(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1材料は、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、又はアクリレートを含む一又は複数の熱可塑性ポリマー、若しくは、それらの共重合体、グラフト鎖、又は混合物を含む、請求項1に記載の方法。
前記一又は複数の第1フィーチャ及び前記ベース材料層は、前記複合研磨パッド本体全体にわたって所定のヤング率、所定の貯蔵弾性率、又は所定の損失弾性率を実現するように配置されている、請求項6に記載の方法。
前記一又は複数の第1フィーチャ及び前記ベース材料層は、前記複合研磨パッド本体全体にわたって所定のヤング率、所定の貯蔵弾性率、又は所定の損失弾性率を実現するように配置されている、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために共通の文言を使用した。一実施形態で開示されている要素は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態で有益に利用されうると想定される。
【0015】
本開示は、研磨用物品及びそれを製造する方法、並びに、基板を研磨する方法、及び、基板の研磨前、基板の研磨中、及び基板の研磨後に研磨用物品を調整する方法に関する。
【0016】
本開示の実施形態は、複合パッド本体を有する研磨パッドを提供する。この複合パッド本体は、少なくとも2つの異なる材料で形成された、不連続なフィーチャを含む。研磨パッドは、本開示の実施形態による三次元(3D)印刷プロセスによって作製されうる。例えば、複合パッド本体は、3Dプリンタによって、各層が異なる材料又は異なる材料混合物の複数の領域を備える複数の層を、連続して堆積させることによって形成されうる。一部の実施形態では、複数の層は次いで、硬化により固化されうる。複合パッド本体における複数の不連続なフィーチャは、別々の材料又は別々の材料混合物で、一度に形成されうる。3D印刷の堆積と硬化のプロセスは、不連続なフィーチャが確実に1つにまとめられることを可能にする。不連続なフィーチャの形状寸法は、3D印刷プロセスを使用して容易に制御されうる。別々の材料又は別々の材料混合物を選ぶことによって、不連続なフィーチャは、ターゲットパッド特性を得るための種々の機械的な、物理的な、化学的な、かつ/又は形状寸法上の特性を有しうる。一実施形態では、複合本体は、異なる機械的特性を有する複数の粘弾性材料で形成されうる。例えば、複合本体は、異なる貯蔵弾性率及び異なる損失弾性率を有する、複数の粘弾性材料で形成されうる。その結果として、複合パッド本体は、第1材料又は第1の材料混合物で形成されたいくつかの弾性フィーチャと、第1材料又は第1の材料混合物よりも固い第2材料又は第2の材料混合物で形成された、いくつかの硬性フィーチャとを含みうる。
【0017】
図1は、研磨ステーション100の概略断面図である。研磨ステーション100は、基板研磨を実施するために、研磨システムにおいて使用されうる。研磨ステーション100はプラテン102を含む。プラテン102は、中心軸104の周囲を回転しうる。研磨パッド106は、プラテン102上に置かれうる。研磨パッド106は、本開示の実施形態による複合研磨本体を含みうる。研磨パッド106は、基板に接触し、基板を処理するよう構成された研磨面112を含む。プラテン102は、研磨中に、研磨パッド106を支持し、研磨パッド106を回転させる。キャリアヘッド108は、研磨パッド106の研磨面112に接するように、処理されている基板110を保持しうる。キャリアヘッド108は、中心軸114の周囲で回転し、かつ/又は、基板110と研磨パッド106との間に相対運動を発生させるよう、スイープ運動(sweepingmotion)で動きうる。研磨中に、研磨材スラリなどの研磨流体116が、供給アーム118によって研磨面112に供給されうる。研磨液116は、基板の化学機械研磨を可能にするために、研磨材粒子、pH調整剤、及び/又は、化学的に活性な成分を含有しうる。
【0018】
研磨パッド
図2Aは、本開示の一実施形態による研磨パッド200の概略的な断面斜視図である。研磨パッド200は、化学機械研磨によって基板を研磨するために、研磨ステーション100などの研磨ステーションにおいて使用されうる。
【0019】
研磨パッド200は複合パッド本体202を含む。この複合パッド本体202は、一又は複数の硬性フィーチャ204と、一又は複数の弾性フィーチャ206とを含む。硬性フィーチャ204と弾性フィーチャ206とは、境界で1つにまとめられて複合パッド本体202を形成する、不連続なフィーチャである。一実施形態では、硬性フィーチャ204は、約40ショアDスケール〜約90ショアDスケールの硬度を有しうる。弾性フィーチャ206は、約26ショアAスケールから約95ショアAスケールまでの硬度値を有しうる。
【0020】
複合パッド本体202は、3D印刷、又はその他の適切な技法によって形成されうる。複合パッド本体202は、複数の層であって、各々が、3Dプリンタによって堆積される、複合パッド本体202の設計による弾性フィーチャ206の領域及び/又は硬性フィーチャ204の領域を含む、複数の層を含みうる。複数の層は次いで、例えばUV光によって、又は熱源によって硬化されて、固化し、ターゲット硬度に到達しうる。堆積及び硬化の後に、連結されているか、又は1つにまとめられている硬性フィーチャ204と弾性フィーチャ206とを含む、一体化した複合パッド本体202が形成される。
【0021】
ターゲット研磨プロセスを実現するために、別々の機械的特性を有する複数の材料が、弾性フィーチャ206及び硬性フィーチャ204向けに選択されうる。フィーチャ形成プロセス中に使用される、種々の材料を選択すること、及び/又は、種々の硬化プロセスを選ぶことによって、弾性フィーチャ206及び硬性フィーチャ204の動的な機械的特性が実現しうる。一実施形態では、弾性フィーチャ206が低い硬度値と低いヤング率の値を有しうる一方、硬性フィーチャ204は、高い硬度値と高いヤング率の値を有しうる。別の実施形態では、貯蔵弾性率及び損失弾性率などの動的な機械的特性は、各フィーチャの中で、かつ/或いは、物理的なレイアウト、パターン、又は、研磨パッドの研磨面内の又は研磨面全体にわたる弾性フィーチャ206と硬性フィーチャ204との組み合わせによって、調節されうるか、又は制御されうる。
【0022】
硬性フィーチャ204は、一又は複数のポリマー材料で形成されうる。硬性フィーチャ204は、ターゲット特性を実現するために、単一のポリマー材料、又は2つ以上のポリマーの混合物で、形成されうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204は、一又は複数の熱可塑性ポリマーで形成されうる。硬性フィーチャ204は、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファルド、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、メラミン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルアセテート、フッ化炭化水素などといった熱可塑性ポリマー、並びに、そのアクリル酸、共重合体、グラフト鎖、及び混合物で、形成されうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204は、アクリル酸で形成されうる。例えば、硬性フィーチャ204は、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、又はポリエステルアクリレートでありうる。別の実施形態では、硬性フィーチャ204は、エポキシ、フェノール、アミン、ポリエステル、ウレタン、シリコンといった、一又は複数の熱硬化性ポリマー、及びそれらのアクリル酸、混合物、共重合体、及びグラフト鎖を含みうる。
【0023】
一実施形態では、硬性フィーチャは、模擬(simulating)プラスチックの3D印刷材料で形成されうる。一実施形態では、研磨材粒子が、研磨プロセスを強化するために、硬性フィーチャ204内に埋め込まれうる。研磨材粒子を含む材料は、セリア、アルミナ、シリカ、又はそれらの組み合わせなどの金属酸化物、ポリマー、金属間化合物、或いはセラミックでありうる。
【0024】
弾性フィーチャ206は、一又は複数のポリマー材料で形成されうる。弾性フィーチャ206は、ターゲット特性を実現するために、単一のポリマー材料、又は2つ以上のポリマーの混合物で、形成されうる。一実施形態では、弾性フィーチャ206は、一又は複数の熱可塑性ポリマーで形成されうる。例えば、弾性フィーチャ206は、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファルド、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、メラミン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルアセテート、フッ化炭化水素などといった熱可塑性ポリマー、並びに、そのアクリル酸、共重合体、グラフト鎖、及び混合物で、形成されうる。一実施形態では、弾性フィーチャ206は、アクリル酸で形成されうる。例えば、弾性フィーチャ206は、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、又はポリエステルアクリレートでありうる。別の実施形態では、弾性フィーチャ206は、熱可塑性エラストマで形成されうる。一実施形態では、弾性フィーチャ206は、ゴム様の3D印刷材料で形成されうる。
【0025】
硬性フィーチャ204は一般的に、弾性フィーチャ206よりも硬く、剛性が高い一方、弾性フィーチャ206は、硬性フィーチャ204よりも柔らかく、可撓性が高い。硬性フィーチャ204及び弾性フィーチャ206の材料とパターンは、研磨パッド200の「微調整された(tuned)」バルク材料が実現するよう、選択されうる。この「微調整された」バルク材料を伴って形成された研磨パッド200は、研磨結果の改善、製造コスト削減、パッド寿命の延長といった、様々な利点を有する。一実施形態では、「微調整された」バルク材料、又は研磨パッド全体が、約65ショアAから約75ショアDまでの硬度を有しうる。研磨パッドの引張強度は、5MPaから約75MPaまででありうる。研磨パッドは、約5%から約350%までの破壊伸び率を有しうる。研磨パッドは、約10mPaを上回るせん断強度を有しうる。研磨パッドは、約5MPaから約2000MPaまでの貯蔵弾性率を有しうる。研磨パッドは、25°C〜90°Cの温度範囲全体にわたり、安定した貯蔵弾性率を有しうる。そのため、E30/E90での貯蔵弾性率比は、約6から約30までの範囲内に収まる(E30は30°Cでの貯蔵弾性率であり、E90は90°Cでの貯蔵弾性率である)。
【0026】
一実施形態では、硬性フィーチャ204及び弾性フィーチャ206の材料は、研磨スラリによる腐食に対して、化学的に耐性を有する。別の実施形態では、硬性フィーチャ204及び弾性フィーチャ206の材料は親水性である。
【0027】
一実施形態では、硬性フィーチャ204及び弾性フィーチャ206は、円形の複合パッド本体202を形成するよう交互に配置された交互同心リングでありうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204の上面208が弾性フィーチャ206から突き出るように、硬性フィーチャ204の高さ210は、弾性フィーチャ206の高さ212よりも高い。溝218又はチャネルが、硬性フィーチャ204と弾性フィーチャ206との間に形成される。研磨中に、硬性フィーチャ204の上面208が基板と接触する研磨面を形成する一方、溝218は研磨流体を保持する。一実施形態では、複合パッド本体202の上面上に溝218及び/又はチャネルが形成されるように、硬性フィーチャ204は、複合パッド本体202に平行な平面に対して直角方向に、弾性フィーチャ206よりも厚い。
【0028】
一実施形態では、硬性フィーチャ204の幅214は、約250ミクロンから約2ミリメートルまででありうる。硬性フィーチャ204の間のピッチ216は、約0.5ミリメートルから約5ミリメートルまででありうる。各硬性フィーチャ204は、約250ミクロンから約2ミリメートルまでの範囲内の幅を有しうる。幅214及び/又はピッチ216は、硬度が異なるゾーンに合わせて、研磨パッド200の半径の端から端までで変動しうる。
【0029】
従来型の研磨パッドと比較して、本開示の複合研磨パッド200はいくつかの利点を有している。従来型の研磨パッドは一般的に、基板を研磨するためのターゲット硬度又はターゲットヤング率を得るために、テクスチャ加工された研磨面、及び/又は、泡状物質などの軟性材料で形成されたサブパッドによって支持された研磨材料を有する、研磨層を含む。ヤング率、貯蔵弾性率、及び損失弾性率などの様々な機械的特性を有する材料を選択することによって、フィーチャの寸法及び間隔を調節すること、或いは、種々のフィーチャの配置、所望の硬度、動的特性及び/又は機械的特性を変動させることが、サブパッドを使用しない複合パッド本体202において実現しうる。したがって研磨パッド200は、サブパッドをなくすことによって所有コストを低減させる。加えて、研磨パッド200の硬度及び研磨性は、種々の硬度及び研磨性を有するフィーチャを混合することによって微調整され、したがって、研磨性能を向上させうる。
【0030】
本開示による複合研磨パッドは、パターンの変動及び/又はフィーチャサイズの変動により、硬性フィーチャ204などの表面フィーチャ、及び、弾性フィーチャ206などのベース材料の全体で変動可能な、ヤング率又は貯蔵弾性率及び損失弾性率といった機械的特性を有しうる。研磨パッド全体の機械的特性は、ターゲット特性を実現するために、対称又は非対称であってよく、均一又は不均一でありうる。表面フィーチャのパターンは、研磨パッド全体で、所定の機械的特性、例えばヤング率又は貯蔵弾性率及び損失弾性率といった、ターゲット特性を実現するために、径方向、同心円状、長方形、又は無作為でありうる。
【0031】
一実施形態では、硬性フィーチャと弾性フィーチャは、嵌合して、複合研磨パッドの強度を向上させ、かつ、複合研磨パッドの物理的全体性を向上させうる。硬性フィーチャと弾性フィーチャとの嵌合は、研磨パッドのせん断強度及び/又は引張強度を増大させうる。
【0032】
図2Bは、本開示の一実施形態による研磨パッド200bの概略的な部分上面図である。研磨パッド200bは、研磨パッド200bが嵌合している硬性フィーチャ204bと弾性フィーチャ206bとを含むことを除き、
図2Aの研磨パッド200に類似している。硬性フィーチャ204b及び弾性フィーチャ206bは、複数の同心リングを形成しうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204bは、突き出た垂直張り出し部(ridge)220を含んでよく、弾性フィーチャ206bは、垂直張り出し部220を受容するための垂直凹部222を含みうる。代替的には、弾性フィーチャ206bが突き出た張り出し部を含みうる一方で、硬性フィーチャ204bが凹部を含む。硬性フィーチャ204bと嵌合した弾性フィーチャ206bを有することによって、研磨パッド200bは、CMPプロセス中及び/又は材料を扱っている間に発生しうる剪断力の印加に対して、機械的強度が増すことになる。
【0033】
図2Cは、本開示の一実施形態による研磨パッド200cの概略的な部分断面図である。研磨パッド200cは、研磨パッド200cが嵌合している硬性フィーチャ204cと弾性フィーチャ206cとを含むことを除き、
図2Aの研磨パッド200に類似している。硬性フィーチャ204c及び弾性フィーチャ206cは、複数の同心リングを含みうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204cが突き出た側壁224を含みうる一方、弾性フィーチャ206cは、硬性フィーチャ204cを受容するための凹型側壁225を含みうる。代替的には、弾性フィーチャ206cが突き出た側壁を含みうる一方で、硬性フィーチャ204cが凹型側壁を含む。突き出た側壁により硬性フィーチャ204cと嵌合した弾性フィーチャ206cを有することによって、研磨パッド200cは、引張強度の増大を得る。加えて、嵌合した側壁は、研磨パッド200cが引っ張られてばらばらになることを防止する。
【0034】
図2Dは、本開示の一実施形態による研磨パッドの概略的な部分断面図である。研磨パッド200dは、研磨パッド200dが別様に構成された嵌合フィーチャを含むことを除き、
図2Cの研磨パッド200cに類似している。研磨パッド200dは、硬性フィーチャ204dと弾性フィーチャ206dとを含みうる。硬性フィーチャ204d及び弾性フィーチャ206dは、複数の同心リングを含みうる。一実施形態では、硬性フィーチャ204dが水平張り出し部226を含みうる一方、弾性フィーチャ206dは、硬性フィーチャ204dの水平張り出し部226を受容するための水平凹部227を含みうる。代替的には、弾性フィーチャ206dが水平張り出し部を含みうる一方で、硬性フィーチャ204dが水平凹部を含む。一実施形態では、
図2Bの嵌合フィーチャなどの垂直嵌合フィーチャと、
図2C及び
図2Dの嵌合フィーチャなどの水平嵌合フィーチャとが組み合わされて、研磨パッドを形成しうる。
【0035】
図3Aは、本開示の一実施形態による研磨パッド300の概略的な断面斜視図である。研磨パッド300は、ベース材料層304から延在する、複数の表面フィーチャ302を含む。表面フィーチャ302の上面306は、研磨中に基板と接触するための研磨面を形成する。表面フィーチャ302とベース材料304とは、異なる特性を有する。例えば、表面フィーチャ302が、研磨パッド200の硬性フィーチャ204向けの材料などの硬性材料で形成されうる一方、ベース材料層304は、研磨パッド200の弾性フィーチャ206向けの材料などの弾性材料で形成されうる。研磨パッド300は、研磨パッド200と同様に、3D印刷によって形成されうる。
【0036】
一実施形態では、表面フィーチャ302は、実質的に同じサイズを有しうる。代替的には、研磨パッド300全体での、ヤング率の変動又は貯蔵弾性率の変動及び損失弾性率の変動といった、機械的特性の変動を発生させるために、表面フィーチャ302のサイズが変動しうる。
【0037】
一実施形態では、表面フィーチャ302は、研磨パッド300全体に均一に分布しうる。代替的には、表面フィーチャ302は、研磨パッド300におけるターゲット特性を実現するために、不均一なパターンに配置されうる。
【0038】
図3Aでは、表面フィーチャ302は、ベース材料層304から突き出た円柱として示されている。代替的には、表面フィーチャ302は、楕円形、正方形、長方形、三角形、多角形、又は不定形の断面を有する柱状体などの、任意の適切な形のものでありうる。一実施形態では、表面フィーチャ302は、研磨パッド300の硬度を微調整するために、様々な形のものでありうる。
【0039】
図3Bは、本開示の一実施形態による研磨パッド300bの概略的な部分上面図である。研磨パッド300bは、研磨パッド300bがベース材料層304bと嵌合している複数の表面フィーチャ302bを含むことを除き、
図3Aの研磨パッド300に類似している。一実施形態では、複数の表面フィーチャ302bの各々は、突き出た垂直張り出し部310を含んでよく、ベース材料層304bは、垂直張り出し部310を受容するための垂直凹部312を含みうる。代替的には、ベース材料層304bが突き出た張り出し部を含みうる一方で、表面フィーチャ302bが凹部を含む。ベース材料層304bと嵌合した表面フィーチャ302bを有することによって、研磨パッド300bは、剪断力が印加された状況下での機械的強度が増す。
【0040】
図3Cは、本開示の一実施形態による研磨パッド300cの概略的な部分断面図である。研磨パッド300cは、研磨パッド300cがベース材料層304cと嵌合する複数の表面フィーチャ302cを含むことを除き、
図3Aの研磨パッド300に類似している。一実施形態では、複数の表面フィーチャ302cの各々は、突き出た水平張り出し部314を含んでよく、ベース材料層304cは、水平張り出し部314を受容するための水平凹部316を含みうる。代替的には、ベース材料層304cが突き出た張り出し部を含みうる一方で、表面フィーチャ302cが凹部を含む。突き出た側壁を使用して表面フィーチャ302cと嵌合したベース材料層304cを有することによって、研磨パッド300cは、引張強度の増大を得る。加えて、嵌合側壁は、CMP処理中又はCMPパッドを扱っている間に、研磨パッド300cが引っ張られてばらばらになることを防止する。
【0041】
別の実施形態では、
図3Bの嵌合フィーチャなどの垂直嵌合フィーチャと、
図3Cの嵌合フィーチャなどの水平嵌合フィーチャとが組み合わされて、研磨パッドを形成しうる。
【0042】
図4は、本開示の一実施形態による研磨パッド400の概略的な透視断面図である。研磨パッド400は、研磨パッド200の弾性フィーチャ206と同様に軟性かつ弾性である、ベース層402を含む。弾性フィーチャ206と同様に、ベース層402は、一又は複数の弾性ポリマーで形成されうる。研磨パッド400は、ベース層402から延在する、複数の表面フィーチャ406を含む。表面フィーチャ406の外表面408は、軟性材料又は軟性材料の混合物で形成されうる。一実施形態では、表面フィーチャ406の外表面408は、ベース層402と同じ材料、又は同じ材料混合物で形成されうる。表面フィーチャ406は、その中に埋めこまれた硬性フィーチャ404も含みうる。硬性フィーチャ404は、表面フィーチャ406よりも硬い材料又は材料混合物で形成されうる。硬性フィーチャ404は、研磨パッド200の硬性フィーチャ204の一又は複数の材料に類似した材料で、形成されうる。埋めこまれた硬性フィーチャ404は、表面フィーチャ406の有効硬度を変化させ、ひいては、研磨のために望ましいターゲットパッド硬度を提供する。外表面408の軟性ポリマー層は、不具合を減少させ、研磨されている基板上の平坦度を改善するために使用されうる。代替的には、軟性ポリマー材料は、本開示の他の研磨パッドの表面上に印刷されて、同じ恩恵を提供しうる。
【0043】
図5は、一又は複数の観察窓510を有する研磨パッド500の概略的な透視断面図である。研磨パッド500はパッド本体502を有しうる。パッド本体502は、一又は複数の弾性フィーチャ506と、研磨のために弾性フィーチャ506から延在する、複数の硬性フィーチャ504とを含みうる。弾性フィーチャ506及び硬性フィーチャ504は、研磨パッド200の弾性フィーチャ206及び硬性フィーチャ204向けの材料に類似した材料で、形成されうる。硬性フィーチャ504は、本開示による任意の適切なパターンに配置されうる。
【0044】
一又は複数の観察窓510は、研磨されている基板の観察を可能にするために、透明材料で形成されうる。観察窓510は、弾性フィーチャ506又は硬性フィーチャ504を貫通して、かつ/或いは、弾性フィーチャ506又は硬性フィーチャ504の部分に当接して、形成されうる。一部の実施形態では、観察窓510は、実質的に透明な、ゆえに、CMP光学終点検出システムで使用するためにレーザ及び/又は白色光源から放出された光を透過させることが可能な、材料で形成されうる。一実施形態では、観察窓510は、透明な3D印刷フォトポリマ―で形成されうる。一実施形態では、観察窓510は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)で形成されうる。一部の実施形態では、観察窓510は、研磨スラリの屈折率とほぼ同じ低い屈折率と、大気/ウインドウ/水の界面からの反射を低減させ、かつ、観察窓510を通って基板との間を行き来する光の透過性を向上させるための、高い光学的透明度とを有する材料で、形成される。光学的透明度は、終点検出システムの光学検出器によって使用される光線の波長帯全体にわたり、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の光透過性を提供するのに十分なほど、高くなくてはならない。典型的な光学終点検出波長帯は、可視スペクトル(例えば約400nm〜約800nm)、紫外(UV)スペクトル(例えば約300nm〜約400nm)、及び/又は、赤外スペクトル(例えば約800nm〜約1550nm)を含む。
【0045】
図6は、バッキング層606を含む研磨パッド600の概略的な透視断面図である。研磨パッド600は、ベース材料層604と、ベース材料層604から突き出た、複数の表面フィーチャ602とを含む。研磨パッド600は、バッキング層606がベース材料層604に取り付けられていることを除いて、上述の研磨パッド200、300、400、500に類似していることがある。バッキング層606は、研磨パッド600に所望の圧縮性を提供しうる。バッキング層606は、所望の硬度を実現するため、かつ/又は、所望の動的材料特性(例えば貯蔵弾性率及び弾性率)を有するために、研磨パッド600の全体的な機械的特性を変化させるためにも使用されうる。バッキング層606は、80ショアAスケール未満の硬度値を有しうる。
【0046】
一実施形態では、バッキング層606は、ボイドを有するポリウレタン又はポリシリコンなどのオープンセル又はクローズセルの泡状物質で形成されてよく、それにより、加圧下ではセルがつぶれ、バッキング層606が圧縮される。別の実施形態では、バッキング層606は、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ニトリル、又はポリクロロプレン(ネオプレン)で形成されうる。
【0047】
図7は、複数のゾーンを有する研磨パッド700の概略断面図である。研磨パッド700は、研磨中に基板の中央区域に接触する領域と、基板のエッジ領域に接触する領域とで異なる特性を有するよう、設計されうる。
図7は、研磨パッド700に対して基板110を配置する、キャリアヘッド108を概略的に示している。一実施形態では、研磨パッド700は、バッキング層704上に配置された複合パッド本体702を含みうる。複合パッド本体702は、3D印刷によって製造されうる。
図7に示しているように、研磨パッド700は、研磨パッドの半径に沿って、外側エッジゾーン706と、中央ゾーン708と、内側エッジゾーン710とに区分されうる。外側エッジゾーン706と内側エッジゾーン710が、研磨中に基板110のエッジ領域に接触する一方、中央ゾーン708は、研磨中に基板の中央領域に接触する。
【0048】
研磨パッド700は、エッジ研磨品質を向上させるために、エッジゾーン706、708には、中央ゾーン708とは異なる、ヤング率又は貯蔵弾性率及び損失弾性率などの機械的特性を有する。一実施形態では、エッジゾーン706、710は、中央ゾーン708よりも低いヤング率を有しうる。
【0049】
図8は、研磨パッド700の部分拡大断面図であり、外側エッジゾーン706及び中央ゾーン708の例示的な設計を示している。外側エッジゾーン706は、ベース材料層806と複数の表面フィーチャ802とを含む。表面フィーチャ804は、ベース材料層806よりも硬い材料で形成されうる。中央ゾーン708は、ベース材料層808と複数の表面フィーチャ804とを含む。表面フィーチャ802は、ベース材料層808よりも硬い材料で形成されうる。一実施形態では、中央ゾーン708は、ベース材料層808の下にロッキング層810を含みうる。ロッキング層810は、表面フィーチャ302又は硬性フィーチャ202向けの材料などの硬性材料で形成されうる。複数の表面フィーチャ804は、安定性を向上させるために、ロッキング層810上に印刷されうる。
図8に示しているように、中央ゾーン708内の表面フィーチャ802は、外側エッジゾーン706内の表面フィーチャ804よりもサイズが大きい。一実施形態では、外側エッジゾーン706内の表面フィーチャ804のピッチは、中央ゾーン708内の表面フィーチャ802のピッチよりも狭いことがある。
【0050】
図9は、2つの異なる研磨面902、904を有する研磨パッド900の概略断面図である。研磨パッド900は、不連続なフィーチャを含む、複合研磨パッドである。研磨面902、904は、別々のパターン、並びに/又は、別々の硬度及び研磨性を有しうる。一実施形態では、研磨面904は、基板を研磨するための硬性な研磨材面であってよく、研磨面904は、軟性のバフ表面でありうる。研磨中、研磨パッド900は、その中心軸(例えば、図面のページから飛び出して延在する研磨パッドの中心)の周囲で回転している間に、基板110は、研磨パッドの各回転において2つの研磨面902、904に交互に曝露される。研磨面902がバルク研磨を実施するよう構成されており、かつ、研磨面904がバフ研磨を実施するよう構成されている場合、研磨パッド9900は、各回転でバルク研磨とバフ研磨の両方を実施し、ゆえに、研磨の2つの段階が同時に実施されることが可能である。
【0051】
図10は、研磨パッド1000の概略断面図である。研磨パッド1000は、2つ以上の複合パッド本体1002、1006、1004を含みうる。複合パッド本体1002、1004、1006は、3D印刷によって形成されうる。複合パッド本体1002、1004、1006は、その上に形成された、同じ又は別々のパターンを有しうる。複合パッド本体1002、1004、1006は、互いに確実に接続して研磨パッド1000を形成するために、ロッキングフィーチャ1008、1010を含みうる。複数の複合パッド本体による構成は、研磨パッドの製造及び/又は搬送に適応性を提供する。
【0052】
図11は、本開示の一実施形態による、複合パッド本体1002及び1004の部分断面図であり、ロッキングフィーチャを示している。例えば、ロッキングフィーチャ1008が水平張り出し部でありうる一方、ロッキングフィーチャ1010は、水平張り出し部を受容するための水平凹部でありうる。複合パッド本体1002、1004、1006を連結するために、任意の適切なロッキングフィーチャが使用されうる。
【0053】
3D印刷ステーション
図12は、本開示による、研磨パッドを製造するための3D印刷ステーション1200の概略断面図である。研磨パッド200は、支持体1202上に印刷されうる。研磨パッド200は、CAD(computer−aided design)プログラムから、液滴噴射プリンタ1206によって形成される。液滴噴射プリンタ1206及び支持体1202は、印刷プロセス中に互いに対して移動しうる。
【0054】
液滴噴射プリンタ1206は、液体前駆体を分配するためのノズルを有する一又は複数のプリントヘッドを含みうる。
図12の実施形態では、液滴噴射プリンタ1206は、ノズル1210を有するプリントヘッド1208と、ノズル1212を有するプリントヘッド1214とを含む。ノズル1210が、軟性又は弾性の材料などの第1材料のための液体前駆体を分配するよう構成されうる一方、ノズル1212は、硬性材料などの第2材料のための液体前駆体を分配するために使用されうる。他の実施形態では、液滴噴射プリンタ1206は、2を上回る数の材料を有する研磨パッドを形成するために、2を上回る数のプリントヘッドを含みうる。液体前駆体は、研磨パッド200を形成するために、選択された場所又は領域にのみ分配されうる。これらの選択された場所は、集合的に、表面フィーチャ及びベース材料層のターゲット印刷パターンを形成し、液滴噴射プリンタ1206を制御する電子コントローラ1204(例えばコンピュータ)によって後に読み込まれる、CAD適合ファイルとして保存されうる。
【0055】
本書で説明している3D印刷プロセスは、様々な3D堆積又は3D印刷のプロセスの中でも特に、ポリジェット堆積、インクジェット印刷、熱溶解積層(fused deposition modeling)、バインダ噴射、粉末ベッド溶解、選択的レーザ焼結、ステレオリソグラフィ、バット光重合デジタルライト処理、シート積層、指向性エネルギー堆積を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0056】
3D印刷の後に、研磨パッドは硬化により固化されうる。硬化は、印刷された研磨パッドを硬化温度まで加熱することによって、実施されうる。代替的には、硬化は、紫外光源によって生成された紫外光線に、印刷された研磨パッドを曝露することによって実施されうる。
【0057】
3D印刷は、別々の材料及び/又は別々の材料混合物で形成された不連続なフィーチャを有する研磨パッドを作製するための、使いやすく、高度に制御可能なプロセスを供与する。一実施形態では、研磨パッドの弾性フィーチャ及び/又は硬性フィーチャは、単一の材料で形成されうる。例えば、研磨パッドの弾性フィーチャは、プリントヘッド1210から分配される第1材料で形成されうる。研磨パッドの硬性フィーチャは、プリントヘッド1212から分配される第2材料の液滴で形成されうる。
【0058】
別の実施形態では、弾性フィーチャ及び/又は硬性フィーチャは、2つ以上の材料の混合物で形成されうる。
図13は、2つの材料の混合物で形成された硬性フィーチャ1304a、1304bを有する研磨パッド1300の概略的な部分断面図である。硬性フィーチャ1304a、1304bは、第1材料と第2材料との混合物で形成されうる。第1材料は、プリントヘッド1210などの第1プリントヘッドによって、液滴1316の形態で分配されてよく、第2材料は、プリントヘッド1212などの第2プリントヘッドによって、液滴1318の形態で分配されうる。液滴1316と液滴1318との混合物で硬性フィーチャ1304aを形成するために、プリントヘッド1212は、まず硬性フィーチャ1304aに対応するピクセルに位置を合わせ、所定のピクセル上に液滴1318を分配しうる。プリントヘッド1210が、次いで、硬性フィーチャ1304aに対応するピクセルに位置を合わせ、所定のピクセル上に液滴1316を分配しうる。その結果として、硬性フィーチャ1304aに液滴1316及び液滴1318を含む層が付加される。ゆえに、一又は複数の材料の液滴を堆積させることによって形成される第1の材料混合物を含む第1材料と、一又は複数の別の材料の液滴を堆積させることによって形成される第2の材料混合物を含む第2材料とで、研磨パッドが形成されうる。
【0059】
硬性フィーチャ1304a、1304bの特性は、第1材料と第2材料との比率及び/又は分布に従って、調節されうるか、又は微調整されうる。一実施形態では、硬性フィーチャ1304a、1304bの組成は、液滴1316、1318のサイズ、場所、スピード、及び/又は密度を選択することによって制御される。
【0060】
硬性フィーチャ1304a、1304bは、同一の組成物を有しうる。代替的には、各硬性フィーチャ1304a、1304bは、個別化された組成を有しうる。同様に、弾性フィーチャ1306も複数の材料の混合物で形成されうる。各弾性フィーチャ1306の組成物も、ターゲット特性を実現するために個別化されうる。フィーチャ1304a、1304bの形成には2つの材料だけが使用されているが、本開示の実施形態は、複数の材料で研磨パッド上にフィーチャを形成することを包含する。一部の構成では、研磨パッドにおける硬性及び/又は弾性のフィーチャの組成は、下記で詳述するように、研磨面に平行な平面の中で、かつ/又は、研磨パッドの厚さを通じて、調節される。
【0061】
研磨パッドのパターン
図14Aから
図14Oは、本開示の実施形態による研磨パッド設計の概略図である。
図14Aから
図14Oの各々は、基板と接触して基板を研磨するための研磨フィーチャ1402a〜1402oを表す白色領域(白色ピクセル内の領域)と、ベースフィーチャ1404a〜1404oを表す黒色領域(黒色ピクセル内の領域)とを有する、ピクセルチャートを含む。研磨フィーチャ1402a〜1402oは、研磨パッド200の硬性フィーチャ204に類似していることがある。ベースフィーチャ1404a〜1404oは、研磨パッド200の弾性フィーチャ206に類似していることがある。白色領域は一般的に、白色領域の間の黒色領域内にチャネルが形成されるように、黒色領域の上方に突き出ている。研磨スラリは、研磨中に、チャネルを通って流れてよく、かつ、チャネル内に保持されうる。
図14Aから
図14Oに示す研磨パッドは、3Dプリンタを使用して材料の複数の層を堆積させることによって、形成されうる。複数の層の各々は、研磨フィーチャ1402a〜1402o、及びベースフィーチャ1404a〜1404oを形成するための、2つ以上の材料を含みうる。一実施形態では、研磨フィーチャ1402a〜1402oは、研磨パッドの表面上に溝及び/又はチャネルが形成されるように、材料の複数の層に平行な平面に対して直角方向に、ベースフィーチャ1404a〜1404oよりも厚いことがある。
【0062】
図14Aは、複数の同心円状研磨フィーチャ1402aを有する研磨パッド設計1400aの概略的なピクセルチャートである。研磨フィーチャ1402aは、同一幅の同心円でありうる。一実施形態では、ベースフィーチャ1404aも、研磨フィーチャ1402aのピッチが半径方向に沿って一定になるように、同一幅を有しうる。研磨中に、研磨フィーチャ1402aの間のチャネルが、研磨スラリを保持し、研磨パッドの中心軸(すなわち同心円の中心)の周囲での研磨パッドの回転によって生成される遠心力による研磨スラリの急速損失を防止する。
【0063】
図14Bは、同心円に配置された複数の区分けされた研磨フィーチャ1402bを有する研磨パッド設計1400bの、概略的なピクセルチャートである。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402bは、実質的に同一の長さを有しうる。区分けされた研磨フィーチャ1402bは、複数の同心円を形成しうる。各円において、区分けされた研磨フィーチャ1402bは、各同心円の中に等しく分布しうる。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402bは、半径方向に同一の幅を有しうる。一部の実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402bはそれぞれ、同心円の半径にかかわりなく、同一の長さを実質的に有する(例えば、研磨パッドの中央領域を除いて弧長が等しい)。一実施形態では、複数の同心円の間のベースフィーチャ1404bも、同心円のピッチが一定になるように、同一幅を有しうる。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402bの間の間隙は、研磨パッドの中心軸の周囲での研磨パッドの回転によって生成される遠心力の影響下で研磨スラリが研磨パッドから直接流出することを防止するために、円ごとに互い違いになっていることがある。
【0064】
図14Cは、ベースフィーチャ1404cの上方に形成された複数の同心円状研磨フィーチャ1402cを有する研磨パッド設計1400cの、概略的なピクセルチャートである。
図14Cにおけるこのパッド設計は、半径方向に沿って研磨フィーチャ1402cの幅が漸進的に変動することを除いて、
図14Aのパッド設計1400aに類似している。一実施形態では、研磨フィーチャの幅は、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジに向けて減少するが、隣り合った研磨フィーチャ1402cの間の距離は一定のままである。研磨フィーチャ1402cの幅の変動は、研磨パッドが中心軸の周囲で回転している間に、研磨パッドの様々な径方向位置で研磨されている基板の線形スピードの相違を補償するために、使用されうる。
【0065】
図14Dは、ベースフィーチャ1404dの上方に形成された複数の同心円状研磨フィーチャ1402dを有する研磨パッド設計1400dの、概略的なピクセルチャートである。
図14Dにおけるこのパッド設計は、研磨フィーチャ1402dが円形ではなく楕円形であることを除いて、
図14Aのパッド設計1400aに類似している。楕円形の研磨フィーチャ1402dは、研磨パッド上の径方向位置のどこにでも、複数の寸法及び配向の研磨フィーチャがあることを可能にし、ひいては、研磨均一性を向上させることになる。
【0066】
図14Eは、ベースフィーチャ1404eの上方に形成された複数の同心楕円形状の研磨フィーチャ1402eを有する研磨パッド設計1400eの、概略的なピクセルチャートである。
図14Eにおけるこのパッド設計は、楕円形の研磨フィーチャ1402eの幅が半径方向に沿って変動することを除いて、
図14Dのパッド設計1400dに類似している。幅が変動する楕円形の研磨フィーチャは、研磨パッド上の一径方向位置で、研磨中に基板に接触する研磨フィーチャの変動がより大きくなることを可能にし、ひいては、研磨均一性を向上させることになる。
【0067】
図14Fは、ベースフィーチャ1404fの上方の螺旋研磨フィーチャ1402fを有する研磨パッド設計1400fの、概略的なピクセルチャートである。
図14Fでは、研磨パッド1400fは、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジへと延在する、4つの螺旋研磨フィーチャ1402fを有する。4つの螺旋研磨フィーチャが示されているが、もっと少ない、又はもっと多い数の螺旋研磨フィーチャ1402fが、同様の様態で配置されうる。螺旋研磨フィーチャ1402fは、螺旋チャネルを画定する。一実施形態では、螺旋研磨フィーチャ1402fの各々は、一定の幅を有する。一実施形態では、螺旋チャネルも一定の幅を有する。研磨中、研磨パッドは、螺旋チャネル内に研磨スラリを保持するために、螺旋研磨フィーチャ1402fの方向とは反対の方向に、中心軸の周囲で回転しうる。例えば、
図14Fでは、螺旋研磨フィーチャ1402f及び螺旋チャネルは、反時計回り方向に形成されており、ゆえに、研磨中に研磨パッドは、時計回りに回転して、研磨パッド上の螺旋チャネル内に研磨スラリを保持しうる。一部の構成では、螺旋チャネルの各々は、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジまで連続している。この連続螺旋チャネルは、研磨スラリが、研磨屑があればそれらと共に、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジへと流れることを可能にする。一実施形態では、螺旋研磨フィーチャ1402fと同じ方向に(例えば
図14Fでは反時計回りに)研磨パッドを回転させることによって、研磨パッドが洗浄されうる。
【0068】
図14Gは、ベースフィーチャ1404g上に螺旋パターンで配置された区分けされた研磨フィーチャ1402gを有する研磨パッド設計1400gの、概略的なピクセルチャートである。
図14Gの研磨パッドは、螺旋研磨フィーチャ1402gが区分けされていることを除いて、
図14Fの研磨パッドに類似している。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402gは、実質的に同じ長さである。区分けされた研磨フィーチャ1402gは、各螺旋研磨フィーチャに沿って等しく分布しうる。一部の実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402gはそれぞれ、螺旋方向に同一の長さを実質的に有しうる。
【0069】
図14Hは、ベースフィーチャ1404h上に螺旋パターンで配置された区分けされた研磨フィーチャ1402hを有する研磨パッド設計1400hの、概略的なピクセルチャートである。
図14Hの研磨パッドは、区分けされた研磨フィーチャ1402hの長さが変動することを除いて、
図14Gの研磨パッドに類似している。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402hの長さは、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジにかけて増大する。
【0070】
図14Iは、ベースフィーチャ1404i上に螺旋パターンで配置された区分けされた研磨フィーチャ1402iを有する研磨パッド設計1400iの、概略的なピクセルチャートである。
図14Iの研磨パッドは、区分けされた研磨フィーチャ1402iの径方向ピッチが変動することを除いて、
図14Gの研磨パッドに類似している。一実施形態では、区分けされた研磨フィーチャ1402iの径方向ピッチは、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジにかけて減少する。
【0071】
図14Jは、ベースフィーチャ1404j上に螺旋パターンで配置された区分けされた研磨フィーチャ1402jを有する研磨パッド設計1400jの、概略的なピクセルチャートである。
図14Jの研磨パッドは、区分けされた研磨フィーチャ1402jの径方向ピッチが、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジ領域にかけて増大していることを除いて、
図14Iの研磨パッドに類似している。
【0072】
図14Kは、ベースフィーチャ1404k内に形成された複数の不連続な研磨フィーチャ1402kを有する研磨パッド設計1400kの、概略的なピクセルチャートである。一実施形態では、複数の研磨フィーチャ1402kの各々は、円筒形のポストでありうる。一実施形態では、複数の研磨フィーチャ1402kは、研磨面の平面において同じ寸法を有しうる。一実施形態では、複数の円筒形の研磨フィーチャ1402kは、同心円に配置されうる。一実施形態では、複数の円筒形の研磨フィーチャ1402kは、研磨面の平面に対して規則的な2Dパターンに配置されうる。
【0073】
図14Lは、ベースフィーチャ1404lの上方に形成された複数の不連続な研磨フィーチャ1402lを有する研磨パッド設計1400lの、概略的なピクセルチャートである。
図14Lの研磨パッドは、
図14Lの不連続な研磨フィーチャ1402lの各々が、中空の円筒形ポストでありうるか、又は、その内部に形成された研磨面に対する陥没部を有しうることを除いて、
図14Kの研磨パッドに類似している。中空の円筒形ポストは、一部の研磨スラリがその中に滞留することを可能にする。
【0074】
図14Mは、ベースフィーチャ1404mの上方に形成された複数の不連続な研磨フィーチャ1402mを有する研磨パッド設計1400mの、概略的なピクセルチャートである。
図14Mの研磨パッドは、
図14Mの一部の研磨フィーチャ1402mが接続されて一又は複数の閉じた円を形成しうることを除いて、
図14Kの研磨パッドに類似している。一又は複数の閉じた円は、研磨中に研磨スラリを保持するための、一又は複数の堰き止め部を作り出しうる。
【0075】
図14Nは、ベースフィーチャ1404n内に形成された複数の不連続な研磨フィーチャ1402nを有する研磨パッド設計1400nの、概略的なピクセルチャートである。
図14Nの研磨パッドは、
図14Nの一部の研磨フィーチャ1402nが接続されて一又は複数の螺旋チェーンを形成しうることを除いて、
図14Mの研磨パッドに類似している。一又は複数の螺旋チェーンは、研磨スラリの流体の流れを導いて、研磨スラリの保持、及び研磨パッドの洗浄を支援しうる。
【0076】
図14Oは、複数の不連続な研磨フィーチャ1402oとベースフィーチャ1404oとを有する研磨パッド設計1400oの、概略的なピクセルチャートである。
図14Oの研磨パッドは、
図14Oの不連続な研磨フィーチャ1402oの各々がApplied Materials, Inc.のロゴの形であることを除いて、
図14Kの研磨パッドに類似している。
図14Oは、本開示の実施形態が、任意の適切な設計、パターン及び/又は配置を伴う研磨フィーチャを有する研磨パッドを包含することを、示している。
【0077】
図14Aから
図14Oの設計における研磨フィーチャ1402a〜1402oは、同一の材料又は同一の材料混合物で形成されうる。代替的には、
図14Aから
図14Oの設計における研磨フィーチャ1402a〜1402oの材料組成及び/又は材料特性は、研磨フィーチャごとに変動しうる。個別化された材料組成及び/又は材料特性は、研磨パッドが特定のニーズ向けにカスタマイズされることを可能にする。
【0078】
研磨フィーチャが2つの異なる3D印刷材料で形成される場合、研磨フィーチャは、2つのプリントヘッドを使用して少なくとも2つの重畳画像を印刷することによって、製造されうる。
図15A−15Bから
図18A−18Bは、複合研磨フィーチャを有する研磨パッド向けの設計の例を提供している。
図15から
図18では、白色ピクセルは、研磨パッドを形成するために使用される一又は複数の層の中で、材料の液滴が分配されているところを標示している一方、黒色ピクセルは材料が分配されていないところを標示している。上記の技法を使用することによって、材料組成の勾配が、研磨パッドの完成品を少なくとも部分的に形成するために使用される一又は複数の印刷された層において、形作られうる。研磨パッド内部の一又は複数の印刷された層のカスタマイズされた組成は、研磨パッドの全体的な機械的特性を調節し、カスタマイズするために使用されうる。
【0079】
上記の技法を使用することによって、一部の実施形態では、研磨パッドの研磨面に対して直角方向(例えば、
図15から
図18に示している図に対して直角方向)に、又は、研磨パッドの研磨面の平面内に(例えば径方向に)、材料組成の勾配を形作ることが望ましくなる。一実施形態では、研磨パッドの研磨面に対して直角方向に、上述の硬性フィーチャ及び/又は弾性フィーチャにおける材料組成の勾配を形作ることが望ましい。一例では、研磨パッドのベース付近(例えば研磨面の逆側)の印刷された層内に、弾性フィーチャを形成するために使用される材料をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷された層内に、硬性フィーチャを形成するために使用される材料をより高濃度に有することが望ましい。別の例では、研磨パッドのベース付近の印刷された層内に、硬性フィーチャを形成するために使用される材料をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷された層内に、弾性フィーチャを形成するために使用される材料をより高濃度に有することが望ましい。
【0080】
積層3D印刷された層の材料組成及び/又は材料特性の勾配は、一方向に高濃度から低濃度へと、又はその逆に、変動しうる。場合によっては、研磨パッドを有する一又は複数の領域は、高/低/高、又は低/高/低という濃度勾配などの、より複雑な濃度勾配を含みうる。一構成においては、濃度の勾配は、形成された研磨パッドの連続する層の各々における、第2の印刷された構成要素に対する第1の印刷された構成要素の位置及び/又は量の変動によって、形作られうる。例えば、第1層は、1:1という、第1の印刷された構成要素対第2の印刷された構成要素の比率を有してよく、第2層では、第1の印刷された構成要素対第2の印刷された構成要素の比率は2:1であり、かつ、第3層では、第1の印刷された構成要素対第2の印刷された構成要素の比率は3:1でありうる。勾配は、堆積された層の平面内で印刷された液滴の配置を調節することによって、単一層の種々の部分においても形作られうる。
【0081】
図15A及び
図15Bは、複合フィーチャを有する研磨パッドのピクセルチャートを反映している、白黒のビットマップ画像である。
図15A、
図15Bでは、白色ピクセルは、材料の液滴が分配されているところを標示している一方、黒色ピクセルは、材料が分配されていないところを標示している。
図15Aは、研磨パッド用の第1材料のピクセルチャート1500aであり、
図15Bは、同じ研磨パッド用の第2材料のピクセルチャート1500bである。第1材料は、ピクセルチャート1500aに従って第1プリントヘッドにより分配されてよく、第2材料は、ピクセルチャート1500bに従って第2プリントヘッドにより分配されうる。2つのプリントヘッドは、ピクセルチャート1500a、1500bを1つに重畳させて、複数の不連続な研磨フィーチャを形成する。研磨パッドのエッジ領域付近の研磨フィーチャは、第2材料よりも第1材料を多く含む。研磨パッドの中央領域付近の研磨フィーチャは、第1材料よりも第2材料を多く含む。この例では、各研磨フィーチャは、第1材料と第2材料との独自の組成を有する。
【0082】
図16A及び
図16Bは、複合フィーチャを有する研磨パッドの概略的なピクセルチャート1600a、1600bである。
図16Aは、研磨パッド用の第1材料のピクセルチャート1600aであり、
図16Bは、同じ研磨パッド用の第2材料のピクセルチャート1600bである。
図16A、16Bによる研磨パッドは、
図16A、16Bの研磨フィーチャの方が大きいことを除いて、
図15A、15Bの研磨パッドに類似している。
【0083】
図17A及び
図17Bは、複合フィーチャを有する研磨パッドの概略的なピクセルチャート1700a、1700bである。
図17Aは、研磨パッド用の第1材料のピクセルチャート1700aであり、
図17Bは、同じ研磨パッド用の第2材料のピクセルチャート1700bである。
図17A、17Bによる研磨パッドは、研磨フィーチャの組成が、研磨パッドの端から端まで、左から右へと変動することを除いて、
図15A、15Bの研磨パッドに類似している。
【0084】
図18A及び
図18Bは、複合フィーチャを有する研磨パッドの概略的なピクセルチャート1800a、1800bである。
図18Aは、研磨パッド用の第1材料のピクセルチャート1800aであり、
図18Bは、同じ研磨パッド用の第2材料のピクセルチャート1800bである。
図18A、18Bによる研磨パッドは、
図18A、18Bの研磨フィーチャの方が大きいことを除いて、
図17A、17Bの研磨パッドに類似している。
【0085】
研磨フィーチャの組成が任意の適切なパターンで変動しうることに、留意すべきである。上述の研磨パッドは2種類の材料で形成されることが示されているが、3種類以上のフィーチャを含む複合研磨パッドも、本開示の範囲に含まれる。
【0086】
図14Aから
図14Oにおける研磨パッドといった、どの設計の研磨パッドにおいても、研磨フィーチャの組成は、
図15から
図18の研磨パッドに類似した様態で変動しうることに、留意すべきである。
【0087】
付加製造及び硬化の技法
図19には、プラテンアセンブリ1911の上方に配置されたキャリアヘッドアセンブリ1900を有する、例示的なCMPステーション1902の断面図が描かれている。キャリアヘッドアセンブリ1900は一般的に、キャリアヘッド1921に連結された駆動システム1901を備える。駆動システム1901は、キャリアヘッド1921の回転のスピード及び方向を制御するために駆動システム1901に信号を提供するコントローラ(図示せず)に、連結されうる。駆動システム1901は一般的に、キャリアヘッド1921に少なくとも回転運動を提供し、それに加えて、キャリアヘッド1921内に保持された基板1914のフィーチャ側1904が、処理中にCMPステーション1902のパッドアセンブリ1913の処理面1925に接して配置されうるように、プラテンアセンブリ1911に向かって動かされうる。典型的には、基板1914及び処理用パッドアセンブリ1913は、互いに対して回転して、基板1914のフィーチャ側1904から材料を除去する。プロセスパラメータに応じて、キャリアヘッド1921は、プラテンアセンブリ1911の回転スピードよりも速いか、遅いか、又はそれと等しい回転スピードで、回転する。キャリアヘッドアセンブリ1900は、静止したままであることも可能であり、処理中に経路内を移動しる。キャリアヘッドアセンブリ1900は、処理中に、パッドアセンブリ1913の処理面1925全体での、軌道運動又はスイープ運動も提供しうる。パッドアセンブリ1913は、接着層1906を使用してプラテンアセンブリ1911の上面に取外し可能に連結するよう、適合しうる。パッドアセンブリ1913は一般的に、処理面1925と接着層1906を含み、かつ、オプションのバッキング層1907を含みうる。
【0088】
プラテンアセンブリ1911は、プラテンアセンブリ1911がベース1908に対して回転しうるように、ベース1908上に回転式に配置され、典型的には、軸受1938によってベース1908の上に支持される。プラテンアセンブリ1911は、金属又は剛性プラスチックなどの剛性材料で製造されてよく、一実施形態では、CPVCなどの誘電体材料で製造されるか、又はコーティングされている、上面を有する。プラテンアセンブリ1911は、円形、長方形、又はその他の平面形状を有しうる。
【0089】
研磨流体が、研磨流体源1948から、好適な配管及び制御を通じて、CMPステーション1902の処理用パッドアセンブリ1913の上に配置されたノズル1917へと、提供されうる。
図19に示す実施形態では、研磨流体1941はノズル1917から提供される。研磨流体1941は、プラテンの縁部1958によって封じ込められうる。研磨流体1941は、脱イオン水(DIW)でありうるか、或いは、水(例えばDIW)、又はDIW中に混入された研磨材粒子を有するスラリで主に構成される、その他の研磨流体でありうる。
【0090】
パッドアセンブリ1913の処理面1925は、基板1914の研磨を容易にするために処理面1925の上面上に形成された、パターニングされた表面1951を更に含みうる。パターニングされた表面1951のパターンは、処理面1925の上に延在する、複数の小型突起を含みうる。これらの突起は、楕円形、円形、長方形、六角形、八角形、三角形、又はそれらの組み合わせといった、任意の幾何形状をとってよく、かつ、上述の三次元印刷プロセスによって形成されうる。パターニングされた表面1951は、パッドアセンブリ1913の処理面1925と相互作用するよう配置された調整装置1955を使用して、維持され、かつ/又は修復されうる。一実施形態では、調整装置1955は、電磁エネルギー源1959を備える。この電磁エネルギー源1959は、一実施形態ではレーザであり、電磁エネルギーの一又は複数のビーム1960を処理面1925に向けて放出するために利用される。電磁エネルギーの一又は複数のビーム1960は、処理面1925上のパターニングされた表面1951を修復するか、又は維持するために、処理面1925の複数の領域を選択的に加熱し、かつ/又は切除(ablate)するのに、利用される。一部の実施形態では、電磁エネルギー源1959は、処理面1925の不連続な領域を選択的に加熱することによってパッドアセンブリ1913の処理面1925を微調整するために、利用されうる。
【0091】
図20Aは、プラテンアセンブリ上で使用されうるパッドアセンブリ、例えば、
図19のプラテンアセンブリ1911において使用されるパッドアセンブリ1913を作るための、パッド製造システム2000Aの一実施形態の概略等角図である。一実施形態では、パッド製造システム2000Aは一般的に、送り部2002と、印刷部2004と、硬化部2006とを含む。パッド製造システム2000Aは、
図19のプラテンアセンブリ1911におけるパッドアセンブリ1913として使用されうる複数の印刷されたパッド2008を作製するために、利用される。図示していないが、パッド製造システム2000Aは、ロールツーロール研磨システムで使用するためのパッドを印刷するよう改変することもできる。
【0092】
パッド製造システム2000Aは、少なくとも2つのローラ2014の間に配置されたウェブ2012を含むコンベヤ2010も含む。2つのローラ2014の一方又は両方は、Aと表示された矢印で図示された方向にローラ2014及び/又はウェブ2012を回転させる、駆動モータ2015に連結されうる。送り部2002、印刷部2004、及び硬化部2006は、コントローラ2011に動作可能に連結されうる。コンベヤ2010は、コントローラ2011によって、連続的又は断続的に動くよう操作されうる。
【0093】
送り部2002は、コンベヤ2010に動作可能に連結されている、供給ロール2016を含みうる。供給ロール2016は、ポリマー材料、例えば二軸配向性ポリエチレンテレフタレート(BoPET)材料などのバッキング材料2017でありうる。供給ロール2016は、運動制御デバイス2020によって駆動されるか又は制御される送りローラ2018に巻き付けられうる。運動制御デバイス2020は、供給ロール2016の引き出しスピードが駆動モータ2015及び/又はウェブ2012によって駆動されるように、供給ロール2016に所定の張力を提供するモータであってよく、かつ/又は、かかるブレーキシステムを含みうる。送り部2002は、事前処理デバイス2022も含みうる。事前処理デバイス2022は、印刷部2004における印刷に先立って、バッキング材料2017上にコーティングを噴霧するか、さもなければ提供するよう、構成されうる。一部の実施形態では、事前処理デバイス2022は、印刷部2004における印刷に先立って、バッキング材料2017を加熱するために利用されうる。
【0094】
印刷部2004は、送り部2002の下流に配置された3D印刷ステーション2024を含む。印刷部2004は、一又は複数のプリントヘッド2027を利用して、バッキング材料2017上にパターニングされた表面2028を提供する。印刷部2004は、バッキング材料2017及びウェブ2012に対してプリントヘッド2027を移動させるために利用されうる運動制御デバイス2032に連結されている、可動プラットフォーム2030を含みうる。
【0095】
プリントヘッド2027は、パターニングされた表面2028を形成するために使用されうる印刷材料を有する、材料源2025に連結されうる。印刷材料は、ポリウレタン、ポリカーボネート、フルオロポリマー、PTFE、PTFA、ポリフェニレンサルファルド(PPS)、又はそれらの組み合わせといった、ポリマー材料を含みうる。例としては、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、でんぷん、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、及びそれらの組み合わせ、又は、それら以外の上述の材料のうち任意のものも、含まれる。
【0096】
一実施形態では、ポリマー材料は、バッキング材料2017上に、ベース材料として堆積されうる。形成されたポリマー材料は、開孔型又は閉孔型のポリウレタン材料を含んでよく、かつ、その内部に散在したナノスケール粒子を含みうる。この粒子は、有機ナノ粒子を含みうる。一実施形態では、ナノ粒子は、分子環又は元素環、及び/或いは、ナノ構造を含みうる。例としては、カーボンナノチューブ、及び、分子炭素環が5つの結合を有する(五方)か、6つの結合を有する(六方)か、又は6を上回る数の結合を有する、その他の構造といった、炭素(C)の同素体が含まれる。他の例は、フラーレン様超分子を含む。別の実施形態では、ナノスケール粒子は、セラミック材料、アルミナ、ガラス(例えば二酸化ケイ素(SiO
2))、及び、それらの組み合わせ又は誘導体でありうる。別の実施形態では、ナノスケール粒子は、様々な酸化物の中でも特に、チタン(IV)酸化物又は二酸化チタン(TiO
2)、ジルコニウム(IV)酸化物又は二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、それらの組み合わせ、及びそれらの誘導体といった、金属酸化物を含みうる。
【0097】
プリントヘッド2027によって形成された、パターニングされた表面2028は、ウレタン、メラミン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルアセテート、フッ化炭化水素などで形成されうるポリマーマトリクス、並びに、その混合物、共重合体、及びグラフト鎖といった、複合ベース材料を含みうる。一実施形態では、ポリマーマトリクスは、ポリエーテル系液体ウレタンで形成されうるウレタンポリマーを含む。液体ウレタンは、多官能価アミン、ジアミン、トリアミン、或いは、硬化されると尿素結合及び架橋されたポリマーネットワークを形成するウレタン/尿素架橋された組成物中のヒドロキシ/アミンなどの、多官能価ヒドロキシル化合物又は混合官能性化合物に、反応しうる。
【0098】
硬化部2006は、ハウジング2034内又はハウジング2034上に配置されうる、硬化デバイス2033を含む。ハウジング2034は、ウェブ2012と、バッキング材料2017上のパターニングされた表面2028とがその下を通りうるように、ウェブ2012の上方に配置される。硬化デバイス2033は、熱炉、紫外(UV)光放出器、又はそれらの組み合わせでありうる。一実施形態では、硬化デバイス2033は、プリントヘッド2027によって堆積され、パターニングされた表面2028を形成している材料を硬化するために使用されうる、レーザ源2036と電子ビーム放出器2038の一方又は両方を含みうる。一部の実施形態では、電子ビーム放出器が利用される場合、パッド製造システム2000Aは、圧力が制御可能な筐体の中に配置されうる。レーザ源2036及び電子ビーム放出器2038は、単独で、或いは、熱エネルギー又はUVエネルギーと組み合わされて、利用されうる。一部の実施形態では、レーザ源2036及び電子ビーム放出器2038は、パターニングされた表面2028の特定の部分をターゲットとするスポット硬化プロセスにおいて、使用されうる。レーザ源2036又は電子ビーム放出器2038によるスポットターゲット設定は、パターニングされた表面2028の不連続な領域を加熱して、不連続な領域の表面をその周辺の部分よりも硬くしうるか、又は、不連続な領域の表面の圧縮性をその周辺の部分よりも低くしうる。レーザ源2036は、パターニングされた表面2028の部分を切除して、表面上に微細なテクスチャを作り出すためにも、使用されうる。
【0099】
図20Bは、パッド製造システム2000Bという別の実施形態の概略側面図である。パッド製造システム2000Bは、
図20Aのパッド製造システム2000Aに類似していることがある、送り部2002、印刷部2004、硬化部2006を有するコンベヤ2010を含む。パッド製造システム2000Bは、ロールツーロールシステムにおいて使用される研磨用物品2029の製造で使用するための、巻き取り部2009も含みうる。巻き取り部2009は、パターニングされた表面2028が上に印刷されている研磨用物品2029が巻かれうる、巻き取りロール2040を含む。巻き取りロール2040は、パッド製造システム2000Aから取り外されて、ロールツーロールプラテンアセンブリにおける供給ロール2018として利用されうる。製造中に、巻き取りロール2040は、運動制御デバイス2042に連結されうる。運動制御デバイス2042は、巻き取りロール2040の巻きスピードを制御する、モータであってよく、かつ/又は、かかるブレーキシステムを含みうる。一部の実施形態では、パッド製造システム2000Bは、
図19のプラテンアセンブリ1911におけるパッドアセンブリ1913として使用されうる複数の印刷されたパッド2008(
図20Aに示す)を印刷するために、利用される。
【0100】
パッド製造システム2000Bは、コンベヤ2010の上方で巻き取りロール2040へと動くウェブ2012を制御可能に引き出す、供給ロール2016を含む。ウェブ2012は、
図20Aで説明したバッキング材料2017に類似したバッキング材料でありうる。ウェブ2012、並びに、コンベヤ2010及び巻き取りロール2040の運動は、
図20Aで説明したパッド製造システム2000Aに類似した運動制御デバイス及びコントローラによって制御されてよく、
図20Bでは、簡潔にするためにその説明を省略する。
【0101】
パッド製造システム2000Bは、送り部2002と印刷部2004との間に配置された、オプションの事前処理部2044を含む。事前処理部2044は、ウェブ2012上に接着層又は剥離層を形成するために使用されうる。代替的には、接着層又は剥離層は、3D印刷ステーション2024を使用して、印刷部2004で形成されうる。事前処理部2044が使用される場合、スロット/ダイコーター2046が、ウェブ2012上に一又は複数の層を堆積させるために使用されうる。加えて、UV光又は加熱要素を利用する硬化ステーション2048が、スロット/ダイコーター2046によって堆積された材料を硬化させるために使用されうる。
【0102】
この実施形態では、3D印刷ステーション2024は、プリントヘッド2026のアレイを備える。プリントヘッド2026は、ウェブ2012上に接着層又は剥離層をオプションで形成するため、並びに、ウェブ2012上にパターニングされた表面2028を形成するために、使用されうる。一例では、プリントヘッド2027の複数の横列及び縦列は、コンベヤ2010の幅、及び、コンベヤ2010の長さの一部分の範囲に広がりうる。一部の実施形態では、プリントヘッド2026のうちの一又は複数は、コンベヤ2010に対して可動式でありうる。プリントヘッド2026は、
図20Aで説明したように、材料源2025に連結されることになる。
【0103】
硬化部2006は、オプションの電磁エネルギー源2050と熱硬化デバイス2052の一方又は両方を含みうる。電磁エネルギー源2050は、
図20Aで説明したレーザ源か電磁ビーム放出器の一方、又はそれらの組み合わせでありうる。熱硬化デバイス2052は、炉又はUV光アレイでありうる。
【0104】
パッド巻き取り部2009は、研磨用物品2028が巻かれうる巻き取りロール2040を含む。巻き取りロール2040は、パッド製造システム2000Aから取り外されて、ロールツーロールプラテンアセンブリにおける供給ロールとして利用されうる。
【0105】
図21Aは、
図20Aのパッド製造システム2000A、又は、
図20Bのパッド製造システム2000Bで使用されうる、3D印刷ステーション2024Aの一実施形態の概略断面図である。
図21Aは、3D印刷プロセスを使用して製造される研磨パッド2102の一実施形態の一部分を示している。研磨パッド2102は、
図19に記載のパッドアセンブリ1913であるか、印刷されたパッド2008(
図20Aに示す)であるか、又は、研磨用物品2029(
図20Bに示す)でありうる。3D印刷は、研磨層の中の特定の場所に研磨材が埋めこまれている研磨用物品を作製するための、使いやすく、高度に制御可能なプロセスを供与する。研磨パッド2102は、
図20Aのバッキング材料2017、又は
図20Bのウェブ2012でありうる支持体2100上に、印刷されうる。
【0106】
図21Aを参照するに、研磨パッド2102の少なくとも研磨層2105は、3D印刷プロセスを使用して製造される。この製造プロセスでは、材料の薄層が支持体2100上で漸進的に堆積され、溶解すると同時に、支持体は、Aで示す矢印に沿って(X方向に)移動する。例えば、(
図20Aの材料源2025からの)パッド前駆体材料の液滴2110が、液滴噴射プリンタ2115のノズル2126から噴射されて、複数の層2120A、2120B、及び2122を形成しうる。上記の層は、パッド前駆体材料を含む固化された材料2125を形作ることが可能であり、上記の層の上に他の層を逐次的に堆積することを可能にする。液滴噴射プリンタ2115はインクジェットプリンタに類似していることがあるが、インクではなくパッド前駆体材料を使用する。製造中、ノズル2126がX方向とY方向の一方又は両方に平行移動しうると同時に、支持体2100は、X方向に連続的又は断続的に移動する。
【0107】
一例では、第1層2120Aが支持体2100上に、液滴2110の噴射によって堆積されうる。層2120B及び2122などの後続の層(それらの間の他の層については、簡潔にするために記載しない)は、固化後の第1層2120A上に堆積可能である。各層が固化した後、次いで、3次元研磨層2105が完全に製造されるまで、既に堆積された層の上に新たな層が堆積される。固化は重合によって実現可能である。例えば、パッド前駆体材料の層はモノマーであってよく、このモノマーは、UV硬化よって又は熱的に、インシトゥ(その場)で重合されることが可能である。パッド前駆体材料は堆積直後に有効に硬化されうるか、又は、パッド前駆体材料の層全体が堆積されてから、堆積された層の全てが一度に硬化されうる。
【0108】
各層は、コンピュータ2111に提供される3D描画コンピュータプログラムに保存されたパターンで、ノズル2126によって付着させられうる。各層2120A、2120B、及び2122は、研磨層2105の総厚の50%未満であるか、又はそれを下回りうる。一例では、各層2120A、2120B、及び2122は、研磨層2105の総厚の10%未満、例えば5%未満(研磨層2105の総厚の約1%未満など)でありうる。一実施形態では、各層の厚さは、約30ミクロン〜約60ミクロン、又はそれを下回る厚さを、例えばナノメートル(1〜100ナノメートル等)、及びピコスケール寸法((10
-12メートル等)ですらあるオーダーで、含みうる。
【0109】
支持体2100は、剛性ベース、又は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の層などの可撓性フィルムでありうる。支持体2100がフィルムである場合には、支持体2100はオプションで研磨パッド2102の一部分を形成しうる。例えば、支持体2100はバッキング層2017でありうるか、又はバッキング層2017と研磨層2105との間の層でありうる。代替的には、研磨層2105は支持体2100から取り外すことが可能であり、層2120A及び2120Bがバッキング層材料を形成しうる。
【0110】
一部の実施形態では、研磨材粒子は、パッド前駆体材料の液滴2110中に分散していることがある。研磨材粒子は、層の各々の形成中に、研磨層2105内に局所的に分配されうる。研磨材粒子の局所的分配は、凝集の最小化を支援しうる。一部の実施形態では、研磨材粒子は、液体熱硬化ポリマー前駆体と事前混合されうる。熱硬化ポリマー前駆体と研磨材粒子との混合物を継続的にかき混ぜることは、インクジェットプリンタで用いられるインクピグメントを均質化させるために使用される装置と同様に、粒子の凝集を防止する。加えて、混合物を連続的にかき混ぜることで、前駆体材料における研磨材粒子のほぼ均一な分布が確保される。これにより、研磨層全体での粒子のより均一な分布をもたらすことが可能であり、そのことが、研磨均一性の向上につながりうると共に、凝集の回避にも役立ちうる。
【0111】
事前混合された混合物は、特定のパターンに従って、単一のノズル(例えばノズル2126)から分配されうる。例えば、事前混合された混合物は、研磨層2105の厚さ全体にわたって埋めこまれた研磨材粒子が均一に分布している均質的な研磨層2105を作製するために、均一に分配されうる。
【0112】
図21Bは、
図20Aのパッド製造システム2000A、又は、
図20Bのパッド製造システム2000Bで使用されうる、3D印刷ステーション2024Bの一実施形態の概略断面図である。
図21Bは、3D印刷プロセスを使用して製造される研磨パッド2132という別の実施形態の一部分の断面図を示している。研磨パッド2132は、
図19に記載のパッドアセンブリ1913であるか、印刷されたパッド2008(
図20Aに示す)であるか、又は、研磨用物品2029(
図20Bに示す)でありうる。
【0113】
図21Bに示すように、研磨パッド2132は、CADプログラムからの指令に基づいて溝2155によって隔てられた複数の構造物2150を含むよう、液滴噴射プリンタ2115によって形成される。構造物2150及び溝2155が、研磨層2105を形成しうる。液滴噴射プリンタ2115によって、研磨用物品と共に副層(sublayer)2130も形成されうる。副層2130は、(
図20Aに示す)バッキング材料2017でありうる。例えば、副層2130と研磨層2105は、液滴噴射プリンタ2115によって、連続工程で製造されることもある。副層2130には、異なる前駆体及び/又は異なる硬化量、例えば、異なるUV放射強度又はUV放射期間を使用することによって、研磨層2105とは異なる硬度が与えられうる。他の実施形態では、副層2130は、従来型のプロセスによって製造されてから、研磨層2105に固定される。例えば、研磨層2105は、感圧接着剤などの薄型接着層によって、副層2130に固定されうる。
【0114】
図21Bでは、ノズル2135を有するプリントヘッド2126Aが、純液体熱硬化ポリマー前駆体を分配するために使用されうる一方、ノズル2135を有するプリントヘッド2126Bは、研磨材粒子2145が含有されている、液体熱硬化ポリマー前駆体又は溶融熱可塑性プラスチックに対して使用されうる。研磨材粒子2145の液滴2140は、研磨パッド2132上の選択された場所にのみ分配されうる。これらの選択された場所は、集合的に研磨材粒子のターゲット印刷パターンを形成しており、液滴噴射プリンタ2115を制御する電子コントローラ(例えばコントローラ2111)によって後に読み込まれる、CAD適合ファイルとして保存されうる。電子制御信号が次いで、CAD適合ファイルによって特定された位置にノズル2135が平行移動した時にだけ事前混合された混合物を分配するために、液滴噴射プリンタ2115に送信される。
【0115】
代替的には、液体熱硬化ポリマー前駆体を使用する代わりに、研磨材粒子2145は溶融熱可塑性プラスチックと事前混合されうる。この実施形態では、研磨材粒子2145との混合物は、分配に先立って、同様に継続的にかき混ぜられる。混合物がターゲット印刷パターンに従って液滴噴射プリンタ2115から分配された後に、混合物の溶融した部分は冷えて固化し、研磨材粒子2145が定位置に固まる。混合物を連続的にかき混ぜることで、前駆体材料における研磨材粒子2145のほぼ均一な分布が確保される。これにより、研磨層全体での粒子2145のより均一な分布をもたらすことが可能であり、そのことが、研磨均一性の向上につながりうると共に、凝集を最小化しうる。
【0116】
液体熱硬化ポリマー前駆体が使用される場合と同様に、熱可塑性プラスチック混合物は、均一に分配されて、研磨層2105全体にわたる研磨材粒子2145の均一な分布を発生させうる。代替的には、研磨材粒子を含有する熱可塑性プラスチック混合物は、CAD適合ファイルとして保存されており、かつ、液滴噴射プリンタ2115を駆動させるために使用される電子コントローラによって読み出される、研磨材粒子2145のターゲット印刷パターンに従って、研磨層2105の選択された場所にのみ分配されうる。
【0117】
研磨材粒子は、プリントヘッド2126Bに連結されたノズル2135から懸濁液中の研磨材粒子を分配するのではなく、プリントヘッド2126Bのノズル2135から粉末形態で直接分配されうる一方、プリントヘッド2126Aのノズル2135は、パッドポリマー前駆体を分配するために使用される。一実施形態では、このポリマー前駆体は、堆積されたポリマー材料に研磨材粒子2145が分配される前に分配され、この混合物はその後に硬化される。
【0118】
3D印刷は、凝集する傾向がある研磨材粒子2145、例えばアルミナやセリア等を使用する研磨パッド2132を構築するために、部分的に役立つが、この手法は、上記以外の研磨材粒子を分配するためにも、使用されうる。ゆえに、研磨材粒子は、シリカ、セラミック酸化物、金属、及び硬性ポリマーを含みうる。
【0119】
液滴噴射プリンタ2115は、固体か、中空コアを有する粒子2145のいずれかである粒子2145を堆積させうる。液滴噴射プリンタ2115は、様々な種類の粒子を分配することもできる。一部の種類の粒子は、CMP処理中に化学反応して、研磨パッド2132の一又は複数の層にターゲット変化を発生させうると共に、研磨されている基板との化学反応も発生させうる。CMP処理中に使用される化学反応の例は、水酸化カリウムと水酸化アンモニウムのうちの一又は複数を伴う、10〜14の塩基性pH範囲内で生じる化学過程、及び、スラリ製造業者によって使用される他の専有的な化学過程を含む。酢酸やクエン酸などの有機酸を伴う、2〜5の酸性pH範囲内で生じる化学過程も、CMP処理において使用される。過酸化水素を伴う酸化反応も、CMP処理で使用される化学反応の例である。研磨材粒子2145は、機械的研磨作用を提供するためにも使用されうる。粒子2145は、10ミクロン以下(例えば1ミクロン以下)などの、最大1ミリメートル、又はそれ未満のサイズを有しうる。粒子2145は種々の形態を有しうる。例えば粒子2145は、球形、細長形状、又は、ファセット形状でありうる。
【0120】
3D印刷手法は、研磨層2105のパターンにおける厳密な公差を実現すること、及び、層毎印刷手法によって研磨層2105内に埋めこまれる研磨材粒子2145の分布における許容誤差を大きくすることを、可能にする。
【0121】
研磨パッド
図22は、
図19に記載のパッドアセンブリ1913として、印刷されたパッド2008(
図20Aに示す)として、又は、研磨用物品2029(
図20Bに示す)として使用されうる、研磨パッド2200の一実施形態の一部分を示している。研磨パッド2200は、
図20A及び
図20Bのパターニングされた表面2028を形成する研磨面2205を含む。研磨面2205は、研磨材料2270内に形成された複数のポア2232を含む。研磨材料2270は、CMPプロセスで使用される化学的要素及び物理的要素に対する耐性で選ばれる適切な接着剤2219によって、バッキング材料2222に接合されうる。研磨パッド2200内のポア2232は、実質的に円形又は楕円形であるが、円錐又は中空の円錐台(すなわち、実質的に平行な2平面間の円錐)といった、他の環状の幾何形状を含みうる。研磨パッド2200は、また、
図14Aから
図14Oに示した研磨パッド設計、又は本書に記載の他の設計のいずれにも合致するように、形成されうる。
【0122】
一実施形態では、ポア2232は、スラリの保持を強化し、研磨パッド2200の巻きを支援するようサイズ決定され、かつ/又は離間している、中空(すなわち空間)でありうる。他の実施形態では、ポア2232は、研磨材料2270(第2材料2212)とは異なる第1材料2210で、少なくとも部分的に充填されうる。第1材料2210は、第2材料2212と比較すると、硬化方法に対する反応性が異なっている、ポリマー材料でありうる。例えば、一実施形態では、第2材料2212はUVエネルギーで硬化可能でありうるが、第1材料2210は、UVエネルギーによる影響をあまり受けない。しかし第1材料2210は、一実施形態では、熱的に硬化されうる。他の実施形態では、第1材料2210と第2物質2212とは、異なる速度で硬化されうる。一実施形態では、研磨パッド2200は、第1材料2210と第2材料2212とを使用して、別様に硬化されうる。別様な硬化の一例では、研磨パッド2200の第1材料2210及び第2材料2212が、第1材料2210を硬化させないUVエネルギーで硬化されうる。これにより、第2材料2212は第1材料2210よりも硬くなりうる。第1材料2210は第2材料2212よりも粘性が高くなることから、第1材料710が、研磨パッド2200に圧縮性及び/又は可撓性を付加しうる。
【0123】
一実施形態では、第1材料2210は、熱的に硬化されて、第1材料2210が内部に配置されているポア2232をより固くするが、それでも第2材料2212よりは柔らかく、圧縮性が高い。別の実施形態では、ポア2232内の第1材料2210は、基板研磨プロセス中に摩擦で発生する熱によって、熱的に硬化される。この実施形態では、第1材料2210は、硬化されて第2材料2212よりも硬くなり、ひいては、周辺の第2材料2212よりも硬い、研磨面2205上のドメインを形成しうる。
【0124】
他の実施形態では、第1材料2210は、第2材料2212と比較すると、磁気エネルギー源1958(
図19に示す)からのエネルギーの一又は複数のビームなどの、磁気エネルギーとの反応性が異なりうる。この異なる反応性が、研磨面2205上にマイクロテクスチャを形成するために使用されうる。第1材料2210と第2材料2212との間で異なるこの反応性は、第1材料2210が第2材料2212よりも速い速度で切除されること、又はその逆を、もたらしうる。ポア2232は、研磨パッド2200の研磨面2205の中にミクロンサイズ又はナノサイズのドメインを形成する、ミクロンサイズ又はナノサイズの材料でありうる。一実施形態では、ポア2232は、約150ミクロン〜約10ミクロン未満、又はそれを下回る平均径を含みうる。
【0125】
本開示の一実施形態は、複合パッド本体を含む研磨パッドを提供する。この複合パッド本体は、第1ポリマー材料で形成された一又は複数の第1フィーチャと、第2ポリマー材料で形成された一又は複数の第2フィーチャとを含む。一又は複数の第1フィーチャ及び一又は複数の第2フィーチャは、第1ポリマー材料及び第2ポリマー材料を含む複数の層を堆積させることによって、形成される。第1フィーチャか第2フィーチャの一方は、それらの間で異なる硬度又は他の有用な材料特性を提供するために、別様に硬化される。一実施形態では、一又は複数の第1フィーチャと一又は複数の第2フィーチャとが、パッド本体全体に交互に配置される。一実施形態では、複合パッド本体の上面上に溝及び/又はチャネルが形成されるように、一又は複数の第1フィーチャは一又は複数の第2フィーチャよりも厚い。一実施形態では、一又は複数の第1フィーチャは、一又は複数の第2フィーチャによって隔てられた、複数の同心リングを備える。一実施形態では、一又は複数の第1フィーチャは、一又は複数の第2フィーチャによって囲まれた、複数の柱状体を備える。一実施形態では、一又は複数の第1フィーチャ及び一又は複数の第2フィーチャは3D印刷によって形成される。一実施形態では、研磨パッドは、エッジで1つにまとめられた2つ以上の複合パッド本体を更に含む。一実施形態では、研磨パッドは、サブパッド本体を更に含み、複合パッド本体がサブパッド本体の上に形成される。一実施形態では、一又は複数の第1フィーチャは、第3材料が内部に配置されているポアを備える。第3材料は、熱的に硬化される材料である。一実施形態では、第1ポリマー材料は第1のヤング率を有し、第2ポリマー材料は第2のヤング率を有する。一実施形態では、第1材料は第2材料よりも高い弾性率を有する。
【0126】
本書に記載の研磨パッドは円形であるが、本開示による研磨粒子は、研磨中に線形に移動するよう構成された研磨ウェブなどの、任意の適切な形状を含みうる。
【0127】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。