特許第6850268号(P6850268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850268(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850268
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210322BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 20/12 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 20/54 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q1/00
   A61Q19/00
   C08F20/12
   C08F20/54
   C08F290/06
【請求項の数】9
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2018-22099(P2018-22099)
(22)【出願日】2018年2月9日
(65)【公開番号】特開2019-137775(P2019-137775A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】秦 龍ノ介
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特表平01−503072(JP,A)
【文献】 特開平06−337599(JP,A)
【文献】 特表2003−526707(JP,A)
【文献】 特表2005−520703(JP,A)
【文献】 特表2005−530896(JP,A)
【文献】 特開2012−072081(JP,A)
【文献】 特表2018−532824(JP,A)
【文献】 Allen H. Gabor et al.,Group-Transfer Polymerization of tert-Butyl Methacrylate and [3-(Methacryloxy)propyl]pentamethyldisiloxane:Synthesis and Characterization of Homopolymers and Random and Block Copolymers,Chem. Mater.,1996年,8,2272-2281
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 − 8/99
A61Q 1/00 − 90/00
C08F 6/00 − 246/00
C08F 283/01
C08F 290/00 − 290/14
C08F 299/00 − 299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(I)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体であって、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有することを特徴とする、前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を含有する化粧料
【化1】
[式中、Rは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、X’は上記Aで表される基であり、及び、Aは下記式(1)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン構造を有する基、又は下記(2−1)又は(2−2)で表される樹枝状オルガノポリシロキサン構造を有する基であり、上記式(I)で表される繰り返し単位の結合順序は制限されるものでなく、pは1以上の整数であり、但し、上記(共)重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数である
【化2】
(式(1)中、Zは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、mは0〜100の整数である)
【化3】
(式(2−1)及び(2−2)中、Zは2価の有機基であり、aは0〜3の数であり、Qは下記式(2)で表される基であり、Dは階層数cの樹枝状構造を有する3+1(即ち、3のc乗+1)価のオルガノポリシロキサニル基であり、cは1〜8の整数であり、
【化4】
は炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素原子数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基であり、R14は水素原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、aは0〜2の実数であり、及び、nは2〜12の整数である)]。
【請求項2】
下記式(I)で表される繰り返し単位及び下記式(II)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体であって、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有することを特徴とする、前記(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体を含有する化粧料
【化5】
[式中、R及びRは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、Xは上記A又はBで表される基であり、Bは、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、−O−、−S−およびNR−(Rは、水素原子、または炭素数1〜20の一価炭化水素基である)から選ばれる1種以上を含んでいてもよい、置換又は非置換の、炭素数1〜20の一価炭化水素基(ただし、酸素原子、硫黄原子および窒素原子同士は隣接しない)、アミノ基、シロキシ基、ハロゲン原子、または水酸基であり、及び、
Aは下記式(1)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン構造を有する基、又は下記(2−1)又は(2−2)で表される樹枝状オルガノポリシロキサン構造を有する基であり、上記式(I)及び(II)で表される繰り返し単位の結合順序は制限されるものでなく、pは1以上の整数であり、qは1以上の整数であり、但し、p+qは上記共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数である
【化6】
(式(1)中、Zは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、mは0〜100の整数である)
【化7】
(式(2−1)及び(2−2)中、Zは2価の有機基であり、aは0〜3の数であり、Qは下記式(2)で表される基であり、Dは階層数cの樹枝状構造を有する3+1(即ち、3のc乗+1)価のオルガノポリシロキサニル基であり、cは1〜8の整数であり、
【化8】
は炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素原子数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基であり、R14は水素原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、aは0〜2の実数であり、及び、nは2〜12の整数である)]。
【請求項3】
前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体が、窒素雰囲気下にて50%重量減少温度360℃以上を有する、請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体において、不純物である単量体の量が、共重合体及び単量体の全質量に対して100ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項5】
前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を化粧料全体の0.5〜99.0質量%の範囲で含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項6】
請求項1記載の(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を製造する方法であって、下記一般式(6)で表される化合物と、
【化9】
(式(6)中、R、R、及びRは請求項1に記載の通りであり、R11、R12及びR13は互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)
下記一般式(4)で表される化合物とを
【化10】
(式(4)中、R及びAは請求項1に記載の通りである)
グループ移動重合させることにより前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を得る工程を含み、上記グループ移動重合後に、100℃以上で上記式(4)で表される単量体を減圧留去する工程を含む、前記製造方法。
【請求項7】
請求項2記載の(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体を製造する方法であって、下記一般式(6)で表される化合物と、
【化11】
下記一般式(4)で表される化合物及び下記式(5)で表される化合物とを、
【化12】
(式中、R、R、R、R、R、A及びBは請求項に記載の通りであり、R11、R12及びR13は互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)
グループ移動重合させることにより前記(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体を得る工程を含み、上記グループ移動重合後に、100℃以上で上記式(4)及び(5)で表される単量体を減圧留去する工程を含む、前記製造方法。
【請求項8】
前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体が、窒素雰囲気下にて50%重量減少温度360℃以上を有する、請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体において、不純物である単量体の量が、共重合体及び単量体の全質量に対して100ppm以下である、請求項6〜8のいずれか1項記載の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体の製造方法、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、撥水性のある柔軟で密着性の高い皮膜を形成するため、化粧料を構成する材料として広く用いられている。特許文献1〜4には、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体が開示されている。
【0003】
(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体の合成に用いる単量体(メタクリル酸メチル等)は、皮膚や眼への刺激性があることが知られており、重合体からこのような単量体を取り除くには減圧ストリップや洗浄が行われている。しかしながら、パーオキサイドやアゾ系等の従来のラジカル重合開始剤を用いて合成した(メタ)アクリル系の重合体は、ポリマー末端の構造に2重結合が生成しているものを含んでいるため、150℃付近から熱分解し、逆反応により単量体が生成する。そのため、特に高沸点のモノマーを取り除くことは従来の技術では困難であった。
【0004】
一方で、単量体を含有した(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を化粧料に配合した場合、皮膚刺激や好ましくない臭気が発生することがあり、高純度化が望まれている。さらに、従来のラジカル開始剤を使用した重合方法による(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、開始剤によるポリマー鎖中の水素引き抜きにより架橋が生じ、化粧膜にベタつきをもたらす等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−46662号公報
【特許文献2】特開2012−72081号公報
【特許文献3】特許2767633号公報
【特許文献4】特許2976146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性が高く、単量体含有量が少ない高純度(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を提供することを目的とする。更に、ベタつきがなく、化粧持ちの良い化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、創意工夫を重ねた結果、下記(I)で表されるシロキサン鎖を有する繰り返し単位を有し、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有する(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、末端に不飽和結合を持たないため耐熱性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち本発明は、下記(I)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体であって、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有することを特徴とする、前記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体
【化1】
[式中、Rは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、X’は上記Aで表される基であり、及び、Aは下記式(1)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン構造を有する基、又は下記(2−1)又は(2−2)で表される樹枝状オルガノポリシロキサン構造を有する基であり、上記式(I)で表される繰り返し単位の結合順序は制限されるものでなく、pは1以上の整数であり、上記(共)重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数である
【化2】
(式(1)中、Zは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、mは0〜100の整数である)
【化3】
(式(2−1)及び(2−2)中、Zは2価の有機基であり、aは0〜3の数であり、Qは下記式(2)で表される基であり、Dは階層数cの樹枝状構造を有する3+1(即ち、3のc乗+1)価のオルガノポリシロキサニル基であり、cは1〜8の整数であり、
【化4】
は炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素原子数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基であり、R14は水素原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、aは0〜2の実数であり、及び、nは2〜12の整数である)]。
【0009】
さらに本発明は、下記式(I)で表される繰り返し単位及び下記(II)で表される繰り返し単位を有する、(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体であって、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有することを特徴とする、前記(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体
【化5】
[式中、Rは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、R、R、R、R及びR10は上記の通りであり、Xは上記A又はBで表される基であり、Aは上記の通りであり、Bは、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、−O−、−S−およびNR−(Rは、水素原子、または炭素数1〜20の一価炭化水素基である)から選ばれる1種以上を含んでいてもよい、置換又は非置換の、炭素数1〜20の一価炭化水素基(ただし、酸素原子、硫黄原子および窒素原子同士は隣接しない)、アミノ基、シロキシ基、ハロゲン原子、または水酸基である)であり、上記式(I)及び(II)で表される繰り返し単位の結合順序は制限されるものでなく、pは1以上の整数であり、qは1以上の整数であり、但し、p+qは上記共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数である]。
更に本発明は、上記(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体の製造方法及び、該(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を含む化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体は耐熱性に優れ、また高純度を有する。該(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を含む化粧料は、べたつきがなく、化粧もちが良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1で製造した共重合体のH−NMRチャート(全体図)である。
図2図2は、実施例1で製造した共重合体のH−NMRチャートの(拡大図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。また、以下の説明で用いる用語「(メタ)アクリル」は、メタクリル及びアクリルのことをいう。同じことは、用語「(メタ)アクリレート」にも適用され、これは同様に、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルのことをいう。
【0013】
本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト(共)重合体は、下記(I)で表される繰り返し単位を必須に有する(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体である。好ましくは、下記式(I)で表される繰り返し単位を有し、更に下記(II)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト共重合体である。本発明の(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体は、一方の末端に下記(III)で表される構造を有し、及び他方の末端に下記(IV)で表される構造を有することを特徴とする。該共重合体は末端に不飽和結合を有さないため、耐熱性に優れ、熱分解が抑制される。従って、本発明の共重合体は、窒素雰囲気下にて50%重量減少温度が360℃以上であることができる。尚、本発明において50%重量減少温度とは、該共重合体を熱重量分析装置にセットし、窒素雰囲気下にて0℃から10℃/minにて昇温させて重量変化を計測し、昇温前の重量から半量に減少した時の温度である。
【化6】
[式中、R及びRは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R10は水素原子又はメチル基であり、Xは上記A又はBで表される基であり、Bは、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、−O−、−S−およびNR−(Rは、水素原子、または炭素数1〜20の一価炭化水素基である)から選ばれる1種以上を含んでいてもよい、置換又は非置換の、炭素数1〜20の一価炭化水素基(ただし、酸素原子、硫黄原子および窒素原子同士は隣接しない)、アミノ基、シロキシ基、ハロゲン原子、または水酸基である。
【0014】
上記繰り返し単位(I)においてAは、下記式(1)で表される直鎖状オルガノポリシロキサン構造を有する基、又は、下記(2−1)又は(2−2)で表される樹枝状オルガノポリシロキサン構造を有する基である。
【化7】
(式(1)中、Zは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、mは0〜100の整数である)
【化8】
(式(2−1)及び(2−2)中、Zは2価の有機基であり、aは0〜3の数であり、Qは下記式(2)で表される基であり、Dは階層数cの樹枝状構造を有する3+1(即ち、3のc乗+1)価のオルガノポリシロキサニル基であり、cは1〜8の整数であり、
【化9】
は炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、Rは炭素原子数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基であり、R14は水素原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、aは0〜2の実数であり、及び、nは2〜12の整数である)。
【0015】
上記式(1)において、Zは2価の有機基であり、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはプロピレン基である。Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、好ましくは炭素数1〜5の飽和炭化水素基、さらに好ましくはメチル基である。Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜5の飽和炭化水素基、さらに好ましくはメチル基である。mは0〜100の整数であり、好ましくは1〜60の整数であり、更に好ましくは5〜30の整数である。
【0016】
上記式(2−1)及び(2−2)において、Rは炭素数1〜10の飽和炭化水素基又はフェニル基であり、好ましくは炭素数1〜5の飽和炭化水素基であり、さらに好ましくはメチル基である。Rは炭素原子数1〜6の飽和炭化水素基またはフェニル基であり、好ましくは炭素原子数1〜3の飽和炭化水素基であり、さらに好ましくはメチル基である。Zは2価の有機基であり、好ましくは炭素数1〜10の飽和炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5の飽和炭化水素である。Dは階層数cの樹枝状構造を有する3+1(即ち、3のc乗+1)価のオルガノポリシロキサニル基であり、cは1〜8の整数であり、好ましくは1〜4の整数であり、さらに好ましくは1〜2の整数である。
【0017】
上記式(2−1)又は(2−2)で表される基は、詳細には下記構造で表される。
【化10】
【化11】
【0018】
上記式(2−2)においてDは例えば、下記の構造で表される。
【化12】
【化13】
【化14】
【0019】
Aで表される基としては、例えば下記構造が挙げられる。
【化15】
【化16】
【化17】
【0020】
繰り返し単位(II)において、Rは水素原子又はメチル基である。Bは炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、−O−、−S−およびNR−(Rは、水素原子、または炭素数1〜20の一価炭化水素基を表す。)から選ばれる1種または2種以上の2価の基を含んでいてもよく(ただし、酸素原子、硫黄原子および窒素原子のヘテロ原子同士は隣接しない。)、シリル基、カルボニル基、もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の一価炭化水素基、アミノ基、シロキシ基、ハロゲン原子、または水酸基であるが、好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
【0021】
上記式(I)及び(II)で表される繰り返し単位の結合順序は制限されるものでなく、それぞれの繰り返し単位が構成する配列は、不規則でもよく、規則的でもよい。繰り返し単位(I)、及び繰り返し単位(II)は、少なくとも1種類から構成されていればよく、複数から構成されていてもよい。
【0022】
繰り返し単位(I)を有する共重合体において、pは1以上の整数であり、上記共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数、好ましくは3,000〜100,000g/molとなる数、さらに好ましくは5,000〜50,000g/molとなる数である。
【0023】
繰り返し単位(I)及び繰り返し単位(II)を有する共重合体において、pは1以上の整数であり、qは1以上の整数であり、p+qは上記共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000g/molとなる数、好ましくは3,000〜100,000g/molとなる数、さらに好ましくは5,000〜50,000g/molとなる数である。
【0024】
末端構造(III)において、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基である。R及びRは同一、又は異なっていてもよく水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
【0025】
末端構造(IV)において、R10は水素原子又はメチル基、Xは上記A又はBで表される構造である。
【0026】
本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト(共)重合体は、下記一般式(6)で表される化合物を開始剤として、一般式(4)で表される単量体と、一般式(5)で表される単量体をグループ移動重合して得られる。
【0027】
以下、本発明の(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体を製造する方法について、詳細に説明する。
上記式(I)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体は、下記一般式(6)で表される化合物と、
【化18】
(式(6)中、R、R、及びRは上記の通りであり、R11、R12及びR13は互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)
下記一般式(4)で表される化合物とを、グループ移動重合させることにより得られる。
【化19】
(式中、R及びAは上述の通りである)。
上記式(I)で表される繰り返し単位及び式(II)で表される繰り返し単位を有する(メタ)アクリルシリコーングラフト(共)重合体は、上記一般式(6)で表される化合物と、上記一般式(4)で表される化合物及び下記式(5)で表される化合物とを、グループ移動重合させることにより得られる。
【化20】
(式中、R及びBは上述の通りである)。
【0028】
本発明の製造方法は上記式(6)の化合物を開始剤として、上記式(4)で表される(メタ)アクリル化合物又は、上記式(4)(メタ)アクリル化合物及び上記式(5)で表される(メタ)アクリル化合物をグループ重合させることを特徴とする。当該方法により得られる共重合体は末端に不飽和結合を有さない。該共重合体は耐熱性に優れ、熱分解が抑制される。さらに、上記方法により製造することにより、共重合体に不純物として含まれる残存単量体の含有量を減らすことができ、高純度を有する共重合体を提供できる。
【0029】
上記式(6)を開始剤として(メタ)アクリル化合物をグループ重合させ、上述した末端構造(III)及び(IV)を有する共重合体を得る反応機構は、例えば以下の通りである。
【化21】
【0030】
一般式(4)で表される化合物としては、例えば下記構造の化合物が挙げれるが、これらに制限されるものではない。
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0031】
上記一般式(5)で表される化合物としては、例えば下記の化合物が挙げられるが、これらに制限されるものでない。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、nブチル(メタ)アクリレート、第三級ブチル(メタ)アクリレート、nヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチル−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、ノナニル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2−イソプロピル−5−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ヘネイコサニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシエチル(メタ)アクリレート、1エトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−4H−ピラニル−2(メタ)アクリレート、エチルトリグリコール(メタ)アクリレート、ブチルジグリコール(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド。
【0032】
上記一般式(6)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1又は2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R及びRは互いに独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1又は2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R11、R12、及びR13は互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0033】
一般式(6)で表される開始剤としては、以下の化合物を用いることができる。本発明で用いることのできる開始剤が、以下に例示する開始剤に限られるわけではない。
【化27】
式中Meはメチル基、Etはエチル基、nPrはn−プロピル基、iPrはイソプロピル基、nBuはn−ブチル基を表す。
【0034】
以下、本発明の製造方法の一例を記載するが、本発明の製造方法は下記方法に制限されるものでない。
十分乾燥した三口フラスコに触媒を入れ、溶媒を加える。さらに、上記開始剤(6)を加え混合した後、滴下漏斗を用いて単量体(4)及び(5)を滴下し、撹拌する。発熱の程度に応じて、反応溶液を冷却し、適温に保つ。滴下後、単量体が消費されるまで撹拌し、反応停止剤を加え、反応を終了する。反応後、未反応の単量体を減圧留去する。
【0035】
グループ移動重合の触媒、溶媒、開始剤、単量体を加える順番は、場合に応じて適切な順番を選択することができる。例えば、触媒、溶媒、開始剤を予め混合した溶液に、最後に触媒を加えることで反応を行うこともできる。
【0036】
反応に用いる全ての単量体を、あらかじめ混合し滴下した場合、ランダム共重合体を合成することができる。また、反応に用いる各単量体を交互に加えると、ブロック共重合体を合成することができる。例えば、一般式(4)で表される一つの単量体を滴下し、反応終了を確認した後、一般式(5)で表される一つの単量体を滴下すれば、ABブロック共重合体を合成することができる。目的に応じて、種々のブロック共重合体を合成することができる(例えば、ABABブロック共重合体、ABCブロック共重合体など)。
【0037】
反応溶媒としては、非プロトン性の有機溶媒を用いることができる。例えば、酢酸エチル、プロピオニトリル、トルエン、キシレン、ブロモベンゼン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラメチレンスルホン、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アニソール、2−ブトキシエトキシトリメチルシラン、セロソルブアセテート、クラウンエーテル、アセトニトリル、テトラヒドロフランがあげられる。反応効率の観点から、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフランであり、さらに好ましくはテトラヒドロフランである。
【0038】
反応温度は−100℃〜150℃であり、好ましくは0℃〜50℃、さらに好ましくは10℃〜30℃である。
【0039】
単量体を減圧留去する際の温度は、80℃〜300℃であり、好ましくは100℃〜200℃、さらに好ましくは120℃〜180℃である。また、ストリップ時の圧力は1atm以下であり、好ましくは0.1atm以下、さらに好ましくは0.001atm以下である。
【0040】
本発明で得られる(メタ)アクリルシリコーン系グラフト(共)重合体の数平均分子量(Mn)は1,000〜1,000,000g/molであり、好ましくは3,000〜100,000g/mol、さらに好ましくは5,000〜50,000g/molである。また、多分散度(Mw/Mn)は、1.00〜3.00、好ましくは1.05〜2.00、さらに好ましくは1.10〜1.60である。
【0041】
触媒としては、一般的に、グループ移動重合の触媒として知られている、アニオン系触媒、ルイス酸触媒、有機分子触媒の中から選択し、用いることができる。
【0042】
アニオン系触媒
例えば、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケート、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムシアニド、テトラフェニルアルソニウムシアニド、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムアジド、テトラエチルアンモニウムアジド、ビス(ジアルキルアルミニウム)オキサイド、ボロントリフルオライドエーテレート、アルカリ金属フルオライド、アルカリ金属シアニド、アルカリ金属アジド、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリフェニルスタネート、テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、テトラブチルアンモニウムビベンゾエート、テトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートがあげられる。
【0043】
ルイス酸触媒
例えば、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、モノ及びジアルキルアルミニウムハライド、ジアルキルアルミニウムオキサイドがあげられる。
【0044】
有機分子触媒
例えば、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン、 1,3−ジイソプロピルイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、2,8,9−トリメチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)−ホスホラニリデンアミノ]−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス−(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル、トリフェニルカルベニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフルオロメタンスルホンイミド、1−[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチル]−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンがある。
【0045】
反応停止剤としては、プロトンを供与できる化合物が用いられる。例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、水があげられる。
【0046】
本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト(共)重合体(A)は、各種の化粧品に使用することができるが、特に皮膚や毛髪に外用されるすべての化粧料に好適である。好ましくは、本発明の化粧料は、皮膜剤及び/又は増粘剤として共重合体(A)を配合した化粧料とすることができる。共重合体(A)はシリコーン重合体としての特性を有する上、各種油剤への良好な相溶性と皮膚もしくは毛髪への密着性を同時に解決することができる共重合体であるため皮膜剤及び/ 又は増粘剤として好適に用いることができる。また、本発明の化粧料が乳化状のものである場合には、共重合体(A)を界面活性剤として用いた化粧料とすることができる。共重合体(A)はシリコーン部位、疎水性部位、親水性部位を有する共重合体であるため有効な界面活性剤として用いることができる。さらに、化粧料が粉体(F)を含むものである場合には、共重合体(A)を粉体(F)の分散剤として用いた化粧料とすることができる。多官能性の共重合体(A)は粉体(F)の分散剤として好適に用いることができる。皮膚や毛髪に外用される化粧料とは、たとえば、乳液、クリーム、クレンジング、パック、オイルリキッド、マッサージ料、美容液、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム等のスキンケア化粧料、メイクアップ下地、白粉、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧料、シャンプ− 、リンス、トリートメント、セット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止め乳液や日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料等である。本発明の化粧料に含まれる共重合体(A)の配合量は化粧料の剤形によって異なるが、化粧料全体の0.5〜99.0質量%の範囲で使用可能であり、好ましくは化粧料全体の1.0〜50質量%で配合される。
【0047】
本発明の化粧料は、上記(A)共重合体に加えて、化粧料に使用される種々の成分、(B)油剤成分、(C)紫外線吸収成分、(D)水、(E)界面活性剤、(F)粉体、(G)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物、(H)水溶性或いは水膨潤性高分子、(I)親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物、(J)親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物、(K)シリコーン樹脂、及び/又は(L)シリコーンワックス等を含むことができる。以下、各々の成分につき説明する。
【0048】
(B)油剤成分
上述のように本発明の化粧料は、1種または2種以上の油剤成分を含むことができる。油剤成分としては、通常の化粧料に使用される、固体、半固体、液状の何れの油剤も使用することができる。油剤成分を含むとしても、本発明の化粧料に含まれる(A)共重合体は相溶性が高いため、べたつきが少なく、なめらかに伸び、さっぱりとした使用感を与え、撥水性に富むと共に皮膚安全性が高く使用感が良好で使用性及び持続性に優れた化粧料を提供することができる。
【0049】
このような液状油剤としては、1種または2種以上のシリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油や天然動植物油等の極性油、半合成油、及び/又はフッ素系油等を挙げることができ、極性油、シリコーン油が好ましい。さらに、油剤成分(B)は1種または2種以上のエステル油、天然動植物油と1種または2種以上のシリコーン油からなるものとすることもできる。このように、油剤成分(B)が比較的高極性のエステル油、天然動植物油と比較的低極性のシリコーン油からなるものであったとしても、本発明の化粧料に含まれる共重合体(A)であれば、いずれとも相溶性を有するので、べたつきが少なく、なめらかに伸び、さっぱりとした使用感を与え、撥水性に富むと共に皮膚安全性が高く使用感良好で使用性及び持続性に優れた化粧料を提供することができる。
【0050】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヘキシルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン等の分岐状オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンガムやゴムの環状シロキサン溶液、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状オルガノポリシロキサン溶液、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、長鎖アルキル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。
【0051】
炭化水素油としては、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられる。例えば、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、イソドデカン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0052】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0053】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、及びミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0054】
また、天然動植物油類及び半合成油として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、精製キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、スクワラン、スクワレン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、メドウフォーム油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、P O E はポリオキシエチレンを意味する。
【0055】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0056】
本発明の化粧料に含まれる(B)油剤成分の配合量は化粧料の剤系によっても異なるが、化粧料全体の1〜98質量%、好ましくは1〜50質量%の範囲が好適である。
【0057】
(C)紫外線吸収成分
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の紫外線吸収成分を含むことができる。これにより、本発明の化粧料は使用感良好で使用性及び持続性に優れる上、紫外線を吸収することのできる化粧料となる。紫外線吸収成分としては、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤が包含される。紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤等が例示される。また、先に述べた紫外線吸収性の官能基を備えるシリコーン誘導体を用いてもよい。紫外線吸収散乱剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粉体が挙げられる。これらのうち、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、酸化チタン、及び酸化亜鉛が好ましい。
【0058】
(D)水
本発明の化粧料には、その目的に応じて水を配合することができる。これにより、本発明の化粧料は使用目的に応じて水を配合することで、より使用性にすぐれた化粧料となる。水の配合量は、化粧料全体の95質量%以下の範囲が好適である。
【0059】
(E)界面活性剤
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の界面活性剤を含むことができる。これにより、本発明の化粧料は使用目的に応じて界面活性剤を配合することで、より使用性にすぐれた化粧料となる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤があるが、本発明の化粧料に含まれる界面活性剤は特に制限されるものではなく、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。
【0060】
例えば、アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等; カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0061】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、直鎖或いは分岐状ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖或いは分岐状ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖或いは分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖或いは分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
【0062】
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アミドアミン型等が挙げられる。
【0063】
これらの界面活性剤の中でも、分子中にポリオキシエチレン鎖を有する直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン、分子中にポリグリセリン鎖を有する直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン、或いはそれぞれのアルキル共変性オルガノポリシロキサンである界面活性剤が好ましい。市販品としては、特に限定されるものではないが、KF−6011、KF−6011P、KF−6043、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6100、KF−6104、KF−6105、KF−6106(何れも信越化学工業(株)製)等がある。また、HLBが2〜10である界面活性剤が好ましく、配合量は、化粧料全体の0.1〜20質量%であることが好ましく、特に0.2〜10質量%の範囲が好適である。
【0064】
(F)粉体
本発明の化粧料はさらに1種または2種以上の粉体を含んでも良い。粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等 や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、タール色素、金属粉末顔料、天然色素、染料等の着色剤があげられる。
【0065】
無機粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、及びシリル化シリカ等が挙げられる。
【0066】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリアクリル酸・アクリル酸エステルパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、ジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状オルガノポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、疎水化シリカ、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、脂肪酸デンプン誘導体末、及びラウロイルリジン等が挙げられる。
【0067】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、例えば、ウンデシレン酸亜鉛、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0068】
有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0069】
パール顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0070】
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等; 天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体が挙げられる。
【0071】
これらの粉体のうち、本発明においては、少なくとも一部がジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状ポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末架橋型球状ジフェニルポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、疎水化シリカが好ましく、また、フッ素基を有する粉体、着色剤も用いられる。市販品としては、KMP−590、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105、KSP−300(何れも信越化学工業(株)製)等がある。
【0072】
これらの粉体は本発明の効果を妨げない範囲で、粉体の複合化や一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。例えば、フッ素化合物処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理などによって事前に表面処理されていてもいなくてもかまわない。必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。また、これらの粉体の配合量は、化粧料全体の99質量% 以下の範囲が好適である。特に、粉末化粧料の場合の配合量は、化粧料全体の80〜99質量%の範囲が好適である。
【0073】
(G)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物を含んでも良い。ただし上記共重合体のモノマー単位(II)を構成するための炭素数12以上のアルコール化合物は、該アルコール性水酸基を有する化合物から除かれる。かかる化合物としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ソルビトール、マルトース等の糖アルコール等があり、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール等があるが、通常は水溶性一価のアルコール、水溶性多価アルコールが多く用いられる。分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物の配合量は、化粧料全体の98質量%以下の範囲が好適である。
【0074】
(H)水溶性或いは水膨潤性高分子
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の水溶性或いは水膨潤性高分子(H)を含んでも良い。これら水溶性或いは水膨潤性高分子としては、例えば、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン塩コポリマー等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなど他の合成水溶性高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子などがある。また、これらの水溶性高分子には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。水溶性或いは水膨潤性高分子(H)の配合量は、化粧料全体の25質量%以下の範囲が好適である。
【0075】
(I)親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物(I)を含んでも良い。該架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、アルキルハイドロジェンポリシロキサンを分子鎖末端に反応性ビニル性不飽和基を有する架橋剤と反応することによって得られる。アルキルハイドロジェンポリシロキサンとしては直鎖ないし一部分岐単位を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン、炭素数が6〜20のアルキル鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン等をあげることができる。ケイ素原子に結合した水素原子は、分子中に平均で二つ以上必要である。架橋剤は、メチルビニルポリシロキサンやα、ω−アルケニルジエン等のように、分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持つものがあげられる。これらの例として特許第192571号、特許1932769号、国際公開WO03−24413、特開2009−185296の各公報に記載されている組成物が挙げられる。該架橋型メチルポリシロキサンを、例えば自重以上の0.65mm/秒(25℃)〜100.0mm/秒(25℃)の低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、エステル油で膨潤させる。また、これらの架橋型オルガノポリシロキサンは市販品としては、特に限定されるものではないが、シリコーン油でペースト状にしたKSG−15、KSG−16、KSG−18、KSG−1610、USG−103、炭化水素油やトリグリセライド油でペースト状にしたUSG −106、KSG−41、KSG−42、KSG−43、KSG−44、KSG−810(何れも信越化学工業(株)製)等がある。該親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサンと液状油剤からなる組成物(I)の配合量は、化粧料の総量に対して0.1 〜 50質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30質量%である。
【0076】
(J)親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上の親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物を含んでも良い。該親水性基としては、ポリエーテル基、ポリグリセリン基が好ましい。該ポリエーテル基及び/又はポリグリセリン基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、アルキルハイドロジェンポリシロキサンを分子鎖末端に反応性ビニル性不飽和基を有する架橋剤と反応することによって得られる。アルキルハイドロジェンポリシロキサンとしてポリオキシエチレン鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリグリセリン鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン等をあげることができ、ケイ素原子に結合した水素原子は、分子中に平均で二つ以上必要である。架橋型オルガノポリシロキサン重合物を、自重以上の0.65mm/秒(25℃)〜100.0mm/ 秒(25℃)の低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、エステル油に膨潤させる。架橋剤は、メチルビニルポリシロキサンやα、ω−アルケニルジエン、グリセリントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化トリメチロールプロパントリアリルエーテル等のように、分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持つものがあげられるが、これらを反応させた架橋物は、少なくとも1つの親水基を有するものである。組成物(J)としては、特許2631772号、特開平9−136813号、特開2001−342255号、国際公開WO03/20828、特開2009−185296の各公報に記載されているものが好ましい。また、これらの架橋型オルガノポリシロキサンは市販品としては、特に限定されるものではないが、シリコーン油でペースト状にしたKSG−210、KSG−240、KSG−710、炭化水素油やトリグリセライド油でペースト状にしたKSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−340、KSG−820、KSG−830、KSG−840(何れも信越化学工業(株)製)等がある。また、該親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサンと液状油剤からなる組成物(J)の配合量は、化粧料の総量に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30質量%である。
【0077】
(K)シリコーン樹脂
本発明の化粧料は、さらに1種または2種以上のシリコーン樹脂(K)を含んでも良い。シリコーン樹脂は、SiO 単位及び/又はRSiO1.5(Rはアルキル基)を含むシリコーン網状化合物、直鎖状のアクリル/シリコーングラフト、又はこれらのブロック共重合体からなる群より選ばれるものであることが好ましい。直鎖状のアクリル/シリコーングラフト又は前記ブロック共重合体は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸などのアニオン部分の中から選択される少なくとも1種を有していてよい。市販品としては、特に限定されるものではないが、シリコーン油や炭化水素油、アルコールに溶解したKP−541、KP−543、KP−545、KP−549、KP−550、KP−571、KP−575、KP−581(何れも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0078】
前記シリコーン網状化合物は、MQ、MDQ、MT、MDT、MDTQと表されるシリコーン網状化合物であることが好ましい。但しM、D、T、Qは、それぞれ、RSiO0.5単位、RSiO単位、RSiO1.5単位、SiO単位を表す。シリコーン網状化合物は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、アミノ部分の中から選択される少なくとも1種を分子中に含有していてよい。市販品としては、特に限定されるものではないが、KF−7312J、KF−7312K、KF−7312T(何れも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0079】
前記シリコーン樹脂は、低粘度シリコーン油や揮発性シリコーン油、及びその他の溶剤に溶解させたものでもよい。何れも、前記シリコーン樹脂の配合量は、本発明の化粧料の総量に対して樹脂量が0.1〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜10質量%である。
【0080】
(L)シリコーンワックス
本発明の化粧料は、その目的に応じてシリコーンワックス(L)を含むこともできる。このシリコーンワックスは、5員環以上のラクトン化合物の開環重合物であるポリラクトンを結合させたポリラクトン変性ポリシロキサンであることが好ましい。あるいは、このシリコーンワックスは、ピロリドン基、長鎖アルキル基、ポリオキシアルキレン基、フルオロアルキル基、カルボン酸などのアニオン基の中から選択された少なくとも一つの官能基を分子中に含有するアクリル変性ポリシロキサンであることが好ましい。市販品としては、長鎖アルキル基を有するワックスとして、KP−561P、KP−562P(何れも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0081】
あるいは、このシリコーンワックスが、オレフィンワックスと1分子中1個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させることによって得られるシリコーン変性オレフィンワックスであることが好ましい。また、オレフィンワックスは、エチレンと少なくとも1種のジエンを共重合して得られるもの、または、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種のジエンを共重合して得られるものであり、このジエンとしては、ビニルノルボルネンが好適である。
【0082】
何れのシリコーンワックスを選択するにせよ、シリコーンワックスを用いる場合、その配合量は、本発明の化粧料の総量に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、特に1〜10重量%であることが好ましい。
【0083】
その他の成分
更に本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に使用される成分、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、制汗剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物、毛髪用固形化剤等を添加することができる。
【0084】
前記油溶性ゲル化剤としては、例えばアルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等から選ばれる1種または2種以上の油溶性ゲル化剤が挙げられる。
【0085】
前記制汗剤としては、例えばアルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等から選ばれる1種または2種以上の制汗剤が挙げられる。
【0086】
前記保湿剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等から選ばれる1種または2種以上の保湿剤が挙げられる。
【0087】
前記防菌防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等から選ばれる1種または2種以上の防菌防腐剤が挙げられる。
【0088】
前記塩類としては、例えば無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、たとえば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等から選ばれる1種または2種以上の塩類が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、更には、化粧品処方の中で使用される酸−アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0089】
前記酸化防止剤としては、例えばトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等から選ばれる1種または2種以上の酸化防腐剤が挙げられる。
【0090】
前記美肌用成分としては、例えば胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等から選ばれる1種または2種以上の美肌用成分が挙げられる。
【0091】
前記ビタミン類としては、例えばビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等から選ばれる1 種または2種以上のビタミン類が挙げられる。
【0092】
前記アミノ酸類としては、例えばグリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等、核酸としては、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等から選ばれる1 種または2 種以上のアミノ酸類が挙げられる。
【0093】
前記毛髪固定用高分子化合物としては、例えば両性、アニオン性、カチオン性、非イオン性の各高分子化合物が挙げられ、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体等の、ポリビニルピロリドン系高分子化合物、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物、N−メタクリロイルエチル−N、N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカルボキシベタイン/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート/アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性アクリル系高分子化合物から選ばれる1種または2種以上の毛髪固定用高分子化合物が挙げられる。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0094】
また、本発明における化粧料としては、上記化粧料成分を配合してなる、乳液、クリーム、クレンジング、パック、マッサージ料、美容液、美容オイル、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム、しわ隠し等のスキンケア化粧料、メイクアップ下地、コンシーラー、白粉、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、トリートメント、セット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止めオイルや日焼け止め乳液、日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料等が挙げられる。
【0095】
また、これらの化粧料の形状としては、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状等、種々の形状を選択することができる。
【0096】
さらに、これらの化粧料の形態としては、水性、油性、油中水型エマルション、水中油型エマルション、非水エマルション、W/O/WやO/W/Oなどのマルチエマルション等、種々の形態を選択することができる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
尚、特に断らない限り、以下に記載する「%」は「質量%」を意味し、各例の全体の質量を100%として各成分の質量%を表す。粘度は25℃での数値である。GPCは、HLC−8220 GPC(東ソー社製)を用いた。GC−MSは、7697Aヘッドスペースサンプラ,7890B GCシステム,5977AMSD(すべてアジレント・テクノロジー社製)を用いた。NMRは、AVANCE III 400(ブルカー社製)を用いた。
【0098】
[実施例1]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル(MMA)10g、下記式で表される単量体(a)10g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(7)に示される共重合体であることが確認された。H−NMRチャートを図1及び図2に示す。図1H−NMRチャートの全体図であり、図2H−NMRチャートのうち末端の構造を示す箇所を拡大したものである。
また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。GC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,700、多分散度(Mw/Mn)=1.24
残存単量体量(MMA)<1ppm
【化28】

【化29】
(式(7)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメチル基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0099】
[実施例2]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル 15g、上記単量体(a)15g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから上記式(7)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=15,100、多分散度(Mw/Mn)=1.28
残存単量体量(MMA)<1ppm
【0100】
[実施例3]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタールe436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル20g、上記単量体(a)20g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから上記式(7)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=20,400、多分散度(Mw/Mn)=1.34
残存単量体量(MMA)<1ppm
【0101】
[実施例4]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル 7.1g、メタクリル酸n−ブチル(BMA)1.6g、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2EHMA)1.8g、単量体(b)10.0g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。その後、150℃で1時間、減圧留去した。GC−MSにて残存単量体を定量したところ単量体が残存していたため、再び150℃で1時間ストリップして共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(8)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=10,700、多分散度(Mw/Mn)=1.27
残存単量体量
(減圧留去後)<1ppm(MMA)、20ppm(BMA)、23ppm(2EHMA)
(2回目の減圧留去後)<1ppm(MMA)、<1ppm(BMA)、<1ppm(2EHMA)
【化30】
【化31】
(式(8)中、Aは上記単量体(b)の残基であり、Xはメチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基又は上記単量体(b)の残基であり、p、q、q、及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0102】
[実施例5]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル 10.5g、メタクリル酸n−ブチル2.3g、メタクリル酸2−エチルヘキシル2.5g、上記単量体(b)15.0g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。その後、150℃で1時間、減圧留去した。GC−MSにて残存単量体を定量したところ単量体が残存していたため、再び150℃で1時間ストリップを行い、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから上記式(8)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=17,800、多分散度(Mw/Mn)=1.38
残存単量体量
(減圧留去後)<1ppm(MMA)、34ppm(BMA)、50ppm(2EHMA)
(2回目の減圧留去後)<1ppm(MMA)、<1ppm(BMA)、<1ppm(2EHMA)
【0103】
[実施例6]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル 14.0g、メタクリル酸n−ブチル3.0g、メタクリル酸2−エチルヘキシル3.2g、上記単量体(b)20.0g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。その後、150℃で1時間、減圧留去した。GC−MSにて残存単量体を定量したところ単量体が残存していたため、再び150℃で1時間ストリップを行い、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから上記式(8)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=21,500、多分散度(Mw/Mn)=1.42
残存単量体量
(減圧留去後)<1ppm(MMA)、44ppm(BMA)、60ppm(2EHMA)
(2回目の減圧留去後)<1ppm(MMA)、<1ppm(BMA)、<1ppm(2EHMA)
【0104】
[実施例7]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル10g、下記単量体(c)10g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(9)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,340、多分散度(Mw/Mn)=1.32
残存単量体量(MMA)<1ppm
【化32】
【化33】
(式(9)中、Aは上記単量体(c)の残基であり、Xはメチル基又は上記単量体(c)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0105】
[実施例8]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル 7.1g、メタクリル酸n−ブチル1.6g、メタクリル酸2−エチルヘキシル1.8g、上記単量体(c)10.0g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。その後、150℃で1時間、減圧留去した。GC−MSにて残存単量体を定量したところ単量体が残存していたため、再び150℃で1時間ストリップを行い、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(10)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=10,800、多分散度(Mw/Mn)=1.33
残存単量体量
(減圧留去後)<1ppm(MMA)、25ppm(BMA)、51ppm (2EHMA)
(2回目の減圧留去後)<1ppm(MMA)、<1ppm(BMA)、<1ppm(2EHMA)
【化34】
(式(10)中、Aは上記単量体(c)の残基であり、Xはメチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基又は上記単量体(c)の残基であり、p、q、q、及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0106】
[実施例9]
三口フラスコに、トルエン25mL、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mg、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)10.0g、下記単量体(d)10.0gを入れ撹拌した。そこへ、50mM 1−[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチル]−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン トルエン溶液400μLを加えて、さらに撹拌した。1時間後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(11)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=12,340、多分散度(Mw/Mn)=1.18
残存単量体量42ppm(2EHA)
【化35】
【化36】
(式(11)中、Aは上記単量体(d)の残基であり、Xは2−エチルヘキシル基又は上記単量体(d)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0107】
[実施例10]
三口フラスコに、トルエン25mL、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mg、ジメチルアクリルアミド(DMAA)10.0g、上記単量体(d)10.0gを入れ撹拌した。そこへ、50mM 1−[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチル]−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン トルエン溶液400μLを加えて、さらに撹拌した。1時間後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(12)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,920、多分散度(Mw/Mn)=1.24
残存単量体量32ppm(DMAA)
【化37】
(式(12)中、Aは上記単量体(d)の残基であり、Xはジメチルアクリルアミドの残基又は上記単量体(d)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0108】
[実施例11]
三口フラスコに、トルエン25mL、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mg、アクリル酸2−エチルヘキシル9.0g、ジメチルアクリルアミド1.0g、上記単量体(d)10.0gを入れ撹拌した。そこへ、50mM 1−[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチル]−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン トルエン溶液 400μLを加えて、さらに撹拌した。1時間後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。得られた共重合体を重クロロホルムに溶かし、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルから下記式(13)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=12,030、多分散度(Mw/Mn)=1.19
残存単量体量33ppm(2EHA)、29ppm(DMAA)
【化38】
(式(13)中、Aは上記単量体(d)の残基であり、Xはアクリル酸2−エチルヘキシルの残基、ジメチルアクリルアミドの残基又は上記単量体(d)の残基であり、p、q、及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0109】
[実施例12]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF 25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール 436mgを加え、メタクリル酸メチル10.0gを15分かけて滴下し、さらに15分撹拌した。次に、上記単量体(a)10.0gを15分かけて滴下した。室温でさらに15分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(14)に示される共重合体(ABブロック共重合体)であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=10,800、多分散度(Mw/Mn)=1.08
残存単量体量(MMA)<1ppm
【化39】
(式(14)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメチル基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はABブロック構造を形成している)
【0110】
[実施例13]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF 25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール 436mgを加え、メタクリル酸メチル5.0gを10分かけて滴下し、さらに10分撹拌した。次に、上記単量体(a)5.0gを10分かけて滴下し、10分撹拌した。同じように、もう一度メタクリル酸メチル5.0g、単量体(a)5.0gを滴下、撹拌した。その後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(15)に示される共重合体(ABABブロック共重合体)であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,100、多分散度(Mw/Mn)=1.10
残存単量体量(MMA)<1ppm
【化40】
(式(15)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメチル基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はABABブロック構造を形成している)
【0111】
[実施例14]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸ラウリル(LMA)15g、上記単量体(a)15g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。180℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(16)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=16,400、多分散度(Mw/Mn)=1.22
残存単量体量(LMA)28ppm
【化41】
(式(16)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメタクリル酸ラウリルの残基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0112】
[実施例15]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸ステアリル(SMA)15g、上記単量体(a)15g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。180℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(17)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=15,530、多分散度(Mw/Mn)=1.30
残存単量体量(SMA)42ppm
【化42】
(式(17)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメタクリル酸ステアリルの残基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0113】
[実施例16]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール436mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸2−エトキシエチル(EEMA)10g、上記単量体(a)10g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(18)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,030、多分散度(Mw/Mn)=1.12
残存単量体量(EEMA)38ppm
【化43】
(式(18)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメタクリル酸2−エトキシエチルの残基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0114】
[実施例17]
三口フラスコに、減圧乾燥したテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエート19.9mgを入れ、THF25mLを加えて溶かした。窒素雰囲気下で、ジメチルケテンメチルトリエチルシリルアセタール541mgを加え、モノマー混合物(メタクリル酸メチル(MMA)10g、上記単量体(a)10g)を30分かけて滴下した。室温でさらに30分撹拌した後、メタノール4mLを加えて反応を停止した。150℃で1時間、減圧留去して、共重合体を得た。H−NMRスペクトルから下記式(19)に示される共重合体であることが確認された。また、GPCにて数平均分子量及び多分散度(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=11,230、多分散度(Mw/Mn)=1.29
残存単量体量(MMA)<1ppm
【化44】
(式(19)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、Xはメチル基又は上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0115】
[比較例1]
トルエン16gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、単量体とラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル20g、上記単量体(a) 20g、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチル(登録商標)O)4.39g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.46g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去して、下記式(20)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=10,200、多分散度(Mw/Mn)=1.80
残存単量体量(MMA)930ppm
【化45】
(式(20)中、Aは上記単量体(a)の残基であり、p及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0116】
[比較例2]
トルエン16gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、モノマーとラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル20g、上記単量体(a)20g、パーブチルO 2.63g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.58g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去して、上記式(20)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=18,000、多分散度(Mw/Mn)=2.23
残存単量体量(MMA)1120ppm
【0117】
[比較例3]
トルエン16gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、モノマーとラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル20g、上記単量体(a)20g、パーブチルO 1.48g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.29g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去し、上記式(20)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=22,300、多分散度(Mw/Mn)=2.00
残存単量体量(MMA)994ppm
尚、該比較例1〜3の製造方法では末端停止反応が複数起きるため、上記式(20)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体の末端構造を特定するのは困難であった。
【0118】
[比較例4]
トルエン48gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、モノマーとラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル31.5g、メタクリル酸n−ブチル6.8g、メタクリル酸2−エチルヘキシル7.3g、単量体(b)45.0g、パーブチルO 2.7g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.42g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去して、下記式(21)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=12,500、多分散度(Mw/Mn)=1.88
残存単量体量1150ppm(MMA)、773ppm(BMA)、750ppm(2EHMA)
【化46】
(式(21)中、Aは上記単量体(b)の残基であり、p、q、q、及びqは該共重合体が上記数平均分子量を有する数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合している)
【0119】
[比較例5]
トルエン24gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、モノマーとラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル15.7g、メタクリル酸n−ブチル3.37g、メタクリル酸2−エチルヘキシル3.64g、上記単量体(b)22.5g、パーブチルO 1.07g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.44g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去して、上記式(21)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=20,800、多分散度(Mw/Mn)=1.54
残存単量体量1125ppm(MMA)、762ppm(BMA)、789ppm(2EHMA)
【0120】
[比較例6]
トルエン24gをセパラブルフラスコに仕込み、オイルバスで100℃に加熱した。そこへ、モノマーとラジカル開始剤の混合物(メタクリル酸メチル15.7g、メタクリル酸n−ブチル3.37g、メタクリル酸2−エチルヘキシル3.64g、上記単量体(b) 22.5g、パーブチルO 0.72g)を3時間かけて滴下した。100℃で2時間撹拌し、さらにパーブチルOを0.31g加えた。その後、100℃で3時間撹拌して、室温に戻した。150℃で1時間、減圧留去して、上記式(21)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCにて数平均分子量及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)を求めた。さらにGC−MSにて残存単量体を定量した。結果は以下の通りである。
数平均分子量(Mn)=24,600、多分散度(Mw/Mn)=2.30
残存単量体量1015ppm(MMA)、820ppm(BMA)、791ppm(2EHMA)
尚、該比較例4〜6の製造方法では末端停止反応が複数起きるため、上記式(21)で表されるメタクリルシリコーン系グラフト共重合体の末端構造を特定するのは困難であった。
【0121】
[熱重量分析]
実施例1〜6、及び比較例1〜6で得た各共重合体の熱重量分析を行い、50%重量減少温度を測定した。測定方法を以下に詳細に説明する。
各共重合体を150℃で1時間ストリップしたサンプル10mg程度を量り取り、試料セルを作成した。熱重量分析装置(TGA Q 500、TA instruments社製)に試料セルをセットして、窒素雰囲気下にて0℃から600℃まで昇温させ(昇温速度:10℃/min)、重量の変化を計測した。昇温前の重量から半量に減少した時の温度を50%重量減少温度とした。表1に結果を示す。実施例1〜6の50%重量減少温度はいずれも360℃以上であり、比較例の共重合体より耐熱性が高かった。
【0122】
【表1】
【0123】
実施例18〜20及び比較例7〜11
油性ファンデーションの評価
実施例1、3及び6で得た(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体(A)を用いて、下記の表2に示す各組成にて、下記方法に従い油性ファンデーションを製造した。
(製造方法)
工程A:成分1〜12を加熱溶解した。
工程B:成分13〜16をAと混合した。
工程C:B を三本ローラーにて均一分散した。
工程D:C を加熱溶解し、次いで脱泡した後、金皿に充填し、冷却して得た。
【0124】
得られた油性ファンデーションの使用性について、下記指標に基づき評価した。
女性50名のパネルにより使用性のテストを行ない、塗布時の艶、肌への延び、密着感、おさまりの良さ、べたつきのなさ、しっとり感、仕上がりの美しさ、化粧持ちの良さについて下記表3の評価基準で評価し、下記表4の採点基準で採点し、その平均点で油性ファンデーションの使用性について評価した。それらの結果を表5に示す。表5の結果から明らかなように、本発明の共重合体を配合した実施例18〜20の油性ファンデーションは、比較例7〜11の油性ファンデーションに比べ、製品表面の艶、肌への延び、密着感、おさまりに優れ、べたつきがなく、しっとりとした仕上がりの美しい油性ファンデーションであり、また、化粧持ちも非常に良いものであった。
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
実施例21
口紅の製造及び評価
下記表6に示す組成の口紅を製造し、その使用性について評価した。製造方法は下に示す通りである。得られた口紅は、製品表面のツヤが非常にあり、塗布時、塗布後のべたつきがなかった。また、密着感に優れ、色移り、色落ち、にじみがなく、化粧持ちの良い口紅であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜10を加熱溶解した。
工程B:脱泡させた後、成分11、12を加えて充填し、成形した。
【0130】
【表6】
【0131】
実施例22〜26
W/O型クリームの製造及び評価
下記表7に示す各組成のW/O型クリームを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られたW/O型クリームは、どれも油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽くさっぱりとした、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、マットでしっとりした仕上がりが得られるW/O型クリームであった。
(製造方法)
工程A:成分1〜13を均一に混合する。
工程B:成分14〜22を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
【0132】
【表7】
【0133】
実施例27、28
サンカットクリームの製造及び評価
下記表8に示す各組成にてサンカットクリームを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られたサンカットクリームは、べたつきがなく、のび広がりも軽くさっぱりとして化粧持ちも良いサンカットクリームであった。
(製造方法)
工程A:成分1〜11を均一に混合する。
工程B:成分12〜15を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
【0134】
【表8】
【0135】
実施例29
サンカット乳液の製造及び評価
下記表9に示す組成のサンカット乳液を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、のび広がりが良く、べたつきもなくさっぱりとして化粧持ちも良いサンカット乳液であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜6を均一に混合する。
工程B:成分9〜12を混合溶解する。
工程C:Aに加えて攪拌乳化し、成分7及び8を加える。
【0136】
【表9】
【0137】
実施例30〜32
O/W型のクリームの製造及び評価
下記表10に示す各組成にてO/W型のクリームを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、キメが細かく、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがない上しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に化粧持ちも非常に良く、温度変化や経時による変化がなく安定性に優れているO/W型クリームであった。
(製造方法)
工程A:成分1〜8を混合した。
工程B:成分9〜21を混合溶解した。
工程C:AをBに加えて攪拌乳化した。
【0138】
【表10】
【0139】
実施例33〜35
ヘアクリームの製造及び評価
下記表11に示す各組成にてヘアクリームを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られたヘアクリームは、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に、毛髪に光沢と滑らかさを与え、毛髪に対する優れたセット効果を有するヘアクリームであった。
(製造方法)
工程A:成分1〜17を加熱混合する。
工程B:成分18〜27を加熱溶解する。
工程C:攪拌下、AにBを徐添して乳化し、冷却して成分28を添加し、ヘアクリームを得た。
【0140】
【表11】
【0141】
実施例36〜39
ブラッシング剤スプレー、ヘアスプレー、脱臭剤、及びコンディショニングムースの製造及び評価
下記表12に示す各組成にてブラッシング剤スプレー、ヘアスプレー、脱臭剤、及びコンディショニングムースを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、髪に対して使用すると髪はツヤがあって非常になめらかとなり、持続性にも優れていた。又、使用時の粉の分散性に優れ、櫛通りが良くツヤのある非常に良いものとなった。
(製造方法)
工程A:成分1〜15を混合した。
工程B:成分16〜24を溶解し、Aに均一分散させる。エアゾール缶に詰めた後、成分25(n−ブタン、イソブタン、プロパンからなる混合物)を充填し、ブラッシング剤スプレー、ヘアスプレー、脱臭剤、及びコンディショニングムースを得た。
【0142】
【表12】
【0143】
実施例40、41
O/W/O型化粧料の製造及び評価
下記表13に示す各組成にてO/W/O型化粧料を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、さっぱりとしてべたつきや油感がなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性も非常に優れているO/W/O型化粧料であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜7を均一に混合した。
工程B:成分8〜14を加熱混合し、均一にした。
工程C:成分15〜19を加熱混合した。
工程D:Bを攪拌しながらCを加えて乳化し、冷却した。
工程E:Aを攪拌しながらDを加えて乳化した。
【0144】
【表13】
【0145】
実施例42、43
制汗剤の製造及び評価
下記表14に示す各組成にて制汗剤を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、しかもあまり白くならず、さっぱりとした使用感を与えると共に、温度や経時的に変化がなく安定性にも優れている制汗剤であった。
(実施例25の製造方法)
工程A:成分1〜8を混合した。
工程B:Aに成分9、16を加え、均一に分散し、ロールオンタイプの制汗剤を得た。
( 実施例26の製造方法)
工程A:成分10〜14を混合する。
工程B:成分15を16に溶解する。
工程C:攪拌下、AにBを徐添して乳化し、乳化タイプの制汗剤を得た。
【0146】
【表14】
【0147】
実施例44〜48
洗浄剤の製造及び評価
下記表15に示す各組成の各種洗浄剤を製造し、その使用性について評価した。製造方法は下に示す。以下のようにして得られた洗浄剤は、口紅やファンデーションの汚れや、毛髪用セット剤等に対してなじみも早く、汚れ落ちも非常に良好で、さらに塗布時ののび広がりも良く、後肌もしっとりして非常に使用感の良い洗浄剤であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜4を均一に溶解した。
工程B:成分5〜21を均一に溶解した。
工程C:Bを攪拌しながらAを加え、均一に分散した。
【0148】
【表15】
【0149】
実施例49
W/Oほほ紅の製造及び評価
下記表16に示す組成のW/Oほほ紅を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られたW/Oほほ紅は、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、後肌のしっとりした、安定性の良いW/Oほほ紅であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜11を均一に混合した。
工程B:成分12〜14を均一に混合した。
工程C:攪拌下、BをAに加えて均一に乳化した。
【0150】
【表16】
【0151】
実施例50〜52
アイシャドウの製造及び評価
下記表17に示す各組成にてアイシャドウを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、みずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時的に変化がなく安定性にも優れているアイシャドウとなった。
(製造方法)
工程A:成分1〜10を混合し、成分11〜19を添加して均一に分散する。
工程B:成分20〜26を均一溶解する。
工程C:攪拌下、AにBを徐添して乳化し、アイシャドウを得た。
【0152】
【表17】
【0153】
実施例53〜55
各種化粧料の製造及び評価
下記表18に示す各組成にて各種化粧料を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。得られた化粧料は、のび広がりも軽く、みずみずしくさっぱりとしてべたつきがなく、温度や経時による変化もない、使用性も安定性にも非常に優れている化粧料であった。
(製造方法)
工程A:成分1〜11を均一混合する。
工程B:成分12〜20を均一溶解する。
工程C:攪拌下、AにBを徐添して乳化し、冷却して成分21を添加し、化粧料を得た。
【0154】
【表18】
【0155】
実施例56〜59
各種化粧料の製造及び評価
下記表19に示す各組成にて各種化粧料を製造し、その使用性について評価した。製造方法は下に示す。以下のようにして得られた化粧料は、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られる化粧料となった。
(製造方法)
工程A:成分16〜25を均一分散する。
工程B:成分1〜15、及び26を均一に混合し、Aに加えて均一にする。
工程C:Bに成分27を添加し、容器に充填し(必要に応じてプレス成形して)化粧料を得る。
【0156】
【表19】
【0157】
実施例60〜62
アイライナーの製造及び評価
下記表20に示す各組成にてアイライナーを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。以下のようにして得られた化粧料は、のびが軽くて描きやすく、清涼感があってさっぱりとし、べたつきがない使用感である上、温度や経時による変化もなく、使用性も安定性も非常に優れており、耐水性、耐汗性も共に優れ、化粧持ちも非常に良いアイライナーとなった。
(製造方法)
工程A:成分1〜11を混合し、均一に分散する。
工程B:成分12〜16を混合する。
工程C:BをAに徐添して乳化した後冷却し、アイライナーを得た。
【0158】
【表20】
【0159】
実施例63〜66
各種化粧料の製造及び評価
下記表21に示す各組成にて各種化粧料を製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。以下のようにして得られた化粧料は、キメが細かく、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に、化粧持ちも非常に良く、温度や経時的に変化がなく安定性にも優れる化粧料となった。
(製造方法)
工程A: 成分1〜8を加熱混合する。
工程B: 成分9〜19を加熱溶解する。
工程C: 攪拌下、AにBを徐添して均一分散し、20を添加して化粧料を得た。
【0160】
【表21】
【0161】
実施例67
透明クレンジングローションの製造及び評価
下記表22に示す組成にて透明クレンジングローションを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。以下のようにして得られた化粧料は、のび広がりが軽く、しっとりとしてみずみずしい使用感を与え、クレンジング効果も高い透明クレンジングローションとなった。
(製造方法)
工程A:成分1〜4を均一に混合する。
工程B:成分4〜10を均一に混合する。
工程C:攪拌下、BにAを徐添して乳化し、透明クレンジングローションを得た。
【0162】
【表22】
【0163】
実施例68
キューティクルコートの製造及び評価
下記表23に示す組成にてキューティクルコートを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。以下のようにして得られた化粧料は、のび広がりが軽く、毛髪のぱさつきを抑え、光沢と滑らかさを与えるキューティクルコートとなった。
(製造方法)
工程A: 成分1〜3を均一に混合する。
工程B: 成分4〜10を均一に混合する。
工程C: 攪拌下、BにAを徐添して乳化し、キューティクルコートを得た。
【0164】
【表23】
【0165】
実施例69
ネイルエナメルの製造及び評価
下記表24に示す組成にてネイルエナメルを製造し、その使用性について評価した。製造方法は以下の通りである。以下のようにして得られた化粧料は、のび広がりが軽く、爪に光沢与え持ちも優れているネイルエナメルとなった。
(製造方法)
工程A:成分2と成分5の一部、成分10を混合する。
工程B:成分1の一部と成分8の一部、成分9を混合し、十分に練り込む。
工程C:成分1の残部と、成分3、成分4、成分5の残部、成分6〜7、成分8の残部を混合し、均一に溶解する。
工程D:混合物AとBをCに加え、均一になるまで混合する。
【0166】
【表24】
【0167】
上記の通り、本発明の共重合体を含まない化粧料は使用感および化粧持ちに劣るのに対し(比較例)、実施例に示す通り、本発明の共重合体を含む化粧料は、各種油剤への良好な相溶性と皮膚もしくは毛髪への密着性を同時に解決することができる。そのため、本発明の化粧料は、べたつきが少なく、なめらかに伸び、さっぱりとした使用感を与え、撥水性に富むと共に皮膚安全性が高く使用感良好で持続性に優れる。さらに、本発明の共重合体は、各種スキンケア化粧料、各種メイクアップ化粧料、各種毛髪化粧料、各種紫外線防御化粧料等に好適に用いられる。
図1
図2