特許第6851379号(P6851379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851379カナグリフロジン半水和物結晶を得るための結晶化手順
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851379
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】カナグリフロジン半水和物結晶を得るための結晶化手順
(51)【国際特許分類】
   C07H 7/04 20060101AFI20210322BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 31/7042 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C07H7/04
   A61P3/10
   A61K31/7042
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-532225(P2018-532225)
(86)(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公表番号】特表2019-504022(P2019-504022A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】EP2016081861
(87)【国際公開番号】WO2017108752
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】15201459.3
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16172070.1
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】デ ケイサー,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ラプス,スティン
(72)【発明者】
【氏名】ランメルー,トーマス ヨアヒム ランドワルド
(72)【発明者】
【氏名】ウィアツ,コーエン ヨハン ヘルマン
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−532845(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/069327(WO,A1)
【文献】 国際公開第99/067236(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/064806(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カナグリフロジン半水和物結晶を調製する方法であって、
a)カナグリフロジンの完全な溶解を可能にする濃度および温度条件下において、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含む溶媒系中で結晶化容器内においてカナグリフロジンの溶液を調製するステップと;
b)種晶の添加時に結晶化が開始するような温度に前記溶液を冷却するステップと;
c)ステップb)の前記溶液に結晶性カナグリフロジン半水和物を播種するステップと;
d)工程c)の前記溶液を35℃〜47℃の範囲の温度に冷却して、結晶懸濁液を得るステップと;
e)前記結晶懸濁液の一部を、全内容物よりも少ない量で前記結晶化容器から取り出し、かつ前記部分を粒度低減に供し、前記部分を前記結晶化容器内の前記結晶懸濁液の温度よりも高い温度に加熱し、かつ前記部分を前記結晶化容器に戻すステップと;
f)前記結晶化容器の前記全内容物が0.8〜100回のターンオーバーを受けるまでステップe)を反復するステップと;
g)このようにして形成された結晶性カナグリフロジン半水和物の結晶を単離するステップと
の連続ステップを含んでなる方法。
【請求項2】
前記溶媒系が有機アルキルエステル、特に酢酸イソプロピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)において、カナグリフロジンが無水カナグリフロジンの形態で前記溶媒系に添加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)において、カナグリフロジンが半水和物または一水和物の形態で前記溶媒系に添加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)における温度が65℃〜80℃または70℃〜75℃である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)における温度が50℃〜64℃、または52℃〜60℃、または54℃〜58℃の範囲である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)における温度が30℃〜49℃、または35℃〜47℃、または38℃〜45℃、または40℃〜42℃の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップa)におけるカナグリフロジンの量が200g/リットル〜500g/リットルまたは400g/リットル〜500g/リットルの範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)で使用される播種結晶の量が0.1重量%〜1.0重量%の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップe)において、粒度低減、加熱、および前記結晶化容器への戻しに供される前記結晶懸濁液の取り出された部分が、前記結晶化容器の前記全内容物の1%〜80%、または1%〜70%、または2%〜60%、または5%〜50%の範囲の量である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップf)におけるターンオーバー数が5〜50または10〜40である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶化容器内の結晶懸濁液の少量部分を前記容器から取り出し、かつ前記部分を、形成された結晶の粒度低減に供し、それに続いて前記結晶懸濁液の部分を加熱し、かつ特定の温度範囲内に保たれる結晶化容器に再び再導入することにより、狭い粒度分布を有するカナグリフロジン半水和物結晶を得るための改善された結晶化手順に関する。
【背景技術】
【0002】
そのINN下にカナグリフロジンとして知られている化合物1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼンは、例えばSGLT2などのナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)に対して阻害活性を示し、II型糖尿病の治療に使用することが承認されている。それは、以下の構造:
【化1】

を有する化合物(84)として、国際公開第2005/012326号パンフレットに記載されている。
【0003】
半水和物結晶形態のカナグリフロジンは、国際公開第2008/069327号パンフレットで開示されている。
【0004】
国際公開第2011/003976号パンフレットは、狭い粒度分布および改善された流動性、バルクおよびタップ密度特性を有するカナグリフロジン半水和物結晶を得るための、少なくとも1回の温度振動エピソードおよび少なくとも1回の機械的粒度低減エピソードを含んでなる結晶化手順を開示する。
【0005】
一般に、商業的使用のために、活性医薬成分(API)が良好な取り扱い性質を有することが重要である。さらに、多くの場合、製剤が特定の薬学的要件を満たすことを可能にするように、APIを純粋な結晶形態で製造する必要がある。
【0006】
結晶工学は、APIの製造において重要である。結晶化中、結晶多形、形状、サイズ、粒度分布、化学的純度、および安定性をはじめとするAPIまたは原薬の多くの物理化学的特性が定義される。これらの特性は、分離工程中の撹拌性、残留溶媒レベル、乾燥時間、凝集、断片化、および磨砕に影響し、それは、次に粒子流動、圧縮性、溶解度、溶解速度、および生物学的利用能を決定することによって医薬品製造に影響を及ぼす。医薬品製造によって駆動されるAPIの物理的特性に関する仕様は、粒度分布、嵩密度、静電荷、および流動性に関して非常に狭い。
【0007】
国際公開第2011/003976号パンフレットは、狭い粒度分布を有するカナグリフロジン半水和物結晶を提供する結晶化手順を開示しており、その中で、結晶化手順は、結晶化容器内の結晶懸濁液を1回または複数回の機械的粒度低減エピソードと組み合わされた1回または複数回の温度振動エピソードに供し、これは、各温度エピソードまたは粒度低減エピソード中に結晶化容器の全内容物が温度振動または粒度低減に供されることを特徴とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の結晶化手順は、結晶化手順中の任意の時点で結晶化容器内の結晶懸濁液全体の一画分のみが結晶化容器から取り出され、かつ形成された結晶の粒度低減に供され、それに続いて結晶懸濁液の前記画分を加熱し、かつ一定の温度または特定の温度範囲内に保たれる結晶化容器に再導入する点で、国際公開第2011/003976号パンフレットの先行技術手順と異なる。図面セクションの図1は、先行技術および新規機構のグラフ表示を提供する。
【0009】
この改良された結晶化手順は、いくつかの利点を有する:
・全体的な結晶化工程の時間を短縮すること;
・カナグリフロジン半水和物について、国際公開第2011/003976号パンフレット(すなわち実施例1)に従った方法の約200g/リットルから500g/リットルまで増加させ得る、結晶化容器内のより高い結晶物質濃度;
・カナグリフロジン半水和物の熱暴露を低減し、熱分解を潜在的に減少させること:結晶化懸濁液全体の少量のみが温度振動エピソード、すなわち数秒間または数分間にわたって持続する一時的な温度上昇に曝される一方、結晶化容器内の結晶化懸濁液の残存量が一定のより低い温度または特定のより低い温度範囲内に保たれ;および
・温度振動エピソード中の温度の上昇が熱交換器によって実施され得、高温熱交換器が、通常、従来の結晶化容器よりもはるかに大きい表面対体積比を有するため、必要なエネルギーがより少なくなり、より効率的な熱伝達がもたらされること。
【0010】
カナグリフロジン半水和物結晶の製造のための本発明の方法を、国際公開第2011/003976号パンフレットで特許請求される方法と比較すると、以下の技術的利点が生じる:
− 国際公開第2011/003976号パンフレットの実施例1の方法の200g/リットルから、本発明の実施例1〜5で実証されるような約440〜550g/リットルまで増加させ得る、結晶化容器内の結晶物質のより高い濃度;
− 本結晶化工程の温度循環/粒度低減部分が顕著により短いこと:国際公開第2011/003976号パンフレットの実施例1では、温度循環/粒度低減部分は、少なくとも6時間55分にわたって持続する一方、本発明の実施例1〜5では、この温度循環/粒度低減部分は2時間にわたって持続する。
【0011】
粒度低減と加熱とを組み合わせた効果は、図2に示されるように粒度分布の狭小化をもたらす。例えば、ミル粉砕または超音波処理などによる粒度低減は、粗大なまたはより大きい結晶性粒子をより小型のものに分解し、得られた結晶懸濁液の再加熱は、より小型の結晶粒子の溶解をもたらす。両方の技術の組み合わせは、全体的な粒度分布の狭小化をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】国際公開第2011/003976号パンフレットの先行技術の工程の装置機構と、外部に配置された剪断装置および高温熱交換器を使用する改良された機構との比較である。
図2】粒度低減と加熱との組み合わせによる粒度分布狭小化である。
図3】実施例1の開始時におけるカナグリフロジン半水和物の粒度分布である。
図4】実施例1の終了時におけるカナグリフロジン半水和物の粒度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態は、カナグリフロジン半水和物結晶を調製する方法であって、
a)カナグリフロジンの完全な溶解を可能にする濃度および温度条件下において、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含む溶媒系中で結晶化容器内においてカナグリフロジンの溶液を調製するステップと;
b)種晶の添加時に結晶化が開始するような温度に前記溶液を冷却するステップと;
c)ステップb)の溶液に結晶性カナグリフロジン半水和物を播種するステップと;
d)工程c)の溶液を35℃〜47℃の範囲の温度に冷却して、結晶懸濁液を得るステップと;
e)結晶懸濁液の一部を、全内容物よりも少ない量で結晶化容器から取り出し、かつ前記部分を粒度低減に供し、前記部分を結晶化容器内の結晶懸濁液の温度よりも高い温度に加熱し、かつ前記部分を結晶化容器に戻すステップと;
f)結晶化容器の全内容物が0.8〜100回のターンオーバーを受けるまでステップe)を反復するステップと;
g)このようにして形成された結晶性カナグリフロジン半水和物の結晶を単離するステップと
の連続ステップを含んでなる方法に関する。
【0014】
本発明による結晶化工程で使用される溶媒、溶媒混合物または溶媒系は、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含有し得る任意の有機溶媒または有機溶媒の混合物であり得る。カナグリフロジンの場合、溶媒系は、有機アルキルエステルであり、特に0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含んでなるイソプロピルアセテートである。
【0015】
カナグリフロジン半水和物結晶を得るための本発明の結晶化工程における0.37重量%〜1.50重量%の水の量は、様々な様式で達成され得る。例えば、結晶化工程は、溶媒系中に無水カナグリフロジンを溶解させ、0.37重量%〜1.50重量%の所望量が得られるまで水を添加することによってステップa)から開始され得る。代案として、例えば、カナグリフロジン半水和物またはカナグリフロジン一水和物などの水和形態のカナグリフロジンを溶媒系中に溶解し、次に0.37重量%〜1.50重量%の所望量が得られるまで水を添加し得るかまたは例えば分別蒸留によって除去し得る。
【0016】
カナグリフロジン半水和物結晶を得るための本発明の結晶化工程における温度条件は、使用される溶媒系に左右される。例えば、溶媒系が、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含んでなる酢酸イソプロピルである場合、以下の条件が適用される:
・ステップa):温度は、65℃〜80℃、特に70℃〜75℃の範囲であり;
・ステップb)およびステップc):種晶が添加される場合の準安定領域の温度は、50℃〜64℃、特に52℃〜60℃、より特に54℃〜58℃であり;
・ステップd):結晶懸濁液を得るために、結晶化容器内の温度は、30℃〜49℃、または35℃〜47℃、または38℃〜45℃、または40℃〜42℃の範囲の温度に冷却され、代案として、温度は、40℃以上の一定温度、例えば42℃に保たれ得;
・ステップe):粒度低減後、結晶懸濁液は、結晶化容器内の温度と同一であり得る温度まで加熱されるか、またはより高い温度であるが、結晶性懸濁液がステップb)で播種された温度を超えない温度まで加熱される。
【0017】
ステップb)およびステップd)における結晶懸濁液の冷却は、特定の温度冷却プロファイルに従って実施されてもよい。例えば、温度冷却プロファイルは、例えば0.5℃/分間、0.75℃/分間、1℃/分間、2℃/分間または任意の他の値などの線形プロファイルであってもよい。代案として、立方体冷却プロファイルが使用されてもよい。
【0018】
ステップe)における結晶性懸濁液の加熱は、特定の温度加熱プロファイルに従って実施されてもよい。例えば、温度加熱プロファイルは、例えば0.5℃/分間、0.75℃/分間、1℃/分間、2℃/分間または任意の他の値などの線形プロファイルであってもよい。代案として、立方体加熱プロファイルが使用されてもよい。
【0019】
結晶化手順のステップa)におけるカナグリフロジンの量は、500g/リットルまでであり得、実際には200g/リットル〜500g/リットルまたは400g/リットル〜500g/リットルの範囲である。
【0020】
ステップc)で使用される播種結晶の量は、典型的には0.1w/w%〜5.0w/w%の範囲であり、特に0.25w/w%の量である。
【0021】
本発明の結晶化手順で使用するための結晶性カナグリフロジン半水和物の種晶は、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含んでなる酢酸イソプロピルに溶解された、緩慢に冷却されるカナグリフロジンの過飽和溶液からの、カナグリフロジン半水和物の自発的結晶化によって得ることができ、それらの単離形態でまたはより細かい粒子に粉砕して使用され得る。代案として、種晶はまた、国際公開第2008/069327号パンフレットまたは国際公開第2011/003976号パンフレットに記載されるような、半水和結晶形態のカナグリフロジンを得るための結晶化手順を用いて調製され得る。実施例1〜5で使用された種晶は、国際公開第2011/003976号パンフレットの手順を用いて調製された。
【0022】
ステップe)では、結晶化容器から取り出され、粒度低減、加熱に供され、次に結晶化容器に戻される結晶化容器からの結晶懸濁液の量は、結晶化容器の全内容物より少ない量である。(次に粒度低減および加熱に供される)取り出された結晶懸濁液全体の部分または画分は、結晶化容器の全内容物の1%〜80%、または1%〜70%、または2%〜60%、または5%〜50%の任意の量である。結晶懸濁液全体の一部を取り除き、かつそれを粒度低減、加熱に供し、それを結晶化容器に戻すステップは、結晶化容器の全内容物が0.8〜100回のターンオーバーを受けるまでステップf)で反復される。
【0023】
ステップe)における結晶化容器からの少量の結晶化懸濁液の取り出しおよび戻しは、ポンプおよび導管システムによって実施され得る。前記ポンプおよび導管システムは、結晶化懸濁液を、粒度低減が実施されるユニットおよび1つまたは複数の高温熱交換器のような加熱ユニットに導入する。剪断機を用いて粒度低減が実施される場合、前記機械はポンプシステムとしても同時に機能し得る。
【0024】
ステップg)における結晶化容器からのカナグリフロジン半水和物結晶の単離は、濾過または遠心分離などの任意の従来の手段によって実施され得る。
【0025】
懸濁状態のカナグリフロジン半水和物結晶の粒度低減は、高速ロータステータ装置または高剪断ミルなどの剪断装置を用いて、湿式磨砕または湿式研削によって実施され得る。適切な剪断装置は、例えば、ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGによって販売されるTurrax(登録商標)タイプ、magic LAB(登録商標)、またはDispax−Reactor(登録商標)タイプである。これらの高剪断ミル粉砕装置は、所望の粒度および/またはミル粉砕時間に応じて「2G、4M、および6Fジェネレーター」などの様々なタイプのミル粉砕ディスクを使用し得る。
【0026】
粒度低減のための別の方法は、結晶懸濁液に挿入された超音波プローブを使用して、結晶懸濁液を、その周波数が人間の耳によって検出可能な周波数を超える、すなわち16kHz〜20kHzを超える超音波エネルギーに供する超音波処理であり得る。
【0027】
結晶化工程中の懸濁液中におけるカナグリフロジン半水和物結晶の粒径分析は、例えば、Mettler−ToledoからのLasentec(登録商標)製品を用いた集束ビーム反射率測定(FBRM)などの光散乱技術を用いて実施され得る。代案として、サンプルは、結晶化手順中の異なる時点で採取されて、例えばMalvern Mastersizer 2000レーザー回折計(Malvern,UK)などの適切な装置を使用したレーザー回折技術を用いて分析され得る。
【0028】
粒度低減後、結晶懸濁液を結晶化容器に戻す前に、前記懸濁液は、結晶化容器内の結晶懸濁液の温度に等しいかまたはわずかにより高い温度に加熱される。加熱中、最小の結晶性粒子は溶解し、結晶化容器内で再結晶化し得る。より大きい結晶性粒子をより小さいものに分解する粒度低減と、より小さい結晶性粒子の溶解をもたらす再加熱との組み合わせは、全体的な粒度分布の狭小化をもたらす。
【0029】
粒度低減後の結晶懸濁液の再加熱は、1つまたは複数の高温熱交換器、または例えば小型結晶化容器などの当業者に知られている任意の他の手段を用いて実施され得る。
【0030】
結晶化容器内の結晶懸濁液の一部を、外部に配置された剪断装置に供給し、1つまたは複数の高温熱交換器で再加熱し、結晶化容器に戻す順序は、所望の粒径分布が得られるまで反復される。一般に、ターンオーバーの数が多いほど、粒度分布は狭くなる。結晶化容器内の結晶懸濁液の1ターンオーバーは、粒度低減ステップおよび付随する再加熱ステップを受けた結晶化懸濁液の全容積に対応する。実際には、そのようなターンオーバーの数は、0.8〜100、または5〜50、または10〜40の範囲である。
【0031】
さらなる実施形態では、上記で説明したようなカナグリフロジン半水和物結晶を調製するための結晶化工程はまた、任意の他の原薬を結晶化させるために使用され得る。したがって、本発明はまた、結晶性原薬を調製する方法であって、
a)結晶化容器内で溶媒中の前記原薬の溶液または懸濁液を調製するステップと;
b)前記溶液が、核生成が可能な準安定領域にあるような温度に前記溶液を冷却するステップと;
c)任意選択的に、ステップb)の溶液に原薬結晶を播種するステップと;
d)ステップc)の溶液を冷却して、結晶性原薬の懸濁液を得るステップと;
e)結晶懸濁液の一部を、全内容物よりも少ない量で結晶化容器から取り出し、かつ前記部分を粒度低減に供し、前記部分を結晶化容器内の結晶懸濁液の温度よりも高い温度に加熱し、かつ前記部分を結晶化容器に戻すステップと;
f)所望の粒度分布が得られるまで、結晶化容器の全内容物が十分なターンオーバー数を受けるまでステップe)を反復するステップと;
g)任意選択的に、結晶化容器内の結晶懸濁液の温度を低下させ、かつこのようにして形成された結晶性原薬を単離するステップと
の連続ステップを含んでなる方法にも関する。
【0032】
ステップb)における準安定領域は、結晶を形成する自発的核生成が直ちに起こらず、結晶化を開始するためにさらなる冷却が必要であるか、または種晶の添加が必要である、濃度/温度溶解度図における領域である。
【0033】
本発明による結晶性原薬を製造するための結晶化工程に使用される溶媒は、任意の溶媒または溶媒の混合物であり得、原薬の溶解度は温度に依存する。適切な溶媒は、例えば、水であり、または例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテルなどの有機溶媒、またはそれらの任意の混合物である。
【0034】
ステップc)において、結晶性原薬を得るための播種結晶の使用は必ずしも必要ではなく、したがって任意選択的なステップである。播種結晶が使用される場合、量は、典型的に0.1w/w%〜5.0w/w%の範囲である。
【0035】
ステップe)における結晶化容器からの少量の結晶化懸濁液の取り出しおよび戻しは、ポンプおよび導管システムによって実施され得る。前記ポンプおよび導管システムは、結晶化懸濁液を、結晶性原薬の粒度低減が実施されるユニットおよび1つまたは複数の高温熱交換器のような加熱ユニットに導入する。剪断機を用いて粒度低減が実施される場合、前記機械はポンプシステムとしても同時に機能し得る。
【0036】
懸濁状態の結晶性原薬の粒度低減は、高速ロータステータ装置または高剪断ミルなどの剪断装置を用いて、湿式磨砕または湿式研削によって実施され得る。適切な剪断装置は、例えば、ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGによって販売されるTurrax(登録商標)タイプ、magic LAB(登録商標)、またはDispax−Reactor(登録商標)タイプである。これらの高剪断ミル粉砕装置は、所望の粒度および/またはミル粉砕時間に応じて「2G、4M、および6Fジェネレーター」などの様々なタイプのミル粉砕ディスクを使用し得る。
【0037】
粒度低減のための別の方法は、結晶性原薬の結晶懸濁液に挿入された超音波プローブを使用して、結晶懸濁液を、その周波数が人間の耳によって検出可能な周波数を超える、すなわち16kHz〜20kHzを超える超音波エネルギーに供する超音波処理であり得る。
【0038】
ステップg)における結晶化容器からの結晶性原薬の単離は、濾過または遠心分離などの任意の従来の手段によって実施され得る。
【0039】
用語「原薬」は、本明細書における用法では、疾患の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防において薬理学的活性または他の直接効果を提供すること、または人間もしくは他の動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが意図される、医薬品のあらゆる成分である「活性成分」である。活性成分としては、医薬品の製造中に化学変化を受けてもよく、特定の活性または効果を付与することが意図される修飾形態で医薬品中に存在してもよい製品の成分が挙げられる。
【実施例】
【0040】
実施例1
酢酸イソプロピル(1.0リットル)中のカナグリフロジン(1モル)の溶液を70℃まで加熱し、木炭フィルターで濾過した。溶液を結晶化容器に導入し、水の量を1.05重量%に調節した。
【0041】
結晶化容器内の溶液を撹拌し、54℃に冷却して、カナグリフロジン半水和物結晶(1.13g、0.25w/w%)を播種し、15分間撹拌した。
【0042】
結晶化容器内の結晶化懸濁液を、線形冷却プロファイルを用いて42℃に冷却し、40℃に保った。
【0043】
次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で55℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱、および結晶化容器へのポンプ戻しを2時間行った後に停止した。
【0044】
結晶化懸濁液を15分間撹拌し、次に酢酸イソプロピル(1.116リットル)を同時に加えながら20℃に冷却し、カナグリフロジン半水和物結晶を濾過により単離し、酢酸イソプロピルで洗浄して真空下で乾燥させた。
【0045】
カナグリフロジン半水和物について、古典的な冷却結晶化工程によって得られた粒度分布のグラフ表示を図3に示す。実施例1の結晶化手順を実施した後に得られたカナグリフロジン半水和物の粒径分布を図4に示す。両方の粒度分布図を比較すると分かるように、本発明の方法を用いて得られた結晶性カナグリフロジン水和物の粒径分布は、二重分布の存在を示さず、より狭い粒度分布を有する。
【0046】
実施例2
酢酸イソプロピル(1.0リットル)中のカナグリフロジン(1モル)の溶液を72℃まで加熱し、木炭フィルターで濾過した。溶液を結晶化容器に導入し、水の量を1.05重量%に調節した。
【0047】
結晶化容器内の溶液を撹拌し、56℃に冷却して、カナグリフロジン半水和物結晶(1.13g、0.25w/w%)を播種し、15分間撹拌した。
【0048】
結晶化容器内の結晶化懸濁液を、線形冷却プロファイルを用いて42℃に冷却し、42℃に保った。
【0049】
次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pまたは4Mミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で53℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱、および結晶化容器へのポンプ戻しを2時間行った後に停止した。
【0050】
結晶化懸濁液を15分間撹拌し、次に酢酸イソプロピル(1.116リットル)を同時に加えながら18℃に冷却し、カナグリフロジン半水和物結晶を濾過により単離し、酢酸イソプロピルで洗浄して真空下で乾燥させた。
【0051】
実施例3
酢酸イソプロピル(1.0リットル)中のカナグリフロジン(1.25モル)の溶液を72℃まで加熱し、木炭フィルターで濾過した。溶液を結晶化容器に導入し、水の量を1.10重量%に調節した。
【0052】
結晶化容器内の溶液を撹拌し、56℃に冷却して、カナグリフロジン半水和物結晶(1.27g、0.25w/w%)を播種し、15分間撹拌した。
【0053】
結晶化容器内の結晶化懸濁液を、線形冷却プロファイルを用いて42℃に冷却し、42℃に保った。
【0054】
次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pおよび4Mミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で55℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱、および結晶化容器へのポンプ戻しを2時間行った後に停止した。
【0055】
結晶化懸濁液を15分間攪拌し、次に酢酸イソプロピル(1.116リットル)を同時に加えながら18℃に冷却し、カナグリフロジン半水和物結晶を濾過により単離し、酢酸イソプロピルで洗浄して真空下で乾燥させた。
【0056】
実施例4
酢酸イソプロピル(1.0リットル)中のカナグリフロジン(1モル)の溶液を70℃まで加熱し、木炭フィルターで濾過した。溶液を結晶化容器に導入し、水の量を1.10重量%に調節した。
【0057】
結晶化容器内の溶液を撹拌し、56℃に冷却して、カナグリフロジン半水和物結晶(1.13g、0.25w/w%)を播種し、15分間撹拌した。
【0058】
結晶化容器内の結晶化懸濁液を、線形冷却プロファイルを用いて42℃に冷却し、42℃に保った。
【0059】
次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2P、4M、および6Fミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で55℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱、および結晶化容器へのポンプ戻しを2時間行った後に停止した。
【0060】
結晶化懸濁液を15分間撹拌し、次に酢酸イソプロピル(1.116リットル)を同時に加えながら18℃に冷却し、カナグリフロジン半水和物結晶を濾過により単離し、酢酸イソプロピルで洗浄して真空下で乾燥させた。
【0061】
実施例5
酢酸イソプロピル(1.0リットル)中のカナグリフロジン(1モル)の溶液を70℃まで加熱し、木炭フィルターで濾過した。溶液を結晶化容器に導入し、水の量を1.15重量%に調節した。
【0062】
結晶化容器内の溶液を撹拌し、58℃に冷却して、カナグリフロジン半水和物結晶(1.13g、0.25w/w%)を播種し、15分間撹拌した。
【0063】
結晶化容器内の結晶化懸濁液を、線形冷却プロファイルを用いて42℃に冷却し、42℃に保った。
【0064】
次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で57℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱、および結晶化容器へのポンプ戻しを2時間行った後に停止した。
【0065】
結晶化懸濁液を15分間撹拌し、次に酢酸イソプロピル(1.116リットル)を同時に加えながら18℃に冷却し、カナグリフロジン半水和物結晶を濾過により単離し、酢酸イソプロピルで洗浄して真空下で乾燥させた。
【0066】
実施例6
イソプロパノール(1781mL)中のMTP阻害剤(+)−フェニル−(4−{4−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−酢酸メチルエステル(204g、0.357mol)の懸濁液を75℃まで加熱した。結晶化容器内の溶液を撹拌し、67℃に冷却して、MTP結晶(1.5g、0.5w/w%)を播種し、2時間撹拌した。結晶化容器内の結晶化懸濁液を、1.5時間の非線形冷却プロファイルを用いて58℃に冷却した。次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pおよび4Mミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で63℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱(連続して63℃、60℃、および57℃)、および結晶化容器へのポンプ戻しを20℃まで非直線的に冷却しながら3時間20分行った。
【0067】
実施例7
イソプロパノール(1781mL)中のMTP阻害剤(+)−フェニル−(4−{4−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−酢酸メチルエステル(204g、0.357mol)の懸濁液を75℃まで加熱した。結晶化容器内の溶液を撹拌し、自発的結晶化が起こるまで冷却した。撹拌可能になるまで加熱する(68℃)。結晶化容器内の結晶化懸濁液を、1.5時間の非線形冷却プロファイルを用いて58℃に冷却した。次に、一定量の結晶懸濁液を高剪断ミル(ドイツ国のIKA(登録商標)−Werke GmbH&Co.KGからの2Pおよび4Mミル粉砕ディスク付きDispax−Reactor(登録商標)タイプDR2000/20)を通してポンプ輸送(1600mL/分)し、高温熱交換器で63℃の温度に加熱して結晶化容器に戻した。高剪断ミル粉砕、加熱(連続して63℃、60℃、および57℃)、および結晶化容器へのポンプ戻しを20℃まで非直線的に冷却しながら3時間20分行った。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
カナグリフロジン半水和物結晶を調製する方法であって、
a)カナグリフロジンの完全な溶解を可能にする濃度および温度条件下において、0.37重量%〜1.50重量%の量の水を含む溶媒系中で結晶化容器内においてカナグリフロジンの溶液を調製するステップと;
b)種晶の添加時に結晶化が開始するような温度に前記溶液を冷却するステップと;
c)ステップb)の前記溶液に結晶性カナグリフロジン半水和物を播種するステップと;
d)工程c)の前記溶液を35℃〜47℃の範囲の温度に冷却して、結晶懸濁液を得るステップと;
e)前記結晶懸濁液の一部を、全内容物よりも少ない量で前記結晶化容器から取り出し、かつ前記部分を粒度低減に供し、前記部分を前記結晶化容器内の前記結晶懸濁液の温度よりも高い温度に加熱し、かつ前記部分を前記結晶化容器に戻すステップと;
f)前記結晶化容器の前記全内容物が0.8〜100回のターンオーバーを受けるまでステップe)を反復するステップと;
g)このようにして形成された結晶性カナグリフロジン半水和物の結晶を単離するステップと
の連続ステップを含んでなる方法。
[請求項2]
前記溶媒系が有機アルキルエステル、特に酢酸イソプロピルである、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
ステップa)において、カナグリフロジンが無水カナグリフロジンの形態で前記溶媒系に添加される、請求項1または2に記載の方法。
[請求項4]
ステップa)において、カナグリフロジンが半水和物または一水和物の形態で前記溶媒系に添加される、請求項1または2に記載の方法。
[請求項5]
ステップa)における温度が65℃〜80℃または70℃〜75℃である、請求項3または4に記載の方法。
[請求項6]
ステップb)における温度が50℃〜64℃、または52℃〜60℃、または54℃〜58℃の範囲である、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
ステップd)における温度が30℃〜49℃、または35℃〜47℃、または38℃〜45℃、または40℃〜42℃の範囲である、請求項6に記載の方法。
[請求項8]
ステップa)におけるカナグリフロジンの量が200g/リットル〜500g/リットルまたは400g/リットル〜500g/リットルの範囲である、請求項7に記載の方法。
[請求項9]
ステップc)で使用される播種結晶の量が0.1重量%〜1.0重量%の範囲である、請求項8に記載の方法。
[請求項10]
ステップe)において、粒度低減、加熱、および前記結晶化容器への戻しに供される前記結晶懸濁液の取り出された部分が、前記結晶化容器の前記全内容物の1%〜80%、または1%〜70%、または2%〜60%、または5%〜50%の範囲の量である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
ステップf)におけるターンオーバー数が5〜50または10〜40である、請求項9に記載の方法。
[請求項12]
結晶性原薬を調製する方法であって、
a)結晶化容器内で溶媒中の前記原薬の溶液または懸濁液を調製するステップと;
b)前記溶液が、核生成が可能な準安定領域にあるような温度に前記溶液を冷却するステップと;
c)ステップb)の前記溶液を冷却して、結晶性原薬の懸濁液を得るステップと;
d)前記結晶懸濁液の一部を、全内容物よりも少ない量で前記結晶化容器から取り出し、かつ前記部分を粒度低減に供し、前記部分を前記結晶化容器内の前記結晶懸濁液の温度よりも高い温度に加熱し、かつ前記部分を前記結晶化容器に戻すステップと;
e)所望の粒度分布が得られるまで、前記結晶化容器の前記全内容物が十分なターンオーバー数を受けるまでステップd)を反復するステップと
の連続ステップを含んでなる方法。
[請求項13]
ステップb)の前記溶液が原薬結晶を播種される、請求項12に記載の方法。
[請求項14]
ステップe)後、前記結晶化容器内の前記結晶懸濁液の温度を低下させ、かつこのようにして形成された前記結晶性原薬を単離するステップが続く、請求項12または13に記載の方法。
[請求項15]
前記溶媒が任意の溶媒または溶媒の混合物であり、前記原薬の溶解度が温度に依存する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、またはそれらの任意の混合物である、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
前記結晶性原薬が濾過または遠心分離によって単離される、請求項14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4