特許第6851220号(P6851220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851220電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851220
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20210322BHJP
【FI】
   G06Q50/06
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-32092(P2017-32092)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-136837(P2018-136837A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八太 啓行
(72)【発明者】
【氏名】大嶺 英太郎
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/084347(WO,A1)
【文献】 特開2013−176276(JP,A)
【文献】 特開2014−068512(JP,A)
【文献】 特開2015−090552(JP,A)
【文献】 特開2017−005851(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0046798(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107169685(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に存在する電力消費の時間帯をシフト可能な所定の機器の消費電力を基に、電力系統の電力需要の予測値を表す系統負荷カーブの変化率を低減する電力需要の目標値を算出する目標値算出部と、
所定数の異なるインセンティブ額をそれぞれ用いたデマンドレスポンス情報を前記所定の機器を管理するそれぞれの需要家の需要家端末へ送信し、各前記需要家端末から各前記インセンティブ額に対応する電力需要の予測値である前記所定の機器の運用計画を取得し、取得した各前記運用計画を基に前記目標値を達成するための特定インセンティブ額を決定するインセンティブ決定部と、
前記インセンティブ決定部により決定された前記特定インセンティブ額を基に、デマンドレスポンス情報を作成し需要家に通知する情報作成部と
を備えたことを特徴とする電力需要調整装置。
【請求項2】
前記目標値算出部は、前記系統負荷カーブの変化率の最大点を求め、前記最大点における変化率を小さくする目標値を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力需要調整装置。
【請求項3】
前記目標値算出部は、前記最大点を通過する直線と前記系統負荷カーブを基に算出される前記電力系統の電力需要の増加量が、前記所定の機器の消費電力の合計と一致する場合の傾きを有する前記直線を前記目標値とすることを特徴とする請求項2に記載の電力需要調整装置。
【請求項4】
前記インセンティブ決定部は、2つの前記インセンティブ額を用いた前記デマンドレスポンス情報を提供した場合の前記運用計画を取得し、それぞれの場合の前記電力系統の電力需要の変化の感度を基に、前記特定インセンティブ額を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電力需要調整装置。
【請求項5】
電力系統に存在する電力消費の時間帯をシフト可能な所定の機器の消費電力を基に、電力系統の電力需要の予測値を表す系統負荷カーブの変化率を低減する電力需要の目標値を算出する目標値算出ステップと、
所定数の異なるインセンティブ額をそれぞれ用いたデマンドレスポンス情報を前記所定の機器を管理するそれぞれの需要家の需要家端末へ送信し、各前記需要家端末から各前記インセンティブ額に対応する電力需要の予測値である前記所定の機器の運用計画を取得する運用計画取得ステップと、
前記運用計画取得ステップにおいて取得された各前記運用計画を基に前記目標値を達成するための特定インセンティブ額を決定するインセンティブ決定ステップと、
前記インセンティブ決定ステップにおいて決定された前記特定インセンティブ額を基に、デマンドレスポンス情報を作成する情報作成ステップと、
前記情報作成ステップにおいて作成された前記デマンドレスポンス情報を需要家に通知する通知ステップと
を備えたことを特徴とする電力需要調整方法。
【請求項6】
電力系統に存在する電力消費の時間帯をシフト可能な所定の機器の消費電力を基に、電力系統の電力需要の予測値を表す系統負荷カーブの変化率を低減する電力需要の目標値を算出し、
所定数の異なるインセンティブ額をそれぞれ用いたデマンドレスポンス情報を前記所定の機器を管理するそれぞれの需要家の需要家端末へ送信し、各前記需要家端末から各前記インセンティブ額に対応する電力需要の予測値である前記所定の機器の運用計画を取得し、
取得した各前記運用計画を基に前記目標値を達成するための特定インセンティブ額を決定し、
決定した前記特定インセンティブ額を基に、デマンドレスポンス情報を作成し、
作成した前記デマンドレスポンス情報を需要家に通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする電力需要調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現やエネルギーの効率的な利用に向け、今後太陽光発電(PV:Photovoltaics)や蓄電池などのエネルギー機器を活用する需要家が増加していくことが想定される。需要家の蓄電池充放電が特定の時間帯に集中すると、その時間帯の電力需要が増大し、電力系統の負荷率が低下するおそれがある。電力系統の負荷率が低下した場合、電力系統の運用効率が低下してしまう。
【0003】
このように、蓄電池充放電により、電力系統の需要変動が複雑化することが考えられる。また、太陽光発電の大量導入により、昼間の電力需要が減少し、電力系統の需要変動のグラフ形状が変化する現象(ダックカーブ)も懸念されている。このような電力系統の需要変動の複雑化により、これまで以上に需要変化率が高まることも想定される。このように需要変化率が拡大した場合、最低需要と最大需要との差が大きくなり、短時間で急速にその差を埋めなければならなくなり、電力系統の必要調整量が増大してしまう。さらに、電力系統の調整が追い付かなかった場合には、電力を供給できない事態に発展する可能性がある。このような需要の急激かつ大規模な変動は、ランプ変動と呼ばれる場合がある。
【0004】
このような事態を回避するため、ヒートポンプ式給湯機や蓄電池などの需要家機器を用いて需要変化率を低減させるといった対策の検討が望まれている。需要家機器を用いた対策を考えた場合、需要家側資源を活用するアグリゲータと呼ばれる仲介業者が、系統運用者の需要調整に寄与することで対価を得るビジネスが成立すると期待される。例えば、このようなビジネスの例として、ネガワットなどのアンシラリーサービスが考えられる。
【0005】
このような、需要家機器を用いた需要調整の1つの方法として、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)を活用することが考えられる。デマンドレスポンスとは、経済メリットを提供することにより需要を調整する技術である。例えば、デマンドレスポンスの活用としては、需要家の蓄電池充放電にインセンティブやペナルティを与えることで、需要家の蓄電池を制御するといった需要調整が考えられる。
【0006】
従来、デマンドレスポンスを用いた需要調整の技術として時間帯別の料金を用いる方法と負荷削減などへのインセンティブを用いる方法が提案されている。インセンティブを用いる方法としては、例えば、需要家の蓄電池充放電にインセンティブやペナルティなどを与え、そのインセンティブやペナルティなどを契機として需要家に蓄電池充放電を行わせることで、需要家の蓄電池充放電を制御することが考えられる。
【0007】
また、デマンドレスポンスを用いた需要調整の技術としては、需要逼迫時に気温によってインセンティブを決定する従来技術がある。また、一日の充電量及び放電量を事前に得られる条件下で、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力曲線を決定し、その曲線と鏡像関係にある曲線にしたがって電気料金を決定する従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−014935号公報
【特許文献2】特開2015−014876号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】スマートグリッド実現に向けた電力系統技術調査専門委員会:「スマートグリッドを支える電力システム技術」,電気学会,2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術のようにデマンドレスポンスを用いて需要家の蓄電池充放電を制御するとしても、インセンティブやペナルティの与え方によっては、蓄電池充放電の制御を適切に行うことが困難である。例えば、電気料金を調整することで蓄電池充放電を制御する場合、電気料金は蓄電池充放電に対して間接的であり、電気料金の調整により蓄電池充放電がどのように変化するのかを事前に知ることができないため、効果的に蓄電池充放電を制御する電気料金を決定することは困難であることが考えられる。これは、気温によってインセンティブを決定する従来技術や各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力曲線から電気料金を決める従来技術のいずれを用いても同様である。
【0011】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電力系統への電力供給を安定させる電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示する電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムの一つの態様において、目標値算出部は、電力系統に存在する電力消費の時間帯をシフト可能な所定の機器の消費電力を基に、電力系統の電力需要の予測値を表す系統負荷カーブの変化率を低減する電力需要の目標値を算出する。インセンティブ決定部は、所定数の異なるインセンティブ額をそれぞれ用いたデマンドレスポンス情報を前記所定の機器を管理するそれぞれの需要家の需要家端末へ送信し、各前記需要家端末から各前記インセンティブ額に対応する電力需要の予測値である前記所定の機器の運用計画を取得し、取得した各前記運用計画を基に前記目標値を達成するための特定インセンティブ額を決定する。情報作成部は、前記インセンティブ決定部により決定された前記特定インセンティブ額を基に、デマンドレスポンス情報を作成し需要家に通知する。
【発明の効果】
【0013】
本願の開示する電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムの一つの態様によれば、電力系統への電力供給を安定させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、電力系統の概略図である。
図2図2は、実施例に係る電力需要調整装置のブロック図である。
図3図3は、系統負荷カーブを表す図である。
図4図4は、インセンティブの与え方を説明するための図である。
図5図5は、インセンティブ額を用いた場合と目標値との需要の誤差を説明するための図である。
図6図6は、インセンティブ額と目標値との誤差との関係を表す図である。
図7図7は、初期系統負荷カーブに対するデマンドレスポンス情報及びその影響を表す図である。
図8図8は、実施例に係る電力需要調整装置によるデマンドリクエスト情報作成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願の開示する電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する電力需要調整装置、電力需要調整方法及び電力需要調整プログラムが限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、電力系統の概略図である。まず、図1を参照して、需要家2への電力供給及び各需要家2の管理について説明する。
【0017】
上位系3は、発電所を有する電力会社や電気の小売業者といった電気事業者である。上位系3は、配電線4を用いて電力を各需要家2に送る。
【0018】
需要家2には様々な種類があり、例えば、一戸建ての住宅、住居や商業施設などを有するビル及び工場などがある。本実施例では、主に、一戸建ての住宅や住居を有するビルなどを需要家2の例として説明する。
【0019】
各需要家2は、配電線4により上位系3と接続されている。そして、各需要家2は、配電線4を用いて上位系3から送られてきた電力を使用する。
【0020】
そして、各需要家2は、本実施例では、複数の需要家2をまとめた需要家群を1つのコミュニティ200とする。コミュニティ200に属する需要家2の選択方法には特に制限はない。例えば、コミュニティ200に属する需要家2としては、電力供給元の上位系3が同じであれば、地理的に近い需要家2をまとめてもよいし、地理的な関係とは関係なく所定の条件を満たす需要家2をまとめてもよい。
【0021】
アグリゲータ1は、各需要家2の電力需要を管理する管理会社などである。アグリゲータ1は、電気の小売業者などの電気事業者が運営してもよい。アグリゲータ1は、上位系3の電気事業者と契約する。さらに、アグリゲータ1は、各需要家2と契約し、契約した需要家2の電気料金の決定や電力需要に関する情報の提供などを行う。
【0022】
ここで、上位系3から配電線4により接続される電力系統の電力需要、特に時間毎の電力需要は、各需要家2におけるそれぞれの電気の使われ方によって変動する。電力系統の電力需要は、需要家2の電力の消費による変動に加えて、蓄電池からの充放電により大きく変動する。すなわち、需要家2が蓄電池から放電している場合、電力需要は低くなるが、蓄電池を充電している場合、電力需要は高くなる。また、需要家2が有する電力を消費する需要家機器の中には、電力を消費するタイミングと実際にその機器を用いるタイミングとが異なる需要家機器が存在する。このような需要家機器は、電力消費の時間帯をシフト可能である。そして、このような需要家機器の一例としては、ヒートポンプなどがある。また、蓄電池もその機器の中に含まれる。以下では、電力消費の時間帯をシフト可能な需要家機器を、「電力事前消費型機器」という。
【0023】
図2は、実施例に係る電力需要調整装置のブロック図である。電力需要調整装置10は、例えば、アグリゲータ1が有する電力需要調整用のサーバである。需要家端末20は、需要家2が有する情報処理端末である。調整依頼装置30は、例えば、上位系3が有する電力調整用のサーバである。以下では、配電線4に繋がる需要家2の電力系統の需要調整について説明する。
【0024】
調整依頼装置30は、毎日の電力系統の需要を例えば、1時間毎に取得し蓄積する。そして、調整依頼装置30は、次の日の曜日及び次の日の天気や気温などのデータを取得し、次の日の1日の電力需要の予測値を算出する。そして、電力需要の予測値の所定時間における変化率が閾値を超えた場合、調整依頼装置30は、需要調整の依頼を電力需要調整装置10へ通知する。ここで、本実施例では、調整依頼装置30が自動的に需要調整の要否を判定して需要調整の依頼を行っているが、これに限らず、例えば、発電機器の管理者が電力需要の予測値から需要調整の要否を判定して需要調整の依頼を行ってもよい。
【0025】
電力需要調整装置10は、目標値算出部11、DR情報作成部12、インセンティブ決定部13及び通信制御部14を有する。
【0026】
電力需要調整装置10は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ及びハードディスクなどの記録媒体(不図示)を有している。そして、記録媒体には、目標値算出部11、DR情報作成部12、インセンティブ決定部13及び通信制御部14の機能を実現させるためのプログラムを含む各種プログラムが格納されている。CPUは、記録媒体に格納された各種プログラムを読み出して、メモリ上に展開し実行することで、目標値算出部11、DR情報作成部12、インセンティブ決定部13及び通信制御部14の機能を実現する。
【0027】
目標値算出部11は、電力系統における電力需要の統計情報を有する。目標値算出部11は、電力系統における電力需要の統計情報、翌日の天気及び翌日の曜日などから、翌日の電力系統における電力需要の予測値を算出する。
【0028】
ここで、本実施例では、目標値算出部11は、1時間毎、すなわち、1日を24区分に分けた各区分での電力系統における電力需要の予測値を算出する。ただし、この区分はより細かくすることもでき、又より粗くすることもできる。1日を分割する区分が細かいほど精度の高い電力需要の予測値を算出することができる。この電力系統の電力需要の予測値を表すグラフを、以下では「系統負荷カーブ」という。特に、電力の調整を行う前の系統負荷カーブを「初期系統負荷カーブ」という。図3は、系統負荷カーブを表す図である。図3は、縦軸で系統負荷電力を表し、横軸で時刻を表す。この場合、初期系統負荷カーブ401により、電力調整を行う前の電力系統の電力需要の予測値が表される。
【0029】
次に、目標値算出部11は、予測値の変化率が最大の点を抽出する。例えば、目標値算出部11は、初期系統負荷カーブ401を微分した値が最も大きくなる点を予測値の変化率が最大の点として抽出する。図3では、目標値算出部11は、初期系統負荷カーブ401上の点402を予測値の変化率が最大の点として抽出する。
【0030】
次に、目標値算出部11は、変化率が最大の点402を通過する1次関数403を設定する。ここで、電力系統の需要が1次関数403と一致するように調整したとすると、1次関数403よりも初期系統負荷カーブ401が下にあるところでは、その差分だけ需要が増加する。逆に、1次関数403よりも初期系統負荷カーブ401が上にあるところでは、その差分だけ需要が低減する。すなわち、領域404は、電力系統の需要が1次関数403と一致するように調整した場合の需要の増加量である。また、領域405は、電力系統の需要が1次関数403と一致するように調整した場合の需要の低減量である。
【0031】
ここで、需要家2において需要の時間帯をシフト可能な機器は、ヒートポンプ式給湯器や蓄電池などの電力事前消費型機器22である。すなわち、所望の時間帯に需要を増やすことが可能な需要量は、電力事前消費型機器22の電力消費量といえる。そこで、領域404で表される需要の増加量の上限は、各需要家2における電力事前消費型機器22の消費量の合計といえる。そこで、目標値算出部11は、各需要家2における平均的な電力事前消費型機器22の電力消費量を予め記憶する。そして、目標値算出部11は、平均的な電力事前消費型機器22の電力消費量に需要家2の数を乗算し電力系統に存在する電力事前消費型機器22の全体の電力消費量を算出する。そして、目標値算出部11は、点402を通過する1次関数403の傾きを変化させ、領域404が電力系統に存在する電力事前消費型機器22の全体の電力消費量に一致する傾きαを求める。目標値算出部11は、求めた傾きαを有する1次関数403を目標値とする。そして、目標値算出部11は、目標値とした傾きαで点402を通過する1次関数403をインセンティブ決定部13へ出力する。
【0032】
インセンティブ決定部13は、インセンティブを求めるための基準とするインセンティブ額γ1及びγ2を予め記憶する。そして、インセンティブ決定部13は、目標値の1次関数403の入力を目標値算出部11から受ける。
【0033】
図4は、インセンティブの与え方を説明するための図である。図4の縦軸は電力又はPV電力買取価格を表し、横軸は時刻を表す。インセンティブ決定部13は、翌日の日の出及び日の入りの時刻から、各需要家2におけるPV出力の開始時刻及び終了時刻を求めPV出力の状態を決定する。例えば、インセンティブ決定部13は、次の日の日の出及び日の入りの時刻から、図4のグラフ501のようにPV出力が発生すると決定する。
【0034】
次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ1を用いた場合のPV電力買取価格の第1条件を決定する。具体的には、インセンティブ決定部13は、図4においてインセンティブ額γをインセンティブ額γ1とした場合のグラフ503で表されるPV電力買取価格を第1条件とする。そして、インセンティブ決定部13は、作成したPV買取価格の第1条件を通信制御部14を介して各需要家端末20へ送信する。ここで、図4におけるβは、通常のPV電力買取価格である。すなわち、グラフ502は、変更前のPV電力買取価格を表す。そして、インセンティブ決定部13は、第1条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を通信制御部14を介して各需要家端末20へ送信する。その後、インセンティブ決定部13は、PV電力買取価格を第1条件とした場合の各需要家2における電力事前消費型機器22による電力需要の予測値を通信制御部14を介して各需要家端末20から受信する。
【0035】
そして、インセンティブ決定部13は、第1条件下での各需要家2での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値を初期系統負荷カーブ401に用いて、PV電力買取価格を第1条件とした場合の電力系統全体の電力需要の予測値を求める。以下では、PV電力買取価格を第1条件とした場合の電力系統全体の電力需要の予測値を、「インセンティブ額γ1を用いた場合の電力系統全体の電力需要」という。例えば、インセンティブ決定部13は、図5の系統負荷カーブ406で表されるインセンティブ額γ1を用いた場合の電力系統全体の電力需要の予測値を求める。図5は、インセンティブ額を用いた場合と目標値との需要の誤差を説明するための図である。次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ1を用いた場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差を算出する。すなわち、インセンティブ決定部13は、図5における領域407で表される需要の誤差を算出する。ここで、インセンティブ額γ1を用いた場合の電力系統全体の電力需要の予測値の場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差を、「誤差E1」とする。
【0036】
また、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ2を用いた場合のPV電力買取価格の第2条件を決定する。具体的には、インセンティブ決定部13は、図4においてインセンティブ額γをインセンティブ額γ2とした場合のグラフ503で表されるPV電力買取価格を第2条件とする。そして、インセンティブ決定部13は、作成したPV買取価格の第2条件を通信制御部14を介して各需要家端末20へ送信する。そして、インセンティブ決定部13は、第2条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を通信制御部14を介して各需要家端末20へ送信する。その後、インセンティブ決定部13は、PV電力買取価格を第2条件とした場合の各需要家2における電力事前消費型機器22による電力需要の予測値を通信制御部14を介して各需要家端末20から受信する。
【0037】
そして、インセンティブ決定部13は、第2条件下での各需要家2での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値を初期系統負荷カーブ401に用いて、PV電力買取価格を第2条件とした場合の電力系統全体の電力需要の予測値を求める。以下では、PV電力買取価格を第2条件とした場合の電力系統全体の電力需要の予測値を、「インセンティブ額γ2を用いた場合の電力系統全体の電力需要」という。次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ2を用いた場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差を算出する。ここで、インセンティブ額γ2を用いた場合の電力系統全体の電力需要の予測値の場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差を、「誤差E2」とする。
【0038】
次に、インセンティブ決定部13は、目標値と誤差E1及びE2で表されるインセンティブ額γ1及びγ2に対する需要変化の感度から、目標値を達成するためのインセンティブ額γ3を求める。具体的には、インセンティブ決定部13は、次の数式(1)を用いてインセンティブ額γ3を算出する。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、図6を参照して、インセンティブ額γ3の決定方法について説明する。図6は、インセンティブ額と目標値との誤差との関係を表す図である。図6の縦軸は目標値との誤差を表し、横軸はインセンティブ額γを表す。インセンティブ額γ1における誤差E1とインセンティブ額γ2における誤差E2とは、図6の点601及び602として表される。ここで、実際のインセンティブ額γと目標値との誤差との関係は、グラフ603のように想定できる。すなわち、インセンティブ額γが一定以上となった場合、目標値との誤差はほぼ一定で推移し、誤差が0になる可能性は低い。ただし、本実施例のインセンティブ決定部13は、近似的に目標値との誤差が0になる点を算出するために、点601と点602とを通過する1次関数604を求める。そして、インセンティブ決定部13は、1次関数604において誤差が0になる点605を求め、その点605のインセンティブ額γをインセンティブ額γ3とする。実際には、インセンティブ額γ3とした場合、点606で表される誤差E3が発生するが、本実施例に係るインセンティブ決定部13は、近似的にこのインセンティブ額γ3で目標値との誤差が0になると考える。この計算を表した式が、数式(1)にあたる。
【0041】
そして、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ3を用いた場合のPV電力買取価格の目標値達成条件を決定する。具体的には、インセンティブ決定部13は、図4においてインセンティブ額γをインセンティブ額γ3とした場合のグラフ503で表されるPV電力買取価格を目標値達成条件とする。そして、インセンティブ決定部13は、目標値達成条件をDR情報作成部12へ通知する。
【0042】
DR情報作成部12は、目標値達成条件をインセンティブ決定部13から取得する。そして、DR情報作成部12は、目標値達成条件にしたがって翌日のPV電力買取価格を変動させるデマンドレスポンス情報を作成する。
【0043】
図7は、初期系統負荷カーブに対するデマンドレスポンス情報及びその影響を表す図である。図7の縦軸は、電力需要、PV発電電力及びPV電力買取価格を表す。また、図7の横軸は、1日の時刻を表す。初期系統負荷カーブ401は、図3に図示したカーブと一致する。また、グラフ501は、図4におけるPVの出力のカーブと一致する。
【0044】
DR情報作成部12は、PV出力の開始から終了までの間にインセンティブ額γ3の場合の図4で示されるグラフ503で表されるインセンティブが付与されるようにPV電力買取価格を決定する。すなわち、DR情報作成部12は、グラフ408で表されるようにPV電力買取価格を決定する。
【0045】
そして、DR情報作成部12は、グラフ408で表されるPV電力買取価格の情報を通信制御部14を介して各需要家端末20へ送信する。
【0046】
通信制御部14は、インセンティブ決定部13から入力されたインセンティブ額γ1とした場合のグラフ503で表されるインセンティブを与えるという第1条件の情報を各需要家端末20へ送信する。さらに、通信制御部14は、インセンティブ決定部13から入力された第1条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を各需要家端末20へ送信する。その後、通信制御部14は、各需要家端末20から受信したインセンティブを第1条件で与えた場合の電力事前消費型機器22による電力需要の予測値をインセンティブ決定部13へ出力する。
【0047】
また、通信制御部14は、インセンティブ決定部13から入力されたインセンティブ額γ2とした場合のグラフ503で表されるインセンティブを与えるという第2条件の情報を各需要家端末20へ送信する。さらに、通信制御部14は、インセンティブ決定部13から入力された第2条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を各需要家端末20へ送信する。その後、通信制御部14は、各需要家端末20から受信したインセンティブを第2条件で与えた場合の電力事前消費型機器22による電力需要の予測値をインセンティブ決定部13へ出力する。
【0048】
さらに、通信制御部14は、図7のグラフ408で表されるPV電力買取価格の情報の入力をDR情報作成部12から受ける。そして、通信制御部14は、取得したグラフ408で表されるPV電力買取価格の情報を各需要家端末20へ送信する。
【0049】
需要家2は、需要家端末20及び電力事前消費型機器22を有する。需要家端末20は、動作管理部21を有する。
【0050】
電力事前消費型機器22は、PV装置及び上位系3から供給される電力を蓄電する蓄電池やPV装置及び上位系3から供給される電力によりお湯を沸かすヒートポンプ式給湯機を含む。電力事前消費型機器22は、PV装置及び上位系3から供給される電力の消費、又は、蓄電池から供給される電力の消費もしくは蓄電池からの放電の指示を動作管理部21から受ける。そして、電力事前消費型機器22は、動作管理部21からの指示にしたがい電力消費又は放電を行う。
【0051】
需要家端末20は、例えばCPU、メモリ及びハードディスクを有するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。動作管理部21は、CPU及びメモリなどによって実現される。
【0052】
動作管理部21は、過去の与えられたインセンティブと電力事前消費型機器22の動作との関係を記憶する。動作管理部21は、入力されたインセンティブ額γ1とした場合のグラフ503で表されるインセンティブを与えるという第1条件の情報を電力需要調整装置10の通信制御部14から受信する。さらに、動作管理部21は、第1条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を電力需要調整装置10の通信制御部14から受信する。そして、動作管理部21は、過去の統計情報から第1条件における電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を求める。そして、動作管理部21は、第1条件における電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を電力需要調整装置10の通信制御部14へ送信する。
【0053】
また、動作管理部21は、入力されたインセンティブ額γ2とした場合のグラフ503で表されるインセンティブを与えるという第2条件の情報を電力需要調整装置10の通信制御部14から受信する。さらに、動作管理部21は、第2条件での電力事前消費型機器22による電力需要の予測値の通知要求を電力需要調整装置10の通信制御部14から受信する。そして、動作管理部21は、過去の統計情報から第2条件における電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を求める。そして、動作管理部21は、第2条件における電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を電力需要調整装置10の通信制御部14へ送信する。
【0054】
また、動作管理部21は、図7のグラフ408で表されるPV電力買取価格の情報を電力需要調整装置10の通信制御部14から受信する。そして、動作管理部21は、図7のグラフ408で表されるPV電力買取価格の情報をモニタなどに表示して電力事前消費型機器22の管理者に通知する。そして、動作管理部21は、PV装置及び上位系3から供給される電力の消費、又は、蓄電池から供給される電力の消費もしくは蓄電池からの放電の指示を管理者から受ける。そして、動作管理部21は、管理者からの指示を電力事前消費型機器22に通知する。
【0055】
ここで、インセンティブ額γ3を用いたインセンティブを与えた場合の電力消費について説明する。例えば、図7におけるグラフ504は、PV電力買取価格をグラフ501のように変化させた場合のヒートポンプ式給湯器の消費電力を表す。このように、PV電力の買取価格が安い時間帯に、ヒートポンプ式給湯機によりお湯が沸かされる。すなわち、本実施例に係る電力需要調整装置10は、PV出力が下がっていく夕方の時間帯に、ヒートポンプ式給湯器などの電力事前消費型機器22の運転時間を誘導することができる。
【0056】
全体的には、電力需要調整装置10は、図7のグラフ408で示すようにPV電力買取価格を設定して、電力事前消費型機器22の運転時間を誘導する。これにより、系統負荷カーブは、初期系統負荷カーブ401の状態から目標値の1次関数403に沿って遷移する状態に変化し、領域404の電力量分の需要が減り、領域405の電力量分の需要が増える。これにより、系統負荷カーブの需要変化率を小さく抑えることができ、ランプ変動を抑制することができる。
【0057】
次に、図8を参照して、本実施例に係る電力需要調整装置10によるデマンドリクエスト情報作成処理の流れを説明する。図8は、実施例に係る電力需要調整装置によるデマンドリクエスト情報作成処理のフローチャートである。
【0058】
調整依頼装置30は、翌日の電力需要予測を求め、需要変化率が閾値を超えるか否かを判定する。そして、調整依頼装置30は、翌日の需要喧嘩率が閾値を超える場合、電力系統の需要調整の依頼を電力需要調整装置10へ送信する。調整依頼装置30の目標値算出部11は、電力系統の需要調整の依頼を調整依頼装置30から受信する(ステップS1)。
【0059】
次に、目標値算出部11は、翌日の電力系統の電力需要を求め、初期系統負荷カーブ401を取得する(ステップS2)。
【0060】
次に、目標値算出部11は、初期系統負荷カーブ401を微分して変化率が最大となる点402を特定する(ステップS3)。
【0061】
次に、目標値算出部11は、点402を通過する1次関数403を作成する。さらに、目標値算出部11は、電力系統に存在する電力事前消費型機器22の全体の電力消費量を算出する。そして、目標値算出部11は、増加する需要量を表す領域404が電力系統に存在する電力事前消費型機器22の全体の電力消費量に一致する傾きαを求める。そして、目標値算出部11は、点402を通過する傾きαの1次関数403を目標値として設定する(ステップS4)。目標値算出部11は、目標値をインセンティブ決定部13へ出力する。
【0062】
インセンティブ決定部13は、目標値の入力を目標値算出部11から受ける。次に、インセンティブ決定部13は、翌日の日の出時刻及び日の入り時刻からPV出力の開始及び終了時刻を特定する(ステップS5)。
【0063】
次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ1を用いてPV電力買取価格の第1条件を作成し、通信制御部14を介して需要家端末20へ送信する(ステップS6)。
【0064】
需要家端末20の動作管理部21は、PV電力買取価格の第1条件を受信する。そして、動作管理部21は、記憶する統計情報を用いて第1条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を求める。そして、動作管理部21は、求めた第1条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を電力需要調整装置10へ送信する。インセンティブ決定部13は、通信制御部14を介して第1条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を各需要家端末20の動作管理部21から取得する(ステップS7)。
【0065】
そして、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ1を用いた場合の電力系統全体の電力需要の予測値を求める(ステップS8)。
【0066】
インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ2を用いてPV電力買取価格の第2条件を作成し、通信制御部14を介して需要家端末20へ送信する(ステップS9)。
【0067】
需要家端末20の動作管理部21は、PV電力買取価格の第2条件を受信する。そして、動作管理部21は、記憶する統計情報を用いて第2条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を求める。そして、動作管理部21は、求めた第2条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を電力需要調整装置10へ送信する。インセンティブ決定部13は、通信制御部14を介して第2条件下の電力事前消費型機器22の電力需要の予測値を各需要家端末20の動作管理部21から取得する(ステップS10)。
【0068】
そして、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ2を用いた場合の電力系統全体の電力需要の予測値を求める(ステップS11)。
【0069】
次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ1を用いた場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差E1を算出する。また、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ2を用いた場合と1次関数403で表される目標値の場合との初期系統負荷カーブ401に対して軽減される需要の誤差E2を算出する。そして、インセンティブ決定部13は、目標値と誤差E1及びE2で表されるインセンティブ額γ1及びγ2に対する需要変化の感度から、数式(1)を用いて目標値を達成するためのインセンティブ額γ3を求める(ステップS12)。
【0070】
次に、インセンティブ決定部13は、インセンティブ額γ3を用いてPV電力買取価格の目標値達成条件を作成する(ステップS13)。その後、インセンティブ決定部13は、目標値達成条件をDR情報作成部12へ出力する。
【0071】
DR情報作成部12は、目標値達成条件の入力をインセンティブ決定部13から受ける。そして、DR情報作成部12は、目標値達成条件にしたがって翌日のデマンドレスポンス情報を作成する。その後、DR情報作成部12は、作成した翌日のデマンドレスポンス情報を通信制御部14を介して需要家端末20へ送信する(ステップS14)。需要家端末20の動作管理部21は、翌日のデマンドレスポンス情報を電力需要調整装置10から受信する。そして、動作管理部21は、デマンドレスポンス情報を管理者へ提供する。その後、動作管理部21は、デマンドレスポンス情報を基に決定された電力事前消費型機器22の翌日の動作の指示を管理者から受ける。そして、動作管理部21は、管理者からの指示にしたがい動作計画を作成し、翌日に作成した動作計画にしたがい電力事前消費型機器22を動作させる。
【0072】
以上に説明したように、本実施例に係る電力需要調整装置は、電力需要の変化率を小さくするデマンドレスポンス情報を作成して需要家に提供することで、需要家における電力事前消費型機器の動作を制御し、電力需要の変化率を小さく抑えることができる。したがって、本実施例に係る電力需要調整装置は、効果的に電力系統の電力需要を制御することができ、電力系統への電力供給を安定させることができる。
【0073】
また、本実施例に係る電力需要調整装置は、2種類のインセンティブ額を基にPV電力買取価格の条件を決定し、各需要家の事前消費型機器の運転計画を集約してインセンティブ額を決定する。このように、各需要家における事前消費型機器の動作計画の生成を繰返さずに、電力需要の変化率を抑えるデマンドレスポンス情報を決定することができる。すなわち、本実施例に係る電力需要調整装置は、容易に効果的なデマンドレスポンス情報を生成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 アグリゲータ
2 需要家
3 上位系
4 配電線
10 電力需要調整装置
11 目標値算出部
12 DR情報作成部
13 インセンティブ決定部
14 通信制御部
20 需要家端末
21 動作管理部
22 電力事前消費型機器
30 調整依頼装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8