特許第6853234号(P6853234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853234BTK阻害剤としてのピリミジン誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853234
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】BTK阻害剤としてのピリミジン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/48 20060101AFI20210322BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C07D239/48CSP
   C07D401/04
   C07D403/12
   C07D403/04
   C07D413/12
   C07D471/10 101
   C07D487/04 137
   C07D409/12
   C07D471/04 104Z
   A61K31/506
   A61K31/505
   A61P43/00 111
   A61P1/02
   A61P1/04
   A61P1/16
   A61P1/18
   A61P3/10
   A61P7/06
   A61P7/00
   A61P7/04
   A61P9/00
   A61P9/10 101
   A61P11/02
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P13/12
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P17/14
   A61P19/00
   A61P19/02
   A61P19/08
   A61P21/00
   A61P21/04
   A61P25/00
   A61P25/16
   A61P25/28
   A61P37/02
   A61P37/06
【請求項の数】12
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2018-500455(P2018-500455)
(86)(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公表番号】特表2018-524356(P2018-524356A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016041438
(87)【国際公開番号】WO2017007987
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】62/190,350
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ホイ チウ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー.コールドウェル
(72)【発明者】
【氏名】レスリー リウ−ブジャルスキ
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518219(JP,A)
【文献】 特表2012−515724(JP,A)
【文献】 特表2006−514989(JP,A)
【文献】 特表2006−508997(JP,A)
【文献】 特表2014−513729(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/173518(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/012294(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/080638(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/079719(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0179720(US,A1)
【文献】 米国特許第07435814(US,B1)
【文献】 特表2010−533733(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/068806(WO,A1)
【文献】 特表2013−515786(JP,A)
【文献】 J. Med. Chem.,2009年,52,3300−3307
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/48
C07D 401/04
C07D 403/04
C07D 403/12
C07D 409/12
C07D 413/12
C07D 471/04
C07D 471/10
C07D 487/04
A61K 31/505
A61K 31/506
A61P 1/02
A61P 1/04
A61P 1/16
A61P 1/18
A61P 3/10
A61P 7/00
A61P 7/04
A61P 7/06
A61P 9/00
A61P 9/10
A61P 11/00
A61P 11/02
A61P 11/06
A61P 13/12
A61P 17/00
A61P 17/06
A61P 17/14
A61P 19/00
A61P 19/02
A61P 19/08
A61P 21/00
A61P 21/04
A61P 25/00
A61P 25/16
A61P 25/28
A61P 37/02
A61P 37/06
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I-bの化合物又はその医薬上許容される塩。
【化1】
(式中、R1以下の:
a)
【化2】
b)シクロペンチル又はシクロヘキシル;又は
c)
【化3】
うちの一つから選ばれ
R2 は水素、C1-6 脂肪族、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、又は、
R1 及びR2 はそれらが結合している原子と一緒になって、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する6〜10員縮合もしくはスピロ二環式複素環を形成し、その各々は場合により置換されていてよく、
R1 、又は、R1 及びR2 により形成される環は、
【化4】
により置換されており、
R4 は水素、C1-6 脂肪族、C6-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、
各R5 は独立して、C1-6 アルキル、C6-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、そして
m は0又は1である)
【請求項2】
R1 及びR2 により形成される環は単環式、二環式縮合又は二環式スピロピロリジン、又は、単環式、二環式縮合又は二環式スピロピペリジンである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1 及びR2 により形成される環は、
【化5】
である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
各R5は、独立して、
【化6】
である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式I-c
【化7】
(式中、
R3は、-O(CH22OCH3である
R5は、C1-6 アルキル、C6-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよい
の化合物又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式I-e
【化8】
(式中、
R3は、-O(CH22OCH3である
R5は、C1-6 アルキル、C6-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよい
の化合物又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
式I-a
【化9】
の化合物又はその医薬上許容される塩であり、
Rは-(CH22OCH3であり、
N, R1及びR2により形成される環は、
【化10】
である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
以下の式:
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
で表される化合物から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
請求項1記載の化合物、及び、医薬上許容されるアジュバント、キャリア又はビヒクルを含む、医薬組成物。
【請求項10】
求項1記載の化合物又は医薬として許容されるその塩を含む、BTK-媒介性疾患の治療を必要とする対象においてBTK-媒介性疾患を治療するための医薬組成物
【請求項11】
前記疾患は炎症性骨盤疾患、尿道炎、日光皮膚炎、副鼻腔炎、肺臓炎、脳炎、髄膜炎、心筋炎、腎炎、骨髄炎、筋炎、肝炎、胃炎、腸炎、皮膚炎、歯肉炎、虫垂炎、膵炎、胆嚢炎、無ガンマグロブリン血症、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、シェーグレン病、組織移植片拒絶、移植臓器の超急性拒絶、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫性多腺性疾患(自己免疫多腺症候群としても知られる)、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、糸球体腎炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎、自己免疫性溶血性及び血小板減少状態、グッドパスチャー症候群、アテローム性動脈硬化症、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血性ショック、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、変形性関節症、慢性特発性血小板減少性紫斑病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、アトピー性皮膚炎、変形性関節症、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン・バレー症候群、ベーチェット病、強皮症(scleraderma)、菌状息肉症、急性炎症応答びグレーブス病から選ばれる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1記載の化合物又はその生理学上許容される塩を含む、対象における狼瘡を治療するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2015年7月9日に出願された米国仮出願第62/190,350号の利益を主張し、その内容を全体として参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤として有用であるピリミジン化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬上許容される組成物及び該組成物の種々の障害の治療における使用方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
プロテインキナーゼは、ヒト酵素の最大のファミリーの一つを構成し、タンパク質にリン酸基を付加することによって多くの異なるシグナル伝達プロセスを調節する(T. Hunter, Cell 1987 50:823-829)。具体的には、チロシンキナーゼは、チロシン残基のフェノール部分でタンパク質をリン酸化する。チロシンキナーゼファミリーは、細胞増殖、遊走及び分化を制御するメンバーを含む。異常なキナーゼ活性は、癌、自己免疫及び炎症性疾患を含む種々のヒト疾患に関与している。プロテインキナーゼは細胞シグナル伝達の重要な調節因子に含まれるので、小分子キナーゼ阻害剤で細胞機能を調節するターゲットを提供し、このようにして、良好な薬物ターゲットを作る。キナーゼ媒介疾患過程の処置に加えて、キナーゼ活性の選択的及び効果的な阻害剤は、細胞シグナル伝達過程の調査及び治療目的の他の細胞ターゲットの特定にも有用である。
【0004】
B細胞が自己免疫性疾患及び/又は炎症性疾患の病因に重要な役割を果たしているという十分な証拠が存在する。リツキサンなどのB細胞を枯渇させるタンパク質をベースとする治療薬は関節リウマチなどの自己抗体主導の炎症性疾患に対して有効である(Rastetterら Annu Rev Med 2004 55:477)。したがって、B細胞活性化に役割を果たすタンパク質キナーゼの阻害剤は自己抗体産生などのB細胞媒介性疾患の病理のために有用な治療薬であるはずである。
【0005】
B細胞レセプター(BCR)を介したシグナル伝達は、成熟した抗体産生細胞への増殖及び分化を含む、ある範囲のB細胞応答を制御する。BCRはB細胞活性のための重要な調節点であり、異常なシグナル伝達は調節解除されたB細胞増殖及び病原性自己抗体の形成を引き起こし、それが複数の自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患を引き起こすことがある。ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)は膜近位及びBCRからすぐ下流の非BCR関連キナーゼである。BTKの欠如はBCRシグナル伝達を遮断することが示されており、したがって、BTKの阻害はB細胞媒介性疾患過程を阻止する有用な治療アプローチである可能性がある。また、BTKはアポトーシスにおいて役割を果たすことが報告されており(Islam及びSmith Immunol. Rev. 2000 178:49)、このため、BTK阻害剤は特定のB細胞リンパ腫及び白血病の治療のために有用であろう(Feldhahnら J. Exp. Med. 2005 201:1837)。
【0006】
BTKはチロシンキナーゼのTecファミリーの一員であり、初期のB細胞発生及び成熟B細胞の活性化及び生存の重要な調節因子であることが示されている(Khanら Immunity 1995 3:283; Ellmeierら J. Exp. Med. 2000 192:1611)。ヒトにおけるBTKの突然変異はX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)の病態を引き起こす(Rosenら New Eng. J. Med. 1995 333:431及びLindvallら Immunol. Rev. 2005 203:200にて報告)。これらの患者は免疫無防備状態であり、B細胞の成熟障害、低減された免疫グロブリン及び末梢B細胞レベル、減少されたT細胞非依存性免疫応答、ならびに、BCR刺激後の減衰されたカルシウム動員を示す。
【0007】
自己免疫性疾患及び炎症性疾患におけるBTKの役割の証拠はまた、BTK欠損マウスモデルによっても提供されている。全身性エリテマトーデス(SLE)の前臨床マウスモデルにおいて、BTK欠損マウスは疾患進行の顕著な改善を示す。また、BTK欠損マウスはコラーゲン誘発関節炎に対して抵抗性である(Jansson及びHolmdahl Clin. Exp. Immunol. 1993 94:459)。選択的なBTK阻害剤はマウス関節炎モデルにおいて用量依存的効果を示した(Z. Panら Chem. Med Chem. 2007 2:58-61)。
【0008】
BTKはまた、疾患過程に関与しうるB細胞以外の細胞によっても発現される。BTKは骨髄細胞中のFc-γシグナル伝達の重要な要素である。例えば、BTKは肥満細胞により発現され、そしてBTK欠損骨髄由来肥満細胞は抗原誘発性脱顆粒の障害を示す(Iwakiら J. Biol. Chem. 2005 280:40261)。これは、BTKがアレルギー及び喘息などの病的肥満細胞応答を治療するのに有用である可能性があることを示す。また、BTK活性が存在しないXLA患者からの単核細胞は刺激後のTNFアルファ産生の減少を示す(Horwoodら J Exp Med 197:1603, 2003)。それゆえ、TNFアルファ媒介性炎症は、小分子BTK阻害剤により調節することができる。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
今回、本発明の化合物及びその医薬上許容される組成物はBTKの阻害剤として有効であることを発見した。このような化合物は一般式I
【化1】
(上式中、R1, R2, R3, X及びnの各々は本明細書中の実施形態において規定されそして記載されるとおりである)を有するものであり、又は、その医薬上許容される塩である。
【0010】
本発明の化合物及びその医薬上許容される組成物は、BTKに関連する、様々な疾患、障害又は病態を治療するのに有用である。そのような疾患、障害又は病態としては本明細書に記載のものが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の実施形態の詳細な説明
1.本発明の化合物の概説
特定の態様において、本発明はBTKの阻害剤を提供する。幾つかの実施形態では、そのような化合物は本明細書に記載される式の化合物、又はその医薬上許容される塩を包含し、ここで、各変項は本明細書中に規定されそして記載されている。
【0012】
2.化合物及び定義
本発明の化合物は上記一般に記載した化合物を包含し、本明細書中に開示されるクラス、サブクラス及び化学種によりさらに例示される。本明細書中に使用されるときに、特段の指示がないかぎり、以下の定義は適用されるであろう。本発明の目的で、化学元素は元素の周期律表CASバージョン, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.によって特定される。さらに、有機化学の一般原理は"Organic Chemistry", Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999及び"March's Advanced Organic Chemistry", 5th Ed., Ed.: Smith, M.B.及びMarch, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、その全内容をここに参照により取り込む。
【0013】
用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、本明細書中に使用されるときに、完全に飽和であるか又は1つ以上の不飽和の単位を含む、直鎖(すなわち、非枝分かれ)もしくは枝分かれの置換もしくは非置換の炭化水素鎖、又は、完全に飽和であるか又は1つ以上の不飽和の単位を含む、単環式炭化水素もしくは二環式炭化水素であるが、芳香族でなく(又は、「炭素環式」又は「脂環式」もしくは「シクロアルキル」とも本明細書中で呼ばれる)、分子の残部への1つの結合点を有するものを指す。別段の指示がない限り、脂肪族基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、脂肪族基は1〜5個の脂肪族炭素原子を含む。別の実施形態において、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。なおも別の実施形態において、脂肪族基は1〜3個の脂肪族炭素原子を含み、そしてなおも別の実施形態において、脂肪族基は1〜2個の脂肪族炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、「脂環式」(又は「炭素環」又は「シクロアルキル」)は完全に飽和であるか又は1つ以上の不飽和の単位を含む、単環式C3-C6炭化水素であるが、芳香族でなく、分子の残部に1つの結合点を有するものを指す。例示の脂肪族基は直鎖もしくは枝分かれの置換もしくは非置換C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル基、及びそれらの複合体、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルである。
【0014】
用語「低級アルキル」はC1-4直鎖もしくは枝分かれアルキル基を指す。例示の低級アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert-ブチルである。
【0015】
用語「低級ハロアルキル」は1個以上のハロゲン原子により置換されているC1-4直鎖もしくは枝分かれアルキル基を指す。
【0016】
用語「ヘテロ原子」は1つ以上の酸素、硫黄、窒素又はリン(任意の酸化形態の窒素、硫黄又はリン、任意の塩基性窒素の第四級化形態、又は、複素環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるようなもの)、NH(ピロリジニルにおけるようなもの)又はNR+(N-置換ピロリジニルにおけるようなもの)を含む)を意味する。
【0017】
用語「不飽和」は、本明細書中に使用されるときに、ある部分が1つ以上の不飽和の単位を有することを意味する。
【0018】
本明細書中に使用されるときに、用語「二価C1-8(又はC1-6)飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは枝分かれ炭化水素鎖」は、本明細書中に規定されるとおりの直鎖もしくは枝分かれである二価アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン鎖を指す。
【0019】
用語「アルキレン」は二価アルキル基を指す。「アルキレン鎖」はポリメチレン基、すなわち、-(CH2)n-(式中、nは正の整数であり、好ましくは、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、又は2〜3である)を指す。置換アルキレン鎖は1つ以上のメチレン水素原子が置換基により置換されているポリメチレン基を指す。適切な置換基としては、置換脂肪族基に関して下記に示されるものが挙げられる。
【0020】
用語「アルキレン」は二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は1つ以上の水素原子が置換基により置換されている、少なくとも1個の二重結合を含むポリメチレン基を指す。適切な置換基としては、置換脂肪族基に関して下記に示されるものが挙げられる。
【0021】
用語「ハロゲン」はF, Cl, Br又はIを意味する。
【0022】
単独で使用される、又は、「アラルキル」、「アラルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」などの、より大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計で5〜14個の環員を有する単環式及び二環式環系であって、該系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、そして系中の各環は3〜7個の環員を含むものを指す。用語「アリール」は「アリール環」と相互互換的に使用される。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は芳香環系を指す。例示のアリール基はフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニルなどであり、それは場合により、1個以上の置換基を含んでよい。本明細書中に使用されるときに、芳香環が1つ以上の非芳香環と縮合している基、例えば、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチルなども用語「アリール」の範囲内に含まれる。
【0023】
単独で使用される、又は、「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」などの、より大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ」は5〜10個の環原子、好ましくは5, 6又は9個の環原子を有し、そして環アレイで共有されている6, 10又は14個のπ電子を有し、そして炭素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。用語「ヘテロ原子」は窒素、酸素又は硫黄を指し、そして酸化形態の窒素又は硫黄を含み、そして任意の塩基性窒素の第四級化形態を含む。ヘテロアリール基としては、限定するわけではないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル及びプテリジニルが挙げられる。用語「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ」は、本明細書中に使用されるときに、ヘテロ芳香環が1つ以上のアリール、脂環式又はヘテロサイクリル環に縮合されている基であって、結合基又は結合点がヘテロ芳香環上にある基も含まれる。限定されない例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、場合により、単環式又は二環式である。用語「ヘテロアリール」は「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」又は「ヘテロ芳香族」と相互互換的に使用され、その用語のいずれも、場合により置換されていてよい環を包含する。用語「ヘテロアラルキル」はヘテロアリールにより置換されたアルキル基であって、該アルキル及びヘテロアリール部分は独立して、場合により置換されていてよいものを指す。
【0024】
本明細書中に使用されるときに、用語「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」、「複素環式基」及び「複素環式環」は相互互換的に使用され、安定な5〜7員単環式又は7〜10員二環式複素環式部分を指し、それは飽和もしくは部分不飽和であり、そして炭素原子に加えて、1つ以上、好ましくは1〜4個の、上記に規定されるとおりのヘテロ原子を有する。複素環の環原子を参照して使用されるときに、用語「窒素」は置換窒素を包含する。例としては、酸素、硫黄又は窒素から選ばれる0〜3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは部分不飽和の環において、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるようなもの)、NH(ピロリジニルにおけるようなもの)又は+NR(N-置換ピロリジニルにおけるようなもの)である。
【0025】
複素環式環は安定構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子でペンダント基に結合されてよく、そして任意の環原子は場合により置換されていてよい。このような飽和もしくは部分不飽和複素環式基の例としては、限定するわけではないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニルが挙げられる。「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリル」、「ヘテロサイクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」及び「複素環式残基」は本明細書中で相互互換的に使用され、そして、ヘテロサイクリル環が1つ以上のアリール、ヘテロアリール又は脂環式環に縮合されている基も包含し、例えば、インドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロキノリニルであり、ここで、結合基又は結合点はヘテロサイクリル環上にある。ヘテロサイクリル基は場合により単環式又は二環式である。用語「ヘテロサイクリルアルキル」はヘテロサイクリルにより置換されたアルキル基を指し、ここで該アルキル及びヘテロサイクリル部分は独立して、場合により置換されていてよい。
【0026】
本明細書中に使用されるときに、用語「部分不飽和」は少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む環部分を指す。用語「部分不飽和」は不飽和の複数の部位を有する環を包含することが意図されているが、本明細書中に規定されるとおりのアリール又はヘテロアリール部分を包含することが意図されない。
【0027】
本明細書中に使用されるときに、本発明の特定の化合物は「場合により置換されていてよい」部分を含む。一般に、用語「置換されている」は、用語「場合により」が前にあっても又はなくても、指定された部分の1つ以上の水素が適切な置換基により置き換えられていることを意味する。「置換されている」は構造から明示又は暗示される1つ以上の水素に適用する(例えば、
【化2】
は少なくとも
【化3】
を指し、そして
【化4】
は少なくとも
【化5】
を指す。特段の指示がない限り、「場合により置換されていてよい」基は基の各々の置換可能な位置に適切な置換基を有し、そして任意の所与の構造において1を超える位置が指定される基から選ばれる1つを超える置換基で置換されているときに、置換基はすべての位置で同一であるか又は異なる。本発明により考えられる置換基の組み合わせは、好ましくは、安定かつ化学的に実現可能な化合物の生成をもたらすものである。用語「安定な」は、本明細書中に使用されるときに、その製造、検知、及び、特定の実施形態では、その回収、精製及び本明細書中に開示の1つ以上の目的での使用を可能にする条件に供されるときに、実質的に変化しない化合物を指す。
【0028】
「場合により置換されていてよい」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価置換基は独立して、重水素、ハロゲン、-(CH2)0-4R°; -(CH2) 0-4OR°; -O(CH2) 0-4R°, -O-(CH2) 0-4C(O)OR°; -(CH2) 0-4CH(OR°)2; -(CH2) 0-4SR°; R°により場合により置換されていてよい-(CH2) 0-4Ph; R°により場合により置換されていてよい-(CH2) 0-4 (CH2) 0-1Ph; R°により場合により置換されていてよい-CH=CHPh; R°により場合により置換されていてよい-(CH2) 0-4O(CH2) 0-1-ピリジル; -NO2; -CN; -N3; -(CH2) 0-4N(R°)2; -(CH2) 0-4N(Ro)C(O)R°; -N(R°)C(S)R°; -(CH2) 0-4N(R0)C(O)NR°2; -N(R°)C(S)NR°2; -(CH2) 0-4N(R0)C(O)OR°; -N(R°)N(R°)C(0)R°; -N(R°)N(R°)C(O)NR°2; -N(R°)N(R°)C(O)OR°; -(CH2) 0-4C(0)R°; -C(S)R°; -(CH2) 0-4C(O)OR°; -(CH2) 0-4C(O)SR°; -(CH2) 0-4C(O)OSiR°3; -(CH2) 0-4OC(O)R°; -OC(O)(CH2) 0-4SR°, SC(S)SR°; -(CH2) 0-4SC(O)R°; -(CH2) 0-4C(O)NR°2; -C(S)NR°2; -C(S)SR°; -SC(S)SR°, -(CH2) 0-4OC(O)NR°2; -C(O)N(OR°)R°; -C(O)C(O)R°; -C(O)CH2C(O)R°; -C(NOR°)R°; -(CH2) 0-4SSR°; -(CH2) 0-4S(O)2R°; -(CH2) 0-4S(O)2OR°; -(CH2) 0-4OS(O)2R°; -S(O)2NR°2; -(CH2) 0-4S(O)R°; -N(R°)S(O)2NR°2; -N(R°)S(O)2R°; -N(OR°)R°; -C(NH)NR°2; -P(O)2R°; -P(O)R°2; -OP(O)R°2; -OP(O)(OR°)2; SiR°3; -(C1-4 直鎖もしくは枝分かれアルキレン)O-N(R°)2; 又は-(C 1-4 直鎖もしくは枝分かれアルキレン)C(O)O-N(R°)2であり、ここで、各R°は下記に規定されるとおりに場合により置換されていてよく、そして独立して、水素、C 1-6脂肪族、-CH2Ph, -O(CH2) 0-1Ph、-CH2-(5〜6員ヘテロアリール環)、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環であり、又は、上記の規定にもかかわらず、2つの独立したR°が介入原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜12-員飽和、部分不飽和又はアリール単環式又は二環式環を形成し、それは下記のとおりに場合により置換されていてよい。
【0029】
R°上の適切な一価置換基(又は、介入原子とともに独立した2つのR°を取ることにより形成される環)は、独立して、重水素、ハロゲン、-(CH2) 0-2R, -(ハロR), -(CH2) 0-2OH, -(CH2) 0-2OR, -(CH2) 0-2CH(OR)2; -O(ハロR), -CN, -N3, -(CH2) 0-2C(O)R, -(CH2) 0-2C(O)OH, -(CH2) 0-2C(O)OR, -(CH2) 0-2SR, -(CH2) 0-2SH, -(CH2) 0-2NH2, -(CH2) 0-2NHR, -(CH2) 0-2NR2, -NO2, -SiR3, -OSiR3, -C(0)SR, -(C1-4 直鎖もしくは枝分かれアルキレン)C(O)OR又は-SSRであり、ここで、各R は非置換であるか、「ハロ」が先行する場合には、1つ以上のハロゲンにのみ置換されており、そして独立して、C1-4 脂肪族、-CH2Ph, -O(CH2) 0-1Ph又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環から選ばれる。R°の飽和炭素原子上の適切な二価の置換基としては=O及び=Sが挙げられる。
【0030】
「場合により置換されてよい」基の飽和炭素原子上の適切な二価置換基として以下のものが挙げられる: =O , =S, =NNR*2, =NNHC(O)R*, =NNHC(O)OR*, =NNHS(O)2R*, =NR*, =NOR*, -O(C(R*2))2-3O-又は-S(C(R*2))2-3S-が挙げられ、ここで、Rは各々独立して、水素、下記に規定されるとおりに置換されたC1-6脂肪族、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環から選ばれる。「場合により置換されていてよい」基の隣接した置換可能な炭素に結合する適切な二価置換基としては-O(CR2)2-3O-(R*は各々独立して水素、下記のとおりに場合により置換されていてよいC1-6脂肪族、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環から選ばれる)が挙げられる。
【0031】
R*の脂肪族基上の適切な置換基としてはハロゲン、-R, -(ハロR), -OH, -OR, -O(ハロR), -CN, -C(O)OH, -C(O)OR, -NH2, -NHR, -NR2又は-NO2が挙げられ、ここで、各Rは非置換であるか、又は、「ハロ」が先行する場合には、1つ以上のハロゲンにのみ置換されており、そして独立して、C1-4 脂肪族、-CH2Ph, -O(CH2) 0-1Ph又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環である。
【0032】
「場合により置換されてよい」基の置換可能な窒素上の適切な置換基としては-R, -NR2, -C(O)R, -C(O)OR, -C(O)C(O)R, -C(O)CH2C(O)R, -S(O)2R, -S(O)2NR2, -C(S)NR2, -C(NH)NR2又は-N(R)S(O)2Rが挙げられ、ここで、各Rは独立して、水素、下記のとおりに場合により置換されていてよいC1-6脂肪族、非置換-OPh、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環であり、又は、上記の規定にかかわらず、2つの独立したRは、介入原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する非置換3〜12-員飽和、部分飽和又はアリール単環式-もしくは二環式環を形成する。
【0033】
Rの脂肪族基上の適切な置換基は独立して、ハロゲン、-R, -(ハロR), -OH, -OR, -O(ハロR), -CN, -C(O)OH, -C(O)OR, -NH2, -NHR, -NR2又は-NO2が挙げられ、ここで、各Rは非置換であるか、又は、「ハロ」が先行する場合には、1つ以上のハロゲンにのみ置換されており、そして独立して、C1-4 脂肪族、-CH2Ph, -O(CH2) 0-1Ph又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6-員飽和、部分不飽和又はアリール環である。
【0034】
特定の実施形態において、用語「場合により置換されていてよい」、「場合により置換されていてよいアルキル」、「場合により置換されていてよいアルケニル」、「場合により置換されていてよいアルキニル」、「場合により置換されていてよい炭素環」、「場合により置換されていてよいアリール」、「場合により置換されていてよいヘテロアリール」、「場合により置換されていてよい複素環」及び他の任意の場合により置換されていてよい基は、本明細書中に使用されるときに、1、2又は3個以上の水素原子の独立した置換により置換された又は置換されていない基を指し、典型的な置換基としては、限定するわけではないが、
-F, -Cl, -Br, -I, 重水素、
-OH, 保護ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、チオオキソ、
-NO2, -CN, CF3, N3,
-NH2, 保護アミノ、-NHアルキル、-NHアルケニル、-NHアルキニル、-NHシクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-複素環、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、
-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-複素環、
-C(O)-アルキル、-C(O)-アルケニル、-C(O)-アルキニル、-C(O)-カルボサイクリル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロサイクリル、
-CONH2, -CONH-アルキル、-CONH-アルケニル、-CONH-アルキニル、-CONH-カルボサイクリル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロサイクリル、
-OCO2-アルキル、-OCO2-アルケニル、-OCO2-アルキニル、-OCO2-カルボサイクリル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロサイクリル、-OCONH2, -OCONH-アルキル、-OCONH-アルケニル、-OCONH-アルキニル、-OCONH-カルボサイクリル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロサイクリル、
-NHC(O)-アルキル、-NHC(O)-アルケニル、-NHC(O)-アルキニル、-NHC(O)-カルボサイクリル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロサイクリル、-NHCO2-アルキル、-NHCO2-アルケニル、-NHCO2-アルキニル、-NHCO2-カルボサイクリル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロサイクリル、-NHC(O)NH2, -NHC(O)NH-アルキル、-NHC(O)NH-アルケニル、-NHC(O)NH-アルケニル、-NHC(O)NH-カルボサイクリル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロサイクリル、NHC(S)NH2, -NHC(S)NH-アルキル、-NHC(S)NH-アルケニル、-NHC(S)NH-アルキニル、-NHC(S)NH-カルボサイクリル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロサイクリル、-NHC(NH)NH2, -NHC(NH)NH-アルキル、-NHC(NH)NH-アルケニル、-NHC(NH)NH-アルケニル、-NHC(NH)NH-カルボサイクリル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロサイクリル、-NHC(NH)-アルキル、-NHC(NH)-アルケニル、-NHC(NH)-アルケニル、-NHC(NH)-カルボサイクリル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロサイクリル、
-C(NH)NH-アルキル、-C(NH)NH-アルケニル、-C(NH)NH-アルキニル、-C(NH)NH-カルボサイクリル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロサイクリル、
-S(O)-アルキル、-S(O)-アルケニル、-S(O)-アルキニル、-S(O)-カルボサイクリル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロサイクリル-SO2NH2, -SO2NH-アルキル、-SO2NH-アルケニル、-SO2NH-アルキニル、-SO2NH-カルボサイクリル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロサイクリル、
-NHSO2-アルキル、-NHSO2-アルケニル、-NHSO2-アルキニル、-NHSO2-カルボサイクリル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロサイクリル、
-CH2NH2, -CH2SO2CH3,
-モノ-、ジ-又はトリ-アルキルシリル、
-アルキル、-アルケニル、-アルキニル、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、-シクロアルキル、-炭素環式、-複素環式、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH, -S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニル、-S-カルボサイクリル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロサイクリル又はメチルチオメチルが挙げられる。
【0035】
本明細書中に使用されるときに、用語「医薬上許容される塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに、ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに、健全な医学的判断の範囲内で適し、合理的な利益/リスク比で釣り合っている塩を指す。医薬上許容される塩は当該分野において周知である。例えば、S. M. BergeらはJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19中で医薬上許容される塩を詳細に記載しており、それを参照により本明細書中に取り込む。本発明の化合物の医薬上許容される塩としては、適切な無機及び有機酸及び塩基から誘導されるものが挙げられる。医薬上許容される、非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸とともに形成されるアミノ基の塩、あるいは、イオン交換などの当該分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬上許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0036】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに、医薬上許容される塩としては、適切な場合には、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンが挙げられる。
【0037】
特段の指示がない限り、本明細書中で記載される構造は、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体(又は立体配座))形態、例えば、各不斉中心に関するR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、ならびに、Z及びE配座異性体を包含することが意図される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座)混合物は本発明の範囲内である。特段の断りがない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は本発明の範囲内である。
【0038】
さらに、特段の断りがない限り、本明細書に示される構造は、また、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物をも含むことが意図される。例えば、重水素又はトリチウムによる水素の置換、又は13C-もしくは14C-濃縮炭素による炭素の置換を含む、本発明の構造を有する化合物は本発明の範囲内である。幾つかの実施形態では、基は1つ以上の重水素原子を含む。
【0039】
さらに、式Iの化合物は、その同位体標識形態を含むことが意図される。式Iの化合物の同位体標識形態は、化合物の1つ以上の原子が、通常に自然に発生する原子の原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する1つの原子又は複数原子によって置換されているということ以外はこの化合物と同一である。容易に商業的に入手可能であり、そして周知の方法により式Iの化合物中に組み込むことができる同位体の例としては水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれ、2H, 3H, 13C, 14C, 15N, 18O, 17O, 31P, 32P, 35S, 18F及び36Clである。1つ以上の上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む式Iの化合物、そのプロドラッグ又はその医薬上許容される塩は本発明の一部であることが意図される。式Iの同位体標識化合物Iは、幾つかの有益な方法で使用することができる。例えば、3H又は14Cなどの放射性同位体が組み込まれている式Iの同位体標識化合物は薬物及び/又は基質組織分布アッセイに適している。これらの放射性同位体、すなわちトリチウム(3H)及び炭素14(14C)は単純な調製及び優れた検出能のために特に好ましい。より重い同位体、例えば、重水素(2H)の式Iへの取り込みは、この同位体標識化合物のより高い代謝安定性のために治療上の利点がある。より高い代謝安定性はインビボ半減期の増加又はより低い用量と直接的に解釈され、そのことは、ほとんどの状況下で、本発明の好ましい実施形態である。式Iの同位体標識化合物は、通常、本テキストの合成スキーム及び関連説明、実施例部分及び調製部分に開示されている手順を、容易に入手可能な同位体標識反応体で非同位体標識反応体を置き換えて実施することにより調製されうる。
【0040】
重水素(2H)は、また、一次速度論的同位体効果により化合物の酸化的代謝を操作する目的で、式Iの化合物に組み込むことができる。一次速度論的同位体効果は同位体核の交換に起因する化学反応の速度の変化であり、それは、この同位体交換後に共有結合の形成に必要な基底状態のエネルギーの変化によって引き起こされる。より重い同位体の交換は、通常、化学結合のための基底状態のエネルギーの低下につながるため、律速結合の破壊の速度の低下をもたらす。結合の破壊は、マルチ製品反応座標に沿ってサドルポイント領域又はその近傍で発生するならば、製品分配比は実質的に変化されうる。説明のために、重水素が非交換性位置で炭素原子に結合しているならば、kM/kD=2〜7の速度差が典型的である。この速度差は酸化を受けやすい式Iの化合物にうまく適用されるならば、インビボでのこの化合物のプロファイルは大幅に変更され、改善された薬物動態学的特性をもたらすことができる。
【0041】
治療薬を発見し、そして開発するときに、当業者は、望ましいインビトロ特性を維持しながら、薬物動態パラメータを最適化することができる。乏しい薬物動態プロファイルを有する多くの化合物が酸化的代謝を受けやすいと想定することは合理的である。現在入手可能なインビトロ肝ミクロソームアッセイは、このタイプの酸化的代謝の経路に関する価値ある情報を提供し、それで、このような酸化的代謝への抵抗を通して安定性が改善された式Iの重水素化化合物の合理的な設計を可能にする。式Iの化合物の薬物動態プロファイルの大幅な改善はそれによって得られ、インビボ半減期(t/2)、最大治療効果での濃度(Cmax)、用量応答曲線下面積(AUC)及びFの増加、ならびに、クリアランス、用量及び材料コストの減少の点から定量的に表現することができる。
【0042】
以下は上記を例示することを意図する:酸化的代謝のための攻撃の複数の潜在的な部位、例えば、ベンジル水素原子及び窒素原子に結合した水素原子を有している式Iの化合物は、これらの水素原子の幾つか、ほとんど又はすべてが重水素原子で置換されているようにして水素原子の様々な組み合わせが重水素原子により置換されている一連の類似体として調製される。半減期の決定は、酸化的代謝に対する抵抗性の改善がなされる程度を良好かつ正確に決定することができる。このようにして、親化合物の半減期は、このタイプの重水素-水素交換の結果として、最大100%まで延長することができると判断される。
【0043】
式Iの化合物における重水素-水素交換は、また、望ましくない毒性代謝物を減少させ又は排除するために、出発化合物の代謝物スペクトルの有利な変更を達成するために用いることができる。例えば、有毒な代謝物が、酸化的炭素-水素(C-H)結合開裂を通して発生するならば、重水素化類似体は、特定の酸化が律速工程でないにしても、望ましくない代謝物の産生を大きく低減し又は排除することを合理的に想定することができる。重水素-水素交換に関する最先端の技術のさらなる情報については、例えば、Hanzlikら, J. Org. Chem. 55, 3992-3997, 1990, Reiderら, J. Org. Chem. 52, 3326-3334, 1987, Foster, Adv. Drug Res. 14, 1-40, 1985, Gilletteら, Biochemistry 33(10) 2927-2937, 1994及びJarmanらCarcinogenesis 16(4), 683-688, 1993に見ることができる。
【0044】
本明細書中に使用されるときに、用語「調節剤」は測定可能な親和性でもって標的に結合し及び/又は阻害する化合物として定義される。特定の実施形態において、調節剤はIC50及び/又は結合定数が約50 μΜ未満、約5 μΜ未満、約1 μΜ未満、約500 nM未満、約100 nM未満、又は、約10 nM未満である。
【0045】
用語「測定可能な親和性」及び「測定可能に阻害する」は、本明細書中に使用されるときに、本発明の化合物又はその組成物及びBTKを含むサンプルと、本化合物又はその組成物の非存在下にBTKを含む同等のサンプルとの間のBTK活性の測定可能な変化を意味する。
【0046】
本発明により想定される置換基及び変項の組み合わせは安定な化合物の生成をもたらすもののみである。用語「安定」は、本明細書中に使用されるときに、製造するのに十分な安定性を有し、本明細書中に詳細に記載した目的(例えば、対象への治療又は予防的投与)に有用であるために十分な時間、化合物の一体性を維持する化合物を指す。
【0047】
本明細書中の変項の定義における化学基のリスティングの引用は任意の単一基又はリスティングされた基の組み合わせとしての変項の定義を含む。本明細書中の変項の実施形態の引用は任意の単一の実施形態としての実施形態又は任意の他の実施形態又はその部分の組み合わせでの実施形態を含む。
【0048】
3.例示の化合物の説明
1つの態様によると、本発明は式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化6】
上式中、
R1 はC1-6 脂肪族、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、
R2 は水素、C1-6 脂肪族、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、又は、
R1 及びR2 はそれらが結合している原子と一緒になって、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する6〜10員縮合又はスピロ二環式複素環を形成し、その各々は場合により置換されていてよく、
R1 又はR1 とR2 とにより形成される環は
【化7】
により置換されており、
R4 は水素、C1-6 脂肪族、C5-10 アリール、3-8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、
各R5 は、独立して、C1-6 アルキル、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、
m は0又は1であり、
X はO, S, SO2, SO, -NRC(O), -NRSO2又はN(R)であり、
各R3 は独立して、-R, ハロゲン、-OR, -SR, -CN, -NO2, -SO2R, -SOR, -C(O)R, -CO2R, -C(O)N(R)2, -NRC(O)R, -NRC(O)N(R)2, -NRSO2R又は-N(R)2であり、
各R は独立して、水素、C1-6 脂肪族、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6 員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよく、又は、
同一原子上の2つのR基はそれらが結合している原子と一緒になって、C5-10 アリール、3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環を形成し、その各々は場合により置換されていてよく、そして、
n は1, 2又は3である。
【0049】
特定の実施形態において、R1 は場合により置換されていてよいC1-6 脂肪族である。特定の実施形態において、R1 は場合により置換されていてよいC5-10 アリールである。特定の実施形態において、R1 は場合により置換されていてよい3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環である。特定の実施形態において、R1 は場合により置換されていてよい、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環である。特定の実施形態において、R1 は場合により置換されていてよい、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環である。
【0050】
特定の実施形態において、R1はメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、s-ブチル、t-ブチル、直鎖もしくは枝分かれペンチル又は直鎖もしくは枝分かれヘキシルであり、これらの各々は場合により置換されていてよい。 特定の実施形態において、R1は置換メチルである。
【0051】
特定の実施形態において、R1
【化8】
である。
【0052】
特定の実施形態において、R1 はフェニル、ナフチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタニル、[4.3.0]ビシクロノナニル、[4.4.0]ビシクロデカニル、[2.2.2]ビシクロオクタニル、フルオレニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、NH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソインドリニル、イソインドレニル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、オキセタニル、アゼチジニル又はキサンテニルであり、その各々は場合により置換されていてよい。
【0053】
特定の実施形態において、R1 はフェニル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0054】
特定の実施形態において、R1
【化9】
である。
【0055】
特定の実施形態において、R1
【化10】
である。
【0056】
特定の実施形態において、R2 は水素である。
【0057】
特定の実施形態において、R2は場合により置換されていてよいC1-6 脂肪族である。特定の実施形態において、R2は場合により置換されていてよいC3-10アリールである。特定の実施形態において、R2は場合により置換されていてよい3〜8員飽和もしくは部分不飽和炭素環である。特定の実施形態において、R2 は場合により置換されていてよい、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員複素環である。特定の実施形態において、R2 は場合により置換されていてよい、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環である。
【0058】
特定の実施形態において、R2 は水素である。
【0059】
特定の実施形態において、R2はメチル、エチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、s-ブチル、t-ブチル、直鎖もしくは枝分かれペンチル又は直鎖もしくは枝分かれヘキシルであり、その各々は場合により置換されていてよい。
【0060】
特定の実施形態において、R2 はフェニル、ナフチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタニル、[4.3.0] ビシクロノナニル、[4.4.0]ビシクロデカニル、[2.2.2]ビシクロオクタニル、フルオレニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、NH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソインドリニル、イソインドレニル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、オキセタニル、アゼチジニル又はキサンテニルであり、その各々は場合により置換されていてよい。
【0061】
特定の実施形態において、R1 及びR2 はそれらが結合している原子と一緒になって、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する3〜7員複素環、又は、1個の窒素、及び、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の他のヘテロ原子を有する6〜10員縮合もしくはスピロ二環式複素環を形成し、その各々は場合により置換されていてよい。
【0062】
特定の実施形態において、R1 とR2 とにより形成される環は単環式ピロリジン、二環式縮合ピロリジン、又は、二環式スピロピロリジンであり、又は、R1 とR2 とにより形成される環は単環式ピペリジン、二環式縮合ピペリジン、又は、二環式スピロピペリジンである。
【0063】
特定の実施形態において、R1 とR2 とにより形成される環は
【化11】
である。
【0064】
特定の実施形態において、R1 とR2 とにより形成される環は
【化12】
である。
【0065】
特定の実施形態において、XはN(R)である。特定の実施形態において、XはNHである。
【0066】
特定の実施形態において、各R3 は独立してHである。
【0067】
特定の実施形態において、各R3 は独立して、-R, ハロゲン、-OR, -SR, -CN, -NO2, -SO2R, -SOR, -C(O)R, -CO2R, -C(O)N(R)2, -NRC(O)R, -NRC(O)N(R)2, -NRSO2R又は-N(R)2である。
【0068】
特定の実施形態において、各R3 は独立して、-OR又はC1-6 脂肪族である。
【0069】
特定の実施形態において、各R3 は独立して、
【化13】
である。
【0070】
特定の実施形態において、各R5 は独立して、C1-6 アルキル、C5-10 アリール、又は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式ヘテロアリール環であり、その各々は場合により置換されていてよい。
【0071】
特定の実施形態において、各R5 は独立して、
【化14】
である。
【0072】
特定の実施形態において、R1, R2, R3, R4, R5, X, m及びnの各々は、上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである。
【0073】
特定の実施形態において、本発明は式I-aの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化15】
(上式中、R, R1及びR2は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである)。
【0074】
特定の実施形態において、本発明は式I-bの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化16】
(上式中、R1 及びR2 の各々は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである)。
【0075】
特定の実施形態において、本発明は式I-cの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化17】
(上式中、R3, R5及びmの各々は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである)。
【0076】
特定の実施形態において、本発明は式I-dの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化18】
(上式中、R3, R5及びmの各々は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである)。
【0077】
特定の実施形態において、本発明は式 I-eの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化19】
(上式中、R3, R5及びmの各々は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである)。
【0078】
特定の実施形態において、本発明は式I-fの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化20】
(上式中、R3, R5及びmの各々は上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりである。
【0079】
特定の実施形態において、本発明は式I-aの化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【化21】
上式中、各Rは上記に規定されるとおりであり、そして上記及び本明細書中の実施形態、クラス及びサブクラスで単独又は組み合わせで記載されるとおりであり、
N, R1及びR2により形成される環は
【化22】
である。
【0080】
特定の実施形態において、本発明は表1から選ばれる化合物を提供する。
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【0081】
幾つかの実施形態において、本発明は上記の化合物から選ばれる化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【0082】
種々の構造描写は結合した基(group, radical)、電荷又は対イオンなしにヘテロ原子を示していることができる。当業者は、このような描写はヘテロ原子が水素に結合していること(例えば、
【化29】

【化30】
であるものと理解される)を示すことが意図されることを理解する。
【0083】
特定の実施形態において、本発明の化合物を下記の実施例において提供されるスキームにより合成した。
【0084】
4.使用、製剤及び投与
医薬上許容される組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物又はその医薬上許容される誘導体及び医薬上許容されるキャリア、アジュバント又はビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物における化合物の量は、生物学的サンプル又は患者において、BTK又はその変異体を測定可能に阻害するのに有効であるような量である。特定の実施形態において、本発明の組成物における化合物の量は、生物学的サンプル又は患者において、BTK又はその変異体を測定可能に阻害するのに有効であるような量である。特定の実施形態において、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者に投与するように製剤される。
【0085】
用語「患者」又は「対象」は、本明細書中に使用されるときに、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトを意味する。
【0086】
用語「医薬上許容されるキャリア、アジュバント又はビヒクル」は、製剤される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性のキャリア、アジュバント又はビヒクルを指す。本発明の組成物中に使用される医薬上許容されるキャリア、アジュバント又はビヒクルとしては、限定するわけではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられる。
【0087】
「医薬上許容される誘導体」はレシピエントへの投与の際に、本発明の化合物又はその阻害活性代謝物又は残留物を直接的又は間接的に提供することができる、本発明の化合物の任意の非毒性の塩、エステル、エステルの塩又はその他の誘導体を意味する。
【0088】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレイにより、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、経口腔的に、経腟的に、又は、移植リザーバーを介して投与される。用語「非経口」は、本明細書中に使用されるときに、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液細胞内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術を包含する。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内又は静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌注射形態としては水性又は油性懸濁液が挙げられる。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用し、当該分野で公知の技術に従って製剤される。無菌注射製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液であることができ、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液である。使用される許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。
【0089】
この目的のために、使用される任意の無刺激性の固定油としては、合成モノ-又はジ-グリセリドが挙げられる。オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体は、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の医薬上許容される油として、特にそれらのポリオキシエチル化形態で、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液はまた、エマルジョン及び懸濁液を含む医薬上許容される剤形の製剤に一般に使用されるカルボキシメチルセルロース又は類似の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含む。医薬上許容される固体、液体又は他の剤形の製造に一般に使用される、他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、ツイーン、スパン及び他の乳化剤、又は、バイオアベイラビリティ向上剤も製剤の目的で使用されうる。
【0090】
本発明の医薬上許容される組成物は任意の経口的に許容される剤形で経口的に投与される。例示の経口剤形はカプセル剤、錠剤、水性懸濁液又は溶液である。経口使用のための錠剤の場合には、一般に使用されるキャリアとしてはラクトース及びコーンデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、典型的に添加される。カプセル形態の経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンデンプンが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が要求されるときに、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と混合する。所望の場合には、特定の甘味剤、香味剤又は着色剤は場合により添加される。
【0091】
或いは、本発明の医薬上許容される組成物は経直腸投与のための座薬形態で投与される。これらは室温で固体であるが、直腸温度で液体であり、それゆえ、直腸内で融解して薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより調製することができる。このような材料としては、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0092】
本発明の医薬上許容される組成物は、特に、治療の標的が、目、皮膚又は下部腸管の疾患を含む、局所投与によって容易にアクセス可能な領域又は器官を含むとき、局所的に投与される。適切な局所製剤は、これらの領域又は器官の各々のために容易に調製される。
【0093】
下部腸管のための局所投与は、直腸坐剤製剤(上記参照)又は適切な浣腸製剤で行ってよい。局所経皮パッチもまた、使用される。
【0094】
局所投与のために、提供される医薬上許容される組成物は、1種以上のキャリア中に懸濁又は溶解した活性成分を含む適切な軟膏へと製剤化される。この化合物の局所投与のための例示のキャリアは、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水である。あるいは、提供される医薬上許容される組成物は、1種以上の医薬上許容されるキャリア中に懸濁又は溶解した活性成分を含む適切なローション又はクリームへと製剤化されうる。適切なキャリアとしては、限定するわけではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
【0095】
本発明の医薬上許容される組成物は、場合により、経鼻エアロゾル又は吸入によって投与される。そのような組成物は医薬製剤の技術分野でよく知られている技術に従って調製され、そして塩類中の溶液として、ベンジルアルコール又は他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は他の従来の可溶化剤又は分散剤を用いて調製される。
【0096】
最も好ましくは、本発明の医薬上許容される組成物は経口投与のために製剤化される。そのような製剤は食物とともに又は食物を伴わずに投与することができる。幾つかの実施形態において、本発明の医薬上許容される組成物は食物を伴わずに投与される。他の実施形態では、本発明の医薬上許容される組成物は食物とともに投与される。
【0097】
単一剤形の組成物を製造するために、キャリア材料と場合により混合される本発明の化合物の量は処理されるホスト、投与の特定の形態によって変化するであろう。好ましくは、提供される組成物は、0.01〜100 mg/kg体重/日の化合物の用量がこれらの組成物を受け入れる患者に投与されうるように製剤化されるべきである。
【0098】
任意の特定の患者のための特定の用量及び治療レジメンは多くの要因によるものであることも理解されるべきであり、その要因としては、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、排せつ速度、薬物組み合わせ、及び、処置する医師の判断、及び、処理される特定の疾患の重症度が挙げられる。組成物中の本発明の化合物の量は組成物中の特定の化合物によるであろう。
【0099】
化合物及び医薬上許容される組成物の使用
特定の実施形態において、本発明は、患者又は生物学的サンプルにおいてBTK又はその変異体を阻害する方法であって、本発明に係る化合物を前記患者に投与し又は前記生物学的サンプルと接触させる工程を含む方法を提供する。
【0100】
特定の実施形態において、本発明は、BTK酵素を調節し又は阻害するための、本発明の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩の使用に関する。用語「調節」はBTK-媒介シグナル伝達の任意の変化を意味し、それは認識を行い、そして活性化することができるようにBTK標的と相互作用することができる特定の本発明の化合物の作用に基づく。化合物はBTKとのこのような高い親和性を特徴とし、それにより、BTKの信頼性のある結合を確保する。特定の実施形態において、物質は単一のBTK標的との排他的かつ指向的な認識を保証するために殆どの他のキナーゼよりもBTKに高度に選択的である。本発明に関して、用語「認識」は、限定するわけではないが、特異的な化合物と標的との間の任意のタイプの相互作用に関し、特に、共有結合又は非共有結合又は係合、例えば、共有結合、疎水/親水性相互作用、ファンデルワールス力、イオン対、水素結合、配位子−受容体(酵素−阻害剤)相互作用などに関する。このような係合は、また、ペプチド、タンパク質又はヌクレオチド配列などの他の分子の存在をも包含することができる。本タンパク質/配位子(酵素−阻害剤)相互作用は他の標的分子に対する高い親和性、高い選択性及び最小の相互反応性又はその欠如を特徴とし、それにより、処置される対象に対する不健康かつ有害な影響を排除する。
【0101】
特定の実施形態において、本発明は、本発明に係る式(I)の少なくとも1種の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩により、BTK酵素が阻害されるような条件下に、BTK酵素を阻害する方法に関する。特定の実施形態において、系は細胞系である。他の実施形態において、系はインビトロ翻訳系であり、それは生体細胞なしでのタンパク質合成に基づく。細胞系は対象が細胞を含むことを条件とする任意の対象であると定義される。このため、細胞系は単一細胞、細胞培養物、組織、器官及び動物からなる群より選択されうる。特定の実施形態において、BTK酵素を調節する方法はインビトロで行われる。式(I)の化合物に関する本明細書の先行の教示は、その任意の実施形態を含めて、BTKを阻害する方法において使用されるときに、式(I)に係る化合物及びその塩に対して限定なく有効でありそして適用可能である。式(I)の化合物に関する本明細書の先行の教示は、その任意の実施形態を含めて、BTKを阻害する方法において使用されるときに、式(I)に係る化合物及びその塩に対して限定なく有効でありそして適用可能である。
【0102】
BTKに変異を伴う患者はB細胞の発生を重度に阻害して、成熟Bリンパ球及び形質細胞をほとんど完全に存在させず、重度にIgレベル及びリコール抗原に対する体液性応答の重度の阻害をもたらす(Vihinenら Frontiers in Bioscience 5: d917-928を参照)。BTK欠乏マウスはまた、低減した数の末梢B細胞の数を有し、大きく低減したIgM及びIgG3の血清レベルを有する。マウスにおけるBTK欠乏は抗-IgMにより誘発されるB細胞増殖に大きな効果を有し、そして胸腺非依存性II型抗原に対する免疫応答を阻害する(Ellmeierら, J Exp Med 192: 1611-1623 (2000))。BTKはまた、高親和性IgE受容体を通した肥満細胞活性化に重要な役割を果たす(Fc イプシロン RI)。BTK欠乏マウス肥満細胞は脱顆粒性が低減され、そしてFc イプシロンRI架橋に続く炎症性サイトカインの産生が低減する(Kawakamiら Journal of Leukocyte Biology 65: 286-290)。
【0103】
提供される化合物はBTKの阻害剤であり、それゆえ、BTKの活性に関連する1種以上の疾患を治療するのに有用である。このため、幾つかの実施形態において、本発明はBTK-媒介性疾患の治療を必要とする患者に、本発明の化合物又はその医薬上許容される塩を投与する工程を含む、BTK-媒介性疾患を治療するための方法を提供する。
【0104】
本明細書中に使用されるものとして、用語「BTK-媒介性」疾患又は病態は、本明細書中に使用されるときに、BTK又はその変異体が役割を担うことが知られている任意の疾患又は他の有害状態を意味する。従って、本発明の別の実施形態はBTK又はその変異体が役割を担うことが知られている1種以上の疾患を治療し又はその重症度を軽減することに関する。具体的には、本発明は増殖性失陥又は自己免疫性疾患から選ばれる疾患又は病態を治療し又はその重症度を軽減する方法であって、それを必要とする患者に本発明に係る化合物又は組成物を投与することを含む方法に関する。
【0105】
幾つかの実施形態において、本発明は、BTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供する。幾つかの実施形態において、疾患又は病態は、自己免疫性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE又は狼瘡)、ループス腎炎、血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スティル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性甲状腺炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、全身性硬化症、ライム神経ボレリア、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎症、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性胃炎、悪性貧血、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経障害、膜性糸球体腎症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、神経性筋強直、強皮症又は外陰部痛である。特定の実施形態では、疾患又は病態は全身性エリテマトーデス(SLE又は狼瘡)又はループス腎炎である。
【0106】
幾つかの実施形態において、疾患又は病態は過剰増殖性疾患又は移植器官又は組織の拒絶を含む免疫媒介性疾患及び後天性免疫不全症候群(HIVとしても知られるAIDS)である。
【0107】
幾つかの実施形態において、本発明はBTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は異種免疫疾患又は病態から選択され、限定するわけではないが、移植対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物花粉、ラテックス、医薬、食品、昆虫毒、動物の毛、動物の鱗屑、塵性ダニ又はゴキブリ萼に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎が挙げられる。
【0108】
幾つかの実施形態において、本発明はBTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は炎症性疾患、例えば、喘息、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、肝炎、汗腺膿瘍、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱鞘炎、扁桃炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎又は外陰炎から選ばれる。
【0109】
幾つかの実施形態において、本発明は、BTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は癌から選ばれる。1つの実施形態において、癌はB細胞増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫としても知られる)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病又はリンパ腫様肉芽腫である。幾つかの実施形態において、癌は、乳癌、前立腺癌又は肥満細胞の癌(例えば、肥満細胞腫、肥満細胞白血病、肥満細胞肉腫、全身性肥満細胞症)である。1つの実施形態では、癌は骨癌である。別の実施形態では、癌は、他の原発性で、骨に転移するものである。特定の実施形態では、癌は結腸直腸癌又は膵臓癌である。
【0110】
幾つかの実施形態において、本発明は、BTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は骨及び関節の疾患を含み、限定するわけではないが、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎及びライター病を含む)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性硬化症、骨粗しょう症、骨癌及び骨転移が挙げられる。
【0111】
幾つかの実施形態において、本発明は、BTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は血栓塞栓性障害又は心血管疾患から選ばれ、例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症又は深部静脈血栓症である。特定の実施形態において、本発明は抗血栓剤を提供する。というのは、Btkは血小板の活性化にも関与するからである。
【0112】
幾つかの実施形態において、本発明はBTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態としては、感染性及び非感染性炎症性の発症及び自己免疫疾患及び他の炎症性疾患が挙げられる。これらの自己免疫性疾患及び炎症性疾患、障害及び症候群としては炎症性骨盤疾患、尿道炎、日光皮膚炎、副鼻腔炎、肺臓炎、脳炎、髄膜炎、心筋炎、腎炎、骨髄炎、筋炎、肝炎、胃炎、腸炎、皮膚炎、歯肉炎、虫垂炎、膵炎、胆嚢炎、無ガンマグロブリン血症、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、シェーグレン病、組織移植片拒絶、移植臓器の超急性拒絶、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫性多腺性疾患(自己免疫多腺症候群としても知られる)、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、糸球体腎炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎、自己免疫性溶血性及び血小板減少状態、グッドパスチャー症候群、アテローム性動脈硬化症、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血性ショック、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、変形性関節症、慢性特発性血小板減少性紫斑病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、アトピー性皮膚炎、変形性関節症、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン・バレー症候群、ベーチェット病、強皮症(scleraderma)、菌状息肉症、急性炎症応答(例えば、急性呼吸窮迫症候群及び虚血/再灌流傷害)及びグレーブス病が挙げられる。特定の実施形態において、糖尿病はI型糖尿病である。
【0113】
幾つかの実施形態において、本発明はBTKに関連する1種以上の疾患及び病態を治療し又はその重症度を軽減するための方法を提供し、ここで、該疾患又は病態は、関節リウマチ、多発性硬化症、B細胞慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨癌、骨転移、骨粗しょう症、糖尿病(例えば、I型糖尿病)、過敏性腸症候群、クローン病及びループス腎移植から選ばれる。
【0114】
本発明の別の目的はBTK活性により引き起こされ、媒介とされ及び/又は伝播される疾患を治療するための方法を提供することであり、ここで、本発明に係る式(I)の少なくとも1種の化合物及びその生理学的に許容される塩はそのような治療を必要とする哺乳動物に投与される。特定の実施形態において、本発明は狼瘡を治療するための方法を提供し、ここで、本発明に係る式(I)の少なくとも1種の化合物及びその生理学的に許容される塩はそのような治療を必要とする哺乳動物に投与される。特定の実施形態において、化合物は上記のような有効量で投与される。特定の実施形態において、治療は経口投与である。
【0115】
本発明の方法は、インビトロ又はインビボのいずれかで行うことができる。本発明の化合物による治療に対する特定の細胞の受けやすさは、研究又は臨床応用の過程のいずれにおいても、インビトロ試験により特に決定することができる。典型的には、細胞の培養は、活性剤が、通常、約1時間〜1週間の間、BTK活性を阻害することを可能にするのに十分な時間、種々の濃度で本発明に係る化合物と組み合わされる。インビトロ治療は、生検サンプル又は細胞株からの培養細胞を用いて行うことができる。
【0116】
宿主又は患者は任意の哺乳動物種に属することができ、例えば、霊長類種、特にヒト、マウス、ラット及びハムスターを含む齧歯類、ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属する。動物モデルは、ヒト疾患の治療のためのモデルを提供する実験的研究のために注目される。
【0117】
シグナル伝達経路の同定及び種々のシグナル伝達経路間の相互作用の検出のために、様々な科学者は、細胞培養モデル及びトランスジェニック動物モデルなどの、適切なモデル又はモデル系を開発した。シグナル伝達カスケードにおける特定の段階の決定には、相互作用する化合物は、シグナルを調節するために利用することができる。本発明に係る化合物は、動物及び/又は細胞培養モデルにおける、又は、本出願に記載された臨床疾患におけるBTK-依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬としても使用することができる。
【0118】
また、予防的又は治療的処置及び/又はモニタリングのための医薬の製造のための式(I)に係る化合物及びその誘導体の使用に関する、本明細書の後述の教示は、好都合な場合には、BTK活性の阻害のための化合物の使用に対して、制限なしに有効かつ適用可能であると考えられる。
【0119】
本発明は、また、BTK活性により引き起こされ、媒介され及び/又は伝播される疾患を予防的もしくは治療的に処置及び/又はモニタリングするための、式(I)に係る化合物及び/又はその生理学的に許容される塩の使用に関する。さらに、本発明はBTK活性により引き起こされ、媒介され及び/又は伝播される疾患を予防的もしくは治療的に処置及び/又はモニタリングするための医薬の製造のための、式(I)に係る化合物及び/又はその生理学的に許容される塩の使用に関する。特定の実施形態において、本発明は、BTK媒介障害を予防的もしくは治療的に処置するための医薬の製造のための、式Iに係る化合物及び/又はその生理学的に許容される塩の使用を提供する。
【0120】
式(I)の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩はさらに、さらなる医薬活性成分の製造のための中間体として用いることができる。医薬は、好ましくは非化学的方法で調製され、例えば、少なくとも1種の固体、流体及び/又は半流体のキャリア又は賦形剤と活性成分を組み合わせることによって、そして、場合により、適切な剤形での1つ又は複数の他の活性物質と組み合わせることによって調製される。
【0121】
本発明の別の目的は、BTK活性により引き起こされ、媒介され及び/又は伝播される疾患を予防的もしくは治療的に処置及び/又はモニタリングするのに使用される本発明に係る式(I)の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩である。本発明の別の好ましい目的は、狼瘡を予防的もしくは治療的に処置及び/又はモニタリングするのに使用される本発明に係る式(I)の化合物及び/又はその生理学的に許容される塩に関する。任意の好ましい実施形態を含む、式(I)の化合物に関する本明細書の先行の教示は、狼瘡を予防的もしくは治療的に処置及び/又はモニタリングするのに使用される式(I)の化合物及び/又はその塩に対して、制限されることなく有効かつ適用可能である。
【0122】
本発明に係る式(I)の化合物は、疾患の発症の前又は後に1回又は数回投与され、治療として作用することができる。前述の化合物及び本発明の使用の医療製品は特に治療的処置のために使用される。治療に関連する効果は、疾患の1つ以上の症状をある程度緩和し、又は、疾患又は病的状態に関連付けられた又はその原因となる1つ以上の生理学的又は生化学的なパラメータを部分的又は完全に正常に戻す。モニタリングは、例えば、応答を強化しそして病気の病原及び/又は症状を完全に根絶するために、化合物を明確な間隔で投与されることを条件とする1種の処置と考えられる。同一の化合物又は異なる化合物のどちらかを投与することができる。本発明の方法はまた、疾患を発症する可能性を低減するのに使用でき、又はさらには、予めBTK活性に関連する疾患の開始を予防し、又は、生じてそして継続している症状を治療するために使用することができる。
【0123】
発明の意味において、予防的な処置は対象が、家族的素因、遺伝的欠陥又は以前に経験した疾患などの上記の生理的又は病理的状態の何らかの予備状態を有しているならば推奨される。
【0124】
本発明は本発明に係る少なくとも1種の化合物及び/又はその医薬上使用可能な誘導体、塩、溶媒和物及び立体異性体(すべての比でのその混合物を含む)を含む医薬に関する。特定の実施形態において、本発明は本発明に係る少なくとも1種の化合物及び/その生理学的に許容される塩を含む医薬に関する。
【0125】
「医薬」は、本発明の意味において、式(I)の1種以上の化合物又はその調製物(例えば、医薬組成物又は医薬製剤)を含む、医療分野の任意の薬剤であり、そしてBTK活性に関連する病気に苦しむ患者の予防、治療、フォローアップ又はアフターケアに使用でき、それにより、生物の全体的な状態又は特定の領域の状態の病原的変化が少なくとも一時的に確立することができる。
【0126】
種々の実施形態において、活性成分は単独で又は他の治療と併用して投与されうる。医薬組成物中に1種以上の化合物を使用すること、すなわち、式(I)の化合物を、式(I)の別の化合物もしくは異なる構造骨格の化合物のいずれかである、活性成分としての少なくとも別の薬剤と組み合わせることにより、相乗効果は達成されうる。複数の活性成分は同時に又は順次に使用されうる。
【0127】
本明細書中に提供される少なくとも1種の化学物質は抗炎症剤と組み合わせて投与される治療方法はここに含まれる。抗炎症剤としては、限定するわけではないが、NSAID、非特異的及びCOX-2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキセート、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、免疫抑制剤及びメトトレキサートが挙げられる。
【0128】
NSAIDの例としては、限定するわけではないが、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組み合わせ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ナトリウムナブメトン、スルファサラジン、トルメチンナトリウム及びヒドロキシクロロキンが挙げられる。NSAIDの例としてはまた、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブの及び/又はエトリコキシブなどのCOX-2特異性阻害剤が挙げられる。
【0129】
幾つかの実施形態において、抗炎症剤はサリチル酸塩である。サリチル酸塩としては、限定するわけではないが、アセチルサリチル酸又はアスピリン、サリチル酸ナトリウム及びコリン及びマグネシウムサリチレートが挙げられる。
【0130】
抗炎症剤はまた、コルチコステロイドであることができる。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム又はプレドニゾンであることができる。
【0131】
追加の実施形態において、抗炎症剤は、金チオリンゴ酸ナトリウム又はオーラノフィンなどの金化合物である。
【0132】
本発明はまた、抗炎症剤が、代謝阻害剤、例えば、メトトレキサートなどのジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤、又は、レフルノミドなどのジヒドロオロト酸脱水素酵素阻害剤である実施形態をも包含する。
【0133】
本発明の他の実施形態は少なくとも1種の抗炎症化合物が抗モノクローナル抗体(例えば、エクリズマブ又はペキセリズマブなど)、TNFアンタゴニスト、例えば、エンタネルセプト又は抗TNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブである組み合わせに関する。
【0134】
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも1種の活性剤は、メトトレキサート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン及びミコフェノール酸モフェチルから選ばれる免疫抑制化合物などの免疫抑制化合物である組み合わせに関する。
【0135】
BTKを発現するB細胞及びB細胞前駆体はB細胞悪性腫瘍の病理に関与し、B細胞悪性腫瘍としては、限定するわけではないが、B細胞リンパ腫、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキンリンパ腫を含む)、毛様細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性及び急性骨髄性白血病ならびに慢性及び急性リンパ性白血病が挙げられる。
【0136】
BTKはB系列リンパ系細胞におけるFas/APO-1(CD-95)死誘導シグナル伝達複合体(DISC)の阻害剤であることが示されている。白血病/リンパ腫細胞の運命は、DISCによって活性化されるカスパーゼの対向するプロアポトーシス効果と、BTK及び/又はその基質が関与する上流抗アポトーシス調節機構とのバランスに帰することができる(Vassilevら, J. Biol. Chem. 1998, 274, 1646-1656)。
【0137】
BTK阻害剤が化学増感剤として有用であり、そして、従って、他の化学療法薬、特にアポトーシスを誘導する薬剤と組み合わせて有用であることも発見された。化学増感BTK阻害剤と組み合わせて使用することができる他の化学療法薬の例としては、トポイソメラーゼI阻害剤(カンプトテシン又はトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ダウノマイシン及びエトポシド)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン及びBCNU)、チューブリン指向剤(例えば、タキソール及びビンブラスチン)及び生物学的薬剤(例えば、抗体、例えば、抗CD20抗体、IDEC8、免疫毒素及びサイトカイン)が挙げられる。
【0138】
式Iの開示の化合物は、抗ガン剤を含む他の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。本明細書中に使用されるときに、用語「抗ガン剤」はガンを治療する目的のためにガン患者に投与される任意の薬剤に関する。
【0139】
上記の抗ガン治療は単一療法として施用されても、又は、本明細書中の式Iの開示の化合物に加えて、従来の外科療法又は放射線療法又は医薬療法を伴うことができる。このような医薬療法、例えば、化学療法又は標的療法は1種以上の、しかし、好ましくは1種の下記の抗ガン剤を含むことができる:
アルキル化剤: 例えば、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、インプロスルファン、トシレート、ロムスチン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、メクロレタミン、カルボコン、アパジクオン、フォテムスチン、グルフォスファミド、パリフォスファミド(palifosfamide)、ピポブロマン、トロホスファミド、ウラムスチン、TH-3024、VAL-0834;
白金化合物: 例えば、カルボプラチン、シスプラチン、エプタプラチウン(eptaplatin)、ミリプラチン水和物、オキサリプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン;
DNA変性剤: 例えば、アムルビシン、ビサントレン、デシタビン、ミトキサントロン、プロカルバジン、トラベクテジン、クロファラビン、アムサクリン、ブロスタリシン(brostallicin)、ピクサントロン、ラロムスチン(laromustine)1,3;
トポイソメラーゼ阻害剤:例えば、エトポシド、イリノテカン、ラゾキサン、ソブゾキサン、テニポシド、トポテカン、アモナフィド、ベロテカン(belotecan)、酢酸エリプチニウム(elliptinium)、ボレロキシン(voreloxin);
微小管変性剤:例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、エリブリン、イクサベピロン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、フォスブレタブリン(fosbretabulin)、テセタキセル(tesetaxel);
代謝拮抗剤:例えば、アスパラギナーゼ3、アザシチジン、カルシウムレボホリナート、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、エノシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ネララビン、ペメトレキセド、プララトレキサレート(pralatrexate)、アザチオプリン、チオグアニン、カルモフール、ドキシフルリジン、エラシタラビン(elacytarabine)、ラルチトレキセド、サパシタビン(sapacitabine)、テガフール(tegafur)2,3、トリメトレキセート(trimetrexate);
抗ガン性抗生物質:例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、レバミゾール、ミルテフォシン、マイトマイシンC、ロミデプシン、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチン、ゾルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、プリカマイシン、アクラルビシン、ペプロマイシン、ピラルビシン;
ホルモン/アンタゴニスト:例えば、アバレリクス、アビラテロン、ビカルタミド、ブセレリン、カルステロン、クロロトリアニセン、デガレリクス、デキサメタゾン、エストラジオール、フルオコルトロン、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、メゲストロール、ミトタン、ナファレリン、ナンドロロン、ニルタミド、オクトレオチド、プレドニゾロン、ラロキシフェン、タモキシフェン、甲状腺刺激ホルモンアルファ、トレミフェン、トリロスタン、トリプトレリン、ジエチルスシルベストロール、アコルビフェン、ダナゾール、デスロレリン、エピチオスタノール、オルテロネル(orteronel)、エンザルタミド1,3
アロマターゼ阻害剤:例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ファドロゾール、レトロゾール、テストラクトン、フォルメスタン;
小分子キナーゼ阻害剤:例えば、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ボスチニブ、ゲフィチニブ、アキシチニブ、アファチニブ、アリセルチブ(alisertib)、ダブラフェニブ、ダコミチニブ(dacomitinib)、ジナシクリブ(dinaciclib)、ドビチニブ(dovitinib)、エンザスタウリン、ニンテダニブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ(linsitinib)、マシチニブ(masitinib)、ミドスタウリン、モテサニブ、ネラチニブ、オランチニブ(orantinib)、ペリホシン、ポナチニブ、ラドチニブ(radotinib)、リゴセルチブ(rigosertib)、チピファルニブ、チバンチニブ(tivantinib)、チボザニブ(tivozanib)、トラメチニブ、ピマセルチブ(pimasertib)、ブリバニブアラニネート、セジラニブ、アパチニブ(apatinib)4、カボザンチニブS-マレート1,3、イブルチニブ1,3、イコチニブ(icotinib)4、ブパルリシブ(buparlisib)2、シパチニブ(cipatinib)4、コビメチニブ(cobimetinib)1,3、イデラリシブ(idelalisib)1,3、フェドラチニブ(fedratinib)1、XL-6474;
光増感剤:例えば、メトキサレン3、ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、(talaporfin)、テモポルフィン(temoporfin);
抗体:例えば、アレムツズマブ、ベシレソマブ(besilesomab)、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、デノスマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、ペルツズマブ(pertuzumab)2,3、カツマキソマブ(catumaxomab)、エロツズマブ(elotuzumab)、エプラツズマブ、ファルレツズマブ(farletuzumab)、モガムリズマブ、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ、オビヌツマブ(obinutuzumab)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オレゴボマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ(rilotumumab)、シルツキシマブ(siltuximab)、トシリズマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、マツズマブ、ダロツズマブ(dalotuzumab)1,2,3、オナルツズマブ(onartuzumab)1,3、ラコツモバブ(racotumomab)1、タバルマブ(tabalumab)1,3、 EMD-5257974、ニボルマブ(nivolumab)1,3
サイトカイン:例えば、アルデスロイキン、インターフェロンα2、インターフェロンα2a3、インターフェロンα2b2,3、セルモロイキン、タソネルミン、テセロイキン、オプレルベキン1,3、組換えインターフェロンβ-1a4;
薬剤コンジュゲート:例えば、デニロイキンジフチトクス、イブリツモマブチウキセタン、イオベングアン(iobenguane)I123、プレドニムスチン、トラスツズマブエムタンシン、エストラムスチン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、アフリベルセプト、シントレデキンベスドトクス(cintredekin besudotox)、エドトレオチド(edotreotide)、イノツズマブ(inotuzumab)、オゾガマイシン、ナプツモマブエスタフェナトクス(naptumomab estafenatox)、オポルツズマブモナトクス(oportuzumab monatox)、テクネチウム(99mTc)アルシツモマブ(arcitumomab)1,3、ビンタフォリデ(vintafolide)1,3
ワクチン:例えば、シプロイセル(sipuleucel)3、ビテスペン(vitespen)3、エメプピムト(emepepimut)-S3、オンコ(onco)VAX4、リンドペピムト(rindopepimut)3、トロ(tro)Vax4、MGN-16014、MGN-17034;及び
その他:アリトレチノイン、ベキサロテン、ボルテゾミブ、エベロリムス、イバンドロン酸、イミキモド、レナリドマイド、レンチナン、メチロシン(metirosine)、ミファムルチド(mifamurtide)、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、シプロイセル(sipuleucel)3、シゾフィラン、タミバロテン、テムシロリムス、サリドマイド、トレチノイン、ビスモデギブ、ゾレドロン酸、ボリノスタット、セレコキシブ、シレンジチド、エンチノスタット、エタニダゾール(etanidazole)、ガネテスピブ(ganetespib)、イドロノキシル(idronoxil)、イニパリブ(iniparib)、イクサゾミブ(ixazomib)、ロニダミン、ニモラゾール(nimorazole)、パノビノスタット(panobinostat)、ペレチノイン(peretinoin)、プリチデプシン(plitidepsin)、ポマリドマイド、プロコダゾール(procodazol)、リダフォロリムス(ridaforolimus)、タキニモド(tasquinimod)、テロトリスタット(telotristat)、チマルファシン、チラパザミン、トセドスタット(tosedostat)、トラベデルセン(trabedersen)、ウベニメクス、バルスポダール、ゲンジシン(gendicine)4、ピシバニル(picibanil)4、レオリシン(reolysin)4、レタスピマイシンヒドロクロリド(retaspimycin hydrochloride)1,3、トレバナニブ(trebananib)2,3、ビルリジン(virulizin)4、カーフィルゾミブ1,3、エンドスタチン4、イムコテル(immucothel)4、ベリノスタット(belinostat)3、MGN-17034
1Prop. INN(提案されている国際一般名);2Rec. INN(推奨される国際一般名); 3 USAN(米国仮名称);4INNなし)。
【0140】
別の態様において、本発明は、有効量の本発明に係る化合物及び/又はその医薬上許容される塩、誘導体、溶媒和物及び立体異性体(すべての比でのその混合物を含む)、及び、場合により、有効量のさらなる活性成分の別個のパックからなるキットを提供する。キットは適切な容器、例えば、ボックス、個々のボトル、バッグ又はアンプルを含む。キットは、例えば、別個のアンプルを含み、その各々は有効量の本発明に係る化合物及び/又はその医薬上許容される塩、誘導体、溶媒和物及び立体異性体(すべての比でのその混合物を含む)、及び、有効量のさらなる活性成分を溶解した又は凍結乾燥した形態で含む。
【0141】
本明細書中に使用されるときに、用語「治療(処置)」、「治療(処置)する」及び「治療(処置)している」は本明細書に記載のとおりの疾患もしくは障害又はその1つ以上の症状を逆行し、緩和し、その発症を遅らせ、又は、その進行を阻害することを指す。幾つかの実施形態では、治療は1つ以上の症状が発生した後に施される。他の実施形態では、治療は症状の非存在下で施される。例えば、治療は症状の発症前に(例えば、症状の履歴に照らして、及び/又は、遺伝的又は他の罹患性因子に照らして)、罹患可能性のある個体に施される。治療は症状が解決した後も、例えば、その再発を防止又は遅らせるために継続される。
【0142】
本発明の方法に係る化合物及び組成物は、上記の障害を治療し又はその重症度を軽減するのに有効な任意の量及び任意の投与経路を用いて投与される。要求される正確な量は、対象の種、年齢及び一般的な状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに依存して、対象毎に様々であろう。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さ及び用量の均一性のために投薬単位形態で製剤化される。表現「投薬単位形態」は、本明細書中に使用されるときに、治療される患者にとって適切な薬剤の物理的に別個の単位を指す。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者又は生物に対する特定の有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、使用される特定の化合物の投与時間、投与経路及び排泄速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わされて又は同時に使用される薬剤及び医学分野で周知の同様の因子、を含む種々の要因に依存する。
【0143】
本発明の医薬上許容される組成物は、治療を受ける感染の重症度に応じて、経口、経直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏又はドロップによって)、口腔的に、経口もしくは経鼻スプレイとして、ヒト及び他の動物に投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約50mg/kg対象体重/日の用量レベルで、1日当たり1回以上、経口的又は非経口的に投与される。
【0144】
経口投与のための液体剤形としては、限定するわけではないが、医薬上許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、場合により、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及び脂肪酸のソルビタンエステルならびにそれらの混合物を含む。不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤及び香料などのアジュバントを含むこともできる。
【0145】
注射用製剤、例えば、無菌注射用水性もしくは油性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化される。無菌注射製剤は、また、1,3-ブタンジオール中の溶液としてなど、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液又はエマルジョンである。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒としては、水、リンゲル液、U.S.P及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、任意の無菌固定油は合成モノ-又はジグリセリドを含めて使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に使用される。
【0146】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通すろ過によって、又は、使用前に無菌水又は他の無菌注射用媒体中に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、無菌化することができる。
【0147】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。このことは水溶性の低い結晶性又は非晶性材料の液体懸濁液の使用によって達成される。化合物の吸収速度は、その後、その溶解速度に依存し、該溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に依存しうる。あるいは、非経口投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁させることによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する化合物の比及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射製剤はまた、身体組織と適合性であるリポソーム又はマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することによって調製される。
【0148】
経直腸又は経膣投与のための組成物は好ましくは、坐剤であり、それは、本発明の化合物を、ココアバター、ポリエチレングリコールなどの適切な非刺激性賦形剤又はキャリア、又は、周囲温度で固体であるが、体温で液体であり、それゆえ、直腸内又は膣腔で融解して、活性化合物を解放する座薬ワックスと混合することにより調製することができる。
【0149】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉末及び顆粒が挙げられる。このような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な医薬上許容される賦形剤又はキャリア、及び/又は、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシアなどのバインダー、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、及び、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸薬の場合に、剤形はまた、場合により、緩衝剤を含む。
【0150】
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用される。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬及び顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。固体剤形は、場合により、乳白剤を含み、また、場合により、遅延様式で、腸管の特定の部分においてのみ、又は、そこに優先的に活性成分を放出する組成物であることもできる。使用できる包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用される。
【0151】
活性化合物はまた、上記のとおりの1種以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態であることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬及び顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。このような固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトース又はデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤とともに混合されうる。このような剤形はまた、常用のとおり、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化補助剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースを含む。カプセル剤、錠剤及び丸薬の場合、剤形はまた、場合により、緩衝剤を含む。剤形は場合により乳白剤を含み、また、それらが場合により遅延様式で、腸管の特定の部分においてのみ、又はそこで優先的に活性成分を放出する組成物であることができる。使用できる包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
【0152】
本発明の化合物の局所又は経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレイ、吸入剤又はパッチが挙げられる。活性成分は、医薬上許容されるキャリア、及び、必要な場合には、要求される防腐剤又は緩衝剤とともに無菌状態で混合される。眼科用製剤、点耳薬及び点眼薬も本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明は、化合物の身体への制御送達を提供するさらなる利点を有する経皮パッチの使用が考えられる。このような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解又は分配することによって製造されうる。吸収促進剤はまた、皮膚を横切る化合物のフラックスを増大させるために使用されうる。速度は速度制御膜を提供することによって、又は、ポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0153】
1つの実施形態によると、本発明は、生物学的サンプル中のBTK活性を阻害する方法であって、本発明の化合物又は該化合物を含む組成物と前記生物学的サンプルを接触させる工程を含む方法に関する。
【0154】
別の実施形態によると、本発明は、生物学的サンプル中のBTK又はその変異体の活性をポジティブ様式で阻害する方法であって、前記生物学的サンプルを本発明の化合物又は該化合物を含む組成物を接触させる工程を含む方法に関する。
【0155】
本発明の化合物はBTKの産生及びBTKの相互作用によって影響を与え、そして影響を受けると考えられる多くの因子の評価を含むBTKの生物学的役割を理解するためのユニークなツールとしてインビトロで有用である。本発明の化合物はまた、開発を容易にする重要な構造活性相関(SAR)情報を提供するので、BTKと相互作用する他の化合物の開発に有用である。BTKに結合する本発明の化合物は、生細胞上、固定細胞上、生体液中、組織ホモジネート中、精製された天然の生物学的材料中などでBTKを検出するための試薬として使用することができる。例えば、このような化合物をラベル化することにより、BTKを発現する細胞を識別することができる。また、BTKを結合するその能力に基づいて、本発明の化合物は、現場染色、FACS(蛍光活性化細胞選別)、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)など、酵素精製、又は、透過性細胞内でBTKを発現する精製細胞において使用されうる。本発明の化合物はまた、様々な医学研究及び診断用途のための商業的研究試薬として利用することができる。このような用途としては、限定するわけではないが、様々な機能アッセイの候補BTK阻害剤の活性を定量化するための検量標準としての使用、ランダム化合物スクリーニングにおける、すなわち、BTKリガンドの新規ファミリーを探求することにおけるブロッキング試薬としての使用(化合物は現在請求されているBTK化合物の回復を阻止するために使用することができる)、BTK酵素との共結晶化における使用(すなわち、本発明の化合物はBTKに結合した化合物の結晶の形成を可能にし、x-線結晶学による酵素/化合物構造の決定を可能にする)、他の研究及び診断用途(BTKは、好ましくは、活性化され、又は、そのような活性化はBTK阻害剤の既知量などに対して便利に校正される)、細胞中のBTKの発現を決定するためのプローブとしてのアッセイでの使用、及び、BTK結合リガンドと同じ部位に結合する化合物を検出するためのアッセイの開発が挙げられる。
【0156】
本発明の化合物はそれ自体で施用され、及び/又は、治療効果の診断の物理的測定と組み合わせて施用されうる。前記化合物を含む医薬組成物及びBTK-媒介病態を治療するための前記化合物の使用はヒト又は動物のいずれかの健康状態の直接的かつ急速な改良を生じさせる広範な治療の有望で新規のアプローチである。本発明の経口的に生物学的に利用可能な、活性な新規の化学物質は患者の便利さ及び医師のコンプライアンスを改良する。
【0157】
式(I)の化合物、その塩、異性体、互変異性体、エナンチオマー形態、ジアステレオマー、ラセミ体、誘導体、プロドラッグ及び/又は代謝物は高い特異性及び安定性、低い製造コスト及び便利な取扱性を特徴とする。これらの特徴は交差反応性の欠如が含まれる再現性作用、及び、標的構造と信頼できる安全な相互作用の基礎を形成する。
【0158】
用語「生物学的サンプル」としては、本明細書中に使用されるときに、限定するわけではないが、細胞培養物又はその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料又はその抽出物、及び、血液、唾液、尿、糞便、精液、涙もしくは他の体液又はその抽出物が挙げられる。
【0159】
生物学的サンプル中のBTK又はその変異体の活性の調節は当業者に知られている種々の目的に有用である。このような目的の例としては、限定するわけではないが、輸血、臓器移植、生物学的標本の保存及び生物学的アッセイが挙げられる。
【実施例】
【0160】
例証
下記の実施例に記載されるとおり、特定の例示の実施形態において、化合物は以下の一般手順に従って調製される。一般方法は本発明の特定の化合物の合成を例示しているが、下記の一般方法及び当業者に知られている他の方法は本明細書中に記載のとおりのすべての化合物及びこれらの化合物の各々のサブクラス及び化学種に対して適用されうることは理解されるであろう。
【0161】
プロセス、スキーム及び実施例の以下の説明で使用される符号及び表記規則は現代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryで使用されるものと一致している。
【0162】
特段の指示がないかぎり、すべての温度は℃(摂氏温度)で表記される。
【0163】
すべての反応は特段の注記がないかぎり、室温で行った。本発明のすべての化合物は本発明の発明者により開発された方法により合成した。1H NMRスペクトルをBruker Avance III 400で得た。ケミカルシフトppm(δ単位)を表現する。カップリング係数はヘルツ(Hz)の単位である。分離パターンは明らかな多重項を示し、s (一重項)、d (二重項)、t (三重項)、q (四重項)、m (多重項)、br (広)として指定される。
【0164】
質量スペクトルを、大気圧化学イオン化(APCI)及びエレクトロスプレイイオン化(ESI)のいずれかを用いて、Agilent TechnologiesからのAgilent 1200シリーズ質量分析計で得た。カラム: XBridge C8, 3.5 μm, 4.6 x 50 mm; 溶媒A: 水+ 0.1 % TFA; 溶媒B: ACN+0.1%TFA; 流速: 2 ml/min; 勾配: 0 min: 5 % B, 8 min: 100 % B, 8.1 min: 100 % B, 8.5 min: 5% B, 10 min 5% B。
【0165】
HPLCデータを、カラム(XBridge C8, 3.5 μm, 4.6 x 50 mm)及び2つの移動相(移動相A: 水+ 0.1 % TFA; 移動相B: ACN+0.1%TFA)を用いて、Agilent technologiesからのAgilent 1100シリーズHPLCを用いて得た。流速は 2 ml/minであった。勾配法は: 0 min: 5 % B; 8 min: 100 % B; 8.1 min: 100 % B; 8.5 min: 5% B; 10 min 5% B。
【0166】
マイクロ波反応をBiotage Initiator Microwave Synthesizerを用いて、当該技術分野で知られた標準手順を用いて行った。
【0167】
本出願において現れることがある幾つかの略語は以下のとおりである:
【表1】
【0168】
下記の例において使用される化合物番号は上記の番号に対応する。
【0169】
【化31】
【0170】
例1
4-(tert-ブチル)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド (3)
【化32】
(方法 A) tert-ブチル (3-((2-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート
2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン (170.00 mg; 1.02 mmol; 1.00 eq.)及び(3-アミノ-シクロヘキシル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(218.19 mg; 1.02 mmol; 1.00 eq.)をTHF (2.00 ml; 24.69 mmol; 24.25 eq.)中に含むマイクロ波バイアルにおいて、DIPEA (0.37 ml; 2.24 mmol; 2.20 eq.)を添加した。反応物を60oCにて16時間撹拌し、その後、それを濃縮し、さらに精製することなく次の工程に送った。MS: m/z = 345 [M+H]+, RT= 2.80 min.
【0171】
【化33】
(方法 B) tert-ブチル (3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート
[3-(2-クロロ-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロヘキシル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(344.81 mg; 1.00 mmol; 1.00 eq.)及び4-(2-メトキシエトキシ)アニリン(183.93 mg; 1.10 mmol; 1.10 eq.)を2-メチル-ブタン-2-オール(4.00 ml; 35.67 mmol; 35.67 eq.)中に含むマイクロ波バイアルにおいて、酢酸(6.01 mg; 0.10 mmol; 0.10 eq.)を添加した。反応物を85oCにて16時間撹拌し、その後、それを濃縮し、そしてさらに精製することなく次の工程に送った。MS: m/z = 476 [M+H]+, RT= 3.17 min.
【0172】
【化34】
(方法 C) N4-(3-アミノシクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド
(3-{5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イルアミノ}-シクロヘキシル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(475.56 mg; 1.00 mmol; 1.00 eq.)をメタノール(6.00 ml)中に含むrbfにおいて、塩化水素(2.50 ml; 10.00 mmol; 10.00 eq.)を添加した。反応物を室温にて3時間撹拌し、その後、それを濃縮し、そしてさらに精製することなく次の工程に送った。MS: m/z = 376 [M+H]+, RT= 2.01 min
【0173】
【化35】
(方法 D) 4-(tert-ブチル)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド (3)
10 mL反応バイアルに、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(120.00 mg; 0.29 mmol; 1.00 eq.)、4-tert-ブチル-安息香酸(50.41 μl; 0.29 mmol; 1.00 eq.)及びエチル-ジイソプロピル-アミン(0.31 ml; 1.75 mmol; 6.00 eq.)をジクロロ-メタン(4.00 ml; 58.87 mmol; 202.07 eq.)中で添加し、次いで、2,4,6-トリプロピル-[1,3,5,2,4,6]トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(233.00 μl; 0.58 mmol; 2.00 eq.)を添加した。反応物を室温にて15分間撹拌し、その後、それを濃縮し、そしてベーシック分取-HPLCにより精製した。回収した画分を凍結乾燥により乾燥し、白色固形分を提供した(18.9 mg, 9.5%)。HPLC: 95 %, RT= 4.29 min. MS: m/z = 536 [M+H]+, RT= 3.54 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.66 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.04 (d, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.77 (d, 2H), 7.50 (d, 2H), 7.84 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 4.30 (s, 1H), 4.22 (s, 1H), 4.43 (m, 2H),1.50-1.93 (m, 8H), 1.25 (s, 9H)。幾つかのプロトンピークは溶媒ピークと重なっている。
【0174】
例2. 4-(tert-ブチル)-N-((1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)メチル)ベンズアミド (7)
【化36】
4-(tert-ブチル)-N-((1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)メチル)ベンズアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル(ピペリジン-3-イルメチル)カルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 100 %, RT= 3.88 min. MS: m/z = 536 [M+H]+, RT= 3.53 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.70 (s, 1H), 8.49 (m, 1H), 8.04 (d, 2H), 7.75 (d, 2H), 7.44 (m,4H) 6.82 (d, 2H), 4.26 (m, 2H), 4.02 (m, 2H), 3.61 (m, 2H), 3.30 (s, 3H), 3.25 (m, 3H), 3.01 (t, 1H), 1.81 (m, 1H), 1.74 (m, 2H), 1.52(m, 1H), 1.41 (m, 1H), 1.25 (s, 9H)。
【0175】
例3. (S)-4-(tert-ブチル)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)ベンズアミド (9)
【化37】
(S)-4-(tert-ブチル)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)ベンズアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、(S)-tert-ブチルピロリジン-3-イルカルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 100 %, RT= 3.77 min. MS: m/z = 508 [M+H]+, RT= 3.49 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.81 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.74 (d, 2H), 7.50 (m, 4H), 6.92(d, 2H), 4.53 (s,1H), 4.04 (m, 2H), 3.75-4.0 (m, 4H), 3.63(m, 2H), 3.25 (s, 3H), 2.25 (m, 1H), 2.08 (m, 1H), 1.25 (s, 9H)。
【0176】
例 4. (4-(tert-ブチル)フェニル)(5-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)メタノン(18)
【化38】
(4-(tert-ブチル)フェニル)(5-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)メタノンを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチルヘキサヒドロピロロ [3,4-c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 97 %, RT= 3.65 min. MS: m/z = 534 [M+H]+, RT= 3.38 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.52 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.48 (m, 6H), 6.89 (d, 2H), 4.02 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 3.0 (s, 2H), 1.25 (s, 9H)。幾つかのピークは溶媒ピークと重なる。
【0177】
例 5. 2-((3-クロロフェニル)アミノ)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)フェニル)アセトアミド (4)
【化39】
2-((3-クロロフェニル)アミノ)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)フェニル)アセトアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル (3-アミノフェニル)カルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び2-((3-クロロフェニル)アミノ)酢酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 95 %, RT= 3.95 min. MS: m/z = 538[M+H]+, RT= 3.31 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 10.07 (s, 1H), 9.94 (s, 1H), 9.47 (s, 1H), 8.22 (m, 1H), 7.85 (m, 1H), 7.50 (m, 3H), 7.25 (m, 2H), 7. 10 (t, 1H), 6.77 (d, 2H), 6.65 (m, 3H), 4.02 (m, 2H), 3.80 (s, 2H), 3.61 (m, 2H), 3.25 (s, 3H)。
【0178】
例6. 4-(tert-ブチル)-N-((1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)メチル)ベンズアミド (17)
【化40】
4-(tert-ブチル)-N-((1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)メチル)ベンズアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル (ピロリジン-3-イルメチル)カルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 100%, RT= 3.75 min. MS: m/z = 522[M+H]+, RT= 3.48 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.74 (s, 1H), 8.58 (m, 1H), 9.01 (d, 1H), 7.77 (d, 2H), 7.48 (m, 4H), 6.81 (d, 2H), 4.02 (m, 2H), 3.77 (m, 2H), 3.45 (m, 4H), 3.30 (m, 2H), 3.25 (s, 3H), 2.57 (m, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.25 (s, 9H)。
【0179】
例7. (4-(tert-ブチル)フェニル)(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル) アミノ)ピリミジン-4-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メタノン (20)
【化41】
(4-(tert-ブチル)フェニル)(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メタノンを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-カルボキシレート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 100%, RT= 3.33 min. MS: m/z = 534[M+H]+, RT= 3.77 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 8.77 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.50 (m, 6H),6.75 (m, 2H), 4.53 (d, 1H), 4.01 (m, 2H), 3.5-3.77 (m, 8H), 3.25 (s, 3H), 3.0 (m, 1H), 2.04 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.25 (m, 9H)。
例 8. 4-(tert-ブチル)-N-(トランス-3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド (19); 4-(tert-ブチル)-N-((1R,3R)-3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル) ベンズアミド (22); 4-(tert-ブチル)-N-((1S,3S)-3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド (23)
【化42】
化合物19, 22及び23を例1に見られる反応混合物から分離した。キラルHPLCデータをカラム(IF カラム)及び2つの移動相(移動相A: 水+ 0.1% NH4OH、移動相B: EtOH)を用いたAC_SEMIPREP-SFCシステムで得た。分離は55% 均一濃度系で8 ml/minの流速で行った。(1R, 3R) キラルHPLC: 純度99%, RT=6.24 min. (1S, 3S) キラル HPLC: 純度99%, RT=6.94 min.
【0180】
例 9. (4-(tert-ブチル)フェニル)(8-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ [5.5]ウンデカン-2-イル)メタノン(21)
【化43】
(4-(tert-ブチル)フェニル)(8-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,8-ジアザスピロ [5.5]ウンデカン-2-イル)メタノンを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル2,8-ジアザスピロ [5.5]ウンデカン-2-カルボキシレート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 100%, RT= 3.77 min. MS: m/z = 576[M+H]+, RT= 3.66 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 8.87 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.34 (m, 4H), 6.65 (d, 2H), 4.0 (m, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.59 (m, 2H), 3.25 (s, 3H), 1.5 (m, 8H), 1.25 (s, 9H)。幾つかのプロトンピークは溶媒ピークと重なっている。
【0181】
例 10. (4-(tert-ブチル)フェニル)(3-(((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)メタノン(8)
【化44】
(4-(tert-ブチル)フェニル)(3-(((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル) アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)メタノンを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル 3-(アミノメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 100%, RT= 3.52 min. MS: m/z = 522[M+H]+, RT= 3.28min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.75 (m, 1H), 8.75 (m, 1H), 8.01 (m, 1H), 7.50 (m, 7H), 6.91 (m, 2H), 4.05 (m, 2H), 3.57 (m, 2H), 3.25 (s, 1H), 2. 0 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.25 (s, 9H)。幾つかのプロトンピークは溶媒ピークと重なっている。
【0182】
例11. (4-(tert-ブチル)フェニル)(7-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)-2,7-ジアザスピロ [4.5]デカン-2-イル)メタノン(15)
【化45】
(4-(tert-ブチル)フェニル)(7-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-イル)メタノンを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル 2,7-ジアザスピロ [4.5]デカン-2-カルボキシレート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。 HPLC: 100%, RT= 3.78 min. MS: m/z = 562[M+H]+, RT= 3.47min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 8.91 (d, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.52 (dd, 2H), 7.37 (m, 4H), 6.81 (d, 2H), 4.0 (m, 2H), 3.50-3.75 (m, 9H), 3.25 (m, 3H), 3.20 (m, 1H), 1.56-1.80 (m, 6H), 1.25 (m, 9H)。
【0183】
例12. 4-(tert-ブチル)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-ヒドロキシシクロヘキシル)ベンズアミド (16)
【化46】
4-(tert-ブチル)-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2-ヒドロキシシクロヘキシル)ベンズアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、tert-ブチル (3-アミノ-2-ヒドロキシシクロヘキシル)カルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 98%, RT= 3.57 min. MS: m/z = 552[M+H]+, RT= 1.67 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.77 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.76 (d, 2H), 7.61 (d, 1H), 7.50 (d, 2H), 7.47(d, 2H), 6.88 (d, 2H), 4.25 (m, 2H), 4.01 (m, 2H), 3.81 (m, 1H), 3. 61 (m, 2H), 3.24 (s, 3H), 1.81 (m, 2H), 1.50-1.75 (m, 4H), 1.25 (s, 9H)。
【0184】
例13. (R)-4-(tert-ブチル)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)ベンズアミド (1)
【化47】
(R)-4-(tert-ブチル)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)ベンズアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び4-(tert-ブチル)安息香酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 100%, RT= 4.30 min. MS: m/z = 522[M+H]+, RT= 3.52 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.39 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 8.03 (d, 1H), 7.76 (d, 2H), 7.46 (m, 4H), 6.79 (d, 2H), 3.53 (m, 2H), 3.14 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.62 (m, 2H), 1.25 (s, 9H)。幾つかのプロトンピークは溶媒ピークと重なっている。
【0185】
例 14. (R)-2-((3-クロロフェニル)アミノ)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)アセトアミド (2)
【化48】
(R)-2-((3-クロロフェニル)アミノ)-N-(1-(5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル) アミノ)ピリミジン-4-イル)ピペリジン-3-イル)アセトアミドを、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン、(R)-tert-ブチルピペリジン-3-イルカルバメート、4-(2-メトキシエトキシ)アニリン及び2-((3-クロロフェニル)アミノ)酢酸から、方法 A, B, C及びDに記載の手順を用いて調製した。HPLC: 98%, RT= 3.66 min. MS: m/z = 530[M+H]+, RT= 3.14 min. 1H-NMR (DMSO-D6) δ 9.44 (s, 1H), 8.0 (m, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.11 (m, 1H), 6.70 (d, 2H), 6.51 (m, 3H), 4.13 (d, 1H), 4.0 (m, 4H), 3.63 (m, 4H), 3.34 (m, 1H), 3.25 (s, 3H), 3.21 (m, 1H), 1.75 (m, 2H), 1.52 (m, 2H)。
【0186】
例15. 4-シクロプロピル-N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ) ピリミジン-4-イル)アミノ)シクロヘキシル)ベンズアミド (10)
【化49】
題記化合物を、上記の方法と同様の方法で、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(0.24 mmol; 1.00 eq.; 100.00 mg)及び4-シクロプロピル-安息香酸 (0.27 mmol; 1.10 eq.; 43.31 mg)を用いて調製し、42 mg (32%)を提供した。 MS: m/z = 520 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.78 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.56 - 7.28 (m, 2H), 7.12 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.99 - 6.83 (m, 2H), 6.63 (s, 1H), 6.07 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.01 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.49 - 4.32 (m, 2H), 4.07 (dd, J = 5.5, 4.0 Hz, 2H), 3.74 (dd, J = 5.4, 4.1 Hz, 2H), 3.47 (s, 2H), 2.12 - 1.87 (m, 6H), 1.16 - 0.93 (m, 2H), 0.89 - 0.59 (m, 2H)。
【0187】
例16. 4-ジメチルアミノ-N-(3-{5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イルアミノ}-シクロヘキシル)-ベンズアミド (11)
【化50】
題記化合物を上記の方法と同様の方法で、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(0.24 mmol; 1.00 eq.; 100.00 mg)及び4-ジメチルアミノ-安息香酸 (0.27 mmol; 44.11 mg 1.10 eq)を用いて調製し、40 mg (30%)を提供した。MS: m/z = 523 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.77 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.73 - 7.62 (m, 2H), 7.52 - 7.37 (m, 2H), 6.96 - 6.80 (m, 2H), 6.79 - 6.62 (m, 3H), 6.00 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.19 - 4.89 (m, 1H), 4.37 (dt, J = 12.9, 6.2 Hz, 2H), 4.19 - 3.97 (m, 2H), 3.73 (dd, J = 5.6, 4.0 Hz, 2H), 3.46 (d, J = 0.9 Hz, 3H), 3.04 (s, 5H), 2.10 - 1.88 (m, 2H), 1.83 - 1.44 (m, 7H)。
【0188】
例17. N-(3-{5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イルアミノ}-シクロヘキシル)-4-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-ベンズアミド (12)
【化51】
題記化合物を、上記の方法と同様の方法で、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(0.24 mmol; 1.00 eq.; 100.00 mg)及び4-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-安息香酸 (0.27 mmol; 1.10 eq.; 48.12 mg)を用いて調製し、36.00 mg (27%)を提供した。 MS: m/z = 538 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.87 - 7.68 (m, 3H), 7.55 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 6.14 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 4.58 - 4.29 (m, 2H), 4.03 (dd, J = 5.7, 3.9 Hz, 2H), 3.87 - 3.63 (m, 2H), 3.46 (d, J = 1.1 Hz, 3H), 2.24 - 1.87 (m, 4H), 1.60 (d, J = 6.1 Hz, 18H)。
【0189】
例18. 2-(4-tert-ブチル-フェニル)-N-(3-{5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イルアミノ}-シクロヘキシル)-アセトアミド (13)
【化52】
題記化合物を、上記の方法と同様の方法で、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(0.24 mmol; 1.00 eq.; 100.00 mg)及び(4-tert-ブチル-フェニル)-酢酸 (0.27 mmol; 1.10 eq.; 51.34 mg)を用いて調製し、36.00 mg (25%)を提供した。 MS: m/z = 538 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.77 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.50 - 7.36 (m, 4H), 7.19 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.06 - 6.86 (m, 2H), 6.63 (s, 1H), 5.39 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.95 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.25 - 4.03 (m, 4H), 3.93 - 3.73 (m, 2H), 3.47 (d, J = 0.9 Hz, 3H), 2.04 - 1.62 (m, 3H), 1.40 - 1.20 (m, 11H)。
【0190】
例 19. 2-フェニル-オキサゾール-4-カルボン酸 (3-{5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イルアミノ}-シクロヘキシル)-アミド (14)
【化53】
題記化合物を、上記の方法と同様の方法で、N4-(3-アミノ-シクロヘキシル)-5-フルオロ-N2-[4-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]-ピリミジン-2,4-ジアミンヒドロクロリド(0.24 mmol; 1.00 eq.; 100.00 mg)及び2-フェニル-オキサゾール-4-カルボン酸 (0.27 mmol; 1.10 eq.; 50.52 mg)を用いて調製し、31.00 mg (23%)を提供した。 MS: m/z = 547 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.26 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.19 - 8.01 (m, 2H), 7.79 (dd, J = 3.4, 1.0 Hz, 1H), 7.63 - 7.38 (m, 6H), 7.12 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.01 - 6.76 (m, 2H), 6.66 (s, 1H), 5.02 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.42 - 4.33 (m, 2H), 4.06 (dd, J = 5.8, 3.9 Hz, 2H), 3.84 - 3.60 (m, 2H), 3.45 (d, J = 1.0 Hz, 3H), 2.00 (ddt, J = 24.4, 11.0, 6.1 Hz, 3H), 1.88 - 1.43 (m, 10H)。
【0191】
例20
アッセイA:BTK酵素に対する力価評価のためのマイクロ流体オフチップ移動度シフトアッセイプロトコール
以下のプロトコールは、BTK酵素に対する化合物の固有の効力を測定するための、マイクロ流体オフチップ移動度シフトキナーゼアッセイを記載する。アッセイプラットフォームの機構は、下記URLのWebサイトでベンダー(Caliper Life Sciences, PerkinElmer Company, Hopkinton, MA)によって最も上手く記載されている。
http://caliperls.com/又はhttp://caliperls.com/apps/drug-discovery-and-pre-clinical-development/target-id-validation.htm
【0192】
端的には、CarnaBio USA, Inc., Natick, MAの全長ヒトBTK(08-080)の2.5Xストック、1.6X ATP及び適切なkinKDRペプチド基質(FITC-AHA-EEPLYWSFPAKKK-NH2、社内にて開発)を、 25mM MgCl2、0.015%Brij-35(30%)、100mM Hepes、pH 7.5及び10mM DTTからなるキナーゼ反応緩衝液中で調製した。
【0193】
5μLの酵素緩衝液及び7.5μLのATP/kinKDRペプチド基質混合物を、100%DMSO中で調製した連続希釈化合物125nLを含むMatrix(#115304)384ウェル滅菌ポリプロピレンプレート(Thermo Fisher Scientific, Hudson, NH)に添加し、そして27℃で90分間インキュベートし、インキュベーション期間後に、100mM Hepes、pH7.5、0.015%Brij-35(30%)、0.277%コーティング試薬#3(Caliper Life Sciences, Mountain View, CA)、5%DMSOからなる停止緩衝液60μLを加えることにより反応を停止させた。停止した反応を、PerkinElmer Company(Hopkinton, MA)のCaliper Life SciencesのLabChip 3000プレートリーダーで-2PSI、-3000V/-700Vにてモニターし、基質とペプチドリン酸化から生じる生成物との間の電荷/質量差を測定するオフチップ移動度シフトアッセイによって活性を測定した。log [阻害剤]対%活性をGeneData Screener(Basel, Switzerland)でプロットすることにより、IC50及び効力を決定した。
【0194】
アッセイB:BTK C481S酵素に対する力価評価のためのマイクロ流体オフチップ移動度シフトアッセイプロトコール
以下のプロトコールは、BTK C481S酵素に対する化合物の固有の効力を測定するための、マイクロ流体オフチップ移動度シフトキナーゼアッセイを記載する。アッセイプラットフォームの機構は、下記のURLのウェブサイトでベンダー(PerkinElmer, Hopkinton, MA)によって記載されている。
http://caliperls.com
【0195】
端的には、ドイツダルムシュタットのメルクセロノタンパク質精製実験室(PCS,Q27 / 234)(Darmstadt, Germanyのthe Merck Serono Protein Purification Laboratory(PCS, Q27/234))のHis-TEV-hsBTK(328-659)(C481S)の2.5X原料、1.6X ATP及び適切なKinKDRペプチド基質(FITC-AHA-EEPLYWSFPAKKK-NH2; Tufts University Core Facilityカスタム合成)を、25mM MgCl2、0.015%Brij-35(30%)、100mM HEPES、pH 7.5及び10mM DTTからなるキナーゼ反応緩衝液中で調製した。
【0196】
5μLの酵素緩衝液及び7.5μLのATP/KinKDRペプチド基質混合物を、100%DMSO中で調製した連続希釈化合物125nLを含むMatrix(#4315)384ウェル滅菌平底ポリプロピレンプレート(Thermo Fisher Scientific, Hudson, NH)に添加し、そして25℃で90分間インキュベートした。インキュベーション期間の後に、100mM HEPES、pH7.5、0.015%Brij-35(30%)、0.277%コーティング試薬#3(PerkinElmer, Mountain View, CA)、5% DMSOからなるクエンチ緩衝液65μLを添加することにより反応を停止した。停止した反応を、PerkinElmer Company(Hopkinton, MA)のCaliper Life SciencesのLabChip 3000プレートリーダーで-2PSI、-3000V/-700Vでモニターし、基質とペプチドリン酸化から生じる生成物との電荷/質量差を測定するレーザ誘起蛍光によって活性を定量した。log [阻害剤]対%活性をGeneData Screener(Basel, Switzerland)でプロットすることにより、IC50及び効力を決定した。
【0197】
アッセイC:時間依存性PMBC IC50アッセイ
Btkは、抗IgM刺激後のB細胞抗原受容体(BCR)のシグナル伝達を媒介するために重要である。この原理に基づいて、新鮮に単離したヒト末梢血単核細胞(PBMC)における下流BCRシグナル伝達事象であるCD69の抗IgM誘導性発現を阻害する化合物の効力を決定するための機能的細胞ベースアッセイを確立した。アッセイでは、2.5×105個の細胞を含む90μlのPBMC懸濁液を、様々な濃度の試験化合物10μlで1時間前処理し、次いで5μlの420μg/ mlのaffiniPure F(ab')2断片ヤギ抗ヒトIgM Fc断片/ウェル(Dianova、Cat.No .: 109-006-129)で一晩(約16〜18時間)インキュベートした。インキュベーション後に、細胞を洗浄し、APC標識マウス抗ヒトCD69(BD Biosciences;クローン:FN50)、PerCP-Cy5.5標識マウス抗ヒトCD19(BD Biosciences;クローン:SJ25C1)及びFITC標識マウス抗ヒトCD3(BD Biosciences;クローン:HIT3a)を用いて免疫染色し、CD19陽性細胞(B細胞)上でのCD69発現のフローサイトメトリー分析のために固定化した。CD19陽性細胞をCD69発現する百分率を試験化合物の濃度に対してプロットして、濃度応答曲線を得て、アッセイにおける試験化合物の効力の尺度としてIC50値を計算する。
【0198】
データは以下のように解釈される。
+ > 5μM;
++ >1〜5μM;
+++ > 100nM〜1μM;
++++ < 100nM。
【表2】
【0199】
例21
医薬製剤
(A)注射バイアル:本発明に係る活性成分100g及びリン酸水素二ナトリウム5gの3lの二回蒸留した水中の溶液を、2N塩酸を用いてpH 6.5に調節し、無菌ろ過し、注射バイアル中に移し、無菌状態で凍結乾燥し、そして無菌条件下でシールする。各注射バイアルは活性成分5 mgを含む。
【0200】
(B)座薬: 本発明に係る活性成分20 gを大豆レシチン100 g及びココアバター1400 gとともに融解した混合物をモールド中に注ぎ、そして冷却させる。各座薬は活性成分20 mgを含む。
【0201】
(C) 溶液:二回蒸留した水940 ml中で、本発明に係る活性成分1g、NaH2PO4・2 H2O、9.38g、Na2HPO4・12 H2O、28.48g及びベンズアルコニウムクロリド、0.1gから溶液を調製する。pHを6.8に調節し、そして溶液を1 lとし、そして放射線照射により無菌化する。この溶液は点眼薬の形態で使用されうる。
【0202】
(D)軟膏: 本発明に係る活性成分500 mgをワセリン99.5 gと無菌条件で混合する。
【0203】
(E) 錠剤: 本発明に係る活性成分1 kg、ラクトース4 kg、ポテトデンプン1.2 kg、タルク0.2 kg及びステアリン酸マグネシウム0.1 kgの混合物をプレスして各錠剤が活性成分10 mgを含むように従来の様式で錠剤を提供する。
【0204】
(F) コーティング錠:錠剤を例Eに類似的にプレスし、そして次いで、スクロース、ポテトデンプン、タルク、トラガンス及び染料のコーティングにより従来の様式でコーティングする。
【0205】
(G)カプセル剤: 各カプセルが活性成分20 mgを含むようにして、従来の様式で、本発明に係る活性成分2 kgを硬質ゼラチンカプセル中に導入する。
【0206】
(H) アンプル: 二回蒸留した水60 l中の本発明に係る活性成分1 kgの溶液を無菌ろ過し、アンプル中に移し、無菌条件下に凍結乾燥し、そして無菌条件下にシールする。各アンプルは活性成分10 mgを含む。
【0207】
(I) 吸入スプレイ: 本発明に係る活性成分14 gを等張性NaCl、10 1中に溶解し、そして溶液を、ポンプ機構を含む市販スプレイ容器中に移す。溶液を口又は鼻の中にスプレイすることができる。1回スプレイショット(約0.1 ml)は約0.14 mgの用量に対応する。
【0208】
幾つかの本発明の実施形態を本明細書中に記載してきたが、基本的な実施例は本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供するように変更されうることが明らかである。それゆえ、本発明の範囲は実施例により示された特定の実施形態によるのではなく、添付の特許請求の範囲により規定されるべきであることが理解されるであろう。