(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側層の形成工程において、前記外側層における前記挿通工程で前記ゴムブロック絶縁筒に挿通された前記電力ケーブル側で前記外側層の前記テープが巻き終わるように巻くことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電力ケーブルの中間接続部の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ゴムブロック絶縁筒は、その内径が電力ケーブルの絶縁層の外径よりも小さく設定されており、装着時には、自己収縮して電力ケーブルの絶縁層や導体接続部に巻かれたテープに密着するようになっている。
しかしながら、特許文献1の電力ケーブルの中間接続部に対して、特許文献2のようにゴムブロック絶縁筒をスライド移動させると、導体接続部の外周に巻かれた半導電性テープの端部がゴムブロック絶縁筒に引きずられて解け、ゴムブロック絶縁筒と電力ケーブルの絶縁層との間に挟まれた状態となるおそれがあった。
その場合、中間接続部の電気的性能の低下を生じ、さらには、挟まれた半導電性テープの端部に電界集中が発生し、絶縁破壊が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、電気的性能の低下を抑制し、信頼性の高い電力ケーブルの中間接続
部の施工方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電力ケーブルの中間接続部の施工方法であって、
ゴムブロック絶縁筒に二本の電力ケーブルの一方を挿通させる挿通工程と、
二本の前記電力ケーブルの絶縁層から露出した導体同士を接続して導体接続部を形成する接続工程と、
前記導体接続部の外周に半導電性テープを巻く半導電性テープ層の形成工程と、
前記半導電性テープ層の外周に、前記ゴムブロック絶縁筒に対する動摩擦係数が前記半導電性テープよりも低いテープを巻く外側層の形成工程と、
前記ゴムブロック絶縁筒を
、前記外側層が内側となる位置まで前記二本の電力ケーブルに沿って
前記外側層に摺動する状態でスライドさせるスライド工程とを順番に行うことを特徴とする。
【0014】
また、他の本発明は、電力ケーブルの中間接続部の施工方法であって、
ゴムブロック絶縁筒に二本の電力ケーブルの一方を挿通させる挿通工程と、
二本の前記電力ケーブルの絶縁層から露出した導体同士を接続して導体接続部を形成する接続工程と、
前記導体接続部の外周に半導電性テープを巻く半導電性テープ層の形成工程と、
前記半導電性テープ層の外周に、前記半導電性テープよりも厚さが薄いテープを巻く外側層の形成工程と、
前記ゴムブロック絶縁筒を
、前記外側層が内側となる位置まで前記二本の電力ケーブルに沿って
前記外側層に摺動する状態でスライドさせるスライド工程とを順番に行うことを特徴とする。
【0015】
前記半導電性テープ層の形成工程では、前記導体接続部の外周に、外径が前記電力ケーブルの絶縁層の外径より小さくなるように半導電性テープを巻いてもよい。
【0016】
前記外側
層の形成工程において、前記外側
層における前記挿通工程で前記ゴムブロック絶縁筒に挿通された前記電力ケーブル側の端部で前記外側層又は前記半導電性テープ層の前記テープが巻き終わるように巻いてもよい。
前記ゴムブロック絶縁筒は、EPゴムからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の構成により、電気的性能の低下を抑制し、信頼性の高い電力ケーブルの中間接続
部の形成方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[発明の実施形態の概要]
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は電力ケーブル10を接続した中間接続部100の一部を切り欠いた正面図、
図2は後述する導体接続部20周辺の拡大断面図である。
本実施形態は、二本の電力ケーブル10を接続する中間接続部100に関するものである。
中間接続部100は、二本の電力ケーブル10の絶縁層12から露出した導体11同士を接続した導体接続部20と、当該導体接続部20の外周に形成された半導電性テープからなる半導電性テープ層30と、半導電性テープ層30の外側に形成された外側層40と、導体接続部20、半導電性テープ層30及び外側層40の外側に設けられたゴムブロック絶縁筒50とを備えている。
【0020】
[電力ケーブル]
二本の電力ケーブル10は、いずれも同一の構成を備えているが、以下において、これらを区別して説明する場合には電力ケーブル10A(
図1における左側の電力ケーブル)と電力ケーブル10B(
図1における右側の電力ケーブル)のように別の符号で記載する。また、例えば、同一の構造を説明する場合のように区別して説明する必要がない場合には電力ケーブル10と記載する。
【0021】
電力ケーブル10は、中心から順に、導体11、絶縁層12、外部半導電層13、保護層であるシース14とを備えている。電力ケーブル10は、例えば、電圧階級が66[kV]の高圧電力ケーブルである。なお、中間接続部100は、電圧階級が66[kV]を超えるより高圧用の電力ケーブルにも適用可能である。
【0022】
導体11は、良導体、例えば、銅、アルミニウムから形成されている。
絶縁層12は、例えば、架橋ポリエチレン等の絶縁性の高い樹脂から形成されている。
外部半導電層13は、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレン等の絶縁性材料にカーボンを添加した半導電性ゴムから形成されている。
シース14は、例えば、ポリエチレン等、内側の層の保護に適した強度を有する材料からなる。
なお、これら以外にも一般的な電力ケーブルが有する内部半導電層、遮蔽層等を有する構成としても良い。
【0023】
中間接続部100においては、各電力ケーブル10の接続端部は、上記各層11,12,13の外周が露出するように段剥ぎが行われている。また、一方の電力ケーブル10Bは、他方の電力ケーブル10Aに比べてシース14が余分に除去されており、外部半導電層13の外周がより長い範囲で露出している。これは、中間接続部100の施工の工程において、ゴムブロック絶縁筒50を一時的に電力ケーブル10Bの露出した外部半導電層13上に退避させておくためである。
【0024】
二本の電力ケーブル10の導体11は、同心且つ向かい合わせの状態で良導体からなる導体接続管21の両端部に個別に挿入され、ろう付け、圧縮又は圧接等によって電気的に接続されている。そして、この接続構造が導体接続部20となっている。
なお、導体接続部20は、導体11同士が電気的に接続されていれば良く、導体接続管21の使用は必須ではない。例えば、導体11同士を直接的にろう付けで接続しても良い。
【0025】
[半導電性テープ層]
各電力ケーブル10の導体11と導体接続管21は、いずれも電力ケーブル10の絶縁層12よりも外径が小さく設定されているので、二本の電力ケーブル10の絶縁層12の間で小径なる凹みが発生する。
この凹みを埋めるように半導電性テープを何層も積層させて半導電性テープ層30が形成されている。半導電性テープは、例えば、導電性加硫ゴムシートの裏面に半導電性の粘着材を塗布したテープである。この半導電性テープの裏面を内側に向けてラップ巻き(例えば、1/2ラップ巻き)で何層にも巻回して半導電性テープ層30が形成されている。なお、ラップ巻きとはテープの幅方向の一部を重ねるようにして巻くことをいい、
図4や
図7に示されたような断面を有している。1/2ラップ巻きとは、テープの幅方向の1/2を重ねるようにして巻く巻き方である。
なお、半導電性テープは、半導電性を有する他の材質のテープでも良く、また、粘着材も必須ではなく、自己融着テープ等でも良い。
【0026】
[外側層]
半導電性テープ層30の外径は、電力ケーブル10の絶縁層12の外径よりも小さく設定されている。
そして、半導電性テープ層30の外周には、半導電性架橋ポリエチレンテープ41からなる外側層40が形成されている。
図3は外側層40の正面図である。
この半導電性架橋ポリエチレンテープ41は、半導電性テープ層30よりも層数は少なくて良く、例えば、一層でも良い。
半導電性架橋ポリエチレンテープ41は、半導電性架橋ポリエチレンからなり、裏面に半導電性の粘着材を塗布したテープである。この半導電性架橋ポリエチレンテープ41の裏面を内側に向けてラップ巻き(例えば、1/2ラップ巻き)で巻回して外側層40が形成されている。
また、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の表面は、半導電性テープ層30を構成する半導電性テープの表面に比べて、後述するゴムブロック絶縁筒50の主絶縁部51、内部半導電部52及びストレスコーン53,54のいずれに対しても、動摩擦係数が小さくなっている。ゴムブロック絶縁筒50を装着する際には、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の表面上をゴムブロック絶縁筒50がスライドするので、このように動摩擦係数が小さいことが好ましい。さらに、ゴムブロック絶縁筒50の装着の際には、寸法確認などのためにその途中で停止し、スライドを再開させることもあるため、半導電性架橋ポリエチレンテープ41は半導電性テープ層30を構成する半導電性テープの表面に比べて、静止摩擦係数も小さくなっているとより好ましい。
【0027】
外側層40は、電力ケーブル10の中心軸方向(以下、軸方向とする)の全長に渡ってその外径が電力ケーブル10の絶縁層12よりも僅かに小さく、絶縁層12に対する外径差は、0より大きく5[mm]以下である。外側層40のさらに外側には、ゴムブロック絶縁筒50が配置されるが、ゴムブロック絶縁筒50は弾性および収縮性を有するので、5[mm]以下の外径差があっても、外側層40の外周とゴムブロック絶縁筒50の内周が隙間なく密着した部分を有し、外側層40の外周とゴムブロック絶縁筒50の内部半導電部52と間に導電性が確保される。また、仮に、外側層40と電力ケーブル10の絶縁層12との段差によって隙間が生じた場合であっても、絶縁層12は、ゴムブロック絶縁筒50、内部半導電部52、ストレスコーン53,54のいずれとも確実に密着して絶縁破壊を伴うような隙間を生じることがなく、また、外側層40が内部半導電部52との導電性を確保することができるので、電気的な特性の低下を生じない。
なお、絶縁層12の外径に対する外側層40の外径の差は0.4[mm]以上1[mm]以下とすることがより好ましい。
なお、外側層40と電力ケーブル10の絶縁層12の外径差は、0としても良い。
【0028】
また、外側層40の半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411は、
図3に示すように、外側層40における電力ケーブル10B側、より好ましくはその端部に位置する。
前述したように、電力ケーブル10Bの外部半導電層13の露出長さ(シース14の除去長さ)は電力ケーブル10Aより長く、中間接続部100の施工の工程において、ゴムブロック絶縁筒50の一時的な退避領域となる(
図5C〜
図6B参照)。
そして、一時的に退避したゴムブロック絶縁筒50は、電力ケーブル10A側にスライド移動して、導体接続部20の周辺を内側に格納する正規の位置に配置される。
このとき、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411は、ゴムブロック絶縁筒50の内周に摺接して剥離し、ゴムブロック絶縁筒50と同方向に移動するおそれがある。その結果、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411が、後述するゴムブロック絶縁筒50の内部半導電部52よりも電力ケーブル10A側まで移動してしまうと、電気的特性の低下やゴムブロック絶縁筒50内の絶縁破壊の原因となり得る。
しかしながら、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411は、外側層40における最も電力ケーブル10B側に位置し、電力ケーブル10Aから最も遠方に位置するので、内部半導電部52よりも電力ケーブル10A側まで移動する可能性を十分に低減することができる。
【0029】
[ゴムブロック絶縁筒]
ゴムブロック絶縁筒50は、
図1に示すように、軸方向に沿った円筒状であって、その両端部は徐々に縮径した形状となっている。また、ゴムブロック絶縁筒50の中心には、電力ケーブル10の導体接続部20を挿通させる中心孔56が貫通形成されている。
【0030】
ゴムブロック絶縁筒50は、絶縁体であるEPゴム(エチレンプロピレンゴム)からなる主絶縁部51と、主絶縁部51の内部であって軸方向の中央部に設けられた内部半導電部52と、主絶縁部51の軸方向の一端部と他端部とに形成されたストレスコーン53,54とを有している。また、主絶縁部51の外周には、電力ケーブル10B側の端部となる一部分を除いて、外部半導電部55が形成されている。
内部半導電部52、ストレスコーン53,54および外部半導電部55は、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレン等の絶縁性材料にカーボンを添加した半導電性ゴムから形成されている。
【0031】
中心孔56は、全長に渡って内径が均一であり、ゴムブロック絶縁筒50全体が軸対称となるように、これを貫通している。すなわち、中心孔56は、ゴムブロック絶縁筒50の一端側(電力ケーブル10A側)から、ストレスコーン53、内部半導電部52、ゴムブロック絶縁筒50の他端側(電力ケーブル10B側)のストレスコーン54を順に貫通している。
中心孔56の内径は、電力ケーブル10の外部半導電層13や絶縁層12の外径よりも小さく設定されており、さらには、外側層40の外径よりも小さく設定されている。従って、装着時に自己収縮して電力ケーブル10に対して密着するようになっている。具体的には、ゴムブロック絶縁筒50の中心孔56の内径に対して、電力ケーブル10の絶縁層12の外径が1.1倍以上1.5倍以下となっている。
【0032】
そして、内部半導電部52は、軸方向について前述した外側層40よりも長くなっている。また、内部半導電部52の内周は外側層40の外周に密着し、電気的に接続された状態となっており、電力ケーブル10の通電時には、内部半導電部52は、導体接続部20と同電位となる。
【0033】
また、ストレスコーン53,54は、それぞれ、電力ケーブル10Aの外部半導電層13の端部と電力ケーブル10Bの外部半導電層13の端部とに密着し、電気的に接続された状態となっている。そして、電力ケーブル10の通電時には、ストレスコーン53,54は、電力ケーブル10Aの外部半導電層13及び電力ケーブル10Bの外部半導電層13と同電位となる。
【0034】
[電力ケーブルの中間接続部の施工方法]
上記構成からなる電力ケーブルの中間接続部100の施工方法を
図5A〜
図6Cに基づいて説明する。
まず、
図5Aに示すように、接続する二本の電力ケーブル10A,10Bの絶縁層12、外部半導電層13、シース14の段剥ぎを行い、導体11、絶縁層12、外部半導電層13の外周を露出させる(電力ケーブル処理工程)。
このとき、図示のように、電力ケーブル10Bの外部半導電層13は、その露出長が少なくともゴムブロック絶縁筒50の全長よりも長くなるようにシース14が除去される。
【0035】
次に、
図5Bに示すように、電力ケーブル10Bの先端部にゴムブロック絶縁筒50の中心孔56に挿入するための治具101を装着する。
そして、
図5Cに示すように、電力ケーブル10B及びゴムブロック絶縁筒50を同心で保持すると共に、図示しない圧入装置を使用して、電力ケーブル10Bをゴムブロック絶縁筒50の中心孔56に挿通させる(挿通工程)。
このとき、治具101及び電力ケーブル10Bの絶縁層12及び外部半導電層13の外周には、シリコーン等の潤滑剤を予め塗布することが好ましい。
ゴムブロック絶縁筒50は、電力ケーブル10Bの外部半導電層13の外周に一時的に配置される。
【0036】
次に、
図6Aに示すように、電力ケーブル10Bの治具101を取り外し、電力ケーブル10A,10Bの互いの導体11を導体接続管21により接続して、導体接続部20を形成する(接続工程)。
さらに、
図6Bに示すように、露出した導体11及び導体接続管21の外周にラップ巻きによって半導電性テープの巻き付けを行い、半導電性テープ層30を形成する(半導電性テープ層の形成工程)。
【0037】
そして、半導電性テープ層30の外周にラップ巻きによって半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き付けを行い、外側層40を形成する(外側層の形成工程)。
半導電性架橋ポリエチレンテープ41は、終端部が外側層40における電力ケーブル10B側の端部で巻き終わるように巻き付けを行い、巻き終わりの外側層40の外径が電力ケーブル10の絶縁層12の外径よりも僅かに小さくなるようにする。
【0038】
次に、
図6Cに示すように、ゴムブロック絶縁筒50を電力ケーブル10A側に向かって適正な配置となるようにスライドさせる(スライド工程)。
この場合も、外側の層40の外周や電力ケーブル10Aの絶縁層12及び外部半導電層13の外周にシリコーン等の潤滑剤を予め塗布することが好ましい。
【0039】
ゴムブロック絶縁筒50の適正な配置では、内部半導電部52が導体接続部20の外周に接続された状態となり、また、ストレスコーン53,54は、それぞれ電力ケーブル10Aの外部半導電層13と電力ケーブル10Bの外部半導電層13とに接続された状態となる。
これにより、電力ケーブルの中間接続部100の施工が完了する。
【0040】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記電力ケーブルの中間接続部100は、半導電性テープ層30の外周に、当該半導電性テープよりもゴムブロック絶縁筒50に対する動摩擦係数が低い半導電性架橋ポリエチレンテープ41からなる外側層40を備えている。
このため、中間接続部100の施工時において、ゴムブロック絶縁筒50が外側層40の外周を円滑にスライドして通過するので、半導電性テープや半導電性架橋ポリエチレンテープ41が摺動で破損したり、端部が引きずられてゴムブロック絶縁筒50と絶縁層12との隙間に巻き込まれることを抑制できる。これにより、異物の挟み込みによる電界不整などの電気的性能の低下や電界集中による絶縁破壊の発生などを抑制し、信頼性の高い中間接続部を提供することが可能となる。
また、半導電性架橋ポリエチレンテープ41を半導電性テープよりもゴムブロック絶縁筒50に対する静止摩擦係数も低くすると、ゴムブロック絶縁筒50の装着時において、その移動を途中で停止して再び移動させる場合であっても、電気的性能の低下や電界集中による絶縁破壊の発生などを抑制することができ、さらに信頼性の高い中間接続部を提供することが可能となる。
特に、外側層40は、片面側が粘着性を有する半導電性架橋ポリエチレンテープ41から構成されているので、動摩擦係数を低減すると共に、導体接続部20との良好な電気的接続を実現し、導体接続部20からゴムブロック絶縁筒50の内部半導電部52にかけてを同電位とすることができる。
【0041】
また、電力ケーブル10の絶縁層12の外径が、ゴムブロック絶縁筒50の中心孔56の内径の1.1倍以上1.5倍以下となっているので、ゴムブロック絶縁筒50の中心孔56の内壁が電力ケーブル10の絶縁層12や外部半導電層13、外側層40に密接し、良好な絶縁性能と、電気的接続を得ることができる。
また、外側層40の外径が電力ケーブル10の絶縁層12の外径よりも小さいので、ゴムブロック絶縁筒50のスライド移動の際に、半導電性テープや半導電性架橋ポリエチレンテープ41の破損、隙間への巻き込みを効果的に抑制でき、より電気的特性が良好な中間接続部を提供することが可能となる。
また、外側層40の外径は、電力ケーブル10の絶縁層12の外径よりも5[mm]以下の範囲で小さく設定されているので、ゴムブロック絶縁筒50の取付の際に、自己収縮により外側層40と内部半導電部52とを良好に密接させることができ、導体接続部20から内部半導電部52までを安定的に同電位にすることが可能となる。
さらに、外側層40の外径を、電力ケーブル10の絶縁層12の外径よりも0.4[mm]以上1[mm]以下の範囲で小さく設定した場合には、ゴムブロック絶縁筒50の自己収縮力によって外側層40との接触を確保しつつ、スライド時の摩擦力を抑制してテープの巻き込みを効果的に防ぐことができる。
さらに、外側層40の半導電性架橋ポリエチレンテープ41をラップ巻きとしているので、テープ間の隙間の発生を効果的に低減することが可能となる。
【0042】
また、電力ケーブル10B側のシース14の下側の外部半導電層13の露出長が電力ケーブル10A側のそれよりも長く、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411が、外側層40における軸方向中間位置よりも電力ケーブル10B側、より好ましくはその端部側に位置している。このため、施工の際に、ゴムブロック絶縁筒50が電力ケーブル10Bの外部半導電層13上から電力ケーブル10A側にスライド移動する場合に、半導電性架橋ポリエチレンテープ41の巻き終わりの端部411は電力ケーブル10Aに遠い配置となり、剥離を生じても、内部半導電部52の電力ケーブル10A側にまで引きずられて絶縁体12との間に挟まれた状態となることを効果的に抑制することができ、電気的特性がさらに良好な中間接続部を提供することが可能となる。
【0043】
また、二本の電力ケーブル10A、10Bは、電圧階級が66[kV]以上の電力ケーブルである場合を例示しているが、このような高電圧ケーブルであっても、電気的特性が良好な中間接続部を提供することが可能である。
【0044】
さらに、電力ケーブルの中間接続部100は、ゴムブロック絶縁筒50に電力ケーブル10Bを挿通させる挿通工程と、二本の電力ケーブル10A,10Bの導体11同士を接続して導体接続部20を形成する接続工程と、導体接続部20の外周に半導電性テープを巻く半導電性テープ層30の形成工程と、半導電性架橋ポリエチレンテープ41を半導電性テープ層30の外周に巻く外側層40の形成工程と、内部半導電部52が外側層40を覆う位置までゴムブロック絶縁筒50を二本の電力ケーブル10A,10Bに沿ってスライドさせるスライド工程とを含む複数の工程について、上記記載の順番で施工が行われる。
このため、スライド工程において、ゴムブロック絶縁筒50が外側層40の外周を円滑にスライドして通過するので、半導電性テープや半導電性架橋ポリエチレンテープ41の破損やテープの巻き終わりの端部411の巻き込みを低減し、電気的性能の低下や絶縁破壊の発生を抑制して、信頼性の高い施工を行うことが可能となる。
【0045】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られず、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、電力ケーブルの中間接続部100を構成する各構成の材料は一例を示したに過ぎず、適宜変更可能である。
具体的には、ゴムブロック絶縁筒50の主絶縁部51は、絶縁材料であれば良く、エチレンプロピレンゴム以外の絶縁材料であるシリコーンゴムやクロロプレンであっても良い。
【0046】
また、
図7に示す外側層40Cのように、半導電性テープ層30の半導電性テープよりも薄いテープ41Cで外側層40Cを形成しても良い。例えば、半導電性テープ層30の半導電性テープを0.7[mm]とした場合にテープ41Cを0.1〜0.5[mm]の厚さとする。なお、これらの数値は一例である。
この場合、
図4と比較すると明らかなように、外側層40Cの表面に生じる凹凸を外側層40の凹凸よりも小さくすることができ、外側層40Cのゴムブロック絶縁筒50による巻き込みを低減することが可能となる。
【0047】
このように、半導電性テープ層30の半導電性テープよりも薄いテープ41Cから外側層40Cを形成する場合であっても、
図5A〜
図6Cに示した各工程と同じ工程で電力ケーブルの中間接続部を施工することが可能である。
【0048】
なお、外側層40Cは、その構造によりゴムブロック絶縁筒50に対する動摩擦係数を低減することができるので、材質を半導電性テープ層30の半導電性テープよりも動摩擦係数の小さい半導電性架橋ポリエチレンテープとはしないで、半導電性テープ層30と同材質の半導電性テープで構成してもよい。
また、外側層40Cが動摩擦係数の小さい半導電性架橋ポリエチレンテープと半導電性テープ層30と同材質の半導電性テープのいずれの場合でも、この外側層40Cも電力ケーブル10の絶縁層12の外径より5[mm]以下の範囲で小さくとすることが好ましく、0.4[mm]以上1[mm]以下の範囲で小さくすることがより好ましい。
【0049】
また、
図8に示すように、外側層40を形成しないで、半導電性テープ層30を電力ケーブル10の絶縁層12よりも小径で形成する構成としても良い。この場合、半導電性テープ層30の外径は、電力ケーブル10の絶縁層12よりも5[mm]以下の範囲で小さくし、さらには、0.4[mm]以上1[mm]以下の範囲で小径とすることが好ましい。また、この場合も半導電性テープ層30をラップ巻きとすることが好ましい。
上記の場合、ゴムブロック絶縁筒50の自己収縮力によりゴムブロック絶縁筒50と半導電性テープ層30とが接触するが、半導電性テープ層30が小径となることによりゴムブロック絶縁筒50の動摩擦力及び静止摩擦力が低減され、半導電性テープの巻き込みを低減することができ、電気的性能の低下や電界集中による絶縁破壊の発生などを抑制することが可能となる。
【0050】
このように、半導電性テープ層30を電力ケーブル10の絶縁層12よりも小径にして形成する場合であっても、
図5A〜
図6Cに示した各工程の内で、
図6Bの工程において、ラップ巻きで、半導電性テープ層30の外径を上記目標の外径で形成し、外側層40を形成しないように変更することで電力ケーブルの中間接続部を施工することが可能である。
また、このとき、半導電性テープは、終端部が半導電性テープ層30における電力ケーブル10B側の端部で巻き終わるように巻き付けを行う。
【0051】
また、
図9に示すように、電力ケーブル10Aと電力ケーブル10Bの絶縁層12の外径が不一致の場合(電力ケーブル10Bの方が大きい場合を例示する)には、電力ケーブル10Aの絶縁層12の先端部と電力ケーブル10Bの絶縁層12の先端部とを連結する円錐面Qに対して平行となる円錐面が形成されるようにテープを巻いて半導電性テープ層30及び外側層40を形成することが好ましい。
この場合、外側層40の円錐面の外径R1は、軸方向のいずれの位置においても、電力ケーブル10Aの絶縁層12の先端部と電力ケーブル10Bの絶縁層12の先端部とを連結する円錐面Qの外径R2よりも小さくなっている。
また、
図8のように外側層40を形成しない場合には、半導電性テープ層30を、電力ケーブル10Aの絶縁層12の先端部と電力ケーブル10Bの絶縁層12の先端部とを連結する円錐面に対して平行となる円錐面が形成されるようにテープを巻くことが好ましい。この場合も、半導電性テープ層30の円錐面の外径は、軸方向のいずれの位置においても、電力ケーブル10Aの絶縁層12の先端部と電力ケーブル10Bの絶縁層12の先端部とを連結する円錐面の外径よりも小さくなっている。
これら
図9の場合(
図8の例を
図9に適用した場合を含む)も、外側層40(半導電性テープ層30)の円錐面の外径は、軸方向のいずれの位置においても、電力ケーブル10Aの絶縁層12の先端部と電力ケーブル10Bの絶縁層12の先端部とを連結する円錐面Qの外径よりも小さくなっている。また、軸方向のいずれの位置においても、円錐面Qの外径よりも外側層40(半導電性テープ層30)の円錐面の外径が5[mm]以下の範囲で小さくし、さらには、0.4[mm]以上1[mm]以下の範囲で小径とすることが好ましい。