(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る板状物の加工方法の加工対象となるデバイスウエーハを示す斜視図である。本実施形態に係る板状物の加工方法は、板状物としてのデバイスウエーハ(以下、ウエーハと記す)Wにゲッタリング層を生成する方法である。ウエーハWは、
図1に示すように、シリコンを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。ウエーハWは、表面WSに格子状に形成される複数の分割予定ラインSによって区画された領域にそれぞれデバイスDBが形成されている。ウエーハWは、表面WSの裏側の裏面(被加工面)WRに研削加工などが施されて、所定の厚みまで薄化された後に、研磨加工およびゲッタリング層Gが生成される。ゲッタリング層Gは、ウエーハWに含有される銅(Cu)などの金属を主とする不純物原子を捕捉して、デバイスDBを不純物による汚染から守るものである。ウエーハWの表面WSに形成されるデバイスDBは、例えば、メモリ(フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等)であり、ウエーハWの裏面WRにゲッタリング層Gを設けることにより、不純物による汚染を防止している。なお、ウエーハWは、ゲッタリング層Gが生成される板状のワークであればよく、シリコン以外の材料(例えばガリウムヒ素等)の半導体基板でもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係る板状物の加工方法を実行する研削研磨装置の一例を示す斜視図である。研削研磨装置2は、フルオートタイプの加工装置であり、制御部100の制御の下、ウエーハWに対して搬入処理、粗研削加工、仕上げ研削加工、研磨加工、ゲッタリング層加工、洗浄処理、搬出処理からなる一連の作業を全自動で実施するように構成されている。
【0014】
研削研磨装置2は、
図2に示すように、各構成部を支持する基台4を備えている。基台4の上面の前端側には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、ウエーハWを搬送する第1の搬送ユニット6が設けられている。また、開口4aのさらに前端側の領域には、それぞれ複数のウエーハWを収容可能なカセット8a,8bを載置する載置台10a,10bが形成されている。ウエーハWは、カセット8a,8bに収容された状態で研削研磨装置2に搬入される。
【0015】
また、基台4には、ウエーハWの位置合わせを行うアライメント機構12が設けられている。このアライメント機構12は、ウエーハWが仮置きされる仮置きテーブル14を含み、例えば、カセット8aから第1の搬送ユニット6で搬送され、仮置きテーブル14に仮置きされたウエーハWの中心を位置合わせする。
【0016】
基台4には、アライメント機構12を跨ぐ門型の支持構造16が配置されている。この支持構造16には、ウエーハWを搬送する第2の搬送ユニット18が設けられている。第2の搬送ユニット18は、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)、および上下方向(Z軸方向)に移動可能であり、例えば、アライメント機構12で位置合わせされたウエーハWを後方(
図2中+Y方向)に搬送する。
【0017】
開口4aおよびアライメント機構12の後方には、開口4bが形成されている。この開口4b内には、鉛直方向に延びる回転軸の周りに回転する円盤状のターンテーブル20が配置されている。ターンテーブル20の上面には、ウエーハWを吸引保持する4個のチャックテーブル(保持部)22が略等角度間隔に設置されている。
【0018】
第2の搬送ユニット18でアライメント機構12から搬出されたウエーハWは、裏面側が上方に露出するように、前方側の搬入搬出位置Aに位置付けられたチャックテーブル22へと搬入される。ターンテーブル20は、時計回り方向Rの向きに回転し、チャックテーブル22を、搬入搬出位置A、粗研削位置B、仕上げ研削位置C、研磨位置Dの順に位置付ける。
【0019】
各チャックテーブル22は、それぞれモータ等の回転駆動源(不図示)と連結されており、鉛直方向に延びる回転軸の周りに回転可能に構成されており、本実施形態では、各チャックテーブル22は、制御部100の制御により所定速度(例えば300〜1000rpm)で回転可能となっている。各チャックテーブル22の上面は、ウエーハWを吸引保持する保持面となっている。この保持面は、チャックテーブル22の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)と接続されている。チャックテーブル22に搬入されたウエーハWは、保持面に作用する吸引源の負圧で表面側を吸引される。
【0020】
ターンテーブル20の後方には、上方に伸びる壁状の支持構造24が立設されている。支持構造24の前面には、2組の昇降機構26が設けられている。各昇降機構26は、鉛直方向(Z軸方向)に伸びる2本の昇降ガイドレール28を備えており、この昇降ガイドレール28には、昇降テーブル30がスライド可能に設置されている。
【0021】
昇降テーブル30の後面側には、ナット部(不図示)が固定されており、このナット部には、昇降ガイドレール28と平行な昇降ボールねじ32が螺合されている。昇降ボールねじ32の一端部には、昇降パルスモータ34が連結されている。昇降パルスモータ34で昇降ボールねじ32を回転させることにより、昇降テーブル30は昇降ガイドレール28に沿って上下に移動する。
【0022】
昇降テーブル30の前面には、固定具36が設けられている。粗研削位置Bの上方に位置付けられた昇降テーブル30の固定具36には、ウエーハWを粗研削する粗研削用の研削ユニット38aが固定されている。一方、仕上げ研削位置Cの上方に位置付けられた昇降テーブル30の固定具36には、ウエーハWを仕上げ研削する仕上げ研削用の研削ユニット38bが固定されている。
【0023】
研削ユニット38a,38bのスピンドルハウジング40には、それぞれ、回転軸を構成するスピンドル42が収容されており、各スピンドル42の下端部(先端部)には、円盤状のホイールマウント44が固定されている。研削ユニット38aのホイールマウント44の下面には、粗研削用の研削砥石を備えた研削ホイール46aが装着されており、研削ユニット38bのホイールマウント44の下面には、仕上げ研削用の研削砥石を備えた研削ホイール46bが装着されている。各スピンドル42の上端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、研削ホイール46a,46bは、回転駆動源から伝達される回転力で回転する。
【0024】
チャックテーブル22およびスピンドル42を回転させつつ、研削ホイール46a,46bを下降させ、純水等の研削液を供給しながらウエーハWの裏面側に接触させることで、ウエーハWを粗研削または仕上げ研削できる。研磨位置Dの近傍には、研削ユニット38a,38bで研削されたウエーハWの裏面を研磨すると共に、この裏面にゲッタリング層G(
図1)を生成する研磨ユニット48が設けられている。
【0025】
アライメント機構12の前方にはウエーハWを洗浄する洗浄ユニット52が設けられており、研磨およびゲッタリング層Gが形成された後のウエーハWは、第2の搬送ユニット18でチャックテーブル22から洗浄ユニット52へと搬送される。洗浄ユニット52で洗浄されたウエーハWは、第1の搬送ユニット6で搬送され、カセット8bに収容される。
【0026】
図3は、研削研磨装置が備える研磨ユニットの斜視図であり、
図4は、研磨ユニットの周辺構成を示す模式図である。
図5は、
図4の構成においてゲッタリング層を生成しつつ、研磨パッドのドレッシングを行う動作を説明する図である。基台4(
図2)の上面には、
図3に示すように、ブロック状の支持構造54が立設されている。支持構造54の後面には、研磨ユニット48を水平方向(ここでは、X軸方向)に移動させる水平移動ユニット56が設けられている。
【0027】
水平移動ユニット56は、支持構造54の後面に固定され水平方向(X軸方向)に平行な一対の水平ガイドレール58を備える。水平ガイドレール58には、水平移動テーブル57がスライド可能に設置されている。水平移動テーブル57の後面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、水平ガイドレール58と平行な水平ボールねじ(不図示)が螺合されている。
【0028】
水平ボールねじの一端部には、パルスモータ59が連結されている。パルスモータ59で水平ボールねじを回転させることにより、水平移動テーブル57は水平ガイドレール58に沿って水平方向(X軸方向)に移動する。水平移動テーブル57の後面側には、研磨ユニット48を鉛直方向(Z軸方向)に移動させる鉛直移動ユニット64が設けられている。鉛直移動ユニット64は、水平移動テーブル57の後面に固定され鉛直方向(Z軸方向)に平行な一対の鉛直ガイドレール66を備える。鉛直ガイドレール66には、鉛直移動テーブル68がスライド可能に設置されている。鉛直移動テーブル68の前面側(裏面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、鉛直ガイドレール66と平行な鉛直ボールねじ(不図示)が螺合されている。
【0029】
鉛直ボールねじの一端部には、パルスモータ70が連結されている。パルスモータ70で鉛直ボールねじを回転させることにより、鉛直移動テーブル68は鉛直ガイドレール66に沿って鉛直方向(Z軸方向)に移動する。鉛直移動テーブル68の後面(表面)には、ウエーハWの上面を研磨する研磨ユニット48が固定されている。研磨ユニット48のスピンドルハウジング72には、回転軸を構成するスピンドル74が収容されており、スピンドル74の下端部(先端部)には、円盤状のホイールマウント76が固定されている。ホイールマウント76の下面には、ホイールマウント76と略同径の研磨ホイール78が装着されている。研磨ホイール78は、ステンレス等の金属材料で形成されたホイール基台78aと、このホイール基台78aの下面に取り付けられる円盤状の研磨パッド78bとを備える。
【0030】
研磨パッド78bは、例えばウレタンおよび/または不織布からなる基材中に砥粒を分散させ適宜の液状の結合剤で固定した固定砥粒型の研磨パッドを好適に用いることができる。固定砥粒型の研磨パッドとして、例えば粒径0.3〜1.5μmのGC(Green Carbide)砥粒を、上記した基材中に含有させたものが好ましい。砥粒は、ウエーハWよりモース硬度が高く、該ウエーハWを研磨できることが可能なものであればよく、例えば、ウエーハWがシリコンウエーハの場合、モース硬度5以上の物質を主材料にした砥材が好ましく、例えば、GC砥粒に替えて、ダイヤモンドやアルミナ、セリア、cBN(立方晶窒化ホウ素)などの砥粒を含有させるようにしてもよい。
【0031】
研磨ホイール78の近傍には、
図4に示すように、チャックテーブル22に保持され露出したウエーハWの裏面WRに研磨液もしくはリンス液を供給する加工液供給ノズル60が配置されている。この加工液供給ノズル60は、電磁切替弁61を介して、研磨液供給源62およびリンス液供給源63に選択的に接続される。研磨液は、ウエーハWの裏面WRの研磨加工をする際に供給される液体であり、ウエーハWと化学反応を生じてCMPを実施することができる物質が含まれる。本実施形態では、ウエーハWがシリコンウエーハであるため、例えばアルカリ性の研磨液が使用される。また、リンス液は、ウエーハWの裏面WRにゲッタリング層G(
図1)を生成する際に供給される液体であり、実質的にウエーハWと化学反応を生じない物質で構成され、研磨パッド78bの砥粒が機械的に作用するように調整される。本実施形態では、ウエーハWがシリコンウエーハであるため、リンス液は、例えば、純水や、純水に微量の添加物が含まれるが実質的にウエーハと反応しない液体を含む。なお、本実施形態では、研磨パッド78bとして、ウレタンおよび/または不織布中に砥粒を固定させた固定砥粒研磨パッドを例示したが、研磨液に砥粒を分散させた状態で供給し、砥粒を固定させていない研磨パッドを用いてCMPを行ってもよい。
【0032】
本実施形態では、研磨パッド78bは、
図4に示すように、ウエーハWと同等以上の大径(例えば、ウエーハW;300mm、研磨パッド;300mm)に形成され、研磨ユニット48は、チャックテーブル22に対して大きく偏心して配置される。具体的には、研磨パッド78bの外周部がウエーハWの裏面WRの中心を覆い、かつ、ウエーハWの裏面WRから径方向に延出する(はみ出す)ように研磨パッド78bが配置されている。この状態で、チャックテーブル22および研磨ユニット48を回転させることで、研磨パッド78bがウエーハWの裏面WRを部分的に押圧するため、裏面WRの研磨が行われる。本実施形態では、研磨パッド78bとウエーハWとが同様の配置関係で、ウエーハWの裏面WRにゲッタリング層G(
図1)が生成される。
【0033】
チャックテーブル22の近傍には、ウエーハWの裏面WRから径方向に、はみ出した研磨パッド78bにおける領域90に対向してドレスユニット80が配置される。研磨パッド78bにおけるウエーハWの裏面WRから径方向にはみ出した領域90は、該研磨パッド78bの中心部を含むことが好ましい。ドレスユニット80は、回転駆動源81と、回転駆動源81に連結されるスピンドル82と、スピンドル82の上端部(先端部)に固定される円盤状のホイールマウント83とを備える。このホイールマウント83の上面には、研磨ホイール78の研磨パッド78bと対向してダイヤモンド等の粒子を表面に接着させたドレッシングパッド84が取り付けられている。ドレスユニット80は、ウエーハWの裏面WRにゲッタリング層G(
図1)を生成している際に、ドレッシングパッド84を研磨パッド78bにおける上記領域90に当接(押圧)させ、研磨パッド78bの表面を削ることによってパッド表面の粗さを調節し、研磨パッド78bの研磨能力を適正な値とする。
【0034】
また、ドレスユニット80には、該ドレスユニット80を鉛直方向(Z軸方向)に昇降させる昇降機構85と、ドレスユニット80を水平方向(X軸方向)に揺動させる揺動機構86とが設けられている。昇降機構85は、ドレッシング時に、ドレッシングパッド84が研磨パッド78bに当接するまでドレスユニット80を昇降させ、それ以外のときには、ドレスユニット80を降下させて退避させる。昇降機構85は、ドレッシング時に、ドレッシングパッド84が所定の圧力で研磨パッド78bを押圧するように押圧力が制御される。揺動機構86は、ドレスユニット80を回転させながら研磨パッド78bの半径方向に揺動させて研磨パッド78bの全域の表面粗さを回復させる。研磨パッド78bの中心と外周部との間を半径方向に沿って、ドレスユニット80を移動させ
る。
【0035】
本実施形態では、ウエーハWの裏面WRに研削加工をする前に、ウエーハWの表面WSには、
図4に示すように、表面WSに形成されたデバイス(不図示)を保護するために表面保護テープTが貼着される。このため、ウエーハWの表面WSは、表面保護テープTによって保護されて裏面WRが露出する形態となる。
【0036】
次に、板状物の加工方法について説明する。
図2に示すように、カセット8aに収容されたウエーハWは、第1の搬送ユニット6によりカセット8aから引き出されて仮置きテーブル14まで搬送され、仮置きテーブル14でウエーハWの中心を位置合わせする。
【0037】
続いて、第2の搬送ユニット18は、仮置きテーブル14で位置合わせされたウエーハWを搬入搬出位置Aに位置付けられたチャックテーブル22に搬送し、表面保護テープTを下側にしてチャックテーブル22により吸引保持される。これにより、ウエーハWは、チャックテーブル22で保持されて裏面WRが露出される(保持ステップ)。このウエーハWをチャックテーブル22で吸引保持した後、ターンテーブル20を矢印Rで示す時計回り方向に90度回転する。これにより、チャックテーブル22に保持されたウエーハWは、粗研削用の研削ユニット38aに対向する粗研削位置Bに位置付けられる。
【0038】
ウエーハWの粗研削では、粗研削位置Bに位置付けられたウエーハWに対して、チャックテーブル22を例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール46aをチャックテーブル22と同一方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削液を供給しながら昇降パルスモータ34を作動して粗研削用の研削砥石をウエーハWの裏面WRに接触させる。そして、研削ホイール46aを所定の研削送り速度で下方に所定量送り、ウエーハWの裏面WRの粗研削を実施する。この粗研削により、ウエーハWを所望の厚みに研削する。
【0039】
粗研削が終了すると、ターンテーブル20を時計回り方向に更に90度回転して、粗研削の終了したウエーハWを仕上げ研削位置Cに位置付ける。この仕上げ研削では、チャックテーブル22を例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール46bをチャックテーブル22と同一方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削液を供給しながら昇降パルスモータ34を作動して仕上げ研削用の研削砥石をウエーハWの裏面WRに接触させる。そして、研削ホイール46bを所定の研削送り速度で下方に所定量送り、ウエーハWの裏面WRの仕上げ研削を実施する。この仕上げ研削により、ウエーハWを所望の厚み(例えば50μm)に仕上げる。
【0040】
仕上げ研削の終了したウエーハWを保持したチャックテーブル22は、ターンテーブル20を時計回り方向に更に90度回転することにより、研磨ユニット48に対向する研磨位置Dに位置付けられ、研磨ステップが実施される。
【0041】
研磨ステップでは、
図4に示すように、研磨ユニット48の研磨パッド78bがウエーハWの裏面WRを部分的に覆った状態で研磨を実施する。この研磨ステップにおいて、加工液供給ノズル60は、電磁切替弁61を介して研磨液供給源62に接続され、加工液供給ノズル60からアルカリ性の研磨液をウエーハWの裏面WRと研磨パッド78bに供給する。そして、チャックテーブル22を矢印α方向に、例えば505rpmで回転させるとともに、研磨パッド78bを矢印α方向に、例えば500rpmで回転させながら、ウエーハWの裏面WRに研磨パッド78bを所定荷重(例えば25kPa)で押し付けてウエーハWの裏面WRの研磨を実施する。この研磨ステップにより、上記した研削ステップで生成された研削歪が除去される。なお、研磨ステップでは、ドレッシングパッド84が研磨パッド78bに当接しないように、昇降機構85はドレスユニット80を降下させて退避させている。
【0042】
研磨ステップの後、ウエーハWの裏面WRにゲッタリング層G(
図1)を生成することを目的としたゲッタリング層生成ステップを実施する。ゲッタリング層生成ステップでは、
図5に示すように、電磁切替弁61を切り替えて加工液供給ノズル60をリンス液供給源63に接続し、加工液供給ノズル60からリンス液(純水)をウエーハWの裏面WRおよび研磨パッド78bに供給する。そして、チャックテーブル22を矢印α方向に、例えば505rpmで回転させるとともに、研磨パッド78bを矢印α方向に、例えば500rpmで回転させながら、ウエーハWの裏面WRに研磨パッド78bを、研磨ステップよりも小さな所定荷重(例えば5kPa)で押し付けてウエーハWの裏面WRにゲッタリング層を生成させる。
【0043】
このゲッタリング層生成ステップでは、研磨ステップにおけるチャックテーブル22、研磨パッド78bと同一の回転数で動作させている。このため、研磨パッド78b(研磨ユニット48)が押し付けられる荷重を低減し、電磁切替弁61を切り替えるだけで、研磨ステップからゲッタリング層生成ステップに速やかに移行することができる。なお、ゲッタリング層生成ステップにおけるチャックテーブル22および研磨パッド78bの回転数は、研磨ステップでの回転数と同一でなくてもよいが、例えば、研磨ステップが終了する間際に、ゲッタリング層生成ステップでの各回転数に変更する制御を行うことで、研磨ステップからゲッタリング層生成ステップへの速やかな移行を実現できる。この構成に限らず研磨ステップとゲッタリング層形成ステップにおいてチャックテーブル22と研磨パッド78bの回転数を異ならせてもよい。
【0044】
また、ゲッタリング層生成ステップでは、加工液供給ノズル60から供給する液体を、アルカリ性の研磨液から純水(リンス液)に切り替えることで、細かい歪層がウエーハWの裏面WRに生成され、これがゲッタリング層として機能する。なお、リンス液に純水を用いた場合であっても、ゲッタリング層形成ステップ後にウエーハWを純水で洗浄する洗浄ステップを実施してもよい。
【0045】
ゲッタリング層生成ステップにおいて、昇降機構85は、
図5に示すように、ドレスユニット80を上昇させ、ドレッシングパッド84を矢印β方向に回転させながら研磨パッド78bに当接させる。本実施形態では、ドレッシングパッド84は、チャックテーブル22および研磨パッド78bと同一方向(矢印β方向)に回転しているが、反対方向に回転する構成としてもよい。さらに、揺動機構86は、ドレスユニット80を研磨パッド78bの半径方向に沿って、所定速度(例えば0.5〜1mm/sec)で、研磨パッド78bの上記領域90内を揺動させることにより、研磨パッド78bの全域に亘ってドレッシングパッド84を当接させることができる。これにより、研磨パッド78bの表面がドレッシングパッド84によって削られ、研磨パッド78bの表面の粗さが調整され、研磨パッド78bの研磨能力が適正な値となる(ドレッシングという)。
【0046】
本実施形態によれば、ゲッタリング層生成ステップにおいて、ウエーハWの裏面WRへのゲッタリング層の生成と、研磨パッド78bのドレッシングとを並行して行うことにより、加工レート(単位時間あたりの加工量)をほぼ均一に保つことができ、複数のウエーハWに対して、それぞれ略均質なゲッタリング層を生成することができる。また、1枚のウエーハWに生成されるゲッタリング層がウエーハW面内で部分的に偏ることを抑制し、ウエーハWの裏面WRに略均質なゲッタリング層を生成することができる。また、本実施形態によれば、定期的(例えば、所定枚数加工後)に研磨パッド78bをドレッシングする頻度を低減できるため、ウエーハWの加工効率を向上し、ひいては、加工の生産性を向上させることができる。
【0047】
次に、研磨ステップおよびゲッタリング層生成ステップの別の形態について説明する。
図6は、別の形態に係る研磨ユニットの周辺構成を示す模式図である。
図7は、
図6の構成においてゲッタリング層を生成しつつ、研磨パッドのドレッシングを行う動作を説明する図である。別の形態では、研磨ユニット148は、
図6に示すように、研磨パッド78bでウエーハWの裏面WR全面を覆った状態で研磨する。この研磨ユニット148は、スピンドルハウジング72、スピンドル74、ホイールマウント76およびホイール基台78aを貫通する流体供給路79を備える。そして、流体供給路79が電磁切替弁61を介して研磨液供給源62およびリンス液供給源63に選択的に接続されている。
【0048】
この形態の研磨ステップでは、研磨パッド78bでウエーハWの裏面WRの全面を覆った状態で、流体供給路79を通じてアルカリ性の研磨液を研磨パッド78bに供給する。そして、チャックテーブル22を矢印α方向に回転させるとともに、研磨パッド78bを矢印α方向に回転させながら、ウエーハWの裏面WRに研磨パッド78bを押し付けてウエーハWの裏面WRの研磨を実施する。この研磨ステップにより、上記した研削ステップで生成された研削歪が除去される。研磨パッド78bでウエーハWの裏面WRの全面を覆うことで、短時間で研磨を行うことができる。また、研磨後のウエーハWの厚みばらつきを小さく抑えることが可能となる。なお、研磨ステップでは、ドレッシングパッド84が研磨パッド78bに当接しないように、昇降機構85はドレスユニット80を降下した状態で退避させてもよい。
【0049】
研磨ステップの後、ゲッタリング層生成ステップを実施する。ゲッタリング層生成ステップでは、水平移動ユニット56(
図3)を動作させることにより、研磨ユニット148をチャックテーブル22に対して相対的に水平方向(X方向)に移動させる。これにより、
図7に示すように、研磨ユニット148は、研磨パッド78bの外周部がウエーハWの裏面WRの中心を覆い、かつ、ウエーハWの裏面WRから径方向に延出する(はみ出す)ように配置される。
【0050】
ゲッタリング層生成ステップでは、電磁切替弁61を切り替えて、流体供給路79をリンス液供給源63に接続し、流体供給路79を通じて、リンス液(純水)を研磨パッド78bに供給する。そして、チャックテーブル22を矢印α方向に回転させるとともに、研磨パッド78bを矢印α方向に回転させながら、ウエーハWの裏面WRに研磨パッド78bを押し付けてウエーハWの裏面WRにゲッタリング層を生成させる。
【0051】
ゲッタリング層生成ステップにおいて、昇降機構85は、
図7に示すように、ドレスユニット80を上昇させ、ドレッシングパッド84を回転させながら研磨パッド78bに当接させる。さらに、揺動機構86は、ドレスユニット80を研磨パッド78bの半径方向に沿って、所定速度(例えば0.5〜1mm/sec)で、研磨パッド78bの上記領域90内を揺動させることにより、研磨パッド78bの全域に亘ってドレッシングパッド84を当接させることができる。これにより、研磨パッド78bの表面がドレッシングパッド84によって削られ、研磨パッド78bの表面の粗さが調整され、研磨パッド78bの研磨能力が適正な値に回復する。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、本実施形態では、ウエーハWの加工を、粗研削用および仕上げ研削用の研削ユニット38a,38bと、研磨ユニット48とを備えた研削研磨装置2を用いて実行しているが、例えば、チャックテーブルと研磨ユニットを備えた研磨装置で実行しても良いことは勿論である。
【0053】
また、本実施形態では、研磨ステップ、および、ゲッタリング層生成ステップは、それぞれ研磨液、および、リンス液を供給しながら行う湿式加工として説明したが、参考例として、研磨液、および、リンス液を供給せずに加工を行う乾式加工とし、この乾式のゲッタリング層生成ステップにおいて、研磨パッドのドレッシングを行う構成としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、ゲッタリング層生成ステップの実行中に、研磨パッド78bのドレッシングを行う構成としたが、これに限るものではなく、研磨ステップを実行中にドレッシングを行ってもよいし、研磨ステップを実行する前にドレッシングを行ってもよい。研磨ステップの前、もしくは、実行中にドレッシングを行う場合、ゲッタリング層生成ステップにおけるドレッシングと、ドレッシングパッドを共通に用いてもよいし、それぞれ別個のドレッシングパッドを用いてもよい。
【0055】
また、ゲッタリング層生成ステップを実行中であれば、任意のタイミングでドレッシングパッドを作用させてドレッシングを行うことができる。例えば、ゲッタリング層生成ステップに移行する際に、少なくともゲッタリング層生成ステップの開始から所定時間、ドレッシングパッド84を研磨パッド78aに作用(当接)させてもよいし、ゲッタリング層生成ステップに移行した後、予め設定したタイミングで、ドレッシングパッド84を研磨パッド78aに作用(当接)させてもよい。または、研磨ステップ終了後、ゲッタリング層生成ステップ開始前、つまり研磨液からリンス液(純水)に変更する間だけ、ドレッシングパッド84を研磨パッド78aに作用(当接)させ、所定時間後に再度作用(当接)させるようにしてもよい。