(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記四辺のうち対向する二辺からなる二組それぞれにおいて、一方の辺に接して前記第一リードフレームの一部が同じ辺に接する側面から露出し、他方の辺に接して前記第二リードフレームの一部が同じ辺に接する側面から露出し、且つ前記第一リードフレームの前記側面から露出した部分と前記第二リードフレームの前記側面から露出した部分とは、互いに線対称の位置に配置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体素子。
前記四辺のうち対向する二辺からなる二組のうちの一方の組をなす二辺それぞれに前記接続端子として三端子が設けられ、他方の組をなす二辺それぞれに前記接続端子として一端子が設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体素子。
前記四辺のうち対向する二辺それぞれの中点を通る直線と平面視で重なる位置に、前記第一リードフレーム及び前記第二リードフレームの少なくともいずれか一方が存在する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体素子。
前記一の面を点対称となる二つの領域に分割する直線と平面視で重なる位置に、前記第一リードフレーム及び前記第二リードフレームの少なくともいずれか一方が存在する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の半導体素子。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体素子1の一例の概略構成を示す縦断面図である。
半導体素子1は、光電変換機能又は電光変換機能を有し、光を受光又は発光する素子であって、リードフレーム2と、IRチップ3と、リードフレーム2及びIRチップ3を一体に封止する封止部4と、を備える。なお、IRチップ3とリードフレーム2とはワイヤ5で電気的に接続される。
IRチップ3は、例えば赤外線センサ、発光ダイオード等で構成される。IRチップ3は、公知のIRチップと同様に、例えば半導体基板と、半導体基板上に形成され、第一導電型半導体層、活性層及び第二導電型半導体層を有する化合物半導体層と、第一導電型半導体層と電気的に接続される第一電極31と、第二導電型半導体層と電気的に接続される第二電極32とを備えて構成される。
【0010】
半導体素子1は、例えば、金型を利用し、封止部材を充填して対象物を封止する公知の手順を利用して作製される。すなわち、まず、複数の素子形成領域が形成され、後に分割されてリードフレーム2となる後述のリードフレーム基板6を、粘着シートに貼付する。また、リードフレーム基板6の、素子形成領域に対応する粘着シート上の領域にIRチップ3を貼付し、さらに、リードフレーム基板6とIRチップ3の各電極31、32とをワイヤ5で電気的に接続する。そして、エポキシ系の熱硬化型樹脂を含む材料等の封止部材を用い、金型を利用して封止部材を充填し、リードフレーム2、IRチップ3及びワイヤ5を一体に封止する。これにより、外形が、平面視で直方体状の半導体素子1が形成される。そして、リードフレーム基板6に一体に形成された複数の半導体素子1を、個片化することにより、半導体素子1が形成される。
【0011】
図2は、リードフレーム基板6の一例を示す平面図である。
図2に示すように、リードフレーム基板6は、後に分割されて半導体素子1毎のリードフレーム2となる部材が、複数マトリクス状に接続されて形成される。
図2中破線で囲まれた矩形領域(以後、素子領域という)6aが一つの半導体素子1をなす領域である。
リードフレーム2は、
図2に示すように、IRチップ3の第一電極31と電気的に接続される第一リードフレーム11と、IRチップ3の第二電極32と電気的に接続される第二リードフレーム12と、を備える。第一リードフレーム11と第二リードフレーム12とは、IRチップ3を配置する領域であるチップ搭載領域3aを囲むように配置される。なお、
図2において、第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12のハッチング部分は、後述の端子部よりも板厚が薄い部分である。
【0012】
図2において、素子領域6aが左右に延びる方向をX軸方向、上下に延びる方向をY軸方向とする。また、矩形の素子領域6aの各辺を、辺a、辺b、辺c、辺dとする。
第一リードフレーム11は、辺aに向かって突出し、辺aに達して接続端子となる端子部P1と、辺bに向かって突出し、辺bに達して接続端子となる端子部P2と、辺cに向かってそれぞれ突出し、共に辺cに達して接続端子となる端子部P3及びP4とを備え、これら端子部P1〜P4は一体に形成される。ここで接続端子とは、第一リードフレーム11が封止部4から露出している部分を指しており、本発明における接続端子の全てが外部の端子と電気的に接続される必要がないことは当然である。また接続端子の少なくとも一部は、封止部4の側面のみから露出するような形状・厚みとなっていてもよい(封止部4の上面や下面からは露出しなくてもよい)。第二リードフレーム12の接続端子についても同様である。
【0013】
第二リードフレーム12は、辺aに向かってそれぞれ突出し共に辺aに達して接続端子となる端子部N1、N2と、辺cに向かって突出し、辺cに達して接続端子となる端子部N3と、辺dに向かって突出し、辺dに達して接続端子となる端子部N4と、を備え、これら端子部N1〜N4は一体に形成される。
端子部P1、N1、N2と、端子部P3、P4、N3とは、辺bの中点と辺dの中点とを結ぶ線分を軸として線対称の位置に配置される。また、端子部P2と端子部N4とは、辺aの中点と辺cの中点とを結ぶ線分を軸として線対称の位置に配置される。
このようなリードフレーム基板6を用いて、半導体素子1を作製した場合、その底面図は、
図3に示すようになる。つまり、第一リードフレーム11からなる端子部P1〜P4は封止部4から露出して、接続端子P11〜P14となる。第二リードフレーム12からなる端子部N1〜N4は、封止部4から露出して接続端子N11〜N14となる。なお、
図3の底面図において、ハッチング部分は封止部4を表す。
図3では、封止部4で覆われている箇所も実線で記載している。
【0014】
ここで、
図2に示すように、隣り合う辺a〜辺cに端子部P1〜P4が配置されているため、第一リードフレーム11は、辺a〜辺cに沿って配置されることになる。同様に、辺a、辺d、辺cに端子部N1〜N4が配置されているため、第二リードフレーム12は、隣り合う辺a、辺d、辺cに沿って配置されることになる。つまり、このリードフレーム2を用いて形成される半導体素子1は、平面視で四つの角部それぞれに第一リードフレーム11又は第二リードフレーム12が存在することになる。そのため、半導体素子1に対し、平面視で半導体素子1の対角線を軸として半導体素子1を折り曲げる方向に力が加わったり、対角線に沿った方向に角部どうしを近付けるように力が加わったりする場合であっても、半導体素子1が変形することを抑制することができ、その結果、IRチップ3に外力が加わることを抑制することができる。
【0015】
また、
図2に示すような端子部の配置を有するリードフレーム2を、複数マトリクス状に並べたリードフレーム基板6を作製した場合、上下(
図2に示すY軸方向)に隣り合う二つのリードフレーム2間は、一つの端子部で接続されていればよい。また、左右(
図2に示すX軸方向)に隣り合う二つのリードフレーム2間は、三つの端子部どうしで接続されていればよい。つまり、上下及び左右のリードフレーム2間は、共に端子部どうしで接続することができる。そのため、リードフレーム2間に各辺a〜dそれぞれにある複数の端子部を、コネクティングバー等を設けて繋ぐ必要はなく、その分、一枚のリードフレーム基板6から切り出されるリードフレーム数を増やすことができる。
【0016】
さらに、端子部の板厚はそのままで端子部どうしを接続することにより、上下及び左右のリードフレーム2どうしを接続することができるため、リードフレーム2間の切断に用いるブレードとして比較的幅の狭いブレードを用いることができる。そのため、リードフレーム2間に設けるべき、リードフレーム2間を切断するために確保すべき領域をより狭くすることができる。その結果、一枚のリードフレーム基板6から切り出されるリードフレーム数を増やすことができる。
なお、上記実施形態においては、リードフレーム基板6として、
図2に示すように、第一リードフレーム11からなる端子部Pを、素子領域6aの辺aに一つ、辺bに一つ、辺cに二つ設け、第二リードフレーム12からなる端子部Nを、素子領域6aの辺aに二つ、辺dに一つ、辺bに一つ設けることで、端子部を、素子領域6aの左右に三つずつ設け、上下に一つずつ設ける場合について説明したが、これに限るものではない。
【0017】
例えば、
図4に示すように、第一リードフレーム11からなる端子部P1〜P4を、素子領域6aの辺aに一つ、辺bに一つ、辺cに二つ設け、第二リードフレーム12からなる端子部N1、N2を、素子領域6aの辺aに一つ、辺dに一つ設けることで、端子部を、素子領域6aの左右に二つずつ設け、上下に一つずつ設けてもよい。
また、例えば、
図5に示すように、第一リードフレーム11からなる端子部P1〜P3を、素子領域6aの辺bに一つ、辺cに二つ設け、第二リードフレーム12からなる端子部N1〜N3を、素子領域6aの辺aに二つ、辺dに一つ設けることで、端子部を、素子領域6aの左右に二つずつ設け、上下に一つずつ設けても良い。なお、
図4及び
図5において、ハッチング部分は、端子部よりも板厚が薄い部分を示す。
【0018】
リードフレーム2が、
図4及び
図5に示す形状の場合、素子領域6aの辺bと辺cとがなす角及び辺aと辺dとがなす角を通る対角線上に第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12が配置されている。そのため、少なくとも、この対角線を軸として素子領域6aを折り曲げる方向に、半導体素子1に対して力が加わったり、対角線に沿った方向に角部どうしが近づくように力が加わったりした場合であっても、半導体素子1の変形を抑制することができる。つまり、
図4及び
図5に示すように、平面視で、素子領域6aの二本の対角線のうちのいずれか一方と重なるように、第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12を配置することによって、対角線を軸として半導体素子1を折り曲げる方向に力が加わった場合の割れや、対角線を通る二つの角部どうしが対角線に沿って近づく方向に力が加わった場合に生じる半導体素子1自体の変形を抑制することができる。さらに、
図2に示すように、平面視で二つの対角線それぞれと第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12とが重なるように、第一及び第二リードフレーム11、12を配置することによって、半導体素子1に対して外部から加わる力に対し、より一層、半導体素子1の変形を抑制することができる。
【0019】
さらに、同様にリードフレーム2が、
図2、
図4及び
図5に示す形状の場合、素子領域6aの辺aの中点と辺cの中点とを結ぶ線上に、第一リードフレーム11または第二リードフレーム12が配置されている。そのため、少なくとも、辺aと辺cの中点を結ぶ線を軸として素子領域6aを折り曲げる方向に、半導体素子1に対して力が加わったり、辺bと辺dが近づくように力が加わったりした場合であっても、半導体素子1の変形を抑制することができる。つまり、
図2、
図4及び
図5に示すように、平面視で、素子領域6aの辺aの中点と辺cの中点とを結ぶ線や辺bの中点と辺dの中点とを結ぶ線に重なるように第一リードフレーム11または第二リードフレーム12を配置している。このため、辺aの中点と辺cの中点とを結ぶ線や辺bの中点と辺dの中点とを結ぶ線を軸として半導体素子1を折り曲げる方向に力が加わった場合の割れや、辺bと辺dや辺aと辺cどうしがそれぞれの中点軸に沿って近づく方向に力が加わった場合に生じる半導体素子1自体の変形を抑制することができる。
【0020】
特に、平面視で半導体素子1の対角線を軸として半導体素子1を折り曲げる方向には力がかかりやすいため、外力による半導体素子1の変形を効率よく抑制することができる。
なお、第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12のうちの少なくともいずれか一方は、
図6に示すように、素子領域6aの四つの辺a〜辺dの対向する二辺それぞれの中点を通る直線L11、L12と重なる位置に配置されていることが好ましい。このように配置することによって、対角線に沿った方向だけでなく、半導体素子1の対向する二辺それぞれの中点を通る直線L1l、L12を軸として半導体素子1を折り曲げる方向であったり、直線L11、L12に沿った方向に半導体素子1の対向する辺どうしが近づく方向に力が加わったりした場合に、半導体素子1が変形することを抑制することができる。
【0021】
また、第一リードフレーム11及び第二リードフレーム12のうちの少なくともいずれか一方は、
図6に示すように、平面視で、半導体素子1を、点対称となる二つの領域に分割する直線L21と重なる位置に配置されていることが好ましい。このように配置することによって、半導体素子1に対して外部から加わる力によって、半導体素子1が変形することを、より一層抑制することができる。なお、
図6において、ハッチング部分は、端子部よりも板厚が薄い部分を示す。
また、上記実施形態においては、
図2、
図4、
図5に示すように、端子部P、Nを、素子領域6aの左右の辺に二つずつ又は三つずつ、また上下の辺に一つずつ設ける場合について説明したが、これに限るものではない。
【0022】
素子領域6aの辺a〜辺dのそれぞれに、第一リードフレーム11からなる端子部Pと第二リードフレーム12からなる端子部Nとの少なくともいずれか一方が配置され、且つ、辺a〜辺dのうち対向する二辺からなる二組それぞれにおいて、一方の辺に第一リードフレーム11からなる端子部Pが配置され、他方の辺に第二リードフレーム12からなる端子部Nが配置され、且つ端子部Pと端子部Nとが互いに線対称の位置に配置されていれば、素子領域6aの左右の辺に配置される端子部の数、また上下の辺に配置される端子部の数は限定されるものではない。つまり、
図2において、少なくとも、端子部P2及びP4と、端子部N1及びN4とが配置されていればよく、このような関係にある端子部P2、P4、N1、N4を備えていれば、各辺a〜辺dそれぞれにおいて複数の端子部を備えていてもよく、端子部の数は左右の辺間又は上下の辺間で同数でなくともよい。
【0023】
また、端子部P2と端子部N4とは、辺aの中点と辺cの中点とを結ぶ線分を軸として線対称の位置に配置されていればよく、端子部P2とN4は、
図2の様に辺aと辺dの中心ではなく、各辺の中心よりずれた位置に配置されてもよい。また、少なくとも端子部P2及びN4と、端子部N1及びP4とが、それぞれ
図6のL11やL12を軸とした線対称の位置に配置されていれば、第一リードフレーム11からなる他の端子部Pと第二リードフレーム12からなる他の端子部Nとは、線対象となる位置に配置されていなくともよい。
【0024】
また、
図2の端子部N1、P4の例で言えば、端子部P1やN2、端子部P3やN3が存在し、十分な実装強度が得られるのならば、
図7に示すように、端子部N1、P4は端子部よりも板厚の薄い薄板状態にしてもよい。なお、
図7において、ハッチング部分は薄板状態であることを示している。
図7に示すリードフレーム基板を用いて半導体素子を作製した場合の一例として底面図を
図8(a)に示し、
図8(b)にその側面図を示し、
図8(c)に平面図を示す。なお、
図8(a)の底面図及び
図8(c)の平面図において、ハッチング部分は、
図3同様に、封止部4を表す。
図8(a)では、封止部4で覆われている箇所も実線で示している。
【0025】
図7及び
図8に示すように、第一リードフレーム11からなる端子部P1〜P3は封止部4から露出して、接続端子P11〜P13となる。第二リードフレーム12からなる端子部N2〜N4は、封止部4から露出して接続端子N12〜N14となる。
【0026】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。