特許第6851288号(P6851288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851288
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20210322BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   !H01L21/31 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-160331(P2017-160331)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-40947(P2019-40947A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣木 勤
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0064886(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0040204(US,A1)
【文献】 特表2002−520833(JP,A)
【文献】 特開平10−242234(JP,A)
【文献】 特開2009−043755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の搬送室と第2の搬送室との間に設けられ、複数の基板を収容可能なロードロック室と、
前記第1の搬送室に配置され、複数の基板を1枚ずつ搬送する第1の搬送機構と、
前記第2の搬送室に配置され、複数の基板を一括で搬送する第2の搬送機構と
を有し、
前記ロードロック室は、
前記第2の搬送機構によって一括で搬入される複数の第1の基板がそれぞれ載置される複数のステージと、
前記複数の第1の基板が前記複数のステージにそれぞれ載置された状態で、前記複数のステージを移動させて前記複数のステージの間隔を狭める移動機構と、
前記第1の搬送機構によって前記複数の第1の基板が1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた前記複数のステージを軸線を中心に回転させて、前記軸線の周囲において前記複数の第1の基板を前記第1の搬送機構へ順次接近させる回転機構と
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記複数のステージには、前記第1の搬送機構によって1枚ずつ搬出される前記複数の第1の基板に替えて、前記第1の搬送機構によって1枚ずつ搬入される複数の第2の基板がそれぞれ載置され、
前記移動機構は、前記第2の搬送機構によって前記複数の第2の基板が一括で搬出される場合に、前記複数の第2の基板が前記複数のステージにそれぞれ載置された状態で、前記複数のステージを移動させて前記複数のステージの間隔を元の間隔に戻すことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の搬送室に接続され、基板に所定の基板処理を行う処理モジュール
をさらに有し、
前記第2の搬送機構は、複数の基板の間隔を変更することなく、前記処理モジュールと前記ロードロック室との間で複数の基板を一括で搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ロードロック室は、複数設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
第1の搬送室と第2の搬送室との間に設けられ、複数の基板を収容可能なロードロック室と、
前記第1の搬送室に配置され、複数の基板を1枚ずつ搬送する第1の搬送機構と、
前記第2の搬送室に配置され、複数の基板を一括で搬送する第2の搬送機構と
を有する基板処理装置における基板搬送方法であって、
前記第2の搬送機構によって前記ロードロック室へ一括で搬入される複数の第1の基板を複数のステージにそれぞれ載置する工程と
前記複数の第1の基板が前記複数のステージにそれぞれ載置された状態で、前記複数のステージを移動させて前記複数のステージの間隔を狭める工程と、
前記第1の搬送機構によって前記ロードロック室から前記複数の第1の基板が1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた前記複数のステージを軸線を中心に回転させて、前記軸線の周囲において前記複数の第1の基板を前記第1の搬送機構へ順次接近させる工程と
を含むことを特徴とする基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、基板処理装置及び基板搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理のスループットを向上させるために、複数の基板を並行して処理する基板処理装置が知られている。このような基板処理装置では、複数の基板を収容可能なロードロック室が大気側の搬送室と真空側の搬送室との間に設けられる場合がある。この場合、例えば真空側の搬送室に配置された搬送アームによって複数の基板がロードロック室内に一括で搬入され、複数のステージにそれぞれ載置される。複数のステージにそれぞれ載置された複数の基板は、大気側の搬送室に配置された搬送アームによってロードロック室から1枚ずつ搬出される。
【0003】
また、回転テーブルを用いて複数のステージを回転させて、回転テーブルの回転軸の周囲において複数の基板を搬送アームへ順次接近させる技術が知られている。このような回転テーブルをロードロック室内に設けることにより、大気側の搬送室に配置された搬送アームは、ロードロック室から複数の基板を1枚ずつスムーズに搬出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8060252号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0040204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転テーブルをロードロック室内に設ける場合、回転テーブルの回転軸を中心に回転する複数のステージとロードロック室の側壁との衝突を回避するために、複数のステージとロードロック室の側壁との間にデッドスペースが予め設けられる。このようなデッドスペースの存在は、ロードロック室の大型化を招く要因となる。
【0006】
なお、大気側の搬送アームから見てロードロック室の奥行き方向に複数のステージが配置された場合、大気側の搬送アームは、長い駆動ストローク及び強度の大きい駆動構造を必要とする。長い駆動ストローク及び強度の大きい駆動構造は、コストの増大を招く要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する基板処理装置は、1つの実施態様において、第1の搬送室と第2の搬送室との間に設けられ、複数の基板を収容可能なロードロック室と、前記第1の搬送室に配置され、複数の基板を1枚ずつ搬送する第1の搬送機構と、前記第2の搬送室に配置され、複数の基板を一括で搬送する第2の搬送機構とを有し、前記ロードロック室は、前記第2の搬送機構によって一括で搬入される複数の第1の基板がそれぞれ載置される複数のステージと、前記複数の第1の基板が前記複数のステージにそれぞれ載置された状態で、前記複数のステージを移動させて前記複数のステージの間隔を狭める移動機構と、前記第1の搬送機構によって前記複数の第1の基板が1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた前記複数のステージを軸線を中心に回転させて、前記軸線の周囲において前記複数の第1の基板を前記第1の搬送機構へ順次接近させる回転機構とを有する。
【発明の効果】
【0008】
開示する基板処理装置の1つの態様によれば、複数の基板を収容可能なロードロック室の大型化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す図である。
図2図2は、移動機構及び回転機構の構成例を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
図8図8は、本実施形態に係る基板処理装置による基板の搬送処理の流れの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本願の開示する基板処理装置及び基板搬送方法の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
【0011】
<基板処理装置>
最初に、本実施形態に係る基板処理装置の構成について説明する。基板処理装置は、半導体ウエハ等の基板に対して所定の基板処理を行う装置である。本実施形態では、基板に対して成膜処理を行う場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置1の構成例を示す図である。基板処理装置1は、被処理基板である基板Wを基板処理装置1に搬入するための大気搬送室11と、例えば2つのロードロック室12A、12Bと、真空搬送室13と、例えば2つの処理モジュール14A、14Bとを有する。
【0012】
処理モジュール14A、14Bは、その内部空間を真空雰囲気に維持できるように構成されている。処理モジュール14A、14Bには、それぞれ、4枚の基板Wがそれぞれ載置される4つの載置台22が設けられている。各載置台22には、昇降自在な支持ピン22aが設けられている。また、処理モジュール14A、14Bの底部において各載置台22の周囲に対応する位置には、昇降自在且つ水平方向に回転自在な支持部材23が設けられる。処理モジュール14A、14Bは、支持ピン22a及び支持部材23によって、各載置台22と、後述の第2の搬送機構21との間で基板Wを受け渡すことができる。処理モジュール14A、14Bは、基板Wが各載置台22に載置された状態で、基板Wに対して所定の基板処理を行う。本実施形態では、処理モジュール14A、14Bが、基板Wに対して成膜処理を行う成膜モジュールである場合を例として説明する。
【0013】
大気搬送室11は、ロードロック室12A、12Bを介して真空搬送室13に接続されている。真空搬送室13には、ロードロック室12A、12Bから区画されるように処理モジュール14A、14Bが接続されている。
【0014】
大気搬送室11は、その内部空間を大気雰囲気に維持できるように構成されている。大気搬送室11には、複数の基板Wを収納するキャリアCが載置されるキャリア載置台15が設けられている。大気搬送室11の正面壁には、キャリアCが接続されてキャリアCの蓋と一緒に開閉されるゲートドアGTが設けられている。大気搬送室11の側壁には、基板Wを一時的に保管するためのストッカや、基板Wの位置合わせを行うアライメント室等が設けられている。
【0015】
また、大気搬送室11には、第1の搬送機構16が配置されている。第1の搬送機構16は、キャリアCと、ロードロック室12A或いはロードロック室12Bとの間で4枚の基板Wを1枚ずつ搬送する。第1の搬送機構16によってキャリアCから搬出されてロードロック室12A、12Bへ搬入される4枚の基板Wは、未成膜の基板である。第1の搬送機構16によってロードロック室12A、12Bから搬出されてキャリアCへ搬入される4枚の基板Wは、成膜済みの基板である。成膜済みの基板Wは、「第1の基板」の一例であり、未成膜の基板Wは、「第2の基板」の一例である。第1の搬送機構16は、基部16aと、2つの多関節のアーム16bと、2つの支持部16c(図1では、1つの支持部16cのみが表示されている)とを有する。2つのアーム16bは、基端側が基部16aに接続され、先端側が2つの支持部16cにそれぞれ接続されている。基部16aは、横方向に移動自在且つ昇降自在に構成される。2つの支持部16cは、上下方向に間隔を空けて配置され、基板Wをそれぞれ支持する。上記の大気搬送室11は、「第1の搬送室」の一例である。
【0016】
ロードロック室12A、12Bは、大気搬送室11と真空搬送室13との間に設けられ、4枚の基板Wを収容可能に構成されている。ロードロック室12A、12Bには、それぞれ、4つのステージ17が設けられている。4つのステージ17には、第2の搬送機構21によってロードロック室12A、12Bへ一括で搬入される4枚の基板Wがそれぞれ載置される。また、4つのステージ17には、第1の搬送機構16によってロードロック室12A、12Bから1枚ずつ搬出される4枚の成膜済みの基板Wに替えて、第1の搬送機構16によってロードロック室12A、12Bへ1枚ずつ搬入される4枚の未成膜の基板Wがそれぞれ載置される。各ステージ17には、昇降自在な支持ピン17aが設けられている。また、ロードロック室12A、12Bの底部における所定の位置には、昇降自在且つ水平方向に回転自在な支持部材18が設けられる。ロードロック室12A、12Bは、支持ピン17a及び支持部材18によって、各ステージ17と、第2の搬送機構21との間で基板Wを受け渡すことができる。また、ロードロック室12A、12Bは、支持ピン17aによって、各ステージ17と、第1の搬送機構16との間で基板Wを受け渡すことができる。
【0017】
また、ロードロック室12A、12Bは、移動機構19と、回転機構20とを有する。移動機構19は、第2の搬送機構21によって一括で搬入される4枚の成膜済みの基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された状態で、4つのステージ17を移動させて4つのステージ17の間隔を狭める。ここで、第2の搬送機構21によってロードロック室12A、12Bへ4枚の成膜済みの基板Wが一括で搬入される場合に、4つのステージ17の間隔は、処理モジュール14A、14Bに設けられた4つの載置台22の間隔と同じ間隔に設定されている。そこで、移動機構19は、第2の搬送機構21によって一括で搬入される4枚の成膜済みの基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された後に、4つのステージ17を移動させて4つのステージ17の間隔を4つの載置台22の間隔と同じ間隔よりも狭める。これにより、4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との間に空間が形成される。
【0018】
また、移動機構19は、第2の搬送機構21によって4枚の未成膜の基板Wが一括で搬出される場合に、4枚の未成膜の基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された状態で、4つのステージ17を移動させて4つのステージ17の間隔を元の間隔に戻す。元の間隔とは、処理モジュール14A、14Bに設けられた4つの載置台22の間隔と同じ間隔である。
【0019】
回転機構20は、第1の搬送機構16によって4枚の成膜済みの基板Wが1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた4つのステージ17を軸線Xを中心に回転させて、軸線Xの周囲において4枚の成膜済みの基板Wを第1の搬送機構16へ順次接近させる。上述したように、間隔が狭められた4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との間には、空間が形成されている。この空間によって、回転中の4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との衝突が回避される。すなわち、4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との間にデッドスペースが予め設けられていない場合でも、回転中の4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との衝突が回避される。なお、移動機構19及び回転機構20の詳細は、後述される。
【0020】
また、ロードロック室12A、12Bには、図示しない真空ポンプとリーク弁とが設けられており、ロードロック室12A、12Bの雰囲気が、真空ポンプ及びリーク弁によって、大気雰囲気と真空雰囲気とに切り替えられる。つまり、大気搬送室11の雰囲気が大気雰囲気に維持され、真空搬送室13の雰囲気が真空雰囲気に維持されているため、これらの搬送室間において基板Wを搬送するために、ロードロック室12A、12Bの雰囲気が切り替えられる。
【0021】
真空搬送室13は、その内部空間を真空雰囲気に維持できるように構成されている。真空搬送室13には、第2の搬送機構21が配置されている。第2の搬送機構21は、4枚の基板Wの間隔を変更することなく、処理モジュール14A、14Bと、ロードロック室12A、12Bとの間で4枚の基板Wを一括で搬送する。第2の搬送機構21は、多関節のアーム21aと、支持部21bとを有する。アーム21aは、基端側が真空搬送室13の底部に接続され、先端側が支持部21bに接続されている。支持部21bは、上下方向に間隔を空けて配置される4つの上側フォーク21b−1及び4つの下側フォーク21b−2(図1では、4つの上側フォーク21b−1のみが表示されている)を有する。支持部21bは、上側フォーク21b−1により4枚の未成膜の基板Wを支持し、下側フォーク21b−2により4枚の成膜済みの基板Wを支持する。上記の真空搬送室13は、「第2の搬送室」の一例である。
【0022】
図1中の「G」は、各室間及び処理モジュール14A、14Bと真空搬送室13との間を仕切る開閉自在なゲートバルブ(仕切り弁)である。通常、ゲートバルブGは、閉じられており、各室間及び処理モジュール14A、14Bと真空搬送室13との間で基板Wが搬送される場合に、開かれる。
【0023】
<移動機構及び回転機構>
次に、図1に示した移動機構19及び回転機構20の詳細について説明する。図2は、移動機構19及び回転機構20の構成例を示す断面図である。なお、図2は、図1のA−A線における断面図に相当する。
【0024】
移動機構19は、図2に示すように、中空状のベース部材191と、エアシリンダ等の駆動装置192と、支持棒193とを有する。
【0025】
ベース部材191は、駆動装置192を保持し、回転機構20における後述の回転シャフト201によって支持される。駆動装置192は、ベース部材191に対して進退するための駆動力を支持棒193に伝達する。
【0026】
支持棒193は、一端が駆動装置192に進退自在に取り付けられ、他端においてステージ17を支持する。支持棒193の周囲は、ベローズ194により覆われている。支持棒193は、駆動装置192から伝達される駆動力によりベース部材191に対して進退する。支持棒193の進退に従って、4つのステージ17は、ベース部材191に近づく方向又はベース部材191から離れる方向に移動する。これにより、4つのステージ17の間隔が狭められ、或いは、元の間隔に戻される。
【0027】
回転機構20は、図2に示すように、回転シャフト201と、ベアリング202aを介して回転シャフト201を保持するケーシング202と、回転シャフト201を回転させる回転駆動装置203とを有する。
【0028】
回転シャフト201は、ベース部材191を支持し、軸線Xに沿って、ロードロック室12Aの底部12aの外側まで延伸する。
【0029】
ケーシング202は、内径が回転シャフト201の外径よりも大きい開口を有している。回転シャフト201は、ケーシング202の開口に挿通され、ベアリング202aによって回転自在に支持されている。ケーシング202の上端部は、ボルト等の固定部材により、ロードロック室12Aの底部12aに固定されている。
【0030】
回転駆動装置203は、プーリ203aと、駆動ベルト203bと、モータ203cとを有する。プーリ203aは、回転シャフト201の下端部に取り付けられている。駆動ベルト203bは、プーリ203aに巻き回されている。
【0031】
モータ203cは、出力軸が駆動ベルト203bに連結されており、駆動ベルト203b及びプーリ203aを介して回転シャフト201に回転駆動力を伝達する。回転シャフト201は、モータ203cから伝達される回転駆動力により軸線Xを中心に回転する。移動機構19のベース部材191は、回転シャフト201によって支持される。ステージ17は、移動機構19の支持棒193によって支持される。これにより、4つのステージ17は、回転シャフト201の回転に従って、移動機構19と共に軸線Xを中心に回転する。
【0032】
[基板搬送処理の流れの一例]
次に、図3図8を参照して、本実施形態に係る基板処理装置1による基板Wの搬送処理の流れの一例について説明する。図3図8は、本実施形態に係る基板処理装置1による基板Wの搬送処理の流れの一例を説明するための図である。図3図8において、ハッチングが付与された基板Wは、成膜済みの基板Wであり、ハッチングが付与されていない基板Wは、未成膜の基板Wであるものとする。なお、図3図8では、説明の便宜を図るために、移動機構19及び回転機構20の表示が省略されている。また、以下では、ロードロック室12Bを介して大気搬送室11と真空搬送室13との間で基板Wの受け渡しが行われる例を主として説明する。
【0033】
まず、第2の搬送機構21は、図3に示すように、支持部21bの下側フォーク21b−2により処理モジュール14Bから4枚の成膜済みの基板Wを受け取る。下側フォーク21b−2により支持された4枚の成膜済みの基板Wは、ロードロック室12Bへ一括で搬入される。このとき、ロードロック室12Bにおいて、支持部材18が回転及び上昇されることによって、4枚の未成膜の基板Wが4つのステージ17から離間される。
【0034】
続いて、第2の搬送機構21の支持部21bが、4つのステージ17から離間された4枚の未成膜の基板Wの下方に進出される。そして、支持部材18が降下及び回転されることによって、図4に示すように、第2の搬送機構21の支持部21bの上側フォーク21b−1に4枚の未成膜の基板Wが受け渡される。一方で、各ステージ17から支持ピン17aが上昇されることによって、下側フォーク21b−2に支持された4枚の成膜済みの基板Wが下側フォーク21b−2から持ち上げられる。
【0035】
続いて、第2の搬送機構21の支持部21bが、図5に示すように、ロードロック室12Bから退避されるとともに、支持ピン17aが降下されることによって、4枚の成膜済みの基板Wが支持ピン17aから4つのステージ17にそれぞれ受け渡される。これにより、4枚の成膜済みの基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置される。
【0036】
続いて、図6に示すように、4枚の成膜済みの基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された状態で、移動機構19によって4つのステージ17が軸線Xに近づく方向に移動される。これにより、4つのステージ17の間隔が狭められる。
【0037】
続いて、第1の搬送機構16によってロードロック室12Bから4枚の成膜済みの基板Wが1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた4つのステージ17が、図7に示すように、回転機構20によって軸線Xを中心に回転される。これにより、軸線Xの周囲において4枚の成膜済みの基板Wが第1の搬送機構16へ順次接近する。そして、第1の搬送機構16は、ロードロック室12Bから4枚の成膜済みの基板Wを1枚ずつ搬出すると共に、キャリアCからロードロック室12Bへ4枚の未成膜の基板Wを1枚ずつ搬入する。そして、4つのステージ17には、4枚の成膜済みの基板Wに替えて、4枚の未成膜の基板Wがそれぞれ載置される。
【0038】
続いて、第2の搬送機構21によってロードロック室12Bから4枚の未成膜の基板Wが一括で搬出される場合に、4枚の未成膜の基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された状態で、4つのステージ17が、図8に示すように、軸線Xから離れる方向に移動される。これにより、4つのステージ17の間隔が元の間隔に戻される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る基板処理装置1において、大気搬送室11と真空搬送室13との間に設けられたロードロック室12A、12Bは、4つのステージ17と、移動機構19と、回転機構20とを有する。4つのステージ17には、真空搬送室13に配置された第2の搬送機構21によって一括で搬入される4枚の成膜済みの基板Wがそれぞれ載置される。移動機構19は、4枚の成膜済みの基板Wが4つのステージ17にそれぞれ載置された状態で、4つのステージ17を移動させて4つのステージ17の間隔を狭める。回転機構20は、大気搬送室11に配置された第1の搬送機構16によって4枚の成膜済みの基板Wが1枚ずつ搬出される場合に、間隔が狭められた4つのステージ17を軸線を中心に回転させて、軸線の周囲において4枚の成膜済みの基板Wを第1の搬送機構16へ順次接近させる。これにより、基板処理装置1は、4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との間にデッドスペースが予め設けられていない場合でも、回転中の4つのステージ17とロードロック室12A、12Bの側壁との衝突を回避することができる。その結果、本実施形態に係る基板処理装置1によれば、複数の基板Wを収容可能なロードロック室12A、12Bの大型化を抑制することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、処理モジュール14A、14Bが、基板Wに対して成膜処理を行う成膜モジュールである場合を例に説明したが、開示技術はこれに限定されない。処理モジュール14A、14Bは、基板Wに対してプラズマエッチング処理を行うプラズマエッチングモジュールであっても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、4枚の基板Wがそれぞれ載置される4つの載置台22が処理モジュール14A、14Bに設けられる場合を例に説明したが、開示技術はこれに限定されない。処理モジュール14A、14Bには、少なくとも2つの載置台22が設けられれば良い。この場合、ロードロック室12A、12Bには、少なくとも2つのステージ17が設けられれば良い。
【0043】
また、上記実施形態では、第1の搬送機構16が、ロードロック室12A、12Bから4枚の成膜済みの基板Wをランダムに1枚ずつ搬出する場合を例に説明したが、開示技術はこれに限定されない。第1の搬送機構16は、ロードロック室12A、12Bから4枚の成膜済みの基板Wを予め定められた順序で1枚ずつ搬出しても良い。予め定められた順序とは、例えば、第1の搬送機構16によって4枚の未成膜の基板Wがロードロック室12A、12Bへ1枚ずつ搬入される順序等である。
【符号の説明】
【0044】
1 基板処理装置
11 大気搬送室
12A、12B ロードロック室
13 真空搬送室
14A、14B 処理モジュール
16 第1の搬送機構
19 移動機構
20 回転機構
21 第2の搬送機構
W 基板
X 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8