(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態による閉栓装置(閉栓処理部180A、180B)を含むシステムの構成及び動作について説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。
【0017】
最初に、簡便な機構で、検体容器の閉栓処理を実施できる閉栓機構を備えた検体検査自動化システムの一例を、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態にかかる検体検査自動化システムの構成図の例である。
【0018】
図1において、本実施形態における検体検査自動化システム100は、血液、尿、などの検体の成分を自動で分析するシステムである。検体検査自動化システム100の主な構成要素は、
図1に示すように、検体投入部110、検体搬送処理部120、検体収納部130、遠心処理部140、開栓処理部150、子検体容器生成処理部160、分注処理部170、閉栓処理部180A、180B、分析処理部190、および制御コンピュータ101である。
【0019】
なお、制御コンピュータ101は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、ネットワークカード等の通信装置、キーボード、マウス等の入力装置、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置などから構成される。タッチパネルのように、表示装置に入力装置が組み込まれていてもよい。
【0020】
検体投入部110は、検体が収容された検体容器200A、200Bを検体検査自動化システム100内に投入するためのユニットである。
【0021】
検体搬送処理部120は、検体投入部110から投入された検体容器200A、200Bや分注処理部170において分注された子容器を、遠心処理部140や分注処理部170、分析処理部190等の検体検査自動化システム100内の各部へ移送する機構である。
【0022】
検体搬送処理部120のうち、検体投入部110内には、検体認識部121、栓体検知部122、およびキャリア認識部125が設置されており、搬送中の検体容器200A、200Bに付されたバーコード203を読み取り、搬送された検体容器200A、200Bを特定する情報を得る。
【0023】
なお、検体容器200A、200Bの認識は、バーコード203以外の記録媒体により行われても良い。例えば、検体容器200A、200BにRFID(radio frequency identification)などを設けて、検体認識部121がその記録媒体に記憶された検体情報(検体IDなど)を読み取るように構成しても良い。また、検体認識部121はCCD(charge coupled device)などの撮像装置であっても良い。
【0024】
栓体検知部122は、CCDなどの撮像装置であり、検体容器200A、200Bを撮像し、撮像した画像を解析して検体容器201A、201B、204の種別、栓体202、205の有無および栓体202、205の種別の特定を行う。
【0025】
なお、栓体検知部122は、画像認識以外の方式での検体容器201A、201B、204の種別、栓体202、205の有無および栓体202、205の種別を特定しても良い。例えば、発光素子と受光素子を対面するように配置して、受光素子の出力を検知して検体容器201A、201B、204の種別、栓体202、205の有無および栓体202、205の種別を認識しても良いし、その他の方式で検知するようにしても良い。
【0026】
キャリア認識部125は、検体容器200A、200Bが架設されたキャリア210に使用されているキャリアID情報を読み取る。このキャリア認識部125に相当するキャリア認識部135、・・・、175、185A、185Bが、検体検査自動化システム100内の各部にそれぞれ設けられている。
【0027】
遠心処理部140(処理部)は、投入された検体容器200A、200Bに対して遠心分離を行うためのユニットである。
【0028】
開栓処理部150は、投入された検体容器200A、200Bから栓体202、205を開栓処理するためのユニットである。
【0029】
子検体容器生成処理部160は、投入された検体容器200A、200Bに収容された検体を次の分注処理部170において分注するために必要な準備、例えば、新たな検体容器201A、201B、204を準備するとともに、準備した検体容器201A、201B、204にバーコード等を貼り付けるためのユニットである。
【0030】
分注処理部170(処理部)は、遠心分離された検体や未遠心の検体を、後述する分析処理部190などで分析するために新たな検体容器201A、201B、204に検体を小分けするためのユニットである。
【0031】
閉栓処理部180A、180Bは、開栓された検体容器200A、200Bや小分けされた検体容器200A、200Bに栓体202、205を閉栓処理するためのユニットである。検体容器200A、200Bの閉栓に用いる栓体202、205の種類に応じて閉栓処理部180A、180Bを2つ備えている。閉栓処理部180Aは圧入用の栓体202を用いるのに適した構造になっている。閉栓処理部180Bはスクリュー栓205を用いるのに適した構造となっている。閉栓処理部180A、180Bは、閉栓機構800(
図9参照)を有しており、その詳細は後述する。
【0032】
分析処理部190は、検体検査自動化システム100内の各処理部で処理された検体の移送先であり、検体の成分の定性・定量分析を行うためのユニットである。
【0033】
分析処理部190の主な構成要素は、検体分注機構191、試薬分注機構192、試薬ディスク193、反応ディスク194、検出機構195、検体搬送処理部120の一部である搬送ライン196である。
【0034】
検体分注機構191は、検体容器200A、200B内の検体の吸引・吐出を行う。試薬ディスク193は、検体の成分分析に必要な試薬を保管する。また、試薬分注機構192は、試薬の吸引・吐出を行う。
【0035】
検出機構195は、反応ディスク194の反応セル内の混合物の光学的性質を測定し、取得するデータを制御コンピュータ101に転送する。
【0036】
検体収納部130は、閉栓処理部180A、180Bで閉栓された検体容器200A、200Bを収納するユニットである。
【0037】
制御コンピュータ101は、検体検査自動化システム100内の各部や各部内の各機構の動作を制御し、また、分析処理部190での測定データの解析を行う。当然ながら、制御コンピュータ101は上述の各部や機構および各キャリア認識部125、135、・・・、185A、185Bとの通信が可能である。本実施形態の制御コンピュータ101では、特に、検体容器200A、200Bの閉栓に用いる栓体202、205の種類に応じて、適した閉栓処理部180A、180Bに検体容器200A、200Bを切り替え搬送するよう検体搬送処理部120を制御する。
【0038】
次に、分析処理部190による検体の分析方法について以下説明する。基本的に、制御コンピュータ101によって各要素を制御することにより分析を行う。
【0039】
まず、制御コンピュータ101は、検体搬送処理部120および搬送ライン196によって、搬送ライン196に設置されたキャリア210を分析処理部190内の検体分注機構191の検体分注プローブの真下の位置に搬送する。
【0040】
次に、検体分注機構191によって、キャリア210に設置された検体容器200A、200Bの中に入った検体を所定量だけ吸引して、反応ディスク194に設置された反応セルの中に検体を吐出する。
【0041】
次に、反応ディスク194によって、検体の入った反応セルを試薬分注機構192の真下の位置に搬送する。また、同時に試薬ディスク193によって、所定の試薬ボトルを試薬分注機構192の真下の位置に搬送する。
【0042】
次に、試薬分注機構192によって、試薬ボトルの中に入った試薬を所定量だけ吸引して、先に吐出された検体の入った反応セルの中に試薬を吐出する。
【0043】
次に、反応ディスク194によって、試薬と検体の溶液が入った反応セルを攪拌機構の位置まで搬送し、反応セルの中に入った試薬と検体の溶液を攪拌する。
【0044】
次に、反応ディスク194によって、試薬と検体の混合溶液が入った反応セルを検出機構195の位置まで搬送する。
【0045】
次いで、検出機構195によって混合溶液中に光を照射し、混合液の吸光度や散乱光の光量の変化を検出し、検出(測定)した吸光度の情報、光量の変化の情報から検体中の所定成分の濃度等を求める演算を行う。
【0046】
次に、検体検査自動化システム100に投入される検体容器200A、200Bの構造について
図2〜
図8を用いて説明する。
図2は圧入用の栓体202を用いる検体容器200Aの概略を、
図3は検体容器200Aをキャリア210に載設した様子を示す図である。
図4はスクリュー栓205を用いる検体容器200Bの概略を、
図5は検体容器200Bをキャリア210に載設した様子を示す図である。
図6は圧入栓202の上面図、
図7は圧入栓202の側面図、
図8は圧入栓202の斜視図である。
【0047】
まず、本実施形態における栓体202、205とは、ゴムやプラスチックなどで成型され、検体容器200A、200Bに収容された検体が漏れ出さないようにしているものであり、ねじ込み式であっても良いし、圧入されているだけのものでも良い。
【0048】
また、本発明の実施形態における検体容器200A、200Bとは、測定対象の検体を栓体202、205で封入した容器(検体容器201A、201B、204)のことを意味し、
図2および
図3に示すようにキャリア210に架設されているものや、ラック(図示省略)に架設されているものであってもよく、移送が可能であれば良い。
【0049】
図2および
図3に示す検体容器200Aは、例えば、採取された検体が専用の容器(検体容器201A、201B)に入れた後に栓体202により蓋をされることで封入されたものであり、外部の物質の混入が防がれている。検体容器201A、201Bには、容器種類に適合した圧入用の栓体202が取り付けられている。ここで、検体容器201Aは外径φ13、検体容器201Bは外径φ16を示している。
図3に示すように、検体容器201A、201Bの種類に応じて栓体202の差込み量が異なる。この検体容器200Aの開栓は開栓処理部150で行い、閉栓処理は閉栓処理部180Aにて行われる。
【0050】
図6、
図7および
図8に示すように、栓体202は、下部に設けられた直径の異なる2種類のリブ252、253を有することで外形および内径の異なる検体容器201A、201B双方に対して取り付けが可能な栓体であり、一般的に射出成型で成型されている。また、栓体202の上部には、通気穴250が設けられている。更に、栓体202の内部には、通気穴250からの検体の流出や蒸発を防ぐことを目的としたフィルター251が設けられている。
【0051】
図4および
図5に示す検体容器200Bは、例えば、子検体容器生成処理部160においてバーコード203が張り付けられた新たな空の検体容器204がスクリュー栓205により蓋をされることで、分注処理部170で小分け分注された検体が封入されている。検体容器204へのスクリュー栓205の閉栓処理は閉栓処理部180Bにて行われる。また、検体容器204に対しては、圧入栓202で蓋をすることも可能である。その場合、閉栓処理は閉栓処理部180Aにて行われる。この検体容器200Bの開栓を行うときは開栓処理部150で行われる。
【0052】
上述のような検体容器201A、201Bや検体容器204の外周表面にはバーコード203などの情報媒体が貼付されている。バーコード203以外にも2次元コードやRFID等が貼付されていても良い。これら検体容器201A、201B、204は、ホルダやラックなどの専用のキャリア210に架設されて、検体検査自動化システム100内を検体搬送処理部120によって移動する。
【0053】
次に、
図9および
図10を使用して、閉栓処理部180Aに設けられる閉栓機構800の構造を説明する。
図9は栓体202を閉栓するのに好適な閉栓処理部180Aに設けられた閉栓機構の構造を示している
図10は栓押込み機構802の断面概略図である。
【0054】
図9、
図10に示すように、閉栓処理部180Aは、閉栓機構800、および栓体供給機構810、栓体検知部122を備えている。
【0055】
図9における閉栓処理部180A内の栓体検知部122は、閉栓機構800の検体容器クランプ機構804の近傍に備えられている。栓体検知部122は、閉栓処理の前に検体容器200A、200Bの画像を撮像して用いるべき栓体202の種別を制御コンピュータ101からの情報と合わせて判断し、最適な閉栓方法を閉栓機構800に指示するとともに、閉栓処理が終了した後に再度、検体容器200A、200Bの栓体202の装着状況をチェックすることで、閉栓処理が適切におこなわれたか否かを判定する。
【0056】
なお、
図1に示すようにシステムが複数の閉栓処理部180A、180Bを備えている場合には、それぞれの閉栓処理部180A、180Bに搬送される検体搬送処理部120の手前に栓体検知部122を設けることが考えられる。この場合には、栓体202、205の種別に応じて閉栓処理がもっとも効率的に行うことができる閉栓処理部180A、180Bへと検体容器200A、200Bが搬送されることが可能となる。
【0057】
閉栓機構800は閉栓処理部180A内の検体搬送処理部120上に設けられており、主な構成要素は、閉栓上下機構801、栓押込み機構802、栓受け取り機構803、および検体容器クランプ機構804である。
【0058】
栓体202は、栓体供給機構810から栓体搬送機構811で搬送され、栓受け取り機構803まで移送される。栓押込み機構802および栓受け取り機構803は、検体容器201A、201B、204に対して垂直方向に同一中心軸上で配置される。閉栓上下機構801は、検体容器201A、201B、204に対して閉栓を行う際、栓押込み機構802および栓受け取り機構803を垂直方向に動作させる。
【0059】
詳細には、
図10に示すように、閉栓上下機構801(モータ)の駆動力がベルト851を介してボールねじ852に伝達され、ボールねじ852のねじ軸が回転する。これにより、ボールねじ852のナットに固定された栓押込み機構802が垂直方向に移動する。なお、栓体搬送機構811(フィーダ)は、例えば、バイブレータにより振動し、栓体202を栓受け取り機構803へ搬送する。
【0060】
図9では検体容器直上で栓の受け取りおよび閉栓を行う方式の閉栓機構800が開示されているが、本方式に限定されない。例えば、XY軸を備え、XY軸方向に沿って栓押込み機構802や栓受け取り機構803を移動させる方式としても良い。また、栓受け取り機構803の代案として、栓押込み機構802に栓体202を把持できるチャック機構を備えさせることで、栓体202を容器直上まで把持移送して栓を押込む方式としても良い。
【0061】
検体容器クランプ機構804は、栓体202の閉栓処理時に、検体容器200A、200Bの固定を行う。
【0062】
図11、
図12に栓押込み機構802の断面図と一部拡大図を示す。栓押込み機構802は、大きく2本のロッドの組合せで構成される。
【0063】
第1のロッドである押込みロッド部820は、軸受825にて支えられており、閉栓動作時に押込み補助バネ823が伸縮することで摺動する構造となっている。また、押込みロッド部820の先端に栓体支え部821が取り付けられている。栓体支え部821は、閉栓上下機構が下降(閉栓動作)時に栓体202の上部と接触し、押込み補助バネ823に生じる応力を栓体202へ伝達する。なお、栓体支え部821の形状は、対象となる栓体202の形状に応じて最適な形状に変更しても良い。
【0064】
第2のロッドである浮き上がり検知ロッド部822は、押込みロッド部820の内部に組み込まれ、軸受826にて支えられており、検知ロッド補助バネ824が伸縮することで摺動する構造となっている。浮き上がり検知ロッド部822の端部には、検知板828(遮蔽板)が接続される。検知板828は、平常時には透過型センサ827の検出範囲内に存在し、浮上り検知ロッド部が変位すると透過型センサ827の検出範囲外となるように配置される。
【0065】
換言すれば、
図11に示すように、押込みロッド部820(第1のロッド)は、穴820Hが形成される先端を有する。浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)は、穴820Hから突出する。詳細には、浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)は、浮き上がり検知ロッド部822の先端に加えられる力に応じて変位する。浮き上がり検知ロッド部822の先端に力が加えられていない場合、浮き上がり検知ロッド部822は、穴820Hから所定の長さL0だけ突出する。透過型センサ827(センサ)は、浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の変位を検出する。
【0066】
なお、
図10に示すように、閉栓機構800は、押込みロッド部820(第1のロッド)を圧入栓202(栓体)に向かう方向Dir1(第1の方向)へ移動させることにより圧入栓202(栓体)を検体容器201A等(容器)の開口部に装着し、圧入栓202が開口部に装着された後に押込みロッド部820を方向Dir1と反対の方向Dir2(第2の方向)へ移動させる。
【0067】
図11に示すように、検知ロッド補助バネ824(第1の弾性体)は、押込みロッド部820(第1のロッド)の穴820Hの内周面に形成される段差820Sと、浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の外周面に形成される段差822Sとの間に配置される。
【0068】
押込みロッド部820(第1のロッド)の先端は、フランジ状部821aと、筒状部821bと、を有する。フランジ状部821a及び筒状部821bにより、栓体をガイドしつつ力を確実に伝達することができる。軸受825は、押込みロッド部820(第1のロッド)を支持する。押込み補助バネ823(第2の弾性体)は、軸受825と、フランジ状部821aとの間に配置される。
【0069】
なお、浮き上がり検知ロッド部822の根元には、ストッパ841と、ゴム842(弾性体)が設けられている。軸受826の上端には、カバー843が配置されている。ストッパ841により、浮き上がり検知ロッド部822の可動範囲が規制される。ゴム842により、ストッパ841とカバー843の摩耗が抑制される。カバー843により、軸受826が固定される。
【0070】
図13に閉栓動作フローと、各フローにおける栓押込み機構802の状態を示す。ここでは、例として検体容器201Aに対する状態を示す。
【0071】
まず、閉栓830動作では、閉栓上下機構801により栓押込み機構802が下降し、栓体202が検体容器201Aに押し込まれる。この時、浮き上がり検知ロッド部822は、栓体202に接触し、機構内部に格納された状態になる。ここで、図示されていない透過型センサ827は、検知板828を非検知状態となる。もし、このフロー動作後に透過型センサ827が検知板828を検知状態であった場合、何らかの異常により閉栓が失敗したと判定し、制御コンピュータ101を通じてオペレータに閉栓失敗を報告することも可能である。
【0072】
次に、閉栓後の浮き上がり確認831、832を行う。浮き上がり確認831、832では、閉栓上下機構801により栓押込み機構802を規定量上昇させる。規定量は、栓押込み機構802において平常時に押込みロッド部820から栓浮き上り検知ロッド部822が突き出している長さL0以上と定義するのが良い。規定量上昇後、図示されていない透過型センサ827が検知板828を検知している場合は、栓の浮き上がり無しと判定し、閉栓終了834として栓押込み機構802を上昇させフローを終了する。一方、規定量上昇後、図示されていない透過型センサ827が検知板828を検知していない場合は、栓の浮き上がり有りと判定し、再閉栓833動作へ移る。
【0073】
換言すれば、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、圧入栓202(栓体)が検体容器201A(容器)の開口部に装着された後に検出される浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の変位に基づいて、圧入栓202(栓体)の浮き上がりの有無を判定する。詳細には、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、所定の長さL0以上、押込みロッド部820(第1のロッド)が方向Dir2(第2の方向)へ移動されるときに浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の変位が検出される場合、圧入栓202(栓体)の浮き上がりが有ると判定する。
【0074】
制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、圧入栓202(栓体)の浮き上がりが有ると判定される場合、再度、押込みロッド部820(第1のロッド)を方向Dir1(第1の方向)へ移動させるように閉栓機構800を制御し、圧入栓202(栓体)を検体容器201A(容器)の開口部に装着する。浮き上がりがあると判定される場合のみ再閉栓833動作が実行されるため、閉栓処理時間の平均が短くなり、スループットが向上する。
【0075】
再閉栓833動作では、再度、閉栓上下機構801により栓押込み機構802を下降させ、栓体202を検体容器201Aに押込む。この時、栓体202の通気穴250から空気が充分に抜けやすいように動作させても良い。
【0076】
例えば、閉栓上下機構801の下降速度を低速する、あるいは、栓体202を検体容器201Aに押込んだ後に一定時間押込みを保持する、といった通気穴250から空気が抜ける時間を長くすることが有効である。
【0077】
換言すれば、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、圧入栓202(栓体)の浮き上がりが有ると判定される場合、再度、押込みロッド部820(第1のロッド)を方向Dir1(第1の方向)へ移動させる速度を前回よりも低速にする又は圧入栓202(栓体)が検体容器201A(容器)に完全に装着される位置を示す閉栓位置で押込みロッド部820(第1のロッド)の先端が停止する時間を前回より長くするように閉栓機構800を制御する。
【0078】
または、栓押込み機構802の下降時に、栓体202を意図的に変形させながら押込む方式も通気穴以外から空気を抜く手段として有効である。例えば、栓受け取り機構803、あるいは、それに代わるチャック機構により、栓体202を強く把持し、栓体202の弾性を利用して変形させながら押込む方式が考えられる。特に、栓体202のリブ252を変形させながら検体容器201Aに押込むと、変形したリブ252と検体容器201Aの隙間から空気を抜くことが可能である。
【0079】
または、栓体202の中心軸と検体容器201Aの中心軸を意図的にずらす、あるいは、栓体202を検体容器201Aに対して角度を付けて挿入するなどの方法により、リブ252を検体容器201Aの内壁に押し付けて弾性変形させながら栓体202を押込むことでも、それによって生じた栓体202と検体容器201Aの隙間から空気を抜くことが可能である。または、栓押込み機構802内部に減圧ポンプ等を接続したノズルを備えさせ、栓体202のフィルター251を介して強制的に排気する手段も有効である。
【0080】
以上に述べた例に限らず、再閉栓833動作時には、対象となる栓体202の形状や特性に応じて、栓体202自体の通気穴を介さずに空気を抜くように動作させても良い。また、これらの方法は、栓体202自体に通気穴などの排気手段が備わっていない場合の排気手段としても有効である。
【0081】
再閉栓833動作後は、閉栓終了834として栓押込み機構802を上昇させフローを終了する。より確実に閉栓を行うには、再閉栓833動作後に、再度、浮き上がり確認831、832へ移行して判定を繰り返しても良い。
【0082】
(閉栓位置を計算する第1の方法)
以下、閉栓位置を計算する第1の方法を説明する。
図14は、閉栓位置を計算するときに用いられるテーブル300〜330の構造を示す図である。テーブル300〜340は、制御コンピュータ101の記憶装置に記憶される。
【0083】
テーブル300は、キャリアIDと容器種類IDとを対応付けて記憶する。キャリアIDは、キャリア210の識別子であり、例えば、検体投入部110内のキャリア認識部125(センサ)によって読み取られる。容器種類IDは、検体容器201A、201B、204等(容器)の種類の識別子であり、例えば、検体投入部110内の栓体検知部122(センサ)によって読み取られる。
【0084】
テーブル310は、容器種類IDと栓体種類IDとを対応付けて記憶する。栓体種類IDは、栓体202、205の種類の識別子であり、検体投入部110内の栓体検知部122(センサ)によって読み取られる。
【0085】
図14では、例えば、容器種類IDとしてのφ13H01Pは、径がφ13、高さがH01、圧入型の容器(例えば、検体容器201A)を示す。φ16H01Sは、径がφ16、高さがH01、スクリュー型の容器(例えば、検体容器204)を示す。
【0086】
図14では、例えば、栓体種類IDとしてのφ13/16Pは、径がφ13又はφ16の容器に用いられる圧入型の栓体(例えば、圧入栓202)を示す。φ16Sは、径がφ16の容器に用いられるスクリュー型の栓体を示す。なお、前述したように、検体容器204に、スクリュー栓205ではなく圧入栓202を用いることができる。この場合、テーブル310において、栓体種類IDとしてφ13S、φ16Sに代えて、φ13/16Pが用いられる。
【0087】
テーブル320は、容器種類IDと、容器種類IDによって識別される容器の形状情報とを対応付けて記憶する。容器の形状情報は、例えば、容器の高さ(長さ)等の情報を含む。
【0088】
テーブル330は、栓体種類IDと、栓体種類IDによって識別される栓体の形状情報とを対応付けて記憶する。栓体の形状情報は、例えば、栓体の高さ(長さ)等の情報を含む。特に、圧入栓202の場合、栓体の形状情報は、リブ252の位置(栓体の下端又は上端からの位置)、リブ253の位置を示す情報を含む。
【0089】
テーブル340は、キャリアIDと、キャリアIDによって識別されるキャリア(例えば、キャリア210)の形状情報とを対応付けて記憶する。キャリアの形状情報は、例えば、キャリアの高さ(長さ)等の情報を含む。
【0090】
制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、容器種類ID(容器の種類)と栓体種類ID(栓体の種類)の組合せに応じた閉栓位置を計算する。詳細には、容器種類IDに対応する形状情報と、栓体種類IDに対応する形状情報と、キャリアIDに対応する形状情報に基づいて、閉栓位置を計算する。
【0091】
そして、
図13に示したように、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、閉栓位置から所定の長さL0以上、押込みロッド部820(第1のロッド)が方向Dir2(第2の方向)へ移動されるときに浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の変位が検出される場合、栓体の浮き上がりが有ると判定する。
【0092】
(閉栓位置を計算する第2の方法)
以下、閉栓位置を計算する第2の方法を説明する。
図15は、閉栓位置を計算するときに用いられるテーブル300〜350の構造を示す図である。テーブル300〜350は、制御コンピュータ101の記憶装置に記憶される。
【0093】
第2の方法では、テーブル310に代えてテーブル310aが用いられる。また、テーブル350が用いられる。
【0094】
テーブル310aは、容器種類IDと、空輸フラグと、栓体種類IDとを対応付けて記憶する。空輸フラグは、検体が空輸されるか否かを示す。なお、空輸フラグ=0は検体が空輸されないことを示し、空輸フラグ=1は検体が空輸されることを示す。
【0095】
テーブル350は、検体IDと、検体情報とを対応付けて記憶する。検体IDは、検体の識別子であり、例えば、検体投入部110内の検体認識部121(センサ)によって読み取られる。
図15の例では、検体情報は、検体についての種々の情報であり、前述した空輸フラグを含む。
【0096】
第2の方法では、テーブル310aに示すように、空輸フラグ=1の場合、スクリュー栓(例えば、φ13S、φ16S)が用いられる。なお、システムは、少なくとも、閉栓処理部180A、閉栓処理部180B、開栓処理部150、分注処理部170、検体搬送処理部120(搬送処理部)を備える。
【0097】
閉栓処理部180A(第1の閉栓装置)は、互いに異なる径の容器に装着可能な多段構造を有する圧入栓202を容器の開口部に装着する。閉栓処理部180B(第2の閉栓装置)は、スクリュー栓205を容器の開口部に装着する。
【0098】
制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、容器に格納される検体が空輸用であるか否かを判定する。詳細には、検体IDに対応する検体情報に含まれる空輸フラグに基づいて、検体が空輸用であるか否かを判定する。
【0099】
制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、容器に格納される検体が空輸用でないと判定される場合に、圧入栓202を容器に装着させるように閉栓処理部180A(第1の閉栓装置)を制御し、容器に格納される検体が空輸用であると判定される場合に、スクリュー栓205を容器に装着させるように第2の閉栓装置を制御する。
【0100】
なお、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、空輸用でない検体が格納される容器を載せたキャリア210を閉栓処理部180A(第1の閉栓装置)へ搬送し、空輸用の検体が格納される容器を載せたキャリア210を閉栓処理部180B(第2の閉栓装置)へ搬送するように検体搬送処理部120を制御する。
【0101】
制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、容器種類ID(容器の種類)と栓体種類ID(栓体の種類)の組合せに応じた閉栓位置を計算する。詳細には、容器種類IDに対応する形状情報と、栓体種類IDに対応する形状情報と、キャリアIDに対応する形状情報に基づいて、閉栓位置を計算する。
【0102】
そして、
図13に示したように、制御コンピュータ101のCPU(プロセッサ)は、閉栓位置から所定の長さL0以上、押込みロッド部820(第1のロッド)が方向Dir2(第2の方向)へ移動されるときに浮き上がり検知ロッド部822(第2のロッド)の変位が検出される場合、栓体の浮き上がりが有ると判定する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態によれば、栓体の浮き上がりを検出することができる。
【0104】
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0105】
また、上述の実施形態で説明したように、検体検査自動化システム100とは、自動分析装置に相当する分析処理部190で検体などの検体の分析を行うための、遠心分離、検体分注、開栓、閉栓、子検体容器生成、バーコードラベル貼り付けなどの各種前処理を行う前処理装置を含む分析システムとして説明したが、検体検査自動化システム100は、システムとしては最低限、開栓、閉栓、分注機構、それらの間で検体を搬送する搬送機構を備えている前処理システムのみであってもよい。それ以外にも、後処理システムのみや、後処理システムと分析システムを統合したシステム、前処理システムと後処理システムと分析システムとを統合したシステム、であっても良い。
【0106】
上記の実施形態では、システムは、圧入栓用の閉栓処理部180A(閉栓装置)と、スクリュー栓用の閉栓処理部180B(閉栓装置)を備えるが、これらの一方を備えるようにしてもよい。この場合、システムは、少なくとも、1つの閉栓処理部(閉栓装置)、容器から栓体を取り外す開栓処理部、容器に格納される検体を分注する分注処理部、容器を搬送する検体搬送処理部(搬送処理部)を備えるようにしてもよい。
【0107】
上記の実施形態では、
図14及び
図15に示すテーブル300は、検体投入部110内のキャリア認識部125によって読み取られるキャリアIDと、検体投入部110内の栓体検知部122によって読み取られる容器種類IDとを対応付けて記憶するが、これらの識別子は、閉栓処理部180A、180B内又はその手前のキャリア認識部、栓体検知部によってそれぞれ読み取られてもよい。
【0108】
図14に示すテーブル310の容器種類ID及び栓体種類IDは、制御コンピュータ101の入力装置によって予め入力されるようにしてもよい。
図14の例では、圧入型の容器を示す容器種類ID(=*P、*:ワイルドカード)に対する栓体種類ID(=φ13/16P)は一意に決まり、スクリュー型の容器を示す容器種類ID(=*S)に対する栓体種類ID(=*S又は*P)はユーザによって決定される。なお、スクリュー型の容器を示す容器種類ID(=*S)に対する栓体種類ID(=*S又は*P)は、検体投入部110に投入される検体容器が載置されるトレイに応じて決定されてもよい。
【0109】
図15に示すテーブル310aの容器種類ID及び栓体種類IDも、制御コンピュータ101の入力装置によって予め入力されるようにしてもよい。
図15の例では、容器種類ID及び空輸フラグの組合せに対する栓体種類IDは一意に決まる。
【0110】
子検体容器生成処理部160は、新たな検体容器として小分け分注前と同じ種類の検体容器及び栓体を用いてもよいし、別の種類の検体容器及び栓体を用いてもよい。
【0111】
また、上記の各構成、機能(手段)等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0112】
なお、本発明の実施形態は、以下の態様であってもよい。
【0113】
(1)1本の検体容器を保持するホルダと、前記ホルダを搬送する手段と、前記ホルダ上の検体容器に栓を押込む閉栓機構と、を備えた検体検査自動化システムにおいて、押込み後の栓の浮き上がりを検知する手段と、栓の浮き上がりの判定に基づいて、浮上りがある場合のみ同一の機構で再押込みする手段と、を備えた検体搬送装置。
【0114】
(2)上記浮き上がり検知手段において、閉栓機構における栓を垂直方向から押込むための第一のロッド内に、伸縮する第二のロッドを備え、第二のロッドの伸縮変位を検知することで栓の浮き上がりを検知する手段と、を備えた検体搬送装置。
【0115】
(3)上記再押込み手段において、栓のフィルターから検体容器内の圧縮空気を逃がしやすいように、押込み時間や動作を制御する手段と、を備えた検体搬送装置。
【0116】
上記(1)〜(3)によれば、簡易な構造により確実な閉栓処理を、処理時間を割くことなく合理的に行うことが可能となる。