特許第6849504号(P6849504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6849504ジェット燃料輸送物の精製方法およびジェット燃料の製造方法
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  • 特許6849504-ジェット燃料輸送物の精製方法およびジェット燃料の製造方法 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6849504
(24)【登録日】2021年3月8日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】ジェット燃料輸送物の精製方法およびジェット燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/04 20060101AFI20210315BHJP
   C10G 25/00 20060101ALI20210315BHJP
   C10G 31/08 20060101ALI20210315BHJP
   C10L 1/183 20060101ALN20210315BHJP
【FI】
   C10L1/04
   C10G25/00
   C10G31/08
   !C10L1/183
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-66378(P2017-66378)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-226819(P2017-226819A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-121493(P2016-121493)
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】各務 成存
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 武瑠
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 昌男
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−085790(JP,A)
【文献】 実開昭53−066794(JP,U)
【文献】 特表2013−512991(JP,A)
【文献】 特開2003−313568(JP,A)
【文献】 特表2003−514066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00− 1/32
C10G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して該タンカーによって輸送されたジェット燃料輸送物に、不純物除去剤を接触させて前記ジェット燃料輸送物から不純物を除去するジェット燃料輸送物の精製方法であって、
前記不純物除去剤が、活性白土であるジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項2】
前記活性白土を使用して前記ジェット燃料輸送物を精製する処理が流通式である請求項に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項3】
タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して該タンカーによって輸送されたジェット燃料輸送物に、不純物除去剤を接触させて前記ジェット燃料輸送物から不純物を除去するジェット燃料輸送物の精製方法であって、
前記不純物除去剤が、水であるジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項4】
前記水と前記ジェット燃料輸送物とを接触させる際に、両者の混合容量比(水/ジェット燃料輸送物)を1/100以下とする請求項に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項5】
前記不純物が、窒素及び硫黄から選択される1種以上を含む物質である請求項1〜のいずれか1項に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項6】
前記ジェット燃料輸送物が、酸化防止剤を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のジェット燃料輸送物の精製方法によって得られた精製物に、静電気防止剤を添加する工程を含むジェット燃料の製造方法。
【請求項8】
前記ジェット燃料輸送物の導電率が、50pS/m以上である請求項に記載のジェット燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェット燃料輸送物の精製方法およびジェット燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンカーで燃料油を輸送するとき、タンカーの爆発事故を防止するために、燃料油を貯蔵するタンク内を酸素欠乏状態とする「イナートガス注入方式」が採用されてきた。イナートガスとは、一般的に、常温常圧では酸素と化合し難い窒素ガス、炭酸ガス、および低酸素濃度の空気を指す。一般に、タンカーでは、タンカーのボイラの排気ガスを利用してイナートガスを得ていた(たとえば特許文献1参照)。タンカーのボイラは排気ガスを大量に発生し、かつ、排気ガスの含有酸素濃度も通常5%未満である。したがって、タンカーのボイラの排ガスを利用してイナートガスを得ることにより、イナートガスをタンクに十分に供給できるとともにタンク内を十分に酸素欠乏状態にすることができ、そしてイナートガスを生成するためのコストを低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−315627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タンカーのボイラの排ガスを利用して得たイナートガスはSOxおよびNOxなどの不純物を含んでいる。燃料油をタンクに貯蔵している間や、荷揚げや荷卸し時に、イナートガスが燃料油と接触混合することで、燃料油の品質が低下するという問題があった。特に、燃料油がジェット燃料である場合、ジェット燃料の水分離性能が低下してしまうという問題が生じていた。また、ジェット燃料が、静電気による発火を防止するために静電気防止剤をジェット燃料に添加する場合、イナートガスによるジェット燃料の品質低下によって静電気防止剤を添加してもジェット燃料の導電率が中々上昇しないという問題も生じた。このため、静電気防止剤の添加量が多くなり、これにより、ジェット燃料の水分離性能が低下してしまうという問題も生じていた。
そこで、本発明は、タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して輸送されている間に低下したジェット燃料輸送物の品質を効果的に改善することができるジェット燃料輸送物の精製方法およびその精製方法によって得られた精製物を用いたジェット燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して輸送されている間に品質が低下したジェット燃料輸送物から、活性白土を使用した白土処理や水との混合洗浄によって不純物を除去し、品質を効果的に向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0006】
(1)タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して該タンカーによって輸送されたジェット燃料輸送物に、不純物除去剤を接触させて前記ジェット燃料輸送物から不純物を除去するジェット燃料輸送物の精製方法。
(2)前記不純物除去剤が、活性白土である(1)に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(3)前記活性白土を使用して前記ジェット燃料輸送物を精製する処理が流通式である(2)に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(4)前記不純物除去剤が、水である(1)に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(5)前記水と前記ジェット燃料輸送物とを接触させる際に、両者の混合容量比(水/ジェット燃料輸送物)を1/100以下とする(4)に記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(6)前記不純物が、窒素及び硫黄から選択される1種以上を含む物質である(1)〜(5)のいずれかに記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(7)前記ジェット燃料輸送物が、酸化防止剤を含む(1)〜(6)のいずれかに記載のジェット燃料輸送物の精製方法。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のジェット燃料輸送物の精製方法によって得られた精製物に、静電気防止剤を添加する工程を含むジェット燃料の製造方法。
(9)前記ジェット燃料輸送物の導電率が、50pS/m以上である(8)に記載のジェット燃料の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵して輸送されている間に低下したジェット燃料輸送物の品質を効果的に改善することができるジェット燃料輸送物の精製方法およびその精製方法によって得られた精製物を用いたジェット燃料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例における水を用いた流通式精製法の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施形態によりさらに詳細に説明する。
[ジェット燃料輸送物の精製方法]
以下、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法について、詳しく説明する。
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法は、タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵してタンカーによって輸送されたジェット燃料輸送物に、不純物除去剤を接触させて当該ジェット燃料輸送物から不純物を除去する精製方法である。
【0010】
[ジェット燃料輸送物]
本発明におけるジェット燃料輸送物とは、イナートガスを注入したタンクに貯蔵されてタンカーによって輸送されたジェット燃料である。
上記ジェット燃料とは、航空用タービンエンジンに用いる燃料油であり、航空タービン燃料油とも呼ばれている。本発明のジェット燃料輸送物の精製方法に使用されるジェット燃料輸送物は、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって処理された後にJIS K2209「航空タービン燃料油」の規格値を満足するものになるものであれば、特に限定されない。しかし、前記ジェット燃料輸送物は、JIS K2209「航空タービン燃料油」の規格値を満足するものであることが好ましい。また、前記ジェット燃料は、たとえば、灯油留分の沸点範囲を有する灯油形(航空タービン燃料油1号(Jet A−1)または航空タービン燃料油2号(Jet A))と、沸点範囲がガソリン留分から灯油留分にまたがる広範囲沸点形(航空タービン燃料油3号(Jet B))とに分類することができる。
【0011】
前記のように、ジェット燃料輸送物は、タンカーのボイラの排気ガスを利用して得られたイナートガスを注入したタンクに貯蔵してそのタンカーによって輸送されたものである。したがって、ジェット燃料輸送物は、タンカーのボイラの排ガスに含まれるSOxおよびNOxなどの不純物を含む。
【0012】
ジェット燃料輸送物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。これにより、ジェット燃料の酸化を抑制することができる。酸化防止剤には、たとえば、2,6−ジターシャリーブチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチルフェノール75%以上とターシャリーおよびトリターシャリーブチルフェノール類25%以下との混合物、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール72%以上とターシャリーブチルメチルフェノール類およびターシャリーブチルジメチルフェノール類の混合物28%以下との混合物、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール55%以上と4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール15%以上とモノメチルおよびジメチルターシャリーブチルフェノール類30%以下との混合物、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール、ならびに2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0013】
ジェット燃料輸送物は、金属不活性剤をさらに含んでもよい。これにより、ジェット燃料輸送物に溶解している金属化合物が酸化触媒として燃料油の酸化を促進することを抑制できる。金属不活性剤は、たとえば、N,N−ジサリシリデン−1,2−プロパンジアミンである。
【0014】
ジェット燃料輸送物は、氷結防止剤をさらに含んでもよい。これにより、ジェット燃料輸送物の氷結を抑制できる。氷結防止剤は、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテルである。
これらの添加剤は、1種又は2種以上添加することができる。また、これらの添加剤の添加量は、使用目的に応じて適宜、選定すればよいが、添加剤の合計量としてジェット燃料輸送物全量に対し、0.15質量%以下とすることが好ましい
【0015】
[不純物除去剤]
本発明における不純物除去剤は、ジェット燃料輸送物から前記タンカーのボイラの排ガス(イナートガス)との接触混合により品質低下をもたらす不純物を除去できるものであれば、特に限定されない。当該不純物除去剤としては、活性白土や水が好適なものとして挙げられる。
【0016】
(活性白土)
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法に使用される活性白土は、ベントナイトおよび酸性白土などのモンモリロナイト系粘土を酸処理して活性度を高めた物質である。たとえば、活性白土は、モンモリロナイト系粘土を硫酸および塩酸などの鉱酸溶液で処理して、含有する塩基性成分の一部を溶出せしめ、洗浄することによって得られる。
【0017】
ジェット燃料輸送物中のSOxおよびNOxなどの不純物を活性白土が効果的に吸着できるという観点から、活性白土の比表面積は、好ましくは100m/g以上450m/g以下であり、より好ましくは200m/g以上350m/g以下である。また、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって精製されたジェット燃料に静電気防止剤を添加したとき、ジェット燃料の静電気防止剤による導電率向上の効果をより大きく発揮させることができるという観点、および後述の精製の処理工程での圧力損失が著しく高くなることを抑制できるという観点から、活性白土の平均粒径は、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下であり、より好ましくは0.3mm以上4.0mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上3.0mm以下である。
【0018】
(水)
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法に使用される水は、特に限定されないが、あらかじめイオン交換樹脂、逆浸透膜、精密濾過等で精製した水を用いることが好ましい。また、使用するジェット燃料輸送物が酸や塩基に対してある程度安定である場合は、酸や塩基を含んだ水を用いてもよい。含有される酸や塩基としては、無機酸及び有機酸、あるいは無機塩基及び有機塩基のいずれでもよいが、有機相への混入が少なく、除去も容易な無機酸や無機塩基の方が好ましい。
【0019】
[精製]
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法では、活性白土や水を使用してジェット燃料輸送物を精製するので、ジェット燃料輸送物中のイナートガスとの接触により品質低下をもたらす不純物はジェット燃料輸送物から効果的に除去される。これら不純物は、静電気防止剤を添加してもジェット燃料の導電率が中々上昇しないという問題を生ずる品質低下の原因物質であるため、これにより、静電気防止剤による導電率上昇効果が向上する。また、これら不純物はジェット燃料における水分離性能の低下の原因物質でもあり、これにより、ジェット燃料の水分離性能は向上する。このようにして、ジェット燃料の品質を効果的に改善することができる。
【0020】
(活性白土を用いた精製)
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法における、活性白土を使用してジェット燃料輸送物を精製する処理は、バッチ式よりも流通式であることが好ましい。ここで、流通式とは、ジェット燃料輸送物が、ジェット燃料を精製する精製装置の一端から連続的に送入され、精製装置の他端から精製されたジェット燃料が連続的に取り出されて、通常は定常状態で操作される精製方法の方式をいう。活性白土を使用して精製する処理に流通式を採用することによって、ジェット燃料輸送物を活性白土に接触させた後、ジェット燃料を活性白土から分離する操作が容易になり、ジェット燃料輸送物を効率的に処理することができる。さらに、操作条件の制御が容易になり、均一なジェット燃料を容易に得ることができる。一方、活性白土を使用して精製する処理にバッチ式を採用すると、ジェット燃料輸送物に活性白土を投入して撹拌する工程および濾過などで活性白土からジェット燃料を分離する工程が必要となり、ジェット燃料輸送物を効率的に処理できない場合がある。
【0021】
活性白土を用いてジェット燃料輸送物を精製する場合における精製の条件は、反応温度は、好ましく0℃以上50℃以下であり、より好ましくは10℃以上40℃以下である。また、圧力は、好ましくは49kPa以上980kPa以下であり、より好ましくは98kPa以上490kPa以下である。さらに液空間速度(LHSV)は、好ましくは2hr−1以上400hr−1以下であり、より好ましくは5hr−1以上50hr−1以下である。これらの条件で精製を行うことにより、ジェット燃料輸送物中の上記不純物を効率よく、短時間でジェット燃料輸送物から除去することができる。
【0022】
流通式には、ダウンフロー方式およびアップフロー方式がある。その中で、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法では、ダウンフロー方式が望ましい。アップフロー方式では、活性白土の粒径が小さいと流動化して微粉が下流に流れ、それが、ジェット燃料輸送物の処理に悪影響を与える場合がある。
また、流通式の場合、白土塔(ジェット燃料を精製する精製装置に該当)を2塔にしてスイング式リアクター方式とすることが好ましい。この場合、まず2塔直列運転でジェット燃料輸送物の通液を開始し、上流の1塔目出口で、導電率の向上効果が非常に低くなった時点で、1塔目を切り離し、2塔目だけにジェット燃料を通液し、1塔目の活性白土を交換する。1塔目の白土塔における活性白土の交換後、2塔目を上流として2塔目から1塔目の順番でジェット燃料輸送物の通液を行う。この工程を繰り返すことで、連続運転が可能になる。
【0023】
(水を用いた精製)
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法における、水を使用してジェット燃料輸送物を精製する処理は、具体的には、ジェット燃料輸送物に水を加えて混合し(水と接触させ)、その後、水と分離する方法である。
処理方法は特に限定されないが、ジェット燃料輸送物と水との混合、およびジェット燃料輸送物と水との分離が容易であることから、流通式であることが望ましい。バッチ式で実施する場合は、ジェット燃料輸送物に水を添加して撹拌する工程と、静置してジェット燃料と水とを分離する工程とが必要となる。フローはダウンフロー、アップフロー、横方向のフローなどいずれの方法でも問題ない。
【0024】
混合工程での水とジェット燃料輸送物との混合比率は(水/ジェット燃料輸送物)、容量比で1/10000〜1の範囲と幅広い条件で実施が可能であるが、得られるジェット燃料の精製度と全体的な精製効率を考慮すると、前記混合比率は1/10以下とすることが好ましく、1/100以下とすることがより好ましく、1/1000以下とすることがさらに好ましい。
特に、流通式の場合、ジェット燃料輸送物と水との混合にスタティックミキサーを用いることで、大きな圧力損失なしにジェット燃料輸送物と水との接触が非常に良好になるので望ましい。またこれにより、水とジェット燃料輸送物との混合比率(容量比)を1/100以下と小さくでき、結果として水の注入ポンプを小型化することができる。さらに、後述のフィルターセパレータでの水の分離が容易になる。
【0025】
ジェット燃料と水の分離工程には、既存のフィルターセパレータを用いることが望ましい。フィルターセパレータはコアレッサーフィルターとフィルターセパレータとからなり、油水分離の能力が非常に高いことが知られており、前記水とジェット燃料輸送物との混合比率(容量比)が0を超え1/100以下の範囲まで適応が可能である。
なお、油水分離のレベルが一定に保たれて、分離された水の一部ないし全部がリサイクルされて、ジェット燃料輸送物と再混合されることが望ましい。これにより、水による精製効果が目標レベルに達しなくなった場合に、新しい水を補充することで、精製効果を維持しながら連続運転することが可能となる。水の補充量としては、ジェット燃料輸送物に対して容量で1/10000程度と少量での対応が可能であるが、より好ましい水の補充量はジェット燃料輸送物に対して容量で1/1000程度である。
【0026】
なお、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法では、活性白土や水を使用してジェット燃料輸送物を精製するので、ジェット燃料輸送物から前記不純物は除去されるが、ジェット燃料輸送物に含まれている酸化防止剤はあまり除去されない。これにより、ジェット燃料輸送物を精製する際、前記不純物と一緒に酸化防止剤も除去され、却ってジェット燃料が酸化しやすくなることを抑制することができる。
【0027】
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって精製されたジェット燃料は、ジェット燃料組成物の基材として用いてもよい。すなわち、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって精製されたジェット燃料と、他の燃料油基材とを用いて、ジェット燃料組成物を製造することができる。また、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって精製されたジェット燃料をジェット燃料組成物として用いてもよい。
【0028】
[ジェット燃料の製造方法]
以下、本発明のジェット燃料の製造方法について、詳しく説明する。
本発明のジェット燃料の製造方法は、本発明のジェット燃料輸送物の精製方法によって精製されたジェット燃料に静電気防止剤を添加する工程を含む。これにより、ジェット燃料における電荷の蓄積を抑制でき、静電気によるジェット燃料の発火を防止することができる。静電気防止剤には、たとえばジノニルナフチルスルホン酸を活性成分とするものが挙げられる。市販されている静電気防止剤として、たとえばオクテル社製のSTADIS450が挙げられる。
【0029】
本発明のジェット燃料輸送物の精製方法で除去される不純物は、ジェット燃料の導電率を低減させる物質であるので、上記不純物の除去により、静電気防止剤によるジェット燃料の導電率を向上させる効果が高くなり、ジェット燃料への静電気防止剤の添加量を低減することができる。なお、ジェット燃料における静電気防止剤の含有量が高くなると、ジェット燃料の水分離性能が低下する場合がある。したがって、ジェット燃料の望ましい導電率である50pS/m以上、好ましくは150pS/m以上、より好ましくは300pS/m以上が得られる範囲で、ジェット燃料における静電気防止剤の含有量は、できるだけ低い(3.0mg/L以下)ことが好ましい。
【0030】
本発明のジェット燃料の製造方法は、酸化防止剤、金属不活性剤および氷結防止剤からなる群から選択される少なくとも一種を添加する工程を含んでもよい。なお、酸化防止剤、金属不活性剤および氷結防止剤は、上記で説明したものと同じものである。
【0031】
本発明のジェット燃料の製造方法によって製造されたジェット燃料は、ジェット燃料組成物の基材として用いてもよい。すなわち、本発明のジェット燃料の製造方法によって製造されたジェット燃料と、他の燃料油基材とを用いて、ジェット燃料組成物を製造することができる。また、本発明のジェット燃料の製造方法によって製造されたジェット燃料をジェット燃料組成物として用いてもよい。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0033】
1.活性白土を用いたジェット燃料の精製
[バッチ式精製法による評価]
(不純物を含むジェット燃料の作製および導電率の評価)
船舶に設けられている、C重油燃料ボイラからイナートガスを生成するイナートガス設備の海水シール出口から、イナートガスをテトラバックに15Lサンプリングした。イナートガスをただちに検知管(ガステック社製、型番:No.5M)で測定したところ、SOの濃度は25質量ppmであった。また、排ガス計(ホダカ社製、型番:HT−2300)でNOを測定したところ、NOの濃度が123質量ppmであった。
【0034】
次に、マロックス法(Merox Process)により、含有するメルカプタンを無臭の二硫化物にしたジェット燃料を15Lのガラス容器に5L入れ、ガラス容器を減圧した。そして、ガラス容器の減圧を利用して上述のテトラバックからガラス容器にイナートガスを導入した。イナートガスを導入したジェット燃料の入っているガラス容器を1分間激しく振とうした。その後、予め減圧にして収縮した状態にしておいた、伸縮性のあるポリエチレン容器をガラス容器に接続し、イナートガスと混合したジェット燃料をポリエチレン容器に移送し、ポリエチレン容器を満液状態とし、精製前ジェット燃料Aを準備した。
【0035】
330ccの精製前ジェット燃料Aをガラス容器に採取し、予め120℃で2時間乾燥した♯50〜100メッシュのクレイ0.08gを加え、15時間撹拌翼で撹拌した。撹拌終了後、0.2μmのメンブレンで濾過してクレイを除去し、ろ液に、1.5mg/Lの濃度となるよう静電気防止剤(オクテル社製、型番:STADIS450)を添加し、15℃の液温に冷却して、実施例1および比較例1〜3のジェット燃料を作製した。そして、15℃の液温で、導電率計(EMCEE ELECTRONIC社製、型番:MODEL 1152)を用いて、JIS K 2276に規定する導電率試験方法に準拠して導電率を測定した。導電率の測定結果を下記の表1に示す。また、改質前ジェット燃料Aの導電率を参考例1として表1に示す。
なお、実施例1および比較例1〜3の作製には以下のクレイを用いた。
実施例1:ガレオナイト251、活性白土、水澤化学工業(株)製
比較例1:ガレオナイト0612、酸性白土、水澤化学工業(株)製
比較例2:アタパルジャイト、粘土、巴工業(株)製
比較例3:モリキュラーシーブ3A、ゼオライト、メルク社製
【0036】
【表1】
【0037】
上記導電率の測定結果から、静電気防止剤を用いてジェット燃料の導電率を上昇させることができることがわかった。また、活性白土を用いて精製したジェット燃料は、酸性白土、粘土およびゼオライトをそれぞれ用いて精製したジェット燃料よりも導電率が高くなることがわかった。この結果より、活性白土は、酸性白土、粘土およびゼオライトに比べて、イナートガスとの接触混合により品質低下をもたらす不純物をより多くジェット燃料から除去しているものと推測される。
【0038】
[カラム流通式精製法による評価]
(ジェット燃料の精製および精製したジェット燃料の導電率の評価)
直径10mmのカラムに、予め120℃で2時間乾燥した白土6.2ccを充填した。原料ポンプで所定の通液速度に調整し、白土を充填した上記カラムを用いてジェット燃料の精製を行った。累積通液量が白土容積の400倍の時点でカラムの入口およびカラム出口の液をサンプリングし、実施例2のジェット燃料および比較例4のジェット燃料を得た。そして、サンプリングした液に静電気防止剤(オクテル社製、型番:STADIS450)を1.00mg/Lとなるよう添加し、15℃の液温に冷却して導電率計を用いて測定した。
なお、精製するジェット燃料として前記精製前ジェット燃料Aを使用した。
また、15℃の液温における導電率は、JIS K 2276に規定する導電率試験方法に準拠して測定した。なお、以下の導電率の測定についても同様である。
【0039】
実施例2および比較例4のジェット燃料を得るためのジェット燃料の精製条件は以下のとおりである。
<実施例2のジェット燃料>
・白土:活性白土(ガレオナイト251、水澤化学工業(株)製、表面積:290m/g)
・白土充填量:3.8g(6.2cc)
・白土の粒径 1.7〜4.0mm
・通油前のジェット燃料の導電率:250[pS/m]
・液空間速度(LHSV):49[hr−1]および382[hr−1
・ジェット燃料の評価時の累積通液量 白土容積の400倍
<比較例4のジェット燃料>
・白土:酸性白土(ガレオナイト0612、水澤化学工業(株)製、表面積:74m/g)
・白土充填量:5.0g(6.2cc)
・白土の粒径:1.4〜3.4mm
・通油前のジェット燃料の導電率:250[pS/m]
・液空間速度(LHSV):6.5[hr−1]および49[hr−1
・ジェット燃料評価時の累積通液量:白土容積の400倍
【0040】
(カラム入口と出口とにおけるジェット燃料の導電率の差)
累積通液量が白土容積の400倍となった時点の実施例2および比較例4のジェット燃料のカラム入口と出口とにおける導電率の差を調べた。結果を下記の表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
上記結果より、活性白土を使用して精製したジェット燃料は、酸性白土を使用して精製したジェット燃料よりも、静電気防止剤を添加することによる導電率向上の効果が大幅に向上することがわかった。
【0043】
(ジェット燃料の性状)
実施例2のジェット燃料の性状を調べた。結果を表3および表4に示す。また、参考のために、精製前ジェット燃料Aの性状を参考例2として表4に示す。さらに、15℃における導電率が実施例2と同じになるように静電気防止剤の添加量を1.00mg/Lから1.60mg/Lに増やした場合の精製前ジェット燃料の性状を参考例3として表4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
なお、各性状は次の方法にしたがって求めた。実施例2については精製したジェット燃料に、参考例2および3については精製前ジェット燃料Aに、表4に記載の添加量の静電気防止剤および酸化防止剤を添加した後に各性状を測定した。
(外観)
外観は、JIS K 2276に規定する外観試験方法に準拠して評価した。
(色(セーボルト))
色(セーボルト)は、JIS K 2580に規定するセーボルト色試験方法に準拠して測定した。
(酸価)
酸価は、JIS K 2276に規定する全酸価試験方法に準拠して測定した。
(芳香族炭化水素分)
芳香族炭化水素分は、JIS K 2536に準拠して測定した。
(硫黄分)
硫黄分は、JIS K 2541に準拠して測定した。
(ドクター試験)
ドクター試験は、JIS K 2276に規定するドクター試験方法に準拠して測定した。
(メルカプタン硫黄分)
メルカプタン硫黄分は、JIS K 2276に規定するメルカプタン硫黄分試験方法(電位差滴定法)に準拠して測定した。
(蒸留性状)
蒸留性状は、JIS K 2254に準拠して測定した。
(引火点)
引火点は、JIS K 2265に規定するタグ密閉式引火点試験方法に準拠して測定した。
(密度(15℃))
15℃の液温における密度は、JIS K 2249に準拠して測定した。
(析出点)
析出点は、JIS K 2276に規定する析出点試験方法に準拠して測定した。
(動粘度(−20℃))
−20℃の液温における動粘度は、JIS K 2283に規定する動粘度試験方法に準拠して測定した。
(真発熱量)
真発熱量は、JIS K 2279に準拠して測定した。
(煙点)
煙点は、JIS K 2537に準拠して測定した。
(銅板腐食(100℃、2時間))
100℃の試験温度および2時間の試験時間における銅板腐食は、JIS K 2513に準拠して測定した。
(熱安定性)
熱安定性は、JIS K 2276に規定する熱安定度試験方法のA法またはB法に準拠して測定した。
(水分離指数(MSEP))
水分離指数(MSEP)は、JIS K 2276に規定する水分離指数試験方法(マイクロセパロメータ法)に準拠して測定した。
(微粒きょう雑物)
微粒きょう雑物は、JIS K 2276に規定する微粒きょう雑物試験方法(試験室ろ過法)に準拠して測定した。
(実在ガム)
実在ガムは、JIS K 2261に準拠して測定した。
(遊離水分)
CASRI検水器により、遊離水分の有無を確認した。
(導電率(15℃))
15℃の液温における導電率は、JIS K 2276に規定する導電率試験方法に準拠して測定した。
(静電気防止剤添加量)
静電気防止剤として、STADIS450(オクテル社製)を使用した。
【0047】
実施例2と参考例2とを比較することにより、活性白土を使用してジェット燃料を精製することにより、静電気防止剤を添加することによる導電率向上の効果を向上させることができることがわかった。また、活性白土を使用してジェット燃料を精製することにより、ジェット燃料の水分離指数が改善することがわかった。
【0048】
参考例2と参考例3とを比較することにより、静電気防止剤の添加量を増やすと、ジェット燃料の導電率は向上するものの、ジェット燃料の水分離指数が悪くなることがわかった。
【0049】
(酸化防止剤の残留性)
ジェット燃料に酸化防止剤を添加した後に、実施例2と同様に活性白土を使用してジェット燃料を精製して得た実施例3のジェット燃料における酸化防止剤の含有量を調べることにより、活性白土を使用してジェット燃料を精製しても、ジェット燃料中の酸化防止剤は残留しているか否かを調べた。酸化防止剤として、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール(Qualification Reference : RDE/A/608)を使用した。なお、ジェット燃料中の酸化防止剤の含有量は、メタノールを使用してジェット燃料から酸化防止剤を抽出し、酸化防止剤を抽出したメタノール中の酸化防止剤の含有量を質量分析計(GC−MS)(Agilent社製、型番:6890N)を用いて、内部標準法により測定した。結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
上記結果より、活性白土を使用して酸化防止剤を含有するジェット燃料を精製しても、ジェット燃料中の酸化防止剤の濃度はほとんど変わらないことがわかった。これより、活性白土は、ジェット燃料中の酸化防止剤をあまり除去しないで、イナートガスとの接触混合により品質低下をもたらす不純物を効果的に除去できることがわかる。通常、当業者は、イナートガスとの接触混合により品質低下をもたらす不純物をジェット燃料から除去すると、ジェット燃料中の酸化防止剤も一緒に除去してしまうと考えるので、この結果は驚くべきものである。
【0052】
2.水を用いたジェット燃料の精製
[バッチ式精製法による評価]
(不純物を含むジェット燃料の作製および導電率の評価)
船舶に設けられている、C重油燃料ボイラからイナートガスを生成するイナートガス設備の海水シール出口から、イナートガスをテトラバックに15Lサンプリングした。イナートガスをただちに検知管(ガステック社製、型番:No.5M)で測定したところ、SOの濃度は15質量ppmであった。また、排ガス計(ホダカ社製、型番:HT−2300)でNOを測定したところ、NOの濃度が100質量ppmであった。
【0053】
次に、マロックス法(Merox Process)により、含有するメルカプタンを無臭の二硫化物にしたジェット燃料を15Lのガラス容器に5L入れ、ガラス容器を減圧した。そして、ガラス容器の減圧を利用して上述のテトラバックからガラス容器にイナートガスを導入した。イナートガスを導入したジェット燃料の入っているガラス容器を1分間激しく振とうした。その後、予め減圧にして収縮した状態にしておいた、伸縮性のあるポリエチレン容器をガラス容器に接続し、イナートガスと混合したジェット燃料をポリエチレン容器に移送し、ポリエチレン容器を満液状態とし、精製前ジェット燃料Bを準備した。この精製前ジェット燃料Bに、静電気防止剤(オクテル社製、型番:STADIS450)を1.5mg/Lとなるよう添加し、15℃の液温に冷却して導電率計を用いて測定した結果、導電率は250pS/mであった。
【0054】
精製前ジェット燃料B:900mlと、イオン交換水3mlを1Lの分液ロートに入れて、60分間自動振とう機で混合し、20分間静置し、水が沈降しているのを目視で確認した。その後、上部から精製前ジェット燃料Bだけを採取して、前記静電気防止剤を1.5mg/Lとなるよう添加し、冷却して液温を15℃にして導電率計を用いて導電率を測定した。沈降した水を残した分液ロートに新たに精製前ジェット燃料Bを添加して、同様の混合・測定・分離を繰り返した。
水に対する積算の精製前ジェット燃料量の比に対する水洗浄によるジェット燃料の導電率の向上分(対精製前ジェット燃料B)の結果を、まとめて表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
上記結果から、用いた精製前ジェット燃料の積算量が水の量の1100倍程度まで、有効な導電率向上効果が得られることがわかった。したがって、水の必要量としては、精製前ジェット燃料に対して1/1000で十分な導電率改善効果が得られる。
【0057】
[流通式精製法による評価]
(ジェット燃料の精製および精製したジェット燃料の導電率の評価)
下記に示すスタティックミキサに精製前ジェット燃料を連続通液し、途中から水を注入した後、スタティックミキサにて混合し、次に、下記コアレッサーフィルターにて油水分離した。分離された水は、系の上流側で再度水注入されるようにリサイクルした。導電率の測定は、サンプリングした液に静電気防止剤(オクテル社製、型番:STADIS450)を1.5mg/Lとなるよう添加し、15℃の液温に冷却し、前記と同様にして行った。
なお、精製するジェット燃料として前記精製前ジェット燃料Bを使用した。
【0058】
・スタティックミキサ:(株)ノリタケカンパニーリミテッド製、T3−17−RS(内径3.7mm、長さ100mm、エレメント数17)
スタティックミキサにおける圧力損失:35kPa(実測値)
・コアレッサーフィルター:和興フィルターテクノロジー製(フィルター目開き1μm相当)
・系内水量:50ml
・ジェット燃料の通液速度:500L/分
・還流水の通液速度:180〜10ml/分
【0059】
スタティックミキサにおける水と精製前ジェット燃料との通液速度比を(水/ジェット燃料)比とし、これの各々に対するジェット燃料の導電率の向上分(対精製前ジェット燃料B)をプロットした結果を図1に示す。
図1に示すように、水/ジェット燃料比が1/100程度と低い場合でも有効な導電率向上効果が得られることがわかった。
【0060】
(酸化防止剤の残留性)
ジェット燃料に酸化防止剤(2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール(DTBP))を添加した後に、前記流通精製法による評価において、ジェット燃料の通液速度を500L/分、還流水の通液速度を10ml/分として水洗浄し、洗浄前後のジェット燃料中のDTBPの含有量を実施例3と同様の方法により測定した。結果を表7に示す。
【0061】
【表7】
【0062】
上記結果より、活性白土処理と同様に、水洗浄により酸化防止剤は除去されないことが分かった。
図1