【文献】
European Journal of Lipid Science and Technology, 2012, Vol.114, pp.794-800
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、風味が濃厚な(コク味がある)冷凍菓子、および当該冷凍菓子用のミックスを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、特定量の米油を含有させることにより、上記課題が解決することを見出した。これにより、本発明は完成された。
【0007】
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)油脂中に、米油を4〜76質量%含有する、冷凍菓子用ミックス。
(2)上記油脂に占める、HHHの含有量が3〜32質量%である、(1)の冷凍菓子用ミックス(ただし、HおよびHHHは、
H:炭素数が16以上の飽和脂肪酸、
HHH:1分子のグリセリンに3分子のHが結合したトリグリセリド、
を意味する)。
(3)上記油脂に占める、H2Uの含有量が18〜60質量%である、(1)または(2)の冷凍菓子用ミックス(ただし、H2Uは、
H2U:1分子のグリセリンに2分子のHと1分子のUが結合したトリグリセリド、
を意味する)。
(4)上記油脂に占める、HU2の含有量が7〜46質量%である、(1)〜(3)の何れか1つの冷凍菓子用ミックス(ただし、HU2は、
HU2:1分子のグリセリンに1分子のHと2分子のUが結合したトリグリセリド、
を意味する)。
(5)上記油脂に占める、上記HU2の含有量に対する、上記H2Uの含有量の質量比(H2U/HU2)が1.0以上である、(1)〜(4)の何れか1つの冷凍菓子用ミックス。
(6)上記油脂中に、パーム系油脂を24〜96質量%含有する、(1)〜(5)の何れか1つの冷凍菓子用ミックス。
(7)(1)〜(6)の何れか1つの冷凍菓子用ミックスが、フリージングされた状態にある、冷凍菓子。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、コク味(濃厚感)がある冷凍菓子を提供できる。また、当該冷凍菓子用のミックスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、米油を4〜76質量%含有する。米油(米糠油ともいう)は、食用に適していれば、米油の白絞油、サラダ油、およびステアリンの何れであってもよく、これらを適宜混合して使用してもよい。ここで、米油の白絞油は、米糠から抽出された油が、食用に適するように精製されたものである。米油の白絞油は、高融点の油脂結晶などの固形分が析出し、白濁あるいは沈殿する場合がある。綿実白絞油から、脱ロウ工程により、固形分を取り除いたものが米サラダ油であり、取り除かれた固形分が米油のステアリンである。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める米油の含有量は、好ましくは9〜71質量%であり、より好ましくは14〜66質量%である。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める米油の含有量が上記範囲内にあると、当該ミックスから得られる冷凍菓子が、好ましいコク味(濃厚感)を有する。また、副次的な効果として、しつこくないまったり感がある。
【0010】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに含まれる米油は、γ−オリザノール含量の高いものが好ましい。例えば、日清オイリオグループ社製、商品名:日清おいしい米油(分析例:γ−オリザノール192mg/14g)が好適に使用できる。米油のγ−オリザノール含量は、0.2質量%以上が好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが更に好ましく1.0質量%以上であることが最も好ましい。γ−オリザノール含有量が0.2質量%以上である米油を使用すると、米油の配合量が少量であってもコク味の付与効果が大きいので好ましい。米油のγ−オリザノール含量の上限値は特に規定されるものではないが、実際上の産品としては2.0質量%が上限である。
【0011】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、HHHを3〜32質量%含有してもよい。ここで、Hは炭素数が16以上の飽和脂肪酸であり、HHHは1分子のグリセリンに3分子のHがエステル結合したトリグリセリドである。HHHを構成するHは、炭素数が16以上の飽和脂肪酸であれば同一の脂肪酸である必要はなく、任意の組合せでよい。Hは、好ましくは炭素数16〜22の直鎖飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の直鎖飽和脂肪酸である。HHHは、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは6〜29質量%含まれ、さらに好ましくは13〜27質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にHHHが上記範囲内で含まれると、当該ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味が増すとともに、副次的な効果として、冷凍菓子にボディー感が付与される。
【0012】
上記HHHは、HHHに占めるPPPの割合(PPP/HHH)が、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。HHHに占めるPPPの割合の上限は100質量%であるが、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。HHHに占めるPPPの割合が上記範囲内にあると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子の、油脂がHHHを多く含有することによる、口どけの悪化が抑制される。
【0013】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、H2Uを18〜60質量%含有してもよい。ここで、Uは炭素数が16以上の不飽和脂肪酸であり、H2Uは1分子のグリセリンに2分子のHと1分子のUがエステル結合したトリグリセリドである。Uは、好ましくは炭素数16〜22の直鎖不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数18の直鎖不飽和脂肪酸である。H2Uは、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは18〜50質量%含まれ、さらに好ましくは21〜40質量%含まれ、最も好ましくは23〜38質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にH2Uが上記範囲内で含まれると、当該ミックスをフリージングしたときに、HHH含有量が高くても口どけがよく、また、HHHと相乗して良好なボディー感を有する冷凍菓子が得られる。
【0014】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、HU2を7〜46質量%含有してもよい。ここで、HU2は1分子のグリセリンに1分子のHと2分子のUが結合したトリグリセリドである。HU2は、冷凍菓子用ミックスの油脂中に、より好ましくは7〜42質量%含まれ、さらに好ましくは12〜38質量%含まれ、最も好ましくは15〜35質量%含まれる。冷凍菓子用ミックスの油脂中にHU2が上記範囲内で含まれると、当該ミックスをフリージングしたときに、HHH含有量が高くても口どけがよく、また、HHHと相乗して良好なボディー感を有する冷凍菓子が得られる。
【0015】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、また、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める上記HU2の含有量に対する、上記H2Uの含有量の質量比(H2U/HU2)が好ましくは1.0以上である。H2U/HU2は、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上である。H2U/HU2の上限は特に設定されないが、2.0以下が適当である。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂のH2U/HU2が上記範囲内にあると、当該ミックスをフリージングしたときに、HHH含有量が高くても口どけがよく、また、HHHと相乗して良好なボディー感を有する冷凍菓子が得られる。
【0016】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、また、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める上記H2UとHU2の合計含有量(H2U+HU2)が、好ましくは25質量%以上である。H2U+HU2は、より好ましくは30〜75質量%であり、さらに好ましくは35〜70質量%であり、最も好ましくは40〜65質量%である。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂のH2U+HU2が上記範囲内にあると、当該ミックスをフリージングしたときに、HHH含有量が高くても口どけがよく、また、HHHと相乗して良好なボディー感を有する冷凍菓子が得られる。
【0017】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂を構成する脂肪酸Hの全量に占めるPの割合(P/H)が、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上である。ここで、Pはパルミチン酸を意味する。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂を構成する脂肪酸Hの全量に占めるPの割合が上記範囲内にあると、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂がHHHを多く含有することによる、口どけの悪化が抑制される。
【0018】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂を構成する脂肪酸全量に占めるUおよびMの割合(U+M)が、好ましくは30〜68質量%であり、より好ましくは32〜63質量%であり、さらに好ましくは34〜58質量%であり、最も好ましくは36〜54質量%である。ここで、Mは炭素数6〜12の脂肪酸であり、好ましくは直鎖の飽和脂肪酸である。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂を構成する脂肪酸全量に占めるUおよびMの割合が上記範囲内にあると、当該ミックスをフリージングしたときに、ボディー感を損なうことなく、口どけのよい冷凍菓子が得られる。
【0019】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに使用される油脂は、冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂が、米油を4〜76質量%含有するという条件を満たせば、特に制限されることはない。食用に適した任意の油脂を任意の組み合わせで使用できる。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレインおよびパームスーパーオレインなど)、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、乳脂、ラード、牛脂、魚油およびココアバター、ならびにこれらの油脂を、混合、分別、水素添加、エステル交換などから選ばれる一種もしくは二種以上の加工を行った油脂を使用してもよい。
【0020】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、パーム系油脂を含有してもよい。ここで、パーム系油脂とは、パーム油や、その加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)であり、より具体的には、パーム油、パーム油の1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)などが挙げられる。原料油脂として、パーム系油脂以外の油脂を含む加工油脂は、原料油脂に占めるパーム系油脂の含有量が70質量%以上(好ましくは80質量%以上)である場合パーム系油脂として扱う。冷凍菓子用ミックスにパーム系油脂が含まれると、冷凍菓子用ミックスをフリージングしたときに、オーバーランが出やすい。
【0021】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂中に、パーム系油脂の1つであるパームステアリンを含有してもよい。ここで、パームステアリンは、パーム油あるいはパーム分別油を原料油脂として、液体部分と固体部分に分別した固体(ステアリン)部分である。冷凍菓子用ミックスに含まれるパームステアリンのヨウ素価は、好ましくは20〜42であり、より好ましくは24〜38であり、さらに好ましくは26〜36である。パームステアリンは、ヨウ素価の異なる2種以上を配合し、上記ヨウ素価の範囲としてもよい。パームステアリンのヨウ素価が上記範囲内にあると、冷凍菓子用ミックスをフリージングしたときに、オーバーランが出やすく、かつ、副次的な効果としてボディー感のある冷凍菓子が得られる。
【0022】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、ラウリン系油脂を含有してもよい。ここで、ラウリン系油脂は、構成脂肪酸の全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上である油脂である。ラウリン系油脂として、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン及びパーム核ステアリンなどの分別油、これらを用いたエステル交換により得られる油脂、及び、これらの硬化油(例えば、パーム核極度硬化油、パーム核オレイン極度硬化油)が挙げられる。本発明の実施の形態においては、これらラウリン系油脂から選ばれる1種又は2種以上を用いてもよい。冷凍菓子用ミックスにラウリン系油脂が含まれると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子の口どけが良くなる。
【0023】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、また、上記パーム系油脂と上記ラウリン系油脂とを含む原料油脂をエステル交換したエステル交換油脂を含有してもよい。当該エステル交換油脂は、原料油脂中に、ラウリン系油脂とパーム系油脂とを質量比で、好ましくは25:75〜65:35、より好ましくは30:70〜60:40、さらに好ましくは35:65〜55:45含んでもよい。エステル交換油脂を調製するためのエステル交換反応としては、特に制限はなく、位置選択性の低いエステル交換反応である非選択的エステル交換(ランダムエステル交換)、位置選択性の高いエステル交換反応である選択的エステル交換(位置特異的エステル交換)のどちらでもよい。冷凍菓子用ミックスにエステル交換油脂が含まれると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味がます。なお、当該エステル交換油脂が、上記パーム系油脂もしくはラウリン系油脂の定義に合致する場合は、パーム系油脂もしくはラウリン系油脂として扱う。
【0024】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、乳脂を含有してもよい。本発明における乳脂は、いわゆる乳脂とその加工品を含むものであり、より具体的には、バター、バターオイルもしくはそれらの分別油、分別油の発酵物、発酵バター、発酵バターオイル、もしくは、それらの分別油などが挙げられ、それらの1種もしくは2種以上を任意に用いることができる。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂は、乳脂を、好ましくは2〜50質量%含有し、より好ましくは4〜30質量%含有し、さらに好ましくは5〜20質量%含有する。冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂に占める乳脂の含有量が上記範囲内にあると、冷凍菓子用ミックスをフリージングした冷凍菓子のコク味が、米油と乳脂のコク味が相乗して深みのある味わいとなる。
【0025】
本発明の実施の好ましい形態の1つに係わる冷凍菓子用ミックスは、また、油脂中に、上記、パーム系油脂、ラウリン系油脂、エステル交換油脂、および乳脂から選ばれる2種以上を含んでもよい。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂は、上記、パーム系油脂、ラウリン系油脂、エステル交換油脂、および乳脂から選ばれる1種以上を含む油脂を、好ましくは24〜96質量%含有し、より好ましくは29〜91質量%含有し、さらに好ましくは34〜86質量%含有する。
【0026】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、油脂を2〜20質量%含有してもよい。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックス中の油脂含量は、より好ましくは3〜16質量%であり、さらに好ましくは4〜14質量%である。
なお、本発明において冷凍菓子用ミックスに含まれる油脂の含有量は、ミックスに配合される含油成分中の油脂の含有量も含める。例えば、油脂の含有量が12質量%であるココアパウダーをミックス中に5質量%含む場合、ミックスに含まれる油脂に、ココアパウダー由来の油脂0.6質量%(=5×0.12)を含める。
【0027】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、上記油脂の他、通常冷凍菓子用ミックスに使用される、水、乳製品、糖類、乳化剤、安定剤、香料および呈味剤などを使用してもよい。上記乳製品としては、例えば、牛乳、脱脂乳、生クリーム、バター、脱脂粉乳、全脂粉乳、加糖全脂練乳、加糖脱脂粉乳、濃縮乳などが挙げられる。また、上記糖類としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化糖、水あめ、粉あめ、デキストリンなどが挙げられる。また、上記乳化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベートなどが挙げられる。上記安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムのようなガム類、コーンスターチ、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、微細セルロース、ゼラチン、寒天、ペクチンなどの他、リン酸塩のような塩類が挙げられる。上記呈味剤としては、カカオマス、ココアパウダー、果汁、果肉などが挙げられる。
【0028】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスは、一般的な水中油型乳化物の製造方法に従って製造できる。ミックスは、例えば、水に牛乳、生クリーム、バター、脱脂粉乳などの乳製品、砂糖、デキストリンなどの糖類、食用油脂、乳化剤および安定剤などを加熱溶解し、ホモジナイザー(均質機)にかけてエージングすることにより、調製できる。
【0029】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスを使用して得られる冷凍菓子である。本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、例えば、本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子用ミックスに、必要に応じて、香料、呈味剤等を添加してフリージングし、冷凍硬化工程を経て製造できる。
【0030】
本発明の実施の形態に係わる冷凍菓子は、乳等省令および公正競争規約で定められているところのアイスクリーム類の分類による、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスであることが好ましく、アイスミルク、ラクトアイスであることがより好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例の内容に限定されない。
【0032】
<測定方法>
以下に示す油脂の各脂肪酸含有量、各トリアシルグリセロール含有量およびヨウ素価は以下の方法により測定した。
油脂を構成する各脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96)に準拠した方法で測定した。
油脂を構成する各トリアシルグリセロールの含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993))に準拠した方法で測定した。
油脂のヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
冷凍菓子のオーバーラン(OR)は、以下の数式に従って測定した、
OR=(X−Y)/Y×100
(ここで、X:一定容積あたりの冷凍菓子用ミックスの重量(g)
Y:一定容積あたりのフリージング後の冷凍菓子の重量(g)である)
【0033】
<油脂の調製>
以下の食用油脂を準備した。
パーム油(PMO、ヨウ素価52、日清オイリオグループ株式会社製)
パーム中融点画分(PMF、ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社製)
パームステアリン(PS、ヨウ素価30、日清オイリオグループ株式会社製)
パームオレイン(PL、ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社製)
パームオレインエステル交換油(IEPL、ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社製)
極度硬化菜種油(FHPSO、ヨウ素価2以下、横関油脂工業株式会社製)
極度硬化パーム核油(FHPKO、ヨウ素価2以下、日清オイリオグループ株式会社製)
エステル交換油脂(IE34、60質量部のパーム油と40質量部のパーム核油の混合油のランダムエステル交換油脂、日清オイリオグループ株式会社製)
大豆油(SBO、日清オイリオグループ株式会社製)
菜種油(RSO、日清オイリオグループ株式会社製)
グレープシードオイル(GSO、日清オイリオグループ株式会社製)
ひまわり油(SNO、日清オイリオグループ株式会社製)
紅花油(SFO、日清オイリオグループ株式会社製)
米サラダ油1(RBO1、γ−オリザノール含有量0.2質量%、日清オイリオグループ株式会社社内製)
米サラダ油2(RBO2、γ−オリザノール含有量1.6質量%、日清オイリオグループ株式会社社内製)
バターオイル(AMF、日清オイリオグループ株式会社社内調製品)
【0034】
<冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製、評価1>
表1〜3の油脂配合に従って、油脂1〜21を調製した。表4の冷凍菓子用ミックスの配合に従って、油脂1〜21をそれぞれ使用した実施例1〜14および比較例1〜7のミックスを、以下の手順に従って調製した。さらに、調製したミックスを使用して、以下の手順に従ってアイスクリーム類を調製した。調製したアイスクリーム類について、風味、食感、および口どけについて、以下の基準に従って評価した。結果を表5〜7に示す。
【0035】
(冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製方法)
脱脂粉乳、水あめ、砂糖、水など、水相の成分を混合し、温度70℃まで撹拌昇温後、油相の成分を加え、さらに80℃まで昇温した。次いでホモゲナイザーを用いて微細均質化し、実施例1〜14および比較例1〜7のミックスを調製した。調製した各ミックスについて、アイスクリーマーを用いてフリージングを行い、オーバーランを80に調整した、実施例1〜14および比較例1〜7のアイスクリーム類を得た(オーバーランが80に到達しないものは、最大のオーバーランに調製した)。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
(風味、食感および口どけの評価方法)
−20℃で24時間保管したアイスクリーム類の風味、食感、および口どけについて、5人のパネルにより生食し、以下の評価基準に従って採点した。採点の合計値により、以下に示す基準に従って各項目を総合的に評価した。風味が「○」以上であり、その他の項目に「×」がないものを合格とした。
風味の評価基準
3・・・コク味が強く、まったり感がある
2・・・コク味がある
1・・・ふつう
0・・・あっさりとしている
食感の評価基準
3・・・滑らかでボディー感がある
2・・・ボディー感がある
1・・・ふつう
0・・・シャリシャリ感がある
口どけの評価基準
3・・・非常に口どけが良い
2・・・口どけが良い
1・・・ふつう
0・・・口どけが悪い
総合評価基準
採点合計 評価
13以上15以下 ◎(非常に良好)
9以上12以下 ○(良好)
5以上8以下 △(ふつう)
0以上4以下 ×(不良)
【0041】
【表5】
*1:アイスクリーム類に含まれる油脂のトリグリセリド構成
*2:アイスクリーム類に含まれる油脂の構成脂肪酸構成
*3:オーバーランは60
【0042】
【表6】
*1:アイスクリーム類に含まれる油脂のトリグリセリド構成
*2:アイスクリーム類に含まれる油脂の構成脂肪酸構成
【0043】
【表7】
*1:アイスクリーム類に含まれる油脂のトリグリセリド構成
*2:アイスクリーム類に含まれる油脂の構成脂肪酸構成
*3:コク味に深みがある
【0044】
<冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製、評価2>
表3の油脂18の配合に使用したRBO1をRBO2に変更した油脂18’を調製した。<冷凍菓子用ミックスおよび冷凍菓子の調製、評価1>と同様に、油脂18’を使用したアイスクリーム類を調製(実施例15)し、評価を行った。実施例15のアイスクリーム類の各種分析値、食感および口どけの評価は、油脂18を使用した実施例11と変わらなかったが、風味の評価は「◎」であった。