(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に加工液を供給しつつ加工する加工ユニットと、加工後の該被加工物に気体を吹き付け、該加工液を該被加工物から除去するエアーカーテンノズルと、を備える加工装置であって、
該エアーカーテンノズルは、該被加工物の加工の完了後、該気体を該被加工物に向かって間欠的に、パルス状に噴射することを特徴とする加工装置。
該エアーカーテンノズルは、該チャックテーブルが移動する移動経路を跨いで延在し、移動する該チャックテーブルに保持された該被加工物に該気体を噴射することを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
図1は、実施形態に係る加工装置の概略を示す説明図である。
図1に示す加工装置1は、被加工物Wに切削加工を施して、被加工物Wを個々のデバイスDに分割する切削装置である。加工装置1により切削加工される被加工物Wは、本実施形態では、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とし、円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。なお、被加工物Wは、セラミックス、ガラス、サファイア系の板状の無機材料基板、金属や樹脂等の板状の延性材料等、各種の板状の加工材料であってもよい。本実施形態において、被加工物Wは、裏面WR(
図2〜
図4参照)に粘着テープTが貼着され、粘着テープTに環状フレームFが貼着されて、粘着テープTを介して環状フレームFに貼着される。粘着テープTは、被加工物Wに加工を施す際の支持部材となる。
【0012】
加工装置1は、
図1に示すように、被加工物Wを保持面11で保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに加工液(切削液)を供給しつつ加工(切削)する加工ユニット(切削ユニット)20と、チャックテーブル10と加工ユニット20とを相対的にX軸方向(加工送り方向)に移動させるX軸移動ユニット(図示せず)と、チャックテーブル10と加工ユニット20とを相対的にY軸方向(割り出し送り方向)に移動させるY軸移動ユニット40と、チャックテーブル10と加工ユニット20とを相対的にZ軸方向(切削送り方向)に移動させるZ軸移動ユニット50と、加工後の被加工物Wを洗浄する洗浄ユニット60と、加工液除去ユニット80と、制御ユニット100と、を備えている。
【0013】
また、加工装置1は、加工前後の被加工物Wを複数収容するカセット30を昇降させるカセットエレベータ(図示せず)と、カセット30に被加工物Wを出し入れする搬出入ユニット(図示せず)と、搬出入ユニットとチャックテーブル10と洗浄ユニット60とに渡って被加工物Wを搬送する搬送ユニット70と、を備えている。
【0014】
チャックテーブル10は、加工前の被加工物Wが保持面11上に載置されて、粘着テープTを介して環状フレームFの開口に貼着された被加工物Wを保持するものである。チャックテーブル10は、保持面11を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面11に載置された被加工物Wを吸引することで保持する。また、チャックテーブル10の周囲には、被加工物Wの周囲の環状フレームFを挟持するクランプ部12が複数設けられている。
【0015】
チャックテーブル10は、装置本体2の上面にX軸方向に設けられた開口部2aに沿って移動可能に配設されている。チャックテーブル10は、X軸移動ユニットによりX軸方向に移動自在に設けられたテーブル移動基台(図示せず)上に設置された回転駆動源(図示せず)により中心軸線(Z軸と平行である)回りに回転自在に設けられる。チャックテーブル10は、X軸移動ユニットにより、加工ユニット20により被加工物Wに加工を施す加工領域4と、カセット30との間で被加工物Wを搬出入する搬出入領域5との間をX軸方向に沿って移動する。
【0016】
開口部2aにおけるチャックテーブル10の移動経路上には、テーブル移動基台を鉛直方向(Z軸方向)上側から覆うカバー部材6と、カバー部材6の両端部に取り付けられた蛇腹部材7とが配設されている。蛇腹部材7は、チャックテーブル10のX軸方向の移動に伴って伸縮可能である。蛇腹部材7は、加工ユニット20により被加工物Wに加工を施す際に供給される加工液(切削液)を、Y軸方向の両端部から開口部2aの鉛直方向下側に流下させ、装置本体2の内部に設けられた加工液の排出経路(図示せず)へと案内する。
【0017】
加工ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wを切削する切削ブレード21を装着したスピンドル22を有する。また、加工ユニット20は、加工中の被加工物Wに加工液(切削液)を供給する加工液供給ノズル24(
図2参照)を有する。加工ユニット20は、
図1に示すように、Y軸移動ユニット40、Z軸移動ユニット50などを介して、装置本体2から立設した柱部3に設けられている。加工ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して、Y軸移動ユニット40によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット50によりZ軸方向に移動自在に設けられている。加工ユニット20は、Y軸移動ユニット40及びZ軸移動ユニット50により、チャックテーブル10の表面の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能とされている。
【0018】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。スピンドル22は、切削ブレード21を回転させることで被加工物Wを切削する。スピンドル22は、スピンドルハウジング23内に収容される。スピンドルハウジング23は、Z軸移動ユニット50に支持されている。加工ユニット20のスピンドル22及び切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0019】
X軸移動ユニットは、チャックテーブル10をX軸方向に移動させることで、被加工物Wに対する加工送りを実現するものである。Y軸移動ユニット40は、加工ユニット20をY軸方向に移動させることで、被加工物Wに対する割り出し送りを実現するものである。Z軸移動ユニット50は、加工ユニット20をZ軸方向に移動させることで、被加工物Wに対する切り込み深さの制御を実現するものである。
【0020】
洗浄ユニット60は、加工後の被加工物Wを保持するスピンナテーブル61を有する。また、洗浄ユニット60は、洗浄液噴射装置と、気体噴射装置とを有する。洗浄ユニット60は、スピンナテーブル61を図示しない回転駆動源により回転させつつ洗浄液噴射装置から加工後の被加工物Wに洗浄水を噴射することで被加工物Wを洗浄する。また、洗浄ユニット60は、洗浄後の被加工物Wに気体噴射装置から気体を噴射することで被加工物Wを乾燥させる。
【0021】
搬送ユニット70は、加工後の被加工物Wをチャックテーブル10から洗浄ユニット60へと搬送する搬送アーム71を有する。搬送ユニット70のその他の構成については、説明を省略する。搬送アーム71は、装置本体2に対してY軸方向及びZ軸方向に移動自在に取り付けられる。搬送アーム71は、先端部に形成されたH型のブラケットの先端に真空吸着式のパッド72を有する。パッド72は、被加工物Wを吸着して保持することができる。搬送アーム71は、搬出入領域5に位置付けられたチャックテーブル10の保持面11上の被加工物Wをパッド72によって吸着し、洗浄ユニット60のスピンナテーブル61上へと搬送する。
【0022】
制御ユニット100は、加工装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物Wに対する加工動作を加工装置1に行わせるものである。なお、制御ユニット100は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、加工動作の状態などを表示する表示ユニット(図示せず)や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット(図示せず)と接続されている。
【0023】
加工装置1において、加工ユニット20により被加工物Wに加工を施す際には、加工液供給ノズル24から被加工物Wに加工液を供給させる。そのため、複数のデバイスDに分割された加工後の被加工物Wは、表面WSに加工屑(切削屑)Kを含む加工液が残留しやすい(
図2参照)。また、加工屑Kを含んだ雰囲気、粘着テープTや環状フレームFの上面に付着した加工屑を含んだ切削液が、加工送りによる横方向へ加速度によって粘着テープTと環状フレームFとを伝って、被加工物Wの裏面WR側(本実施形態では、粘着テープTの裏面)にも伝わり、残留した状態を保つ場合もある(
図4参照)。この状態で被加工物Wをチャックテーブル10上から他の位置(本実施形態では、洗浄ユニット60)へと搬送すると、加工屑Kを含む加工液が予期せぬ箇所に飛散し、周辺環境や他の被加工物等の汚れの原因となるおそれがある。
【0024】
そのため、実施形態にかかる加工装置1は、加工後の被加工物Wをチャックテーブル10上から他の位置(本実施形態では、洗浄ユニット60)に搬送する前に、被加工物Wに残留した加工屑Kを含む加工液を洗浄水及びエアー(気体)により除去する加工液除去ユニット80を備える。以下、加工液除去ユニット80について、
図2から
図4に基づいて説明する。
図2は、チャックテーブル10と共に加工領域から搬出入領域へと移動する被加工物に加工液除去ユニットによって洗浄水及びエアーを噴射する様子を示す説明図であり、
図3は、チャックテーブル10と共に加工領域から搬出入領域へと移動する被加工物に加工液除去ユニットによってエアーを噴射する様子を示す説明図であり、
図4は、搬送アームにより洗浄ユニットへと搬送される被加工物に加工液除去ユニットによってエアーを噴射する様子を示す説明図である。
【0025】
加工液除去ユニット80は、
図1に示すように、加工後の被加工物Wに向かって洗浄水(例えば、純水)Waを吹き付けるウォーターカーテンノズル81と、加工後の被加工物Wに向かってエアーAを吹き付ける第1エアーカーテンノズル82及び第2エアーカーテンノズル83とを有する。
【0026】
ウォーターカーテンノズル81は、内部に洗浄水Waが流れる管状部材である。ウォーターカーテンノズル81は、
図1に示すように、加工領域4と搬出入領域5との間で装置本体2の開口部2aを跨いでY軸方向に延び、長手方向の両端部で装置本体2の上面に固定される。ウォーターカーテンノズル81は、加工領域4と搬出入領域5との間をX軸方向に移動するチャックテーブル10の移動経路を跨いで延在する。ウォーターカーテンノズル81は、
図2に示すように、チャックテーブル10よりも鉛直方向の上側に配設され、移動中のチャックテーブル10や被加工物Wと干渉することはない。
【0027】
ウォーターカーテンノズル81は、洗浄水供給源(図示せず)に接続されている。ウォーターカーテンノズル81と洗浄水供給源との間には、ウォーターカーテンノズル81から噴射する洗浄水Waの流量を調整する洗浄水流量調整バルブ(図示せず)が接続されている。また、ウォーターカーテンノズル81は、
図2に示すように、洗浄水供給源から供給される洗浄水Waを被加工物Wに向けて噴射する洗浄水噴射口81aを有する。洗浄水噴射口81aは、ウォーターカーテンノズル81の下面に長手方向に沿って互いに間隔を空けて複数形成される。洗浄水噴射口81aは、クランプ部12を含むチャックテーブル10を覆う範囲に設けられる。それにより、被加工物W全体及びチャックテーブル10上に万遍なく洗浄水Waを吹き付けることができる。なお、洗浄水噴射口81aは、少なくとも被加工物Wを覆う範囲に形成されればよい。また、洗浄水噴射口81aは、
図2に示すように、ウォーターカーテンノズル81の下面において、鉛直方向(Z軸方向)に対して加工領域4側(
図2における左側)にオフセットされた位置に形成される。
【0028】
第1エアーカーテンノズル82は、内部にエアーA(気体)が流れる管状部材である。第1エアーカーテンノズル82は、
図1に示すように、加工領域4と搬出入領域5との間で装置本体2の開口部2aを跨いでY軸方向に延び、長手方向の両端部で装置本体2の上面に固定される。第1エアーカーテンノズル82は、加工領域4と搬出入領域5との間をX軸方向に移動するチャックテーブル10の移動経路を跨いで延在する。第1エアーカーテンノズル82は、
図2に示すように、チャックテーブル10よりも鉛直方向の上側に配設され、移動中のチャックテーブル10や被加工物Wと干渉することはない。また、第1エアーカーテンノズル82は、ウォーターカーテンノズル81よりも搬出入領域5側において、ウォーターカーテンノズル81に隣接して設けられる。
【0029】
第1エアーカーテンノズル82は、
図3に示すように、エアー供給源90に接続されている。第1エアーカーテンノズル82とエアー供給源90との間には、第1エアーカーテンノズル82から噴射するエアーAの流量を調整する第1エアー流量調整バルブ87が接続されている。また、第1エアーカーテンノズル82は、
図2及び
図3に示すように、エアー供給源90から供給されるエアーAを被加工物Wの表面WSに向けて噴射するエアー噴射口82aを有する。エアー噴射口82aは、第1エアーカーテンノズル82の下面に長手方向に沿って互いに間隔を空けて複数形成される。エアー噴射口82aは、クランプ部12を含むチャックテーブル10を覆う範囲に設けられる。それにより、被加工物Wの表面WS全体及びチャックテーブル10上に万遍なくエアーAを吹き付けることができる。なお、エアー噴射口82aは、少なくとも被加工物Wを覆う範囲に形成されればよい。また、エアー噴射口82aは、
図2に示すように、第1エアーカーテンノズル82の下面において、鉛直方向(Z軸方向)に対して加工領域4側(
図2における左側)にオフセットされた位置に形成される。
【0030】
第2エアーカーテンノズル83は、内部にエアーA(気体)が流れる管状部材である。第2エアーカーテンノズル83は、
図1に示すように、装置本体2の開口部2aに隣接して設けられ、開口部2aの搬出入領域5に対応した位置と、洗浄ユニット60との間をX軸方向に延び、長手方向の両端部で装置本体2の上面に固定される。第2エアーカーテンノズル83は、搬出入領域5に位置づけられたチャックテーブル10と洗浄ユニット60のスピンナテーブル61との間を搬送アーム71によって搬送される被加工物Wの移動経路を跨いで延在する。第2エアーカーテンノズル83は、
図4に示すように、搬送アーム71により搬送される被加工物Wよりも鉛直方向(Z軸方向)の下側に配設され、搬送中の被加工物Wと干渉することはない。
【0031】
第2エアーカーテンノズル83は、
図4に示すように、第1エアーカーテンノズル82と同様にエアー供給源90に接続されている。第2エアーカーテンノズル83とエアー供給源90との間には、第2エアーカーテンノズル83から噴射するエアーAの流量を調整する第2エアー流量調整バルブ88が接続されている。また、第2エアーカーテンノズル83は、
図4に示すように、エアー供給源90から供給されるエアーAを被加工物Wの裏面WR側に向けて噴射するエアー噴射口83aを有する。エアー噴射口83aは、第2エアーカーテンノズル83の上面に長手方向に沿って互いに間隔を空けて複数形成される。エアー噴射口83aは、被加工物Wの裏面WRに貼り付けられた粘着テープT及び環状フレームFを覆う範囲に形成される。それにより、被加工物Wの裏面WR側全体に万遍なくエアーAを吹き付けることができる。また、エアー噴射口83aは、
図4に示すように、第2エアーカーテンノズル83の上面において、鉛直方向(Z軸方向)に対して開口部2a側(
図4における左側)にオフセットされた位置に形成される。
【0032】
加工液除去ユニット80のウォーターカーテンノズル81に接続された図示しない洗浄水流量調整バルブ、第1エアー流量調整バルブ87、及び第2エアー流量調整バルブ88は、制御ユニット100により制御される。制御ユニット100は、これらのバルブを制御することで、ウォーターカーテンノズル81から被加工物Wに噴射する洗浄水Waの流量及び噴射タイミング、第1エアーカーテンノズル82及び第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに噴射するエアーAの流量及ぶ噴射タイミングを調整する。
【0033】
図5は、第1エアー流量調整バルブ87及び第2エアー流量調整バルブ88の開閉挙動を示す説明図である。図示するように、制御ユニット100は、第1エアーカーテンノズル82、第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに向けてエアーAを噴射させる間、第1エアー流量調整バルブ87、第2エアー流量調整バルブ88を、第1所定間隔Δt1に渡って開とし、第2所定間隔Δt2に渡って閉とする動作を繰り返す間欠噴射制御を実行する。実施形態にかかる加工装置1は、第1エアーカーテンノズル82及び第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに向かってエアーAを間欠的に、すなわちパルス状に噴射する。第1所定間隔Δt1、第2所定間隔Δt2は、この間隔でエアーをパルス状に噴射することにより、エアーを連続噴射する場合に比べて、加工液の除去性能を向上させつつ、エアー消費量を全体として低減させることができる間隔(例えば数十msec等)に設定される。なお、第1所定間隔Δt1と第2所定間隔Δt2とは、同じ値に設定されてもよいし、異なる値に設定されてもよい。また、第1所定間隔Δt1及び第2所定間隔Δt2は、第1エアー流量調整バルブ87と第2エアー流量調整バルブ88とで異なる値に設定されてもよい。また、第1エアー流量調整バルブ87、第2エアー流量調整バルブ88を開とするとは、全開にする場合に限られず、所定開度とする場合も含む。
【0034】
次に、加工装置1において、加工液除去ユニット80により加工後の被加工物Wに対して洗浄水Wa及びエアーAを噴射して、被加工物Wに残留した加工屑Kを含む加工液を除去する際の動作について説明する。
【0035】
制御ユニット100は、
図2に白色矢印で示すように、被加工物Wの加工の完了後、X軸移動ユニットによりチャックテーブル10を加工領域4から搬出入領域5側(
図2における右側)へと移動させる。制御ユニット100は、チャックテーブル10の移動を開始させた段階で、加工液除去ユニット80の洗浄水流量調整バルブを開として、ウォーターカーテンノズル81から被加工物Wの表面WSに向けて洗浄水Waを噴射させる。これにより、ウォーターカーテンノズル81の複数の洗浄水噴射口81aから噴射された洗浄水Waが、チャックテーブル10の移動に伴って被加工物Wの表面WS全体に順次吹き付けられ、表面WSに残留した加工屑Kを含む加工液の一部が表面WSから洗い流される。
【0036】
また、制御ユニット100は、チャックテーブル10の移動を開始させた段階で、第1エアー流量調整バルブ87を第1所定間隔Δt1に渡って開とし、第2所定間隔Δt2に渡って閉とする動作を繰り返す間欠噴射制御を実行する。つまり、加工装置1は、第1エアーカーテンノズル82から被加工物Wに向かってエアーAを間欠的に、すなわちパルス状に噴射する。これにより、第1エアーカーテンノズル82の複数のエアー噴射口82aから噴射されたエアーAが、チャックテーブル10の移動に伴って被加工物Wの表面WS全体に順次吹き付けられる。その結果、ウォーターカーテンノズル81からの洗浄水Waのみでは除去しきれなかった加工屑Kを含む加工液や、被加工物Wに残留した洗浄水Waが被加工物Wの表面WSから除去される。
【0037】
制御ユニット100は、チャックテーブル10がウォーターカーテンノズル81よりも搬出入領域5側まで移動した段階で、洗浄水流量調整バルブを閉として、ウォーターカーテンノズル81からの洗浄水Waの噴射を停止させる。また、制御ユニット100は、チャックテーブル10が第1エアーカーテンノズル82よりも搬出入領域5側まで移動した段階で、第1エアー流量調整バルブ87の間欠噴射制御を終了し、第1エアーカーテンノズル82からのエアーAの噴射を停止させる。
【0038】
ウォーターカーテンノズル81からの洗浄水Wa及び第1エアーカーテンノズル82からのエアーAによって被加工物Wから除去された加工屑Kを含む加工液は、チャックテーブル10の保持面11やカバー部材6を介して蛇腹部材7へと伝わる。そして、加工屑Kを含む加工液は、蛇腹部材7のY軸方向の両端部から開口部2aの鉛直方向下側に流下し、装置本体2の内部に設けられた加工液の排出経路へと案内されて、排出経路を介して装置本体2の外部へと排出される。
【0039】
チャックテーブル10が搬出入領域5まで移動すると、制御ユニット100は、
図4に白色矢印で示すように、搬送アーム71によりチャックテーブル10上の被加工物Wを吸着保持させ、洗浄ユニット60へと移動させる。制御ユニット100は、被加工物Wを保持した搬送アーム71の洗浄ユニット60に向けての移動を開始させた段階で、第2エアー流量調整バルブ88を第1所定間隔Δt1に渡って開とし、第2所定間隔Δt2に渡って閉とする動作を繰り返す間欠噴射制御を実行する。つまり、加工装置1は、第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに向かってエアーAを間欠的に、すなわちパルス状に噴射する。
【0040】
これにより、第2エアーカーテンノズル83の複数のエアー噴射口83aから噴射されたエアーAが、チャックテーブル10の移動に伴って被加工物Wの裏面WR側の粘着テープT全体に順次吹き付けられる。その結果、被加工物Wの表面WSのみならず、裏面WR側に残留した加工屑Kを含む加工液が被加工物Wから除去される。上述したように、第2エアーカーテンノズル83は、装置本体2の開口部2aに隣接して設けられる。また、複数のエアー噴射口83aは、鉛直方向(Z軸方向)に対して開口部2a側にオフセットされた位置に形成される。これにより、第2エアーカーテンノズル83からのエアーAによって被加工物Wの裏面WR側から除去された加工屑Kを含む加工液は、開口部2aに配置されたカバー部材6や蛇腹部材7へと流下し、蛇腹部材7から装置本体2の内部に設けられた加工液の排出経路へと案内されて、装置本体2の外部へと排出される。
【0041】
制御ユニット100は、被加工物Wが第2エアーカーテンノズル83よりも洗浄ユニット60側まで移動した段階で、第2エアー流量調整バルブ88の間欠噴射制御を終了し、第2エアーカーテンノズル83からのエアーAの噴射を停止させる。
【0042】
このように、本実施形態の加工装置1では、チャックテーブル10から被加工物Wを他の位置(本実施形態では、洗浄ユニット60)に搬送する前に、ウォーターカーテンノズル81からの洗浄水Wa、第1エアーカーテンノズル82及び第2エアーカーテンノズル83からのエアーAによって、被加工物Wに残留した加工屑Kを含む加工液を適切な排出経路へと除去する。その結果、加工屑Kを含む加工液が被加工物Wの搬送中に予期せぬ箇所に飛散してしまうことを抑制することができる。
【0043】
以上説明したように、実施形態にかかる加工装置1は、第1エアーカーテンノズル82、第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに向かってエアーAを間欠的に、すなわちパルス状に噴射する。これにより、第1エアーカーテンノズル82、第2エアーカーテンノズル83から被加工物Wに向けて継続的にエアーAを噴射する場合に対して、エアーAを吹き付けることによる加工屑Kを含む加工液の除去性能を向上させつつ、エアー消費量を全体として低減することができる。したがって、実施形態にかかる加工装置1は、エアーA噴射による被加工物Wに対する加工屑Kを含む加工液の除去性能の向上と、エアー消費量の低減との両立を図ることができる。
【0044】
また、第1エアーカーテンノズル82は、チャックテーブル10が移動する移動経路を跨いで延在し、移動するチャックテーブル10に保持された被加工物WにエアーAを噴射する。これにより、チャックテーブル10の移動に伴って、第1エアーカーテンノズル82からのエアーAを被加工物Wの表面WS全体に順次吹き付けることができるため、被加工物Wから加工屑Kを含む加工液を良好に除去することが可能となる。
【0045】
また、洗浄水噴射口及びエアー噴射口82aは、
図2に示すように、鉛直方向(Z軸方向)に対して加工領域4側にオフセットされた位置に形成される。それにより、
図2の白色矢印に示すように加工領域4から搬出入領域5側へと移動するチャックテーブル10の移動方向に対向する向きで、洗浄水Wa及びエアーAを被加工物Wに吹き付けることができる。この結果、被加工物Wの表面WSから加工屑Kを含む加工液を良好に除去することが可能となる。
【0046】
同様に、エアー噴射口83aは、
図4に示すように、鉛直方向(Z軸方向)に対して開口部2a側にオフセットされた位置に形成される。それにより、
図4の白色矢印に示すように開口部2a側から洗浄ユニット60側へと移動する被加工物Wの移動方向に対向する向きで、エアーAを被加工物Wに吹き付けることができる。この結果、被加工物Wの裏面WR側から加工屑Kを含む加工液を良好に除去することが可能となる。また、被加工物Wの裏面WR側から除去された加工屑Kを含む加工液がエアー噴射口83aを介して第2エアーカーテンノズル83内へと侵入することを抑制することができる。
【0047】
なお、ウォーターカーテンノズル81及び第2エアーカーテンノズル83は、加工液除去ユニット80から省略してもよい。また、第1エアーカーテンノズル82は、ウォーターカーテンノズル81よりも搬出入領域5側に設けられれば、ウォーターカーテンノズル81に隣接するものでなくてもよい。
【0048】
ウォーターカーテンノズル81から噴射する液体は、被加工物Wから加工屑Kを含む加工液を除去可能でさえあれば、洗浄水(例えば、純水)に限られない。また、第1エアーカーテンノズル82、第2エアーカーテンノズル83から噴射する気体は、被加工物Wから加工屑Kを含む加工液を除去可能でさえあれば、エアーに限られない。
【0049】
本実施形態では、被加工物Wは、粘着テープTを介して環状フレームFに貼着されるものとしたが、粘着テープT及び環状フレームFを用いることなく、裏面WR側に基板等の他の支持部材を貼着したり、被加工物Wのみでチャックテーブル10で支持されて、加工装置1で加工を施すものでもよい。
【0050】
また、本実施形態では、加工装置1として、被加工物Wに切削加工を施す切削装置を対象に本発明を適用するものしたが、本発明は、被加工物Wに研削加工を施す研削装置等に適用してもよい。