(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の樹脂部が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の各々の外周側面に密着することにより前記空間が封じられたことを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
前記第1の導電性コンタクト、前記第2の導電性コンタクト、及び前記第3の導電性コンタクトの各々の形と大きさは同一であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が検討した事項について説明する。
【0012】
図1(a)、(b)は、その検討に使用した電子装置の製造途中の断面図である。
【0013】
この例では、以下のようにして電子装置としてPOPを作製する。
【0014】
まず、
図1(a)に示すように、第1の配線基板1と第2の配線基板2を用意し、これらを対向させる。
【0015】
配線基板1、2の各々の両面には電子部品3としてCPUやメモリ等の様々なデバイスが搭載される。これらの電子部品3は、本工程の前にはんだ4をリフローすることにより各配線基板1、2に予め固定される。
【0016】
次いで、
図1(b)に示すように、各配線基板1、2の間にはんだボール5を配する。そして、この状態ではんだボール5をリフローして溶融させ、はんだボール5により各配線基板1、2を電気的かつ機械的に接続する。
【0017】
以上により、この例に係る電子装置10の基本構造が完成する。
【0018】
その電子装置10によれば、複数の配線基板1、2を上下に積層するため、各配線基板1、2を横方向に並べる場合よりも平面サイズを小さくしながら、様々な電子部品3によって高機能化を実現できる。
【0019】
しかしながら、この方法では
図1(b)の工程ではんだボール5をリフローする必要があり、そのリフロー時の熱によって電子部品3の信頼性が低下するおそれがある。
【0020】
このような信頼性の低下はリフローの回数が増えるほど顕著になる。よって、電子部品3の製造業者はリフローの回数に対して上限回数を定め、電子部品3の信頼性を保証するためにリフローの回数をその上限回数以下にするように推奨することがある。電子部品3の種類にもよるが、リフローの回数の上限回数は2回であるものが多い。
【0021】
この例では、第1の配線基板1の片面ごとにはんだ4をリフローして第1の配線基板1に電子部品3を搭載するため、はんだボール5をリフローする前に既にリフローを2回行った電子部品3が第1の配線基板1に存在する。第2の配線基板2の電子部品3についても同様である。
【0022】
そのため、上記のようにはんだボール5をリフローしたのでは、電子部品3の中にリフローを3回行ったものが存在するようになり、前述した上限回数を超えてしまう可能性がある。
【0023】
なお、第1の配線基板1と第2の配線基板2との間に電子部品3を収容できるだけの間隔を確保するために、はんだボール5に代えて表面にはんだがめっきされた樹脂コアボールや銅コアボールを使用することもある。この場合でもコアボールの表面のはんだを溶融させるためのリフローが必要となるため、上記と同様にリフローによって電子部品3の信頼性が低下してしまう。
【0024】
しかも、各配線基板1、2同士を分離するためにはんだボール5をリフローすると、そのリフローの熱によって更に電子部品3の信頼性が低下するため、電子装置10の完成後に各配線基板1、2同士を分離するのが困難となる。その結果、電子装置10の完成後に配線基板1、2を交換することは難しい。また、完成後に各配線基板1、2の対向面に実装されている電子部品3の外観を検査したりするのが難しい。
【0025】
図2は、検討に使用した別の電子装置の断面図である。
【0026】
なお、
図2において、
図1(a)、(b)で説明したのと同じ要素にはこれらの図におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0027】
この電子装置15においては、前述の第1の配線基板1と第2の配線基板2との間に中間基板11を設ける。
【0028】
そして、その中間基板11と第1の配線基板1とをはんだボール5で接続した後、中間基板11と第2の配線基板2とをはんだボール5で接続する。
【0029】
その中間基板11として中央部が中空となっている基板を使用することにより、各配線基板1、2の間に厚い電子部品3を収めることができ、電子装置15に搭載できる電子部品3の厚さの制限を緩和できる。
【0030】
しかしながら、この電子装置15においては、中間基板11の両面のはんだボール5を別々にリフローするため、
図1の例よりも更に電子部品3が受けるリフローの回数が増えてしまい、電子部品3の信頼性が一層低下してしまう。
【0031】
以下に、はんだボールをリフローすることなしに電子装置を製造できる各実施形態について説明する。
【0032】
(第1実施形態)
本実施形態に係る電子装置についてその製造工程を追いながら説明する。
【0033】
図3〜
図6は、本実施形態に係る電子装置の製造途中の断面図である。
【0034】
本実施形態では、以下のようにして電子装置としてPOPを製造する。
【0035】
まず、
図3(a)に示すように、コア基材22の両面に複数の絶縁層23と配線層25、26とを備えた第1の配線基板21を用意する。
【0036】
このうち、コア基材22は、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板であって、複数の貫通孔22aを備える。貫通孔22aとその開口端には銅めっき膜が形成され、これにより貫通孔22a内に貫通電極24が設けられると共に、貫通電極24の周囲のコア基材22上に配線25が設けられる。
【0037】
また、絶縁層23は、例えばフェノール樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂層である。その樹脂層23には、レーザ加工等により配線25に至るビア23aが形成されており、ビア23aとその周囲の絶縁層23の上には配線26が銅めっきにより形成される。
【0038】
そして、最上層の絶縁層23の上には、配線26が露出する開口27aを備えたソルダレジスト層27が形成される。
【0039】
続いて、
図3(b)に示すように、第1の配線基板21の両主面のうちの一方にはんだ29を介して複数の電子部品28を載せる。そして、そのはんだ29をリフローすることにより、はんだ29を介して各電子部品28を配線26に接続する。
【0040】
本工程で使用する電子部品28としては、例えば、CPU等のプロセッサ、メモリ、コイル、抵抗素子、コンデンサ、水晶振動子、及び電池等がある。
【0041】
次に、
図4(a)に示す工程について説明する。
【0042】
まず、第1の配線基板21の他方の主面に、はんだ29を介して複数の電子部品28と第1の導電性コンタクト31とを載せる。
【0043】
第1の導電性コンタクト31は、断面視で第1の配線基板21の側方に向かって開口したコの字型であって、純銅、黄銅、及びリン青銅等の金属板をプレス加工して作製される。
【0044】
また、第1の導電性コンタクト31の先端には、第1の配線基板21の側方に向かって延びた第1の接点部31aが設けられる。
【0045】
そして、はんだ29をリフローすることにより、はんだ29を介して各電子部品28と第1の導電性コンタクト31とを配線26に同時に接続する。
【0046】
図7は、本工程を終了した時点での第1の配線基板21の平面図であって、前述の
図4(a)は
図7のI−I線に沿う断面図に相当する。
【0047】
図7に示すように、第1の配線基板21は、平面視で四つの辺21a〜21dを備えた矩形状であり、各辺21a〜21dにより画定された第1の主面21xを有する。
【0048】
この例では、その第1の主面21xの周縁部21yに前述の第1の導電性コンタクト31を固定すると共に、各辺21a〜21dに沿って第1の導電性コンタクト31を間隔をおいて複数設ける。
【0049】
また、複数の第1の導電性コンタクト31の各々は第1の樹脂部32により本工程の前に予め連結される。これにより、複数の第1の導電性コンタクト31の各々を一括して第1の配線基板21に搭載することができ、複数の第1の導電性コンタクト31を個別に第1の配線基板21に搭載する場合よりも工程の簡略化を実現できる。
【0050】
第1の樹脂部32の形状は特に限定されないが、例えば各辺21a〜21dに沿って延びるように第1の樹脂部32を成型する。これにより、第1の樹脂部32と各辺21a〜21dとを平行にすることにより第1の樹脂部32と第1の配線基板21との位置合わせを行うことができ、位置合わせに要する手間を省くことができる。
【0051】
なお、第1の樹脂部32の材料としては、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ樹脂、及びLCP(Liquid Crystal Polymer)等がある。
【0052】
図8は、第1の配線基板21の角部における拡大斜視図である。
【0053】
図8に示すように、第1の導電性コンタクト31の各々は、第1の樹脂部32に埋設された状態で第1の主面21xに立設される。このような構造は、例えば、プレス加工等によってコの字型の第1の導電性コンタクト31を作製した後、射出成型により第1の導電性コンタクト31を第1の樹脂部32に埋設することで得られる。
【0054】
また、各々の第1の導電性コンタクト31の寸法も特に限定されない。例えば、その幅Wは0.3mm〜1mm程度であり、高さHは0.8mm〜4mm程度である。また、奥行きDは0.4mm〜2mm程度であり、第1の接点部31aの厚みTは0.2mm〜1mm程度である。
【0055】
以上により第1の配線基板21に対する処理を終える。
【0056】
次に、
図4(b)に示すように、上記の第1の配線基板21とは別に第2の配線基板33を用意する。
【0057】
なお、第2の配線基板33の断面構造は、第1の配線基板21のそれと同様なのでその説明は省略する。
【0058】
そして、その第2の配線基板33に対して前述の
図3(b)〜
図4(a)と同じ工程を行うことにより、第2の配線基板33の第2の主面33xに複数の第2の導電性コンタクト34を立設する。
【0059】
第2の導電性コンタクト34の形状と材料も特に限定されない。この例では、第1の導電性コンタクト31を第2の導電性コンタクト34に流用することにより、第2の導電性コンタクト34の製造コストを低廉化する。
【0060】
その第2の導電性コンタクト34は、断面視で第2の配線基板32の側方に向かって開口したコの字型であって、その先端には第2の配線基板32の側方に向かって延びた第2の接点部34aが設けられる。
【0061】
図9(a)は一つの第1の導電性コンタクト31の斜視図であり、
図9(b)は一つの第2の導電性コンタクト34の斜視図である。
【0062】
図9(a)に示すように、第1の導電性コンタクト31は3つの平板状の部位から形成されており、第1の配線基板21の側方に向かって延びる第1及び第2の水平部31c、31dと、第1の主面21xに垂直に立設される垂直部31eとを有する。
【0063】
このうち、第1の水平部31cは第1の配線基板21に接続されており、第2の水平部31dが前述の第1の接点部31aとなる。
【0064】
同様に、
図9(b)に示すように、第2の導電性コンタクト34も3つの平板状の部位から形成されており、第2の配線基板33の側方に向かって延びる第1及び第2の水平部34c、34dと、第2の主面33xに垂直に立設される垂直部34eとを有する。
【0065】
このうち、第1の水平部34cは第2の配線基板33に接続されており、第2の水平部34dが前述の第2の接点部34aとなる。
【0066】
図10は、第2の配線基板33の平面図であって、前述の
図4(b)は
図10のII−II線に沿う断面図に相当する。
【0067】
図10に示すように、第1の配線基板21と同様に第2の配線基板33も平面視で四つの辺33a〜33dを備えた矩形状である。
【0068】
そして、第2の主面33xの周縁部33yにおいて、各辺33a〜33dに沿って第2の導電性コンタクト34が間隔をおいて複数設けられる。
【0069】
これらの第2の導電性コンタクト34の各々は第2の樹脂部35により予め連結されており、これにより複数の第2の導電性コンタクト34の各々を一括して第2の配線基板33に搭載することができる。
【0070】
第2の樹脂部35の形状と材料は第1の樹脂部32(
図7参照)と同一であり、各辺33a〜33dに沿って延びるように第2の樹脂部35は成型される。
【0071】
続いて、
図5(a)に示すように、第1の配線基板21と第2の配線基板33との位置合わせを行い、これらの主面21x、33x同士を対向させる。
【0072】
次に、
図5(b)に示すように、第1の導電性コンタクト31と第2の導電性コンタクト34の各々の接点部31a、34a同士を接触させ、更にこれらの接点部31a、34aの側方に第3の導電性コンタクト37を配する。
【0073】
第3の導電性コンタクト37は、断面視で各導電性コンタクト31、34に向かって開口したコの字型であり、互いに対向する一対の第3の接点部37aを備える。
【0074】
本実施形態では、第3の導電性コンタクト37の製造コストを抑えるために、第1の導電性コンタクト31を第3の導電性コンタクト37に流用する。
【0075】
図11は、本工程について示す平面図であり、前述の
図5(b)は
図11のIII−III線に沿う断面図に相当する。
【0076】
図11に示すように、第3の導電性コンタクト37は、第1の導電性コンタクト31と第2の導電性コンタクト34の各々に対応して複数設けられる。
【0077】
これらの第3の導電性コンタクト37の各々は、辺21a〜21dごとに一つの第3の樹脂部38によって連結されており、これにより複数の第3の導電性コンタクト37を扱うのが容易となる。
【0078】
図12は、第3の導電性コンタクト37と第3の樹脂部38の各々の斜視図である。
【0079】
第3の樹脂部38の形状や材料は特に限定されないが、第1の樹脂部32や第2の樹脂部35を第3の樹脂部38に流用することにより第3の樹脂部38の製造コストを抑えるのが好ましい。
【0080】
図13は、一つの第3の導電性コンタクト37の斜視図である。
【0081】
第1の導電性コンタクト31や第2の導電性コンタクト34と同様に、第3の導電性コンタクト37も3つの平板状の部位から形成されており、第1及び第2の水平部37c、37dと、これらに対して垂直に設けられた垂直部37eとを有する。
【0082】
このうち、第1及び第2の水平部37c、37dが、前述の第3の接点部37aとなる。
【0083】
続いて、
図6に示すように、各配線基板21、33の側方から各導電性コンタクト31、34に第3の導電性コンタクト37を装着する。これにより、第3の導電性コンタクト37の第3の接点部37aによって第1の接点部31aと第2の接点部34aとが挟持され、各配線基板21、33が電気的かつ機械的に接続される。
【0084】
この例では、はんだ等によって各配線基板21、33に第3の導電性コンタクト37を固定せずに、第3の導電性コンタクト37を各導電性コンタクト31、34に着脱自在とする。
【0085】
なお、各導電性コンタクト31、34から第3の導電性コンタクト37が脱落するのを防ぐために、これらの導電性コンタクト31、34、37の各々の表面に粗化処理により凹凸を付与してもよい。そのような祖化処理としては、例えばウエットエッチングがある。また、各導電性コンタクト31、34、37を成型するときの金型に凹凸を設けておき、成型時にその凹凸をこれらの導電性コンタクト31、34、37の表面に転写してもよい。
【0086】
更に、各導電性コンタクト31、34、37の材料としてバネ性に富んだ黄銅やリン青銅を採用し、バネ性によって各導電性コンタクト31、34、37同士を強固に嵌合させてもよい。
【0087】
なお、このように材料のバネ性を利用せずに、展性に優れた錫膜を各導電性コンタクト31、34、37の表面にめっき法で形成してもよい。これにより、各導電性コンタクト31、34、37が柔らかな錫膜を介して相互に良好に密着し、各導電性コンタクト31、34、37同士を確実に嵌合させることができる。その場合、錫膜の下地に銅膜やニッケル膜等をめっき法で形成してもよい。
【0088】
更に、各導電性コンタクト31、34、37の表面が酸化するのを防止するために、これらの表面にめっき法でニッケル膜と金膜とをこの順に形成してもよい。
【0089】
以上により、本実施形態に係る電子装置40の基本構造が完成する。
【0090】
その電子装置40は、前述のようにPOPであって、複数の電子部品28によって高機能化が図られる。
【0091】
なお、この例では第1の配線基板21の両主面に電子部品28を実装しているが、一方の主面にのみ電子部品28を実装してもよい。これについては第2の配線基板33においても同様である。
【0092】
更に、配線基板の積層数も特に限定されず、3枚以上の配線基板を積層してもよい。
【0093】
図14は、この電子装置40の平面図であって、前述の
図6は
図14のIV−IV線に沿う断面図に相当する。
【0094】
図14に示すように、この電子装置40においては、第1の配線基板21の四辺から第3の導電性コンタクト37が挿入される。
【0095】
上記した本実施形態によれば、
図6に示したように、第1〜第3の導電性コンタクト31、34、37によって各配線基板21、33を接続するため、これらの配線基板21、33を接続するためのはんだが不要となる。その結果、そのはんだをリフローする必要がなくなり、リフロー時の熱によって各電子部品28の信頼性が低下するおそれがない。
【0096】
しかも、第3の導電性コンタクト37は各導電性コンタクト31、34に着脱自在であるため、電子装置40の完成後であっても各導電性コンタクト31、34から第3の導電性コンタクト37を外すことで各配線基板21、33を簡単に分離できる。
【0097】
よって、各配線基板21、33のいずれかに不良が見つかった場合には、各配線基板21、33を分離して不良品の配線基板を良品に交換することができる。更に、電子装置40の完成後に各配線基板21、33を分離し、各主面21x、33xに実装された電子部品28の位置ずれ等を検査するための外観検査を行うのも容易となる。
【0098】
また、第1及び第2の導電性コンタクト31、34の各接点部31a、34aを各配線基板21、31の側方に延ばしたことで、各配線基板21、31の側方から第3の導電性コンタクト37の脱着を行うことができる。これにより、各配線基板21、31同士を近接させた状態で第3の導電性コンタクト37の脱着を行うことができるため、電子装置40の低背化を実現することが可能となる。
【0099】
特に、本実施形態では第1〜第3の導電性コンタクト31、34、37の各々を断面視でコの字型にしたため、各々の水平部31c、31d、34c、34d、37c、37dが弾性を有した構造となる。これにより、
図6の工程で各配線基板21、33を積層しても、その際に生じる応力を第1〜第3の導電性コンタクト31、34、37で分散させることができる。
【0100】
しかも、
図9(a)に示したように、第1の導電性コンタクト31の第1の水平部31cを第1の配線基板21に接続したため、第1の導電性コンタクト31と第1の配線基板21とが面接触するようになる。そのため、
図6の工程で各配線基板21、33を積層するときに生じる応力が第1の水平部31cで分散されるようになり、その応力によって第1の配線基板21が破損するのを防止できる。
【0101】
同様に、
図9(b)に示したように、第2の導電性コンタクト34の第1の水平部43cが第2の配線基板33に面接触するため、上記の応力で第2の配線基板33が破損するのも防止できる。
【0102】
そして、第1〜第3の導電性コンタクト31、34、37の各々の材料と形状とを全て同一にすることにより、これらの導電性コンタクト31、34、37を別々に作製する必要がなくなり、電子装置40の低コスト化を実現することができる。
【0103】
(第2実施形態)
第1実施形態では、
図7に示したように、第1の配線基板21の一つの辺に設ける第1の樹脂部32を一個とした。第1の樹脂部32の個数はこれに限定されない。
【0104】
図15は、本実施形態に係る第1の配線基板21の平面図である。
【0105】
なお、
図15において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0106】
図15に示すように、この例では第1の配線基板21の辺21a〜21dの各々にそれぞれ二つずつ第1の樹脂部32を設ける。
【0107】
このように各辺21a〜21dにおける第1の樹脂部32を複数個にしても、各々の第1の樹脂部32で複数の第1の導電性コンタクト31を一括して扱うことができ、第1の配線基板21に第1の導電性コンタクト31を搭載するのが容易となる。
【0108】
(第3実施形態)
図16は、本実施形態に係る電子装置の平面図である。
【0109】
なお、
図16において第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0110】
図16に示すように、本実施形態においては、第3の樹脂部38の各々の端部に孔38aを設ける。
【0111】
孔38aの使用用途は特に限定されない。
【0112】
図17(a)は、孔38aの使用用途の一例を示す拡大平面図であり、
図17(b)は
図17(a)のV−V線に沿う断面図である。
【0113】
図17(a)、(b)に示すように、この例では二つのピン47aを備えた金属製の連結部47を用意する。そして、第1の配線基板21の隣接する二辺21b、21cに対応した第3の樹脂部38の各々の孔38aにピン47aを嵌める。
【0114】
これにより、連結部47によって隣接する第3の樹脂部38の各々が連結され、電子装置40の完成後に衝撃等によって第3の導電性コンタクト37(
図16参照)が電子装置40から脱落し難くなる。
【0115】
なお、連結部47は孔38aに着脱自在であり、第3の導電性コンタクト37が電子装置40から脱落するおそれがない場合には孔38aから連結部47を外してもよい。
【0116】
一方、
図18(a)は、孔38aの使用用途の別の例を示す拡大平面図であり、
図18(b)は
図18(a)のVI−VI線に沿う断面図である。
【0117】
図18(a)、(b)の例では、孔38aにネジ48を挿通し、そのネジ48により電子装置40を筐体49に固定する。
【0118】
これにより、第1の配線基板21(
図16参照)や第2の配線基板33にネジ48用の孔を開口せずに筐体49に電子装置40を固定することが可能となる。
【0119】
(第4実施形態)
図19は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。
【0120】
なお、
図19において第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0121】
図19に示すように、本実施形態に係る電子装置40においては、複数の第3の導電性コンタクト37同士を連結するための第3の樹脂部38(
図12参照)を省く。第3の導電性コンタクト37の各々を個別に扱うのが問題にならない場合には、このように第3の樹脂部38を省いてもよい。これにより、射出成型により第3の樹脂部38に第3の導電性コンタクト37を埋設する必要がなくなり、射出成型に要するコストを削減することができる。
【0122】
(第5実施形態)
第1〜第4実施形態では、
図8に示したように、第1の樹脂部32により複数の第1の導電性コンタクト31を連結した。
【0123】
これに対し、本実施形態では以下のように第1の樹脂部32を省く。
【0124】
図20は、本実施形態における第1の配線基板21の角部の拡大斜視図である。
【0125】
図20に示すように、本実施形態では複数の第1の導電性コンタクト31を連結するための第1の樹脂部32を省く。これにより、射出成型により第1の樹脂部32に第1の導電性コンタクト31を埋設する必要がなくなり、射出成型に要するコストを削減することができる。
【0126】
図21は、本実施形態に係る電子装置40の断面図である。
【0127】
なお、
図21において第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態で説明したのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0128】
図21に示すように、この例では複数の第2の導電性コンタクト34を連結するための第2の樹脂部35(
図6参照)も省く。これにより、第1の樹脂部32だけでなく、第2の樹脂部35を射出成型により作製するためのコストも削減することができる。
【0129】
(第6実施形態)
本実施形態では、以下のようにして各配線基板21、33の間の電子部品28を封止する。
【0130】
図22は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。
【0131】
なお、
図22において第1〜第5実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。これについては後述の
図23でも同様である。
【0132】
図22に示すように、この電子装置40においては、各配線基板21、33の各々の主面21x、33xに第3の樹脂部38が密着することにより、これらの主面21x、33xの間の空間Sを第3の樹脂部38で封じる。
【0133】
これにより、大気中の埃等の異物が空間Sに侵入するのを第3の樹脂部38で防ぐことができ、空間S内の電子部品28に異物が付着するのを抑制することができる。更に、このように異物の付着が抑制されるため、異物からベアチップを保護するための樹脂封止がない電子部品28を空間S内に実装することができ、様々な電子部品28を電子装置40に実装することができる。
【0134】
この場合、空間S内に収容する電子部品28を、各配線基板21、33各々の外周側面21s、33sから後退した部位に設けるのが好ましい。これにより、第3の樹脂部38が各主面21x、33xに密着する部位が確保され、空間Sに異物が入るのを第3の樹脂部38で防止し易くなる。
【0135】
空間Sの封止の仕方はこれに限定されない。
【0136】
図23は、本実施形態の別の例に係る電子装置40の断面図である。
【0137】
図23に示すように、この例では、各配線基板21、33の外周側面21s、33sに第3の樹脂部38が密着することにより空間Sが封じられ、これにより空間Sに異物が侵入するのが防止される。
【0138】
このような構造によれば、第3の樹脂部38を密着させるための部位を各主面21x、33xに確保する必要がなくなるため、空間Sに多くの電子部品28を収容することができる。
【0139】
(第7実施形態)
本実施形態では、以下のようにして電子装置の小型化を図る。
【0140】
図24(a)は本実施形態に係る電子装置の平面図であり、
図24(b)は
図24(a)のVII−VII線に沿う断面図である。
【0141】
図24(a)に示すように、この電子装置40においては、平面視で各配線基板21、33から第3の樹脂部38がはみ出ておらず、各配線基板21、33に第3の樹脂部38が収まる。これにより、各配線基板21、33から第3の樹脂部38がはみ出る場合と比較して電子装置40を小型化できる。
【0142】
この場合、
図24(b)に示すように、各主面21x、33xに搭載する電子部品28の各々を各配線基板21、33の外周側面21s、33から後退した部位に設け、第3の樹脂部38を収めるスペースを各主面21x、33xの間に確保するのが好ましい。
【0143】
(第8実施形態)
本実施形態では、各導電性コンタクト31、34、37の好適な形状について説明する。
【0144】
図25(a)は、第1及び第2の導電性コンタクト31、34に装着する前の第3の導電性コンタクト37の断面図である。
【0145】
図25(a)に示すように、本実施形態では、第1の導電性コンタクト31の第1の接点部31aを断面視で第1の配線基板21の側方に向かって厚くなるテーパ状とする。同様に、第2の導電性コンタクト34の第2の接点部34aは、断面視で第2の配線基板33の側方に向かって厚くなるテーパ状である。
【0146】
そして、第3の導電性コンタクト37の第3の接点部37aは、断面視で第1の接点部31aと第2の接点部34aに倣ったテーパ状である。
【0147】
図25(b)は、第1及び第2の導電性コンタクト31、34に装着した後の第3の導電性コンタクト37の断面図である。
【0148】
図25(b)に示すように、上記のように各導電性コンタクト31、34、37をテーパ状としたことで、第1及び第2の導電性コンタクト31、34から第3の導電性コンタクト34が脱落し難くなる。
【0149】
しかも、第1及び第2の導電性コンタクト31、34に第3の導電性コンタクト37を装着する際、第1及び第2の接点部31a、34aに第3の接点部37aが擦れるため、各導電性コンタクト31、34、37の表面の自然酸化膜が削られる。
【0150】
その結果、各導電性コンタクト31、34、37の表面に金属の清浄面が露出するようになり、その清浄面を通る電気抵抗の少ない経路Cに沿って電流を流すことができ、自然酸化膜の有無に関わらず各配線基板21、33を電気的に良好に接続することができる。
【0151】
なお、これらの効果が奏されるための各導電性コンタクト31、34、37の形状は本実施形態に限定されず、前述の第1〜第7実施形態で説明した導電性コンタクト31、34、37でも同様の効果が奏される。
【0152】
(第9実施形態)
本実施形態では、第3の導電性コンタクト37の好適な形状について説明する。
【0153】
図26は、本実施形態に係る第3の導電性コンタクト37の斜視図である。なお、
図26において、第1〜第8実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0154】
図26に示すように、本実施形態においては、第3の導電性コンタクト37の第3の接点部37aの各々に互いに対向した突起37pを設ける。その突起37pは、第1の導電性コンタクト31と第2の導電性コンタクト34の各々の接点部31a、34aを向いており、これらの接点部31a、34aの各々に摺接する。
【0155】
これにより、第1及び第2の導電性コンタクト31、34に第3の導電性コンタクト37を装着する際に各導電性コンタクト31、34の表面の自然酸化膜が突起37pにより削り落とされ、これらの導電性コンタクト31、34に金属の清浄面が露出する。
【0156】
その結果、第8実施形態と同様に清浄面を通る電気抵抗の少ない経路C(
図25(b)参照)に沿って電流が流れ、各配線基板21、33の間の電気抵抗を低減することが可能となる。
【0157】
特に、この例では突起37pの先端を尖鋭にしたため、各導電性コンタクト31、34の表面の自然酸化膜を突起37pにより簡単に除去することができる。
【0158】
突起37pの形状は上記に限定されない。
【0159】
図27は、本実施形態の別の例に係る第3の導電性コンタクト37の斜視図である。
【0160】
この例では、各接点部31a、34aに向かって湾曲するように突起37pを設ける。このような形状であっても、
図26の例と同様に突起37pで自然酸化膜を除去することができる。
【0161】
(その他の実施形態)
第1〜第9実施形態では、第1の導電性コンタクト31と第2の導電性コンタクト34の各々を断面視でコの字型にしたが、各導電性コンタクト31、34の断面形状はこれに限定されない。
【0162】
例えば、
図28の拡大断面図に示すように、これらの導電性コンタクト31、34の各々の第1の水平部31c、34c(
図9(a)、(b)参照)を省き、垂直部31e、34eを各配線基板21、33に立設してもよい。