(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記窒素酸素分離装置は、複数の前記窒素酸素分離塔を有して、これら複数の前記窒素酸素分離塔の間で、前記窒素の回収と前記酸素の回収とを順次切り替えながら、前記窒素及び前記酸素の回収を連続して行うことを特徴とする請求項3に記載の熱回収型酸素窒素供給システム。
前記二酸化炭素除去装置は、一対の前記二酸化炭素除去塔を有して、一方の二酸化炭素除去塔と他方の二酸化炭素除去塔との間で、前記二酸化炭素の除去と前記吸着剤の再生とを交互に切り替えて行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の熱回収型酸素窒素供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した熱回収型酸素窒素供給システムの一例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
先ず、本発明の一実施形態として、例えば
図1に示す熱回収型酸素窒素供給システム100について説明する。なお、
図1は、熱回収型酸素窒素供給システム100の構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態の熱回収型酸素窒素供給システム100は、
図1に示すように、酸素(O
2)及び窒素(N
2)を用いる設備であるガラス溶解炉101と、ガラス溶解炉101に酸素(O
2)及び窒素(N
2)を供給する酸素窒素供給装置1とを備えている。
【0016】
熱回収型酸素窒素供給システム100では、ガラス溶解炉101から排出される熱(廃熱)Hを利用して、酸素窒素供給装置1が所定の温度に加熱された酸素選択型吸蔵剤S2を用いて、原料ガスG1となる空気(Air)中に含まれる窒素(N
2)及び酸素(O
2)の分離回収を行うと共に、分離回収された窒素(N
2)及び酸素(O
2)をガラス溶解炉101に供給することによって、廃熱Hの利用と、酸素(O
2)及び窒素(N
2)の供給とを両立したシステムを従来よりも安価に構築するものである。
【0017】
具体的に、この熱回収型酸素窒素供給システム100は、酸素窒素供給装置1として、原料ガスG1からの二酸化炭素(CO
2)の除去を行う二酸化炭素除去装置2と、ガラス溶融炉101から排出される廃熱Hとの熱交換によって、二酸化炭素(CO
2)が除去された原料ガス(以下、処理ガスという。)G3を加熱する熱交換器102と、加熱された処理ガスG3を用いて酸素選択型吸蔵剤S2を加熱することによって、当該処理ガスG3中からの窒素(N
2)及び酸素(O
2)の分離回収を行う窒素酸素分離装置3とを備えている。
【0018】
次に、ガラス溶解炉101の構成について、
図2を参照して説明する。なお、
図2は、ガラス溶解炉101の構成を示す模式図である。
本実施形態のガラス溶解炉101は、
図2に示すように、ガラス製造設備の一部として、酸素バーナー103を用いてガラス原料を高温(例えば1400〜1500℃程度)で溶解させる溶解室104と、酸素バーナー103を用いて溶解したガラスを所定の温度(例えば1100〜1200℃程度)まで下げる清澄室105と、ガラスを成型する成型室106とを備えている。
【0019】
このうち、酸素バーナー103には、酸素窒素供給装置1で分離回収された酸素(O
2)を供給し、成型室106には、酸素窒素供給装置1で分離回収された窒素(N
2)と水素(H
2)との混合ガスを供給する。
【0020】
一方、溶解室104から排出される燃焼ガス(廃熱H)を熱交換器102に供給することによって、熱交換器102に供給される処理ガスG3との間で熱交換が行われる。これにより、ガラス溶解炉101から排出される廃熱Hによって、処理ガスG3を加熱することなる。
【0021】
次に、酸素窒素供給装置1の構成について、
図3〜
図6を参照して説明する。なお、
図3は、酸素窒素供給装置1の構成を示す系統図である。
図4は、
図3に示す状態から、一方の二酸化炭素除去塔4Aと他方の二酸化炭素除去塔4Bとの間で、二酸化炭素除去工程と吸着剤再生工程とを切り替えた状態を示す系統図である。
図5は、
図3に示す状態から、一方の窒素酸素分離塔9Aと他方の窒素酸素分離塔9Bとの間で、窒素回収工程と酸素回収工程とを切り替えた状態を示す系統図である。
図6は、
図3に示す状態から、一方の窒素酸素分離塔9Aにおいて脱圧工程を行った状態を示す系統図である。
図7は、
図6に示す状態から、一方の窒素酸素分離塔9Aにおいて酸素回収工程を行い、他方の窒素酸素分離塔9Bにおいて充圧工程を行った状態を示す系統図である。
【0022】
本実施形態の酸素窒素供給装置1は、
図3に示すように、大気中の空気(Air)を原料ガスG1として用いて、高純度(濃度)の窒素(N
2)及び酸素(O
2)を製造し、上記ガラス溶融炉101に供給するものである。
【0023】
具体的に、この酸素窒素供給装置1は、空気(Air)からの二酸化炭素(CO
2)の除去を温度スイング法(TSA)で行う二酸化炭素除去装置2と、二酸化炭素(CO
2)が除去された空気(Air)からの窒素(N
2)及び酸素(O
2)の分離回収を圧力スイング法(PSA)で行う窒素酸素分離装置3とを備えている。
【0024】
また、本実施形態の酸素窒素供給装置1は、ガラス溶融炉101から排出される廃熱Hとの熱交換によって、二酸化炭素除去装置2により二酸化炭素(CO
2)が除去された処理ガスG3を加熱する熱交換器102を備え、加熱された処理ガスG3を窒素酸素分離装置3に供給する。
【0025】
二酸化炭素除去装置2は、二酸化炭素(CO
2)を吸着及び脱離する吸着剤S1が内部に設けられた一対(2つ)の二酸化炭素除去塔4A,4Bを備えている。一対の二酸化炭素除去塔4A,4Bは、基本的に同じ構成であり、中空円筒状に形成されて、その上下両端に上部側配管4a及び下部側配管4bが接続された構成を有している。
【0026】
吸着剤S1は、これら二酸化炭素除去塔4A,4Bの内部に充填されている。なお、本実施形態の二酸化炭素除去塔4A,4Bには、例えばステンレス(SUS304)などの金属が用いられているが、原料ガスG1や後述する再生ガスG2と反応せず、高温及び高圧に耐え得ることができる材質のものであればよく、これに必ずしも限定されるものではない。
【0027】
吸着剤S1は、温度差により二酸化炭素(CO
2)を吸着及び脱離できる物質を用いている。その中でも、ゼオライト又は活性アルミナ若しくはゼオライトと活性アルミナとを積層したものを用いることが好ましい。なお、本実施形態では、吸着剤S1として、NaX型ゼオライトを用いている。
【0028】
二酸化炭素除去装置2は、原料ガスG1を二酸化炭素除去塔4A,4Bに導入する原料ガス導入部5と、吸着剤Sを再生する再生ガスG2を二酸化炭素除去塔4A,4Bに導入する再生ガス導入部6と、二酸化炭素除去塔4A,4Bに導入される原料ガスG1を加圧する加圧ポンプ7とを備えている。
【0029】
原料ガス導入部5は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの下部側配管4bから分岐された一方の原料ガス導入配管5aを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aに原料ガスG1を導入する。一方、原料ガス導入部5は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの上部側配管4aから分岐された一方の処理ガス導出配管5bを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aから二酸化炭素(CO
2)が除去された処理ガスG3を導出する。
【0030】
同様に、原料ガス導入部5は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの下部側配管4bから分岐された他方の原料ガス導入配管5cを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bに原料ガスG1を導入する。一方、原料ガス導入部5は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの上部側配管4aから分岐された他方の処理ガス導出配管5dを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bから処理ガスG3を導出する。
【0031】
さらに、一方の原料ガス導入配管5aと他方の原料ガス導入配管5cとは、互いの入側で連結されて共通の原料ガス導入配管5eを構成している。これに対して、一方の処理ガス導出配管5bと他方の処理ガス導出配管5dとは、互いの出側で連結されて共通の処理ガス導出配管5fを構成している。
【0032】
また、原料ガス導入部5は、一方の原料ガス導入配管5aを開閉する第1の二酸化炭素除去側開閉弁8aと、一方の処理ガス導出配管5bを開閉する第2の二酸化炭素除去側開閉弁8bと、他方の原料ガス導入配管5cを開閉する第3の二酸化炭素除去側開閉弁8cと、他方の処理ガス導出配管5dを開閉する第4の二酸化炭素除去側開閉弁8dとを有している。
【0033】
再生ガス導入部6は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの上部側配管4aから分岐された一方の再生ガス導入配管6aを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aに再生ガスG2を導入する。一方、再生ガス導入部6は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの下部側配管4bから分岐された一方の排ガス導出配管6bを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aから脱離された二酸化炭素(CO
2)を含む再生ガス(以下、排ガスという。)G4を導出する。
【0034】
同様に、再生ガス導入部6は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの上部側配管4aから分岐された他方の再生ガス導入配管6cを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bに再生ガスG2を導入する。一方、再生ガス導入部6は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの下部側配管4bから分岐された他方の排ガス導出配管6dを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bから排ガスG4を導出する。
【0035】
さらに、一方の再生ガス導入配管6aと他方の再生ガス導入配管6cとは、互いの入側で連結されて共通の再生ガス導入配管6eを構成している。これに対して、一方の排ガス導出配管6bと他方の排ガス導出配管6dとは、互いの出側で連結されて共通の排ガス導出配管6fを構成している。
【0036】
また、再生ガス導入部6は、一方の再生ガス導入配管6aを開閉する第5の二酸化炭素除去側開閉弁8eと、一方の排ガス導出配管6bを開閉する第6の二酸化炭素除去側開閉弁8fと、他方の再生ガス導入配管6cを開閉する第7の二酸化炭素除去側開閉弁8gと、他方の排ガス導出配管6dを開閉する第8の二酸化炭素除去側開閉弁8hとを有している。
【0037】
なお、本実施形態では、上述した各原料ガス導入配管5a,5c,5e、各処理ガス導出配管5b,5d,5f、各再生ガス導入配管6a,6c,6e、各排ガス導出配管6b,6d,6fとして、例えばステンレス(SUS304)などの金属が用いられているが、原料ガスG1や再生ガスG2と反応せず、高温及び高圧に耐え得ることができる材質のものであればよく、これに必ずしも限定されるものではない。
【0038】
また、本実施形態では、第1〜第8の二酸化炭素除去側開閉弁8a〜8hとして、ダイヤフラム弁を用いているが、原料ガスG1や再生ガスG2と反応せず、高温及び高圧に耐え得ることができるものであればよく、例えば、ボール弁などの様々な方式の開閉弁を用いることが可能である。
【0039】
加圧ポンプ7は、原料ガス導入配管5eに設けられて、二酸化炭素除去塔4A,4Bに導入される原料ガスG1を加圧する。本実施形態では、加圧ポンプ7として、スクロール式圧縮機を用いているが、原料ガスG1中に含まれる二酸化炭素(CO
2)を吸着剤Sに吸着させるのに十分な圧力(本実施形態では200〜300kPaG程度)まで、原料ガスG1を加圧できるものであればよく、これ以外にも様々な方式の加圧ポンプを用いることが可能である。
【0040】
熱交換器102は、上述したガラス溶解炉101(溶解室104)から排出される廃熱Hを利用して、二酸化炭素除去装置2の処理ガス導出配管5fより導出された処理ガスG3を加熱する。加熱された処理ガスG3は、処理ガス導入部10gを通じて窒素酸素分離塔9A,9Bに導入される。そして、この加熱された処理ガスG3によって酸素選択型吸蔵剤S2を、処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)を酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵させるのに十分な温度(本実施形態では200〜400℃程度)まで加熱する。
【0041】
本実施形態では、熱交換器102として、チューブ型熱交換器を用いているが、これに必ずしも限定されるものではなく、これ以外にも廃熱Hを利用して処理ガスG3を加熱できるものであればよい。
【0042】
さらに、酸素選択型吸蔵剤S2を加熱する方法としては、上述した熱交換器102により処理ガスG3を加熱する構成に限らず、廃熱Hによって窒素酸素分離塔9A,9Bを直接加熱する構成によって、酸素選択型吸蔵剤S2を加熱するようにしてもよい。また、必要に応じてヒーターによる加熱を行ってもよい。
【0043】
窒素酸素分離装置3は、酸素(O
2)を選択的に吸蔵及び脱離する酸素選択型吸蔵剤S2が内部に設けられた複数(本実施形態では2つ)の窒素酸素分離塔9A,9Bを備えている。複数の窒素酸素分離塔9A,9Bは、基本的に同じ構成であり、中空円筒状に形成されて、その上下両端に上部側配管9a及び下部側配管9bが接続された構成を有している。
【0044】
酸素選択型吸蔵剤S2は、これら窒素酸素分離塔9A,9Bの内部に充填されている。なお、本実施形態の窒素酸素分離塔9A,9Bには、例えばステンレス(SUS304)などの金属が用いられているが、加熱された処理ガスG3や後述する充圧ガスG7と反応せず、高温及び高圧に耐え得ることができる材質のものであればよく、これに必ずしも限定されるものではない。
【0045】
酸素選択型吸蔵剤S2は、圧力差により酸素を選択的に吸蔵及び脱離できる物質を用いている。その中でも、酸素不定比性を有し、且つ、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を用いることが好ましい。具体的には、YBaCo
4O
7+δ(1.0≦δ≦1.5)、Ca
2AlMnO
5+δ(0≦δ≦0.5)、La
XB
a(1−X)CoO
3−δ(0.1≦X≦0.5)、La
XSr
(1−X)CoO
3−δ(0.1≦X≦0.5)、YBa
2Cu
3O
7−δ(0≦δ≦1.0)などを好適に用いることができる。なお、本実施形態では、酸素選択型吸蔵剤S2として、YBaCo
4O
7+δを用いている。
【0046】
窒素酸素分離装置3は、上述した加熱された処理ガスG3を窒素酸素分離塔9A,9Bに導入する処理ガス導入部10と、後述する処理ガスG3から分離回収された窒素ガスG5の一部を充圧ガスG7として窒素酸素分離塔9A,9Bに導入する充圧ガス導入部11と、後述する窒素回収工程時の加圧された状態(本実施形態では200〜300kPaG程度)から圧力を開放し、大気圧まで脱圧するときに、窒素酸素分離塔9A,9B内の処理ガスG3及び窒素(N
2)を排ガスG8として窒素酸素分離塔9A,9Bから導出する排ガス導出部12と、窒素酸素分離塔9A,9B内を減圧する減圧ポンプ13とを備えている。
【0047】
処理ガス導入部10は、一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9bから分岐された一方の処理ガス導入配管10aを通して一方の窒素酸素分離塔9Aに処理ガスG3を導入する。一方、処理ガス導入部10は、一方の窒素酸素分離塔9Aの上部側配管9aから分岐された一方の窒素導出配管10bを通して一方の窒素酸素分離塔9Aから分離回収された窒素ガスG5を導出する。一方、処理ガス導入部10は、一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9bから分岐された一方の酸素導出配管10cを通して一方の窒素酸素分離塔9Aから分離回収された酸素ガスG6を導出する。
【0048】
同様に、処理ガス導入部10は、他方の窒素酸素分離塔9Bの下部側配管9bから分岐された他方の処理ガス導入配管10dを通して他方の窒素酸素分離塔9Bに処理ガスG3を導入する。一方、処理ガス導入部10は、他方の窒素酸素分離塔9Bの上部側配管9aから分岐された他方の窒素導出配管10eを通して他方の窒素酸素分離塔9Bから分離回収された窒素ガスG5を導出する。一方、処理ガス導入部10は、他方の窒素酸素分離塔9Bの下部側配管9bから分岐された他方の酸素導出配管10fを通して他方の窒素酸素分離塔9Bから分離回収された酸素ガスG6を導出する。
【0049】
さらに、一方の処理ガス導入配管10aと他方の処理ガス導入配管10dとは、互いの入側で連結されて共通の処理ガス導入配管10gを構成している。また、処理ガス導入配管10gは、上記熱交換器102と連結されている。
【0050】
これに対して、一方の窒素導出配管10bと他方の窒素導出配管10eとは、互いの出側で連結されて共通の窒素導出配管10hを構成している。また、一方の酸素導出配管10cと他方の酸素導出配管10fとは、互いの出側で連結されて共通の酸素導出配管10iを構成している。
【0051】
また、処理ガス導入部10は、一方の処理ガス導入配管10aを開閉する第1の窒素酸素分離側開閉弁14aと、一方の窒素導出配管10bを開閉する第2の窒素酸素分離側開閉弁14bと、一方の酸素導出配管10cを開閉する第3の窒素酸素分離側開閉弁14cと、他方の処理ガス導入配管10dを開閉する第4の窒素酸素分離側開閉弁14dと、他方の窒素導出配管10eを開閉する第5の窒素酸素分離側開閉弁14eと、他方の酸素導出配管10fを開閉する第6の窒素酸素分離側開閉弁14fとを有している。
【0052】
上述した再生ガスG2として、処理ガスG3から分離回収された窒素ガスG5の一部を二酸化炭素除去塔4A,4Bに導入するため、再生ガス導入部6は、上記再生ガス導入配管6eから分岐された加熱再生ガス導入配管6g及び冷却再生ガス導入配管6hを有している。
【0053】
加熱再生ガス導入配管6gは、窒素導出配管10hから導出される窒素ガスG5の一部を、温度を保持したまま、加熱された状態の再生ガスG2として、再生ガス導入配管6eに導入する。また、各再生ガス導入配管6a,6c,6e及び加熱再生ガス導入配管6gについては、再生ガスG2の熱損失を最小限に抑えるため、保温された状態となっている。
【0054】
一方、冷却再生ガス導入配管6hは、窒素導出配管10hから導出される窒素ガスG5の一部を、常温まで冷却した後、冷却された状態の再生ガスG2として、再生ガス導入配管6eに導入する。また、冷却再生ガス導入配管6hについては、再生ガスG2を常温まで冷却するため、十分な長さを確保したり、放熱フィンを設けたりしてもよい。
【0055】
また、再生ガス導入部6は、加熱再生ガス導入配管6gを開閉する第9の二酸化炭素除去側開閉弁8iと、冷却再生ガス導入配管6hを開閉する第10の二酸化炭素除去側開閉弁8jとを有している。
【0056】
充圧ガス導入部11は、上述した処理ガスG3から分離回収された窒素ガスG5の一部を充圧ガスG7として導入するため、一方の窒素酸素分離塔9Aの上部側配管9aから分岐された一方の充圧ガス導入配管11aを通して一方の窒素酸素分離塔9Aに充圧ガスG7を導入する。
【0057】
同様に、充圧ガス導入部11は、他方の窒素酸素分離塔9Bの上部側配管9aから分岐された他方の充圧ガス導入配管11bを通して他方の窒素酸素分離塔9Bに充圧ガスG7を導入する。
【0058】
さらに、一方の充圧ガス導入配管11aと他方の充圧ガス導入配管11bとは、互いに入側で連結されて充圧ガス導入配管11cを構成している。一方の充圧ガス導入配管11a、他方の充圧ガス導入配管11b及び充圧ガス導入配管11cは、窒素ガスG5の一部を充圧ガスG7として、温度と圧力とを保持したまま窒素酸素分離塔9A,9Bに導入する。また、各充圧ガス導入配管11a,11b,11cについては、充圧ガスG7の熱損失を最小限に抑えるため、保温された状態となっている。
【0059】
また、充圧ガス導入部11は、一方の充圧ガス導入配管11aを開閉する第7の窒素酸素分離側開閉弁14gと、他方の充圧ガス導入配管11bを開閉する第8の窒素酸素分離側開閉弁14hと、充圧ガス導出配管11cを開閉する第9の窒素酸素分離側開閉弁14iを有している。
【0060】
排ガス導出部12は、一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9bから分岐された一方の排ガス導出配管12aを通して一方の窒素酸素分離塔9Aから処理ガスG3及び窒素(N
2)を含む排ガスG8を導出する。
【0061】
同様に、排ガス導出部12は、他方の窒素酸素分離塔9Bの下部側配管9bから分岐された他方の排ガス導出配管12bを通して他方の窒素酸素分離塔9Bから処理ガスG3及び窒素(N
2)を含む排ガスG8を導出する。
【0062】
さらに、一方の排ガス導出配管12aと他方の排ガス導出配管12bとは、互いに出側で連結されて排ガス導出配管12cを構成している。
【0063】
また、排ガス導出配管12は、一方の排ガス導出配管12aを開閉する第10の窒素酸素分離側開閉弁14jと、他方の排ガス導出配管12bを開閉する第11の窒素酸素分離側開閉弁14kとを有している。
【0064】
なお、本実施形態の各処理ガス導入配管10a,10d,10g、各窒素排出配管10b,10e,10h、各酸素排出配管10c,10f,10i、各充圧ガス導入配管11a,11b,11c、各排ガス導出配管12a,12b,12c、各再生ガス導入配管6g,6hには、上述した各原料ガス導入配管5a,5c,5e、各処理ガス導出配管5b,5d,5f、各再生ガス導入配管6a,6c,6e、各排ガス導出配管6b,6d,6fと基本的に同じものを用いることができる。また、本実施形態の第1〜第11の窒素酸素分離側開閉弁14a〜14k、第9及び第10の二酸化炭素除去側開閉弁8i,8jには、上述した第1〜第8の二酸化炭素除去側開閉弁8a〜8hと基本的に同じものを用いることができる。
【0065】
減圧ポンプ13は、酸素導出配管10iに設けられて、窒素酸素分離塔9A,9B内を減圧(真空引き)する。本実施形態では、減圧ポンプ13として、ダイヤフラム式真空ポンプを用いているが、窒素酸素分離塔9A,9B内を減圧できるものであればよく、これ以外にも様々な方式の減圧ポンプを用いることが可能である。
【0066】
次に、上記酸素窒素供給装置1を用いた窒素及び酸素の製造方法について
図3〜
図7を参照して説明する。
本実施形態の酸素窒素供給装置1を用いた窒素及び酸素の製造方法では、先ず、二酸化炭素除去装置(二酸化炭素除去装置)2において、
図3に示すように、原料ガスG1となる大気中の空気(Air)から二酸化炭素(CO
2)を除去する。
【0067】
具体的に、この二酸化炭素除去装置2では、一方の二酸化炭素除去塔4Aが、原料ガスG1中に含まれる二酸化炭素(CO
2)を吸着剤S1に吸着して除去する二酸化炭素除去工程を行っている間、他方の二酸化炭素除去塔4Bが、吸着剤S1に吸着した二酸化炭素(CO
2)を脱離することによって、吸着剤S1を再生する吸着剤再生工程を行う。
【0068】
すなわち、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の二酸化炭素除去塔4Aの二酸化炭素除去工程として、加圧ポンプ7により常温の原料ガスG1を所定の圧力(本実施形態では200〜300kPaG程度)まで加圧した状態で、一方の二酸化炭素除去塔4Aに導入し、この原料ガスG1中に含まれる二酸化酸素(CO
2)を吸着剤S1に吸着して除去する。
【0069】
このとき、二酸化炭素除去装置2では、第1及び第2の二酸化炭素除去側開閉弁8a,8bを開放し、第5及び第6の二酸化炭素除去側開閉弁8e,8fを閉塞する。これにより、原料ガス導入配管5e及び一方の原料ガス導入配管5aを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aの下部側配管4b側から原料ガスG1が加圧された状態で導入される。
【0070】
一方の二酸化炭素除去塔4Aに導入された原料ガスG1は、一方の二酸化炭素除去塔4A内を通過する間に吸着剤S1によって、この原料ガスG1中に含まれる二酸化炭素(CO
2)が吸着されて除去される。二酸化炭素(CO
2)が除去された原料ガス(処理ガス)G3は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの上部側配管4a側から一方の処理ガス導出配管5b及び処理ガス導出配管5fを通して導出される。
【0071】
これに対して、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、他方の二酸化炭素除去塔4Bの再生工程として、後述する窒素酸素分離装置3において処理ガスG3から分離回収された窒素ガスG5の一部を再生ガスG2として、他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入する。
【0072】
このとき、二酸化炭素除去装置2では、加熱工程として、第7、第8及び第9の二酸化炭素除去側開閉弁8g,8h,8iを開放し、第3、第4及び第10の二酸化炭素除去側開閉弁8c,8d,8jを閉塞する。これにより、加熱再生ガス導入配管6g、再生ガス導入配管6e及び他方の再生ガス導入配管6cを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bの上部側配管4a側から加熱された状態の再生ガスG2が導入される。
【0073】
ここで、他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入される加熱された状態の再生ガスG2は、後述する窒素酸素分離塔9A,9Bから導出される高温の窒素(N
2)であるため、この高温の再生ガスG2により吸着剤S1を再生温度まで十分に加熱することができる。
【0074】
他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入された再生ガスG2は、他方の二酸化炭素除去塔4B内を通過する間に、吸着剤S1を再生温度まで加熱する。これより、吸着剤S1に吸着された二酸化炭素(CO
2)が脱離する。脱離された二酸化炭素(CO
2)を含む再生ガス(排ガス)G4は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの下部側配管4b側から他方の排ガス導出配管6d及び排ガス導出配管6fを通して導出される。
【0075】
加熱工程の後は、冷却工程として、冷却された状態の再生ガスG2を他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入する。このとき、二酸化炭素除去装置2では、第7、第8及び第10の二酸化炭素除去側開閉弁8g,8h,8jを開放し、第3、第4及び第9の二酸化炭素除去側開閉弁8c,8d,8iを閉塞する。これにより、冷却再生ガス導入配管6h、再生ガス導入配管6e及び他方の再生ガス導入配管6cを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bの上部側配管4a側から冷却された状態の再生ガスG2が導入される。
【0076】
冷却された状態の再生ガスG2は、他方の二酸化炭素除去塔4B内を通過する間に、吸着剤S1を常温まで冷却する。これより、吸着剤S1の二酸化炭素(CO
2)を吸着する能力を回復させ、この吸着剤S1を再生することができる。
【0077】
本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の二酸化炭素除去塔4Aにおいて、吸着剤S1の二酸化炭素(CO
2)を吸着する能力が低下したときに、
図4に示すように、他方の二酸化炭素除去塔4Bが二酸化炭素除去工程、一方の二酸化炭素除去塔4Aが吸着剤再生工程を行うように切り替える。そして、他方の二酸化炭素除去塔4Bが二酸化炭素除去工程を行っている間、一方の二酸化炭素除去塔4Aが再生工程を行う。
【0078】
すなわち、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、他方の二酸化炭素除去塔4Bの二酸化炭素除去工程として、加圧ポンプ7により常温の原料ガスG1を所定の圧力(本実施形態では200〜300kPaG)まで加圧した状態で、他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入し、この原料ガスG1中に含まれる二酸化酸素(CO
2)を吸着剤S1に吸着して除去する。
【0079】
このとき、二酸化炭素除去装置2では、第3及び第4の二酸化炭素除去側開閉弁8c,8dを開放し、第7及び第8の二酸化炭素除去側開閉弁8g,8hを閉塞する。これにより、原料ガス導入配管5e及び他方の原料ガス導入配管5cを通して他方の二酸化炭素除去塔4Bの下部側配管4b側から原料ガスG1が加圧された状態で導入される。
【0080】
他方の二酸化炭素除去塔4Bに導入された原料ガスG1は、他方の二酸化炭素除去塔4B内を通過する間に吸着剤S1によって、この原料ガスG1中に含まれる二酸化炭素(CO
2)が吸着されて除去される。二酸化炭素(CO
2)が除去された原料ガス(処理ガス)G3は、他方の二酸化炭素除去塔4Bの上部側配管4a側から他方の処理ガス導出配管5d及び処理ガス導出配管5fを通して導出される。
【0081】
これに対して、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の二酸化炭素除去塔4Aの再生工程として、後述する窒素酸素分離装置3において処理ガスG3から分離回収された窒素ガスG5の一部を再生ガスG2として、一方の二酸化炭素除去塔4Aに導入する。
【0082】
このとき、二酸化炭素除去装置2では、加熱工程として、第5、第6及び第9の二酸化炭素除去側開閉弁8e,8f,8iを開放し、第1、第2及び第10の二酸化炭素除去側開閉弁8a,8b,8jを閉塞する。これにより、加熱再生ガス導入配管6g、再生ガス導入配管6e及び一方の再生ガス導入配管6aを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aの上部側配管4a側から加熱された状態の再生ガスG2が導入される。
【0083】
一方の二酸化炭素除去塔4Aに導入された再生ガスG2は、一方の二酸化炭素除去塔4A内を通過する間に、吸着剤S1を再生温度まで加熱する。これより、吸着剤S1に吸着された二酸化炭素(CO
2)が脱離する。脱離された二酸化炭素(CO
2)を含む再生ガス(排ガス)G4は、一方の二酸化炭素除去塔4Aの下部側配管4b側から一方の排ガス導出配管6b及び排ガス導出配管6fを通して導出される。
【0084】
加熱工程の後は、冷却工程として、冷却された状態の再生ガスG2を一方の二酸化炭素除去塔4Aに導入する。このとき、二酸化炭素除去装置2では、第5、第6及び第10の二酸化炭素除去側開閉弁8e,8f,8jを開放し、第1、第2及び第9の二酸化炭素除去側開閉弁8a,8b,8iを閉塞する。これにより、冷却再生ガス導入配管6h、再生ガス導入配管6e及び一方の再生ガス導入配管6aを通して一方の二酸化炭素除去塔4Aの上部側配管4a側から冷却された状態の再生ガスG2が導入される。
【0085】
冷却された状態の再生ガスG2は、一方の二酸化炭素除去塔4A内を通過する間に、吸着剤S1を常温まで冷却する。これより、吸着剤S1の二酸化炭素(CO
2)を吸着する能力を回復させ、この吸着剤S1を再生することができる。
【0086】
以上のようにして、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、上述した一方の二酸化炭素除去塔4Aと他方の二酸化炭素除去塔4Bとの間で、二酸化炭素除去工程と再生工程とを交互に切り替えることで、原料ガスG1中に含まれる二酸化炭素(CO
2)を連続的に除去することが可能である。
【0087】
次に、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、
図3に示すように、熱交換器102において、上述したガラス溶解炉101(溶解室104)から排出される廃熱Hとの熱交換を行うことによって、二酸化炭素除去装置2の処理ガス導出配管5fより導出された処理ガスG3を加熱する。加熱された処理ガスG3は、処理ガス導入部10gを通じて窒素酸素分離装置3に供給される。
【0088】
次に、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、
図3に示すように、窒素酸素分離装置3において、上述した二酸化炭素除去装置2により二酸化炭素(CO
2)が除去された後、熱交換器102を通過することにより加熱された原料ガス(処理ガス)G3から窒素(N
2)と酸素(O
2)とを分離して回収する。
【0089】
具体的に、この窒素酸素分離装置3では、一方の窒素酸素分離塔9Aが、処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)を酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵することによって、一方の窒素酸素分離塔9Aから導出される窒素ガスG5を回収する窒素回収工程を行っている間、他方の窒素酸素分離塔9Bが、酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵した酸素(O
2)を脱離することによって、他方窒素酸素分離塔9Bから導出される酸素ガスG6を回収する酸素回収工程を行う。
【0090】
すなわち、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の窒素酸素分離塔9Aの窒素回収工程として、上述した加熱された処理ガスG3を一方の窒素酸素分離塔9Aに導入し、一方の窒素酸素分離塔9A内の酸素選択型吸蔵剤S2を所定の温度(本実施形態では200〜400℃程度)まで加熱した状態で、この処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)を酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵する。
【0091】
このとき、窒素酸素分離装置3では、第1及び第2の窒素酸素分離側開閉弁14a,14bを開放し、第3、第7及び第10の窒素酸素分離側開閉弁14c,14g,14jを閉塞する。これにより、処理ガス導入配管10g及び一方の処理ガス導入配管10aを通して一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9b側から処理ガスG3が加圧された状態のまま導入され、一方の窒素酸素分離塔9A内が200〜300kPaG程度に昇圧される。
【0092】
一方の窒素酸素分離塔9Aに導入された処理ガスG3は、一方の窒素酸素分離塔9A内を通過する間に酸素選択型吸蔵剤S2を所定の温度まで加熱することによって、この処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)が酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵され、窒素(N
2)と分離される。処理ガスG3から分離された窒素(N
2)は、一方の窒素酸素分離塔9Aの上部側配管9a側から一方の窒素導出配管10b及び窒素導出配管10hを通して導出され、高純度の製品窒素ガスG5として回収される。
【0093】
これに対して、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、他方の窒素酸素分離塔9Bの酸素回収工程として、減圧ポンプ13により他方の窒素酸素分離塔9B内を所定の圧力(本実施形態では10kPaA程度)まで減圧する。これにより、酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵した酸素(O
2)が脱離する。
【0094】
このとき、窒素酸素分離装置3では、第6の窒素酸素分離側開閉弁14fを開放し、第4、第5、第8及び第11の窒素酸素分離側開閉弁14d,14e,14h,14kを閉塞する。これにより、酸素選択型吸蔵剤S2から脱離された酸素(O
2)は、他方の窒素酸素分離塔9Bの下部側配管9b側から他方の酸素導出配管10f及び酸素導出配管10iを通して導出され、高純度の製品酸素ガスG6として回収される。また、酸素選択型吸蔵剤S2を再生することができる。
【0095】
本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の窒素酸素分離塔9Aにおいて、酸素選択型吸蔵剤S2の酸素(O
2)を吸蔵する能力が低下したときに、
図5に示すように、他方の窒素酸素分離塔9Bが窒素回収工程、一方の窒素酸素分離塔9Aが酸素回収工程を行うように切り替える。そして、他方の窒素酸素分離塔9Bが窒素回収工程を行っている間、一方の窒素酸素分離塔9Aが酸素回収工程を行う。
【0096】
すなわち、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、他方の窒素酸素分離塔9Bの窒素回収工程として、上述した加熱された処理ガスG3を他方の窒素酸素分離塔9Bに導入し、他方の窒素酸素分離塔9B内の酸素選択型吸蔵剤S2を所定の温度(本実施形態では200〜400℃程度)まで加熱した状態で、この処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)を酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵する。
【0097】
このとき、窒素酸素分離装置3では、第4及び第5の窒素酸素分離側開閉弁14d,14eを開放し、第6、第8及び第11の窒素酸素分離側開閉弁14f,14h,14kを閉塞する。これにより、処理ガス導入配管10g及び他方の処理ガス導入配管10dを通して他方の窒素酸素分離塔9Bの下部側配管9b側から処理ガスG3が加圧された状態のまま導入され、他方の窒素酸素分離塔9B内が200〜300kPaG程度に昇圧される。
【0098】
他方の窒素酸素分離塔9Bに導入された処理ガスG3は、他方の窒素酸素分離塔9B内を通過する間に酸素選択型吸蔵剤S2を上記温度まで加熱することによって、この処理ガスG3中に含まれる酸素(O
2)が酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵され、窒素(N
2)と分離される。処理ガスG3から分離された窒素(N
2)は、他方の窒素酸素分離塔9Bの上部側配管9a側から他方の窒素導出配管10e及び窒素導出配管10hを通して導出され、高純度の製品窒素ガスG5として回収される。
【0099】
これに対して、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、一方の窒素酸素分離塔9Aの酸素回収工程として、減圧ポンプ13により一方の窒素酸素分離塔9A内を(本実施形態では10kPaA程度)減圧する。これにより、酸素選択型吸蔵剤S2に吸蔵した酸素(O
2)が脱離する。
【0100】
このとき、窒素酸素分離装置3では、第3の窒素酸素分離側開閉弁14cを開放し、第1、第2、第7及び第10の窒素酸素分離側開閉弁14a,14b,14g,14jを閉塞する。これにより、酸素選択型吸蔵剤S2から脱離された酸素(O
2)は、一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9b側から一方の酸素導出配管10c及び酸素導出配管10iを通して導出され、高純度の製品酸素ガスG6として回収される。また、酸素選択型吸蔵剤S2を再生することができる。
【0101】
以上のようにして、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、上述した一方の窒素酸素分離塔9Aと他方の窒素酸素分離塔9Bとの間で、窒素回収工程と酸素回収工程とを交互に切り替えながら、処理ガスG3中に含まれる窒素(N
2)と酸素(O
2)とを連続的に分離して回収することが可能である。
【0102】
ここで、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、上述した窒素回収工程の後に、加圧された状態に窒素酸素分離塔9A,9B内の圧力を開放することで、大気圧まで脱圧する脱圧工程を行う。その後、酸素回収工程へと切り替えることが好ましい。
【0103】
一方、酸素回収工程から窒素回収工程に切り替える際には、窒素回収工程の前に窒素酸素分離塔9A,9B内に製品窒素ガスG5の一部を導入することで、窒素酸素分離塔9A,9B内を加圧する充圧工程を行う。その後、窒素回収工程へと切り替えることが好ましい。
【0104】
具体的に、上述した一方の窒素酸素分離塔9Aにおいて、窒素回収工程から酸素回収工程へと切り替える際は、
図6に示すように、一方の窒素酸素分離塔9Aの脱圧工程として、一方の窒素酸素分離塔9A内の圧力を開放する。
【0105】
このとき、窒素酸素分離装置3では、上記
図3に示す状態から、第10の窒素酸素分離側開閉弁14jを開放し、第1及び第2の窒素酸素分離側開閉弁14a,14bを閉塞する。また、他方の窒素酸素分離塔9Bの酸素回収工程において、酸素ガスG6の回収を継続する。
【0106】
これにより、一方の窒素酸素分離塔9A内の圧力が開放されて、一方の窒素酸素分離塔9A内の圧力が大気圧(常圧)となる。このとき、第10の窒素酸素分離側開閉弁14jを開放することによって、排ガス導出配管12aを通して一方の窒素酸素分離塔9Aの下部側配管9b側から排ガスG8が導出される。排ガスG8は、一方の窒素酸素分離塔9A内に残留している窒素(N
2)を含む処理ガスG3である。
【0107】
脱圧工程の後は、
図6に示す状態から、第7及び第8の窒素酸素分離側開閉弁14g,14hを開放し、第6及び第10の窒素酸素分離側開閉弁14f,14jを閉塞する。これにより、一方の充圧ガス導入配管11a及び他方の充圧ガス導入配管11bを通して他方の窒素酸素分離塔9Bの上部側配管9a側から一方の窒素酸素分離塔9A内に残留していた排ガスG8が導入されて、一方の窒素酸素分離塔9A内の圧力と他方の窒素酸素分離塔9B内の圧力とが均圧化される。また、一方の窒素酸素分離塔9Aでは、加圧状態から減圧状態へと移行することによって、内部の酸素濃度が上昇することになる。
【0108】
一方の窒素酸素分離塔9A内の圧力と他方の窒素酸素分離塔9B内の圧力とが均圧化された後は、
図7に示す状態へと切り替える。これにより、一方の窒素酸素分離塔9Aでは、酸素回収工程に切り替わり、この酸素回収工程の開始直後から、窒素(N
2)を含まない高純度の製品酸素ガスG6を回収することが可能である。
【0109】
これに対して、他方の窒素酸素分離塔9Bでは、製品窒素ガスG5の一部を充圧ガスG7として導入することで、窒素酸素分離塔9B内を加圧する充圧工程を行う。
【0110】
このとき、窒素酸素分離装置3では、上記
図6に示す状態から、第3、第8及び第9の窒素酸素分離側開閉弁14c,14h,14iを開放し、第6及び第10の窒素酸素分離側開閉弁14f,14jを閉塞する。これにより、他方の窒素酸素分離塔9B内が200〜300kPaG近くまで加圧される。
【0111】
その後、他方の窒素酸素分離塔9Bでは、上記
図5に示すように、窒素回収工程に切り替える。このとき、他方の窒素酸素分離塔9Bは、上述した充圧工程により内部が加圧された状態にあることから、酸素(O
2)の吸蔵が促進され、窒素回収工程の開始直後から、酸素(O
2)を含まない高純度の製品窒素ガスG5を回収することが可能である。また、一方の窒素酸素分離塔9Aの酸素回収工程において、酸素ガスG6の回収を継続する。
【0112】
また、他方の窒素酸素分離塔9Bでは、窒素回収工程から酸素回収工程へと切り替える際も、上述した一方の窒素酸素分離塔9Aの脱圧工程と同じ操作で、脱圧工程を行うことが可能である。
【0113】
同様に、一方の窒素酸素分離塔9Aでは、酸素回収工程から窒素回収工程へと切り替える際も、上述した他方の窒素酸素分離塔9Bの充圧工程と同じ操作で、充圧工程を行うことが可能である。
【0114】
以上のように、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、上述した前段の二酸化炭素除去装置2において、原料ガスG1となる大気中の空気(Air)から二酸化炭素(CO
2)を除去した後に、熱交換器102において、上述したガラス溶融炉101から排出される廃熱Hとの熱交換によって、処理ガスG3を加熱する。そして、上述した後段の窒素酸素分離装置3において、加熱された処理ガスG3を窒素酸素分離塔9A,9Bに導入し、窒素酸素分離塔9A,9B内の酸素選択型吸蔵剤S2を所定の温度(本実施形態では200〜400℃程度)まで加熱する。そして、この加熱された酸素選択型吸蔵剤S2を用いて、処理ガスG3から高純度の窒素ガスG5と酸素ガスG6とを分離して回収することが可能である。すなわち、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、酸素選択型吸蔵剤S2の性能を低下させることなく、空気中から高純度の窒素及び酸素を効率良く回収することが可能である。
【0115】
また、本実施形態の酸素窒素供給装置1では、上述した後段の窒素酸素分離装置3において分離回収された窒素ガスG5の一部を、前段の二酸化炭素除去装置2において吸着剤S1を再生する再生ガスG2として用いることから、この吸着剤S1の再生にかかる熱コストを無くすことが可能である。
【0116】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記酸素窒素供給装置1では、2つの二酸化炭素除去塔4A,4Bと2つの窒素酸素分離塔9A,9Bを備えた構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、窒素及び酸素の回収効率が下がるものの、1つの二酸化炭素除去塔と1つの窒素酸素分離塔とを備えた構成とすることも可能である。
【0117】
また、窒素及び酸素の回収効率を上げるため、窒素酸素分離塔の数を3つ以上に増やすことも可能である。
【0118】
この場合、複数の窒素酸素分離塔の間で、窒素回収工程と酸素回収工程とを順次切り替えることで、窒素及び前記酸素の回収を連続的に効率良く行うことが可能である。
【0119】
また、上記酸素窒素供給装置1では、上述した空気(Air)からの二酸化炭素(CO
2)の除去を温度スイング法(TSA)で行う二酸化炭素除去装置2を用いた場合を例示しているが、それ以外の方法によって空気(Air)中から二酸化炭素(CO
2)を除去する二酸化炭素除去装置を用いることも可能である。例えば、二酸化炭素(CO
2)を除去する方法としては、液吸収法、膜分離法、吸着法などを挙げることができる。
【0120】
また、上記熱回収型酸素窒素供給システム100では、酸素及び窒素を用いる設備として、上述したガラス溶解炉101を例示しているが、それ以外の酸素及び窒素を用いる設備としては、例えば、製鋼設備を挙げることができる。製鋼設備では、例えば、原料の搬送や、溶鉄等の撹拌、冷却などに窒素を使用している。一方、鋼の精錬などに酸素を使用している。さらに、酸素及び窒素を用いる設備としては、例えば、ごみ溶融炉などのごみ溶融設備などを挙げることができる。ごみ溶融炉では、燃焼用に酸素、保安用に窒素が使用されている。
【0121】
本発明は、このような酸素及び窒素を用いる設備に対して、上記酸素窒素供給装置1を幅広く適用することができ、このような設備から排出される熱を利用して、空気中に含まれる窒素及び酸素の分離回収を行うと共に、分離回収された窒素及び酸素の少なくとも一部を設備に供給することが可能である。