特許第6852183号(P6852183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852183センサマークおよびセンサマークの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852183
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】センサマークおよびセンサマークの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   G03F7/20 502
   G03F7/20 521
【請求項の数】15
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-550645(P2019-550645)
(86)(22)【出願日】2018年2月15日
(65)【公表番号】特表2020-510880(P2020-510880A)
(43)【公表日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】EP2018053761
(87)【国際公開番号】WO2018166738
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】17161058.7
(32)【優先日】2017年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17176554.8
(32)【優先日】2017年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17183234.8
(32)【優先日】2017年7月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】クルギスト、ヨースト、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】バニネ、ファディム、イエフゲニエビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ベッカーズ、ヨハン、フランシスクス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジャンブナタン、マドゥスダナン
(72)【発明者】
【氏名】ナサレヴィチ、マクシム、アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ニキペロフ、アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】スタス、ローランド、ヨハネス、ヴィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ヴレス、ダーフィット、フェルディナント
(72)【発明者】
【氏名】ウェルターズ、ヴィルヘルムス、ヤコブス、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】リッケ、サンドロ
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−003898(JP,A)
【文献】 特開2007−180501(JP,A)
【文献】 特開2013−074177(JP,A)
【文献】 特開2005−045265(JP,A)
【文献】 特開2006−173377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外(DUV)放射を実質的に吸収する第1材料を備える第1DUV吸収層と、第2材料を備える第1保護層と、を有する基板を備え、
前記第1DUV吸収層は、その中に第1貫通孔を有し、
前記第1保護層は、平面視において、前記第1貫通孔内に位置し、前記第1貫通孔内の前記第1保護層は、複数の貫通孔を備えるパターン領域を有し、
前記第2材料は、前記第1材料よりも貴であることを特徴とするセンサマーク。
【請求項2】
前記第2材料は、深紫外放射を実質的に吸収することを特徴とする請求項に記載のセンサマーク。
【請求項3】
前記第1深紫外(DUV)吸収層および基板は、可視領域の波長範囲の法線入射またはかすり入射における反射を実質的に抑制するよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサマーク。
【請求項4】
前記第1保護層は、前記第1DUV吸収層の少なくとも一部を被覆することにより前記第1DUV吸収層の露出を防ぐことを特徴する請求項1からのいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項5】
前記第1深紫外(DUV)吸収層は、異なる材料の少なくとも二つのサブ層を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項6】
前記第1保護層は、前記第1深紫外(DUV)吸収層内の前記第1貫通孔の面積の半分より多くを被覆することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項7】
前記第1DUV吸収層の縁は、前記第1貫通孔を規定し、前記第1保護層は、前記縁を被覆することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項8】
前記第1保護層は、前記第1DUV吸収層の上に少なくとも部分的に形成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項9】
前記第1DUV吸収層上に位置する第3材料を備える第2保護層をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項10】
前記第3材料は、深紫外放射を少なくとも部分的に吸収する、および/または、前記第3材料は、可視放射および/または赤外放射を実質的に反射または透過することを特徴とする請求項9に記載のセンサマーク。
【請求項11】
前記第2保護層は、前記第1貫通孔を規定する前記第1深紫外(DUV)吸収層の縁を被覆することを特徴とする請求項9または10に記載のセンサマーク。
【請求項12】
前記第2保護層は、前記第1保護層の上に部分的に形成されることを特徴とする請求項から11のいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項13】
前記第1保護層は、前記第2保護層の上に部分的に形成されることを特徴とする請求項から1のいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項14】
前記第2材料は貴金属であり、好ましくはルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、白金または金であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のセンサマーク。
【請求項15】
前記第2材料は、セラミック、または酸化物、または半金属、またはケイ素化合物を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のセンサマーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2017年3月15日に提出された欧州出願17161058.7号、2017年6月19日に提出された欧州出願17176554.8号、および、2017年7月26日に提出された欧州出願17183234.8号の利益を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、リソグラフィ用センサのためのセンサマークおよびセンサマークの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に与えるよう構築される装置である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「デザインレイアウト」または「デザイン」とも称される)を基板(例えばウェハ)上に設けられる放射感受性材料(レジスト)の層に投影しうる。
【0004】
パターンを基板に投影するため、リソグラフィ装置は電磁放射を使用しうる。放射の波長は、基板上にパターン化されるフィーチャの最小サイズを定義する。現状用いられる典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nmおよび13.5nmである。4nmから20nmの波長範囲、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外(EUV)放射を用いるリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長の放射を用いるリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するために使用されうる。
【0005】
液浸リソグラフィ装置において、液体は液浸空間に流体ハンドリング構造(または液体閉じ込め構造)により閉じ込められる。液浸空間は、パターンを結像させるための投影システムの最終光学素子と、パターンが転写される基板または基板が支持されるサポートテーブルとの間にある。液体は、液浸空間に液体シールにより閉じ込められてもよい。液体ハンドリング構造は、液浸空間における液体の流れおよび/または位置の制御を助けるためにガスの流れを生成または使用しうる。ガスの流れは、液体を液浸空間に閉じ込めるシールの形成を助けうる。サポートテーブルに一体化されるセンサの少なくとも一部(例えばセンサマーク)は、液浸液に接触することになる。
【0006】
液浸リソグラフィ装置は、基板を支持するサポートテーブルに一体化される複数のセンサに依拠する。これらのセンサは、以下のために用いられる:
−基準フレームに対する基板/サポートテーブルのアライメント;
−レンズの(再)調整、セットアップ、熱補償;および
−レチクル(マスク)の熱補償。
【0007】
センサマークは、基板テーブルに一体化される石英プレートに堆積する薄膜層の積層体に一体化され、以下のように機能する:
−DUV用の空間透過フィルタ(ILIAS(Integrated Lens Interferometry At Scanner)センサ、パラレルILIASセンサ(PARIS)、透過イメージセンサ(TIS)のセンサ機能);透過フィルタは、パターニングされた吸収層の積層体として実現でき、吸収体は密な金属(クロム)または他の材料である。
−可視光放射(VIS)、近赤外放射(NIR)、中赤外放射(MIR)用の空間反射フィルタ(SMASH(Smart Alignment Sensor Hybrid)センサ機能)。
【0008】
積層体の上面(マークなし領域)からの反射は、レベルセンサのために用いることができる。
【0009】
センサマークの金属(クロム)層をガルバニック腐食から保護するため、液体ハンドリング構造とセンサマークの間に電圧が印加される。これは、ガルバニック防食とみなすことができる。このような電圧がない場合、液体ハンドリング構造のステンレス鋼とセンサマークの層のクロムとの間で電池が形成され、液浸液が電解質として機能する。
【0010】
ガルバニック防食の存在は、加速度的に腐食するクロムよりも卑なセンサマークの他の層に及ぶおそれがある。
【0011】
さらに、層とDUV放射の相互作用により光電流が誘起するおそれがある。光電流は、光電効果により生じる。光電流の存在は、腐食を加速させるおそれがある。
【0012】
センサマークの層内の材料の腐食は、これがセンサマークを劣化させ、これにより測定値を生成するセンサの機能を劣化させ、結像誤差が生じるおそれのある粒子を液浸液中に導入するため、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
腐食に対して改善された耐性を有するセンサマークを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、深紫外(DUV)放射を実質的に吸収する第1材料を備える第1DUV吸収層と、第2材料を備える第1保護層と、を有する基板を備える。第1DUV吸収層は、その中に第1貫通孔を有する。第1保護層は、平面視において、第1貫通孔内に位置し、第1貫通孔内の第1保護層は、複数の貫通孔を備えるパターン領域を有する。第2材料は、第1材料よりも貴である。
【0015】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、基板と少なくとも一つの層を備える。少なくとも一つの層のパターン領域は、周辺領域により囲まれる。パターン領域は、放射のビームに特性を与えるためのものである。少なくとも一つの層は、少なくとも一つの層内におけるパターン領域から周辺領域への、または、その逆の電子の流れを制限するように適合する電流制限器をさらに備える。
【0016】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、基板と、少なくとも一つの導電層と、少なくとも一つの導電層上の電気絶縁層と、少なくとも一つの導電層の少なくとも一つの露出領域を露出させる電気絶縁層内の少なくとも一つの貫通孔とを備える。少なくとも一つの露出領域は、放射のビームに特性を付与するための少なくとも一つのパターン領域を備え、少なくとも一つのパターン領域の平面積は、少なくとも一つの露出領域の平面積よりも10倍以上小さい。
【0017】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、基板と、少なくとも一つの導電層と、少なくとも一つの導電層上の電気絶縁層と、少なくとも一つの導電層の少なくとも一つの露出領域を露出させる電気絶縁層内の少なくとも一つの貫通孔とを備える。少なくとも一つの露出領域は、放射のビームに特性を付与するための少なくとも一つのパターン領域を備え、少なくとも一つのパターン領域は、その対応する露出領域の幾何学的な中心からずれている。
【0018】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、基板と;DUV放射を実質的に吸収し、放射のビームに特性を付与するための複数の貫通孔を備えるパターン領域を備えるDUV吸収層と;DUV放射を実質的に透過し、DUV吸収層の基板とは反対側の表面を被覆するDUV透過層と;貫通孔の外縁にてDUV吸収層の縁の露出を防止するエッジ部分と;を備える。エッジ部分は、DUV吸収層と同一平面内にあり、DUV透過層は、エッジ部分のそれぞれの一部を被覆する。
【0019】
ある態様によれば、センサマークの製造方法が提供される。この方法は、基板上の第1層の上のDUV吸収層と、DUV吸収層の上部の上の第2層とを有する基板を提供することと;第1層を貫通する貫通孔のパターンを第1形成することと;貫通孔の外縁にてDUV吸収層の縁の露出を防止するエッジ部分を第2形成することとを備える。
【0020】
ある態様によれば、リソグラフィ装置が提供される。この装置は、対象物を支持するよう構成されるサポートテーブルと;対象物にパターン放射ビームを投影するよう構成される投影システムと;液浸液を投影システムとサポートテーブルおよび/または対象物との間の空間に閉じ込めるよう構成される液体ハンドリング構造と;対象物と液体ハンドリング構造の間にバイアス電圧を供給するよう構成される電力供給部であって、電力供給部、液体ハンドリング構造、対象物および空間内の液浸液を備える電気回路を形成する電力供給部と;対象物が液体ハンドリング構造の対向面の下を通過するときに電気回路を流れる電流を抑制するよう適合した電流制限器とを備える。
【0021】
ある態様によれば、センサマークが提供される。このセンサマークは、深紫外放射を実質的に吸収する第1材料を備え、放射のビームに特性を付与するための複数の貫通孔を備える基板上の第1DUV吸収層と;第1DUV吸収層を被覆することにより、貫通孔の外縁および/または第1DUV吸収層の上面にて第1DUV吸収層の縁が露出するのを防止する第2材料を備えるパッシベーション層とを有する基板を備える。第2材料は、第1材料よりも貴である。
【0022】
ある態様によれば、センサマークの製造方法が提供される。この方法は、第1材料を備えるDUV吸収層を有する基板を提供することと;DUV吸収層を貫通する貫通孔のパターンを第1形成することと;貫通孔のパターンを含むDUV吸収層の少なくとも一部をパッシベーション処理溶液中に浸し、第1DUV吸収層を被覆する第2材料を備えるパッシベーション層を形成することにより、貫通孔の外縁および/またはDUV吸収層の上面にて第1DUV吸収層の縁の露出を防止することと、を備える。第2材料は、第1材料よりも貴である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施の形態は、単なる例示として、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略的な図面を参照しながら説明されるであろう。
【0024】
図1】リソグラフィ装置を概略的に示す図である。
【0025】
図2】リソグラフィ装置内で使用される流体ハンドリング構造を概略的に示す図である。
【0026】
図3】別の液体供給システムを示す側断面図である。
【0027】
図4】従来の透過型センサマークの断面図である。
【0028】
図5】従来の反射型センサマークの断面図である。
【0029】
図6】単一の石英プレート内の図4および図5のセンサマークを示す図である。
【0030】
図7】ある実施の形態の透過型センサマークを示す断面図である。
【0031】
図8】一連の断面図により図6の透過型センサマークの製造工程を示す図である。
【0032】
図9図9A−9Dは、右上隅に示す従来の透過型センサマークと、ある実施の形態に係る三つの透過型センサマークとを示す平面図である。
【0033】
図10図10A−10Dは、右上隅に示す従来の透過型センサマークと、ある実施の形態に係る三つの透過型センサマークとを示す平面図である。
【0034】
図11図11A−11Cは、右上隅に示す従来の透過型センサマークと、ある実施の形態に係る三つの透過型センサマークとを示す平面図である。
【0035】
図12】ある実施の形態の透過型センサマークの製造工程を示す断面図である。
【0036】
図13】本発明のある実施の形態を概略的に示す断面図である。
【0037】
図14】本発明のある実施の形態を概略的に示す断面図である。
【0038】
図15図15A−15Bは、図14のコーティングの二つの実施の形態の流体ハンドリング構造を下から見た二つの視点で概略的に示す図である。
【0039】
図16】ある実施の形態に係る透過型センサマークを示す断面図である。
【0040】
図17】ある実施の形態に係る反射型センサを示す断面図である。
【0041】
図18】単一の石英プレート上の図16および図17のセンサマークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本書において、「放射」および「ビーム」の用語は、(例えば365、248、193、157または126nmの波長を有する)紫外放射を含む、任意の種類の電磁放射を包含するために用いられる。
【0043】
この文書にて用いられる「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、基板のターゲット部分に生成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を入射放射ビームに与えるために使用可能な包括的なパターニングデバイスを称するものとして広く解釈されうる。「ライトバルブ」の用語もこの文脈において使用できる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリット型など)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例は、以下を含む:
−プログラマブルミラーアレイ;このようなミラーアレイのより詳細の情報は、US5,296,891およびUS5,523,193に与えられ、これらは参照により本書に援用される。
−プログラマブルLCDアレイ;このような構成の例は、US5,229,872に与えられ、これは参照により本書に援用される。
【0044】
図1は、リソグラフィ装置を概略的に描いている。この装置は、選択的に、放射ビームB(例えばUV放射または任意の他の適切な放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、パターニングデバイスを特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるサポート構造(例えばマスクテーブル)MTとを含む。この装置は、基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、ポジショナ130の制御下で基板を特定のパラメータに従って正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続されるサポート構造(例えばウェハテーブル)WTまたは「基板サポート」または「基板テーブル」をも含む。この装置は、パターニングデバイスMAにより投影ビームBに付与されるパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSをさらに含む。
【0045】
動作中、イルミネータILは、放射源SOからの放射ビームBを例えばビームデリバリシステムBDを介して受ける。照明システムILは、放射を方向付け、整形および/または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他の形式の光学要素もしくはそれらの組み合わせといった様々な形式の光学要素を含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面にて放射ビームBの断面が所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために用いられてもよい。
【0046】
本書で用いられる「投影システム」PSの用語は、用いられる露光放射に適切であれば、および/または、液浸液を用いるか真空を用いるかといった他の要素に適切であれば、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システムもしくはこれらの任意の組み合わせを含む任意の形式の投影システムを包含するものと広く解釈されるべきである。本書での「投影レンズ」の用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「投影システム」と同義であるとみなされてもよい。
【0047】
リソグラフィ装置は、二以上のサポートテーブルWT、例えば二以上のサポートテーブル、または、一以上のサポートテーブルと、一以上のクリーニング、センサもしくは測定テーブルとの組み合わせを有する形式であってもよい。例えば、リソグラフィ装置は、投影システムの露光側に位置する二以上のテーブルを備え、各テーブルが一以上の対象物を備える、および/または、保持するマルチステージ装置である。ある例において、一以上のテーブルは、放射感受性基板を保持してもよい。ある例において、一以上のテーブルは、投影システムからの放射を測定するためのセンサを保持してもよい。ある例において、マルチステージ装置は、放射感受性基板を保持するよう構成される第1テーブル(つまり、サポートテーブル)と、放射感受性基板を保持するよう構成されない第2テーブル(以下、一般に測定、センサおよび/またはクリーニングテーブルとも称されるが、これに限られない)とを備える。第2テーブルは、放射感受性基板とは異なる一以上の対象物を備えてもよいし、および/または、保持してもよい。このような一以上の対象物は、以下から選択される一以上を含んでもよい:放射システムからの放射を測定するセンサ、一以上のアライメントマーク、および/または、クリーニングデバイス(例えば流体ハンドリング構造を清掃する)。
【0048】
動作中、放射ビームBは、サポート構造MT上に保持されるパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン化される。パターニングデバイスMAを横切ると、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダまたは静電容量センサ)の助けにより、サポートテーブルWTは、例えば異なるターゲット部分Cが放射ビームBの経路内の合焦かつアライメントされた位置に位置決めされるように、正確に移動されることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1には明示されていない)は、パターニングデバイスMAを放射ビームBに対して正確に位置決めするために用いることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントされてもよい。図示されるように基板アライメントマークM1,M2が専用のターゲット部分を占めているが、これらはターゲット部分Cの間のスペースに位置してもよい(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られる)。
【0049】
リソグラフィ装置は、説明される様々なアクチュエータおよびセンサの動作および測定の全てを制御する制御ユニットをさらに含んでもよい。制御ユニットは、リソグラフィ装置の動作に関連する所望の計算を実行するための信号処理およびデータ処理能力を含んでもよい。実際には、制御ユニットが多数のサブユニットのシステムとして実現され、各サブユニットがリソグラフィ装置内のサブシステムまたは要素のリアルタイムのデータ取得、処理および制御を扱うであろう。例えば、一つの処理サブシステムは、第2位置決め装置PWのサーボ制御に特化してもよい。別々のユニットが異なるアクチュエータまたは異なる軸を扱ってもよい。別のサブユニットは、位置センサIFの読み出しに特化しているかもしれない。リソグラフィ装置の全般制御は、中央処理ユニットにより制御されてもよい。中央処理ユニットは、リソグラフィ製造プロセスに関わるサブユニット、オペレータおよび他の装置と通信してもよい。
【0050】
投影システムPSの最終光学素子と基板の間に液体を供給する構成は、三つの一般的なカテゴリに分類できる。これらは、槽形式構成、いわゆる局所液浸システム、および、オールウェット液浸システムである。本発明の実施の形態は、局所液浸システムに特に関連する。
【0051】
局所液浸システム向けに提案されている構成において、流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終光学素子100と投影システムPSに対向するステージまたはテーブルの対向面との間の液浸空間10の境界の少なくとも一部に沿って延在する。テーブルの対向面は、テーブルが使用中に移動してめったに静止しないためにこのように称される。一般にテーブルの対向面は、基板Wの表面、サポートテーブルWT、例えば基板Wを囲む基板テーブル、またはその両方である。このような構成が図2に示される。図2に示される後述する構成は、図1に示される上述のリソグラフィ装置に適用されてもよい。
【0052】
図2は、流体ハンドリング構造12を概略的に描いている。流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終光学素子100と基板テーブルWTまたは基板Wとの間の液浸空間10の境界の少なくとも一部に沿って延在する。ある例において、流体ハンドリング構造12と基板W/基板テーブルWTの表面との間にシールが形成される。シールは、ガスシール16(ガスシールを有するこのようなシステムはEP1,420,298に開示される)または液体シールといった非接触シールであってもよい。
【0053】
流体ハンドリング構造12は、液浸流体、例えば液体を液浸空間10に供給および閉じ込めるよう構成される。液浸流体は、一つの液体開口、例えば開口13aを通じて液浸空間10に運ばれる。液浸流体は、一つの液体開口、例えば開口13bを通じて除去されてもよい。液浸流体は、少なくとも二つの開口、例えば開口13aおよび開口13bを通じて液浸空間10に運ばれてもよい。どちらの液体開口が液浸流体の供給に用いられるか、および、選択的にどちらが液浸液の除去に用いられるかは、基板テーブルWTの動きの方向に依存してもよい。
【0054】
液浸流体は、動作中に流体ハンドリング構造12の底面とテーブルの対向面(つまり、基板Wの表面および/または基板テーブルWTの表面)との間に形成されるガスシール16により液浸空間10に収容されてもよい。ガスシール16内のガスは、ガス入口15を介した圧力下で流体ハンドリング構造12と基板Wおよび/またはサポートテーブルWTとの間のギャップに提供される。ガスは、ガス出口14に関連する流路を介して抽出される。メニスカス101は、液浸流体の境界に形成される。このようなシステムは、US2004−0207824に開示される。他の流体ハンドリング構造12は、本発明の実施の形態とともに用いることができる。
【0055】
図3は、ある例に係る別の液体供給システムまたは流体ハンドリング構造を描く断面視である。図3に示される後述の構成は、上述の図1に示されるリソグラフィ装置に適用されてもよい。液体供給システムは、流体ハンドリング構造12(または液体閉じ込め構造)に設けられ、投影システムPSの最終素子とサポートテーブルWTまたは基板Wとの間の空間10の境界の少なくとも一部に沿って延在する。
【0056】
流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終素子と基板Wの間の空間10に液浸液を少なくとも部分的に閉じ込める。空間10は、投影システムPSの最終素子の下に位置して最終素子を取り囲む流体ハンドリング構造12により少なくとも部分的に形成される。ある例において、流体ハンドリング構造12は、本体部材53と多孔質部材83を備える。多孔質部材83は、プレート形状であり、複数の孔(つまり、開口または細孔)を有する。ある例において、多孔質部材83は、多数の小孔84がメッシュ状に形成されたメッシュプレートである。このようなシステムは、US2010−0045949A1に開示されており、参照によりその全体が援用される。
【0057】
本体部材53は、空間10に液浸液を供給可能な供給口72と、空間10から液浸液を回収可能な回収口73とを備える。供給口72は、通路74を介して液体供給装置75に接続されている。液体供給装置75は、対応する通路74を通じて液浸液を供給口72に供給可能である。回収口73は、空間10から液浸液を回収可能である。回収口73は、通路79を介して液体回収装置80に接続されている。液体回収装置80は、回収口73を介して回収される液浸液を通路79を通じて回収する。多孔質部材83は、回収口73に配置される。供給口72を用いた液体供給動作および多孔質部材83を用いた液体回収動作の実行は、投影システムPSと、一方側の流体ハンドリング構造12と、他方側の基板Wとの間の空間10を形成する。
【0058】
本発明は、石英の基板200と、放射のビームと相互作用するための積層体300の一以上の層310,320,330,350と、限定された親水性を有する、例えば水との接触角が少なくとも75°、好ましくは少なくとも90°である上部層400(親水性コーティングまたはコーティングと称されることがある)とを備えるセンサマーク17を参照しながら詳細に後述されるであろう。
【0059】
図4図5および図6は、基板、例えば石英(SiO)プレート200の上に形成される従来技術のセンサマーク17を描いている。センサのマークは、石英プレート200の上部に堆積される薄膜の積層体300に一体化されている。石英プレート200は、サポートテーブルWTと一体化している。薄膜の積層体300は、任意の数の層を備えてもよい。図4図5および図6に示されるように、積層体300は、四つの層を備え、層310,320および330は、図示されるように上からセンサマーク17に投影されるDUV放射を吸収するための層であり、DUV放射が照射されるときに可視光を放出する石英プレート200の下の材料250により石英プレート200の下から放出されうる放射を吸収するための層である。積層体の最上層である層350は、積層体300の層310,320,330の上部に形成される。ある実施の形態において、層350および/または330,320,310は、可視および/または近赤外放射を反射し、および/または、DUV放射を部分的に吸収する。
【0060】
いくつかの測定を提供するため、センサは、流体ハンドリング構造12の下を通過し、そのためセンサマーク17は液浸液に覆われることになる。これらの測定の後、センサは流体ハンドリング構造12の下を再度通過して液浸液から離れる。液浸液がセンサマーク17の上、または、センサマーク17の周りの積層体300の上に残ったままとなることを避けるため、限定された親水性を有する上部層400がセンサマーク17およびセンサマーク17の周りに塗布される。
【0061】
これらの層の目的およびこれらの製造は、リソグラフィ装置におけるセンサマーク17の使用の説明の後、以下により詳細に説明されるであろう。
【0062】
センサマーク17は、以下のように機能する:
−深紫外(DUV)向けの空間透過フィルタ(PARIS、ILIAS、TIS機能)
−VIS,NIR,MIR向けの空間反射フィルタ(SMASH機能)。
【0063】
積層体300の上面(マークなし領域)からの反射は、他のセンサにより用いられることができる。
【0064】
現行のセンサマークは、図4を参照しながら以下のシーケンスを通じて製造される:
1)全体の厚さ〜100nm(例えば50−200nm)を有するブルークロム(CrOx−Cr−CrOx)の連続層310,320,330が石英プレート200の上に堆積される。ブルークロム310,320,330は、石英プレート200の下に位置する材料250からの可視光の二次反射を最小化するために必要である。この材料250は、DUVをセンサに捕捉される可視光に変換する。投影システムPSからのDUVは、ブルークロム310,320,330にパターニングされた貫通孔100を通過する。CrOxの組成はCr、CrOまたはCrOのいずれかである。ブルークロム310,320,330に含まれる層は:下層310のCrOx=10−80nm厚;中間層320のCr=5−60nm厚;および上層330のCrOx=20−100nm厚である。
2)PARIS/ILIAS/TIS/SMASHマーク用のパターン(1Dおよび2Dグレーティング)および他のマークは、リソグラフィにより堆積され、その後に石英の表面(エッチストップとして機能する)が露出するまでブルークロム310,320,330に彫り込まれる。貫通孔100はパターンを形成する。
3)全体の厚さが300nmまで、または100nm未満であるTiNの層350がブルークロム310,320,330および石英プレート200の上部に堆積され、パターンに適合する。このTiN層350は、これらのマークを通じて、VIS/IRの反射を介した、石英を通過する光漏れ(VIS/IR/DUV)のない測定用マークを提供するであろう。
4)限定された親水性を有するコーティングの上部層400(例えば、例えばSi−O−Si−Oの主鎖を有し、好ましくはLipocer(登録商標)といったメチル基を有する無機ポリマ)がTiN層350の上部に塗布される。Lipocerの下と称される(しかしながら、これに限定されることを意図しない)。LipocerはTiN層350の上に堆積され、センサを有するサポートテーブルWTが液体ハンドリング構造12の下から移動する時間における水の損失を最小限にする。上部(Lipocer)層400は、50−400nmの厚さである。
5)測定の手順に起因して高DUV線量が予想されるセンサプレート上のいくつかのスポットにおいて、Lipocerは存在せず、例えば除去される(典型的に、スポットは〜100×100μmであるが、より大きくてもよく、例えば〜2×2cmであってもよい)。
【0065】
DUVが石英プレート200の表面およびブルークロム310,320,330の貫通孔100に向けて通過可能となるように、同じスポットにおいてTiNも除去されるであろう。このようなスポットは、通常、TIS、ILIASおよびPARISの上にある(図4,5,6を参照)。
【0066】
図4図5図6において:
−グレーティングは縮尺通りではなく、典型的なタイルサイズ(つまり、パターンの四角形のサイズ)、グレーティングの線幅は1−10μmである。
−(レチクルマークおよびレンズを通じて投影される)DUVは、ブルークロム310,320,330内の貫通孔100を通過する。
−(SMASH測定システムの光源からの)IR/VISは、Lipocer/TiNの界面またはTiN/ブルークロムの界面でほとんど反射される。
−レベルセンサは、Lipocerからの反射およびTiNからの反射に基づく。
【0067】
図4は、PARIS積層体(およびILIAS)を示す。図5は、SMASH積層体を示す。図6は、共通の石英プレート200に同じ製造手順で製造されるPARISマークおよびSMASHマークを示す。
【0068】
層320のクロムのガルバニック腐食(流体ハンドリング構造12のステンレス鋼とペアを形成する)を防ぐため、センサマーク17の全体は、接地された流体ハンドリング構造12に対してバイアスされている。
【0069】
電気的バイアスの提供によりクロム層320をガルバニック腐食から保護できるが、任意の電流の流れが積層体300の層、特にCrOx層310,330の溶解に寄与する。さらに、特定層が投影ビームBのDUV放射により照射されるとき、光電効果が潜在的に大きな電流を生じさせる。照射される領域を周囲から切り離すことにより、この電流を低減できる。積層体300の層に流れる電流の低減を目的とするいくつかの実施の形態が後述される。この実施の形態は、明示的に言及する場合を除いて、層320のクロムと流体ハンドリング構造12の間のバイアス源とともに、または、バイアス源なしに動作できる。ガルバニック防食が存在しない場合、本発明は光電流に起因する腐食を低減する。副次的な効果として、バイアスを必要としないシステムを有することの利点は、光電効果により誘起される任意の光電流がより低くなることであろう。
【0070】
本発明は、サブ層310,320,330を備える深紫外(DUV)吸収層を参照しながら以下に説明される。しかしながら、本発明は、吸収層に一つまたは二つのサブ層が存在する場合、および、吸収層に三つより多いサブ層が存在する場合にも等しく適用可能である。例えば、クロム層のみを備える吸収層にも適用可能であろう。
【0071】
図7および図8は、断面視にて、本発明の第1の実施の形態に係るセンサマーク17および取り得る製造フローを示す。単純化のため、層の形態の材料250は図面において省略されているが、センサに材料250は存在するであろう;さらに、センサは、近く(例えば、1cmよりも近く)に配置されるいくつかの透過型および反射型マークを含んでもよく、石英プレート基板200および光変換層となりうる材料250を共有してもよい。第1DUV吸収層310,320,330は、DUV放射を実質的に吸収する第1材料(例えば、クロム)を備える。図7図8に示されるように、第1DUV吸収層310,320,330は、その中に第1貫通孔500を有する(図8参照)。第1保護層600は、第2材料(積層体310,320および330の材料とは異なる)を備え、第1貫通孔500内に位置する。第1保護層600は、石英プレート200に接触する。第1保護層600は、その後、その中に少なくとも一つの貫通孔700を設けるためにパターン化され、これにより複数の貫通孔を備えるパターン領域を形成する。第1保護層600内の孔700のパターンは、現状製造されるセンサマーク17の貫通孔100のパターンに整合しうる。第2材料は、第1DUV吸収層310,320,330の第1材料よりも、劣化、酸化および/または腐食に対して強固であり、および/または、耐性があり、つまり、より貴である(more noble)ため、センサマーク17の劣化が低減されるであろう。
【0072】
ある実施の形態において、第1保護層600の第2材料は、深紫外放射を実質的に吸収する。この方法で、第2材料は、パターン領域の第1深紫外DUV吸収層310,320,330を代替できる。貫通孔500の周りに第1DUV吸収層310,320,330としてのブルークロムを維持することにより、可視領域の波長範囲の法線入射またはかすり入射での反射を抑制する特性が維持される。これは、異なる透過型マークに対応する材料250からの放射の任意の反射が抑制されるために有利であり、したがって異なるマーク間のクロストークが防止される。
【0073】
(例えばTiNの)層350も存在し、第1DUV吸収層310,320,330の上および貫通孔500の周りに位置する。この実施の形態において、TiNの層350は、第2保護層350とみなすことができる。第2保護層350は、第3材料を備え、それは一つの実施の形態においてTiNである。第3材料は、第1材料よりも貴であることが好ましく、これにより第1材料が腐食から保護される。
【0074】
第2保護層350の第3材料は、可視および/または近赤外放射を実質的に反射することが好ましい。これは、第2保護層350の上面を可視および/または近赤外放射を用いるレベルセンサといったセンサが用いることを可能にする。第3材料は、深紫外放射を少なくとも部分的に吸収することが好ましい。これは、迷走するDUV放射が装置の周りで反射されない、または、迷走するDUV放射が反射型マークを通じて漏れることにより反射型マークの信号を汚染しないといった利点がある。
【0075】
図7のセンサマークにおいて、第1深紫外(DUV)吸収層310,320,300を液浸液から電気的に隔離するために対策が講じられてもよい。
【0076】
流体ハンドリング構造12との間で液浸液を通って流れる電流からクロムの層320を保護するため、第1深紫外吸収層310,320,330は少なくとも部分的にそれが被覆されることにより保護され、その部分が液浸液への露出から保護される。被覆は、第1保護層600および/または第2保護層350により実現されてもよい。ある実施の形態において、図示されるように、第1DUV吸収層は完全に封止される。しかしながら、これは必須ではなく、第1DUV吸収層310,320,330の腐食のリスクが低い領域が被覆されなくてもよい。
【0077】
以下、様々な層が堆積される方法を図8を参照しながら説明する。図8に示される第1段階1は、ブルークロム層310,320,330を通常どおりに堆積することである。第2段階2において、第1貫通孔500が通常の技術を用いて第1DUV吸収層310,320,330に彫り込まれる。
【0078】
第3段階3において、第1保護層600が第1貫通孔500に堆積される。図示されるように、第1保護層600は、第1DUV吸収層310,320,330の縁の上方に設けられ、第1DUV吸収層310,320,330の少なくとも一部を被覆する。これは、第1貫通孔500を規定する第1吸収層310,320,330の縁が露出するのを防止する。
【0079】
次のステップ4において、一連の貫通孔700が第1保護層600内に通常の方法で現像される。複数の貫通孔700は、第1貫通孔500内にパターン領域を形成する。ステップ5において、第2保護層350が塗布される。第2保護層350は、第1DUV吸収層310,320,330の上部に通常どおりに塗布され、第1保護層600と重なるようにも塗布される。
【0080】
最終ステップ6において、限定された親水性を有するコーティングの上部層400が第2保護層350の上部の第1貫通孔500の周囲の領域に塗布される。代替的に、層350および400は、連続的に塗布されてから貫通孔700および層600を露出させるように(例えば、反応性イオンエッチングを介して)除去される。
【0081】
ある代替的な実施の形態において、第1保護層600は、第1貫通孔500の周囲の縁において第1DUV吸収層310,320,330と重ならない。代わりに、第1保護層600は、第1貫通孔500内のみに形成される。第2保護層350は、その後、第1貫通孔500を囲む第1DUV吸収層310,320,330の実質的に全体を被覆するように形成される。第2保護層350は、第1貫通孔500を規定する第1DUV吸収層310,320,330の縁を被覆してもよい。第2保護層350は、石英プレート200と接触するように塗布されてもよい。第2保護層350は、第1貫通孔500内の第1保護層600と重なるように塗布されてもよいし、重ならないように塗布されてもよい。
【0082】
ある別の実施の形態において、第2保護層350は、第1保護層600の前に塗布されてもよい。この方法では、第2保護層350が第1保護層600の上に重なる代わりに、第保護層600が第2保護層350の上に重なるであろう。これは、第1DUV吸収層310,320,330の上部の上、または、第1貫通孔500の内側の石英プレート200の上部の上のいずれかであってもよい。
【0083】
ある実施の形態において、第2材料は貴金属であり、好ましくはルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金または金である。
【0084】
ある実施の形態において、第2材料はニッケルよりも貴である。
【0085】
ある実施の形態において、第2材料はセラミックを備え、好ましくは、ニッケルよりも貴な金属または金属の混合体の酸化物または窒化物を備える。
【0086】
ある実施の形態において、第2材料は半金属を備え、好ましくは、金属窒化物または金属窒化物の混合体を備え、好ましくはCrN,MoN,TiN,Si,Ge,AlTiN、または、TiAlN,HfN,TaNを備える。
【0087】
ある実施の形態において、第2材料は、ニッケルよりも貴な金属のケイ素化合物を備え、好ましくはMoSi,TaSiまたはRuSiを備える。
【0088】
ある実施の形態において、第1保護層600は、DUV吸収層の上側に塗布され、DUV吸収層を少なくとも部分的に封止する。第1保護層600の第2材料が第2DUV吸収層の材料よりも貴である場合、これは第2DUV吸収層の材料を保護するのに効果的であろう。
【0089】
図9B−11Cの実施の形態は、センサマーク17の層に流れる任意の電流を低減することにより、流れうるガルバニック電流を低減することを意図する。クロムのプールベ図(電位−pH図)は、Cr−ステンレス鋼のペアにおけるクロムのガルバニック腐食を電気的バイアス(例えば−1V)の印加により防止できることを示す。しかしながら、これは、Cr(CrOx)の腐食の促進という犠牲に至る。
【0090】
CrOx(またはCrO)の腐食率(Cr(OH)m+、Cr(OH)またはCrn+に変換後に溶解する)は、(クロムの腐食に比べて)緩やかであるかもしれないが、熱力学的に積層体300が不安定となる。
【0091】
液浸液、例えば超純水(液浸リソグラフィツールにて用いられるCOと混合される)の典型的なpHは4−6の範囲内である。したがって、ブルークロムの積層体300に印加される約−1Vのバイアスは、実際にクロムの溶解を防止するが、Crの腐食を促進する。
【0092】
ガルバニック腐食には電流/導電率が必要であるが、実際CrOx(またはCrO)は不十分な絶縁体であろう:
a.Crの抵抗率は10Ω・mであり、
b.CrOの抵抗率は〜10Ω・mである:
c.CrNは、TiNと同様の電気的特性を有し、その抵抗率は〜10Ω・mである。
d.比較のため、良好な絶縁体のAlの抵抗率は1013Ω・mである。
【0093】
したがって、酸化クロムは(および、おそらくCrOも)、接触するTiNおよび/またはクロムを通じてバイアスされて液浸液に露出する場合にかなりの電流を導通可能である。
【0094】
図9B−11Cの実施の形態は、クロム層320を保護するための電気的バイアスを維持可能である一方、流れる任意の電流を制限することによりCrOx(またはCrO)のガルバニック腐食を低減することを試みる。
【0095】
図9A−11Cは、様々な実施の形態のセンサマーク17を概略的に示す平面図である。これらの図のそれぞれにおいて、左上の「A」の部分は、図3を参照しながら上述したものに相当する従来のセンサマーク17を示す。図9B−11Cの残りの図の「B」「C」および「D」のそれぞれは、ガルバニック電流を制限する対策が講じされた本発明のある実施の形態を示す。
【0096】
図9B−9Dの実施の形態「B」−「D」のそれぞれにおいて、電流制限器800,820、830がセンサマーク17の少なくとも一つの層に設けられる。電流制限器800,820,830は、液浸液および/またはDUV放射に露出する層からの電子の任意の流れの低減に効果的であり、この層は、そうでなければクロム層320と流体ハンドリング構造12の間の電気的バイアスに起因して溶解するかもしれない。電流制限器800,820,830は、導電層、例えば310または320(図9では見えない)または330または350内の電気絶縁領域を備える。
【0097】
図示されるように、複数の貫通孔100により形成されるパターン領域は、第1DUV吸収層310,320,330(これらのうち上層330のみが見える)内に存在する。パターン領域を囲む領域は周辺領域と呼ばれ、図示されるように、平面視における径方向の最外周の縁における(および縁を越える)領域とみなすことができる。電流制限器800,820,830は、パターン領域から周辺領域に向けて、またはその逆に流れるおそれのある電子を制限する。電子の流れが小さいほど、電流に起因する任意の溶解速度は遅くなる。この方法において、機能的に最も重要な領域であるパターン領域をガルバニック腐食から保護可能となる。
【0098】
好ましくは、電流制限器800,820,830は、パターン領域と周辺領域の間の電気絶縁領域を備える。本発明の一形態において、電流制限器800は、少なくとも一つの層(第1DUV吸収層310,320,330)のうちの第1層にある貫通孔である。図示されるように、電流制限器800,820,830を形成する貫通孔は、電流制限器800,820,830が形成される位置にてセンサマーク17を作り上げる全ての層を貫通する貫通孔である。しかしながら、これは、導電性ではない層(例えば限定された親水性の上部層400)が存在する場合には必要ではなく、貫通孔がその層を貫通する必要はない。
【0099】
図示されるように、電流制限器800,820,830は、パターン領域を実質的に包囲する。ある実施の形態において、周辺領域を介してパターン領域に電気的バイアスを要因に印加できるようにするため、導電性ブリッジ810がパターン領域と周辺領域の間に設けられる。導電性ブリッジ810は、パターン領域から周辺領域への電子の導通を可能にするが、その限定されたサイズに起因して、これら二つの領域間を通過できる電流を制限する。図示されるように、導電性ブリッジ810は、電流制限器800,820,830を形成する貫通孔の形成時に除去されない層の一部にすぎない。
【0100】
図9の「B」「C」および「D」の実施の形態の間の違いは、電流制限器800,820,830の位置である。図8「B」の実施の形態において、電流制限器800は、パターン領域を形成する第1DUV吸収層310,320,330のみに形成される。選択的にTiNで形成される露出層350の領域は電流制限器800を囲み、その次に限定された親水性の例えばLipocerの上部層400に被覆される領域が続く。
【0101】
図9「C」の実施の形態において、電流制限器820は、第1DUV吸収層310,320,330を貫通するとともに、(例えばTiNの)層350を貫通するように形成される。図9「D」の実施の形態において、電流制限器830は、センサマーク17を形成する層の全てを貫通するように形成される。
【0102】
図9B−11Cの実施の形態は、電気的バイアスとともに用いることができるが、電気的バイアスを用いなくても用いることができる。電気的バイアスがない場合、図9B−11Cの発明は、第1DUV吸収層310,320,330のDUV露光により生じる光誘起電流を低減することにより機能する。
【0103】
電流制限器800,820,830が貫通孔の形態である場合、これはDUVおよび可視光に対して透過性があるであろう。したがって、貫通孔は、DUV放射の漏れによるコントラスト損失または信号スミアリングを防止するために、パターン領域から十分に離れていることが好ましい。したがって、電流制限器800,820,830を形成する貫通孔は、少なくとも10タイルサイズ(例えばグレーティングピッチサイズ)だけパターン領域から離れることが好ましい。貫通孔の幅はタイルサイズより小さいことが好ましく、タイルサイズの半分より小さいことが好ましく、タイルサイズの四分の一より小さいことがより好ましい。
【0104】
図10A−10Dの実施の形態は、第1DUV吸収層310,320,330が導電性であり、TiNの層350も導電性であるが、層400が非導電性であるという理解に基づいて動作する。パターン領域の面積が導電性露出領域に比べて小さければ、パターン領域における溶解は、導電性露出領域に比べてパターン領域の相対面積が大きい場合よりも低減されるであろう。これは、ガルバニック腐食が時間積分されるガルバニック電流密度に比例するという事実に起因し、したがって:
寿命の向上度は、〜(Snew−conducting/Sold−conducting)0.5に比例であろう。
【0105】
少なくとも一つのパターン領域の平面積(図10に寸法Gで示される)が少なくとも一つの露光領域の平面積(図10に寸法LFで示される)よりも少なくとも10倍小さいことを確保することで、パターン領域の腐食を顕著に低減できる。限定された親水性の上部層400は、電気絶縁層とみなすことができる。したがって、限定された親水性の上部層400がTiNの層350および第1DUV吸収層310,320,330を液浸液に露出させたままにする範囲は、図9「A」の寸法LFを有する露出領域とみなすことができる。露出領域は、少なくとも一つの導電層(図10の場合、(例えばTiNの)層350および第1DUV吸収層310,320,330)が露出する領域である。
【0106】
図10「A」において、パターン領域が寸法Gを有し、導電性露出周辺領域が寸法LFを有することが分かる。したがって、パターン領域の導電性周辺領域に対する比率は、G:LFである。
【0107】
図10「B」、「C」、「D」および図11「B」および「C」は、この比率を改善できる方法の実施の形態を示す。図10「D」は、平面形状に非対称性を導入する方法をさらに示し、周辺領域に対するパターン領域の位置決めによってガルバニック腐食をさらに低減できる。
【0108】
図10「B」の実施の形態において、限定された親水性の上部層400がパターン領域に近接する度合いを低くすることで露出領域の面積が増えする。したがって、より多くの面積のTiNの層350が露出する。しかしながら、第1DUV吸収層310,320,330の露出量は同じままである。さらなる利点は、限定された親水性の上部層400のより広い開口がDUVに露出する層310,320,330,350の化学的安定性を改善することである。限定された親水性の上部層400の材料、液浸液の超純水および投影ビームからのDUV放射の相互作用は、ブルークロム層310,320,330を劣化させ、および/または、(ブルークロム内の貫通孔により露出する)石英プレート200の石英を浸食する。
【0109】
図10「C」の実施の形態において、追加的に第1DUV吸収層310,320,330の露出領域の量が増える。
【0110】
図11B−11Cの実施の形態において、少なくとも一つの露出領域の面積は、パターン領域を備えない露出領域(図11「B」および「C」の下側)を含むことにより、パターン領域に比べて増える。図10「B」の実施の形態において、TiNの層350のみが露出する一方、図10「C」の実施の形態では、第1DUV吸収層310,320,330とともにTiNの層350の双方が露出する。
【0111】
図11Bおよび11Cの実施の形態において、パターン領域の結像中にパターンなし露出領域が液浸液に被覆されるように、パターンなし露出領域の大きさおよび位置が決められている。
【0112】
パターン領域間の距離(L_markで示される)は、グレーティングの一つのサイズよりも顕著に大きいことが好ましい。限定された親水性の上部層400のない面積(D_markの寸法を有する)は、L_markよりも小さいことが好ましく、少なくとも2倍小さいことが好ましい。図11B−11Cには各パターン露出領域についてパターンなし露出領域が一つだけ(L_offsetの距離で)示されているが、現実には任意の数のパターンなし露出領域が各パターン露出領域について設けられてもよい。ある実施の形態において、比率は1:1から1:100の範囲にあり、好ましい範囲は1:2から1:20である。この方法では、D_mark≦L_offset≦L_markとすることが可能である。ある実施の形態において、パターン化されていない露出領域のサイズは、パターン領域のサイズD_markのサイズと同等であるか、パターン領域のサイズD_markより大きい。
【0113】
図10「D」において、図10B−10Dおよび図11B−11Cの残りに示される特徴と組み合わせて使用されうる、または、それらと独立して使用されうる別の特徴が示される。
【0114】
図10「D」の実施の形態において、パターン領域は、対応する露出領域の幾何学的な中心から離れるようにずれている。したがって、非対称性が導入されている。この配置は、流れる任意の電流がパターン領域を流れない可能性を高める。さらにパターン領域が汚染されていない状態のままとなる可能性を高めるであろう(センサマーク17が流体ハンドリング構造12から離れる方向に移動した後に露出領域に残存する水滴に起因する)。パターン領域の最大寸法Gは、露出領域の幾何学的な中心とパターン領域の幾何学的な中心の間の距離よりも小さい。効果的には寸法Gが図10「D」の寸法Ofよりも小さい。
【0115】
図10B−10Dおよび図11B−11Cの実施の形態は、ガルバニック電流密度を低減させる。全体のガルバニック電流は、露出領域の増加したサイズおよび液浸液の減少した抵抗値のために増大しうるが、ガルバニック電流が通過する面積の増加に起因してガルバニック電流密度は減少するであろう。したがって、パターン領域の腐食が低減されるであろう。
【0116】
図12の実施の形態において、エッジ部分900はブルークロムのクロム層320と同一平面内に設けられる。エッジ部分900は、DUVを吸収するクロム層320の縁が露出するのを防止する。エッジ部分900は、層310,330と同じ材料で構成されることが好ましい。この方法では、ガルバニック腐食が防止可能となるように、層310,330およびエッジ部分900の材料の保護に適した電気的バイアスを積層体300に与えることができる。
【0117】
図12は、四つの製造ステップを示す。石英プレート200が提供され、その上に層310,320,330を備えるブルークロム積層体300が図7のステップ1と同様の方法で堆積される。その後、複数の貫通孔100がブルークロム層に通常の技術でステップ3において形成される。これは、放射のビームに特性を付与するためのパターン領域を形成する。
【0118】
積層体300の主要なDUV吸収材料であるクロム層320のクロムを保護するため、エッジ部分900が貫通孔100の縁の周りに形成され、これによりクロム層320の縁の露出を防止する。エッジ部分900は、クロム層320と同じ平面内にある(かつ、実質的に他の平面には存在しない)。追加的に、エッジ部分900は、積層体300の上層330の下、および、積層体300の下層310の上を延在する。したがって、上層(DUV透過層)330は、各エッジ部分900の一部を被覆し、下層(DUV透過層)310は、エッジ部分900の一部により被覆される。
【0119】
ある実施の形態において、エッジ部分900は、図12のステップ3に示されるブルークロムのリソグラフィエッチングパターニングの後、酸素/窒素プラズマまたは酸素もしくは窒素リッチ環境における高温アニーリングにより、クロム層320に含まれるクロムの酸化および/または窒化によりステップ4において形成される。
【0120】
図13の実施の形態は、他の実施の形態とともに、または、他の実施の形態から分離して用いられてもよい。同じことが図14および図15A−15Bの実施の形態にも言える。図13−15Bの全ての実施の形態は、ガルバニック防食システムの電気回路を流れる電流を抑制するよう適合したガルバニック防食システム内の電流制限器を含む。
【0121】
図13の実施の形態の場合、センサマーク17が液浸液により被覆される全時間にわたって電流が制限される。図14および図15A−15Bの実施の形態では、センサマーク17が流体ハンドリング構造12の対向面の下を通過するときに特に電流が制限される。センサマーク17が流体ハンドリング構造12の対向面の下を通過するとき(図14に示される状況)、流体ハンドリング構造12とセンサマーク17の間の液浸液の厚さが小さい(したがって低抵抗である)ため、最大電流がガルバニック防食回路に流れる可能性が高い時間となる。
【0122】
図13−14Bでは、センサマーク17を参照しながら説明しているが、本発明は、サポートテーブルWT上の任意の対象物に適用できる。
【0123】
図13−15Bの実施の形態において、電力供給部1003は、センサマーク17と流体ハンドリング構造12の間のバイアス電圧を供給するよう構成される。したがって、電力供給部1003、流体ハンドリング構造12およびセンサマーク17を備える電気回路が形成され、センサマーク17が流体ハンドリング構造12の下にあるときに液浸液が回路を完成させる。
【0124】
図13の実施の形態において、電流制限器1009は回路に設けられる。したがって、ガルバニック電流が制限される一方でバイアスを維持する。バイアスは、層320が液浸液に接触する間、層320を保護し、電流制限器は、センサが流体ハンドリング構造12の下を通過する間、積層体310,330のダメージを最小化する。
【0125】
電流制限器1009は、回路に直列に堅固に配線された抵抗を備える。抵抗は、電気回路の抵抗を増加させるよう適合する。これにより、特に対象物が流体ハンドリング構造12の対向面の下(図14で示される位置)を通過するときに、電気回路を流れる電流を抑制する。
【0126】
ある実施の形態において、抵抗は、電流が増加するにつれてその抵抗値が増大することを意味するバラスト抵抗であってもよい。これは、流体ハンドリング構造12に対するセンサマーク17の位置がどこであっても適切なバイアスが維持されることを意味する。
【0127】
代替的な実施の形態において、抵抗1009は、回路内で電流が流れるにつれて発熱する(したがって、抵抗値が増大する)ことで同様に動作するサイリスタであってもよい。異なる種類の可変抵抗が用いられてもよく、例えば、センサマーク17と流体ハンドリング構造12の相対位置に依存して制御システムにより抵抗値が変化する可変抵抗が用いられてもよい。
【0128】
図14の実施の形態において、電流制限器1010は、流体ハンドリング構造12の対向面のうち下方でセンサマーク17が通過する部分に設けられるコーティングを備えてもよい。コーティングは、センサマーク17が対向面に近接するとき(そして、回路内の液浸液の量が少なく、したがって抵抗も小さいとき)であっても、流れる電流が劇的には増加しないという意味で、少なくとも部分的に電気絶縁性である。
【0129】
図15A−15Bは、電流制限器1010のコーティングの形態での二つの取り得る実施の形態を示し、対向面を下から見ている。図15Aにおいて、コーティングは対向面の小さい部分のみに塗布されており、センサマーク17が投影システムの下を移動するときにこの部分の下をセンサマーク17が通過するであろう。このシステムは、サポートテーブルWTの位置を制御するコントローラが対向面の同じ部分(塗布されたコーティングを有する部分)の下をセンサマーク17が通過することを常に保証すれば、十分に機能する。ある実施の形態において、コーティングは、0.1から50nmの範囲の厚さを有してもよい。
【0130】
図15Bの実施の形態は、センサマーク17が対向面の任意の部分の下を通過することを可能にする点で異なり、コーティングの存在により依然として保護される。図15Bの実施の形態では、コーティングが対向面の全体を被覆する。
【0131】
好ましくは、コーティングの厚さは0.1−10μmの範囲である(サポートテーブルWTの上面の上方での流体ハンドリング構造12の飛行高さよりも十分に小さい)。これは、流体ハンドリング構造12の再設計の必要性を回避する。
【0132】
コーティング材料のバルク抵抗は、1010Ω・mを超えることが好ましい(1μm厚の層を考えた場合、センサ〜W×Wの上の絶縁材料の区画(1cm×1μm)の抵抗値は、R=1010Ω・m×10−6/1cm=100MΩ)である)。
【0133】
抵抗値は、センサマーク17が流体ハンドリング構造12の下を通過して液浸液の抵抗値が最小となる時間にわたってガルバニック電流のスパイクを防ぐのに十分である。
【0134】
コーティングは、ガスナイフ動作とともに流体ハンドリング構造12の水の供給および吸引をサポートする穴のために途切れることができる。これらの領域は、流体ハンドリング構造12の表面(またはセンサマーク17の近傍の液体閉じ込め構造12の表面)に比べて非常に小さいため、これらによって収集される電流も小さい。
【0135】
絶縁層の好ましい候補は、B、Al、GaおよびSiOである(これらは全て1013Ω・m以上の抵抗率であることを特徴としており、UPWといった液浸液と両立しうる)。高抵抗率は、より薄いコーティングを可能にすることが容易となり、これは、低応力かつ剥がれにくいことで本質的により強くなる。
【0136】
コーティングの別の好ましい候補は、(流体ハンドリング構造12との良好な接着が実現されれば)Lipocerであるかもしれない。利点は塗布しやすいことである。
【0137】
図16−18は、以下の記載を除いて、図7および図8の実施の形態と同様である。第1DUV吸収層310,320,330は、図4−8を参照しながら説明したものと同じである。DUV吸収層310,320,330を堆積し、放射のビームに特性を付与するためにその層内に製造される複数の貫通孔100を有した後、パッシベーション層750の形態の層が第1DUV吸収層310,320,330に塗布される。パッシベーション層750の材料は、第1DUV吸収層310,320,330の第1材料(例えばクロム)よりも貴である。ある実施の形態において、パッシベーション層750は、第1DUV吸収層310,320,330を形成する個々の層のそれぞれの厚さに比べて相対的に薄い。ある実施の形態において、パッシベーション層750は、0.5−50nm厚であり、好ましくは10−20nm厚である。ある実施の形態において、パッシベーション層750は、100nm以下の厚さであり、貫通孔100の閉塞を避けることが好ましい。パッシベーション層750の下限となる厚さは、少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも2nm、より好ましくは少なくとも5nmであり、層が十分に強固であることを確実にする。ある実施の形態において、パッシベーション層750が100nmより厚く、貫通孔100が厚いパッシベーション層750を収容する層のサイズを有するように最初に形成される。パッシベーション層750の厚さは均一でなくてもよい。ある実施の形態において、パッシベーション層750は、パッシベーション層750が貫通孔100の外縁に形成される箇所に比べて、吸収層310,320,330の上部にて厚い。
【0138】
図16−18に示されるように、ある実施の形態において、パッシベーション層750は基板200の上には形成されていない。ある実施の形態において、パッシベーション層750のDUV吸収特性が許容可能な程度に十分に低い場合、それが基板200を被覆してもよい。しかしながら、パッシベーション層750は、そうでなければ露出するはずの第1DUV吸収層310,320,330の全ての表面上に形成される。したがって、パッシベーション層750は、貫通孔100の外縁において第1DUV吸収層310,320,330の縁の露出(例えば液浸液との直接接触)を防ぐ。パッシベーション層750は、第1DUV吸収層310,320,330の上面の露出(例えば液浸液との直接接触)も防ぐ。
【0139】
選択的にTiN層350は、パッシベーション750の上部(第1DUV吸収層310,320,330の上部)の上に形成されてもよい。上部(Lipocer)層400は、選択的にパッシベーション層750の上部の上(例えばTiN層350の上)に形成されてもよい。
【0140】
ある実施の形態において、接着を促進するための層がパッシベーション層750とTiN層350および/または上部(Lipocer)層400との間に設けられる。TiN層350および/または上部(Lipocer)層400がパッシベーション層750の形成後に堆積されれば、図16−18に示されるのと同様の構造が現れるであろう。このような構造は、パッシベーション層750が例えば金属またはセラミックのスパッタリングにより形成される場合に特に適している。パッシベーション層が陽極腐食抑制剤であり、および/または、化学的(電気化学的および光電気化学的を含む)に堆積される場合に特に適している代替的な実施の形態において、TiN層350および/または上部(Lipocer)層400は、パッシベーション層750の前に形成することができる。この場合、パッシベーション層750は、TiN層350/上部(Lipocer)層400と第1DUV吸収層310,320,330の間に存在しないが、露出している(つまり、TiN層350または上部(Lipocer)層400のいずれかに被覆されていない)部分(上面および貫通孔100の外縁)にのみ存在する。
【0141】
ある実施の形態において、パッシベーション層750は、電解めっきにより形成されることができ、または、例えば参照により全体が本書に援用されるUS2007−0243397A1に記載されるように、パッシベーション処理溶液にセンサマークを浸す、もしくは、パッシベーション溶液をセンサマークにスプレーすることにより形成されることができる。
【0142】
パッシベーション層750は、陽極腐食抑制剤であってもよい。ある実施の形態において、パッシベーション層750は不溶層である。これにより、パッシベーション層750は、任意の液浸液と第1DUV吸収層310,320,330の間でなされる電気的接続を防ぐ。したがって、第1DUV吸収層310,320,330は、図7および図8の実施の形態と同様の方法で劣化から保護される。しかしながら、図7および図8の実施の形態とは対照的に、放射のビームに特性を付与する貫通孔100のパターンは、(図4−6の従来の構成と同様に)第1DUV吸収層310,320,330により形成される。これは、第1DUV吸収層310,320,330内に形成されている放射のビームに特性を付与するための複数の貫通孔100に基づいた以前の仕様にセンサマーク17が依然として準拠しているために有利である。したがって、ブルークロム積層体の反射防止特性が維持され、このようなマークの実績のある機能も維持されうる。ある実施の形態において、図6に示されるようなセンサマークは、パッシベーション処理溶液に浸される。ある実施の形態において、パッシベーション処理溶液は、抑制剤またはその前駆体が溶解した液体である。
【0143】
ある実施の形態において、パッシベーション層750は、第1DUV吸収層310,320,330を堆積し、複数の貫通孔100を形成した後に形成される。追加的に、パッシベーション層750は、TiN層350および/または上部(Lipocer)層400の後に形成されてもよい。ある実施の形態において、パッシベーション層750は、貫通孔100のパターンを含む第1DUV吸収層310,320,330の少なくとも一部をパッシベーション層750を形成するためのパッシベーション処理溶液に浸すことにより形成される。パッシベーション処理溶液は、例えばリン酸であってもよい。ある実施の形態において、その一部がパッシベーション溶液に浸される間、電気的バイアスが第1DUV吸収層310,320,330に印加される。
【0144】
パッシベーション処理溶液に浸している間、第1DUV吸収層310,320,330が選択的に電気的バイアスにさらされる。バイアスは、抑制剤の堆積を促進し、典型的に−1Vから+1Vの範囲のSHE(または、パッシベーション処理溶液の所定のPHでのHおよびOの生成の間の範囲の他のバイアス)である。追加的または代替的に、第1DUV吸収層310,320,330は、第1DUV吸収層310,320,330への抑制剤の堆積を促進するために光が照射される。ある実施の形態において、TiN層350および/または上部(Lipocer)層400と抑制剤の相互作用が回避される。
【0145】
ある実施の形態において、パッシベーション処理溶液は、3−11の範囲のpHを有する。これは、TiN層350および/または上部(Lipocer)層400との相互作用のリスクを好適に減少させる。ある実施の形態において、堆積時間は1−100分である。ある実施の形態において、パッシベーション処理溶液の濃度は、0.01M以下である。これは、堆積時間を増加させるが、パッシベーション層の厚さの均一性を増大させるために有利である。
【0146】
ある実施の形態において、パッシベーション処理溶液は、センサマークの特定の領域のみに塗布される。ある実施の形態において、センサマークの残りがパッシベーション処理溶液との接触を回避するためにマスクされてもよい。これは、パッシベーション処理溶液のより幅広い特性(例えば、より高いまたは低いpH、および/または、より高濃度)を可能にする。
【0147】
ある実施の形態において、パッシベーション処理溶液はリン酸であり、(パッシベーション層750)の第2材料はリン酸クロムである。
【0148】
代替的な実施の形態において、(パッシベーション層750)の第2材料は、ZnO、リン酸塩、ホスホン酸塩、タングステン酸塩、ケイ酸塩、モリブデン酸塩、クロム酸ナトリウム、ニッケル、コバルト、ガリウム、ルテン、オルトリン酸塩または窒化物またはルテニウム、イリジウム、白金、ハフニウムおよびそれらの酸化物/窒化物または酸窒化物の一以上を含む、任意の無機材料(少なくとも炭素を含まない)の腐食抑制剤であってもよい。
【0149】
パッシベーション層750の分子は、第1DUV吸収層310,320,330の中に浸透しないが、化学的および/または物理的吸収によりその表面にくっつく。
【0150】
パッシベーション層750の堆積は、使用期間後の2回目またはそれ以降のために実施されてもよい。
【0151】
ある実施の形態において、センサの構造は図4−6に示される通りである。上述のように、第1DUV吸収層310,320,330は、三つの別々の層から構成されてもよく、三つはクロムの中間層320(実際には10%までの酸素、例えば5−10%の酸素を含んでもよい)と、実際にはクロム酸窒化物またはクロム酸炭窒化物であってもよいクロム酸化物の上層310および下層330とを含む。センサマーク17は、ステンレス鋼(したがって大きな割合のクロムを含む)で構成されうる接地された流体ハンドリング構造12に対して−0.9Vだけバイアスされる。この実施の形態において、第1DUV吸収層310,320,330の腐食は、ドーピング、例えば第1DUV吸収層310,320,330の一以上の層にリンをドープすることによる組成の変更により低減される。これは、電荷キャリアの移動度の増加につながるであろう。電荷キャリアの移動度の増加は、第1DUV吸収層310,320,330が生成されるホールを中和する能力を増加させ、これにより積層体を不動態化(パッシベーション)する。したがって、ある実施の形態において、センサマーク17の第1DUV吸収層310,320,330は、リンがドープされたクロム、クロム酸化物、クロム酸窒化物またはクロム酸炭窒化物の一以上の層を備える。
【0152】
第1DUV吸収層310,320,330の一以上の個々の層のドーパント濃度は、好ましくは0.01−10%原子濃度の範囲である。濃度は、一つの層内で変化してもよく、例えば濃度勾配があってもよい。異なる層310,320,330のそれぞれは、残りの層310,320,330とは異なるドーパント濃度を有してもよい。
【0153】
ある実施の形態において、ドーピングが第1DUV吸収層310,320,330の製造時(つまり、最初の形成時)に達成される。代替的な実施の形態において、後述されるように、第1形成されるDUV吸収層310,320,330は、最初に形成され、その後にドープされるように処理される。
【0154】
ある実施の形態において、第1DUV吸収層310,320,330の一以上の層は、通常の方法で堆積されてもよい。TiNの層350および/または上部層400(いずれの層も選択的である)を塗布する前または後に、第1DUV吸収層310,320,330の層が光電解めっきによりドープされる。
【0155】
この実施の形態において、第1DUV吸収層310,320,330は、約2のPHを有するリン酸に浸される。第1DUV吸収層310,320,330は、約−0.8Vカソード電位および100kJ/cmまでの積分フルエンスを用いてDUVで照明される。代替的に、第1DUV吸収層は、1MJ/cmまでの積分フルエンスを有するVIS/NIRレーザ照射により照明されてもよく、DUVおよびVIS/NIR照射の双方において、超純水および/またはリンを含む溶液および/または積層体310,320,330もしくはその近傍へのカソード電位の存在は選択的である。DUV照射は、独立した機器で提供されてもよいし、センサの使用の開始時にリソグラフィ機器内で提供されてもよい。独立した機器が用いられる場合、カソード電位は0−1Vの範囲であってもよい。照明を用いなければ、第1DUV吸収層310,320,330を上記の電位を有するリン酸に延長された時間、例えば1から20時間にわたって、選択的に高温の液浸液で、例えば20−100℃の範囲で浸すことが必須となるかもしれない。
【0156】
ある実施の形態において、第1DUV吸収層310,320,330の一以上の層のドーピングは、拡散誘起ドーピングにより達成されてもよい。例えば、第1DUV吸収層310,320,330はリン酸に浸され、レーザ照射を用いて第1DUV吸収層310,320,330の局所加熱が実現されてもよい。
【0157】
上述の実施の形態において、リン酸は、酸性のリン酸クロム(III)水溶液と置換されてもよい。代替的な実施の形態において、第1DUV吸収層310,320,330のドーピングは、イオン注入または共スパッタリングにより実現されてもよい。共スパッタリングは、スパッタリング堆積による積層体310,320,330の製造時に用いられるスパッタリングターゲット(金属クロムまたはその酸化物、窒化物もしくは酸窒化物およびそれらの組み合わせ)にリン含有物質を添加すること、または、ガス(N,O,NO,NO,CxHy,Ar)に揮発性リン物質を添加することである。リンのドーピングの代替は、硝酸の塗布により実現できる窒素原子のドーピング(硝化)、ハロゲンのドーピング、例えば臭化物のドープングを含む。これは、第1DUV吸収層310,320,330の自由電子数を増加させ、これによりホールの再結合速度および中和を増加させるであろう。モリブデン酸塩、クロム酸ナトリウム、他のリン酸塩およびケイ酸塩がドーパントであってもよい。
【0158】
ある実施の形態において、パッシベーション層750が塗布されてもよく、処理(例えばDUV、VISまたはNIR照射)に応じて、第1DUV層310,320,330のいくつかのドーピングが行われてもよい。これは、パッシベーション層750と第1DUV吸収層310,320,330の間の結合強度を高めるために有利である。
【0159】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本書に説明したリソグラフィ装置は他の用途、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどにも適用可能であるものと理解されたい。当業者であれば、このような他の用途において、本書の「ウェハ」または「ダイ」の用語の任意の使用は、より一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」のそれぞれと同義とみなしうることが理解されよう。本書に参照される基板は、露光の前または後に処理されてもよく、トラック(一般にレジストの層を基板に適用して露光されたレジストを現像するツール)、計測ツールおよび/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示は、このような基板処理ツールや他の基板処理ツールに適用されてもよい。さらに、例えば多層ICを作製するために、基板が2回以上処理されてもよく、本書で使用される基板の用語は、複数回処理された層をすでに含む基板を指してもよい。
【0160】
「レンズ」の用語は、文脈において許されれば、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型および静電型の光学素子を含む、様々な種類の光学素子の任意の一つまたはその組み合わせを指してもよい。
【0161】
特定の実施の形態が上述されたが、本発明の実施の形態は、説明とは異なる態様で実施されてもよい。上記の説明は、例示を意図しており、限定を意図しない。したがって、当業者であれば、以下の特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、説明された発明に改変がなされてもよいことが理解されよう。
【0162】
第1態様において、DUV放射を実質的に吸収する第1材料を備える第1深紫外(DUV)吸収層を有する基板と、第2材料を備える第1保護層と、を備えるセンサマークが提供される。第1DUV吸収層は、その中に第1貫通孔を有し、第1保護層は、パターン領域を有する第1貫通孔の第1保護層内に位置決めされる。複数の貫通孔を備え、第2材料は、第1材料よりも貴である。
【0163】
第2態様において、第1態様のセンサマークは、第1DUV吸収層上に位置する第3材料を備える第2保護層をさらに備える。
【0164】
第3態様において、第2態様の第3材料は、少なくとも部分的に深紫外放射を吸収し、および/または、第3材料は、可視および/または近赤外放射を実質的に反射または透過する。
【0165】
第4態様において、第2または第3態様の第2材料は、深紫外放射を実質的に吸収する。
【0166】
第5態様において、第1および第4態様のいずれかの第1深紫外(DUV)吸収層および基板は、可視領域の波長範囲の法線入射またはかすり入射における反射を実質的に抑制するよう構成される。
【0167】
第6態様において、第1から第5態様のいずれかの第1保護層は、第1DUV吸収層の少なくとも一部を被覆することにより第1DUV吸収層の露出を防ぐ。
【0168】
第7態様において、第1から第6態様のいずれかの第2保護層は、第1貫通孔を規定する第1深紫外(DUV)吸収層の縁を被覆する。
【0169】
第8態様において、第1から第7態様のいずれかの第1深紫外(DUV)吸収層は、異なる材料の少なくとも二つのサブ層を備える。
【0170】
第9態様において、第1から第8態様のいずれかの第1保護層は、第1深紫外(DUV)吸収層内の第1貫通孔の面積の半分より多くを被覆する。
【0171】
第10態様において、第1から第9態様のいずれかの第1DUV吸収層の縁は、第1貫通孔を規定し、第1保護層は、その縁を被覆する。
【0172】
第11態様において、第1から第10態様のいずれかの第1保護層は、第1DUV吸収層の上に少なくとも部分的に形成される。
【0173】
第12態様において、第1から第11態様のいずれかの第2保護層は、第1保護層の上に少なくとも部分的に形成される。
【0174】
第13態様において、第1から第12態様のいずれかの第1保護層は、第2保護層の上に少なくとも部分的に形成される。
【0175】
第14態様において、第1から第13態様のいずれかの第2材料は、貴金属であり、好ましくはルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、白金または金である。
【0176】
第15態様において、第1から第13態様のいずれかの第2材料は、ニッケルより貴である。
【0177】
第16態様において、第1から第13態様のいずれかの第2材料は、セラミックまたは酸化物を備え、好ましくは、ニッケルよりも貴な金属の酸化物もしくは窒化物または金属の混合物を備える。
【0178】
第17態様において、第1から第13態様のいずれかの第2材料は、半金属を備え、好ましくは、金属窒化物または金属窒化物の混合物を備え、好ましくは、CrN,MoN,TiN,Si3N4,Ge3N4,AlTiNまたはTiAlN,HfN,TaNを備える。
【0179】
第18態様において、第1から第13態様のいずれかの第2材料は、ニッケルよりも貴な金属のケイ素化合物を備え、好ましくはMoSi,TaSiまたはRuSiを備える。
【0180】
第19態様において、第1から第18態様のセンサマークは、第1DUV吸収層をさらに備え、第1保護層は、第1保護層または第2保護層により少なくとも部分的に封止される。
【0181】
第20態様において、第1から第19態様のいずれかの第3材料は、TiNを備える。
【0182】
第21態様において、基板および少なくとも一つの層を備えるセンサマークが提供される。少なくとも一つの層のパターン領域は周辺領域により囲まれ、パターン領域は放射のビームに特性を付与するためのものであり、少なくとも一つの層は、少なくとも一つの層内におけるパターン領域から周辺領域へのまたはその逆の電子の流れを制限するよう適合する電流制限器をさらに備える。
【0183】
第22態様において、第21態様の電流制限器は、少なくとも一つの層内のパターン領域と周辺領域の間に電気絶縁領域を備える。
【0184】
第23態様において、第21または第22態様の電気絶縁領域は、少なくとも一つの層の第1層内の貫通孔である。
【0185】
第24態様において、第21から第23態様のいずれかのセンサマークは、第2層をさらに備える。
【0186】
第25態様において、第24態様の貫通孔は、第2層に存在せず、第1層が導電材料でできている。
【0187】
第26態様において、第21から第25態様のいずれかの電気絶縁領域は、パターン領域を実質的に包囲する。
【0188】
第27態様において、周辺領域を介してパターン領域に電気的バイアスを印加することを可能にするために、第21から第26態様のいずれかのパターン領域と周辺領域の間に導電性ブリッジが設けられる。
【0189】
第28態様において、基板と、少なくとも一つの導電層と、少なくとも一つの導電層上の電気絶縁層と、少なくとも一つの導電層の少なくとも一つの露出領域を露出させる電気絶縁層内の少なくとも一つの貫通孔と、を備えるセンサマークが提供される。少なくとも一つの露出領域は、放射のビームに特性を付与するための少なくとも一つのパターン領域を備える。少なくとも一つのパターン領域の平面積は、少なくとも一つの露出領域の平面積より10倍以上小さい。
【0190】
第29態様において、第28態様の少なくとも一つの導電層は、少なくとも二つの層を備え、少なくとも二つの導電層の上側はその中の露出領域に貫通孔を有し、パターン領域は、少なくとも二つの導電層の上側の貫通孔内の少なくとも二つの導電層の下側に形成される。
【0191】
第30態様において、第28または第29態様の少なくともの一つの露出領域の少なくとも一つは、パターン領域を備えない。
【0192】
第31態様において、第29態様のパターン領域を備えない少なくとも一つの露出領域の少なくとも一つにおいて、少なくとも二つの導電層の下側は、少なくとも二つの導電層の上側により被覆される。
【0193】
第32態様において、基板と、少なくとも一つの導電層と、少なくとも一つの導電層上の絶縁層と、少なくとも一つの導電層の少なくとも一つの露出領域を露出させる絶縁層内の少なくとも一つの貫通孔とを備えるセンサマークが提供される。少なくとも一つの露出領域は、放射のビームに特性を付与するための少なくとも一つのパターン領域を備え、少なくとも一つのパターン領域は、その対応する露出領域の幾何学的な中心からずれている。
【0194】
第33態様において、第32態様のパターン領域の最大寸法は、対応する露出領域の幾何学的な中心とパターン領域の幾何学的な中心の間の距離よりも小さい。
【0195】
第34態様において、基板と、DUV放射を実質的に吸収し、放射のビームに特性を付与するための複数の貫通孔を備えるパターン領域を備えるDUV吸収層と、DUV吸収層の基板とは反対側の表面を被覆するDUVを実質的に透過するDUV透過層と、貫通孔の外縁にてDUV吸収層の露出を防止するエッジ部分と、を備えるセンサマークが提供される。エッジ部分は、DUV吸収層と同一平面内にあり、DUV透過層は、エッジ部分のそれぞれの一部を被覆する。
第35態様において、センサマークの製造方法が提供される。この方法は、基板上の第1層上のDUV吸収層およびDUV吸収層の上部上の第2層を有する基板を提供することと、第1層、DUV吸収層および第2層を貫通する貫通孔のパターンを第1形成することと、貫通孔の外縁にてDUV吸収層の縁の露出を防止するエッジ部分を第2形成することとを備える。
【0196】
第35態様において、センサマークの製造方法が提供される。この方法は、基板上の第1層上のDUV吸収層およびDUV吸収層の上部上の第2層を有する基板を提供することと、第1層、DUV吸収層および第2層を貫通する貫通孔のパターンを第1形成することと、貫通孔の外縁にてDUV吸収層の縁の露出を防止するエッジ部分を第2形成することとを備える。
【0197】
第36態様において、第35態様の第2形成は、第1形成により露出するDUV吸収層の材料の酸化を備える。
【0198】
第37態様において、第35態様の第2形成は、第1形成により露出するDUV吸収層の材料の窒化を備える。
【0199】
第38態様において、対象物を支持するよう構成されるサポートテーブルと;対象物上にパターン放射ビームを投影するよう構成される投影システムと;液浸液を投影システムとサポートテーブルおよび/または対象物との間の空間に閉じ込めるよう構成される液体ハンドリング構造と;対象物と液体ハンドリング構造の間にバイアス電圧を供給するよう構成される電力供給部であって、電力供給部、流体ハンドリング構造、対象物および空間内の液浸液が電気回路を形成する電力供給部と;対象物が流体ハンドリング構造の対向面の下を通過するときに電気回路を流れる電流を抑制するよう適合する電流制限器と;を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0200】
第39態様において、第38態様の電流制限器は、電気回路内で抵抗を増加させることにより、対象物が流体ハンドリング構造の下を通過するときに電気回路を流れる電流を抑制するよう適合する抵抗を備える。
【0201】
第40態様において、第39態様の抵抗は、バラスト抵抗を備える。
【0202】
第41態様において、第39態様の抵抗は、サイリスタを備える。
【0203】
第42態様において、第38態様の電流制限器は、その下を対象物が通過するよう適合する流体ハンドリング構造の対向面の一部にあるコーティングを備える。
【0204】
第43態様において、第42態様のコーティングは、電気絶縁性である少なくとも一つの層を備える。
【0205】
第44態様において、第42または第43態様の電気絶縁層のバルク抵抗は、1010Ω・m以上である。
【0206】
第45態様において、第42、第43または第44態様のコーティングの材料は、B,Al,SiO,Baを備える。
【0207】
第46態様において、DUV放射を実質的に吸収する第1材料を備え、放射のビームに特性を付与するための複数の貫通孔を備える基板上の第1DUV吸収層と;第1DUV吸収層を被覆することにより、貫通孔の外縁および/または第1DUV吸収層の上面にて第1DUV吸収層の縁が露出するのを防止する第2材料を備えるパッシベーション層とを有する基板を備え、第2材料が第1材料よりも貴であるセンサマークが提供される。
【0208】
第47態様において、第46態様のパッシベーション層は、アノード抑制剤である。
【0209】
第48態様において、第46または第47態様の第2材料は、リン酸クロムである。
【0210】
第49態様において、第46、第47または第48態様の第2材料は、ZnO、リン酸塩、ホスホン塩、タングステン酸塩、ケイ酸塩、モリブデン酸塩、クロム酸ナトリウム、ニッケル、コバルト、ルテン、オルトリン酸塩または窒化物またはルテニウム、イリジウム、白金、ハフニウムおよびそれらの酸化物/窒化物または酸窒化物からなる群から選択される一以上の材料を備える。
【0211】
第50態様において、センサマークの製造方法が提供される。この方法は、第1材料を備えるDUV吸収層を有する基板を提供することと;貫通孔のパターンを含むDUV吸収層の少なくとも一部をパッシベーション処理溶液中に浸し、第1DUV吸収層を被覆する第2材料を備えるパッシベーション層を形成することにより、貫通孔の外縁および/またはDUV吸収層の上面にて第1DUV吸収層の縁の露出を防止することと;を備える。第2材料は、第1材料よりも貴である。
【0212】
第51態様において、第50態様は、パッシベーション溶液中に浸される間、DUV吸収層の一部に電気的バイアスを印加することをさらに含む。
【0213】
第52態様において、第50または第51態様のパッシベーション処理溶液は、リン酸を含む。
図1
図2
図3
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図5
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図9A
図9B
図9C
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図10B
図10C
図10D
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