(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるLED組み立て方法について、添付図面を参照して、詳細に説明する。
【0013】
先ず、本発明のLED組み立て方法を実施するに際し、エピタキシー基板の上面にバッファー層を介してLED層を積層し、所定の間隔をもって区画された領域に赤、緑、青のいずれかのLEDを表面に備えた3種類のLED基板を準備するLED基板準備工程を実施すると共に、赤、緑、青のLEDを収容する収容領域を有するモジュールチップが分割予定ラインによって区画され
た上面に複数形成されたモジュール基板を準備するモジュール基板準備工程を実施する。
【0014】
図1には、モジュール基板準備工程によって準備されるモジュール基板10が示されており、モジュール基板10は、略円板形状をなし(
図1(a))、裏面10b側を粘着テープTに貼着し、粘着テープTを介して環状のフレームFに保持される(
図1(b))。モジュール基板10は、直径4インチ≒100mmで形成され、分割予定ラインによって格子状に区画された表面10a側の各領域に平面視で直方形をなすモジュールチップ12が形成されている。モジュール基板10に形成される各モジュールチップ12は、図中にモジュール基板10の一部を拡大して示すように、長手方向に隣接して形成された赤色LEDを収容する矩形状の開口を有する凹部からなる収容領域121と、緑色LEDを収容する矩形状の開口を有する凹部からなる収容領域122と、青色LEDを収容する矩形状の開口部を有する凹部からなる収容領域123とを少なくとも備え、各収容領域121〜123の各底部には、後述するLEDを収容した際に各LEDのアノード電極、カソード電極が接続される金(Au)から構成されたバンプ124が2ずつ配設されている。
【0015】
モジュールチップ12の各収容領域121〜123に長手方向で隣接する上面には、各収容領域121〜123に配設された該バンプ124、124と導通する電極125が6つ設けられており、該電極125からバンプ124、124を介して各収容領域121〜123に収容されるLEDに電力が供給される構造となっている。該モジュールチップ12の外径寸法は、平面視で長手方向が40μm、短手方向が10μm程度の大きさで形成され、各収容領域の開口は、1辺が9μmの正方形で形成される。なお、
図1のモジュール基板10上に表現されているモジュールチップ12は、説明の都合上、実寸法よりも大きく記載されており、実際は図示されているよりも極めて小さく、より多くのモジュールチップ12がモジュール基板10上に形成される。
【0016】
図2(a)〜(c)には、本発明のLED基板準備工程で準備される赤色LED21が形成されるLED基板20、緑色LED23が形成されるLED基板22、青色LED25が形成されるLED基板24と、それぞれの一部拡大断面
図A−A、B−B、C−Cが示されている。各LED基板20、22、24は図に示すように、略円板状をなし、モジュール基板10と略同一の寸法(直径4インチ≒100mm)で構成されている。各LED基板20、22、24は、いずれもサファイア基板、又はSiC基板等のエピタキシー基板201、221、241の上面に、Ga化合物(例えば、窒化ガリウム:GaN)からなるバッファー層BFを介して赤色に発光をするLED21、緑色に発光をするLED23、青色に発光するLED25(以下LED21を赤色LED21、LED23を緑色LED23、LED25を青色LED25という。)を構成するLED層が形成されている。該赤色LED21、緑色LED23、青色LED25は、個々の寸法が平面視で8μm×8μmの寸法で形成され、N型半導体層、発光層、P型半導体層からなるエピタキシャル層と、該エピタキシャル層の上面に配設されるP型半導体、N型半導体からなる電極とによって構成される(図示は省略する。)。各LED基板20、22、24においては隣接するLEDが、所定の間隔202、222、242をもって区画されて形成されており、各LED間を構成する所定の間隔202、222、242が形成されている領域は、該LED層を形成する際にマスクされていることからバッファー層BFが露出している状態となっている。
【0017】
各LED基板20、22、24の外周には、結晶方位を示す直線部分、所謂オリエンテーションフラットOFが形成されており、LED基板20、22、24の上面に形成される赤色LED21、緑色LED23、青色LED25は、該結晶方位を基準にして所定の方向に配列される。赤色LED21、緑色LED23、青色LED25における赤色、緑色、青色の発光は、発光層を構成する材料を変更することにより得ることが知られており、例えば、赤色LED21はアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、緑色LED23はリン化ガリウム(GaP)、青色LED25は窒化ガリウム(GaN)が使用される。なお、本発明の赤色LED21、緑色LED23、青色LED25を形成する材料はこれに限定されず、各色を発光させるための公知の材料を採用することができ、他の材料を用いて各色を発光させることも可能である。また、本実施形態では、
図2(b)、(c)に示すように、緑色LED23、青色LED25を表面に備えたLED基板22、24は、後述するLED収容工程の際に、緑色LED23、青色LED25が、先にモジュールチップ12に収容される赤色LED21と重ならないように所定の間隔を開けてLED基板22、24の表面に形成される。この点については、追って詳述する。
【0018】
図3〜8に基づいて、上記準備工程に続く後の工程について説明する。上記LED基板準備工程、モジュール基板準備工程を実施したならば、
図3に示すレーザー加工装置40を使用して、該LED基板20、22、24の赤色LED21、緑色LED23、青色LED25を該モジュールチップ12の所定の収容領域121〜123に位置付ける位置付け工程と、各LEDを該エピタキシー基板201、221、241から剥離して該モジュールチップの赤、緑、青のLEDが収容される所定の収容領域121〜123に各LEDを収容するLED収容工程を実施する。
【0019】
図3を参照しながら、レーザー加工装置40について説明する。図に示すレーザー加工装置40は、基台41と、モジュール基板10を保持する保持手段42と、保持手段42を移動させる移動手段43と、レーザー光線を照射するレーザー光線照射手段44と、基台41の上面から上方に延び、次いで実質上水平に延びる該レーザー光線照射手段44が内蔵された枠体45と、後述するコンピュータにより構成される制御手段と、を備え、該制御手段により各手段が制御されるように構成されている。また、水平に延びる該枠体45の先端部の下面には、レーザー光線照射手段44を構成するfθレンズを含む集光器44aと、該集光器44aに対して図中矢印Xで示す方向に並び隣接して配設された、LED基板保持手段50と、被加工物の加工領域を撮像するための撮像手段48が配設されている。
【0020】
保持手段42は、図中に矢印Xで示すX方向において移動自在に基台41に搭載された矩形状のX方向可動板60と、図中に矢印Yで示すY方向において移動自在にX方向可動板60に搭載された矩形状のY方向可動板61と、Y方向可動板61の上面に固定された円筒状の支柱62と、支柱62の上端に固定された矩形状のカバー板63とを含む。カバー板63には該カバー板63上に形成された長穴を通って上方に延びる円形状の被加工物を保持する保持テーブル64が配設されている。被加工物は、該保持テーブル64の上面を構成する図示しない吸引手段に接続された吸着チャックによって吸引保持される。なお、本実施形態でいうX方向とは
図3に矢印Xで示す方向であり、Y方向は
図3に矢印Yで示す方向であってX方向に直交する方向である。X方向、Y方向で規定される平面は実質上水平である。
【0021】
移動手段43は、X方向移動手段80と、Y方向移動手段82と、を含む。X方向移動手段80は、X方向移動手段80は、モータの回転運動を直線運動に変換してX方向可動板60に伝達し、基台41上の案内レールに沿ってX方向可動板60をX方向において進退させる。Y方向移動手段82は、モータの回転運動を直線運動に変換し、Y方向可動板61に伝達し、X方向可動板60上の案内レールに沿ってY方向可動板61をY方向において進退させる。なお、図示は省略するが、X方向移動手段80、Y方向移動手段82には、それぞれ位置検出手段が配設されており、保持テーブルのX方向の位置、Y方向の位置、周方向の回転位置が正確に検出され、後述する制御手段から指示される信号に基づいてX方向移動手段80、Y方向移動手段82が駆動され、任意の位置および角度に上記保持テーブルを正確に位置付けることが可能になっている。
【0022】
該撮像手段48は、顕微鏡を構成する光学系と撮像素子(CCD)を備えており、撮像した画像信号を該制御手段に送り、図示しない表示手段に表示することが可能に構成されている。なお、制御手段は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略する。)。
【0023】
LED基板保持手段50について、
図4を参照しながら詳細に説明する。
図4(a)に示すように、LED基板保持手段50は、基板保持リング52と、基板保持リング52を支持する保持アーム54とから構成されており、該保持アーム54は、水平に延びる該枠体45の先端部の下面に配設された保持基体56に、保持基体56の開口孔56aを介して保持基体56に内蔵された駆動手段(図示は省略する。)に連結されている。基板保持リング52は、LED基板の寸法に合わせて形成された環状の開口部58を有しており、内側には、LED基板が載置される環状の段差部52aが基板保持リング52の内側に沿って配設されている。段差部52aの上面には、載置されるLED基板を吸引保持するための吸引孔52bが周方向に所定の間隔をおいて複数配設されており、LED基板20を保持する場合には、例えば、
図4(b)に示すように、開口部58に対してLED基板20の表面20aを上方に向けて位置付け、段差部52a上に載置する。この際、基板保持リング52に形成された直線部52cに、LED基板20のオリエンテーションフラットOFを対向させて位置付けて載置することで、基板保持手段52に保持されるLED基板の方向を正確に規定することが可能である。吸引孔52bは、基板保持リング52、及び保持アーム54の内部に形成された吸引通路を介して図示しない吸引手段に連結されており、該吸引手段を作動させることにより、LED基板20を吸引保持する。
【0024】
LED基板20を保持した基板保持リング52は、保持アーム54を該保持基体56に配設された該駆動手段により、
図4(c)の矢印54aで示す方向に回転させることが可能になっており、LED基板20の表面20a、裏面20bのいずれをも上方に向けることができる。さらに、基板保持リング52は、上記制御手段の指令により、矢印54bで示す上下方向に移動させることが可能に構成され、所望の高さ位置に正確に制御することが可能になっている。
【0025】
図5に拡大して示すレーザー光線照射手段44の集光器44aは、fθレンズにより構成されている。また、該集光器44aから照射されるレーザー光線LBの照射位置は、レーザー光線照射手段44に配設されるレーザー光線発振器、該レーザー光線発振器から発振されたレーザー光の方向を変換する反射ミラー、及び該反射ミラーから反射されたレーザー光の照射方向を集光器44aのfθレンズの所定の位置に向けて調整するガルバノミラー等から構成されている。該ガルバノミラーの方向を適宜制御することにより、集光器44aの直下に位置付けられる基板保持リング52に保持されるLED基板の所望の位置にレーザー光線LBを照射することが可能に構成されており、
図5が記載される紙面に垂直なY方向、紙面の左右方向を示すX方向にその照射位置を制御することが可能になっている。
【0026】
レーザー加工装置40は、概ね上述したとおりの構成を備えており、さらに
図6〜8も参照しながらレーザー加工装置40を用いた上記位置付け工程、及びLED収容工程について説明する。
【0027】
先ず、
図3に示すレーザー加工装置40における保持テーブル64を、移動手段43を作動することにより、図中手前側の基板搭載領域に移動させた状態とする。保持テーブル64を
図3で示す位置に移動させたならば、保持テーブル64の上面に、粘着テープTを介してフレームFにより保持されたモジュール基板10の表面10aを上方に、裏面10b側を下方にして載置し、図示しない吸引手段を作動させて、保持テーブル64上に吸引保持する。モジュール基板10を保持テーブル64に吸引保持し該フレームFを保持テーブル64の外周に配設されるクランプ機構等により固定したならば、保持テーブル64上に吸引保持したモジュール基板10を、上記した撮像手段48を用いて撮像し、レーザー光線照射手段44の集光器44aと、モジュール基板10の位置との位置合わせを行うアライメントを実行する。該アライメントを実行して両者の位置合わせが完了したならば、図示しない制御手段の指令により基板保持リング52の上下方向の位置を制御して下方に下げ、LED基板保持手段50を
図4(a)で示す状態とし、赤色LED21が形成されたLED基板20を基板保持リング52の段差部52aに載置する。なお、上述したように、LED基板20を基板保持リング52に保持する際には、LED基板20のオリエンテーションフラットOFを、基板保持リング52の直線部52cに位置付けて載置することにより基板保持リング52に対して所望の方向に正確に位置付けられる(
図4(b)を参照。)。
【0028】
該段差部52aにLED基板20を載置したならば、図示しない吸引手段を作動させて吸引孔52bから吸引しLED基板20を吸引保持状態とする。LED基板20を基板保持リング52に吸引保持したならば、保持基体56の駆動手段を作動させて基板保持リング52を
図4(c)に示すように図中矢印54aの方向に180°回転させてLED基板20の裏面20b側を上方に露出させ、赤色LED21が形成された表面20aが下方を向くように方向を転換する。LED基板20をこのように回転させたならば、該アライメントを実行したことによって得た位置情報に基づき、移動手段43を作動して、保持テーブル64を集光器44a、及び基板保持リング52の直下に位置付ける(
図5を参照。)。そして、保持テーブル64が基板保持リング52の直下に移動させられたならば、保持テーブル64の高さ位置よりも所定量高い位置に移動させられている基板保持リング52を下降させる。このとき、基板保持リング52を下降させることにより、LED基板20とモジュール基板10とを側方から見た位置関係をより具体的に示す
図6(a)から理解されるように、LED基板20をモジュール基板10の表面10aに近接させることにより、LED基板20の赤色LED21aの直下に、モジュールチップ12aの収容領域121が近接して位置付けられる。これが本発明の位置付け工程となる。なお、
図6〜8では該LED基板20、22、24を保持する基板保持リング52は説明の都合上省略されている。
【0029】
該位置付け工程により、モジュールチップ12aの収容領域121の直上に、LED基板20の赤色LED21aに位置付けて、赤色LED21aを近接させたならば、レーザー光線照射手段44を作動して、赤色LED21aを該収容領域121に収容する収容工程を実施する。より具体的には、該制御手段からの指令によりレーザー光線照射手段44の図示しないレーザー発振器、及びガルバノミラーの位置を制御して、fθレンズに対する入射位置を調整し、LED基板20の裏面20b側から、エピタキシー基板201に対しては透過性を有し、該バッファー層BFに対しては吸収性を有する波長(例えば、257nm、又は266nm)のレーザー光線LBが、ターゲットとなる赤色LED21aの裏面に位置するバッファー層BFに向けて照射される。これにより、バッファー層BFが破壊されて、エピタキシー基板201と、赤色LED21aとの境界面にガス層が形成され、該赤色LED21がエピタキシー基板201から剥離される。
【0030】
LED基板20から剥離された赤色LED21aは、LED基板20から剥離される前の状態で、既にモジュールチップ12の該収容領域121に極めて近接しており、剥離された時点で該収容領域121に収容される。なお、該レーザー光線LBのスポット径は適宜調整が可能である。例えば、該赤色LED21aのバッファー層BFが形成された裏面側全面を覆うスポット径(例えば、8〜9μm)であれば1回のパルスレーザー光線によって剥離が可能であり、また、それよりも小さいスポット径(例えば、4μm)のパルスレーザー光線であれば、赤色LED21aの裏面にあるバッファー層BFの全面を破壊するようにfθレンズに入射されるレーザー光線の入射位置を変えて、4回のパルスレーザー光線を照射するによって、赤色LED21aを剥離することができる。
【0031】
赤色LED21aをLED基板20から剥離してモジュールチップ12aの収容領域121に収容したならば、レーザー加工装置40のX方向移動手段80を作動してモジュール基板10を、
図6(b)にて矢印で示す方向に所定量移動し、次のモジュールチップ12bにおいて赤色LED21bを収容するための収容領域121を、次の赤色LED21bの直下に位置付ける(位置付け工程)。モジュールチップ12bの収容領域121を、赤色LED21bの直下に位置付けたならば、該制御手段からの指令により、レーザー光線照射手段のガルバノミラーの向きが調整され、レーザー光線LBの照射位置が変更されて、赤色LED21bの裏面に位置するバッファー層BFに照射される。これにより、赤色LED21bの裏面に位置するバッファー層BFが破壊され、赤色LED21aと同様にLED基板20から赤色LED21bが剥離され、モジュールチップ12bの収容領域121に赤色LED21bが収容される(LED収容工程)。さらに、上記と同様の工程を実行することにより、モジュールチップ12bに隣接して形成されているモジュールチップ12cの収容領域121に、次の赤色LED21cが収容される。このようにしてX方向に配列された全てのモジュールチップ12に対して赤色LED21を収容したならば、モジュール基板10をY方向にインデックス送りして再度X方向に配列された全てのモジュールチップ12の収容領域121に対してLED基板20上の赤色LED21を収容する。このような位置付け工程、LED収容工程を繰り返すことで、モジュール基板10上の全てのモジュールチップ12の収容領域121に対して赤色LED21が収容される。
図6(b)に記載されたモジュールチップ12aを参照することで理解されるように、モジュールチップ12に収容されるLED21は、モジュールチップ12の表面から上方に突出した状態となる。なお、赤色LED21が各モジュールチップ12の収容領域121に収容されることで、赤色LED21上のP型半導体、N型半導体からなる電極が、収容領域121の底部に形成されているバンプ124、124に当接するが、両者は赤色LED21に付与される超音波振動によって溶着結合されてもよいし、予めバンプ124、124の先端部に塗布された導電性のボンド材によって結合させてもよい。
【0032】
モジュール基板10上に形成された全てのモジュールチップ12に赤色LED21を収容したならば、次に緑色LED23を各モジュールチップ12の所定の収容領域122に収容するための位置付け工程、及び収容工程を実施する。上述したように全てのモジュールチップ12に対し赤色LED21を収容した後、基板保持リング52を上昇させ、LED基板20を基板保持リング52から取り外す。そして、
図4(a)に示すように、緑色LED23が配設されたLED基板22を基板保持リング52に保持させる。基板保持リング52にLED基板22を載置し吸引保持する工程は上述したLED基板20を保持する手順と全く同一であるので、ここではその詳細については省略する。基板保持リング52にLED基板22を吸引保持したならば、
図4(c)に示す動作と同様にして、基板保持リング52を回転させてLED基板22の裏面22b側が上方に露出するように、すなわち表面22a側が下方を向くように方向を転換する。そして、改めて移動手段43を作動してモジュール基板10をLED基板22の直下に位置付ける。この際、モジュール基板10は、モジュールチップ12aに形成された収容領域122がLED基板22の所定の緑色LED23aの直下に位置付けられる。そして、モジュール基板10がLED基板22の直下に移動させられたならば、保持テーブル64の高さ位置よりも所定量高い位置に移動させられている基板保持リング52を下降させることにより、LED基板22がモジュール基板10の表面10aに近接させられる(位置付け工程)。
【0033】
本実施形態におけるLED基板22の詳細についてさらに説明する。
図7に記載されたLED基板22の記載から理解されるように、LED基板22に配設された緑色LED23は、所定の間隔222を開けて配設されており、
図6に示すLED基板20に配設された赤色LED21の所定の間隔202よりも広く形成されている。ここで、LED基板22における上記所定の間隔は、
図7(a)に示すように、LED基板22の緑色LED23をモジュールチップ12に収容すべく近接させた際に、先にモジュールチップ12に収容されている赤色LED21と平面視で重ならないように設定される。これにより、
図7(a)に示すように、緑色LED23をモジュールチップ12に収容すべく、LED基板22をモジュール基板10に近づけても、該緑色LED23が既にモジュールチップ12に収容された赤色LED21と重ならず、緑色LED23を所定の収容領域122に収容するのに適した位置まで近接させることができる。
【0034】
図7(a)を参照しながら説明を続けると、上記位置付け工程を実施することによりモジュールチップ12aの収容領域122をLED基板22の緑色LED23aの直下に近接して位置付けたならば、上述したLED収容工程と同様に、レーザー光線照射手段44を作動して、緑色LED23aを該収容領域122に収容するLED収容工程を実施する。すなわち、LED基板22の裏面22b側から、エピタキシー基板221に対しては透過性を有し、該バッファー層BFに対しては吸収性を有する波長のレーザー光線LBを、ターゲットとなる緑色LED23aの裏面に位置するバッファー層BFに向けて照射する。これにより、バッファー層BFが破壊されて、エピタキシー基板221と、緑色LED23aとの境界面にガス層が形成され、該緑色LED23aがエピタキシー基板221から剥離される。LED基板22から剥離された緑色LED23aは、LED基板22から剥離される前の状態で、既にモジュールチップ12aの該収容領域122に極めて近接しており、剥離された時点で該収容領域122に収容される。
【0035】
モジュールチップ12aの収容領域122に緑色LED23aが収容されたならば、移動手段43を作動して
図7(b)に示す矢印の方向にモジュール基板10を所定距離移動し、次のモジュールチップ12bにおける収容領域122を、次の緑色LED23bの直下に位置付ける(位置付け工程)。なお、
図7(b)から理解されるように、LED基板22がモジュール基板10に近接された状態では、LED基板22に形成されている緑色LED23の下端が、モジュールチップ12に先に収容されている赤色LED21の上端よりも低い位置にあるため、そのままでは、モジュール基板10を図中の矢印の方向に移動させることができない。よって、移動手段43による矢印方向への移動を実施する際には、LED基板22を保持する基板保持リング52を保持基体56に備えられた該駆動手段を作動して一旦上昇させ、モジュール基板10を所定距離移動させた後に再度下降させてモジュール基板10に近接させる動作を実施する。
【0036】
上述したように、該モジュールチップ12bの収容領域122を、緑色LED23bの直下に位置付けたならば、該制御手段からの指令により、レーザー光線照射手段のガルバノミラーの向きが調整されることで、レーザー光線LBの照射位置が変更されて、緑色LED23bの裏面に位置するバッファー層BFに照射される。これにより、緑色LED23bの裏面に位置するバッファー層BFが破壊され、LED基板22から緑色LED23bが剥離され、モジュールチップ12bの収容領域122に緑色LED23bが収容される(LED収容工程)。そして、同様の工程をさらに実行することにより、モジュールチップ12bに隣接して形成されているモジュールチップ12cの収容領域122に、次の緑色LED23cが収容される。このようにしてX方向に配列された全てのモジュールチップ12に対して緑色LED23を収容したならば、モジュール基板10をY方向にインデックス送りして再度X方向に配列された全てのモジュールチップ12の収容領域122に対してLED基板22上の緑色LED23を収容する。このような位置付け工程、LED収容工程を繰り返すことで、モジュール基板10上の全てのモジュールチップ12の収容領域122に対して緑色LED23が収容される。なお、上述したように、LED基板22に形成される緑色LED23は、赤色LED21がLED基板20に形成される場合に比して広い間隔で配列されており、LED基板22に配設される緑色LED23の数は赤色LED21が配設されるLED基板20に対して概ね1/2程度であり、1枚のLED基板20に対して概ね2枚のLED基板22を必要とする。
【0037】
モジュール基板10上に形成された全てのモジュールチップ12に緑色LED23を収容したならば、次に青色LED25を各モジュールチップ12の所定の収容領域123に収容するための位置付け工程、及びLED収容工程を実施する。上述したように全てのモジュールチップ12に対しLED基板22から緑色LED23を剥離してモジュールチップ12に収容したならば、基板保持リング52を上昇させ、LED基板22を基板保持リング52から取り外す。そして、
図4(a)に示すように、青色LED25が配設されたLED基板24を基板保持リング52に載置する。基板保持リング52にLED基板22を載置し吸引保持する工程は上述したLED基板20、22を保持する手順と全く同一であるので、ここではその詳細については省略する。基板保持リング52にLED基板24を吸引保持したならば、
図4(c)に示す動作と同様にして、基板保持リング52を回転させてLED基板24の裏面24b側が上方に露出するように、すなわち青色LED25が配設された表面24a側が下方を向くように方向を転換する。さらに、移動手段43を作動して保持テーブル64を基板保持リング52側に移動してモジュール基板10をLED基板24の直下に位置付ける。この際、モジュール基板10は、モジュールチップ12aに形成された青色LED25aを収容するための収容領域123がLED基板22の所定の緑色LED23aの直下に位置付けられる。そして、モジュール基板10がLED基板24の直下に移動させられたならば、保持テーブル64の高さ位置よりも所定量高い位置に移動させられている基板保持リング52を下降させることにより、LED基板24がモジュール基板10の表面10aに近接される(位置付け工程)。
【0038】
本実施形態におけるLED基板24の詳細についてさらに説明する。
図8に記載されたLED基板24の記載から理解されるように、LED基板24に配設された青色LED25は、所定の間隔242を開けて配設されており、
図7に示すLED基板22に配設された緑色LED23が配設される所定の間隔222よりもさらに広く形成されている。ここで、LED基板24における上記所定の間隔は、
図8(a)に示すように、LED基板24の青色LED25をモジュールチップ12に収容すべく近接させた際に、先にモジュールチップ12に収容された赤色LED21、及び緑色LED23と平面視で重ならないように設定されている。これによって、
図8(a)に示すように、青色LED25をモジュールチップ12に収容すべく、LED基板24をモジュール基板10に近づけても、該LEDが既にモジュールチップに収容された赤色LED21、及び緑色LED23と重ならず、青色LED25を所定の収容領域123に収容するのに適した位置まで近接させることができる。
【0039】
図8(a)を参照しながら説明を続けると、上記位置付け工程を実施することにより、LED基板24の青色LED25aを、モジュールチップ12aの収容領域123に近接するよう位置付けたならば、赤色LED21、緑色LED23をモジュールチップ12aに収容したLED収容工程と同様にして、レーザー光線照射手段44を作動して、青色LED25aを該収容領域123に収容する。すなわち、LED基板24の裏面24b側から、エピタキシー基板241に対しては透過性を有し、該バッファー層BFに対しては吸収性を有する波長のレーザー光線LBを、ターゲットとなる青色LED25aの裏面に位置するバッファー層BFに向けて照射する。これにより、バッファー層BFが破壊されて、エピタキシー基板241と、青色LED25aとの境界面にガス層が形成され、該青色LED25aがエピタキシー基板241から剥離される。LED基板24から剥離された青色LED25aは、LED基板24から剥離される前の状態で、既にモジュールチップ12aの該収容領域123に極めて近接しており、剥離された時点で該収容領域123に収容される。
【0040】
モジュールチップ12aの収容領域123に緑色LED25aが収容されたならば、移動手段43を作動して
図8(b)に示す矢印の方向にモジュール基板10を所定量移動し、次のモジュールチップ12bにおいて青色LED24bを収容するための収容領域123を、次の青色LED25bの直下に位置付ける(位置付け工程)。なお、緑色LED23をモジュールチップ12に収容した際と同様に、LED基板24がモジュール基板10に近接された状態では、LED基板24に形成された青色LED25の下端が、モジュールチップ12に先に収容された赤色LED22、及び緑色LED24の上端よりも低い位置にあるため、そのままでは、モジュール基板10を図中の矢印の方向に移動させることができない。よって、移動手段43による矢印方向への移動を実施する際には、LED基板24を保持する基板保持リング52を保持基体56に備えられた図示しない駆動手段を作動して一旦上昇させ、モジュール基板10を所定距離移動させた後に再度下降させてモジュール基板10に近接させる動作を実施する。
【0041】
上述したようにして、次の青色LED25bの直下に次のモジュールチップ12bの収容領域123を近接するように位置付けたならば、該制御手段からの指令により、レーザー光線照射手段のガルバノミラーの向きを調整し、レーザー光線LBの照射位置が変更されて、青色LED25bの裏面に位置するバッファー層BFに照射される。これにより、青色LED25bの裏面に位置するバッファー層BFが破壊され、青色LED25aと同様にLED基板24から青色LED25bが剥離され、モジュールチップ12bの収容領域123に青色LED25bが収容される(LED収容工程)。同様の位置付け工程、LED収容工程をさらに実行することにより、モジュールチップ12bに隣接して形成されているモジュールチップ12cの収容領域123に、次の青色LED25cが収容される。このようにしてX方向に配列された全てのモジュールチップ12に対して青色LED25を収容したならば、モジュール基板10をY方向にインデックス送りして再度X方向に配列された全てのモジュールチップ12の収容領域123に対してLED基板24上の青色LED25を収容する。このような位置付け工程、LED収容工程を繰り返すことで、モジュール基板10上の全てのモジュールチップ12の収容領域123に対して青色LED25が収容される。なお、上述したように、LED基板24に形成される青色LED25は、緑色LED23がLED基板22に形成される場合に比してさらに広い間隔で配列されており、LED基板24に配設される青色LED25の数は赤色LED21が配設されるLED基板20に対して概ね1/3程度であり、1枚のLED基板20に対して概ね3枚のLED基板24を必要とする。
【0042】
以上のようにして、モジュール基板10に配設された全てのモジュールチップ12に、赤色、緑色、青色のLEDが収容され、本発明のLED組み立て方法が完了する。なお、上記した全てのモジュールチップ12にLEDが収容されたならば、適宜の方法で、各モジュールチップ12を個片化する個片化工程を実施すればよい。該LED個片化工程は、例えば、適宜のレーザー加工装置を採用して、モジュール基板10の材質に対して吸収性を有する波長によるレーザー光線をモジュールチップ12を区画する分割予定ラインに沿って照射して分割し、個片化することができるが、該基板をレーザー加工装置により分割する方法は、周知であるので、詳細については省略する。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲に属する限り適宜変形例を想定することができる。
例えば、上述した実施形態では、赤色LED21の配列間隔を最も小さくし、緑色LED23、青色LED25の順に所定の間隔が広くなるようにLED基板20、22、24を形成し、該LED基板20を用いて赤色LED21をモジュールチップ12に収容し、順に、緑色LED23、青色LED25を収容する例を提示したが、これに限定されず、LED基板20、22、24に配設されるLEDの色については適宜入れ替えてもよい。
【0044】
また、LED基板に配設されるLEDの所定の間隔は、各LEDの寸法、モジュールチップの寸法、モジュール基板に配設されるモジュールチップの間隔等によって適宜設定されるとよい。その際は、本発明の技術思想に基づき、LED基板をモジュールチップに近接させても、新たに収容しようとするLEDが、既に収容されたLEDと重ならないように所定の間隔をもって配設される。