(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒が吸着しにくいめっき不可材料部分と、前記めっき不可材料部分よりも前記触媒が吸着しやすいめっき可能材料部分とが表面に露出するように形成された基板を準備する工程と、
前記基板に対して触媒付与処理を行うことにより、前記めっき可能材料部分に対して選択的に前記触媒を付与する工程と、
前記基板に対してめっき処理を施すことにより、前記めっき可能材料部分に対して選択的にめっき層を形成する工程とを備え、
前記触媒を付与する工程の前に、前記基板に対して前記めっき不可材料部分に前記触媒が付着することを抑制する作用をもつ有機液を供給することにより、前記基板上の前記めっき不可材料部分と前記めっき可能材料部分とに有機膜を形成する工程が設けられており、
前記触媒を付与する工程の後、前記めっき層を形成する工程の前に、前記基板を洗浄処理して前記有機膜を除去する工程が設けられており、
前記めっき不可材料部分は、SiO2を主成分とする材料からなり、
前記めっき可能材料部分は、OCHx基およびNHx基のうちの少なくとも一方を含む材料、Si系材料を主成分とした金属材料、触媒金属材料を主成分とする材料、又は、カーボンを主成分とした材料のいずれかからなり、
前記有機液は、ポリビニルピロリドンの溶液であることを特徴とするめっき処理方法。
触媒が吸着しにくいめっき不可材料部分と、前記めっき不可材料部分よりも前記触媒が吸着しやすいめっき可能材料部分とが表面に露出するように形成された基板を保持する基板保持部と、
前記基板に対して触媒付与処理を行うことにより、前記めっき可能材料部分に対して選択的に前記触媒を付与する触媒付与部と、
前記基板に対してめっき液を供給することにより、前記めっき可能材料部分に対して選択的にめっき層を形成するめっき液供給部と、
前記基板に対して前記めっき不可材料部分に前記触媒が付着することを抑制する作用をもつ有機液を供給することにより、前記基板上の前記めっき不可材料部分と前記めっき可能材料部分とに有機膜を形成する有機液供給部と、
前記触媒が付与された前記基板に対してリンス液を供給することにより、前記基板を洗浄処理して前記有機膜を除去するリンス液供給部とを備え、
前記めっき不可材料部分は、SiO2を主成分とする材料からなり、
前記めっき可能材料部分は、OCHx基およびNHx基のうちの少なくとも一方を含む材料、Si系材料を主成分とした金属材料、触媒金属材料を主成分とする材料、又は、カーボンを主成分とした材料のいずれかからなり、
前記有機液は、ポリビニルピロリドンの溶液であることを特徴とするめっき処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
<めっき処理装置の構成>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るめっき処理装置の構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき処理装置の構成を示す概略図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るめっき処理装置1は、めっき処理ユニット2と、めっき処理ユニット2の動作を制御する制御部3とを備える。
【0015】
めっき処理ユニット2は、基板に対する各種処理を行う。めっき処理ユニット2が行う各種処理については後述する。
【0016】
制御部3は、例えばコンピュータであり、動作制御部と記憶部とを備える。動作制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されており、記憶部に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、めっき処理ユニット2の動作を制御する。記憶部は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク等の記憶デバイスで構成されており、めっき処理ユニット2において実行される各種処理を制御するプログラムを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に記録されたものであってもよいし、その記憶媒体から記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカード等が挙げられる。記録媒体には、例えば、めっき処理装置1の動作を制御するためのコンピュータにより実行されたときに、コンピュータがめっき処理装置1を制御して後述するめっき処理方法を実行させるプログラムが記録される。
【0017】
<めっき処理ユニットの構成>
図1を参照して、めっき処理ユニット2の構成を説明する。
図1は、めっき処理ユニット2の構成を示す概略平面図である。
【0018】
めっき処理ユニット2は、搬入出ステーション21と、搬入出ステーション21に隣接して設けられた処理ステーション22とを備える。
【0019】
搬入出ステーション21は、載置部211と、載置部211に隣接して設けられた搬送部212とを備える。
【0020】
載置部211には、複数枚の基板Wを水平状態で収容する複数の搬送容器(以下「キャリアC」という。)が載置される。
【0021】
搬送部212は、搬送機構213と受渡部214とを備える。搬送機構213は、基板Wを保持する保持機構を備え、水平方向及び鉛直方向への移動並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能となるように構成されている。
【0022】
処理ステーション22は、めっき処理部5を備える。本実施形態において、処理ステーション22が有するめっき処理部5の数は2以上であるが、1であってもよい。めっき処理部5は、所定方向に延在する搬送路221の両側に配列されている。
【0023】
搬送路221には、搬送機構222が設けられている。搬送機構222は、基板Wを保持する保持機構を備え、水平方向及び鉛直方向への移動並びに鉛直軸を中心とする旋回が可能となるように構成されている。
【0024】
めっき処理ユニット2において、搬入出ステーション21の搬送機構213は、キャリアCと受渡部214との間で基板Wの搬送を行う。具体的には、搬送機構213は、載置部211に載置されたキャリアCから基板Wを取り出し、取り出した基板Wを受渡部214に載置する。また、搬送機構213は、処理ステーション22の搬送機構222により受渡部214に載置された基板Wを取り出し、載置部211のキャリアCへ収容する。
【0025】
めっき処理ユニット2において、処理ステーション22の搬送機構222は、受渡部214とめっき処理部5との間、めっき処理部5と受渡部214との間で基板Wの搬送を行う。具体的には、搬送機構222は、受渡部214に載置された基板Wを取り出し、取り出した基板Wをめっき処理部5へ搬入する。また、搬送機構222は、めっき処理部5から基板Wを取り出し、取り出した基板Wを受渡部214に載置する。
【0026】
<めっき処理部の構成>
次に
図2を参照して、めっき処理部5の構成を説明する。
図2は、めっき処理部5の構成を示す概略断面図である。
【0027】
めっき処理部5は、表面にめっき不可材料部分31とめっき可能材料部分32とが形成された基板Wに対してめっき処理を行うことにより、めっき可能材料部分に対して選択的にめっき層35を形成するものである(後述する
図3乃至
図7参照)。めっき処理部5が行う基板処理は、少なくとも触媒付与処理と無電解めっき処理とを含むが、触媒付与処理及びめっき処理以外の基板処理が含まれていてもよい。
【0028】
めっき処理部5は、上述した無電解めっき処理を含む基板処理を行うものであり、チャンバ51と、チャンバ51内に配置され、基板Wを保持する基板保持部52と、基板保持部52に保持された基板Wに対してめっき液M1を供給するめっき液供給部53とを備えている。
【0029】
このうち基板保持部52は、チャンバ51内において鉛直方向に延在する回転軸521と、回転軸521の上端部に取り付けられたターンテーブル522と、ターンテーブル522の上面外周部に設けられ、基板Wの外縁部を支持するチャック523と、回転軸521を回転駆動する駆動部524とを有する。
【0030】
基板Wは、チャック523に支持され、ターンテーブル522の上面からわずかに離間した状態で、ターンテーブル522に水平保持される。本実施形態において、基板保持部52による基板Wの保持方式は、可動のチャック523によって基板Wの外縁部を把持するいわゆるメカニカルチャックタイプのものであるが、基板Wの裏面を真空吸着するいわゆるバキュームチャックタイプのものであってもよい。
【0031】
回転軸521の基端部は、駆動部524により回転可能に支持され、回転軸521の先端部は、ターンテーブル522を水平に支持する。回転軸521が回転すると、回転軸521の上端部に取り付けられたターンテーブル522が回転し、これにより、チャック523に支持された状態でターンテーブル522に保持された基板Wが回転する。
【0032】
めっき液供給部53は、基板保持部52に保持された基板Wに対して、めっき液M1を吐出するノズル531と、ノズル531にめっき液M1を供給するめっき液供給源532とを備える。めっき液供給源532が有するタンクには、めっき液M1が貯留されており、ノズル531には、めっき液供給源532から、バルブ533等の流量調整器が介設された供給管路534
aを通じて、めっき液M1が供給される。
【0033】
めっき液M1は、自己触媒型(還元型)無電解めっき用のめっき液である。めっき液M1は、コバルト(Co)イオン、ニッケル(Ni)イオン、タングステン(W)イオン等の金属イオンと、次亜リン酸、ジメチルアミンボラン等の還元剤とを含有する。なお、自己触媒型(還元型)無電解めっきでは、めっき液M1中の金属イオンが、めっき液M1中の還元剤の酸化反応で放出される電子によって還元されることにより、金属として析出し、金属膜(めっき膜)が形成される。めっき液M1は、添加剤等を含有していてもよい。めっき液M1を使用しためっき処理により生じる金属膜(めっき膜)としては、例えば、CoB、CoP、CoWP、CoWB、CoWBP、NiWB、NiB、NiWP、NiWBP等が挙げられる。金属膜(めっき膜)中のPは、Pを含む還元剤(例えば次亜リン酸)に由来し、めっき膜中のBは、Bを含む還元剤(例えばジメチルアミンボラン)に由来する。
【0034】
ノズル531は、ノズル移動機構54に連結されている。ノズル移動機構54は、ノズル531を駆動する。ノズル移動機構54は、アーム541と、アーム541に沿って移動可能な駆動機構内蔵型の移動体542と、アーム541を旋回及び昇降させる旋回昇降機構543とを有する。ノズル531は、移動体542に取り付けられている。ノズル移動機構54は、ノズル531を、基板保持部52に保持された基板Wの中心の上方の位置と基板Wの周縁の上方の位置との間で移動させることができ、さらには、平面視で後述するカップ57の外側にある待機位置まで移動させることができる。
【0035】
チャンバ51内には、基板保持部52に保持された基板Wに対して、それぞれ、触媒液N1、洗浄液N2、リンス液N3及び有機液L1を供給する触媒液供給部(触媒付与部)55a、洗浄液供給部55b、リンス液供給部55c及び有機液供給部55dが配置されている。
【0036】
触媒液供給部(触媒付与部)55aは、基板保持部52に保持された基板Wに対して、触媒液N1を吐出するノズル551aと、ノズル551aに触媒液N1を供給する触媒液供給源552aとを備える。触媒液供給源552aが有するタンクには、触媒液N1が貯留されており、ノズル551aには、触媒液供給源552aから、バルブ553a等の流量調整器が介設された供給管路554aを通じて、触媒液N1が供給される。
【0037】
洗浄液供給部55bは、基板保持部52に保持された基板Wに対して、洗浄液N2を吐出するノズル551bと、ノズル551bに洗浄液N2を供給する洗浄液供給源552bとを備える。洗浄液供給源552bが有するタンクには、洗浄液N2が貯留されており、ノズル551bには、洗浄液供給源552bから、バルブ553b等の流量調整器が介設された供給管路554bを通じて、洗浄液N2が供給される。
【0038】
リンス液供給部55cは、基板保持部52に保持された基板Wに対して、リンス液N3を吐出するノズル551cと、ノズル551cにリンス液N3を供給するリンス液供給源552cとを備える。リンス液供給源552cが有するタンクには、リンス液N3が貯留されており、ノズル551cには、リンス液供給源552cから、バルブ553c等の流量調整器が介設された供給管路554cを通じて、リンス液N3が供給される。
【0039】
有機液供給部55dは、基板保持部52に保持された基板Wに対して、有機液L1を吐出するノズル551dと、ノズル551dに有機液L1を供給する有機液供給源552dとを備える。有機液供給源552dが有するタンクには、有機液L1が貯留されており、ノズル551dには、有機液供給源552dから、バルブ553d等の流量調整器が介設された供給管路554dを通じて、有機液L1が供給される。
【0040】
触媒液N1は、めっき液M1中の還元剤の酸化反応に対して触媒活性を有する金属イオンを含有する。無電解めっき処理において、めっき液M1中の金属イオンの析出が開始されるためには、初期皮膜表面(すなわち、基板の被めっき面)がめっき液M1中の還元剤の酸化反応に対して十分な触媒活性を有することが必要である。このような触媒としては、例えば、鉄族元素(Fe、Co、Ni)、白金属元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、Cu、Ag又はAuを含むものが挙げられる。触媒活性を有する金属膜の形成は、置換反応により生じる。置換反応では、基板の被めっき面を構成する成分が還元剤となり、触媒液N1中の金属イオン(例えばPdイオン)が、基板の被めっき面上に還元析出する。また、触媒液N1は、ナノ粒子状の金属触媒を含んでいても良い。具体的には、触媒液N1は、ナノ粒子状の金属触媒と、分散剤と、水溶液とを含んでいても良い。このようなナノ粒子状の金属触媒としては、例えばナノ粒子状Pdが挙げられる。また分散剤は、ナノ粒子状の金属触媒を触媒液N1中に分散させやすくする役割を果たす。このような分散剤としては、有機液L1の主成分と同様の成分を含むものを用いても良く、具体的には、例えばポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。
【0041】
洗浄液N2としては、例えば、ギ酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、マロン酸等の有機酸、基板の被めっき面を腐食させない程度の濃度に希釈されたフッ化水素酸(DHF)(フッ化水素の水溶液)等を使用することができる。
【0042】
リンス液N3としては、例えば、純水等を使用することができる。
【0043】
有機液L1は、基板Wのめっき不可材料部分31に触媒が付着すること抑制する作用をもつ液体である。このような有機液L1としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)を含むもの使用することができる。
【0044】
めっき処理部5は、ノズル551a〜551dを駆動するノズル移動機構56を有する。ノズル移動機構56は、アーム561と、アーム561に沿って移動可能な駆動機構内蔵型の移動体562と、アーム561を旋回及び昇降させる旋回昇降機構563とを有する。ノズル551a〜551dは、移動体562に取り付けられている。ノズル移動機構56は、ノズル551a〜551dを、基板保持部52に保持された基板Wの中心の上方の位置と基板Wの周縁の上方の位置との間で移動させることができ、さらには、平面視で後述するカップ57の外側にある待機位置まで移動させることができる。本実施形態において、ノズル551a〜551dは共通のアームにより保持されているが、それぞれ別々のアームに保持されて独立して移動できるようになっていてもよい。
【0045】
チャンバ51内にはさらに、基板保持部52に保持された基板Wを熱処理(ベーク)する加熱装置59(ヒーター)が設けられている。加熱装置59は、有機液L1が供給された基板Wの表面を加熱することにより、有機液L1中の溶剤を揮発させたり、有機液L1のポリマー化を促進したりする役割を果たす。加熱装置59は、基板Wの表面を、例えば100℃以上かつポリビニルピロリドン(PVP)等の有機被膜を分解しない程度の温度に加熱する。加熱装置59は、アーム591に連結されており、このアーム591は、図示しない旋回昇降機構によって旋回及び昇降可能となっている。加熱装置59は、旋回昇降機構によって基板Wのベークに必要なときのみ基板Wの上方に移動し、それ以外の場合は基板Wの外方に退避するようになっている。
【0046】
基板保持部52の周囲には、カップ57が配置されている。カップ57は、基板Wから飛散した各種処理液(例えば、めっき液、洗浄液、リンス液、有機液等)を受け止めてチャンバ51の外方に排出する。カップ57は、カップ57を上下方向に駆動させる昇降機構58を有している。
【0047】
<基板の構成>
次に、本実施形態によるめっき処理方法によってめっき層が形成される基板の構成について説明する。
【0048】
図3に示すように、めっき層35が形成される基板Wは、その表面にそれぞれ形成されためっき不可材料部分31およびめっき可能材料部分32を有している。めっき不可材料部分31とめっき可能材料部分32とは、それぞれ基板Wの表面側に露出していれば良く、その具体的な構成は問わない。本実施形態においては、基板Wは、めっき可能材料部分32からなる下地材42と、下地材42上に突設され、パターン状に形成されためっき不可材料部分31からなる芯材41とを有している。
【0049】
めっき不可材料部分31は、本実施形態によるめっき処理が施された際、実質的にめっき金属が析出せず、めっき層35が形成されない領域である。めっき不可材料部分31は、例えば、SiO
2を主成分とする材料からなっている。なお、後述するように、めっき不可材料部分31には、微小な格子欠陥や不純物等が存在する。
【0050】
めっき可能材料部分32は、本実施形態によるめっき処理が施された際、めっき金属が選択的に析出し、これによりめっき層35が形成される領域である。本実施形態において、めっき可能材料部分32は、例えば、(1)OCH
x基およびNH
x基のうちの少なくとも一方を含む材料、(2)Si系材料を主成分とした金属材料、(3)触媒金属材料を主成分とする材料、又は、(4)カーボンを主成分とした材料のいずれかからなっていても良い。
【0051】
(1)めっき可能材料部分32の材料がOCH
x基およびNH
x基のうちの少なくとも一方を含む材料を主成分とする場合、その材料としては、Si−OCHx基又はSi−NHx基を含む材料、例えばSiOCHやSiNが挙げられる。
【0052】
(2)めっき可能材料部分32の材料がSi系材料を主成分とした金属材料である場合、めっき可能材料部分32の材料としては、BやPがドープされたPoly-Si、Poly−Si、Siが挙げられる。
【0053】
(3)めっき可能材料部分32が触媒金属材料を主成分とする材料を主成分とする場合、めっき可能材料部分32の材料としては、例えばCu、Ptが挙げられる。
【0054】
(4)めっき可能材料部分32がカーボンを主成分とした材料を主成分とする場合、めっき可能材料部分32の材料としては、例えばアモルファスカーボンが挙げられる。
【0055】
次に
図4(a)−(e)を用いて、
図3に示す基板Wを作製する方法について説明する。
図3に示す基板Wを作製する場合、まず、
図4(a)に示すように、めっき可能材料部分32からなる下地材42を準備する。
【0056】
次に、
図4(b)に示すように、めっき可能材料部分32からなる下地材42上の全面に、例えばCVD法又はPVD法によりめっき不可材料部分31を構成する材料31aを成膜する。材料31aは、例えばSiO
2を主成分とする材料からなる。
【0057】
続いて、
図4(c)に示すように、めっき不可材料部分31を構成する材料31aの表面全体に感光性レジスト33aを塗布し、これを乾燥する。次に、
図4(d)に示すように、感光性レジスト33aに対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望のパターンを有するレジスト膜33が形成される。
【0058】
その後、
図4(e)に示すように、レジスト膜33をマスクとして材料31aをドライエッチングする。これにより、めっき不可材料部分31からなる芯材41が、レジスト膜33のパターン形状と略同様の形状にパターニングされる。その後、レジスト膜33を除去することにより、表面にめっき不可材料部分31とめっき可能材料部分32とが形成された基板Wが得られる。
【0059】
<めっき処理方法>
次に、めっき処理装置1を用いためっき処理方法について説明する。めっき処理装置1によって実施されるめっき処理方法は、上述した基板Wに対するめっき処理を含む。めっき処理は、めっき処理部5により実施される。めっき処理部5の動作は、制御部3によって制御される。
【0060】
まず、例えば上述した
図4(a)−(e)に示す方法により、表面にめっき不可材料部分31とめっき可能材料部分32とが形成された基板Wを準備する(準備工程:
図5のステップS1)(
図6(a)参照)。
【0061】
次に、このようにして得られた基板Wがめっき処理部5へ搬入され、基板保持部52に保持される(
図2参照)。この間、制御部3は、昇降機構58を制御して、カップ57を所定位置まで降下させる。続いて、制御部3は、搬送機構222を制御して、基板保持部52に基板Wを載置する。基板Wは、その外縁部がチャック523により支持された状態で、ターンテーブル522上に水平保持される。
【0062】
次に、基板保持部52に保持された基板Wが洗浄処理される(前洗浄工程:
図5のステップS2)。このとき、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、洗浄液供給部55bを制御して、ノズル551bを基板Wの上方に位置させ、ノズル551bから基板Wに対して洗浄液N2を供給する。基板Wに供給された洗浄液N2は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、基板Wに付着した付着物等が、基板Wから除去される。基板Wから飛散した洗浄液N2は、カップ57を介して排出される。
【0063】
続いて、洗浄後の基板Wがリンス処理される(リンス工程:
図5のステップS3)。この際、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、リンス液供給部55cを制御して、ノズル551cを基板Wの上方に位置させ、ノズル551cから基板Wに対してリンス液N3を供給する。基板Wに供給されたリンス液N3は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、基板W上に残存する洗浄液N2が洗い流される。基板Wから飛散したリンス液N3は、カップ57を介して排出される。
【0064】
次に、基板保持部52に保持された基板Wに有機膜を形成する(有機膜形成工程:
図5のステップS4)。このとき、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、有機液供給部55dを制御して、ノズル551dを基板Wの上方に位置させ、ノズル551dから基板Wに対して有機液L1を供給する。有機液L1としては、例えばポリビニルピロリドン(PVP)が用いられる。基板Wに供給された有機液L1は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、基板Wのめっき不可材料部分31の表面とめっき可能材料部分32の表面との両方に、薄膜状の有機膜36が形成される(
図6(b)参照)。この有機膜36は、触媒付与工程で、めっき不可材料部分31に触媒が付着すること抑制する役割を果たす。基板Wから飛散した有機液L1は、カップ57を介して排出される。
【0065】
次いで、基板保持部52に保持された基板Wを熱処理(ベーク)する(熱処理工程:
図5のステップS5)。このとき、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、加熱装置59を制御して、加熱装置59を基板Wの上方に位置させ、基板Wを加熱する。加熱装置59は、基板Wの表面を例えば100℃以上かつポリビニルピロリドン(PVP)等の有機被膜を分解しない程度の温度で加熱する。加熱装置59は、基板Wの表面温度が例えば230℃以上270℃以下となるように加熱する。これにより、有機液L1中の溶剤を揮発させるとともに、有機液L1のポリマー化を促進することができる。
【0066】
次に、有機膜36が形成された基板Wに対して触媒付与処理を行う(触媒付与工程:
図5のステップS6)。このとき制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、触媒液供給部55aを制御して、ノズル551aを基板Wの上方に位置させ、ノズル551aから基板Wに対して触媒液N1を供給する。基板Wに供給された触媒液N1は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。基板Wから飛散した触媒液N1は、カップ57を介して排出される。
【0067】
これにより、基板Wのめっき可能材料部分32に対して選択的に触媒が付与され、めっき可能材料部分32に触媒活性を有する金属膜が形成される。一方、基板Wのうち、SiO
2を主成分とするめっき不可材料部分31には実質的に触媒が付与されることはなく、触媒活性を有する金属膜は形成されない。このような触媒活性を有する金属としては、例えば、鉄族元素(Fe、Co、Ni)、白金属元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、Cu、Ag又はAuが挙げられる。上記各金属は、めっき可能材料部分32を構成する材料(例えばSiN)に対して高い吸着性を有する一方、めっき不可材料部分31を構成する材料(例えばSiO
2)に対しては吸着しにくい。このため、上記各金属を用いることにより、めっき可能材料部分32に対して選択的にめっき金属を析出させることが可能となる。具体的には、触媒液N1は、ナノ粒子状のPd触媒と、ポリビニルピロリドン(PVP)からなる分散剤と、水溶液とを含んでいても良い。なお、触媒液N1には、上記触媒活性を有する金属の吸着を促進する吸着促進剤が含まれていても良い。
【0068】
本実施形態においては、めっき不可材料部分31に有機膜36が形成されている。これにより、めっき不可材料部分31の一部に例えば格子欠陥や不純物等が存在する場合であっても、当該部分が有機膜36によって覆われているので、この部分に触媒が付着することが防止される。一方、めっき可能材料部分32には触媒が強力に吸着するので、有機膜36の存在によってめっき可能材料部分32への触媒の付着が阻害されるおそれはない。
【0069】
次に、めっき可能材料部分32に選択的に触媒が付与された基板Wが洗浄処理される(触媒液洗浄工程:
図5のステップS7)。この間、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、リンス液供給部55cを制御して、ノズル551cを基板Wの上方に位置させ、ノズル551cから基板Wに対してリンス液N3を供給する。基板Wに供給されたリンス液N3は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、基板W上に残存する触媒液N1が洗い流される。このとき有機膜36もリンス液N3によって除去される。なお、仮にめっき不可材料部分31の一部に、有機膜36を介して触媒が付着していたとしても、この触媒は有機膜36とともに洗い流される。これにより、めっき不可材料部分31上に触媒が残存することがより確実に防止される。基板Wから飛散したリンス液N3は、カップ57を介して排出される。なお、この際リンス液N3に代えて、酸系の洗浄液、例えばフッ化水素酸(DHF)等を用いて基板Wを洗浄しても良い。
【0070】
次に、基板Wに対してめっき処理が行われ、めっき可能材料部分32に対して選択的にめっきが施される(めっき工程:
図5のステップS8)。これにより、めっき可能材料部分32上にめっき層35が形成される(
図6(c)参照)。めっき層35は、めっき可能材料部分32のうちめっき不可材料部分31によって覆われていない部分に形成される。この際、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、あるいは、基板保持部52に保持された基板Wを停止した状態に維持しながら、めっき液供給部53を制御して、ノズル531を基板Wの上方に位置させ、ノズル531から基板Wに対してめっき液M1を供給する。これにより、基板Wのめっき可能材料部分32(具体的には、めっき可能材料部分32の表面に形成された触媒活性を有する金属膜)に選択的にめっき金属が析出し、めっき層35が形成される。一方、基板Wのうちめっき不可材料部分31には、触媒活性を有する金属膜が形成されていないため、めっき金属が実質的に析出せず、めっき層35は形成されない。
【0071】
このようにしてめっき処理が終了した後、基板保持部52に保持された基板Wが洗浄処理される(後洗浄工程:
図5のステップS9)。この際、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、洗浄液供給部55bを制御して、ノズル551bを基板Wの上方に位置させ、ノズル551bから基板Wに対して洗浄液N2を供給する。基板Wに供給された洗浄液N2は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、基板Wに付着した異常めっき膜や反応副生成物等が、基板Wから除去される。基板Wから飛散した洗浄液N2は、カップ57を介して排出される。
【0072】
次に、制御部3は、駆動部524を制御して、基板保持部52に保持された基板Wを所定速度で回転させながら、リンス液供給部55cを制御して、ノズル551cを基板Wの上方に位置させ、ノズル551cから基板Wに対してリンス液N3を供給する(リンス工程:
図5のステップS10)。これにより、基板W上のめっき液M1、洗浄液N2及びリンス液N3は、基板Wの回転に伴う遠心力によって基板Wから飛散し、カップ57を介して排出される。
【0073】
その後、めっき層35が形成された基板Wは、めっき処理部5から搬出される。この際、制御部3は、搬送機構222を制御して、めっき処理部5から基板Wを取り出し、取り出した基板Wを受渡部214に載置するとともに、搬送機構213を制御して、受渡部214に載置された基板Wを取り出し、載置部211のキャリアCへ収容する。
【0074】
その後、めっき層35をハードマスク層として用いて基板Wをエッチングする。
【0075】
この場合、まずめっき処理部5から取り出された基板Wのうち、めっき不可材料部分31を選択的に除去する(
図7(a))。一方、めっき可能材料部分32上に形成されためっき層35は、除去されることなく残存する。
【0076】
次に、
図7(b)に示すように、めっき層35をハードマスクとしてめっき可能材料部分32からなる下地材42をドライエッチングする。これにより、下地材42のうちめっき層35に覆われていない部分が所定の深さまでエッチングされ、パターン状の凹部が形成される。
【0077】
その後、
図7(c)に示すように、めっき層35をウェット洗浄法によって除去することにより、パターン状の凹部が形成された下地材42が得られる。なお、めっき層35はウェット洗浄法によって除去することができるので、めっき層35を容易に除去することができる。このようなウェット洗浄法で用いられる薬液としては、酸性溶媒が用いられる。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態によれば、基板Wに対して触媒を付与する工程の前に、基板Wに対して有機液L1を供給することにより、基板W上に有機膜36を形成する工程が設けられている。これにより、めっき不可材料部分31に触媒が付着しにくくすることができるので、めっき不可材料部分31の一部に例えば格子欠陥や不純物等が存在する場合であっても、当該部分が有機膜36によって覆われ、この部分に触媒が付着することが防止される。この結果、めっき処理を行った後、本来めっき層が形成されるべきでないめっき不可材料部分31の一部にめっき層が形成されることがなく、めっき不可材料部分31にディフェクト(欠陥)が生成する不具合を防止することができる。
【0079】
このように有機膜36によってめっき不可材料部分31の不純物等に触媒が付着することを防止できるのは、以下のような理由であると考えられる。すなわち
図8(a)に示すように、有機膜36に覆われた基板Wに触媒Aを付与した後(
図5のステップS6の後)、めっき可能材料部分32には触媒Aが強力に吸着している。その一方で、めっき不可材料部分31には実質的に触媒Aは吸着しない。ここで、仮にめっき不可材料部分31に、触媒Aを吸着する微小な不純物D(又は格子欠陥)が存在していたとしても、不純物Dと触媒Aとの間に有機膜36が介在されているので、触媒Aの吸着力が充分に弱められている。このため、
図8(b)に示すように、基板Wを洗浄処理して有機膜36を除去した後(
図5のステップS7の後)、不純物Dの周囲に存在した触媒Aも、有機膜36とともにリンス液N3等で容易に洗い流される。一方、めっき可能材料部分32に吸着した触媒Aは、リンス液N3等によっても流されることはなく、めっき可能材料部分32に引き続き吸着している。これに対して、比較例として、基板Wに有機膜36を設けなかった場合、触媒Aが不純物Dに吸着してしまい、めっき処理後、この部分に意図しないめっき層が生じ、ディフェクトとなるおそれがある。
【0080】
また、本実施形態によれば、触媒を付与する工程の後、めっき層35を形成する工程の前に、基板Wを洗浄処理して有機膜36を除去する工程が設けられている。これにより、めっき不可材料部分31の一部に触媒が付着した場合でも、この触媒が有機膜36とともに洗い流されるので、めっき不可材料部分31の一部に不要なめっき層が生成することを防止することができる。
【0081】
さらに、本実施形態によれば、有機膜36を形成する工程の後、触媒を付与する工程の前に、基板Wを熱処理する工程が設けられているので、有機液L1中の溶剤を揮発させるとともに有機液L1のポリマー化を促進することができる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。