(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記開口部は、いずれも矩形状の開口により構成されており、これらの開口部の長手方向と前記短冊状マスクの長手方向が一致するように構成されている短冊状マスクを用いて、前記蒸発源によって成膜を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着方法。
前記短冊状マスクの長手方向と鉛直方向が一致するように、複数の前記短冊状マスクを位置決めさせた状態で、前記蒸発源によって成膜を施すことを特徴とする請求項1,2または3に記載の蒸着方法。
複数の前記開口部は、いずれも矩形状の開口により構成されており、これらの開口部の長手方向と前記短冊状マスクの長手方向が一致することを特徴とする請求項7または8に記載の蒸着装置。
前記マスク位置決め機構により配置される複数の前記短冊状マスクは、各短冊状マスクの長手方向が鉛直方向と一致していることを特徴とする請求項7,8または9に記載の蒸着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基板が大型化しても、膜ボケを抑制することのできる蒸着方法,電子デバイスの製造方法及び蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
本発明の蒸着方法は、
基板を直立した状態で位置決めさせ、かつ、基板における主面側に
、複数の短冊状マスクにより構成され
、かつこれら複数の短冊状マスクが、その長手方向を揃えて互いに隣接するように当該長手方向と垂直な方向に並設されて構成されるマスクを配置させて、これら基板及びマスクに対して移動する蒸発源によって、複数の前記短冊状マスクにそれぞれ形成されている複数の開口部を介して前記基板の主面に成膜を施す蒸着方法であって、
複数の前記開口部は、いずれも矩形状の開口により構成されており、
成膜を行う際には、前記開口部の長手方向と一致する方向に、前記蒸発源を移動させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の蒸着方法は、
基板を直立した状態で位置決めさせ、かつ、基板における主面側に
、複数の短冊状マスクにより構成され
、かつこれら複数の短冊状マスクが、その長手方向を揃えて互いに隣接するように当該長手方向と垂直な方向に並設されて構成されるマスクを配置させて、これら基板及びマスクに対して移動する蒸発源によって、複数の前記短冊状マスクにそれぞれ形成されている複数の開口部を介して前記基板の主面に成膜を施す蒸着方法であって、
前記蒸発源を前記短冊状マスクの長手方向に並ぶ列を作るように複数設けると共に、前記基板の主面と平行、かつ前記短冊状マスクの長手方向に対して垂直方向に、複数の前記蒸発源を移動させながら成膜を施すことを特徴とする。
【0010】
そして、本発明の電子デバイスの製造方法は、
蒸発源が設けられたチャンバ内に基板及びマスクを搬送させる工程と、
上記のいずれか一つに記載の蒸着方法を用いて、前記基板上に有機膜を形成させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の蒸着装置は、
基板を直立した状態で位置決めさせる基板位置決め機構と、
前記基板位置決め機構により位置決めされた基板における主面側に
、複数の短冊状マスクにより構成され
、かつこれら複数の短冊状マスクが、その長手方向を揃えて互いに隣接するように当該長手方向と垂直な方向に並設されて構成されるマスクを配置させるマスク位置決め機構と、
前記基板位置決め機構により位置決めされた基板の主面と平行、かつ直線的に蒸発源を移動させる蒸発源移動機構と、
を備え、
前記蒸発源移動機構により前記蒸発源を移動させながら、複数の前記短冊状マスクにそれぞれ形成されている複数の開口部を介して前記基板の主面に成膜を施す蒸着装置であって、
複数の前記開口部は、いずれも矩形状の開口により構成されると共に、
前記蒸発源移動機構による前記蒸発源の移動方向は、前記開口部の長手方向と一致する
ことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の他の蒸着装置は、
基板を直立した状態で位置決めさせる基板位置決め機構と、
前記基板位置決め機構により位置決めされた基板における主面側に
、複数の短冊状マスクにより構成され
、かつこれら複数の短冊状マスクが、その長手方向を揃えて互いに隣接するように当該長手方向と垂直な方向に並設されて構成されるマスクを配置させるマスク位置決め機構と、
前記基板位置決め機構により位置決めされた基板の主面と平行、かつ直線的に蒸発源を移動させる蒸発源移動機構と、
を備え、
前記蒸発源移動機構により前記蒸発源を移動させながら、複数の前記短冊状マスクにそれぞれ形成されている複数の開口部を介して前記基板の主面に成膜を施す蒸着装置であって、
前記蒸発源は、前記短冊状マスクの長手方向に並ぶ列を作るように複数設けられると共に、
前記蒸発源移動機構により複数の前記蒸発源が移動する方向は、前記短冊状マスクの長手方向に対して垂直方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、基板が大型化しても、膜ボケを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
本発明の実施例に係る蒸着方法は、蒸発源が鉛直方向に移動するように構成されている蒸着装置、または、蒸発源が水平方向に移動するように構成されている蒸着装置に適用され得る。まず、これらの蒸着装置(前者を実施例1、後者を実施例2とする)について、それぞれ説明する。なお、以下の説明において、基板の主面とは、基板において、成膜が施される面をいう。また、蒸着装置においては、基板の主面側にマスクが配置され、かつ、マスクを挟んで基板とは反対側に蒸発源が配される。以下の説明において、基板側からマスク及び蒸発源に向かって各種構成を見た場合を「正面側から見た」ものとし、その反対側から各種構成を見た場合を「背面側から見た」ものとする。
【0017】
<蒸着装置の実施例1>
図1〜
図8を参照して、本発明の実施例1に係る蒸着装置について説明する。
図1〜
図3は本発明の実施例1に係る蒸着装置の概略構成図であり、蒸着装置の主要構成を概略的に示した図である。なお、
図1は蒸着装置を上方から見た図であり、
図2は蒸着装置を背面側から見た図であり、
図3は蒸着装置を側面側から見た図である。
図4は本発明の実施例1に係る基板位置決め機構の説明図であり、同図(a)は蒸着装置内の基板及び基板の位置決め機構について蒸着装置の背面側から見た図であり、同図(b)は蒸着装置内の基板及び基板の位置決め機構を蒸着装置の側面側から見た図である。
図5及び
図6は本発明の実施例1に係るマスク位置決め機構の説明図である。
図5(a)は蒸着装置内のマスク位置決め機構について蒸着装置の背面側から見た図であり、
図5(b)は蒸着装置内のマスク位置決め機構について蒸着装置の側面側から見た図である。
図6は短冊状マスクの取り付け方を示した図である。
図7及び
図8は本発明の実施例1に係る蒸発源の概略構成図であり、蒸発源の主要構成を概略的に示した図である。なお、
図7は蒸発源を上方から見
た図であり、
図8は蒸発源を正面側から見た図である。
【0018】
蒸着装置10は、不図示の真空ポンプによって、内部が真空に近い状態になるように構成されるチャンバ100と、チャンバ100の内部に配置される蒸発源装置400とを備えている。チャンバ100の内部においては、基板200が直立した状態で位置決めされるように構成され、かつ、基板200における主面側にマスク300が配置されるように構成されている。蒸発源装置400は、基板200に蒸着させる物質の材料を加熱することで、当該材料を蒸発又は昇華させて、蒸発又は昇華させた材料Oを基板200に向けて噴射する役割を担っている。
【0019】
ここで、各図において、矢印X,Yは水平方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示している。また、矢印Yは基板200の主面に対する法線方向であって、蒸発源装置400から基板200に向かう方向を示し、矢印Xは当該方向に対して垂直な方向を示している。
【0020】
<<基板位置決め機構>>
特に、
図4を参照して、基板200の位置決め機構について説明する。基板200は、矢印X方向に対して往復動自在に構成された基板フレーム210に固定される。基板フレーム210の下端にはガイド棒220が固定され、上端にはガイドレール240が固定されている。ガイド棒220は、X方向に一列に並ぶように配置された複数の第1ガイドローラ230によって、案内されながら移動可能に構成されている。また、ガイドレール240は、X方向に一列に並ぶように配置された複数の第2ガイドローラ250によって、案内されながら移動可能に構成されている。更に、第1ガイドローラ230,ガイド棒220,ガイドレール240及び第2ガイドローラ250は、鉛直方向に一列に並ぶように配置されている。以上のような構成により、基板フレーム210に固定された基板200は、鉛直方向に直立した状態で位置決めされ、かつ、矢印X方向に往復移動することができる。
【0021】
<<マスク位置決め機構>>
特に、
図5及び
図6を参照して、マスク300の位置決め機構について説明する。マスク300は、矢印X方向に対して往復動自在に構成されたマスクフレーム320に固定される。マスクフレーム320の下端にはガイド棒330が固定され、上端にはガイドレール360が固定されている。ガイド棒330は、X方向に一列に並ぶように配置された複数の第3ガイドローラ340によって、案内されながら移動可能に構成されている。また、ガイドレール360は、X方向に一列に並ぶように配置された複数の第4ガイドローラ370によって、案内されながら移動可能に構成されている。更に、第3ガイドローラ340,ガイド棒330,ガイドレール360及び第4ガイドローラ370は、鉛直方向に一列に並ぶように配置されている。以上のような構成により、マスクフレーム320に固定されたマスク300は、鉛直方向に直立した状態で位置決めされ、かつ、矢印X方向に往復移動することができる。
【0022】
また、複数の第3ガイドローラ340及び第4ガイドローラ370は、それぞれ第1アライメント機構350及び第2アライメント機構380によって、位置調整が行われるように構成されている。これにより、マスクフレーム320は、X方向と、Z方向と、XZ面内において回転する方向について、それぞれ位置調整できるように構成されている。このようなアライメント調整を行うための機構については、例えば、特開2012−72478号公報及び特開2012−140671号公報に開示されているように公知技術であるので、その詳細説明は省略する。以上のように、第1アライメント機構350及び第2アライメント機構380によって、マスクフレーム320の位置を調整できるため、基板200に対するマスク300の位置合わせを行うことができる。
【0023】
そして、本実施例に係るマスク300は、複数の短冊状マスク310により構成される。この構成について、特に、
図6を参照して説明する。マスクフレーム320は、外形が矩形で、かつ中央に矩形の孔321が設けられた板状部材により構成されている。このように構成されるマスクフレーム320に対して、複数の短冊状マスク310が互いに隣接するように固定される。なお、それぞれの短冊状マスク310は、短冊状マスク310の長手方向に引っ張られた状態で、その両端がそれぞれマスクフレーム320に溶接などにより固定される。また、複数の短冊状マスク310には、それぞれ複数の開口部311が設けられている。これら複数の開口部311は、いずれも矩形状の開口により構成されている。
【0024】
<<蒸発源装置>>
特に、
図1〜
図3,
図7及び
図8を参照して、蒸発源装置400について説明する。蒸発源装置400は、複数の蒸発源413を備える蒸発源ユニット410と、蒸発源ユニット410の両側にそれぞれ備えられる一対のリニアガイド420及び一対のボールねじ430と、蒸発源ユニット410に接続された大気アーム440と、ボールねじ430を回転させる駆動機構450とを備えている。駆動機構450は、モータなどの駆動源と、駆動源からの動力をボールねじ430に伝達させる複数の歯車などにより構成されている。この駆動機構450によりボールねじ430を回転させることによって、蒸発源ユニット410をリニアガイド420に沿って往復移動させることができる。また、大気アーム440の内部は大気状態に保たれている。この大気アーム440の内部には、蒸発源413に接続される各種信号線や水冷用流路などが設けられている。ただし、大気アーム440の代わりに連結ベローズを設ける構成を採用することもできる。
【0025】
蒸発源ユニット410は、複数のケース411と、それぞれのケース411の端部に設けられる水晶モニタ412と、それぞれのケース411の内部に一列に設けられる複数の蒸発源413とを備えている。蒸発源413は、
図8中の丸で囲んだ部分に拡大して示すように、材料を気化させるための坩堝413aと、気化された材料を溜める材料溜め413bと、気化された材料を噴射するノズル413cとを備えている。また、本実施例においては、ケース411が鉛直方向に3列並べて配置されており、上下のケース411に備えられる蒸発源413はドーパント材料を噴射するように利用され、真ん中のケース411に備えられる蒸発源413はホスト材料を噴射するように利用される。なお、本実施例においては、上下の蒸発源413によりドーパント材料を噴射させ、真ん中の蒸発源413によりホスト材料を噴射させる場合を示しているが、これは一例に過ぎず、各蒸発源により噴射させる材料はこれに限られない。水晶モニタ412は、基板200に形成された膜の厚みを間接的に計測する役割を担っている。
【0026】
以上のように構成される蒸発源装置400により、本実施例の場合には、蒸発源ユニット410が鉛直方向に移動しながら基板200への蒸着が行われる。なお、
図2及び
図3においては、蒸着前の待機状態の位置にある蒸発源ユニット410Xを点線にて示している。また、
図2中、範囲Fは、蒸着を行う際の蒸発源ユニット410の移動範囲を示している。図示の通り、基板200及びマスク300の鉛直方向の下端よりも下方の位置から、基板200及びマスク300の鉛直方向の上端よりも上方の位置まで蒸発源ユニット410は移動するように構成されている。これにより、基板200に対して所望の位置に一定の厚みの膜を形成させることが可能となる。また、蒸発源ユニット410の横幅L1は、マスク300の横幅(複数の短冊状マスク310の横幅の合計)L2よりも小さくなるように構成されている(
図1参照)。すなわち、本実施例に係る蒸発源ユニット410においては、
図7及び
図8に示すように、幅方向外側に配置される蒸発源413のノズル413cは外側を向き、幅方向内側に配置される蒸発源413のノズル413cは内側を向くように構成されている。これにより、複数の蒸発源413から噴射される材料は、蒸発源ユニット410の横幅よりも広い範囲に万遍なく噴射される。従って、上記の通り、横
幅L1<横幅L2であっても、基板200における所望の位置に、一定の厚みの膜を形成させることができる。
【0027】
<電子デバイスの製造方法>
上記の蒸着装置及び蒸着方法を用いて、電子デバイスを製造する方法について説明する。ここでは、電子デバイスの一例として、ディスプレイ装置などに用いられる有機ELの場合を例にして説明する。有機ELを製造する工程においては、少なくとも、基板及びマスクを搬送する工程と、基板上に有機膜を形成する工程と、有機膜を形成する工程の後に金属膜を形成する工程とを有している。以下、これらの工程について説明する。
【0028】
<<搬送工程>>
まず、上記の基板位置決め機構によって、基板200がチャンバ100の内部に搬送される。そして、基板200は直立した状態で位置決めされる。次に、マスク位置決め機構によって、マスク300がチャンバ100の内部に搬送される。そして、マスク300は、基板200に対してアライメント調整が行われる。これにより、基板200における主面側に複数の短冊状マスク310により構成されるマスク300が配置された状態となる。なお、本実施例においては、チャンバ100の内部で、基板200に対してマスク300のアライメント調整を行う場合の構成を採用したが、チャンバの外部でアライメント調整を行った後に、基板及びマスクをチャンバの内部に搬送させる構成も採用し得る。
【0029】
<<有機膜の成膜工程>>
基板200及びマスク300がチャンバ100の内部で位置決めされた状態で、蒸発源ユニット410が基板200及びマスク300(複数の短冊状マスク310)に対して鉛直方向に移動しながら蒸着が施される。すなわち、蒸発源ユニット410に備えられている複数の蒸発源413から気化された材料が噴射されて、複数の短冊状マスク310にそれぞれ形成されている複数の開口部311を介して基板200の主面に成膜が施される。
【0030】
なお、ディスプレイ装置などに用いられる有機ELを製造する場合には、以上の搬送工程、及び有機膜の成膜工程が少なくとも3回繰り返される。すなわち、当該有機ELの場合、赤の画素用の有機膜と、緑の画素用の有機膜と、青の画素用の有機膜を基板200に形成させる必要がある。
図9は基板200Xの一部拡大図と、マスク300X,300Y,300Zの一部拡大図を示している。図示のように赤の画素用の有機膜Rと、緑の画素用の有機膜Gと、青の画素用の有機膜Bとを並べて、基板200X上に形成させる必要がある。そこで、赤の画素用のマスク300Xを用いて、赤の画素に応じた材料により有機膜Rを形成した後に、緑の画素用のマスク300Yを用いて、緑の画素に応じた材料により有機膜Gを形成し、その後、青の画素用のマスク300Zを用いて、青の画素に応じた材料により有機膜Bを形成する必要がある。勿論、赤,緑,青の順序はこの順序に限られることはない。以上のように、3種類の有機膜R,G,Bを成膜する必要があるため、上記の搬送工程と有機膜の成膜工程を少なくとも3回繰り返す必要がある。
【0031】
<<金属膜の成膜工程>>
基板200上に、3種類の有機膜R,G,Bが形成された後に、これらの有機膜R,G,B上に、電子輸送層や電子注入層などが成膜される。その後、更に金属膜の蒸着が施される。これにより、これらの有機膜R,G,B上に電子輸送層などが形成され、更にその上に金属膜が形成される。なお、金属膜の蒸着方法については、上記の有機膜を蒸着する際と同様の蒸着方法を採用することもできるし、他の公知技術を採用することもできる。
【0032】
(蒸着装置の実施例2)
図10〜
図12には、本発明の実施例2に係る蒸着装置が示されている。上記実施例1では、蒸発源ユニット(蒸発源)を鉛直方向に移動させながら蒸着を行う場合の構成につ
いて示したが、本実施例においては、蒸発源ユニット(蒸発源)を水平方向に移動させながら蒸着を行う場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0033】
図10〜
図12は本発明の実施例2に係る蒸着装置の概略構成図であり、蒸着装置の主要構成を概略的に示した図である。なお、
図10は蒸着装置を上方から見た図であり、
図11は蒸着装置を背面側から見た図であり、
図12は蒸着装置を側面側から見た図である。
【0034】
本実施例に係る蒸着装置10Aにおいても、チャンバ100と、チャンバ100の内部に配置される蒸発源装置400とを備えている。また、チャンバ100の内部において、基板200が直立した状態で位置決めされるように構成され、かつ、基板200における主面側にマスク300が配置されるように構成される点についても、上記実施例1の場合と同様である。また、
図10〜
図12においても、矢印X,Yは水平方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示している。また、矢印Yは基板200の主面に対する法線方向であって、蒸発源装置400から基板200に向かう方向を示し、矢印Xは当該方向に対して垂直な方向を示している。
【0035】
基板位置決め機構及びマスク位置決め機構については、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。また、蒸発源装置400については、基本的な構成は上記実施例1の構成と同一であるので、その詳細な説明は省略する。ただし、本実施例に係る蒸発源装置400の場合には、蒸発源ユニット410が鉛直方向ではなく、水平方向(
図10及び
図11中、X方向)に往復動自在に構成されている点のみが、上記実施例1の構成と異なっている。蒸発源装置400を構成する各種部材の構成及び動作については、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。なお、上記実施例1の場合には、複数の蒸発源413は水平方向に一列に並ぶように配置されるが、本実施例の場合には、複数の蒸発源413は鉛直方向に一列に並ぶように配置される。
【0036】
本実施例に係る蒸発源装置400の場合には、上記の通り、蒸発源ユニット410が水平方向に移動しながら基板200への蒸着が行われる。なお、
図10及び
図11においては、蒸着前の待機状態の位置にある蒸発源ユニット410Xを点線にて示している。また、
図11中、範囲Fは、蒸着を行う際の蒸発源ユニット410の移動範囲を示している。
図11に示す通り、基板200及びマスク300における水平方向の図中左端よりも左側の位置から、基板200及びマスク300の水平方向の図中右端よりも右側の位置まで蒸発源ユニット410は移動するように構成されている。これにより、基板200に対して所望の位置に一定の厚みの膜を形成させることが可能となる。また、蒸発源ユニット410の横幅L1が、マスク300の横幅(複数の短冊状マスク310の横幅の合計)L2よりも小さくなるように構成されている点(
図12参照)については、上記実施例1の場合と同様である。
【0037】
本実施例に係る蒸着装置10Aを用いて、電子デバイスを製造する方法については、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0038】
<膜ボケの抑制効果についての考察>
短冊状マスク310に設けられた矩形状の開口部311の長手方向D1と、蒸発源413の移動方向D2と、短冊状マスク310の長手方向D3との関係が、膜ボケの抑制効果に与える影響について考察した結果を説明する。
【0039】
蒸発源413は、基板200の主面に対して平行かつ直線的に移動するように構成され
る。つまり、蒸発源413は、短冊状マスク310の表面に平行かつ直線的に移動するように構成される。また、蒸発源413については、実施例1に係る蒸着装置10が用いられた場合には鉛直方向に移動し、実施例2に係る蒸着装置10Aが用いられた場合には水平方向に移動する。従って、開口部311の長手方向D1と短冊状マスク310の長手方向D3についても、鉛直方向に向くか、水平方向に向くかの2通りが考えられる。従って、上記の3種類の方向D1,D2,D3は、いずれも鉛直方向か水平方向の2通りとなるため、これらの組み合わせは合計8通り考えられる。
【0040】
次に、各部の方向の組み合わせ条件について、それぞれ膜ボケの抑制効果に与える影響の考察結果を説明する。
【0041】
<<条件1>>
矩形状の開口部311の長手方向D1と、蒸発源413の移動方向D2との関係が、膜ボケの抑制効果に与える影響についての考察結果について、
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は開口部と蒸発源との位置関係に伴う成膜の精度についての説明図であり、
図14は開口部の長手方向と蒸発源の移動方向との関係を示す説明図である。
【0042】
基板200とマスク300は、互いに密接することが望ましい。しかしながら、一般的には、各構成の自重による変形などによって、
図13に示すように、基板200とマスク300との間には微小な隙間Sが生じてしまう。従って、基板200の主面の面方向において、蒸発源の位置が、マスク300に形成されている開口部311から離れているほど、膜ボケが生じ易い。すなわち、
図13中、開口部311から比較的近い距離に位置する蒸発源413Aから開口部311を通って基板200の主面に向かって噴射される材料の入射角度よりも、開口部311から比較的遠い距離に位置する蒸発源413Bから開口部311を通って基板200の主面に向かって噴射される材料の入射角度の方が小さくなる。前者の場合には、所望の位置よりも
図13中T1だけ、成膜位置の位置ずれが発生し得るのに対して、後者の場合には、所望の位置よりも
図13中T2(T2>T1)だけ、成膜位置の位置ずれが発生し得る。従って、後者の方が、膜厚が不安定になり易く、膜ボケが生じ易い。
【0043】
ここで、基板200には、開口部311の形状及び寸法に応じた矩形の膜が形成される。基板200に形成される矩形の膜については、長手方向の寸法精度よりも短手方向の寸法精度を高めることが重要な場合が多い。この点について、上記のディスプレイ装置などに用いられる有機ELの場合を例にして説明する。上記の通り、基板200Xには、赤の画素用の有機膜Rと、緑の画素用の有機膜Gと、青の画素用の有機膜Bとが並べて形成される。そして、これらの有機膜R,G,Bは短手方向が隣り合うように、基板200Xに形成される。従って、これら有機膜R,G,Bの短手方向の寸法精度が低いと、ディスプレイ装置などにおいては、混色が発生したり、輝度が低下してしまったりする現象が生じてしまう。これに対して、有機膜R,G,Bの長手方向の寸法精度が低下しても、そのような問題は殆ど発生しない。
【0044】
以上より、矩形状の開口部311の長手方向D1と、蒸発源413の移動方向D2とを一致させる(この場合を「条件1」とする)のが望ましいと考えられる。この点について、
図14を参照して、より詳細に説明する。
図14(a)は条件1を満たす場合を示し、
図14(b)は条件1を満たさない場合(矩形状の開口部311の長手方向D1と、蒸発源413の移動方向D2が直交する場合)を示している。上記実施例1,2の説明から分かるように、蒸発源413の移動範囲Fは、短冊状マスク310の長手方向よりも広い範囲となる。そのため、例えば、
図14(b)中、移動範囲Fの最も端に位置する蒸発源ユニット410cから最も離れた位置にある開口部311Xまでの距離は大分長くなる。そのため、この開口部311Xを通って基板200に噴射される材料により形成される矩形
状の有機膜については、短手方向の寸法精度が低下してしまう。これに対して、条件1を満たす場合には、
図14(a)中、移動範囲Fの最も端に位置する蒸発源ユニット410cから最も離れた位置にある開口部311Yまでの距離は大分長くなる。しかしながら、この開口部311Yを通って基板200に噴射される材料により形成される矩形状の有機膜については、短手方向の寸法精度に影響することは殆どない。従って、条件1を満たす方が、膜ボケが生じ難いと考えられる。また、開口部311の長手方向311に沿って、蒸発源413を移動させた方が、開口部311の長手方向311に対して垂直に横切るように蒸発源413を移動させる場合に比べて、膜厚を一定にすることができる。このような観点からも、条件1を満たす方が、膜ボケが生じ難い。
【0045】
<<条件2>>
矩形状の開口部311の長手方向D1と、短冊状マスク310の長手方向D3との関係が、膜ボケの抑制効果に与える影響についての考察結果について、
図15を参照して説明する。
図15は開口部の長手方向と短冊状マスクの長手方向との関係を示す説明図である。
【0046】
上記のマスク位置決め機構の中で説明した通り、短冊状マスク310は、短冊状マスク310の長手方向に引っ張られた状態で、その両端がそれぞれマスクフレーム320に溶接などにより固定される。そのため、短冊状マスク310に形成されている複数の開口部311にも引っ張り力の影響が生じ得る。矩形の開口部311に対して長手方向に引っ張り力が作用しても開口部311は変形し難いのに対して、短手方向に引っ張り力が作用した場合には開口部311は変形し易い。
【0047】
以上より、矩形状の開口部311の長手方向D1と、短冊状マスク310の長手方向D3とを一致させる(この場合を「条件2」とする)のが望ましいと考えられる。
図15(a)は条件2を満たす場合を示し、
図15(b)は条件2を満たさない場合(矩形状の開口部311の長手方向D1と、短冊状マスク310の長手方向D3が直交する場合)を示している。
図15(b)中、開口部311の一部を拡大した図に示すように、条件2を満たさない場合には、開口部311を比較的大きく変形してしまうおそれがある。従って、条件2を満たす方が、膜ボケが生じ難いと考えられる。
【0048】
<<条件3>>
短冊状マスク310の長手方向D3と鉛直方向との関係が、膜ボケの抑制効果に与える影響についての考察結果について、
図16を参照して説明する。
図16は短冊状マスクの長手方向と鉛直方向との関係を示す説明図である。
【0049】
短冊状マスク310は、その自重の影響により変形してしまうおそれがある。従って、短冊状マスク310の長手方向D3と、鉛直方向とを一致させる(この場合を「条件3」とする)のが望ましいと考えられる。
図16(a)は条件3を満たす場合を示し、
図16(b)は条件3を満たさない場合(短冊状マスク310の長手方向D3と、水平方向とが一致する場合)を示している。
【0050】
条件3を満たす場合には、短冊状マスク310は、その自重による変形量は小さい。これに対して、条件3を満たさない場合には、短冊状マスク310は、その中央付近が自重(矢印G参照)により鉛直方向下方に向かって突き出すように変形してしまう。これにより、この短冊状マスク310に形成されている開口部311も変形してしまうため、膜ボケが生じ易いと考えられる。従って、条件3を満たす方が、膜ボケが生じ難いと考えられる。
【0051】
<<条件4>>
短冊状マスク310の長手方向D3と、蒸発源413の移動方向D2との関係が、膜ボケの抑制効果に与える影響についての考察結果について、
図17を参照して説明する。
図17は短冊状マスクの長手方向と蒸発源の移動方向との関係を示す説明図である。
【0052】
蒸発源413は発熱するため、短冊状マスク310は蒸発源413によって加熱される。そのため、短冊状マスク310の一部が局所的に加熱されてしまうと、短冊状マスク310が湾曲するように変形してしまい、膜ボケが生じ易くなってしまう。従って、短冊状マスク310の長手方向D3と、蒸発源413の移動方向D2とを垂直にする(この場合を「条件4」とする)のが望ましいと考えられる。つまり、基板200の主面と平行、かつ短冊状マスク310の長手方向D3に対して垂直方向に、蒸発源ユニット410(短冊状マスク310の長手方向D3に並ぶ列を作るように複数設けられた蒸発源413)を移動させながら成膜を施すのが望ましいと考えられる。
【0053】
これにより、短冊状マスク310は、その長手方向D3の全体が、一様に蒸発源413によって加熱されるため、短冊状マスク310の一部が局所的に加熱されてしまうことが抑制される。そのため、短冊状マスク310が湾曲するように変形してしまうことが抑制される。これに対して、短冊状マスク310の長手方向D3と、蒸発源413の移動方向D2とを一致させると、短冊状マスク310は、一端側から他端側に向かって、蒸発源413により加熱される箇所が移動することになる。これにより、短冊状マスク310は、一部が局所的に加熱されてしまい、湾曲するように変形してしまうおそれがある。従って、条件4を満たす方が、膜ボケが生じ難いと考えられる。
【0054】
<<総合的な考察結果>>
図18を参照して、総合的な考察結果について説明する。
図18は、矩形状の開口部311の長手方向D1と、蒸発源413の移動方向D2と、短冊状マスク310の長手方向D3が、それぞれ鉛直方向であるか水平方向であるかについてと、条件1〜条件4を満たすか否かをまとめた表である。なお、条件を満たすケースについては○を記入し、条件を満たさないケースについては×を記入している。また、ケース1〜8については、条件1,条件2,条件3の順に優先順位を重みづけして、優先順位の高い順に並べている。そして、判定については、条件1〜条件4のうち、2つ以上の条件を満たすケースについては、合格(OK)とした。その結果、ケース7とケース8は不合格(NG)となった。