(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
短波長になればなるほど光のエネルギー密度が増加するため、露光によって発生するフォトン数が減少する。フォトンのバラツキが、LWRとCDUのバラツキを生む要因となっている。露光量を上げていくとフォトンの数が増加し、フォトンのバラツキが小さくなっていく。これによって、感度と解像性、LWR、CDUのトレードオフの関係が存在している。特に、EUVリソグラフィー用レジスト材料においては、低感度である方がLWRとCDUが良好な傾向にある。
【0010】
酸の拡散の増大によっても、解像性、LWR、CDUが劣化する。酸拡散は像ぼけの原因であるだけでなく、レジスト膜中の酸の拡散は不均一に進行するためである。酸拡散を小さくするためには、PEB温度を下げたり、拡散しにくいバルキーな酸を適用したり、クエンチャーの添加量を増やしたりすることが効果的である。しかしながら、これら酸拡散を小さくする手法では、何れの方法においても感度が低下する。フォトンのバラツキを小さくする方法、酸拡散のバラツキを小さくする方法の何れにおいてもレジストの感度が低くなる。
【0011】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、増感効果が高く、酸拡散を抑える効果も有し、解像性、LWR、CDUが良好なレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
酸の発生効率を一段と高めることができ、かつ酸拡散を一段と抑えることができれば、感度と解像性、LWR、CDUのトレードオフの関係を打破することが可能となる。
【0013】
ヨウ素は原子番号が大きいために波長13.5nmのEUV及びEBの吸収が大きく、分子内に多くの電子軌道を有しているために露光により多くの二次電子が発生する。発生した二次電子が酸発生剤にエネルギー移動することによって、高い増感効果を得ることができる。
【0014】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素化芳香族基を有するカルボン酸と、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、アルミニウム及びインジウムから選ばれる金属との塩をレジスト材料に添加することによって、増感効果が高く、かつ酸拡散を抑える効果も有し、高感度かつLWRとCDUが小さいレジスト膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
したがって、本発明は、下記レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.ベースポリマーと、ヨウ素化芳香族基を有するカルボン酸の、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、アルミニウム及びインジウムから選ばれる金属塩とを含むレジスト材料。
2.前記塩が、下記式(A)で表されるものである1のレジスト材料。
【化1】
(式中、R
1は、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルコキシ基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜6のアシロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、−NR
2−C(=O)−R
3、又は−NR
2−C(=O)−O−R
3であり、R
2は、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基であり、R
3は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜8のアルケニル基である。Gは、単結合、又は炭素数1〜20の(p+1)価の連結基であり、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルトン基、ラクタム基、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基を有していてもよい。pは、1〜3の整数である。qは、1〜5の整数である。rは、0〜3の整数である。M
n+は、Na
+、Mg
2+、K
+、Ca
2+、Rb
+、Sr
2+、Cs
+、Ba
2+、Co
2+、Ni
2+、Cu
2+、Zn
2+、Cd
2+、Sn
4+、Sb
3+、Zr
4+、Hf
4+、Ce
3+、Al
3+又はIn
3+である。nは、M
n+で表される金属イオンの価数を表し、1〜4の整数である。)
3.更に、スルホン酸、スルホンイミド又はスルホンメチドを発生する酸発生剤を含む1又は2のレジスト材料。
4.更に、有機溶剤を含む1〜3のいずれかのレジスト材料。
5.前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである1〜4のいずれかのレジスト材料。
【化2】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
41及びR
42は、それぞれ独立に、酸不安定基である。Xは、単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又はエステル基若しくはラクトン環を含む炭素数1〜12の連結基である。Yは、単結合又はエステル基である。)
6.更に、溶解阻止剤を含む5のレジスト材料。
7.化学増幅ポジ型レジスト材料である5又は6のレジスト材料。
8.前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである1〜4のいずれかのレジスト材料。
9.更に、架橋剤を含む8のレジスト材料。
10.化学増幅ネガ型レジスト材料である8又は9のレジスト材料。
11.前記ベースポリマーが、更に下記式(f1)〜(f3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位を含む1〜10のいずれかのレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z
1は、単結合、フェニレン基、−O−Z
11−、又は−C(=O)−Z
12−Z
11−であり、Z
11は、カルボニル基、エステル基、エーテル基若しくはヒドロキシ基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜6のアルキレン基若しくは炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基であり、Z
12は、−O−又は−NH−である。R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57及びR
58は、それぞれ独立に、カルボニル基、エステル基若しくはエーテル基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、若しくはメルカプトフェニル基である。Z
2は、単結合、−Z
21−C(=O)−O−、−Z
21−O−又は−Z
21−O−C(=O)−であり、Z
21は、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキレン基である。Z
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−Z
31−、又は−C(=O)−Z
32−Z
31−であり、Z
31は、カルボニル基、エステル基、エーテル基若しくはヒドロキシ基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜6のアルキレン基若しくは炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、若しくはトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、Z
32は、−O−又は−NH−である。A
1は、水素原子又はトリフルオロメチル基である。M
-は、非求核性対向イオンを表す。)
12.更に、界面活性剤を含む1〜11のいずれかのレジスト材料。
13.1〜12のいずれかのレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
14.前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー又は波長248nmのKrFエキシマレーザーである13のパターン形成方法。
15.前記高エネルギー線が、EB又は波長3〜15nmのEUVである13のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0016】
ヨウ素化芳香族基を有するカルボン酸の前記金属塩を含むレジスト膜は、光吸収の大きいヨウ素を含んでいるため、露光中にこれから発生する二次電子による増感効果があり、更に前記金属塩は酸拡散を抑える効果が高く、溶解コントラストが高いために、アルカリ現像におけるポジ型レジスト膜、ネガ型レジスト膜及び有機溶剤現像におけるネガ型レジスト膜として優れた解像性を有し、特に高感度かつLWRが小さい特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、ベースポリマーと、ヨウ素化芳香族基を有するカルボン酸の、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、アルミニウム及びインジウムから選ばれる金属塩(以下、ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩ともいう。)とを含むものである。前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩は、酸発生剤から発生したスルホン酸、スルホンイミド又はスルホンメチド、特にはフッ素化されたアルキル基を含むスルホン酸、ビススルホンイミド又はトリススルホンメチドとイオン交換を起こして塩を形成し、ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸が放出される。前記金属は、酸の捕集能力と酸拡散を抑える効果が高い。前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩は、感光性がなく、光によって分解されることがないし、露光部分でも十分な酸を捕捉する能力がある。よって、露光部から未露光部への酸の拡散を抑えることができる。
【0018】
本発明のレジスト材料には、前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩のほかに、他のアミン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩又はヨードニウム塩をクエンチャーとして別途添加してもよい。このとき、クエンチャーとして添加するアンモニウム塩、スルホニウム塩又はヨードニウム塩としては、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド及びサッカリンのスルホニウム塩又はヨードニウム塩が適当である。このときのカルボン酸は、α位がフッ素化されていてもいなくてもよい。
【0019】
前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩による酸拡散抑制効果及びコントラスト向上効果は、アルカリ現像によるポジティブパターン形成やネガティブパターン形成においても、有機溶剤現像におけるネガティブパターン形成のどちらにおいても有効である。
【0020】
[ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩]
本発明のレジスト材料に含まれるヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩は、ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸と、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、アルミニウム及びインジウムから選ばれる金属との塩であり、下記式(A)で表されるものが好ましい。
【化4】
【0021】
式(A)中、R
1は、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルコキシ基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜6のアシロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、−NR
2−C(=O)−R
3、又は−NR
2−C(=O)−O−R
3であり、R
2は、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基であり、R
3は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜6のアルキル基、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜8のアルケニル基である。Gは、単結合、又は炭素数1〜20の(p+1)価の連結基であり、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルトン基、ラクタム基、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基を有していてもよい。pは、1〜3の整数である。qは、1〜5の整数である。rは、0〜3の整数である。M
n+は、Na
+、Mg
2+、K
+、Ca
2+、Rb
+、Sr
2+、Cs
+、Ba
2+、Co
2+、Ni
2+、Cu
2+、Zn
2+、Cd
2+、Sn
4+、Sb
3+、Zr
4+、Hf
4+、Ce
3+、Al
3+又はIn
3+である。nは、M
n+で表される金属イオンの価数を表し、1〜4の整数である。
【0022】
式(A)で表されるヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩のアニオン部分としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
前記金属イオンは、高い塩基性度に合わせて高いトラップ能を有している優れたクエンチャーである。
【0027】
前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩は、例えば、ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸と、前記金属の水酸化物、アルコキシド又は炭酸塩とを混合することによって調製することができる。
【0028】
前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩は、分子内にヨウ素を有しているために、EUVの吸収が大きい。EUV露光によって二次電子が発生し、これが酸発生剤にエネルギー移動して増感する。これによって、高感度かつ低酸拡散を実現することができ、LWR又はCDUと感度との両方の性能を向上することが可能になる。
【0029】
本発明のレジスト材料において、前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩の含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、感度と酸拡散抑制効果の点から、0.001〜50質量部が好ましく、0.01〜20質量部がより好ましい。
【0030】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1という。)、又は式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2という。)が好ましい。
【化8】
【0031】
式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
41及びR
42は、それぞれ独立に、酸不安定基である。Xは、単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又はエステル基若しくはラクトン環を含む炭素数1〜12の連結基である。Yは、単結合又はエステル基である。
【0032】
繰り返し単位a1としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
41は、前記と同じである。
【化9】
【0033】
繰り返し単位a1及びa2中のR
41及びR
42で表される酸不安定基としては種々選定されるが、例えば、特開2013−80033号公報や特開2013−83821号公報に記載の酸不安定基を用いることができる。
【0034】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL−1)〜(AL−3)で表されるものが挙げられる。
【化10】
【0035】
式(AL−1)及び(AL−2)中、R
43及びR
46は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の炭素数1〜40、特に1〜20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。R
44及びR
45は、それぞれ独立に、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。A1は0〜10、特に1〜5の整数である。R
44とR
45と、R
44とR
46と、又はR
45とR
46とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0036】
式(AL−3)中、R
47、R
48及びR
49は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。R
47とR
48と、R
47とR
49と、又はR
48とR
49とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0037】
前記ベースポリマーは、更に、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【0039】
前記ベースポリマーは、更に、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基又はシアノ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【0048】
ヒドロキシ基を含むモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0049】
前記ベースポリマーは、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
前記ベースポリマーは、更に、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0052】
前記ベースポリマーは、更に、重合性炭素−炭素二重結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。特開2005−84365号公報には、特定のスルホン酸が発生する重合性炭素−炭素二重結合を含むスルホニウム塩やヨードニウム塩が提案されている。特開2006−178317号公報には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0053】
好ましい繰り返し単位fとしては、下記式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1という。)、下記式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2という。)、及び下記式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3という。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1〜f3は、1種単独でも、2種以上を組み合せて使用してもよい。
【化21】
【0054】
式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z
1は、単結合、フェニレン基、−O−Z
11−、又は−C(=O)−Z
12−Z
11−であり、Z
11は、カルボニル基、エステル基、エーテル基若しくはヒドロキシ基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜6のアルキレン基若しくは炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基であり、Z
12は、−O−又は−NH−である。R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57及びR
58は、それぞれ独立に、カルボニル基、エステル基若しくはエーテル基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、若しくはメルカプトフェニル基である。Z
2は、単結合、−Z
21−C(=O)−O−、−Z
21−O−又は−Z
21−O−C(=O)−であり、Z
21は、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキレン基である。Z
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−Z
31−、又は−C(=O)−Z
32−Z
31−であり、Z
31は、カルボニル基、エステル基、エーテル基若しくはヒドロキシ基を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜6のアルキレン基若しくは炭素数2〜6のアルケニレン基、又はフェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、若しくはトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、Z
32は、−O−又は−NH−である。A
1は、水素原子又はトリフルオロメチル基である。M
-は、非求核性対向イオンを表す。
【0055】
繰り返し単位f1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、M
-及びR
Aは、前記と同じである。
【化22】
【0056】
M
-で表される非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレートイオン、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン、トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4−フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン、メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオンが挙げられる。
【0057】
前記非求核性対向イオンとしては、更に、下記式(K−1)で表されるα位がフルオロ置換されたスルホン酸イオン、下記式(K−2)で表されるα及びβ位がフルオロ置換されたスルホン酸イオン等が挙げられる。
【化23】
【0058】
式(K−1)中、R
61は、水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。
【0059】
式(K−2)中、R
62は、水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜30のアシル基、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。
【0060】
繰り返し単位f2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化24】
【0065】
繰り返し単位f3を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化29】
【0067】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってエッジラフネスが改善される。
【0068】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーとしては、酸不安定基を含む繰り返し単位a1又はa2を必須とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、及び0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、及び0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.75、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6、及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1〜f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、a1+a2+b+c+d+e+f=1.0である。
【0069】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基は必ずしも必要ではない。このようなベースポリマーとしては、繰り返し単位bを含み、必要に応じて更に繰り返し単位c、d、e及び/又はfを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、0<b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8、及び0≦f≦0.5が好ましく、0.2≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7、及び0≦f≦0.4がより好ましく、0.3≦b≦1.0、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6、及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1〜f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、b+c+d+e+f=1.0である。
【0070】
前記ベースポリマーを合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱重合を行えばよい。
【0071】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50〜80℃である。反応時間は、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。
【0072】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0073】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜60℃である。反応時間は、好ましくは0.2〜100時間、より好ましくは0.5〜20時間である。
【0074】
前記ベースポリマーは、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは2,000〜30,000である。Mwが小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じやすくなる。
【0075】
更に、前記ベースポリマーにおいて分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、Mwや分子量分布の影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ベースポリマーの分子量分布は、1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0076】
前記ベースポリマーは、組成比率、Mw、分子量分布が異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0077】
[酸発生剤]
前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩、及び前記ベースポリマーを含むレジスト材料に酸発生剤を添加することで、化学増幅ポジ型レジスト材料あるいは化学増幅ネガ型レジスト材料として機能させることができる。前記酸発生剤としては、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わないが、スルホン酸、スルホンイミド又はスルホンメチドを発生するものが好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。光酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されているものが挙げられる。
【0078】
また、光酸発生剤としては、下記式(1)又は(2)で表されるものも好適に使用できる。
【化31】
【0079】
式(1)中、R
101、R
102及びR
103は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表す。また、R
101、R
102及びR
103のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0080】
式(1)中、X
-は、下記式(1A)〜(1D)から選ばれるアニオンを表す。
【化32】
【0081】
式(1A)中、R
faは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基を表す。
【0082】
式(1A)で表されるアニオンとしては、下記式(1A')で表されるものが好ましい。
【化33】
【0083】
式(1A')中、R
104は、水素原子又はトリフルオロメチル基を表し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R
105は、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜38の1価炭化水素基を表す。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記1価炭化水素基としては、微細パターン形成において高解像性を得る点から、特に炭素数6〜30であるものが好ましい。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、3−シクロヘキセニル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基、イコサニル基、アリル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2−カルボキシ−1−シクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、3−オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の一部の炭素原子間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0084】
式(1A')で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007−145797号公報、特開2008−106045号公報、特開2009−7327号公報、特開2009−258695号公報等に詳しい。また、特開2010−215608号公報、特開2012−41320号公報、特開2012−106986号公報、特開2012−153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0085】
式(1A)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Acはアセチル基、Phはフェニル基を表す。
【化34】
【0088】
式(1B)中、R
fb1及びR
fb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基としては、前記R
105の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。R
fb1及びR
fb2として好ましくは、フッ素原子、又は炭素数1〜4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、R
fb1とR
fb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(−CF
2−SO
2−N
-−SO
2−CF
2−)と共に環を形成してもよく、特にフッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基で環構造を形成するものが好ましい。
【0089】
式(1C)中、R
fc1、R
fc2及びR
fc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基としては、前記R
105の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。R
fc1、R
fc2及びR
fc3として好ましくは、フッ素原子、又は炭素数1〜4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、R
fc1とR
fc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(−CF
2−SO
2−C
-−SO
2−CF
2−)と共に環を形成してもよく、特にフッ素化エチレン基やフッ素化プロピレン基で環構造を形成するものが好ましい。
【0090】
式(1D)中、R
fdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基としては、前記R
105の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0091】
式(1D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010−215608号公報及び特開2014−133723号公報に詳しい。
【0092】
式(1D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Phはフェニル基を表す。
【化37】
【0094】
なお、式(1D)で表されるアニオンを含む光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素は有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、レジストポリマー中の酸不安定基を切断するには十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0095】
式(2)中、R
201及びR
202は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜30の1価炭化水素基を表す。R
203は、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜30の2価炭化水素基を表す。また、R
201、R
202及びR
203のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。L
Aは、単結合、エーテル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20の2価炭化水素基を表す。X
A、X
B、X
C及びX
Dは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。ただし、X
A、X
B、X
C及びX
Dのうち少なくとも1つは、水素原子以外の置換基を表す。kは、0〜3の整数を表す。
【0096】
前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニル基、アダマンチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいは炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0097】
前記2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状2価炭化水素基;フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状2価炭化水素基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基で置換されていてもよい。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の一部の炭素原子間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい
【0098】
式(2)で表される光酸発生剤としては、下記式(2')で表されるものが好ましい。
【化39】
【0099】
式(2')中、L
Aは、前記と同じ。Rは、水素原子又はトリフルオロメチル基を表し、好ましくはトリフルオロメチル基である。R
301、R
302及びR
303は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表す。前記1価炭化水素基としては、前記R
105の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、zは、0〜4の整数を表す。
【0100】
式(2)で表される光酸発生剤としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Rは前記と同じであり、Meはメチル基を表す。
【化40】
【0103】
前記光酸発生剤のうち、式(1A')又は(1D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつレジスト溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(2')で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0104】
酸発生剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。
【0105】
[その他の成分]
前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩、ベースポリマー及び酸発生剤を含む化学増幅ポジ型レジスト材料あるいは化学増幅ネガ型レジスト材料に、有機溶剤、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤等を目的に応じて適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記ベースポリマーが触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料とすることができる。この場合、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
【0106】
ポジ型レジスト材料の場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。ネガ型レジスト材料の場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガティブパターンを得ることができる。
【0107】
前記有機溶剤としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−ペンチルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0108】
前記有機溶剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、100〜10,000質量部が好ましく、200〜8,000質量部がより好ましい。
【0109】
前記界面活性剤としては、特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。界面活性剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001〜10質量部が好ましい。
【0110】
前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100〜1,000、より好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0〜100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50〜100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]に記載されている。
【0111】
溶解阻止剤の配合量は、ポジ型レジスト材料の場合、ベースポリマー100質量部に対し、0〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。
【0112】
架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0113】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0114】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0115】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0116】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0117】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0118】
アジド化合物としては、1,1'−ビフェニル−4,4'−ビスアジド、4,4'−メチリデンビスアジド、4,4'−オキシビスアジドが挙げられる。
【0119】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0120】
架橋剤の配合量は、ネガ型レジスト材料の場合、ベースポリマー100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。
【0121】
本発明のレジスト材料には、前記ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸金属塩以外のクエンチャー(以下、その他のクエンチャーという。)を配合してもよい。その他のクエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0122】
その他のクエンチャーとしては、更に、特開2008−239918号公報に記載のポリマー型クエンチャーが挙げられる。これは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0123】
その他のクエンチャーの配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0〜5質量部が好ましく、0〜4質量部がより好ましい。
【0124】
本発明のレジスト材料には、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物(撥水性向上剤)を配合してもよい。撥水性向上剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含む高分子化合物、特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を含む高分子化合物等が好ましく、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報等に例示されている。前記撥水性向上剤は、有機溶剤現像液に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含む高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0125】
本発明のレジスト材料には、アセチレンアルコール類を配合することもできる。前記アセチレンアルコール類としては、特開2008−122932号公報の段落[0179]〜[0182]に記載されたものが挙げられる。アセチレンアルコール類の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0〜5質量部が好ましい。
【0126】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0127】
例えば、本発明のポジ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi
2、SiO
2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60〜150℃、10秒〜30分間、より好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、EB、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等の高エネルギー線で、目的とするパターンを所定のマスクを通じて又は直接露光を行う。露光量は、1〜200mJ/cm
2程度、特に10〜100mJ/cm
2、又は0.1〜100μC/cm
2程度、特に0.5〜50μC/cm
2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で、好ましくは60〜150℃、10秒〜30分間、より好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間PEBする。
【0128】
更に、0.1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガレジストの場合はポジレジストの場合とは逆であり、即ち光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。
【0129】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガティブパターンを得るネガティブ現像を行うこともできる。このときに用いる現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0130】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0131】
具体的に、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
【0132】
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
【0133】
炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0134】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0135】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0136】
現像後のホールパターンやトレンチパターンをサーマルフロー、RELACS技術あるいはDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト層からの酸触媒の拡散によってレジストの表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜170℃であり、時間は、好ましくは10〜300秒であり、余分なシュリンク剤を除去し、ホールパターンを縮小させる。
【実施例】
【0137】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0138】
レジスト材料に用いたヨウ素化芳香族基含有カルボン酸塩からなるクエンチャー1〜20の構造を以下に示す。クエンチャー1〜20は、下記アニオンを与えるヨウ素化芳香族基含有カルボン酸と、下記カチオンを与える金属水酸化物とを混合することによって調製した。
【0139】
【化43】
【0140】
【化44】
【0141】
[合成例]ベースポリマー(ポリマー1〜3)の合成
各々のモノマーを組み合わせてTHF溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(ポリマー1〜3)を得た。得られたベースポリマーの組成は
1H−NMRにより、Mw及び分散度(Mw/Mn)はGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【0142】
【化45】
【0143】
[実施例、比較例]
界面活性剤としてスリーエム社製FC-4430を100ppm溶解させた溶剤に、表1〜3に示す組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。
【0144】
表1及び2中、各成分は、以下のとおりである。
ポリマー1〜3(前記構造式参照)
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
【0145】
酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
【化46】
【0146】
比較クエンチャー1〜4
【化47】
【0147】
[EB描画評価]
表1及び2に示すレジスト材料を、ヘキサメチルジシラザンベーパープライム処理したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて110℃で60秒間プリベークして80nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL-800Dを用いて加速電圧50kVで真空チャンバー内描画を行った。描画後、直ちにホットプレート上、表1〜3に示す温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行ってパターンを得た。
得られたレジストパターンについて次の評価を行った。
ポジ型レジスト膜の場合、120nmのトレンチを寸法通りで解像する露光量における最小のトレンチの寸法を解像力とした。ネガ型レジスト膜の場合、120nmの孤立ラインを寸法通りで解像する露光量における最小の孤立ラインの寸法を解像力とした。また、ポジ型レジスト膜の場合、120nmのトレンチパターンを解像する感度を、ネガ型レジスト膜の場合、120nmの孤立ラインパターンを解像する感度を、レジスト感度とし、LWRをSEMで測定した。なお、実施例1〜21、比較例1〜5はポジ型レジスト材料、実施例22、比較例6はネガ型レジスト材料である。
結果を表1〜3に併記する。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
表1〜3に示した結果より、ヨウ素化芳香族基含有カルボン酸の、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、セシウム、バリウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、アルミニウム及びインジウムから選ばれる金属塩を含む本発明のレジスト材料は、高感度で十分な解像力を有し、LWRも小さいことがわかった。