(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の栓処理装置および検体検査自動化システムの好適な実施例を、
図1乃至
図27を用いて説明する。
図1乃至
図27においては、栓処理装置を、容器を栓体で閉栓する閉栓処理部とした場合を例に挙げて説明する。
【0016】
最初に、簡便な機構で、検体容器の閉栓処理を実施できる栓処理装置を備えた検体検査自動化システムの一例について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施例にかかる検体検査自動化システムの構成図の例である。
【0017】
図1において、本実施例における検体検査自動化システム100は、血液、尿、などの検体の成分を自動で分析するシステムである。検体検査自動化システム100の主な構成要素は、
図1に示すように、検体投入部110、検体搬送処理部120、検体収納部130、遠心処理部140、開栓処理部150、子検体容器生成処理部160、分注処理部170、閉栓処理部180A,180B、分析処理部190、および制御コンピュータ101である。
【0018】
検体投入部110は、検体が収容された検体容器200A,200Bを検体検査自動化システム100内に投入するためのユニットである。
【0019】
検体搬送処理部120は、検体投入部110から投入された検体容器200A,200Bや分注処理部170において分注された子容器を、遠心処理部140や分注処理部170、分析処理部190等の検体検査自動化システム100内の各部へ移送する機構である。
【0020】
検体搬送処理部120のうち、検体投入部110内には、検体認識部121、栓体検知部122、およびキャリア認識部125が設置されており、搬送中の検体容器200A,200Bに付されたバーコード203を読み取り、搬送された検体容器200A,200Bを特定する情報を得る。
【0021】
なお、検体容器200A,200Bの認識は、バーコード203以外の記録媒体により行われても良い。例えば、検体容器200A,200BにRFID(Radio Frequency Identification)などを設けて、検体認識部121がその記録媒体に記憶された検体情報(検体IDなど)を読み取るように構成しても良い。また、検体認識部121はCCD(Charge Coupled Device)などの撮像装置であっても良い。
【0022】
栓体検知部122は、CCDなどの撮像装置であり、検体容器200A,200Bを撮像し、撮像した画像を解析して検体容器200A,200Bの栓体202,205(
図2乃至
図5参照)についての螺着の有無の判断や、栓体202,205の種別の特定を行う。
【0023】
なお、栓体検知部122は、画像認識による栓体202,205の検知以外の方式で栓体202,205の有無および栓体202,205の種別を特定しても良い。例えば、発光素子と受光素子を対面するように配置して、受光素子の出力を検知して栓体202,205の有無や栓体202,205の種別を認識しても良いし、その他の方式で栓体202,205の有無を検知するようにしても良い。
【0024】
キャリア認識部125は、検体容器200A,200Bが架設されたキャリア210に使用されているキャリアID情報を読み取る。このキャリア認識部125に相当するキャリア認識部135,・・・,175,185A,185Bが、検体検査自動化システム100内の各部にそれぞれ設けられている。
【0025】
遠心処理部(処理部)140は、投入された検体容器200A,200Bに対して遠心分離を行うためのユニットである。
【0026】
開栓処理部150は、投入された検体容器200A,200Bから栓体202,205を開栓処理するためのユニットである。
【0027】
子検体容器生成処理部160は、投入された検体容器200A,200Bに収容された検体を次の分注処理部170において分注するために必要な準備、例えば、新たな容器201,204を準備するとともに、準備した容器201,204にバーコード等を貼り付けるためのユニットである。
【0028】
分注処理部(処理部)170は、遠心分離された検体や未遠心の検体を、後述する分析処理部190などで分析するために新たな容器201,204に検体を小分けするためのユニットである。
【0029】
閉栓処理部180A,180Bは、開栓された検体容器200A,200Bや小分けされた検体容器200A,200Bに栓体202,205を閉栓処理するためのユニットであり、検体容器200A,200Bの閉栓に用いる栓体202,205の種類に応じて閉栓処理部180A,180Bを2つ備えている。閉栓処理部180Aは圧入用の栓体202を用いるのに適した構造になっており、例えば、検体搬送処理部120が栓体202の圧入を行うための専用の機構を有している。閉栓処理部180Bはスクリュー栓205を用いるのに適した構造となっている。閉栓処理部180A,180Bは、閉栓機構800(
図9参照)を有しており、その詳細は後述する。
【0030】
分析処理部190は、検体検査自動化システム100内の各処理部で処理された検体の移送先であり、検体の成分の定性・定量分析を行うためのユニットである。
【0031】
分析処理部190の主な構成要素は、検体分注機構191、試薬分注機構192、試薬ディスク193、反応ディスク194、検出機構195、検体搬送処理部120の一部である搬送ライン196である。
【0032】
検体分注機構191は、検体容器200A,200B内の検体の吸引・吐出を行う。試薬ディスク193は、検体の成分分析に必要な試薬を保管する。また、試薬分注機構192は、試薬の吸引・吐出を行う。
【0033】
検出機構195は、反応ディスク194の反応セル内の混合物の光学的性質を測定し、取得するデータを制御コンピュータ101に転送する。
【0034】
検体収納部130は、閉栓処理部180A,180Bで閉栓された検体容器200A,200Bを収納するユニットである。
【0035】
制御コンピュータ101は、検体検査自動化システム100内の各部や各部内の各機構の動作を制御し、また、分析処理部190での測定データの解析を行う。当然ながら、制御コンピュータ101は上述の各部や機構および各キャリア認識部125,135,・・・,185A,185Bとの通信が可能である。本実施例の制御コンピュータ101では、特に、検体容器200A,200Bの閉栓に用いる栓体202,205の種類に応じて、適した閉栓処理部180A,180Bに検体容器200A,200Bを切り替え搬送するよう検体搬送処理部120を制御する。
【0036】
次に、分析処理部190による検体の分析方法について以下説明する。基本的に、制御コンピュータ101によって各要素を制御することにより分析を行う。
【0037】
まず、制御コンピュータ101は、検体搬送処理部120および搬送ライン196によって、搬送ライン196に設置されたキャリア210を分析処理部190内の検体分注機構191の検体分注プローブの真下の位置に搬送する。
【0038】
次に、検体分注機構191によって、キャリア210に設置された検体容器200A,200Bの中に入った検体を所定量だけ吸引して、反応ディスク194に設置された反応セルの中に検体を吐出する。
【0039】
次に、反応ディスク194によって、検体の入った反応セルを試薬分注機構192の真下の位置に搬送する。また、同時に試薬ディスク193によって、所定の試薬ボトルを試薬分注機構192の真下の位置に搬送する。
【0040】
次に、試薬分注機構192によって、試薬ボトルの中に入った試薬を所定量だけ吸引して、先に吐出された検体の入った反応セルの中に試薬を吐出する。
【0041】
次に、反応ディスク194によって、試薬と検体の混合溶液が入った反応セルを攪拌機構の位置まで搬送し、反応セルの中に入った試薬と検体の混合溶液を攪拌する。
【0042】
次に、反応ディスク194によって、試薬と検体の混合溶液が入った反応セルを検出機構195の位置まで搬送する。
【0043】
次いで、検出機構195によって混合溶液中に光を照射し、混合溶液の吸光度や散乱光の光量の変化を検出し、検出した吸光度の情報、光量の変化の情報から検体中の所定成分の濃度等を求める演算を行う。
【0044】
次に、検体検査自動化システム100に投入される検体容器200A,200Bの構造について
図2乃至
図8を用いて説明する。
図2は圧入用の栓体202を用いる検体容器200Aの概略を、
図3は検体容器200Aをキャリア210に載設した様子を示す図である。
図4はスクリュー栓205を用いる検体容器200Bの概略を、
図5は検体容器200Bをキャリア210に載設した様子を示す図である。
図6はスクリュー栓205の上面図、
図7はスクリュー栓205の側面図、
図8はスクリュー栓205の斜視図である。
【0045】
まず、本実施例における栓体202,205とは、ゴムやプラスチックなどで成型され、検体容器200A,200Bに収容された検体が漏れ出さないようにしているものであり、ねじ込み式であっても良いし、圧入されているだけのものである。
【0046】
また、本発明における検体容器200A,200Bとは、測定対象の検体を栓体202,205封入した容器201,204のことを意味し、
図2および
図3に示すようにキャリア210に架設されているものや、ラック(図示省略)に架設されているものであってもよく、移送が可能であれば良い。
【0047】
図2および
図3に示す検体容器200Aは、例えば、採取された検体が入れられた専用の容器201に入れた後に栓体202により蓋をされることで封入されたものであり、外部の物質の混入が防がれている。容器201には、容器201の種類に適合した圧入用の栓体202が取り付けられている。栓体202にはゴムなどの弾性体でできたタイプや、合成樹脂などの硬い素材からなるタイプがある。この検体容器200Aの開栓は開栓処理部150で行い、閉栓処理は閉栓処理部180Aにて行われる。
【0048】
図2および
図3に示すように、圧入用の栓体202は、凹部250の内周部に一つ以上のリブ251が、放射上に離間して具備されている。
【0049】
図4および
図5に示す検体容器200Bは、例えば、子検体容器生成処理部160においてバーコード203が張り付けられた新たな空の容器204がスクリュー栓205により蓋をされることで、分注処理部170で小分け分注された検体が封入されている。容器204へのスクリュー栓205の閉栓処理は閉栓処理部180Bにて行われる。この検体容器200Bの開栓を行うときは開栓処理部150で行われる。
【0050】
図6,
図7および
図8に示すように、栓体205は、栓体205を特定方向にスクリューさせることで開いたり閉じたりが可能な栓体であり、一般的に射出成型で成型されている。また、栓体205の上部に設けられた凹部250には一つ以上のリブ251が設けられている。更に栓体205の外周面には、オペレータが開閉させやすいように、滑り止めの溝252が複数付けられている。
【0051】
上述のような容器201や容器204の外周表面にはバーコード203などの情報媒体が貼付されている。バーコード203以外にも2次元コードやRFID等が貼付されていても良い。これら容器201や容器204は、ホルダやラックなどの専用のキャリア210に架設されて、検体検査自動化システム100内を検体搬送処理部120によって移動する。
【0052】
次に、
図9および
図10を使用して、閉栓処理部180A,180Bに設けられる閉栓機構800の構造を説明する。
図9は栓体205を閉栓するのに好適な閉栓処理部180Bに設けられた閉栓機構の構造を示している図、
図10は栓体チャック回転機構803および栓体チャック機構804の断面概略図である。なお、栓体202を閉栓するのに好適な閉栓処理部180Aに設けられる閉栓機構についても、略同じ構成である。
【0053】
図9に示すように、閉栓処理部180Bは、閉栓機構800、および栓体供給機構810、栓体検知部122を備えている。
【0054】
図9における閉栓処理部180A,180B内の栓体検知部122は、閉栓機構800の検体容器クランプ機構805の近傍に備えられている。栓体検知部122は、閉栓処理の前に検体容器200A,200Bの画像を撮像して用いるべき栓体202,205の種別を制御コンピュータ101からの情報と合わせて判断し、最適な閉栓方法を閉栓機構800に指示するとともに、閉栓処理が終了した後に検体容器200A,200Bの栓体202,205の装着状況を再度チェックすることで、閉栓処理が適切におこなわれたか否かを判定する。
【0055】
なお、
図1に示すようにシステムが複数の閉栓処理部180A,180Bを備えている場合には、それぞれの閉栓処理部180A,180Bに搬送される検体搬送処理部120の手前に栓体検知部122を設けることが考えられる。この場合には、栓体202,205の種別に応じて閉栓処理がもっとも効率的に行うことができる閉栓処理部180A,180Bへと検体容器200A,200Bを搬送することが可能となる。
【0056】
閉栓機構800は閉栓処理部180B内の検体搬送処理部120上に設けられており、主な構成要素は、栓体移動機構801、閉栓上下機構802、栓体チャック回転機構803、栓体チャック機構804、および検体容器クランプ機構805である。
【0057】
栓体移動機構801は、栓体供給機構810の栓体搬送機構811で搬送された栓体205を栓体搬送機構811から容器204の位置まで移送する。
図9では回転軸を中心として栓体チャック機構804を回転移動させる方式が開示されているが、本方式に限定されない。例えば、XY軸を備え、XY軸方向に沿って栓体チャック機構804を移動させる方式としても良い。
【0058】
検体容器クランプ機構805は、栓体205の閉栓処理時に、検体容器200Bの固定を行う。
【0059】
栓体チャック機構804は、栓体供給機構810から移送された栓体205を閉栓処理に用いるまで保持する。なお、閉栓機構800の近傍に栓体205の廃棄場所を備え、閉栓が不要な場合は廃棄することができるように構成することができる。
【0060】
この栓体チャック機構804は、
図10に示すように、栓体202,205を把持するための一組の第一栓体チャック部840と、第一栓体チャック部840の上方に位置する第二栓体チャック部842とを備えている。
【0061】
図11、
図12、
図13に示すように、各々の第一栓体チャック部840は、様々な形状の圧入栓202や、スクリュー栓205の把持に適した第一支持体841を2つ備えている。この第一支持体841は、栓体202,205に直接接触する部材であり、栓体202,205を傷つけることがないようにベアリングなどの回転体で構成される。
【0062】
第一栓体チャック部840は、第一支持体841ごと、後述する回転モータ831によって回転可能となっている。
【0063】
なお、第一栓体チャック部840は、栓体202,205を複数の方向から把持できればよいため、第一支持体841を2つ以上有していればよく、3つ以上であってもよい。また、第一支持体841を2つ以上有することで栓体202,205を複数の方向から把持できれば、第一栓体チャック部840自体は一つであってもよい。また、第一支持体841は、ベアリングなどの回転体で構成される必要はなく、栓体202,205より摩擦係数の高い材料で構成される摺動体であってもよい。
【0064】
図13や
図14に示すように、第二栓体チャック部842は、後述する回転モータ831の回転動作による栓体202,205の閉栓処理時に栓体202,205の上面側の凹部250内のリブ251に干渉することで栓体202,205を回転させるための第二支持体843と、栓体202,205の上端面と接する押圧面844を有している。
【0065】
第二支持体843は第二栓体チャック部842の栓体202,205の半径方向に配置されている。また、閉栓処理時に第二支持体843と栓体202,205とが接触する部分に荷重が集中して栓体202,205に傷がつくことや変形することを防ぐため、
図15に示すように、第二支持体843は、回転方向に対して下端が一方向に傾斜している。
【0066】
押圧面844は、第二栓体チャック部842の下面側の中心に位置しており、円筒形状をしている。
【0067】
第二栓体チャック部842についても、第二支持体843ごと、後述する回転モータ831によって回転可能となっている。
【0068】
これらの第一栓体チャック部840の第一支持体841や第二栓体チャック部842の第二支持体843は、例えば、ステンレスなどの金属により構成されるが、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂やウレタンなどのゴムで構成されていても良い。
【0069】
なお、
図16に示すように、第二支持体843Eの下端面の傾斜は、
図15とは逆向きであってもよい。
【0070】
また、
図17に示すように、第二栓体チャック部842Aは、中心に円筒形状の押圧面844Aを具備し、また第一栓体チャック部840の第一支持体841の回転中心と等しい第一支持体841の重心841Aから放射状(回転中心から法線方向)に下端面の傾斜方向が全て同じ向きである第二支持体843Aを複数有しているものとすることができる。
【0071】
更に、
図18,
図19,
図20に示すように、第二栓体チャック部842Bは、その回転中心と等しい第一支持体841の重心841Aから放射状に下端面の傾斜方向が全て同じ向きである第二支持体843Bを3つ有しているものとすることができる。第二支持体843Bについても、第二支持体843Aと同様に、下端面の傾斜方向が全て同じ向きである。なお、第二支持体843Bは、栓体202,205の中心位置と等しい第一支持体841の重心841Aから栓体202,205の半径方向外側にずれた位置に2つ以上設けられているものとすることができる。
【0072】
また、
図21,
図22,
図23に示すように、第二栓体チャック部842Cは、第一支持体841の重心841Aから延びる法線方向に第二支持体843Cが一つ設けられているものとすることができる。この第二支持体843Cの下端面も、
図21および
図22に示すように、下端面が傾斜している。
【0073】
更に、
図24,
図25,
図26に示すように、第二栓体チャック部842Dは、第一支持体841の重心841Aから栓体202,205の半径方向外側にずれた位置に設けられた、棒状の突起からなる第二支持体843Dをひとつ設けられているものとすることができる。この第二支持体843Dの下端面も、
図24および
図25に示すように、下端面が一方向に傾斜している。
【0074】
このように第二支持体843、843A、843B、843C、843D、843Eの下端面が一方向に傾斜していることにより、栓体供給機構810の栓体搬送機構811で搬送された栓体205を、栓体搬送機構811上で、栓体チャック機構804が下降して栓体205を把持・移送するときに、栓体チャック機構804の第二支持体843、843A、843B、843C、843D、843Eが栓体205に設けられたリブ251と接触した際に、栓体チャック機構804と栓体205に円周方向の力を一方向に加えることができる。この力の作用により、栓体チャック機構804および栓体205が一方向に回転させることができるため、栓体チャック機構804と栓体205の損傷を軽減することができる。つまり、栓体チャック機構804の回転モータの励磁を入力した状態で、栓体チャック機構804の滑りクラッチ837(詳細は後述)を回転させてもよいし、栓体チャック機構804の回転モータ831の励磁を解除した状態で、回転モータ831を回転させてもよい。また、栓体205を回転させてもよい。
【0075】
これらの第一栓体チャック部840の第一支持体841と第二栓体チャック部842の第二支持体843とを組み合わせる位置関係は、栓体202,205を挟み込む方向に対して可変できる構造としても良い。
【0076】
つまり、第一栓体チャック部840の開き量を可変に制御できるようにし、閉栓動作の開始直後は栓体を軽く把持することによって栓体202,205の変形・傷つきを防ぐとともに、閉栓動作の終了時には栓体202,205を強く把持することによって栓体202,205を確実に閉栓することができるようにすることができる。これにより、栓体202,205の外径、材質や硬さの違いに応じて柔軟に対応することが可能であり、どのような栓体202,205であっても失敗する可能性をより低減した閉栓処理を行うことができる。
【0077】
図10に戻り、栓体チャック回転機構803は、栓体チャック機構804によって把持された栓体202,205を回転させるための機構であり、第一栓体チャック部840の第一支持体841や第二栓体チャック部842の第二支持体843を回転させる回転モータ(回転機構)831と、回転モータ831の駆動電流を検出するための電流計832と、第一支持体841や第二支持体843の回転にかかるトルクを制御する滑りクラッチ837と、回転トルクを検出する力センサ838と、回転トルクを記録するエンコーダ833と、を備えている。
【0078】
栓体チャック回転機構803は、回転モータ831によって開栓方向と閉栓方向の両方向に回転可能にしており、栓体チャック回転機構803を上下動させる閉栓上下機構802によって開栓方向の上昇動作と閉栓方向の下降動作の両方が動作できるようになっている。
【0079】
回転モータ831と閉栓上下機構802に設けられた上下モータとは、制御コンピュータ101によってモータ駆動が制御される。
【0080】
栓体チャック回転機構803では、電流計832により回転モータ831のモータ駆動電流を検出しており、検出したモータ駆動電流を制御コンピュータ101に入力し、制御コンピュータ101がこの電流値によってトルクを算出することができる。
【0081】
また、エンコーダ833により回転モータ831の回転によって出力されるパルスをカウントすることにより、制御コンピュータ101が栓体チャック回転機構803の回転角度を算出することができるようになっている。
【0082】
一方、制御コンピュータ101からは、回転モータ831の駆動を制御する指令信号を出力するようになっており、栓体チャック回転機構803の回転による栓体205の締め付けトルクを制御するトルク指令信号834と、栓体205の回転角度および回転速度の指令信号835を出力することが可能である。
【0083】
図9に戻り、閉栓機構800の下方には、キャリア認識部185Bが設けられている。キャリア認識部185Bは、閉栓機構800へと移送された検体容器200A,200Bを搭載したキャリア210に対し、当該キャリア210の記録媒体に記録されたキャリアID情報や検体ID情報を読み取る。
【0084】
検体認識部121によって読み取られた検体容器200A,200Bを識別する情報と、キャリア認識部185Bによって読み取られたキャリアID情報が、制御コンピュータ101に送信され、制御コンピュータ101は両者の情報をリンク付けして検体検査自動化システム100内で当該検体容器200A,200Bを特定するユニークな情報を構成する。
【0085】
図9に示すように、栓体供給機構810は、閉栓機構800の周囲に設けられており、オペレータから供給された複数の栓体205を貯蔵している。更に閉栓機構800に対して栓体205の自動搬送・供給を行う。栓体供給機構810には、栓体205の自動搬送を行う栓体搬送機構(アクチュエータ)811が設けられている。
【0086】
栓体搬送機構811は、栓体供給機構810に複数個保持された栓体205を閉栓機構800まで搬送する機構であり、
図9に示すようなパーツフィーダによる搬送方式や、ベルトコンベア方式、ターンテーブル方式、ロボットアームにより空中を搬送する方式などが採用されている。
【0087】
次に、
図1乃至
図9を使用して、容器201や容器204の閉栓処理と子検体容器生成処理、検体分注処理の流れを説明する。
【0088】
検体の入った検体容器200A,200Bがオペレータにより検体投入部110に投入されると、検体搬送処理部120によって検体検査自動化システム100内を自動で搬送される。
【0089】
検体検査自動化システム100内部の通信回路を経由して、検体検査自動化システム100に搬送された検体容器200A,200Bの情報が制御コンピュータ101に伝わる。この通信に対する返信をトリガーとして、検体容器200A,200Bは検体搬送処理部120により自動で検体検査自動化システム100内の各処理部に搬送される。
【0090】
検体認識部121は投入されたバーコード203を、またキャリア認識部125は使用されているキャリア210のキャリアID情報をそれぞれ読み取り、制御コンピュータ101に送信する。更に、栓体検知部122は、検体容器200A,200Bの画像を解析して検体容器200A,200Bの栓体202,205について螺着の有無の判断や、栓体202の種別の特定を行い、制御コンピュータ101に送信する。
【0091】
制御コンピュータ101はこれらの情報を対応付けし、検体検査自動化システム100内で当該検体容器200A,200Bを示すユニークな情報を構成する。
【0092】
制御コンピュータ101は、当該解析情報に基づき検体容器200A,200Bの処理内容(子検体容器生成処理や、分注処理、各機構部の動作パラメータなど)を決定し、処理情報として検体搬送処理部120およびそれぞれの機構処理部に指示する。
【0093】
例えば、子検体容器生成処理部160では、分注処理の内容に対応した子検体容器201,204を供給し、バーコード203を貼り付けた状態で生成し、キャリア210に架設する。容器204が架設されたキャリア210を分注処理部170まで検体搬送処理部120により移送する。
【0094】
分注処理部170では、子検体容器生成処理部160から移送された容器201,204に、検体投入部110から移送された検体容器200A,200Bからの検体の小分け分注処理が実施される。
【0095】
分注処理が完了すると、分注処理部170の下に設置しているキャリア認識部175で当該検体容器200A,200Bを搭載しているキャリア210のキャリアIDを読み取り、制御コンピュータ101に送信することで、制御コンピュータ101内では当該キャリアID情報と共に、「分注処理が成功した」という情報が記憶される。以上の処理により、制御コンピュータ101内では、各検体容器200A,200Bに関する情報が対応付けされる。
【0096】
制御コンピュータ101は、送信されたキャリアID情報を、子検体生成時に送信されたキャリアID情報と照会し、当該検体容器200A,200Bを特定する。制御コンピュータ101は照会した情報に基づき、閉栓処理の必要性を判断し、適切な閉栓処理部180A,180Bへと検体容器200A,200Bを搬送する。
【0097】
ここで閉栓処理の必要性とは、例えば閉栓で使用する栓体の種類、使用する閉栓処理部180A,180Bの種類、閉栓機構800の各機構部の動作パラメータ(例えば、栓体チャック機構804が栓体を掴む位置、栓体チャック回転機構803の回転量、停止トルク)など、検体容器200A,200Bに適合した処理情報が含まれる。
【0098】
制御コンピュータ101によって閉栓処理が必要だと判断された検体容器200A,200Bが搭載されたキャリア210が、閉栓処理部180A,180Bまで移送され、閉栓処理が実施される。
【0099】
閉栓処理部180A,180Bでは、閉栓機構800まで移送された検体容器200A,200Bに対し、栓体202,205の開栓処理が実施される。
【0100】
開栓処理が完了すると、閉栓機構800の下に設置しているキャリア認識部185A,185Bで当該検体容器200A,200Bを搭載しているキャリア210のキャリアIDを読み取り、制御コンピュータ101に送信することで、制御コンピュータ101内では当該キャリアID情報と共に、「閉栓処理が成功した」という情報が記憶される。以上の処理により、制御コンピュータ101内では、各検体容器200A,200Bに関する情報が対応付けされる。
【0101】
閉栓処理を終えた検体容器200A,200Bは検体収納部130に搬送され、到達した順に検体収納処理が実施される。検体容器200A,200Bは、制御コンピュータ101で指示されたポジションに収納される。検体収納部130の下にもキャリア認識部135が設置され、キャリアID情報を読み取ると制御コンピュータ101に送信する。制御コンピュータ101ではキャリアID情報とともに、「収納処理が成功した」という情報を対応付けて記憶する。
【0102】
次に、
図1乃至
図27を使用して、栓体チャック回転機構803による栓体202,205の閉栓処理について説明する。
【0103】
前述したように、栓体検知部122によって検体容器200A,200Bと栓体202,205の種別の特定が行われると、制御コンピュータ101は、解析情報に基づき検体容器200A,200Bの閉栓処理の内容を決定する。なお、この開閉処理の内容は、あらかじめオペレータにより登録されていても良い。
【0104】
検体容器の栓体の種類が圧入栓202の場合は、制御コンピュータ101からの指示に従い、閉栓処理部180Aに移送される。検体容器の栓体の種類がスクリュー栓205の場合は、制御コンピュータ101からの指示に従い、閉栓処理部180Bに移送される。
【0105】
圧入栓202の場合には、閉栓上下機構802と栓体チャック回転機構803の動作により、閉栓時には栓体202を回転させながら押し込む閉栓処理が行われる。一方、スクリュー栓205の場合は、制御コンピュータ101からの指示に従い、圧入栓202の場合とは回転力や回転数等が異なる回転動作を行いながら、ねじピッチに合わせた下降動作を行う。
【0106】
このように、検体容器200A,200Bと栓体202,205の情報に応じて、閉栓動作時に回転力や回転数などの動作パラメータをそれぞれ切り替えることによって最適な開閉処理を実現することができる。
【0107】
図27は、閉栓機構800における閉栓上下機構802の上下動作と栓体チャック回転機構803の回転動作と回転トルクに着目した閉栓処理の流れを示すタイミングチャートの一例である。
【0108】
図27(a)は閉栓上下機構802による、第一栓体チャック部840の駆動高さ、
図27(b)は回転モータ831による栓体チャック回転機構803の回転速度、
図27(c)は栓体チャック回転機構803の締め付けトルク、をそれぞれ示している。
【0109】
初めに、前述のように、検体容器200A,200Bが検体搬送処理部120によって搬送され、閉栓機構800の閉栓ポジションに停止する。この段階は
図27のタイミングチャートのAより前に相当する。
【0110】
(処理A〜C)
栓体チャック回転機構803が移動し、また栓体供給機構810が栓体搬送機構811によって栓体205を搬送し、栓体供給動作を開始する。その後、閉栓上下機構802によって栓体チャック機構804が下降し(A〜B区間)、C位置で栓体205を把持する。この時、栓体チャック回転機構803の位置だし動作を行っても良い。
図27(b)においては、栓体チャック回転機構803がB〜C区間で回転して、原点復帰のための位置だし動作を行っている。
【0111】
(処理C〜D)
栓体チャック機構804が栓体205を把持すると、閉栓上下機構802の動作とあわせて、栓体移動機構801によって栓体205を閉栓位置まで移送する。
【0112】
(処理D〜E)
栓体移送が終了すると、閉栓上下機構802によって栓体チャック機構804が上昇して、閉栓位置にて待機する。また、この間に、検体容器クランプ機構805が、搬送された検体搬送処理部120上の検体容器200A,200Bを保持する。
【0113】
(処理E〜F)
検体容器200A,200Bに栓体202,205が羅着されていないことを栓体検知部122により判断し、制御コンピュータ101からの指示の入力を受ける。
【0114】
(処理F〜G)
栓体チャック機構804が、栓体205を保持した状態で閉栓上下機構802によって下降する。この時、栓体チャック回転機構803の位置決め動作を行っても良い。
【0115】
(処理G〜H)
栓体チャック回転機構803を回転させ、栓体205を保持した状態で閉栓上下機構802の下降動作とあわせて第一栓体チャック部840および第二栓体チャック部842を回転させる。栓体チャック回転機構803の回転動作については、制御コンピュータ101からのトルク指令信号834と、回転速度および回転角度の指令信号835とが回転モータ831に送られ、この回転モータ831の駆動により栓体205を把持する第一栓体チャック部840および第二栓体チャック部842は回転する。回転モータ831の駆動によって、G時点から第一栓体チャック部840および第二栓体チャック部842が下降および閉栓方向への回転を開始し、H時点で指令回転角度S1に到達して停止、即ち閉栓処理が完了する。一方、指令トルクの最大値はT1であり、実回転が指令回転に追従するように充分に高い値になっている。
【0116】
(処理H〜I)
制御コンピュータ101は、計測された回転トルクに基づいて閉栓処理が正常に行われたか否かの判定を行う。
図27(c)に異常時と正常時の回転トルクの例を示す。前述のように、栓体205の閉栓処理時のトルクを力センサ838で検出することにより、栓体205の閉栓処理や開栓処理時における異常発生を検知することが可能となる。例えば、正常なトルク値の範囲を予め定めておき、その範囲を逸脱した場合に開閉処理異常が生じたと判断しても良いし、正常な開閉処理時のトルク波形のパターンを記憶しておき、力センサ838により得られた実測トルク波形の形状が正常のトルク波形の形状と異なる場合に異常が生じたと判断しても良い。
なお、本実施例では閉栓処理の判定を述べたが、開栓処理においては、同様にして区間E〜Fにおいて開栓処理の判定を行っても良い。
【0117】
(処理I〜J)
開栓処理が終了すると、第一栓体チャック部840が上昇し、次の処理まで待機する。
【0118】
以上の処理を行うことにより、例えば、第一栓体チャック部840が栓体205を斜めに把持してしまい、容器204に対して斜めに栓体205を押し付けた状態で、不完全な閉栓状態になってしまった場合等の閉栓異常をトルク検出や負荷検出などから監視することが可能となる。
【0119】
圧入栓202についても閉栓処理の流れは略同じである。圧入栓202の場合は、
図27(c)に示すような回転トルクにて閉栓処理が行われる。
【0120】
不完全な開閉処理を検知した場合には、その旨をオペレータに通知しても良い。例えば、制御コンピュータ101に表示装置が備わっている場合には、その旨を画面表示しても良いし、アラームや表示灯を点灯して注意を喚起しても良い。この場合、オペレータは検体の様子を目視で確認して、異常原因があればそれを排除するなどのリカバリ動作を行う。また、不完全な閉栓状態になってしまった場合、リトライ動作(異常検出時に、開けてから閉め直す)に遷移して完全に閉栓処理させても良く、このような処理を行うことで正常動作に復帰することが可能となる。
【0121】
次に、閉栓機構800が栓体202,205を把持するときの処理について、
図10を用いて説明する。まず、圧入栓の栓体202を第一栓体チャック部840が把持・閉栓する処理について説明する。
【0122】
上述のように、栓体202は、凹部250の内周部にひとつ以上のリブ251が、放射上に離間して設けられている。このため、第一栓体チャック部840の第一支持体841が栓体202を掴む際、まず第二支持体843が栓体202の凹部250とリブ251の間に勘合し、制御コンピュータ101から指示された下降量の下降動作を行うと、第一支持体841が栓体202を把持し、栓体202が保持される。
【0123】
以上のようにすることで、第一栓体チャック部840が栓体202を把持した時に、第二支持体843が栓体202との中心位置を合わせやすく、栓体202を把持することができる。同時に、第二支持体843の下端面が傾斜していることにより、垂直下降時にリブ251との接触した場合の力を一方向に逃がすことが可能である。このため、栓体202の垂直把持や、リブ251および第二支持体843の破損を防止することが可能である。更に、一組以上の第一支持体841によって圧接されるため、把持処理や閉栓処理によって栓体202に円周方向の荷重が不均一に加わることを防止し、栓体202の変形や傷付きを防ぐことができる。
【0124】
また、圧入時には、同様に第一栓体チャック部840の第二支持体843が栓体202を固定し、第一支持体841が栓体202に対して回転モータ831の回転力を伝える。その上、これらの第一支持体841の上部に備えられた第二支持体843の特に押圧面844が栓体202を上方側より押さえつけるため、上方から圧入しつつ閉栓処理することが可能である。
【0125】
次に、スクリュー栓の栓体205を把持するときの処理について説明する。
【0126】
第一栓体チャック部840の第一支持体841が栓体205を掴む際、まず第二支持体843が栓体205の凹部250とリブ251との間に勘合し、制御コンピュータ101から指示された下降量によって下降動作を行うと、第一支持体841が栓体205を把持し、栓体205が保持される。
【0127】
以上のようにすることで、第一栓体チャック部840が栓体205を把持した時に、第二支持体843が栓体205との中心位置を合わせやすく、栓体205を垂直に把持することができる。更に、一組以上の第一支持体841によって圧接されるため、把持処理や閉栓処理によって栓体205に荷重が円周方向に不均一に加わることを防止し、栓体205の変形や傷付きを防ぐことができる。更に、栓体205に対して第二支持体843が栓体205の上面のリブ251間の溝にはまり込むため、すべることなく栓体205を確実に開閉処理することができる。また、第二支持体843の下端面が傾斜していることにより、はまり込む際に垂直下降時にリブ251との接触した場合の力を一方向に逃がすことが可能である。このため、栓体205の垂直把持が可能であり、リブ251および第二支持体843の破損を防止することが可能である。
【0128】
更に第一栓体チャック部840が第一支持体841を2つ以上有することによって、栓体205を真っ直ぐ把持することができ、栓体205の保持が傾くことによる閉栓処理の失敗を抑止することが可能となる。
【0129】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0130】
上述した本発明の実施例の検体検査自動化システム100は、検体容器200A,200Bから栓体202,205を開栓する開栓処理部150や、検体容器200A,200Bを栓体202,205で閉栓する閉栓処理部180A,180Bと、検体容器200A,200Bに収容された検体の処理を行う遠心処理部140,分注処理部170等の各部と、検体容器200A,200Bを各部に搬送する検体搬送処理部120と、各部を制御する制御コンピュータ101と、を備えている。
【0131】
このうち、閉栓処理部180A,180Bは、栓体202,205を把持する第一栓体チャック部840と、第一栓体チャック部840の上方に位置する第二栓体チャック部842,842A,842B,842C,842Dと、を備え、第一栓体チャック部840は、栓体202,205を複数の方向から把持する第一支持体841を少なくとも2つ以上有し、第二栓体チャック部842,842A,842B,842C,842Dは、栓体202,205の半径方向に配置され、下端面が傾斜した第二支持体843,843A,843B,843C,843D,843Eを有する閉栓機構800を備えており、第二栓体チャック部842,842A,842B,842C,842Dを回転させることにより検体容器200A,200Bに対して栓体202,205を開栓または閉栓する。
【0132】
従来の栓処理装置では、圧入栓を押し込む閉栓処理動作の場合、専用の容器保持機構や容器ホルダや、専用の移送ラインが必要であった。また一定量の押し込み力が必要であるため、機構部の損傷やメンテナンスの頻度の増加が懸念されていた。
【0133】
また、このような栓体を摩擦接触で把持するためには、把持チャックをステンレスなどの金属とした場合に、把持チャックの表面に切り込みを設けることが一般的であった。この場合、把持チャック表面の支持体の定期的なクリーニング作業に時間を要していた。
【0134】
一方、検体検査自動化システムの要求として、24時間動作による作業省力化が要求されており、これらのクリーニング作業や消耗品補充になどにより、システム全体のスループットが低下する懸念があった。
【0135】
これに対し、本発明の閉栓処理部180A,180Bに設けられた閉栓機構800は、それぞれの特徴を考慮した形状の第一支持体841と第二支持体843とが組み合わされた構成であるので、栓体が圧入栓202とスクリュー栓205のどちらの場合であっても、栓体202,205の変形や傷や滑りを従来に比べ低減することができる。このため、開閉に必要な把持を従来に比べて確実に実行することができ、検体容器200A,200Bの開閉処理の失敗を従来より回避することができる。
【0136】
特に、第二支持体843,843A,843B,843C,843D,843Eの下端面が傾斜しているため、栓体チャック機構804の下降時に栓体202,205のリブ251に第二支持体843,843A,843B,843C,843D,843Eが接触したときに、傾斜と同じ方向に栓体202,205が回転する。このため、栓体202,205が傾くことを抑止し、栓体202,205の垂直把持を従来に比べて確実に行うことができる。また、リブ251や第二支持体843等に過剰な応力がかかることを防止することができ、閉栓機構800が故障する危険性や栓体202,205が損傷する危険性を従来に比べて低くすることができる。これらの効果によって、検体検査自動化システム100の移送路上において、検体容器200A,200Bからの栓体202,205の開栓処理・閉栓処理が行うことができ、安定した検体検査を行うことが可能となり、信頼性の高い検体検査自動化システムを提供することができる。
【0137】
また、下端面が傾斜している第二支持体843,843A,843B,843C,843D,843Eの存在により、圧入栓202に加えて、スクリュー栓205も確実に自動での開栓・閉栓処理を行うことができる。特に、スクリュー栓205は、専用の機構が必要な圧入栓202とは異なり、検体搬送処理部120上での閉栓が可能であることから、閉栓処理のスループットの向上を図ることができる。そのため、閉栓処理を確実に行うとともに処理速度の向上を実現した検体検査自動化システムを提供することができる。
【0138】
また、第二栓体チャック部842,842Aは、栓体202,205の上面に接する押圧面844,844Aを更に有するため、特に圧入栓202の閉栓の際に容器201への圧入栓202の圧入をより確実に行うことができ、閉栓動作をより安定させることができる。
【0139】
更に、第二支持体843,843A,843Dは、栓体202,205の中心位置と等しい第一支持体841の重心841Aから栓体202,205の半径方向外側にずれた位置に少なくとも一つ以上設けられていることで、栓体202,205の開栓・閉栓時にリブ251に確実に干渉させることができ、スムーズな開栓・閉栓動作が可能となる。
【0140】
また、第二支持体843A,843Bは、栓体202,205の中心位置と等しい第一支持体841の重心841Aから放射状に複数設けられていることにより、同様に、栓体202,205の開栓・閉栓時にリブ251に干渉する箇所を増やすことができ、スムーズな開栓・閉栓動作が可能である。
【0141】
更に、第一支持体841を回転させる回転モータ831を更に有することで、栓体202,205の開栓・閉栓時に、栓体202,205の外周面を把持する第一支持体841を回転させることができ、よりスムーズな開栓・閉栓処理を行うことができる。
【0142】
また、第二支持体843A,843Bの下端面は、傾斜方向が全て同じ向きであることにより、栓体202,205のリブ251と第二支持体843A,843Bとが接触したときに、傾斜と同じ方向に栓体202,205を回転させることができ、栓体202,205が傾くことを抑止することが可能となる。また、リブ251や第二支持体843等に過剰な応力がかかることを防止することも確実に可能である。
【0143】
更に、閉栓処理部180A,180Bは、栓体202,205を複数保管する栓体供給機構810、および栓体供給機構810から供給された栓体202,205を閉栓機構800まで移送する栓体搬送機構811を有している。このため、閉栓処理部180A,180Bにおける閉栓処理においてスムーズな閉栓処理を行うことができ、処理速度の向上を図ることができる。
【0144】
また、検体容器200A,200Bの種類に応じた閉栓処理部180A,180Bを複数備え、制御コンピュータ101は、検体容器200A,200Bの種類に応じて、適した閉栓処理部180A,180Bに検体容器200A,200Bを切り替え搬送する。このため、システムの使用者や検体の検査の都合に応じた圧入栓202とスクリュー栓205との両方を用いる閉栓処理が、システム全体のスループットを低下させることなく同一のシステム内で行うことができ、処理速度の向上を図ることができる。
【0145】
更に、検体の定性・定量分析を行う分析処理部190を更に備えたことで、システム内で分析までを完了させることができるため、分析完了までの時間の短縮が可能となる。
【0146】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0147】
例えば、上述の実施例では栓処理装置を閉栓処理部180A,180Bに適用する場合について説明したが、本発明は、検体容器200A,200Bから栓体202,205を開栓する開栓処理部150や、検体容器200A,200Bからの栓体202,205の開栓および閉栓のいずれも行う栓体開閉処理部にも適用することができる。
【0148】
また、上述の実施例で説明したように、検体検査自動化システム100とは、自動分析装置に相当する分析処理部190で検体などの検体の分析を行うための、遠心分離、検体分注、開栓、閉栓、子検体容器生成、バーコードラベル貼り付けなどの各種前処理を行う前処理装置を含む分析システムとして説明したが、検体検査自動化システム100は、システムとしては最低限、開栓、閉栓、分注機構、それらの間で検体を搬送する搬送機構を備えている前処理システムのみであってもよい。それ以外にも、後処理システムのみや、後処理システムと分析システムを統合したシステム、前処理システムと後処理システムと分析システムとを統合したシステム、であっても良い。