)から測定プローブ24の先端の位置(座標)を生成する。同時に、測定プローブ24先端の方向ベクトル(測定プローブ24が向いている方向)を生成する。
【0037】
前記データ管理部128は、図示せぬ入力部又は携帯端末40からのコマンドを処理して、そのコマンドに従い、ワーク形状記憶部130、表示制御部136へ、各種指示を行う。又、データ管理部128は、測定プローブ24による測定条件などを指示する。
【0038】
ワーク形状記憶部130は、三次元CADデータ等から得られる測定対象となるワークWの設計形状や設計値自体等の設計情報DIを記憶している。なお、ワーク形状記憶部130では、設計情報DIが測定プローブ24で測定する際の座標系(ワーク座標系)上の情報とされている(即ち、ワーク形状記憶部130に記憶されているワークWの設計情報DIは、予め測定プローブ24でワークWの特徴的な座標を複数測定してワーク座標系上の情報に校正されている)。また、ワーク形状記憶部130には、座標及びベクトル生成部126から出力されるワークWの測定値情報を含む測定済み位置の情報なども記憶される。なお、データ管理部128により、ワークWの設計情報DIのうちからワークWの測定予定位置や設計値等が特定される。
【0039】
座標計算部132は、座標及びベクトル生成部126で生成された測定プローブ24の位置に基づいて、ワーク形状記憶部130によるワークWまでの距離を計算する。また、座標計算部132は、座標及びベクトル生成部126で生成された測定プローブ24の方向ベクトルに基づいて、ナビゲーションの方向を計算し、表示部38や携帯端末40のディスプレイに表示されるようにする。
【0040】
以下、指定ポイントを測定するためのナビゲーションの処理を図8を用いて説明する。
【0041】
まず、ステップ100で設計図上に指定ポイントを表示する。
【0042】
次いでステップ110で、測定プローブ24の方向ベクトルが指し示す位置の設計図をリアルタイムで表示する。
【0043】
次いでステップ120で、指定ポイントへのアーム移動方向を携帯端末40上にナビゲーション表示する。
【0044】
次いでステップ130で、指定ポイントの測定許容範囲に入ったら測定を指示する。
【0045】
このようにして、図9に例示するように、指定ポイントの近傍を、指定ポイントの座標が取得できるまでなぞって、指定ポイントを通過するときに座標を取得することが可能となる。
【0046】
この際、携帯端末40の音声入力機能を利用して、測定位置とリンクさせてコメントを録音したり、カメラ機能を利用して画像を取得し、ノートパソコン34や携帯端末40の表示部38に拡大/縮小/ズーム表示したり、測定プローブ24の位置によって携帯端末40の表示内容を変えることができる。
【0047】
次に、門型の手動三次元測定機に搭載した本発明の第2実施形態を説明する。
【0048】
門型三次元測定機50は、図10に示す如く、ワークWが載置されるテーブル52と、該テーブル52に対して図の奥行方向(Y方向)に移動自在とされた門型フレーム54と、該門型フレーム54上を図の左右方向(X方向)に移動自在とされたX軸スライダ56と、該X軸スライダ56上を図の上下方向(Z方向)に移動自在とされたZ軸スピンドル
58と、該Z軸スピンドル58の先端(図の下端)に固定された測定プローブ60とを有し、該測定プローブ60を手動で移動してワークWの形状を測定するようにされている。
【0049】
前記門型フレーム54、X軸スライダ56、Z軸スピンドル58には、図示しないリニアエンコーダが内蔵されており、X、Y、Z軸方向の位置や移動量を検出するようにされている。
【0050】
本発明の第2実施形態は、このような門型三次元測定機50において、図11に詳細に示す如く、測定プローブ60近傍のZ軸スピンドル58に、図6に示したようなリンク機構42を介して携帯端末40を装着したものである。携帯端末40に関わる動作は、第1実施形態と実質的に同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
なお、前記実施形態においては、いずれも、サブモニタとしてスマートフォンを用いていたので、本発明を容易且つ安価に実施できる。なお、サブモニタの種類はこれに限定されない。例えば、小型のタブレットPCを装着することも可能である。
【0052】
又、前記実施形態においては、いずれも、携帯端末40がノートパソコン34とつながっていたが、クラウド経由でサーバやホストコンピュータとつながっていても良い。この場合には、最新のデータをダウンロードすることが可能となる。
【0053】
更に、第3実施形態として、図12に示す如く、携帯端末40を測定機20、50から着脱可能とすることもできる。図において、FGは共通の測定対象のフロントガラスである。この場合、一方の測定機(図では20)から携帯端末40を取り外し、他方の測定機(図では50)に取り付けて、測定機50の制御PCと接続するなど、複数の測定機20、50で携帯端末40を共用することができる。無線であれば着脱するだけで接続/非接続が行われ(Bluetooth(登録商標)ではペアリング操作が必要)、1台の携帯端末40で複数の測定機20、50の状態を保持することができる。例えば、従来は測定機20の測定結果と測定機50の測定結果を比較するためには、それぞれの測定結果をプリンターで印刷して紙上で見比べるか、もしくはどちらかの制御PCにもう一方の測定結果をコピーし、ドキュメントソフトウェアでレイアウトして印刷するしかなかった。しかし、本実施形態によれば、両測定機20、50の測定結果を1台の携帯端末40の中に(測定終了と同時に)保持することが可能となり、比較のための測定結果印刷も携帯端末40から行うことが可能となり、ユーザーの利便性を大幅に向上することができる。また、測定制御のために使用されるソフトウェアは非常に柔軟性のあるカスタマイズが可能になっているが、複数のユーザーが1台の制御PCを共用して測定する場合は、各個人で使いやすく別個にカスタマイズをすることができない(難しい)場合がある。しかし、本実施形態によれば、他人に迷惑をかけることなく、各個人が所有する携帯端末40を自分専用にカスタマイズして使用することが可能となり、よりパーソナルな操作にすることができる。
【0054】
なお、第3実施形態では、複数の測定機が多関節型三次元測定機20と門型三次元測定機50の組合せであったが、複数の測定機の組合せはこれに限定されず、台数も2台に限定されない。
【0055】
又、前記実施形態においては、いずれも、本発明が三次元測定機に適用されていたが、本発明の適用対象は、これに限定されず、測定プローブを手動で移動するようにされた手動測定装置一般に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
U…測定者
W…ワーク
20…多関節型三次元測定機
24、60…測定プローブ
34…ノートパソコン
40…携帯端末(サブモニタ)
42…リンク機構
50…門型三次元測定機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12