(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、(F)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤を含む請求項3〜9のいずれか1項記載のレジスト組成物。
請求項3〜10のいずれか1項記載のレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理をしてレジスト膜を形成する工程と、フォトマスクを介してKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子線又は極端紫外線で前記レジスト膜を露光する工程と、加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[スルホニウム化合物]
本発明のスルホニウム化合物は、下記式(1)で表されるものである。
【化7】
【0014】
式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、又はこれらの基のベンゼン環に結合する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、カーバメート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0015】
式(1)中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜5の整数である。rは、0〜4の整数である。p、q及びrは、合成容易性や原料入手性の観点から、それぞれ0、1、又は2が好ましい。
【0016】
pが2〜5の場合において、隣接する2つのR
1は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。qが2〜5の場合において、隣接する2つのR
2は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。rが2〜4の場合において、隣接する2つのR
3は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
【0017】
式(1)で表されるスルホニウム化合物としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
【0018】
本発明のスルホニウム化合物は、既知の有機化学的手法を組み合わせることで合成することができるが、一例として下記スキームに示すような製法が挙げられる。
【化9】
(式中、R
1、R
2、R
3、p、q及びrは、前記と同じ。X
a-は、アニオンである。P
roは、保護基である。)
【0019】
まず、スルホニウム塩として、スルホニウムカチオンにおける硫黄原子α位の炭素原子が保護されたヒドロキシ基に置換されたものを調製する。ヒドロキシ基の保護基としては、一般の有機合成に用いられているもので特に制限はないが、例えばtert−ブチル基やメトキシメチル基等を挙げることができる。上記調製されたスルホニウム塩について、ヒドロキシ基の脱保護反応を行い、続いて塩基によって処理後、有機溶剤−水系で分液抽出を行うことで、本発明のスルホニウム化合物が有機層に抽出される。なお塩基としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0020】
本発明のスルホニウム化合物は、レジスト組成物に適用することで、酸拡散制御剤として極めて有効に機能する。なお、本発明において酸拡散制御剤とは、レジスト組成物中の光酸発生剤より発生した酸をトラップすることで未露光部への拡散を防ぎ、所望のパターンを形成するための材料のことである。
【0021】
本発明のスルホニウム化合物の酸拡散制御機構は、以下のように考えられる。レジスト組成物中の光酸発生剤より発生した酸は、ベース樹脂の酸不安定基を脱保護するために強酸性である必要があり、例えば、ArFリソグラフィーではスルホ基のα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸等が使用される。ここで、レジスト組成物中に光酸発生剤と本発明のスルホニウム化合物を共存させると、光酸発生剤から生じた酸は、本発明のスルホニウム化合物によってトラップされ、本発明のスルホニウム化合物はベタインからスルホニウム塩となる。本発明のスルホニウム化合物自身が光分解する場合も考えられるが、その場合発生するのは弱酸のフェノール性化合物であり、ベース樹脂中の酸不安定基を脱保護するには至らず、従って酸拡散制御剤として強力に機能するものと推察される。
【0022】
このオニウム塩型クエンチャーとも言える酸拡散制御剤は、一般的にアミン化合物を用いたクエンチャーよりもレジストパターンのLWRが小さくなる傾向にある。これは、強酸と本発明のスルホニウム化合物との塩交換が、数限りなく繰り返されることに起因すると推定される。すなわち、露光の最後に強酸が発生する場所は、最初の強酸発生型オニウム塩が存在している場所とは異なっている。光による酸の発生と塩交換のサイクルが何度も繰り返されることによって酸の発生ポイントが平均化され、このスムージング効果によって現像後のレジストパターンのLWRが小さくなるものと推定される。
【0023】
同様の機構によるクエンチャー効果を有する材料として、例えば、特許文献1や特開2003−5376号公報には、カルボン酸オニウム塩、アルカンスルホン酸オニウム塩、アリールスルホン酸オニウム塩等を酸拡散制御剤として用いた報告がなされている。しかし、アルカンスルホン酸オニウム塩やアリールスルホン酸オニウム塩を用いた場合においては、発生酸の酸強度がある程度大きいので、高露光領域で一部はベース樹脂における酸不安定基の脱保護反応を引き起こしてしまい、結果として酸拡散が大きくなり、解像性やMEFといったレジスト性能が劣化する。また、カルボン酸オニウム塩の場合では、これより発生したカルボン酸は酸性度が弱く、ベース樹脂の酸不安定基と反応することはなく、酸拡散制御剤としてある程度の改善はなされているものの、より微細化が進んだ領域では、まだ物足りない結果であり、特に解像性、MEF及びLWR等の総合的なバランスとして改善の余地がある。上記のようないわゆる塩型のクエンチャーは、発生酸とすぐに反応するわけではなく平衡反応であると考えられ、したがって酸拡散制御能がアミン化合物型クエンチャーよりも劣ると考えられる。一方、アミン化合物をクエンチャーとして用いた場合は、酸拡散制御能には優れるものの、塩型クエンチャーのような繰り返される塩交換反応がないため、LWRは劣化するものと推定される。
【0024】
これに対して本発明のスルホニウム化合物は、前述の酸拡散制御剤では満たせなかったレジスト性能を大きく改善し得るものである。それについて明確な理由は定かではないが、以下のように推定される。
【0025】
本発明のスルホニウム化合物は、同一分子内にスルホニウムカチオン部とフェノキシドアニオン部とを有するベタイン構造を有し、かつフェノキシド部位がS
+のオルト位にあることを大きな特徴としている。アニオンであるフェノキシドがS
+の近傍に存在することで、本発明のスルホニウム化合物は超原子価構造をとっており、S
+とフェノキシド部位が通常のイオン結合よりも結合距離が短い三中心四電子結合、すなわち共有結合に近くなっていることが推測される。この構造特異性により、通常不安定なスルホニウムフェノキシドが安定に存在することができる。更に前記説明の通り、イオン結合性が弱まることによって、有機溶剤溶解性が良好になり、結果としてレジスト組成物内の均一分散性が向上し、LWRが小さくなる(優れる)と考えられる。更に、これまでの塩型クエンチャーは、光酸発生剤からの発生酸をトラップする際に平衡反応となる故に酸拡散制御能に劣るということはすでに述べた通りであるが、本発明のスルホニウム化合物は非可逆反応である。それは、酸をトラップすることによってベタイン構造からより安定な塩型構造になることが駆動力になっていると推察される。加えて本発明のスルホニウム化合物はカウンターアニオンが強塩基性のフェノキシドである。これらの事由から、本発明のスルホニウム化合物は酸拡散制御能に極めて優れているものと考えられる。したがって、MEFは向上し、コントラストも改善されることから解像性や倒れ耐性にも優れたレジスト組成物を提供することができる。
【0026】
特開2013−006827号公報には、ベタイン型スルホニウム化合物として、スルホニウムカルボキシレート化合物及びそれを含んだレジスト組成物に関する記載が報告されており、具体例には、S
+のオルト位にカルボキシレートが導入されているものもある。しかし前記公報に記載の具体例は、製法上アルキルスルホニウムカルボキシレートに限られており、本発明のようにトリアリールスルホニウム型でS
+オルト位にカルボキシレートが導入されたものは一切記載されていない(例えば、前記公報の段落[0037]〜[0039]を参照)。一般的にスルホニウム塩は、トリアリール型の方がアルキルスルホニウム塩よりも安定性に優れている。例えば、アルキルスルホニウム塩は、熱や求核剤の作用によりスルホニウムカチオンが容易にスルフィド化合物に分解する。すなわち、前記公報のスルホニウムカルボキシレート化合物は保存安定性に不安があり、また組み合わせる他のレジスト組成物にも制限がかかってしまうことになり、好ましくない。更に本発明のスルホニウム化合物が強塩基性のフェノキシドアニオンを有しているのに対し、前記公報はカルボキシレートをカウンターアニオンとして有しているので、塩基性が劣り、すなわち酸拡散制御能が不足している。なお本明細書においてアルキルスルホニウム塩とは、S
+と結合している3つの結合手のうち、少なくとも1つがアルキル基であるものをいう。
【0027】
また、特開2016−006495号公報には、フェノキシドをカウンターアニオンとして有する非ベタイン型スルホニウム化合物が記載されている。しかし非ベタイン型のスルホニウムフェノキシドは、水溶性が高すぎて水洗工程を導入することが困難である。KrFやArFレジスト組成物に要求される品質として、金属を限りなく低減することは当業者にとって周知の事実であるが、金属低減のために水洗工程は欠かせない。実際に前記公報の実施例では、銀塩を用いた非水系の処方であり、銀が残留していることは明白である。これに対し本発明のスルホニウム化合物は、前述の通りその構造特異性から水洗工程を導入しても有機層に問題なく抽出することができる。更に、前記公報のスルホニウム化合物は、本発明のスルホニウム化合物のようにフェノキシドアニオンが安定化されていないため、保存安定性に不安があったり、露光中に過剰に分解反応が進行して酸拡散制御剤として十分に機能しないなど、所望の性能を発現できない可能性がある。
【0028】
[レジスト組成物]
本発明のレジスト組成物は、(A)式(1)で表されるスルホニウム化合物からなる酸拡散制御剤を必須成分とし、その他の材料として
(B)有機溶剤、
(C)ベース樹脂、
(D)光酸発生剤
を含む。更に必要により、
(E)含窒素化合物
を配合でき、なお更に必要により、
(F)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤(疎水性樹脂)を含むことができる。
【0029】
(A)酸拡散制御剤の配合量は、後述する(C)ベース樹脂100質量部に対し、0.1〜40質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。(A)酸拡散制御剤の配合量が前記範囲であれば、酸拡散制御剤として十分に機能し、感度低下や溶解性不足で異物が発生したりする等の性能劣化を起こすおそれがない。(A)酸拡散制御剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
[(B)有機溶剤]
(B)成分の有機溶剤としては、各成分を溶解可能なものであれば特に限定されない。このような有機溶剤としては、例えば、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載の、シクロヘキサノン、メチル−2−n−ペンチルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;及びこれらの混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタールの脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0031】
これらの有機溶剤の中でも、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、及びこれらの混合溶剤が好ましい。
【0032】
(B)有機溶剤の使用量は、(C)ベース樹脂100質量部に対し、200〜5,000質量部が好ましく、400〜3,000質量部がより好ましい。(B)有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
[(C)ベース樹脂]
本発明のレジスト組成物に使用されるベース樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含むポリマーを含むものである。前記酸不安定基を有する繰り返し単位としては、下記式(a)で表されるものが挙げられる。
【化10】
【0034】
式中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Z
Aは、単結合、フェニレン基、ナフチレン基又は(主鎖)−C(=O)−O−Z'−であり、Z'は、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜10のアルキレン基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。X
Aは、酸不安定基である。
【0035】
式(a)中のZ
Aを変えた構造としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びX
Aは、前記と同じである。
【化11】
【0036】
式(a)で表される繰り返し単位を含むポリマーは、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる。
【0037】
酸不安定基X
Aとしては特に限定されないが、例えば、下記式(L1)〜(L4)から選ばれる基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が好ましい。
【0038】
【化12】
(式中、破線は、結合手である(以下、同様)。)
【0039】
式(L1)中、R
L01及びR
L02は、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜18、好ましくは1〜10のアルキル基である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0040】
R
L03は、酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等で置換されたもの、これらの基の炭素原子間に酸素原子等のヘテロ原子が介在したもの等が挙げられる。前記アルキル基としては、R
L01及びR
L02で表されるアルキル基として前述したものと同様のものが挙げられる。また、置換アルキル基としては、以下に示す基等が挙げられる。
【0042】
R
L01とR
L02と、R
L01とR
L03と、又はR
L02とR
L03とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L01、R
L02及びR
L03は、それぞれ直鎖状又は分岐状の炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基である。
【0043】
式(L2)中、R
L04は、炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基、又は式(L1)で表される基である。前記3級アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。前記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられる。前記オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。xは、0〜6の整数である。
【0044】
式(L3)中、R
L05は、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基である。前記置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等で置換されたもの等が挙げられる。前記置換されていてもよいアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等で置換されたもの等が挙げられる。yは0又は1、zは0〜3の整数であり、2y+z=2又は3である。
【0045】
式(L4)において、R
L06は、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、それぞれR
L05で表されるものとして説明したものと同様のものが挙げられる。
【0046】
R
L07〜R
L16は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1〜15の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等で置換されたもの等が挙げられる。R
L07〜R
L16は、これらから選ばれる2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、R
L07とR
L08、R
L07とR
L09、R
L07とR
L10、R
L08とR
L10、R
L09とR
L10、R
L11とR
L12、R
L13とR
L14等)、その場合には、環の形成に関与する基は炭素数1〜15の2価炭化水素基である。前記2価炭化水素基としては、前記1価炭化水素基として挙げたものから水素原子を1個除いたもの等が挙げられる。また、R
L07〜R
L16は、隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、R
L07とR
L09、R
L09とR
L15、R
L13とR
L15、R
L14とR
L15等)。
【0047】
式(L1)で表される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化14】
【0048】
式(L1)で表される酸不安定基のうち環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0049】
式(L2)で表される酸不安定基としては、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0050】
式(L3)で表される酸不安定基としては、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−n−プロピルシクロペンチル基、1−イソプロピルシクロペンチル基、1−n−ブチルシクロペンチル基、1−sec−ブチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル基、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル基、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル基、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル基等が挙げられる。
【0051】
式(L4)で表される酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で表される基が特に好ましい。
【化15】
【0052】
式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は、結合位置及び結合方向である。R
L41は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の炭素数1〜10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0053】
式(L4−1)〜(L4−4)で表される基には、立体異性体(エナンチオマー又はジアステレオマー)が存在し得るが、式(L4−1)〜(L4−4)をもってこれらの立体異性体の全てを代表して表す。酸不安定基X
Aが式(L4)で表される基である場合は、複数の立体異性体が含まれていてもよい。
【0054】
例えば、式(L4−3)は、下記式(L4−3−1)及び(L4−3−2)で表される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化16】
(式中、R
L41は、前記と同じ。)
【0055】
また、式(L4−4)は、下記式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で表される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化17】
(式中、R
L41は、前記と同じ。)
【0056】
式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオマー及びエナンチオマーの混合物をも代表して表すものとする。
【0057】
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向が、それぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で表されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【0058】
【化18】
(式中、R
L41は、前記と同じ。)
【0059】
式(L4)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化19】
【0060】
また、X
Aで表される炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、及び炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、それぞれR
L04の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0061】
式(a)で表される繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化20】
【0066】
なお、前記具体例はZ
Aが単結合の場合であるが、Z
Aが単結合以外の場合においても同様の酸不安定基と組み合わせることができる。Z
Aが単結合以外のものである場合の具体例は、前述したとおりである。
【0067】
前記ポリマーは、更に、下記式(b)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【化25】
【0068】
式中、R
Aは、前記と同じ。Y
Aは、水素原子、又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環及びカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1つ以上の構造を含む極性基である。
【0069】
式(b)で表される繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化26】
【0078】
式(b)で表される繰り返し単位としては、ラクトン環を極性基として有するものが最も好ましい。
【0079】
前記ポリマーは、更に、下記式(c1)又は(c2)で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【化35】
【0080】
式(c1)及び(c2)中、R
Aは、前記と同じである。R
11、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。L'は、炭素数2〜5のアルキレン基である。R
Yは、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。Aは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。L''は、単結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の2価炭化水素基である。mは、0又は1である。nは、0又は1であるが、L''が単結合のときは、nは0である。
【0081】
L'として具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。Aとして、好ましくはトリフルオロメチル基である。R
Y、R
11、R
12及びR
13で表される1価炭化水素基としては、式(1)のR
1〜R
3として例示したものと同様のものが挙げられる。L''で表される2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状炭化水素基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基や、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、また、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、カーバメート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0082】
式(c1)中、アニオン部の具体的な構造としては、特開2010−113209号公報や、特開2007−145797号公報に記載のものが挙げられる。また、式(c2)中、Aが水素原子の場合の具体的構造としては、特開2010−116550号公報に記載のものが挙げられ、Aがトリフルオロメチル基の場合においては、特開2010−77404号公報に記載のものが挙げられる。
【0083】
前記ポリマーは、更に、酸不安定基によりヒドロキシ基が保護された構造を有する繰り返し単位を含んでもよい。このような繰り返し単位としては、ヒドロキシ基が保護された構造を1つ又は2つ以上有し、酸の作用により保護基が分解してヒドロキシ基が生成するものであれば特に限定されないが、下記式(d1)で表されるものが好ましい。
【化36】
【0084】
式(d1)中、R
Aは、前記と同じ。R
aは、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の炭素数1〜30の炭化水素基である。R
bは、酸不安定基である。jは、1〜4の整数である。
【0085】
式(d1)で表される繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
bは、前記と同じである。
【化37】
【0089】
式(d1)中、酸不安定基R
bは、酸の作用により脱保護し、ヒドロキシ基を発生させるものであればよい。R
bの構造は特に限定されないが、アセタール構造、ケタール構造、又はアルコキシカルボニル基等が好ましく、具体的には以下に示すもの等が挙げられる。
【化41】
【0090】
R
bとして特に好ましい酸不安定基は、下記式(d2)で表されるアルコキシメチル基である。
【化42】
(式中、R
cは、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15の1価炭化水素基である。)
【0091】
式(d2)で表される酸不安定基としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化43】
【0094】
前記ポリマーは、更に、前述したもの以外の他の繰り返し単位を含んでもよい。例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセン誘導体等の環状オレフィン類;無水イタコン酸等の不飽和酸無水物;その他の単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0095】
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜100,000がより好ましい。Mwがこの範囲であれば、十分なエッチング耐性が得られ、露光前後の溶解速度差が確保できなくなることによる解像性の低下のおそれがない。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0096】
更に、前記ポリマーにおいては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それゆえ、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、前記ポリマーの分子量分布は、1.0〜2.0と狭分散であることが好ましい。
【0097】
(C)ベース樹脂は、1種単独で、又は組成比率、Mw及び/又は分子量分布が異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
前記ポリマーの合成方法の一例としては、不飽和結合を有するモノマーを1種又は数種を、有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱して重合を行う方法が挙げられる。重合反応に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。反応温度は、好ましくは50〜80℃である。反応時間は、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後に保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0099】
前記ポリマー中の各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲とすることができるが、これに限定されない。
(I)式(a)で表される繰り返し単位の1種又は2種以上を、好ましくは1〜60モル%、より好ましくは5〜50モル%、更に好ましくは10〜50モル%、
(II)式(b)で表される繰り返し単位の1種又は2種以上を、好ましくは40〜99モル%、より好ましくは50〜95モル%、更に好ましくは50〜90モル%、
(III)式(c1)及び(c2)から選ばれる繰り返し単位の1種又は2種以上を、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜20モル%、更に好ましくは0〜10モル%、及び
(IV)その他の単量体に由来する繰り返し単位の1種又は2種以上を、好ましくは0〜80モル%、より好ましくは0〜70モル%、更に好ましくは0〜50モル%。
【0100】
[(D)光酸発生剤]
本発明のレジスト組成物は、更に光酸発生剤を含んでいてもよい。前記光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、EB、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等の高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であれば、特に限定されない。好適な光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシジカルボキシイミド、O−アリ−ルスルホニルオキシム、O−アルキルスルホニルオキシム等の光酸発生剤等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。これらの光酸発生剤としては、例えば、特開2007−145797号公報の段落[0102]〜[0113]に記載のものが挙げられる。
【0101】
好ましい光酸発生剤としては、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
【化46】
【0102】
式(2)中、R
101、R
102及びR
103は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニル基、アダマンチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。これらのうち、R
101、R
102及びR
103として好ましくは、水素原子が置換されていてもよいアリール基である。
【0103】
また、R
101、R
102及びR
103のうちのいずれか2つが互いに結合して、これらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。この場合のカチオンの具体例としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化47】
【0104】
式中、R
107は、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、R
101〜R
103の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
【0105】
式(2)中、スルホニウムカチオンの具体的な構造としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化48】
【0106】
式(2)中、X
-は、下記式(2A)〜(2D)から選ばれるアニオンである。
【化49】
【0107】
式(2A)中、R
faは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基を示す。好ましい構造としては、ノナフルオロブタンスルホネート、特開2012−189977号公報の段落[0247]〜[0251]に記載の部分フッ素化スルホネート、特開2013−101271号公報の段落[0261]〜[0265]に記載の部分フッ素化スルホネート、特開2013−101271号公報の段落[0261]〜[0265]に記載の部分フッ素化スルホネート等が挙げられる。
【0108】
式(2A)で表されるアニオンとしては、下記式(2A')で表されるものが特に好ましい。
【化50】
【0109】
式(2A')中、R
111は、水素原子又はトリフルオロメチル基である。R
112は、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜30の1価炭化水素基である。R
111に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記1価炭化水素基としては、微細パターン形成において高解像性を得る点から、特に炭素数6〜30であるものが好ましい。前記1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、3−シクロヘキセニル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基、イコサニル基、アリル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2−カルボキシ−1−シクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、3−オキソシクロヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
式(2A')で表されるアニオンを有するスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007−145797号公報、特開2008−106045号公報、特開2009−7327号公報、特開2009−258695号公報等に詳しい。
【0111】
式(2A)で表されるアニオンを有するスルホニウム塩としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Acはアセチル基、Phはフェニル基である。
【化51】
【0113】
式(2B)中、R
fb1及びR
fb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、R
112の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。R
fb1及びR
fb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、R
fb1及びR
fb2は、互いに結合してこれらが結合する基(−CF
2−SO
2−N
-−SO
2−CF
2−)と共に環を形成してもよく、特にフッ素化エチレン基やフッ素化プロピレン基で環構造を形成するものが好ましい。
【0114】
式(2C)中、R
fc1、R
fc2及びR
fc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、R
112の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。R
fc1、R
fc2及びR
fc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、R
fc1及びR
fc2は、互いに結合してこれらが結合する基(−CF
2−SO
2−C
-−SO
2−CF
2−)と共に環を形成してもよく、特にフッ素化エチレン基やフッ素化プロピレン基で環構造を形成するものが好ましい。
【0115】
式(2D)中、R
fdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜40の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基としては、R
112の説明において挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0116】
式(2D)で表されるアニオンを有するスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010−215608号公報に詳しい。
【0117】
式(2D)で表されるアニオンを有するスルホニウム塩としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Phはフェニル基である。
【化53】
【0119】
なお、式(2D)で表されるアニオンを有する光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素は有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、レジストポリマー中の酸不安定基を切断するには十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0120】
また、(D)成分の光酸発生剤として、下記式(3)で表されるものも好ましい。
【化55】
【0121】
式(3)中、R
104及びR
105は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の1価炭化水素基を示す。また、R
104及びR
105は、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。R
106は、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20の2価炭化水素基である。Gは、単結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20の2価炭化水素基である。L
xは、2価の連結基である。
【0122】
R
104及びR
105で表される1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカニル基、アダマンチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。これらのうち、R
104及びR
105として好ましくは、水素原子が置換されていてもよいアリール基である。
【0123】
R
106で表される2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状炭化水素基が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基で置換されていてもよい。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。これらのうち、R
106として好ましくは、水素原子が置換されていてもよいアリール基である。
【0124】
Gで表される2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状炭化水素基が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基で置換されていてもよい。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。これらのうち、Gとして好ましくは、メチレン基、又は水素原子がフッ素原子若しくはトリフルオロメチル基で置換されているメチレン基である。
【0125】
L
xで表される2価の連結基としては、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、スルフィン酸エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、カーバメート結合等が挙げられる。
【0126】
式(3)で表される光酸発生剤としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、G'は、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【化56】
【0128】
(D)光酸発生剤の添加量は、(C)ベース樹脂100質量部に対し、0〜40質量部であるが、配合する場合は、0.1〜40質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましい。この範囲であれば、解像性が良好であり、レジスト現像後又は剥離時において異物の問題が生じるおそれもないため好ましい。(D)光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0129】
[(E)含窒素化合物]
本発明のレジスト組成物は、(A)成分である酸拡散制御剤が必須成分であるが、これに加えて含窒素化合物を同じく酸拡散制御剤として添加することもできる。このような含窒素化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の、1級、2級又は3級アミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物が挙げられる。また、特許第3790649号公報に記載の化合物のように、1級又は2級アミンをカーバメート基で保護した化合物も挙げることができる。
【0130】
また、含窒素置換基を有するスルホン酸スルホニウム塩を(E)成分として使用してもよい。このような化合物は、未露光部ではクエンチャーとして機能し、露光部は自身の発生酸との中和によってクエンチャー能を失う、いわゆる光崩壊性塩基として機能する。光崩壊性塩基を用いることによって、露光部と未露光部のコントラストをより強めることができる。光崩壊性塩基としては、例えば特開2009−109595号公報、特開2012−46501号公報等を参考にすることができる。
【0131】
(E)含窒素化合物の配合量は、(B)ベース樹脂100質量部に対し、0.001〜12質量部が好ましく、0.01〜8質量部がより好ましい。(E)含窒素化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0132】
[(F)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤(疎水性樹脂)]
本発明のレジスト組成物は、更に(F)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤(疎水性樹脂)を含んでもよい。このような界面活性剤としては、特開2010−215608号公報や特開2011−16746号公報に記載のものを参照することができる。
【0133】
水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤としては、前記公報に記載の界面活性剤の中でも、FC−4430、サーフロン(登録商標)S−381、サーフィノール(登録商標)E1004、KH−20、KH−30、下記式(surf−1)で表されるオキセタン開環重合物等が好ましい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【化58】
【0134】
ここで、R、Rf、A、B、C、m、nは、前述の記載にかかわらず、式(surf−1)のみに適用される。Rは、2〜4価の炭素数2〜5の脂肪族基である。前記脂肪族基としては、2価のものとしてはエチレン基、1,4−ブチレン基、1,2−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,5−ペンチレン基等が挙げられ、3価又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化59】
(式中、破線は結合手であり、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
【0135】
これらの中でも、1,4−ブチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が好ましい。
【0136】
Rfは、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。mは、0〜3の整数であり、nは、1〜4の整数であり、nとmの和はRの価数であり、2〜4の整数である。Aは、1である。Bは、2〜25の整数であり、好ましくは4〜20の整数である。Cは、0〜10の整数であり、好ましくは0又は1である。また、式(surf−1)中の各構成単位は、その並びを規定したものではなく、ブロック的でもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては、米国特許第5650483号明細書等に詳しい。
【0137】
水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤は、ArF液浸露光においてレジスト保護膜を用いない場合、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する。そのため、レジスト膜からの水溶性成分の溶出を抑えて露光装置へのダメージを下げるために有用であり、また、露光後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)後のアルカリ現像時には可溶化し、欠陥の原因となる異物にもなり難いため有用である。このような界面活性剤は、水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な性質であり、高分子型の界面活性剤であって、疎水性樹脂とも呼ばれ、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。
【0138】
このような高分子型界面活性剤としては、以下に示すもの等が挙げられる。
【化60】
【0139】
式中、R
e1は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
e2は、それぞれ独立に、水素原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20の、アルキル基若しくはフッ素化アルキル基であり、同一繰り返し単位内のR
e2は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、この場合、合計して直鎖状、分岐状又は環状の炭素数2〜20の、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。
【0140】
R
e3は、水素原子、フッ素原子、又はR
e4と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の非芳香環を形成してもよい。R
e4は、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R
e5は、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R
e4とR
e5とが結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成していてもよく、この場合、R
e4、R
e5及びこれらが結合する炭素原子で炭素数3〜12の3価の有機基を形成する。R
e6は、単結合、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。
【0141】
R
e7は、それぞれ独立に、単結合、−O−又は−CR
e1R
e1−である。R
e8は、炭素数1〜4の直鎖状又は炭素数3〜4の分岐状のアルキレン基であり、同一繰り返し単位内のR
e2と結合して、これらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜6の非芳香環を形成してもよい。
【0142】
R
e9は、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基又は1,4−ブチレン基である。R
e10は、炭素数3〜6の直鎖状パーフルオロアルキル基、3H−パーフルオロプロピル基、4H−パーフルオロブチル基、5H−パーフルオロペンチル基又は6H−パーフルオロヘキシル基である。L
eは、それぞれ独立に、−C(=O)−O−、−O−又は−C(=O)−R
e11−C(=O)−O−であり、R
e11は、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜10のアルキレン基である。
【0143】
また、(a'−1)、(a'−2)、(a'−3)、b'及びc'は、それぞれ、0≦(a'−1)≦1、0≦(a'−2)≦1、0≦(a'−3)≦1、0<(a'−1)+(a'−2)+(a'−3)≦1、0≦b'≦1、0≦c'≦1、及び0<(a'−1)+(a'−2)+(a'−3)+b'+c'≦1を満たす数である。
【0144】
前記繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
e1は、前記と同じである。
【化61】
【0145】
前記水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤は、特開2008−122932号公報、特開2010−134012号公報、特開2010−107695号公報、特開2009−276363号公報、特開2009−192784号公報、特開2009−191151号公報、特開2009−98638号公報、特開2010−250105号公報、特開2011−42789号公報等も参照できる。
【0146】
前記高分子型界面活性剤のMwは、1,000〜50,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましい。この範囲内であれば、表面改質効果が十分であり、現像欠陥を生じたりすることが少ない。
【0147】
(F)成分の配合量は、(C)ベース樹脂100質量部に対し、0〜20質量部が好ましい。(F)成分を配合する場合、その下限は、0.001質量部が好ましく、0.01質量部がより好ましい。一方、その上限は、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましい。(F)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0148】
[パターン形成方法]
本発明は、更に、前述したレジスト組成物を用いるパターン形成方法を提供する。本発明のレジスト組成物を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。具体的には、例えば、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)、あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi
2、SiO
2等)に、スピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2μmとなるように本発明のレジスト組成物を塗布し、これをホットプレート上で好ましくは60〜150℃、1〜10分間、より好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0149】
次いで、目的のパターンを形成するためのマスクを前記のレジスト膜上にかざし、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV等の高エネルギー線を、露光量が好ましくは1〜200mJ/cm
2、より好ましくは10〜100mJ/cm
2となるように照射する。露光は、通常の露光法のほか、屈折率1.0以上の液体をレジスト膜と投影レンズとの間に介在させて行う液浸法を用いることも可能である。その場合には、水に不溶な保護膜を用いることも可能である。
【0150】
次いで、ホットプレート上で、好ましくは60〜150℃、1〜5分間、より好ましくは80〜140℃、1〜3分間PEBする。更に、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、好ましくは0.1〜3分間、より好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することで、基板上に目的のパターンが形成される。
【0151】
前述した水に不溶な保護膜は、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために用いられ、大きく分けて2種類ある。1つはレジスト膜を溶解しない有機溶剤によってアルカリ現像前に剥離が必要な有機溶剤剥離型と、もう1つはアルカリ現像液に可溶でレジスト膜可溶部の除去と共に保護膜を除去するアルカリ可溶型である。後者は特に水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有するポリマーをベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。前述した水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料とすることもできる。
【0152】
また、パターン形成方法の手段として、レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0153】
更に、ダブルパターニング法によってパターン形成をしてもよい。ダブルパターニング法としては、1回目の露光とエッチングで1:3トレンチパターンの下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3トレンチパターンを形成して1:1のパターンを形成するトレンチ法、1回目の露光とエッチングで1:3孤立残しパターンの第1の下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3孤立残しパターンを第1の下地の下に形成した第2の下地を加工してピッチが半分の1:1のパターンを形成するライン法が挙げられる。
【0154】
本発明のパターン形成方法において、現像液として前記アルカリ水溶液の現像液のかわりに、有機溶剤を用いて未露光部を現像/溶解させるネガティブトーン現像の手法を用いてもよい。
【0155】
この有機溶剤現像には、現像液として、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等から選ばれる1種以上を用いることができる。
【実施例】
【0156】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、使用した装置は、以下のとおりである。
・IR:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NICOLET 6700
・
1H-NMR:日本電子(株)製、ECA-500
・
19F-NMR:日本電子(株)製、ECA-500
・LC-MS:Waters社製、ACQUITY UPLC H-Classシステム及びACQUITY QDa
【0157】
[1]スルホニウム化合物の合成
[実施例1−1]2−(ジフェニルスルホニオ)フェノラート(Q−A)の合成
(1)(2−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムクロリド(中間体A)の合成
【化62】
【0158】
マグネシウム2.6gと2−tert−ブトキシクロロベンゼン16gを用いて、常法によりTHF中にてグリニャール試薬を調製した。調製したグリニャール試薬に対し、ジフェニルスルホキシド6.1gとTHF27gを加え、次にクロロトリメチルシラン9.8gを室温下にて滴下し、3時間熟成した。熟成後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、水100gを加え、次いでジイソプロピルエーテルで洗浄を行い、目的物である(2−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムクロリド(中間体A)の水溶液を得た。特に単離はせずこのまま次工程へ進むこととした。
【0159】
(2)(2−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトシラート(中間体B)の合成
【化63】
【0160】
前記中間体A水溶液を全量用い、これに対してパラトルエンスルホン酸一水和物6.8gと25質量%水酸化ナトリウム水溶液6.1g、水30g、塩化メチレン150gを加えて30分攪拌した。その後有機層を分取し、水洗を行い、更に減圧濃縮にて塩化メチレンを除去することで、(2−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトシラートを粗体として得た。得られた粗体にパラトルエンスルホン酸一水和物6gとメタノール50gを加え、80℃にて14時間かけて脱保護反応を行った。その後反応液を60℃にて減圧濃縮し、塩化メチレンを加え、超純水にて有機層の洗浄を行った。洗浄後有機層を減圧濃縮し、得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテルを加えて再結晶を行い、得られた結晶を回収後、真空乾燥させることで、目的物である(2−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトシラート(中間体B)を得た(収量6g、中間体A合成からの全収率45%)。
【0161】
(3)2−(ジフェニルスルホニオ)フェノラート(Q−A)の合成
【化64】
【0162】
中間体B4.5gを塩化メチレン22gに溶解させ、これに25質量%水酸化ナトリウム水溶液1.6gと純水10gを加えて30分攪拌した。攪拌後、1−ペンタノールを加えて有機層を分取し、更に有機層を水洗浄し、減圧濃縮を行った。濃縮残渣にメチルイソブチルケトンを加えて再び減圧濃縮を行い、得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えて再結晶を行い、得られた結晶を回収後、真空乾燥させることで、目的物である2−(ジフェニルスルホニオ)フェノラート(Q−A)を得た(収量2.5g、収率91%)。
【0163】
得られた目的物のスペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMR/DMSO-d
6)の結果を
図1に示す。なお、
1H-NMRにおいて微量の残溶剤(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン)及び水が観測された。
IR (D-ATR): ν= 2990, 1580, 1485, 1478, 1442, 1360, 1285, 1007, 997, 840, 745, 724, 687 cm
-1。
LC-MS: POSITIVE [M+H]
+279(C
18H
15OS
+相当)
【0164】
[実施例1−2]2−(ジフェニルスルホニオ)−5−フルオロフェノラート(Q−B)の合成
(1)1−ブロモ−2−tert−ブトキシ−4−フルオロベンゼン(中間体C)の合成
【化65】
【0165】
カリウムtert−ブトキシド553gとTHF4kgの混合溶液に対し、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン1kgを50℃の加熱下で滴下し、50℃にて20時間熟成した。反応液を減圧濃縮し、ヘキサン3.5kgと純水3kgを加えて有機層を分取し、次いで水洗を行い、洗浄後の有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣にメタノールを加えて再結晶を行い、ろ別して回収した結晶を減圧加熱乾燥することで、目的物である1−ブロモ−2−tert−ブトキシ−4−フルオロベンゼン815gを得た(収率66%)。
【0166】
(2)(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトシラート(中間体D)の合成
【化66】
【0167】
中間体C741gとマグネシウム72gを用いて、常法によりTHF中にてグリニャール試薬を調製した。調製したグリニャール試薬に対し、ジフェニルスルホキシド202gとTHF400gを加え、次にクロロトリメチルシラン325gを60℃の加温下にて滴下し、15時間熟成した。熟成後氷冷下とし、35質量%希塩酸104gと純水2,300gを加えて反応を停止した。その後ジイソプロピルエーテル2.5kgを加えて水層を分取し、更に35質量%希塩酸200gを加えて60℃にて5時間熟成した。その後析出した結晶をろ別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧加熱乾燥を施すことで、目的物である(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトシラート(中間体D)229gを得た(収率59%)。
【0168】
(3)2−(ジフェニルスルホニオ)−5−フルオロフェノラート(Q−B)の合成
【化67】
【0169】
中間体D3.0g、25質量%水酸化ナトリウム水溶液1.2g、塩化メチレン50g及び純水20gの混合溶液を10分攪拌後、有機層を分取し、続いて純水で洗浄後、減圧濃縮を行った。濃縮残渣にジイソプロピルエーテルを加えて再結晶を行い、得られた結晶を回収後、真空乾燥させることで、目的物である2−(ジフェニルスルホニオ)−5−フルオロフェノラート(Q−B)を得た(収量1.5g、収率66%)。
【0170】
得られた目的物のスペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMR、
19F-NMR/DMSO-d
6)の結果を
図2及び
図3に示す。なお、
1H-NMRにおいて微量の残溶剤(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン)及び水が観測された。
IR (D-ATR): ν= 2992, 1590, 1530, 1488, 1478, 1446, 1317, 1284, 1148, 1115, 964, 834, 763, 755, 688 cm
-1。
LC-MS: POSITIVE [M+H]
+297(C
18H
14OFS
+相当)
【0171】
[実施例1−3]2−(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)スルホニオフェノラート(Q−C)の合成
(1)(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)スルフィド(中間体E)の合成
【化68】
【0172】
2−ヨードフェノール130g、ヨウ化銅11.3g及びN−メチルピロリドン520gの混合溶液に対し、ベンゼンチオール104gを滴下し、ジイソプロピルエチルアミン138gを110℃の加熱下で滴下し、110℃にて13時間熟成した。反応液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液708gを加え、ヘキサン3.9kgで洗浄を行い、次いで35質量%希塩酸186gを加え、酢酸エチル1.3kgを加えて有機層を分取し、飽和塩化アンモニア水溶液洗浄及び水洗を行い、洗浄後の有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を減圧蒸留することで目的物である(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)スルフィド(中間体E)106gを得た(収率88%)。
【0173】
(2)2−(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)スルホニオフェノラート(Q−C)の合成
【化69】
【0174】
中間体E8.1g、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム=メチルサルフェート24g、安息香酸銅(II)1.2mg及びアニソール40gの混合溶液を80℃で1.5時間攪拌した。室温に戻した後、メチル−tert−ブチルエーテル52gを加え、純水130gを加えて水層を分取した。得られた水層に塩化メチレン30gを加え、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液16gを加え、15分攪拌した。攪拌後、塩化メチレン30gを加えて有機層を分取し、更に有機層を水洗浄した。1−ペンタノール、メチルイソブチルケトンを加えて減圧濃縮を行い、得られた残渣にメチル−tert−ブチルエーテルを加えて再結晶を行い、得られた結晶を回収後、真空乾燥させることで、目的物である2−(4−tert−ブチルフェニル)(フェニル)スルホニオフェノラート(Q−C)を得た(収量5.5g、収率41%)。
【0175】
得られた目的物のスペクトルデータを以下に示す。核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMR/DMSO-d
6)の結果を
図4に示す。なお、
1H-NMRにおいて微量の残溶剤(1−ペンタノール、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルエーテル)及び水が観測された。
IR (D-ATR): ν=3450, 2968, 1578, 1478, 1474, 1447, 1356, 1287, 1010, 845, 765, 750, 687 cm
-1。
LC-MS: POSITIVE [M+H]
+335(C
22H
23OS
+相当)
【0176】
[2]ポリマーの合成
[合成例1]ポリマーP1の合成
窒素雰囲気下、フラスコに、メタクリル酸1−tert−ブチルシクロペンチル22g、メタクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル17g、V−601(和光純薬工業(株)製)0.48g、2−メルカプトエタノール0.41g及びメチルエチルケトン50gをとり、単量体−重合開始剤溶液を調製した。窒素雰囲気とした別のフラスコにメチルエチルケトン23gをとり、攪拌しながら80℃まで加熱した後、前記単量体−重合開始剤溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間攪拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を、激しく攪拌したメタノール640g中に滴下し、析出したポリマーをろ別した。得られたポリマーをメタノール240gで2回洗浄した後、50℃で20時間真空乾燥して、白色粉末状のポリマーP1を得た(収量36g、収率90%)。GPCにて分析したところ、ポリマーP1のMwは8,755、分散度(Mw/Mn)は1.94であった。
【化70】
【0177】
[合成例2〜12]ポリマーP2〜P12の合成
モノマーの種類、配合比を変えた以外は、合成例1と同様の手順により、表1に示すポリマーを製造した。なお、表1において、導入比はモル比を示す。また、表1中、各単位の構造を下記表2及び3に示す。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
[3]レジスト組成物の調製
[実施例2−1〜2−14、比較例1−1〜1−6]
酸拡散制御剤(Q−A、Q−B及びQ−C)、比較酸拡散制御剤(Q−1〜Q−6)、ポリマー(P1〜P12)、光酸発生剤(PAG−X)及びアルカリ可溶型界面活性剤(SF−1)を、下記表4に示す組成にて、界面活性剤A(オムノバ社製)0.01質量%を含む溶剤中に溶解して溶液を調合し、更に該溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターでろ過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0182】
なお、表4において、溶剤、光酸発生剤(PAG−X)、アルカリ可溶型界面活性剤(SF−1)、界面活性剤A、比較酸拡散制御剤(Q−1〜Q−6)は、以下のとおりである。
・溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
GBL(γ−ブチロラクトン)
・光酸発生剤PAG−X:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
【0183】
・比較酸拡散制御剤
Q−1:ラウリン酸2−(4−モルホリニル)エチルエステル
Q−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
Q−3:トリフェニルスルホニウムサリチレート
Q−4:ジフェニルヨードニウム2−カルボキシレート
Q−5:下記式(Q−5)で示される化合物(特開2013−006827号公報の段落[0147]を参考に調製)
Q−6:下記式(Q−6)で示される化合物(特開2016−006495号公報の段落[0067]を参考に調製)
【化71】
【0184】
・アルカリ可溶型界面活性剤(SF−1):
ポリ(メタクリル酸2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロ−1−イソブチル−1−ブチル・メタクリル酸9−(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロエチルオキシカルボニル)−4−オキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン−2−イル)
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化72】
【0185】
・界面活性剤A:
3−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)オキセタン・テトラヒドロフラン・2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール共重合物(オムノバ社製)
【化73】
a:(b+b'):(c+c')=1:4〜7:0.01〜1(モル比)
Mw=1,500
【0186】
【表4】
【0187】
[4]レジスト組成物の評価:ArF露光(1)
[実施例3−1〜3−14、比較例2−1〜2−6]
シリコン基板上に反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製ARC29A)を塗布し、200℃で60秒間ベークして作製した反射防止膜(100nm膜厚)基板上に、各レジスト組成物(R−01〜R−20)をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて90℃で60秒間ベークし、膜厚90nmのレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR-S610C、NA1.30、4重極、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて液浸露光した後、表5に記載の温度で60秒間PEBし、2.38質量%TMAH水溶液で60秒間現像を行った。なお、液浸液としては水を使用した。
【0188】
[評価方法]
レジストの評価は、40nmの1:1ラインアンドスペースパターンを対象とし、電子顕微鏡にて観察、ライン寸法幅が40nmとなる露光量を最適露光量(E
op、mJ/cm
2)とした。
【0189】
最適露光量におけるライン側壁部のラフネスについて、寸法幅のばらつき(LWR、30点測定、3σ値を算出)を求めることで数値化し、比較した。LWR値が小さいほど、ラインパターンの揺らぎがなく、良好である。
【0190】
また、前記最適露光量におけるウエハー上の寸法において、ピッチ固定(80nm)でライン幅のみ変化させた(38〜42nm、1nm刻み)マスクを使い、露光し、ウエハー転写後の寸法を測定した。ライン幅について、マスク設計寸法に対する転写パターンの寸法をプロットし、直線近似により傾きを算出し、これをマスクエラーファクター(MEF)とした。MEF値が小さいほど、マスクパターンの仕上がり誤差の影響を抑えることができるため、良好である。
【0191】
更に、露光量を大きくすることでライン寸法を細らせた場合に、ラインが倒れずに解像する最少寸法を求め、倒れ限界(nm)とした。数値が小さいほど倒れ耐性が高く好ましい。
【0192】
結果を表5に示す。
【0193】
【表5】
【0194】
表5に示した結果より、本発明のレジスト組成物は、アルカリ現像によるポジティブパターン形成において、LWR、MEF及び倒れ耐性に優れていることから、ArF液浸リソグラフィーの材料として好適であることが示された。
【0195】
[5]レジスト組成物の評価:ArF露光(2)
[実施例4−1〜4−14、比較例3−1〜3−6]
各レジスト組成物(R−01〜R−20)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL-50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上にケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて90℃で60秒間ベークし、膜厚90nmのレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR-610C、NA1.30、σ0.98/0.74、ダイポール開口90度、s偏光照明)を用い、露光量を変化させながら露光を行い、その後表6に記載の温度で60秒間PEBし、その後酢酸ブチルを用いて30秒間現像し、その後ジイソペンチルエーテルでリンスした。最適露光量におけるパターン形状を比較し、目視により矩形性を判断した。
【0196】
また、マスクは透過率6%のハーフトーン位相シフトマスクであり、マスク上デザインが45nmライン/90nmピッチ(1/4倍縮小投影露光のためマスク上実寸法は4倍)のパターンについて、光遮蔽部に形成されたトレンチパターンの寸法を測長SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製CG4000)にて測定した。トレンチ幅の寸法が45nmとなる露光量を最適露光量(E
op、mJ/cm
2)とした。次に、最適露光量において、10nm間隔200nm範囲のトレンチ幅寸法のばらつき(3σ)を求め、LWR(nm)とした。
【0197】
また、露光量を小さくすることでトレンチ寸法は拡大し、ライン寸法は縮小するが、ラインが倒れずに解像するトレンチ幅の最大寸法を求め、倒れ限界(nm)とした。数値が大きいほど倒れ耐性が高く好ましい。
【0198】
結果を表6に示す。
【0199】
【表6】
【0200】
表6に示した結果より、本発明のレジスト組成物は、有機溶剤現像によるネガティブパターン形成において、LWR及び倒れ耐性に優れており、リソグラフィーによる微細加工に極めて有効であることが示唆された。
【0201】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されない。前記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。