【文献】
Yuan-Ping R,Preparation of Polysulfone/Poly(ethylene oxide)Block Copolymers,Macromolrculrs,米国,1996年 1月11日,29(1996),7619-7621
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアリーレンエーテルブロックAが非スルホン化及びスルホン化モノマー単位を含み、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニレンスルホンとして計算される前記スルホン化モノマー単位が0.5質量%〜10質量%の量でコポリマーCに含まれる、請求項1に記載のコポリマーC。
前記ポリアルキレンオキシドブロックPAOが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はブタンジオールのホモポリマー又はそれらのコポリマーである、請求項1又は2に記載のコポリマーC。
前記ポリアルキレンオキシドブロックPAOが、エチレンオキシドのホモポリマー又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーである、請求項1から3までのいずれか1項に記載のコポリマーC。
芳香族ビスハロゲノ化合物及び芳香族ビフェノール又はその塩を、少なくとも1つの適切な塩基の存在下で且つ少なくとも1つの適切なポリアルキレンオキシドPAOの存在下で反応させ、前記芳香族ビスハロゲノ化合物及び芳香族ビフェノール又はその塩は部分的にスルホン化され、前記芳香族ビスハロゲノ化合物がジハロジフェニルスルホンであり、かつ、前記芳香族ビフェノールが4,4’−ジヒドロキシビフェニルである、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコポリマーの製造方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンエーテルブロックA及びポリアルキレンオキシドブロックPAOを含むコポリマーCに関し、前記ポリアリーレンエーテルブロックAは少なくとも1つの部分的にスルホン化されたポリアリーレンエーテルのブロックである。本発明は更にかかるコポリマーを含む膜に関する。本発明は更にかかるコポリマー及び膜の製造方法及び使用に関する。
【0002】
ポリエーテルスルホンとポリスルホンは、高性能熱可塑性樹脂の群に属する(E. M. Koch、H.-M. Walter、Kunststoffe 80(1990)1146、E.Doering、Kunststoffe 80(1990)、1149)。それらの優れた生体適合性のために、ポリエーテルスルホンとポリスルホンは、透析膜を製造するための材料としても使用されている(S. Savariar、G. S. Underwood、E. M. Dickinson、P.J. Schielke、A.S. Hay、Desalination 144(2002)15)。
【0003】
ポリエーテルスルホンとポリスルホンの製造は、通常、高温にて双極性非プロトン性溶媒中で適切なモノマー構成単位の重縮合によって行われる(R.N. Johnsonら、J. Polym. Sci. A-15(1967)2375、J.E. McGrathら、Polymer 25(1984)1827)。
【0004】
非プロトン性溶媒中の少なくとも1種のアルカリ金属又は炭酸アンモニウム又は重炭酸塩の存在下での適切な芳香族ビスハロスルホン及び芳香族ビスフェノール又はその塩からのポリアリーレンエーテルスルホンの製造は、例えば、米国特許第4,870,153号明細書(US 4,870,153)、欧州特許第113,112号明細書(EP 113 112)、欧州特許第297,363号明細書(EP-A 297 363)及び欧州特許第135,130号明細書(EP-A 135 130)に記載されている。
【0005】
純粋なポリアリーレンエーテルの欠点の1つは、その低い親水性である。ポリアリーレンエーテルの親水性を高めるために、ポリエーテルスルホン(PESU)−ポリエチレンオキシド(PEO)ブロックコポリマーが調製されていた。
【0006】
Macromolecules 29(23)第7619頁(1996年)に記載されたポリアリーレンエーテル−ポリアルキレンオキシドコポリマーの合成は長い反応時間を必要とする。
【0007】
欧州特許第739925号明細書(EP 739 925)、米国特許第5700902号明細書(US 5,700,902)及び米国特許第5700903号明細書(US 5,700,903)もポリアリーレンエーテル及びポリアルキレンオキシドコポリマーを記載している。
【0008】
米国特許第5,700,902号明細書(US 5,700,902)は、疎水性ブロック及び親水性ブロックを有するブロックコポリマーを開示しており、その際、親水性ブロックは、片側がアルキル基でエンドキャップされたPEOブロックであってもよい。
【0009】
米国特許第5,798,437号明細書(US 5,798,437)、米国特許第5,834,583号明細書(US 5,834,583)、国際公開第97/22406号(WO 97/22406)は、親水性コポリマーの製造方法を開示している。
【0010】
米国特許第5,911,880号明細書(US 5,911,880)は、両親媒性添加剤を含むポリエーテルスルホンからなる膜を開示している。
【0011】
欧州特許第739925号明細書(EP 739 925 A1)は、ポリスルホン−ポリエーテルブロック共重縮合物を開示している。
【0012】
本発明の課題は、機械的に可撓性であり、容易に水で濡れることができ、高いガラス転移温度を有し、膜を製造するのに適したコポリマーを提供することであった。
【0013】
この課題は、ポリアリーレンエーテルブロックA及びポリアルキレンオキシドブロックPAOを含むコポリマーCによって解決されており、ここで前記ポリアリーレンエーテルブロックAは、少なくとも1つの部分的にスルホン化されたポリアリーレンエーテルのブロックである。
【0014】
この出願の文脈において、「スルホン化」分子は、−SO
3H型の少なくとも1つのスルホネート残基、又は−SO
3−M
+型のその対応する金属塩形態、例えば、M=Na、K又はLiであるアルカリ金属塩形態を有する。
【0015】
本発明の文脈において「一部スルホン化された」又は「部分的にスルホン化された」とは、モノマー成分の特定の部分のみがスルホン化され、少なくとも1つのスルホ基残基を含むポリマー又はモノマーを指す。
【0016】
「アルキレン」は1〜10個、又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の二価の炭化水素基、例えば、C
1〜C
4アルキレン基、例えば、−CH
2−、−(CH
2)
2−、(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−、(CH
2)
4−を表す。
【0017】
コポリマーCの適切なポリアリーレンエーテルブロックAは、それ自体が当業者に知られており、一般式Iのポリアリーレンエーテル単位から形成することができ、
【化1】
ここで以下の定義を有する:
t、q:それぞれ独立して0、1、2又は3、
Q、T、Y:それぞれ独立してO、−S−、−SO
2−、S=O、C=O、−N=N−、−CR
aR
b−から選択される化学結合又は基、ここでR
a及びR
bはそれぞれ独立して水素原子又はC
1〜C
12−アルキル、C
1〜C
12−アルコキシ又はC
6〜C
18−アリール基であり、ここでQ、T及びYのうち少なくとも1つは−O−ではなく、Q、T及びYのうち少なくとも1つはSO
2−である、及び
Ar、Ar
1:それぞれ独立して6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基、
その際、芳香族部分は部分的にスルホン化されている。任意に、互いに独立して含有される芳香環は更に置換されていてよい。
【0018】
「スルホン化」という用語は、かかるスルホン化アリーレン部分は、芳香環に結合される−SO
3−基又はスルホン酸基−SO
3Hを含むことを意味する。
【0019】
一実施形態では、ポリアリーレンエーテルブロックAは、非スルホン化及びスルホン化繰り返し単位を含み、ここで前記スルホン化繰り返し単位は、ポリアリーレンエーテルブロックAを基準として0.1〜20モル%の数平均モル割合で前記ポリアリーレンエーテルブロックA中に含まれる。
【0020】
一実施形態では、ポリアリーレンエーテルブロックAの6員環として計算される0.1〜20モル%の芳香環がスルホン化される。更に好ましくは、0.3〜10モル%、更に一層好ましくは0.5〜7.5モル%のポリアリーレンエーテルブロックAの芳香族部分がスルホン化される。ポリアリーレンエーテルブロックA中のスルホン化芳香環の含有率は、
13C又は
1H−NMR分光法を用いて決定され得る。
【0021】
一実施形態では、ポリアリーレンエーテルブロックAは、非スルホン化及びスルホン化モノマーを含み、ここで3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニレンスルホンとして計算される前記スルホン化モノマーは、0.25〜10質量%、好ましくは0.5〜7.5質量%の量でコポリマーCに含まれる。コポリマーC中のスルホン化モノマーの含有率は実験の節に記載されるFT−IR分光法によって決定され得る。
【0022】
一実施形態では、ポリアリーレンエーテルブロックAは、非スルホン化及びスルホン化モノマーを含み、ここで3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニレンスルホンとして計算される前記スルホン化モノマーは、0.25〜10質量%、好ましくは0.5〜7.5質量%の量でポリアリーレンエーテルブロックA中に含まれる。
【0023】
適切なポリアリーレンエーテルブロックは、溶媒(L)及び塩基(B)の存在下で、構造X−Ar−Y(M1)の少なくとも1種の出発化合物と構造HO−Ar
1−OH(M2)の少なくとも1種の化合物との反応によってもたらすことができ、ここで
− Yはハロゲン原子であり、
− Xはハロゲン原子及びOHから選択され、好ましくはハロゲン原子、特にF、Cl又はBrから選択され、且つ
− Ar及びAr
1は互いに独立して6〜18個の炭素原子を有するアリーレン基である。
【0024】
コポリマーCを製造するために、両方の出発材料(M1)又は(M2)が部分的にスルホン化される。
【0025】
上記の前提条件で、Q、T又はYが化学結合である場合、このことは、左に隣接する基と右に隣接する基が化学結合を介して互いに直接結合していることを意味すると理解される。
【0026】
しかしながら、式(I)のQ、T及びYは、好ましくは、−O−及び−SO
2−から独立して選択されるが、但し、Q、T及びYからなる群のうち少なくとも1つは−SO
2−である。
【0027】
Q、T又はYが−CR
aR
b−である場合、R
a及びR
bはそれぞれ独立して水素原子又はC
1〜C
12アルキル基、C
1〜C
12アルコキシ基又はC
6〜C
18アリール基である。
【0028】
好ましいC
1〜C
12アルキル基は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状の飽和アルキル基を含む。特に好ましいC
1〜C
12アルキル基は、C
1〜C
6アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−又は3−メチルペンチル及びより長鎖の基、例えば非分枝鎖状のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、及びそれらの単数又は複数の分枝類似体である。
【0029】
上記の有用なC
1〜C
12アルコキシ基において有用なアルキル基としては、上記で定義された1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。優先的に使用可能なシクロアルキル基は、特にC
3〜C
12シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、−プロピル、−ブチル、−ペンチル、−ヘキシル、シクロヘキシルメチル、−ジメチル、−トリメチルを含む。
【0030】
ArとAr
1はそれぞれ独立してC
6〜C
18アリーレン基である。上記の出発材料から出発して、Arは、好ましくは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェノールからなる群から選択される電子リッチな芳香族物質から誘導される。Ar
1は、好ましくは非置換のC
6又はC
12アリーレン基である。
【0031】
有用なC
6〜C
18アリーレン基Ar及びAr
1は、特にフェニレン基、例えば1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基、ナフチレン基、例えば1,6−、1,7−、2,6−及び2,7−ナフチレン、並びにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されるアリーレン基である。
【0032】
好ましくは、式(I)の好ましい実施形態におけるAr及びAr
1は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン及び4,4’−ビスフェニレンからなる群から選択される。
【0033】
ポリアリーレンエーテル中に優先的に存在する単位は、以下の繰り返し構造単位Ia〜Ioのうち少なくとも1つを含む単位である:
【化2】
【化3】
【0034】
優先的に存在する単位Ia〜Ioの他に、1つ以上の1,4−ジヒドロキシフェニル単位がレゾルシノール単位又はジヒドロキシナフタレン単位で置換されている単位も好ましい。
【0035】
特に好ましい一般式IIの単位は、単位Ia、Ig及びIkである。また、ポリアリーレンエーテルブロックが実質的に一般式Iの1種類の単位から、特にIa、Ig及びIkから選択される1単位から形成される場合も特に好ましい。
【0036】
特に好ましい実施形態では、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=SO
2及びY=SO
2である。このようなポリアリーレンエーテルはポリエーテルスルホン(PESU)と呼ばれる。
【0037】
他の特に好ましい実施形態では、Ar=1,4−ビフェニレン、t=0、q=0及びY=SO
2である。このようなポリアリーレンエーテルブロックAは、ポリフェニレンスルホン(PPSU)と呼ばれる。
【0038】
好適なポリアリーレンエーテルブロックAは、好ましくは2000〜70000g/モル、特に好ましくは5000〜40000g/モル、特に好ましくは7000〜30000g/モルの範囲の平均分子量Mn(数平均)を有する。ポリアリーレンエーテルブロックの平均分子量は、H. G. Eliasによって“An Introduction to Polymer Science” VCH Weinheim, 1997年, 第125頁に記載されているようにポリアリーレンエーテルブロックを形成するモノマーの比によって制御及び計算することができる。
【0039】
適切な出発化合物は、当業者には公知であり且ついかなる基本的制約も受けないが、但し、上記の置換基は求核芳香族置換反応内で十分に反応性である。
【0040】
好ましい出発化合物は二官能性である。「二官能性」とは、芳香族求核置換反応で反応する基の数が出発化合物1つあたり2つであることを意味する。適切な二官能性出発化合物の更なる基準は、以下に詳細に説明するように、溶媒中での十分な溶解性である。
【0041】
モノマー出発化合物が好ましく、これは好ましくはプレポリマーから出発せずにモノマーから出発して反応が行われることを意味する。
【0042】
使用する出発化合物(M1)は、好ましくはジハロジフェニルスルホンである。使用する出発化合物(M2)は、好ましくは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン又は4,4’−ジヒドロキシビフェニルである。コポリマーCを製造するために、両方の出発材料(M1)又は(M2)は部分的にスルホン化される。
【0043】
適切な出発化合物(M1)は、特にジハロジフェニルスルホン、例えば4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、ジクロロジフェニルスルホン及び2,2’−ジフルオロジフェニルスルホンであり、特に4,4’−ジクロロジフェニルスルホン及び4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンが好ましい。
【0044】
好ましい出発化合物(M1)は、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンなどの非スルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1u)と、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンなどのスルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1s)との混合物である。好ましくはスルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1s)は、前記混合物中に、f(M1u)及び(M1s)の量を基準として0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%、更に一層好ましくは1〜7.5モル%の含有率で含まれる。
【0045】
一実施形態では、出発化合物(M1)は、非スルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1u)と、(M1u)として使用されるジハロジフェニルスルホンとは異なるジハロジフェニルスルホンのスルホン化生成物であるスルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1s)との混合物である。例えば、出発化合物(M1)は、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(M1u)と3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジナフタレンスルホン(M1s)との混合物であっていてよい。
【0046】
好ましくは、出発化合物(M1)は、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンなどの非スルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1u)と、(M1u)として使用される同じジハロジフェニルスルホンのスルホン化生成物であるスルホン化ジハロジフェニルスルホン(M1s)との混合物である。例えば、出発化合物(M1)は、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(M1u)と3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(M1s)との混合物であり得る。
【0047】
従って、好ましい化合物(M2)は、2つのフェノール性水酸基を有するものである。
【0048】
フェノール性OH基は、好ましくは出発化合物(M1)のハロゲン置換基に対する反応性を高めるために、塩基の存在下で反応させる。
【0049】
2つのフェノール性水酸基を有する好ましい出発化合物(M2)は、以下の化合物から選択される:
− ジヒドロキシベンゼン、特にヒドロキノン及びレゾルシノール;
− ジヒドロキシナフタレン、特に1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン;
− ジヒドロキシビフェニル、特に4,4’−ビフェノール及び2,2’−ビフェノール;
− ビスフェノールエーテル、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル;
− ビスフェノールプロパン、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
− ビスフェニルメタン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;
− ビスフェニルスルホネート、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;
− ビスフェニルスルフィド、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
− ビスフェニルケトン、特にビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン;
− ビスフェニルヘキサフルオロプロパン、特に2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;及び
− ビスフェニルフルオレン、特に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;
− 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン(ビスフェノールTMC)。
【0050】
特に好ましい出発化合物(M2)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルである。
【0051】
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物(M2)から出発して、塩基(B)を加えることにより、その二カリウム塩又は二ナトリウム塩を調製し、それらを出発化合物(M1)と反応させることが好ましい。上記化合物は、単独で又は上記化合物のうち2種以上の組み合わせとして付加的に使用することができる。
【0052】
ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’−ビスフェノールが出発化合物(M2)として特に好ましい。
【0053】
しかしながら、三官能性の化合物を使用することも可能である。この場合、分枝鎖状の構造が生じる。三官能性の出発化合物(M2)を使用する場合、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0054】
使用されるべき比は、原則として塩化水素の理論的除去で進行する重縮合反応の化学量論から導き出され、当業者によって既知の方法で確立される。
【0055】
好ましい実施形態では、フェノール末端基に対するハロゲン末端基の比は、出発化合物としての二官能性化合物(M2)に対して過剰のジハロゲン出発化合物(M1)の確立された制御によって調節され、ポリアルキレンオキシドブロックPAOが利用される。
【0056】
より好ましくは、この実施形態におけるモルの(M1)/(M2)比は1.003〜1.25、特に1.005〜1.15、最も好ましくは1.01〜1.1である。好ましくは、モルの(M1)/(M2+ポリアルキレンオキシドブロックPAO)比は1.005〜1.2である。あるいは、出発化合物(M1)(式中、X=ハロゲン及びY=OHである)を使用することも可能である。この場合、使用されるOH末端基に対するハロゲンの比は、好ましくは1.003〜1.2、特に1.005〜1.15、最も好ましくは1.01〜1.1である。
【0057】
好ましくは、重縮合における転化率は少なくとも0.9であり、これは十分に高い分子量を保証する。
【0058】
一実施形態では、ポリアリーレンエーテルブロックAは、一般式
【化4】
(式中、
Ar
2は二価のアリーレン残基を表し、
M1a及びM2aから選択される少なくとも1つのモノマー単位は部分的にスルホン化され、且つM1a及びM2aに含まれる芳香環は任意に且つ互いに独立して更に置換されていてよい)
のモノマー単位で構成される。
【0059】
本発明の文脈において好ましい溶媒(L)は、有機溶媒、特に非プロトン性極性溶媒である。適切な溶媒はまた、80℃〜320℃、特に100℃〜280℃、好ましくは150℃〜250℃の範囲の沸点を有する。適切な非プロトン性極性溶媒は、例えば高沸点エーテル、エステル、ケトン、不斉ハロゲン化炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。これらの溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0060】
好ましい溶媒は、特にN−メチル−2−ピロリドン及び/又はN−エチル−2−ピロリドンである。
【0061】
好ましくは、出発化合物(M1)及び(M2)並びにポリアルキレンオキシドブロックPAOを、記載された非プロトン性極性溶媒(L)、特にN−メチル−2−ピロリドン中で反応させる。
【0062】
好ましい実施形態では、出発化合物(M1)及び(M2)並びにポリアルキレンオキシドブロックPAOを、塩基(B)の存在下で反応させる。塩基は好ましくは無水である。適切な塩基は、特に無水アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属炭酸塩であり、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はそれらの混合物であり、非常に特に好ましいものは炭酸カリウムであり、とりわけN−メチル−2−ピロリドンの懸濁液中の粒子サイズ測定装置で測定して200マイクロメートル未満の体積平均粒径を有する炭酸カリウムである。
【0063】
特に好ましい組み合わせは、溶剤(L)としてのN−メチル−2−ピロリドンと塩基(B)としての炭酸カリウムである。
【0064】
適切な出発化合物(M1)及び(M2)とポリアルキレンオキシドブロックPAOとの反応は、80℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃の温度で行われ、上限温度は溶媒の沸点によって決定される。
【0065】
反応は好ましくは2〜15時間、特に3〜8時間の時間間隔で行われる。
【0066】
特に適した出発物質、塩基、溶媒、関与する全ての成分の比、反応時間及び反応パラメータ、例えば温度及び圧力並びに適切な処理手順は、例えば、米国特許第4,870,153号明細書(US 4,870,153)の第4欄11行目〜第17欄64行目、欧州特許第113112号明細書(EP 113 112)の第6頁1行目〜第9頁14行目、欧州特許第297363号明細書(EP-A 297 363)の第10頁38行目〜第11頁24行目、欧州特許第135130号明細書(EP-A 135 130)の第1頁37行目〜第4頁20行目に開示されている。
【0067】
ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、通常、実質的にオキシアルキレン単位で構成されている。オキシアルキレン単位は、原則的に知られている方法において、一般式−R
1−O−の単位である。この式では、R
1は二価の脂肪族炭化水素基であり、これも場合により、更なる置換基を有していてもよい。基R
1上の更なる置換基は、特に、O含有基を含んでいてよく、例はOH基である。当然ながら、親水性ブロックは、2つ以上の異なるオキシアルキレン単位を含んでいてよい。
【0068】
オキシアルキレン単位は、特に−(CH
2)
2−O−、−(CH
2)
3−O−、−(CH
2)
4−O−、−CH
2−CH(R
2)−O−、−CH
2−CHOR
3−CH
2−O−であっていてよく、ここでR
2はアルキル基、特にC
1〜C
24アルキル、又はアリール基、特にフェニルであり、R
3は水素又はC
1〜C
24アルキルからなる群から選択される基である。
【0069】
ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エステル基、カーボネート基又はアミノ基などの更なる構造単位を含んでいてもよい。それらは、重合の開始時に使用されるスターター分子又はその断片を更に含んでいてよい。例は、末端基R
2−O−を含み、ここでR
2は上記で定義された通りである。
【0070】
通常、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、主成分としてエチレンオキシド単位−(CH
2)
2−O−及び/又はプロピレンオキシド単位−CH
2−CH(CH
3)−Oを含み、より高級なアルキレンオキシド単位、即ち、3個よりも多い炭素原子を有するものは、特性を微調整するために少量しか存在しない。ブロックは、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位を含む交互又はブロックコポリマーであっていてよい。高級アルキレンオキシド単位の量は10質量%、好ましくは5質量%を超えない。問題のブロックは、好ましくは少なくとも50質量%のエチレンオキシド単位、好ましくは75質量%、より好ましくは少なくとも90質量%のエチレンオキシド単位を含むブロックである。非常に特に好ましい問題のブロックは純粋なポリオキシエチレンブロックである。
【0071】
ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、原則的に、例えば、少なくとも3個の炭素原子を有するアルキレンオキシド及び/又は環状エーテル、さらには任意に、更なる成分を重合することによって公知の方法で得ることができる。それらは更にジアルコール及び/又はポリアルコール、適切な開始剤、さらには任意に、更なるモノマー成分を重縮合することによって調製されてもよい。
【0072】
ポリアルキレンオキシドブロックPAOのモノマーとして適切なアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド、さらには1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2−メチル−1,2−プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ペンテンオキシド、デセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシドを含むか、又は工業的に利用可能なラフィネート流の酸化物の混合物から形成される。環状エーテルの例はテトラヒドロフランを含む。当然ながら、異なるアルキレンオキシドの混合物を使用することも可能である。当業者はブロックの所望の特性に応じてモノマー及び更なる成分の中から適切な選択を行う。
【0073】
ポリアルキレンオキサイドブロックPAOは分枝鎖状でも星型でもよい。この種のブロックは、少なくとも3本のアームを有するスターター分子を使用することによって得られる。適切なスターターの例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はエチレンジアミンを含む。
【0074】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドのホモポリマーである。
【0075】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAO自体が、エチレンオキシドのブロック及びプロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランのうち少なくとも1つのブロックを含むセグメント化コポリマーである。
【0076】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、一方の側がアルキル又はアリール基でエンドキャップされて、一般構造A−PAO又はPAO−A−PAOのブロックコポリマーをもたらす。一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、両方の末端位置にOH基を有し、1つのポリマー分子に複数のポリアルキレンオキシドブロックを含み得るブロックコポリマーをもたらす。
【0077】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、末端位置にポリエチレンオキシド(PEO)のセグメントを含むが、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンオキシド(PBO)、及びポリTHF(pTHF)などのエチレンオキシドとは異なるポリアルキレンオキシドのセグメントは好ましくは中央の位置に含まれる。好ましいポリアルキレンオキシドブロックは、PEO−PPO−PEO、PEO−PBO−PEO又はPEO−pTHF−PEO構造を有する。
【0078】
あまり好ましくない実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、PEO−PPO−pTHF−PPO−PEO構造を有する。別のあまり好ましくない実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOはPEO−PPO/PBO/pTHF−PEO構造であり、このことは、中央セグメントが、セグメント又はサブセグメントの形で統計的に分布したブチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランから選択されるアルキレンオキシドのうち少なくとも2つを含むことを意味する。
【0079】
適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、通常、数平均1.1〜500のアルキレンオキシド単位を含む。好ましくは、適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、2〜300個、より好ましくは3〜150個、さらにより好ましくは5〜100個、特に好ましくは10〜80個のアルキレンオキシド単位を含む。
【0080】
一実施形態では、ブロックコポリマーCは、一般式(I)、(II)又は(III):
R−(OCH
2−CH
2)
m−(OCH
2−CH
2−CH
2−CH
2)
n−(OCH
2−CH
2)
o−O− (I)
R−(OCH
2−CH
2)
m−(OCH
2−CH(CH
3))
n−(OCH
2−CH
2)
o−O− (II)、
R−(OCH
2−CH
2)
m−(OCH
2−CH(CH
2CH
3))
n−(OCH
2−CH
2)
o−O− (III)
のポリアルキレンオキシドブロックPAOを含み、
ここで
Rは水素又は脂肪族若しくは芳香族の残基又は化学結合を示し、
ここで式I、II又はIIIそれぞれによるポリアルキレンオキシドブロックであって、ブロックコポリマー中に同じ残基Rが存在する前記ポリアルキレンオキシドブロック全体にわたるn及びoの数平均は独立して1.1〜40であり;
ここで式I、II又はIIIそれぞれによるポリアルキレンオキシドブロックであって、ブロックコポリマー中に同じ残基Rが存在する前記ポリアルキレンオキシドブロック全体にわたるnの数平均は10〜500である。
【0081】
好ましくは、ブロックコポリマーC中に存在するポリアルキレンオキシドブロックPAO全体にわたるm及びnの数平均は同一であるか又は0.5以下異なる又は更により好ましくは0.1異なる。一実施形態においてエチレンオキシドとエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種のアルキレンオキシドとのブロックコポリマーである適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドセグメント1つ当たり、1.1〜40単位の数平均のエチレンオキシド、好ましくは1.5〜30単位、更に好ましくは2〜25単位、更により好ましくは5〜10単位の数平均のエチレンオキシドを含む。
【0082】
一実施形態においてエチレンオキシドと、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランから選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドとのブロックコポリマーである適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、10〜500単位、好ましくは20〜400単位、更に好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを含む。
【0083】
一実施形態では、適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのみを含み且つ10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のプロピレンオキシドを含み、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均モル比は、200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均モル比は40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0084】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとブチレンオキシドのみを含み且つ10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のブチレンオキシドを含み、ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均モル比は200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均モル比は40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0085】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのみを含み且つ10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のテトラヒドロフランを含み、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの数平均モル比は200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの数平均モル比は40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0086】
一実施形態では、適切なポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのみを含み且つ10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のプロピレンオキシドを含み、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均質量比は200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均質量比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0087】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとブチレンオキシドのみを含み、10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、更により好ましくは40〜150単位の数平均のブチレンオキシドを含み、ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均質量比は200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの数平均質量比は、40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0088】
一実施形態では、ポリアルキレンオキシドブロックPAOは、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのみを含み、10〜500単位、好ましくは20〜400単位、より好ましくは30〜300単位、さらにより好ましくは40〜150単位の数平均のテトラヒドロフランを含み、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの数平均質量比は200:1〜1:1、好ましくは150:1〜1.5:1、より好ましくは100:1〜2:1、特に好ましくは50:1〜5:1である。別の実施形態では、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとの数平均質量比は40:1〜10:1又は35:1〜20:1である。
【0089】
アルキレンオキシドブロックの合成は当業者に知られている。詳細はウルマン工業化学百科事典、第6版、電子出版の「ポリオキシアルキレン」に記載されている。
【0090】
ブロックコポリマーCは、ポリアルキレンオキシドブロックPAOとポリアリーレンエーテルブロックAを含む。通常、少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、更により好ましくは少なくとも99モル%の前記ポリアルキレンオキシドブロックがポリアリーレンエーテルブロックに共有結合している。好ましい一実施形態では、実質的に全てのポリアルキレンオキシドブロックがポリアリーレンエーテルブロックに共有結合している。通常、前記ポリアルキレンオキシドブロックは、−O−基(エーテル基)を介してポリアリーレンエーテルブロックに共有結合している。
【0091】
一実施形態では、ブロックコポリマーCは、一般構造PAO−A又はPAO−A−PAOの個々のポリマー分子を含み、ここでPAOはポリアルキレンオキシドブロックPAOであり、AはポリアリーレンエーテルブロックAである。通常、ブロックコポリマーCに含まれるポリアルキレンオキシドブロックを含む全ての個々のポリマー分子の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、更により好ましくは少なくとも95モル%が、一般構造式PAO−A又はPAO−A−PAOを有する。好ましい実施形態では、ブロックコポリマーC中のポリアリーレンエーテルブロックAは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン又はポリフェニレンスルホンである。
【0092】
一実施形態では、ブロックコポリマーCに含まれる個々のポリマー分子の少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、更により好ましくは少なくとも80モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、特に好ましくは少なくとも95モル%又は少なくとも99モル%が、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドブロックPAO及び少なくとも1つのポリアリーレンエーテルブロックAを含む。
【0093】
通常、ブロックコポリマーCの平均分子量Mw(実験の項に示される手順に従ってGPCにより測定)は、5000〜150,000g/モル、好ましくは7500〜100,000g/モル、より好ましくは10,000〜60,000g/モルである。本発明の驚くべき結果は、特に、PEOを含まないポリアルキレンオキシドブロックを含むブロックコポリマーと比較して、より高い分子量でブロックコポリマーCを製造できることである。
【0094】
ブロックコポリマーCは、好ましくは、1.5〜5、より好ましくは2〜4の多分散度(Mw/Mn)(実験の項に示された手順に従ってGPCにより測定)を有する。
【0095】
一実施形態では、ブロックコポリマーCは2つのガラス転移温度を有する。例えば、ブロックコポリマーCは、−90℃〜−20℃の範囲の1つのガラス転移温度と、100℃〜225℃の範囲の1つのガラス転移温度を有していてよい(実験の項に記載された示差走査熱量測定(DSC)により測定)。
【0096】
一実施形態では、ブロックコポリマーCは、典型的には80℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは120℃超、特に好ましくは140℃超の1つのガラス転移温度を有する。
【0097】
ブロックコポリマーCは、特に限外濾過、ナノ濾過又は精密濾過膜において、膜又は膜の分離層の製造に有用である。
【0098】
一実施形態では、特に逆浸透又は正浸透において、支持層、担体材料、安定化層又は他の部分の膜を作るためにブロックコポリマーCが使用される。
【0099】
本発明の別の態様は、ブロックコポリマーCの製造方法である。本発明のあまり好ましくない一実施形態では、ブロックコポリマーCは、適切な反応条件下で適切な溶媒中で処理される適切なポリアルキレンオキシドブロックPAO及び容易に調製されるアリーレンエーテルブロックAから容易に調製される。
【0100】
本発明の別のあまり好ましくない実施形態では、ブロックコポリマーCは、α,ω−Cl−末端ポリアルキレングリコールを、部分的にスルホン化されたアリーレンエーテルブロックを形成するモノマーと反応させることにより、α,ω−Cl−末端ポリアルキレングリコールから調製される。このようなプロセスは、例えば、欧州特許第781795号明細書(EP 781795)、第5頁42行目〜第7頁52行目に開示されている。
【0101】
本発明の好ましい実施形態では、ブロックコポリマーCは、適切なポリアルキレンオキシドの存在下で、適切な部分的にスルホン化されたポリアリーレンエーテルAを調製することにより調製される。例えば、ブロックコポリマーCは、芳香族ビスハロゲノ化合物及び芳香族ビフェノール又はその塩を反応させることによって調製することができ、ここで芳香族ビスハロゲノ化合物又は芳香族ビフェノール又はその両方は、少なくとも1つの適切な塩基の存在下で且つ適切なポリアルキレンオキシドPAOの存在下で部分的にスルホン化される。コポリマーCのための適切なポリアルキレンオキシド(「適切なポリアルキレンオキシドブロック」)PAOは、上記に記載されている。
【0102】
これらのプロセスに適した塩基は、例えば無機炭酸塩又は水酸化物である。
【0103】
例えば、ブロックコポリマーCは、芳香族ビスハロゲノ化合物及び芳香族ビフェノール又はその塩の反応から調製することができ、その際、芳香族ビスハロゲノ化合物又は芳香族ビフェノール又はその両方は、米国特許第4,870,153号明細書(US 4,870,153)の第4欄11行目〜第17欄64行目、欧州特許第113112号明細書(EP 113 112)の第6頁1行目〜第9頁14行目、欧州特許第297363号明細書(EP-A 297 363)の第10頁38行目〜第11頁24行目、欧州特許第135130号明細書(EP-A 135 130)の第1頁37行目〜第4頁20行目(これらは参照により本出願に組み込まれる)に記載されるように、非プロトン性溶媒中で適切なポリアルキレンオキシドPAOの存在下で且つ少なくとも1種のアルカリ金属又は炭酸アンモニウム又は炭酸水素塩の存在下で部分的にスルホン化される。
【0104】
一実施形態では、コポリマーCは、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンとして計算して、0.25〜10質量%、好ましくは0.5〜7.5質量%の量で、スルホン化モノマーを含む。
【0105】
本発明による方法は、ブロックコポリマーCの製造を、比較的短い反応時間で且つ高純度で可能にする。本発明による方法は、高分子量のブロックコポリマーCの製造を可能にする。
【0106】
本発明による方法は、通常、蒸留工程又は共沸剤の使用を必要としない。本発明による方法は、通常、乾燥工程を必要としない。
【0107】
本発明の別の態様は、本発明による方法を用いて得られるブロックコポリマーである。
【0108】
ブロックコポリマーCは高い柔軟性を有する。また、ブロックコポリマーCは、水と接触する際に低い接触角を示す。従って、ブロックコポリマーCは水で容易に濡らすことができる。ブロックコポリマーCは高い上位ガラス転移温度を有する。
【0109】
さらに、ブロックコポリマーCは、非常に良好な寸法安定性、高い熱変形抵抗性、良好な機械的特性、及び良好な難燃性及び生体適合性を有する。それらは高温での処理及び取り扱いができるので、高温に曝され且つ例えば蒸気、水蒸気又は100℃超又は125℃超などの高温を用いる殺菌に付される製品の製造が可能である。ブロックコポリマーCは射出成形を含む用途にさらに適している。
【0110】
さらに、ブロックコポリマーCは短い反応時間で且つ単純な装置を用いて効率的に製造することができる。それらは高い粘度数と高い分子量を有し且つ使用される比率の高いポリアルキレンオキシドを含む。
【0111】
ブロックコポリマーCは、その化学的性質及び機械的性質に対する要求の高い製品の製造に有用である。ブロックコポリマーCは、膜を作るために特に有用である。
【0112】
ブロックコポリマーCは、特に限外濾過膜、ナノ濾過膜又は精密濾過膜において、膜又は膜の分離層を作るために有用である。
【0113】
一実施形態では、ブロックコポリマーCは、支持層、担体材料、安定化層又は膜の他の部分、特に逆浸透膜又は正浸透膜を作るために使用される。
【0114】
本発明の別の態様は、ブロックコポリマーCを含む膜である。
【0115】
本出願の文脈において、膜は、2つの流体を分離することができるか又は液体から分子及び/又はイオン成分又は粒子を分離することができる薄く、半透性の構造であると理解されるべきである。膜は、選択バリアとして働き、他のものを保持しながら、一部の粒子、物質又は化学物質を通過させることができる。
【0116】
例えば、本発明による膜は、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜であってよい。これらの膜の種類は一般に当業界で知られており、以下でさらに説明される。
【0117】
本発明による膜は、例えば、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜であっていてよい。
【0118】
FO膜は、通常、海水、汽水、下水又は汚泥の流れの処理に適している。それにより純粋な水が、これらの流れからFO膜を通して、浸透圧の高い膜の裏側のいわゆるドロー溶液に取り除かれる。
【0119】
好ましい実施形態では、適切なFO膜は、薄膜複合(TFC)FO膜である。薄膜複合膜の製造方法及び使用が主に知られており、例えばR. J PetersenによってJournal of Membrane Science 83 (1993) 81-150に記載されている。
【0120】
特に好ましい実施形態では、適切なFO膜は、織物層、支持層、分離層、及び必要に応じて保護層を含む。前記保護層は、表面を滑らかにする及び/又は親水化するための追加のコーティングと考えることができる。
【0121】
前記織物層は、例えば10〜500μmの厚さを有していてよい。前記織物層は、例えば織布又は不織布、例えばポリエステル不織布であっていてよい。
【0122】
TFC FO膜の前記支持層は、通常、例えば0.5〜100nm、好ましくは1〜40nm、より好ましくは5〜20nmの平均細孔径を有する細孔を含む。前記支持層は、例えば5〜1000μm、好ましくは10〜200μmの厚さを有していてよい。前記支持層は、例えば主成分としてポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PVDF、ポリイミド、ポリイミドウレタン又は酢酸セルロースを含んでいてよい。
【0123】
好ましい実施形態では、FO膜は、主成分として少なくとも1つのブロックコポリマーCを含む支持層を含む。
【0124】
別の実施形態では、FO膜は、少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースニトレート、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)又はブロックコポリマーCとは異なるポリエーテルスルホン(PESU)、又はブロックコポリマーCと組み合わせたそれらの混合物を主成分として含む支持体を有する。
【0125】
別の好ましい実施形態では、FO膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせてブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを主成分として含む支持層を含む。
【0126】
ゼオライトなどのナノ粒子が前記支持膜に含まれていてよい。これは、例えば、前記支持層の調製のためのドープ溶液中にこのようなナノ粒子を含めることによって達成され得る。
【0127】
FO膜の前記分離層は、例えば0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.15〜0.3μmの厚さを有し得る。好ましくは、前記分離層は、例えばポリアミド又は酢酸セルロースを主成分として含み得る。
【0128】
任意に、TFC FO膜は、厚さ30〜500nm、好ましくは100〜300nmの保護層を含み得る。前記保護層は、例えばポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含み得る。一実施形態では、保護層は、クロラミンのようなハラミンを含む。
【0129】
好ましい一実施形態では、適切な膜は、ブロックコポリマーCを含む支持層、ポリアミドを主成分として含む分離層、及び任意にポリビニルアルコールを主成分として含む保護層を含むTFC FO膜である。
【0130】
好ましい実施形態では、適切なFO膜は、ポリアミンと多官能性アシルハライドとの縮合から得られる分離層を含む。前記分離層は、例えば、界面重合プロセスで得ることができる。
【0131】
RO膜は通常、分子やイオン、特に一価イオンの除去に適している。通常、RO膜は、溶液/拡散機構に基づいて混合物を分離している。
【0132】
好ましい実施形態では、適切な膜は薄膜複合(TFC)RO膜である。薄膜複合膜の製造方法と使用が主に知られており、例えばR.J. PetersenによってJournal of Membrane Science 83 (1993) 81-150に記載されている。
【0133】
更に好ましい実施形態では、適切なRO膜は、織物層、支持層、分離層及び任意に保護層を含む。適切な保護層は、この表面を滑らかにする及び/又は親水化するための追加のコーティングと考えることができる。
【0134】
前記織物層は、例えば10〜500μmの厚さを有し得る。前記織物層は、例えば織布又は不織布、例えばポリエステル不織布であってもよい。
【0135】
TFC RO膜の前記支持層は、通常、例えば0.5〜100nm、好ましくは1〜40nm、より好ましくは5〜20nmの平均細孔径を有する細孔を含む。前記支持層は、例えば5〜1000μm、好ましくは10〜200μmの厚さを有していてよい。前記支持層は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、PVDF、ポリイミド、ポリイミドウレタン又は酢酸セルロースを主成分として含んでいてよい。
【0136】
好ましい実施形態では、RO膜は、少なくとも1つのブロックコポリマーCを主成分として含む支持層を有する。
【0137】
別の実施形態では、RO膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸セルロース(CA)、三酢酸セルロース(CTA)、三酢酸CAブレンド、セルロースエステル、セルロースニトレート、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、又はそれらの混合物を主成分として含む支持層を有する。
【0138】
別の好ましい実施形態では、RO膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせてブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを主成分として含む支持層を有する。
【0139】
ゼオライトなどのナノ粒子は前記支持膜に含まれていてよい。これは、例えば、前記支持層の調製のためのドープ溶液中にこのようなナノ粒子を含めることによって達成され得る。
【0140】
前記分離層の厚さは、例えば0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.3μmであり得る。好ましくは、前記分離層は、例えばポリアミド又は酢酸セルロースを主成分として含み得る。
【0141】
任意に、TFC RO膜は、厚さ5〜500nm、好ましくは10〜300nmの保護層を含み得る。前記保護層は、例えばポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含み得る。一実施形態では、保護層は、クロラミンのようなハラミンを含む。
【0142】
好ましい一実施形態では、適切な膜は、不織ポリエステル織物、ブロックコポリマーCを含む支持層、ポリアミドを主成分として含む分離層、及び任意にポリビニルアルコールを主成分として含む保護層を含むTFC RO膜である。
【0143】
好ましい実施形態では、適切なRO膜は、ポリアミンと多官能性アシルハライドとの縮合から得られる分離層を含む。前記分離層は、例えば、界面重合プロセスで得ることができる。
【0144】
適切なポリアミンモノマーは、第一級又は第二級アミノ基を有していてよく且つ芳香族(例えば、ジアミノベンゼン、トリアミノベンゼン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,3,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、及びキシリレンジアミン)又は脂肪族(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン、及びトリス(2−ジアミノエチル)アミン)であっていてよい。
【0145】
適切な多官能性アシルハライドとしては、トリメソイルクロライド(TMC)、トリメリット酸クロライド、イソフタロイルクロライド、テレフタロイルクロライド及び類似の化合物又は適切なアシルハライドのブレンドが挙げられる。更なる例として、第2のモノマーはフタロイルハライドであっていてよい。
【0146】
本発明の一実施形態では、ポリアミドの分離層は、メタフェニレンジアミンMPDの水溶液と、無極性溶剤中のトリメソイルクロライド(TMC)の溶液との反応から作られる。
【0147】
NF膜は、通常、多価イオンや大きな一価イオンの除去に特に適している。典型的には、NF膜は、溶液/拡散又は/及び濾過に基づくメカニズムによって機能する。
【0148】
NF膜は、通常、クロスフロー濾過プロセスで使用される。
【0149】
本発明の一実施形態では、NF膜はブロックコポリマーCを主成分として含む。
【0150】
別の実施形態では、NF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なる、少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースニトレート、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はそれらの混合物を主成分として含む。
【0151】
本発明の別の実施形態では、NF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせてブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを主成分として含む。
【0152】
特に好ましい実施形態では、NF膜の主成分は正又は負に帯電する。
【0153】
ナノ濾過膜は、しばしば、ブロックコポリマーCと組み合わせて、スルホン酸基、カルボン酸基及び/又はアンモニウム基を含む荷電ポリマーを有する。
【0154】
別の実施形態では、NF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ポリアミド、ポリイミド又はポリイミドウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)を主成分として含む。
【0155】
UF膜は通常、浮遊している固体粒子と高分子量、例えば100,000Da超の溶質を除去するのに適している。特に、UF膜は通常、細菌及びウイルスの除去に適している。
【0156】
UF膜は通常、0.5nm〜50nm、好ましくは1〜40nm、より好ましくは5〜20nmの平均細孔径を有する。
【0157】
本発明の一実施形態では、UF膜はブロックコポリマーCを主成分として含む。
【0158】
別の実施形態では、UF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースニトレート、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタクリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンPTFE、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メタクリル酸メチル)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、又はポリエーテルスルホン、又はそれらの混合物を主成分として含む。
【0159】
本発明の別の実施形態では、UF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせてブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを主成分として含む。
【0160】
好ましい一実施形態では、ブロックコポリマーCは、ブロックコポリマーCが1〜100質量%、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜50質量%の量で含まれるUF膜を作るために使用される。
【0161】
一実施形態では、UF膜は、更なる添加剤、例えばポリビニルピロリドン又はポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドを含む。
【0162】
好ましい実施形態では、UF膜は、少なくとも1つのブロックコポリマーC及び更なる添加剤、例えばポリビニルピロリドンと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なるポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホンを主成分として含む。
【0163】
好ましい一実施形態では、UF膜は、99.9〜50質量%のブロックコポリマーCとは異なるポリエーテルスルホンとブロックコポリマーCとの組み合わせ及び0.1〜50質量%のポリビニルピロリドンを含む。
【0164】
別の実施形態では、UF膜は、97〜85質量%のブロックコポリマーCとは異なるポリエーテルスルホン及びブロックコポリマーC並びに3〜15質量%のポリビニルピロリドンを含む。
【0165】
別の実施形態では、UF膜は、95〜80質量%のブロックコポリマーCとは異なるポリエーテルスルホン及びブロックコポリマーC並びに5〜20質量%のポリビニルピロリドンを含む。
【0166】
本発明の一実施形態では、UF膜は、らせん状に巻かれた膜として、枕又はフラットシート膜として存在する。
【0167】
本発明の別の実施形態では、UF膜は管状膜として存在する。本発明の別の実施形態では、UF膜は中空糸膜又は毛細管として存在する。
【0168】
本発明のさらに別の実施形態では、UF膜は単孔中空糸膜として存在する。
【0169】
本発明のさらに別の実施形態では、UF膜はマルチボア中空糸膜として存在する。
【0170】
マルチボア膜とも呼ばれる多重チャネル膜は、単に「チャネル」とも呼ばれる1つより多くの縦型チャネルを含む。
【0171】
好ましい実施形態では、チャネルの数は典型的には2〜19である。一実施形態では、多重チャネル膜は、2つ又は3つのチャネルを含む。別の実施形態では、多重チャネル膜は5〜9のチャネルを含む。好ましい一実施形態では、多重チャネル膜は7つのチャネルを含む。
【0172】
別の実施形態では、チャネルの数は20〜100である。
【0173】
「ボア」とも呼ばれる、このようなチャネルの形状は変化し得る。一実施形態では、このようなチャネルは、実質的に円形の直径を有する。別の実施形態では、このようなチャネルは、実質的に楕円形の直径を有する。さらに別の実施形態では、チャネルは実質的に長方形の直径を有する。
【0174】
場合により、このようなチャネルの実際の形状は、理想化された円形、楕円形又は長方形から外れることもあり得る。
【0175】
通常、このようなチャネルは、0.05mm〜3mm、好ましくは0.5mm〜2mm、より好ましくは0.9mm〜1.5mmの直径(実質的に円形の直径の場合)、より小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)又はより小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。別の好ましい実施形態では、このようなチャネルは、0.2〜0.9mmの範囲の直径(実質的に円形の直径の場合)、より小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)又はより小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0176】
実質的に長方形のチャネルの場合、これらのチャネルは一列に並べることができる。
【0177】
実質的に円形の形状を有するチャネルの場合、これらのチャネルは、好ましい実施形態において中央のチャネルが他のチャネルによって囲まれるように配置されている。好ましい一実施形態では、膜は1つの中央チャネルと、例えば中央チャネルの周りに環状に配置された4個、6個又は18個の更なるチャネルを含む。
【0178】
このような多重チャネル膜の壁厚は、通常、最も薄い位置で0.02mm〜1mm、好ましくは30μm〜500μm、より好ましくは100μm〜300μmである。
【0179】
通常、本発明による膜及び担体膜は、実質的に円形、楕円形又は長方形の直径を有する。好ましくは、本発明による膜は実質的に円形である。
【0180】
好ましい一実施形態では、本発明による膜は、2mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mm、より好ましくは4mm〜6mmの直径(実質的に円形の直径の場合)、より小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)又はより小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0181】
別の好ましい実施形態では、本発明による膜は、2mm〜4mmの直径(実質的に円形の直径の場合)、より小さい直径(実質的に楕円形の直径の場合)又はより小さい供給サイズ(実質的に長方形の直径の場合)を有する。
【0182】
一実施形態では、排除層は、多重チャネル膜の各チャネルの内側に位置する。
【0183】
一実施形態では、マルチボア膜のチャネルは、担体膜の細孔径と異なる細孔径を有する活性層又は活性層を形成する被覆層を組み込んでいてよい。被覆層に適した材料は、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ヒドロゲル、ポリアミド、両性イオンブロックコポリマー、例えばスルホベタイン又はカルボキシベタインである。活性層は、10nm〜500nm、好ましくは50nm〜300nm、より好ましくは70nm〜200nmの範囲の厚さを有し得る。
【0184】
好ましくは、マルチボア膜は、0.2μm〜0.01μmの細孔径で設計されている。このような実施形態では、毛細管の内径は0.1mm〜8mmの間、好ましくは0.5mm〜4mmの間、特に好ましくは0.9mm〜1.5mmの間にあり得る。マルチボア膜の外径は1mm〜26mmの間、好ましくは2.3mm〜14mmの間、特に好ましくは3.6mm〜6mmの間にあり得る。さらに、マルチボア膜は、2〜94個、好ましくは3〜19個、特に好ましくは3〜14個の間のチャネルを含有し得る。マルチボア膜はしばしば7個のチャネルを含有する。透水性の範囲は、例えば100〜10000L/m
2hバール、好ましくは300〜2000L/m
2hバールの間にある。
【0185】
典型的には上記タイプのマルチボア膜は、複数の中空針が付いた押出ノズルを通して凝固後に半透膜を形成するポリマーを押し出すことによって製造される。凝固液は、押出中に中空ニードルを通して押出ポリマー中に注入され、押出方向に伸びる平行な連続チャネルが押出ポリマーに形成される。好ましくは、押出膜の外面の細孔径は、押出ノズルを出た後に外面を弱い凝固剤に接触させ、その形状が外面で活性層なしで固定され、その後、膜を強い共凝集剤と接触させることによって制御される。結果として、チャネル内部の活性層と、液体の流れに対して全く又はほとんど抵抗を示さない外面とを有する膜を得ることができる。本明細書では、適切な凝固剤としては溶媒及び/又は非溶媒が挙げられる。凝固の強さは、非溶媒/溶媒の組み合わせと比率によって調整され得る。凝固溶媒は当業者に公知であり、通常の実験によって調整され得る。溶剤系の凝固剤の例はN−メチルピロリドンである。非溶剤系の凝固剤は、例えば水、イソプロパノール及びプロピレングリコールである。
【0186】
MF膜は、通常、0.1μm以上の粒径を有する粒子を除去するのに適している。
【0187】
MF膜は、通常、0.05μm〜10μm、好ましくは1.0μm〜5μmの平均細孔径を有する。
【0188】
精密濾過は加圧システムを使用することができるが、圧力を加える必要はない。
【0189】
MF膜は、中空糸、毛細管、平らなシート、管状、らせん状に巻かれた、枕状、中空微小繊維又はトラックエッチドであっていてよい。それらは多孔質であり、水、一価種(Na
+、Cl
−)、溶解した有機物、小コロイド及びウイルスを通過させるが、粒子、沈殿物、藻類又は大きな細菌は保持する。精密濾過システムは、2〜3%までの濃度の供給液中で、浮遊固形分を0.1マイクロメートルのサイズまで除去するように設計されている。
【0190】
本発明の一実施形態では、MF膜はブロックコポリマーCを主成分として含む。
【0191】
別の実施形態では、MF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セルローストリアセテート(CTA)、CA−トリアセテートブレンド、セルロースエステル、セルロースニトレート、再生セルロース、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミド、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズイミダゾロン(PBIL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PAN−ポリ(塩化ビニル)コポリマー(PAN−PVC)、PAN−メタクリルスルホネートコポリマー、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)(PPO)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンPTFE、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、高分子電解質複合体、ポリ(メタクリル酸メチル)PMMA、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリイミドウレタン、芳香族、芳香族/脂肪族又は脂肪族ポリアミドイミド、架橋ポリイミド又はポリアリーレンエーテル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン又はポリエーテルスルホン、又はそれらの混合物を主成分として含む。
【0192】
本発明の別の実施形態では、MF膜は、ブロックコポリマーCと組み合わせて、ブロックコポリマーCとは異なる少なくとも1種のポリスルホン、ポリフェニレンスルホン及び/又はポリエーテルスルホンを主成分として含む。
【0193】
好ましい一実施形態では、ブロックコポリマーCは、ブロックコポリマーCが1〜100質量%、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜50質量%の量で含まれるMF膜を作るために使用される。
【0194】
本発明による膜は高い柔軟性を有する。
【0195】
さらに、本発明による膜は、水と接触する際に低い接触角を示す。このように、本発明による膜は水で容易に濡らすことができる。
【0196】
本発明による膜はより高い上位ガラス転移温度を有する。本発明による膜は、取り扱いが容易であり、高温に耐えることができ、例えば蒸気滅菌することができる。
【0197】
さらに、本発明による膜は、非常に良好な寸法安定性、高い熱変形抵抗性、良好な機械的特性、良好な難燃性及び生体適合性を有する。それらは高温での処理及び取り扱いができるので、高温に曝され且つ例えば蒸気、水蒸気又は100℃超又は125℃超などの高温を用いる殺菌に付される膜及び膜モジュールの製造が可能である。
【0198】
本発明による膜は、膜を通る流束の経時的減少並びにそれらのファウリング及び生物付着性に関して優れた特性を示す。
【0199】
本発明による膜は、製造が容易で且つ経済的である。
【0200】
本発明による濾過システム及び膜は、水性系又はアルコール系を用いて作ることができ、従って環境に優しい。さらに、有毒物質の浸出は、本発明による膜では問題ではない。
【0201】
本発明による膜は長寿命である。
【0202】
本発明の別の態様は、本発明によるコポリマーを含む膜エレメントである。
【0203】
本明細書では「濾過エレメント」とも呼ばれる「膜エレメント」は、少なくとも1つの単一膜体の膜配設体(membrane arrangement)を意味するものと理解されるべきである。濾過エレメントは濾過モジュールとして直接使用することも膜モジュールに含めることもできる。本明細書では濾過モジュールとも呼ばれる膜モジュールは、少なくとも1つの濾過エレメントを含む。濾過モジュールは、通常、濾過エレメントに加えて、濾過モジュールを、モジュールハウジングやコネクターなどの目的の用途に使用するために必要な更なるコンポーネントを含む、すぐに使用できる部品である。従って、濾過モジュールとは、膜システム又は膜処理プラントに設置することができる単一のユニットを意味するものと理解されるべきである。本明細書では、濾過システムとも呼ばれる膜システムは、互いに接続された2つ以上の濾過モジュールの配設体である。濾過システムは膜処理プラントに導入される。
【0204】
多くの場合、濾過エレメントは2つ以上の膜配設体を含み、さらにエレメントハウジング、1つ以上のバイパス管、1つ以上のバッフルプレート、1つ以上の有孔内部管、又は1つ以上の濾液収集管のような更なるコンポーネントを含んでいてよい。中空糸膜又はマルチボア膜の場合、例えば濾過エレメントは、通常、ポッティング工程により外殻又はハウジングに固定された2つ以上の中空糸膜やマルチボア膜の配設体を含む。ポッティングされた濾過エレメントは、膜配設体の一端又は両端で外殻又はハウジングに固定することができる。
【0205】
一実施形態では、本発明による濾過エレメント又は濾過モジュールは、透過液を、管ハウジング内の開口部を介して直接的に排出するか又は膜エレメント内に配置された排出管を介して間接的に排出する。特に間接放電が容易な場合、排出管は、例えば膜エレメントの中心に配置することができ、膜エレメントの毛細管は、排出管を囲むバンドルに配置される。
【0206】
別の実施形態では、濾過用の濾過エレメントは、エレメントハウジングを含み、その際、少なくとも1つの膜配設体と少なくとも1つの透過液収集管がエレメントハウジング内に配置され、前記少なくとも1つの透過液収集管は前記濾過エレメントの外部に配置される。
【0207】
濾過エレメント又は濾過モジュール内部の透過液収集管は、一実施形態では、円筒形状を有していてよく、ここで断面は円形、楕円形、三角形、正方形又は多角形などの任意の形状を有していてよい。耐圧性を高める円形が好ましい。好ましくは、少なくとも1つの透過液収集管の長手方向の中心線は、膜エレメント及びエレメントハウジングの長手方向中心線に対して平行に配置される。また、透過液収集管の断面は、膜エレメントが生成する透過液量と透過液収集管で生じる圧力損失に応じて選択され得る。透過液収集管の直径は、エレメントハウジングの直径の半分より小さく、好ましくは3分の1より小さく、特に好ましくは4分の1より小さくてもよい。
【0208】
透過液収集管と膜エレメントの形状は同じでも異なっていてもよい。好ましくは、透過液収集管と膜エレメントは、同じ形状、特に円形である。従って、少なくとも1つの透過液収集管は、エレメントハウジングの半径から半分まで伸びる、好ましくはエレメントハウジングの半径の3分の1まで、特に好ましくは4分の1まで伸びる円周リング内に配置することができる。
【0209】
一実施形態では、透過液収集管は、透過液収集管が要素ハウジングに少なくとも部分的に接触するように、濾過エレメント内に配置される。これにより、透過液収集管が濾過エレメントの上部にほぼ水平の配置で配置されるように、濾過モジュール又はシステム内に濾過エレメントを置くことができる。この文脈では、実質的に上部に、膜エレメントの横断面内の垂直中心軸から±45°、好ましくは±10°内にある膜の外側部分の任意の位置を含む。本明細書では、横断面内の垂直中心軸は、横断平面内の水平中心軸に対して及び濾過エレメントの長軸に沿って伸びる長手方向中心軸に対して垂直である。このように透過液収集管を配置することにより、濾過モジュール又はシステムの起動前に膜エレメント内に存在する空気を透過液収集管に集めることができ、次に起動時に濾過操作を開始することによって容易に通気することができる。特に、エアポケットは、濾過モジュール又はシステムに供給され、起動時に膜エレメントによって濾過される透過液によって置き換えることができる。濾過モジュール又はシステムから空気を放出することにより、膜エレメントの活性領域が増加し、このように濾過効果が高まる。さらに、閉じ込められたエアポケットによるファウリングのリスクが減少し、膜エレメントの破損のリスクと圧力サージが最小限に抑えられる。
【0210】
濾過エレメントの別の実施形態では、少なくとも2つの透過液収集管が、濾過エレメント、特にエレメントハウジング内に配置されていてよい。複数の透過液収集管を用意することにより、一定圧力で透過液の出力量を増やし、膜エレメントが生成する透過液量に調整することができる。さらに高い逆洗流量が必要な場合は、圧力損失が減少する。本明細書では、少なくとも1つの第1の透過液収集管が濾過エレメントの外側部分に配置され、少なくとも1つの第2の透過液収集管は濾過エレメントの内側又は外側部分に配置され得る。例えば、2つの透過液収集管が外側部分に配置されていてもよく、又は1つの第1の透過液収集管が外側部分に配置され且つ別の第2の透過液収集管が濾過エレメントの内側部分に配置されていてもよい。
【0211】
好ましくは、少なくとも2つの透過液収集管が、濾過エレメントの外側部分又は外周リングに互いに対向して配置される。濾過エレメントの外側部分に互いに向かい合う少なくとも2つの透過液収集管を設けることにより、1つの管がエレメントの実質的に上部に配置され、もう1つの管が実質的に下部に配置されるように、濾過エレメントを濾過モジュール又はシステム内に配置することができる。このように、通気は上部の管を通して達成できるが、追加の下部の管は一定圧力で出力量を増加させる。
【0212】
別の実施形態では、濾過エレメントは、膜エレメントの周りに配置された、特に少なくとも1つの中空糸膜を含む少なくとも1つの膜配設体を構成する有孔管を更に含む。穿孔は、管に沿って規則的な又は不規則な間隔で配置された穴又は他の開口部によって形成されてもよい。好ましくは、膜エレメント、特に膜配設体は有孔管で囲まれている。有孔管により、濾過エレメントに沿った軸方向の圧力分布は、濾過及び逆洗運転時に均一化され得る。このように、透過液の流れは濾過エレメントに沿って均一に分布しているので、濾過効果を高めることができる。
【0213】
別の実施形態では、有孔管は、エレメントハウジングと有孔管との間に環状の間隙が形成されるように配置される。既知の膜エレメントには明確な境界がなく、膜エレメントは濾過エレメントのハウジングに直接埋め込まれている。これにより軸方向の流れが膜エレメントによって乱されるので、軸方向の圧力分布が不均一になる。
【0214】
別の実施形態では、膜エレメントは、マルチボア膜を含む。マルチボア膜は、好ましくは、膜エレメント又は濾過エレメントの縦軸に沿ったチャネル内を走る2つ以上の毛細管を含む。特に、マルチボア膜は、チャネルを形成する少なくとも1つの基板と、キャピラリーを形成するチャネルに配置された少なくとも1つの活性層とを含む。基板内に毛細管を埋め込むことで、マルチボア膜を形成することができ、これは単一の中空糸に基づく膜よりも、かなり取り付けが容易であり且つ機械的に安定している。機械的安定性の結果、マルチボア膜は、逆洗による洗浄に特に適しており、その際、チャネル内に形成される可能性のあるファウリング層を持ち上げて除去できるように、濾過方向は逆にされる。膜エレメント内に均一な圧力分布をもたらす透過液収集管の配置と組み合わせることで、濾過エレメント全体の性能と安定性は更に高まる。
【0215】
中心の排出管と単一のボア膜による設計とは対照的に、マルチボア膜の分布は、運転モードの濾過と逆洗の両方でより低い圧力損失を生じる点で有利である。このような設計は、膜エレメントを横切る流れ又は圧力分布を等しくすることによって毛細管の安定性を更に高める。従って、このような設計は、膜エレメントの毛細管間の圧力分布への悪影響を避ける。中央の透過液収集管を備えた設計の場合、濾過モードでは透過液は膜の外側の毛細管から内側の毛細管に流れ、減少する断面を通過しなければならない。逆洗モードでは、流量は外側の毛細管に向かって減少し、従って洗浄効果も同様に外側に向かって減少するという意味で効果が逆になる。実際に、膜エレメント内の不均一な流れと圧力分布により、外側の毛細管は、濾過モードでは、より高い流れを有し、従って内側の毛細管よりも多くのファウリング層を蓄積させる。しかしながら、逆洗モードでは、それとは反対に、内側の毛細管の洗浄効果が高く、外側はより高い蓄積を示す。このように、濾過エレメントの外側部分にある透過液収集管とマルチボア膜の使用との組み合わせにより、濾過エレメントの長期安定性が相乗的に高くなる。
【0216】
本発明の別の態様は、本発明による膜又は膜エレメントを含む膜モジュールである。
【0217】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、モジュールハウジング内に配置された濾過エレメントを含む。原水は、濾過エレメントを通して少なくとも部分的に濾過され、透過液は濾過モジュールの内部に集められ、濾過モジュールから出口を通して除去される。一実施形態では、濾液(「透過液」とも呼ばれる)は、透過液収集管内の濾過モジュール内に集められる。通常、エレメントハウジング、任意に透過液収集管及び膜配設体は、樹脂、好ましくはエポキシ樹脂を含む膜ホルダー内の各端部に固定され、その中に濾過エレメントハウジング、膜、好ましくはマルチボア膜、及び任意に濾液収集管が埋め込まれている。
【0218】
膜モジュールは、一実施形態では、例えば、断面が円形、楕円形、三角形、四角形又は多角形などの任意の形状を有し得る、円筒形状を有し得る。膜エレメント内により均一な流れ及び圧力分布をもたらし、例えば正方形又は三角形の角などの特定の領域での濾過された材料の収集を避ける円形が好ましい。
【0219】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、濾液が中空糸膜又はマルチボア膜の内部から外部に流れるインサイドアウト構成(「内部供給」)を有する。
【0220】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、アウトサイドイン濾過構成(「外部供給」)を有する。
【0221】
好ましい実施形態では、本発明による膜、濾過エレメント、濾過モジュール及び濾過システムは、それらが逆洗操作を受けることができるように構成されており、その際、濾液は濾過モードと逆方向に膜を通して流れる。
【0222】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは封入される。
【0223】
別の実施形態では、本発明による膜モジュールは、濾過を受けるべき流体中に沈められる。
【0224】
一実施形態では、本発明による膜、濾過エレメント、濾過モジュール及び濾過システムは、膜バイオリアクターにおいて使用される。
【0225】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、デッドエンド構成を有し及び/又はデッドエンドモードで操作され得る。
【0226】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、クロスフロー構成を有し及び/又はクロスフローモードで操作され得る。
【0227】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、直接流れ構成を有し及び/又は直接流れモードで操作され得る。
【0228】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、モジュールを空気で洗浄し、洗うことができる構成を有する。
【0229】
一実施形態では、濾過モジュールは、モジュールハウジングを含み、このモジュールハウジング内に、上記の少なくとも1つの濾過エレメントが配置される。それにより濾過エレメントは垂直に又は水平に配列される。モジュールハウジングは、例えば繊維強化プラスチック(FRP)製又はステンレススチール製である。
【0230】
一実施形態では、濾過エレメントの長手方向中心軸とハウジングの長手方向中心軸とが重なるように、少なくとも1つの濾過エレメントがモジュールハウジング内に配置される。好ましくは、モジュールハウジングとエレメントハウジングとの間に環状隙間が形成されるように、濾過エレメントはモジュールハウジングによって囲まれる。操作時のエレメントハウジングとモジュールハウジングとの間の環状隙間により、濾過モジュールに沿った軸方向の均一な圧力分布が可能になる。
【0231】
別の実施形態では、濾過エレメントは、少なくとも1つの透過液収集管が実質的に濾過モジュール又は濾過エレメントの上部に位置するように配置される。この文脈では、実質的に最上部に、濾過エレメントの横断面における垂直中心軸から±45°以内、好ましくは±10°以内、特に好ましくは±5°以内にある膜エレメントの外側部分に任意の位置を含む。また、横断面内の垂直中心軸は、横断平面内の水平中心軸に対して及び濾過エレメントの長軸に沿って伸びる長手方向中心軸に対して垂直である。このように透過液収集管を配置することにより、濾過モジュール又はシステム内に存在する空気を起動前に透過液収集管に集めることができ、次に起動時に濾過操作を開始することによって容易に通気することができる。特に、エアポケットは、起動時に濾過モジュール又はシステムに供給される透過液によって置き換えることができる。濾過モジュール又はシステムから空気を放出することにより、膜エレメントの活性領域が増加し、このように濾過効果が高まる。さらに、閉じ込められたエアポケットによるファウリングのリスクが減少する。更に好ましい濾過モジュールは、透過液収集管をそれに応じて配向させるために水平に取り付けられている。
【0232】
別の実施形態では、濾過エレメントは、少なくとも2つの透過液収集管が濾過エレメントの外側部分において互いに対向して配置されるように配置される。この実施形態では、濾過モジュールは、透過液収集管の1つが実質的に濾過エレメントの上部に配置され、別の管が濾過エレメントの下部に実質的に配置されるように配向され得る。このようにして、上部の管を通して換気ができ、下部の管は一定の圧力でより高い出力量を可能にする。さらに、透過液収集管は、膜エレメントで満たすべき空間を多くし、それによって濾過容量を増やす他の構成と比べて小さな寸法を有してもよい。
【0233】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、国際公開第2010/121628号(WO 2010/121628)、第3頁25行〜第9頁5行に開示され、特に国際公開第2010/121628号(WO 2010/121628)の
図2及び
図3に示されるような構成を有し得る。
【0234】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、欧州特許第937492号明細書(EP 937 492)の[0003]〜[0020]に開示されるような構成を有し得る。
【0235】
一実施形態では、本発明による膜モジュールは、入口、出口及び本発明による膜の束を収容する膜区画を備えたフィルターハウジングを含む毛細管濾過膜モジュールであり、前記膜は膜ホルダー内の膜モジュールの両端でケースに入れられ、前記膜区画には透過液の搬送のために前記出口に連結された排出導管が設けられている。一実施形態では、前記排出導管は、濾過膜の長手方向に実質的に伸びる膜区画に設けられた少なくとも1つの排出薄板を含む。
【0236】
本発明の別の態様は、本発明による膜モジュールを含む濾過システムである。複数の濾過モジュールを接続すると、通常、濾過システムの容量が増える。好ましくは、濾過モジュールと包囲された濾過エレメントは水平に取り付けられ、アダプターはそれに応じて濾過モジュールを接続するために使用される。
【0237】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、並行してモジュールの配列を含む。
【0238】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、水平位置にモジュールの配列を含む。
【0239】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、垂直位置にモジュールの配列を含む。
【0240】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、濾液収集容器(例えばタンク、容器)を含む。
【0241】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、濾過モジュールを逆洗するために濾液収集タンクに集められた濾液を使用する。
【0242】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、1つ以上の濾過モジュールからの濾液を使用して、別の濾過モジュールを逆洗する。
【0243】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、濾液収集管を含む。
【0244】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、加圧空気を適用して高強度で逆洗を施すことができる濾液収集管を含む。
【0245】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、欧州特許第174360号明細書(EP 1 743 690)、第2欄17行目〜第8欄14行目及び
図1〜
図11;欧州特許第2008704号明細書(EP 2 008 704)、第2欄30行目〜第5欄36行目及び
図1〜
図4;欧州特許第2158958号明細書(EP 2 158 958)、第3欄1行目〜第6欄36行目及び
図1に開示されるような構成を有する。
【0246】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、縦方向に一列に配列された複数の濾過モジュールを含み、その両側に濾過されるべき流体のための流入管が配列し且つ行ごとに長さ方向に延びる個々に割り当てられた収集管を開き、それによって各濾過モジュールは濾液のために濾液収集管内に排出される少なくとも1つの出口ポートを有し、それによって濾過モジュールの各列の側部に沿う流れは、濾過モジュールの各側で前記管に割り当てられた分岐管を有する収集管であり、それを介して割り当てられた濾過モジュールは直接連結可能であり、ここで濾液収集管は上方の2つの隣接する収集管の上方に平行に延びている。
【0247】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、それぞれの濾過システムの各濾過モジュールに接続され、濾過システムを逆洗するためのリザーバとして設計された濾液収集管を備え、ここで前記濾過システムは、逆洗モードにおいて加圧された空気が濾液収集管に適用されて、透過水を透過液収集管から膜モジュールを通って逆方向に押し出すように構成されている。
【0248】
一実施形態では、本発明による濾過システムは、モジュールラック内に並列に配置され且つ供給/排水ポートを通して原水を供給することができる複数のモジュール列を備え、各端面はそれぞれ付随する供給/排水ラインを介して、それぞれ壁側に濾液のための排水ポートを含み、それに濾液収集管が濾液を排出するために接続され、ここで、弁手段が、少なくとも1つの濾過モード及び逆洗モードを制御するために設けられており、その際、逆洗モードにおいて、1つのモジュール列の原水を運ぶ第1の供給/排水ラインの供給側の制御弁は閉じているが、逆洗水を排水する働きをする1つのモジュール列の他の供給/排水ラインの付随する排水側の制御弁は開いているのに対して、他のモジュール列によって同時に生成した濾液によってモジュールラックの1つのモジュール列の逆洗を確実にするために残りのモジュール列は開いている。
【0249】
以下において、特定の用途のための「膜」の使用を参照する場合、これは膜並びに濾過エレメント、膜モジュール及びかかる膜及び/又は膜モジュールを含む濾過システムの使用を含むものとする。
【0250】
好ましい実施形態では、本発明による膜は、海水又は汽水の処理に使用される。
【0251】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明による膜、特にRO膜、FO膜又はNF膜は、海水又は汽水の脱塩に使用される。
【0252】
本発明による膜、特にRO膜、FO膜又はNF膜は、例えば3〜8質量%の特に高い塩含率を有する水の脱塩に使用される。例えば、本発明による膜は、採掘及び油/ガスの製造及び粉砕プロセスからの水の脱塩に適しており、これらの用途においてより高い収率が得られる。
【0253】
例えば、RO膜とFO膜、RO膜とUF膜、RO膜とNF膜、RO膜とNF膜とUF膜、NF膜とUF膜を組み合わせたハイブリッドシステムでは、本発明による様々な種類の膜も一緒に使用できる。
【0254】
別の好ましい実施形態では、本発明による膜、特にNF膜、UF膜又はMF膜は、海水又は汽水の脱塩前に水処理工程で使用される。
【0255】
別の好ましい実施形態では、本発明による膜、特にNF膜、UF膜又はMF膜は、産業排水又は都市排水の処理に使用される。
【0256】
本発明による膜、特にRO膜及び/又はFO膜は、食品加工、例えば食品の液体(例えば果汁)の濃縮、脱塩又は脱水、ホエータンパク質粉末の製造及びミルクの濃縮(ラクトースを含有するホエイ粉末の製造からのUF透過液はRO膜によって濃縮することができる)、ワイン処理、洗車用水の供給、メープルシロップの製造、水素の電気化学的製造の際の電極表面でのミネラルの生成の防止、水槽への水の供給に使用することができる。
【0257】
本発明による膜、特にUF膜は、透析及び他の血液処理などの医療用途、食品加工、チーズを製造するための濃縮、タンパク質の処理、タンパク質の脱塩及び溶媒交換、タンパク質の分画、果汁の浄化、発酵液からのワクチン及び抗生物質の回収、実験室レベルの水質浄化、飲料水の消毒(ウイルスの除去を含む)、懸濁した活性炭前処理と組み合わせたエンドコリン及び農薬の除去に使用することができる。
【0258】
本発明による膜、特にRO膜、FO膜、NF膜は、鉱山の回復、均一触媒回収、脱塩反応プロセスに使用することができる。
【0259】
本発明による膜、特にNF膜は、例えば採鉱用途、均一触媒回収、脱塩反応プロセスにおいて二価イオン又は重金属イオン及び/又は放射性金属イオンを分離するために使用することができる。
【0260】
実施例
略語:
DCDPS 4,4’−ジクロロジフェニルスルホン
DHDPS 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
sPPSU 部分スルホン化ポリフェニレンスルホン
sDCDPS 3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニレンスルホン
NMP N−メチルピロリドン
DMAc ジメチルアセトアミド
PWP 純水浸透
MWCO 分子量カットオフ
【0261】
コポリマーの粘度を、DIN EN ISO1628−1に従って、25℃のコポリマーのNMP溶液1質量%として測定した。
【0262】
コポリマーを、室温で水中のコポリマーの溶液の沈殿により、それらの溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを、次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0263】
コポリマーの分子量分布と平均分子量をDMAcでGPC測定により決定した。
【0264】
GPC測定は溶離液としてジメチルアセトアミド/0.5質量%LiBrを用いて行った。ポリマー溶液の濃度は4mg/mlであった。濾過後(細孔径0.2μm)、この溶液100μlをGPCシステムに注入した。分離のために4つの異なるカラム(80℃に加熱)を使用した(GRAMプリカラム、GRAM30A、GRAM1000A、GRAM1000A、分離材料:ポリエステルコポリマー)。システムを1ml/分の流量で操作した。検出システムとして、DRI Agilent 1100を使用した。
【0265】
較正は800g/モル〜1820000g/モルの分子量(Mn)を有するPMMA標準で行った。
【0266】
ブロックコポリマー中のポリアルキレンオキシド全部の含有量又はポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はポリテトラヒドロフランの含有量をCDCl
3中の
1H−NMRを用いて求めた。ポリアルキレン基のH原子の共鳴シグナルのシグナル強度を、ポリアリーレンエーテルブロックに含まれる芳香族基のH原子の共鳴シグナルのシグナル強度と比較した。この比較により、ポリアリーレンエーテルに対するポリアルキレンオキシドの比率が得られ、これはコポリマー中のポリアルキレンオキシドの含有率(質量)を計算するのに使用できる。
【0267】
ブロックコポリマーに配合されるポリアルキレンオキシドの割合は、出発材料として使用されるポリアルキレンオキシドの質量に対するブロックコポリマーに含まれるポリアルキレンオキシドの質量(NMRにより求められる、上記参照)の割合である。
【0268】
IR分光法により1025cm
−1nmでの吸収の強度を、72cm
3/gの粘度数(Ultrason(登録商標)P3010、0.01g/ml溶液フェノール/1,2−ジクロロベンゼン1:1中のISO1628による粘度数)を有するポリフェニレンスルホン(PPSU)中のsDCDPSの較正曲線と比較することによって得られたコポリマー中のsDCDPSの含有率を求めた。
【0269】
製品のガラス転移温度をDSC分析により求めた。全てのDSC測定を、TA InstrumentsのDSC2000を使用して、20k/分の加熱速度で行った。約5mgの材料をアルミ容器に入れて密封した。最初の運転では、試料を250℃に加熱し、急速に−100℃まで冷却し、次に2回目の運転で250℃に加熱した。与えられたTg値を2回目の運転で求めた。
【0270】
コポリマーの調製:
実施例1:sPPSU−コ−PEOコポリマー1(1.5/2−2000)
温度計、ガス導入管及びディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器において、DCDPS577.21g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.74g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364.97g、2022g/モルの数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール80.88g及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0271】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0272】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0273】
実施例2:sPPSU−コ−PEOコポリマー2(1.5/2−6400)
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS577.21g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.74g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364.97g、6448g/モルの数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール257.92g及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0274】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0275】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0276】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0277】
実施例3:sPPSU−コ−PEOコポリマー3(1.5/2−4200)
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS577.21g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.74g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364.97g、4200g/モルの数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール168.00g及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0278】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0279】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0280】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0281】
実施例4:sPPSU−コ−PEOコポリマー4(2.5/2−2000)
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS571.43g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン24.76g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364.97g、2022g/モルの数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール80.88g及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0282】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0283】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0284】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0285】
実施例5:sPPSU−コ−PEOコポリマー5(5/2−2000)
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS577.07g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン49.54g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル364.97g、2022g/モルの数平均分子量Mnを有するポリエチレングリコール80.88g及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0286】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0287】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0288】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0289】
比較例6:sPPSU5
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS577.07g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン49.54g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル370.51g、及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0290】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0291】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0292】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0293】
比較例7:sPPSU10
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS522.63g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン99.07g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル370.51g、及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0294】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0295】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0296】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【0297】
比較例8:sPPSU15
温度計、ガス導入管、ディーンスタークトラップを取り付けた4リットルのガラス製反応器に、DCDPS488.04g、3,3’−ジナトリウムジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン147.36g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル372.42g、及び32.4μmの体積平均粒径を有する炭酸カリウム290.29gを、窒素雰囲気下でNMP1250ml中に懸濁させた。
【0298】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。以下では、反応時間は、反応混合物が190℃に維持された時間であると理解されるべきである。
【0299】
反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。さらにNMPを添加することにより、反応器内の溶媒濃度を一定レベルに保った。
【0300】
8時間の反応時間の後、23℃の温度で1750mlのNMPを加えて反応を停止させた。窒素を20l/hの速度で1時間混合物に吹き込み、混合物を室温まで冷却させた。反応で生成した塩化カリウムをろ過により除去した。形成されたコポリマーを、室温でこのようにして得られた溶液を沈殿させることによって溶液から単離した(スプレー反応器の高さ0.5m、流束:2.5l/h)。こうして得られたビーズを次に85℃の水で20時間抽出した(水流160l/h)。ビーズを次いで0.1質量%未満の水分まで乾燥させた。
【表1】
【0301】
調製したポリマーはすべてガラス転移温度が1つしかなく、結晶性を示さなかった。
【0302】
膜の製造
実施例M1〜M9
磁気攪拌機を備えた三つ口フラスコに、表2に示すN−メチルピロリドン(NMP)78ml、ポリビニルピロリドン(PVP、Luvitec(登録商標)K40)5g及びポリマー17gを加えた。均質で透明な粘性のある溶液が得られるまで、混合物を60℃で穏やかに撹拌しながら加熱した。溶液を室温で一晩脱気した。その後、膜溶液を60℃で2時間再加熱し、5mm/分の速度で操作するエリクセンコーティング機を用いて60℃でキャスティングナイフ(300ミクロン)を用いてガラスプレート上にキャストした。25℃の水浴に10分間浸す前に膜フィルムを30秒間放置した。
【0303】
膜をガラス板からはがした後、膜を注意深く水浴に12時間移した。その後、膜を50℃で4.5時間にわたり2500ppmのNaOClを含有する浴に移し、PVPを除去した。このプロセスの後、膜を60℃の水で洗浄し、0.5質量%の重亜硫酸Naの溶液で1回洗浄し、活性塩素を除去した。水による複数回の洗浄工程の後、特性決定が始まるまで膜を湿った状態で保存した。
【0304】
ほとんどの場合、少なくとも10cm×15cmサイズの寸法を有するUF膜の微細構造特性を有するフラットシート連続フィルムが得られた。膜は、上部の薄いスキン層(1〜3ミクロン)とその下の多孔質層(厚さ:100〜150ミクロン)を示す。
【0305】
膜の特性決定:
直径60mmの圧力セルを用いて、超純水(塩フリー水、ミリポアUFシステムでろ過したもの)を用いて膜の純水透過を試験した。その後の試験では、異なるPEG−標準の溶液を0.15バールの圧力でろ過した。供給水と透過液のGPC測定により分子量カットオフを求めた。
【0306】
得られたデータを第2表にまとめる。
【表2】
ポリマー8を使用しても有用な膜は得られず、PWP及びMWCOは測定できなかった。使用したPPSUは、粘度数72cm
3/gのポリフェニレンスルホン(ISO1628に従って0.01g/mlの溶液フェノール/1,2−ジクロロベンゼン1:1中)(Ultrason(登録商標)P3010)であった。
【0307】
コポリマーCを用いて製造した膜は、高親水性(高PWP)とMWCOの優れた組み合わせを示した。