(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853383
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】アクチュエータ、リニアモータ及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20210322BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20210322BHJP
H02K 9/24 20060101ALI20210322BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H02K41/02 Z
H02K9/24 Z
H01L21/68 K
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-559097(P2019-559097)
(86)(22)【出願日】2018年5月3日
(65)【公表番号】特表2020-523618(P2020-523618A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2018061265
(87)【国際公開番号】WO2018215183
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】17173011.2
(32)【優先日】2017年5月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲールツ,ニールズ,コルネリス,ペトルス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】スタッドホウデルス,フランシスカス
(72)【発明者】
【氏名】ホフステ,エルウィン,ゲラルドゥス,ベルナルドゥス
【審査官】
山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−143143(JP,A)
【文献】
特表2015−532825(JP,A)
【文献】
特開2004−343064(JP,A)
【文献】
特表2013−537024(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0069449(US,A1)
【文献】
特開2012−227528(JP,A)
【文献】
特開2011−83180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/68
H02K 9/24
H02K 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイルを冷却するように構成され、前記コイルの両側に配置されて前記コイルと熱接触する第1の冷却プレートと第2の冷却プレートと、を備えたアクチュエータであって、
前記コイルが、前記第1の冷却プレートに面した第1のコイル部と、前記第2の冷却プレートに面した第2のコイル部とを備え、前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部がその間の間隙によって分離され、
前記第1の冷却プレート、前記第1のコイル部、前記間隙、前記第2のコイル部及び前記第2の冷却プレートが、前記コイル部が前記冷却プレート間に配置され、前記間隙が前記コイル部間に配置された積層構造を形成し、
前記アクチュエータがさらに、前記第1のコイル部を前記第1の冷却プレート方向に押し、前記第2のコイル部を前記第2の冷却プレート方向に押す、前記間隙に配置された充填要素を備えた、アクチュエータ。
【請求項2】
前記充填要素が、圧縮状態で前記間隙に配置された弾性要素を含み、前記弾性要素が前記冷却プレートの平面に垂直な方向に圧縮される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
非圧縮形状で、前記冷却プレートの前記平面に垂直な方向の前記弾性要素の寸法が、前記方向の前記間隙の寸法を上回る、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記充填要素がシムを含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
ポッティング材をさらに含み、前記間隙の前記充填要素外側の容積が前記ポッティング材で埋められる、請求項1〜4のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
対応する前記コイル部と対応する前記冷却プレートの間に対応するスペーサをさらに備えた、請求項1〜5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記コイル部が、それぞれ前記冷却プレートの前記平面に垂直な方向に延びる軸周りに巻回された巻線を形成する、請求項1〜6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記コイル部が共通のコイルコアに取り付けられた、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記充填要素が、前記コイル部の絶縁層間に配置された、請求項1〜8のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記絶縁層及び前記充填要素が、前記充填要素の層が2つの絶縁層間に配置された積層構造を形成することができる、請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のアクチュエータを備えたリニアモータ。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載のアクチュエータを備えたリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記アクチュエータを備えたリニアモータを備えた、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付与された放射ビームを形成することができるパターニングデバイスを支持するように構築されたサポートと、
基板を保持するように構築された基板テーブルと、
前記パターン付与された放射ビームを前記基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムと、をさらに備え、
前記リニアモータを、前記サポートを位置決めする第1のポジショナ及び前記基板テーブルを位置決めする第2のポジショナのうちの1つに備えることができる、請求項13に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] この出願は、2017年5月26日に出願された欧州出願17173011.2の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本発明は、アクチュエータ、そのようなアクチュエータを備えたリニアモータ及びそのようなアクチュエータを備えたリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[004] リソグラフィ装置では、基板を保持する基板テーブルやパターニングデバイスを保持するサポートなどの可動部分に力を及ぼすために、リニアモータなどにおいてアクチュエータを使用することができる。アクチュエータは、電流で駆動されたときに磁場を生成するためのコイルを備える。他の用途と同様に、リソグラフィ装置では、例えば高いアクチュエータ力を生成することができる強磁場が望まれる場合がある。高い力によってアクチュエータが高レベルの加速を促進できる可能性がある。
【0005】
[005] コイル内の電流レベルが高いとコイル内の電気散逸が大きくなるため、例えばコイルの両側に冷却プレートが配置される場合がある。冷却プレートはコイルから熱を奪うことによってコイルの温度を低下させることができる。コイルは巻線で形成されるため、コイルの全体寸法はある程度の公差を示す場合がある。アクチュエータは、例えばモータの一部を形成する永久磁石間のギャップなど、精密に画定された空間で動作する必要があり得るため、アクチュエータの全体寸法は高精度に設定される場合がある。したがって、アクチュエータの全体寸法の許容公差はコイルの寸法公差より小さくなる可能性がある。結果として、コイルと冷却プレートの間の距離は比較的大きな公差の対象となる可能性がある。コイルと冷却プレートの間の距離の公差は、ポッティング材などの中間構造の厚さを変動させ、その結果、コイルと冷却プレートとの間に比較的大きな熱抵抗公差をもたらす。
【0006】
[006] 結果として生じるコイル及び冷却プレート間の熱伝導の差は、コイルに流れる電流を一定とすると、コイルの温度の公差帯をもたらす可能性がある。この効果は、生成された熱がコイルの抵抗も増大させるときにさらに悪化し、過熱したときに不具合をもたらす可能性がある。したがって、最悪のケースの熱抵抗シナリオに基づいて、コイルを過熱することを避けるために安全マージンを維持しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
[007] アクチュエータの熱挙動を改善することが望ましい。
【0008】
[008] 本発明のある態様によれば、
コイルと、
コイルを冷却するように構成され、コイルの両側に配置されてコイルと熱接触する第1の冷却プレートと第2の冷却プレートと、を備えたアクチュエータであって、
コイルが、第1の冷却プレートに面した第1のコイル部と、第2の冷却プレートに面した第2のコイル部とを備え、第1及び第2のコイル部がその間の間隙によって分離され、
第1の冷却プレート、第1のコイル部、間隙、第2のコイル部及び第2の冷却プレートが、コイル部が冷却プレート間に配置され、間隙がコイル部間に配置された積層構造を形成し、
アクチュエータがさらに、第1のコイル部を第1の冷却プレート方向に押し、第2のコイル部を第2の冷却プレート方向に押す、間隙に配置された充填要素を備えた、アクチュエータが提供される。
【0009】
[009] 本発明のある態様によれば、このようなアクチュエータを備えたリニアモータが提供される。
【0010】
[010] 本発明のある態様によれば、このようなアクチュエータを備えたリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[011]対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0012】
【
図1】本発明のある実施形態を提供し得るリソグラフィ装置を示す。
【
図2】従来技術によるアクチュエータの概略断面図を示す。
【
図3】本発明のある実施形態に係るアクチュエータの概略断面図を示す。
【
図4】本発明の別の実施形態に係るアクチュエータの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[012]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、照明システムIL、支持構造MT、基板テーブルWT、及び投影システムPSを含む。
【0014】
[013] 照明システムILは、放射ビームBを調整するように構成される。支持構造MT(例えばマスクテーブル)は、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続される。基板テーブルWT(例えばウェーハテーブル)は、基板W(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続される。投影システムPSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成される。
【0015】
[014] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0016】
[015] 本明細書で使用する「放射ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0017】
[016] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0018】
[017] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板Wのターゲット部分Cにおける所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0019】
[018] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームBを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームBにパターンを付与する。
【0020】
[019] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。
【0021】
[020] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0022】
[021] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルを並行して使用したり、1つ以上の他のテーブルを露光に使用しながら1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。1つ以上の基板テーブルWTに加えて、リソグラフィ装置は、基板テーブルWTがその位置から離れているときに投影システムPSの下の位置に配置される測定ステージを有してもよい。基板Wを支持する代わりに、測定ステージにセンサを設けて、リソグラフィ装置の特性を測定してもよい。例えば、投影システムは、画像品質を決定するために、測定ステージ上のセンサに画像を投影してもよい。
【0023】
[022] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスMAと投影システムPSとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増やすために当技術分野では周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムPSと基板Wとの間に液体が存在するというほどの意味である。
【0024】
[023]
図1を参照すると、照明システムILは放射源SOから放射ビームBを受ける。放射源SO及びリソグラフィ装置は、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOから照明システムILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[024] 照明システムILは、放射ビームBの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えていてもよい。一般に、照明システムの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、照明システムILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。照明システムILを用いて放射ビームBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0026】
[025] 放射ビームBは、支持構造MT上に保持されているパターニングデバイスMTに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。ロングストロークモジュールは、広い範囲の動きにわたってショートストロークモジュールの粗動位置決めを提供することができる。ショートストロークモジュールは、小さい範囲にわたってロングストロークモジュールに対して支持構造MTの微動位置決めを提供することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ロングストロークモジュールは、移動の広い範囲にわたってショートストロークモジュールの粗動位置決めを提供することができる。ショートストロークモジュールは、移動の小さい範囲にわたってロングストロークモジュールに対して基板テーブルWTの微動位置決めを提供することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークP1、P2は、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークM1、M2をダイ間に配置してもよい。
【0027】
[026] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[027] 第1のモード、いわゆるステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[028] 第2のモード、いわゆるスキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[029] 第3のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[030] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[031]
図2は、従来技術によるアクチュエータの例示的な実施形態の断面図を示している。コイルCLが第1の冷却プレートCOP1と第2の冷却プレートCOP2の間に配置される。コイルの上側と第1の冷却プレートCOP1の間のギャップGP1にポッティング材PTMが充填される。同様に、コイルの下側と第2の冷却プレートCOP2の間のギャップGP2にポッティング材PTMが充填される。スペーサSPAが冷却プレートからの最小距離にコイルを維持することができる。第1の冷却プレートCOP1の頂部から第2の冷却プレートCOP2の底部までの全体寸法(例えばアクチュエータ厚さ)を精密に設定できるため、コイルの高さの公差が、本実施例では、第1の冷却プレートCOP1とコイルの間のポッティング材PTMの厚さの公差をもたらす可能性がある。
【0033】
[032] ポッティング材の厚さの公差の結果として、コイルと冷却プレートの間の熱伝導の公差帯が生じる可能性がある。熱伝導の公差帯は、ポッティング材の厚さの公差が片側(すなわち
図2の上側)に蓄積する可能性があるため、コイルに流れる電流を一定とすると、コイルの温度の公差帯をもたらす可能性があるだけでなく、コイルの頂部と底部の温度差をもたらす可能性もある。この効果は、生成された熱がコイルの抵抗も増大させるときにさらに悪化し、過熱したときに不具合をもたらす可能性がある。したがって、最悪のケースの熱抵抗シナリオに基づいて、コイルを過熱することを避けるために安全マージンを維持しなければならない。
【0034】
[033]
図3は、本発明のある実施形態に係るアクチュエータACTの断面図を示している。アクチュエータは、冷却プレートCOP1及びCOP2の間に保持されたコイルCLを備える。冷却プレートはそれぞれ平面を画定する、換言すれば、冷却プレートはそれぞれ平面に沿って延在する。一般に冷却プレートは平行であり、したがって、冷却プレートが延在する平面は一般に平行になる。コイルCLは第1のコイル部CLP1及び第2のコイル部CLP2に分割される。第1及び第2のコイル部CLP1、CLP2は、例えば直列接続で電気的に接続することができる。第1及び第2のコイル部CLP1、CLP2の間に間隙が設けられる。したがって、コイル部CLP1、CLP2は第1及び第2の冷却プレートCOP1、COP2間に配置され、間隙SPAは第1及び第2のコイル部CLP1、CLP2間に設けられ、これによって第1及び第2の冷却プレートCOP1、COP2、第1及び第2のコイル部CLP1、CLP2及び間隙SPAは積層構造を形成する。間隙SPAは冷却プレートの平面に沿って延在することができる。これによって、第1のコイル部CLP1は第1の冷却プレートCOP1に面し、第2のコイル部CLP2は第2の冷却プレートCOP2に面する。したがって、第1の冷却プレートCOP1は、第1のコイル部CLP1と熱接触して第1のコイル部CLP1から熱を奪い、第2の冷却プレートCOP2は、第2のコイル部CLP2と熱接触して第2のコイル部CLP2から熱を奪う。アクチュエータはさらに、アクチュエータの間隙SPA、すなわち第1のコイル部CLP1及び第2のコイル部CLP2の間に設けられた充填要素FLLを備える。本実施例では、コイルバネの形をした2つの充填要素が示される。充填要素FLLは、第1及び第2のコイル部に冷却プレートの平面に垂直な方向の力を及ぼす。したがって、充填要素は第1のコイル部を第1の冷却プレート方向に押し、第2のコイル部を第2の冷却プレート方向に押す。充填要素はコイル部をそれらが面しているコイルプレート方向にそれぞれ押すため、コイルの寸法及びコイル部間の距離の公差が充填要素によって調整される。したがって、第1のコイル部と第1の冷却プレートの間の距離GP1を、コイル部公差範囲内のコイル部の厚さに関係なく精密に寸法設定することができる。同様に、第2のコイル部と第2の冷却プレートの間の距離GP2を、コイル部公差範囲内のコイル部の厚さに関係なく精密に寸法設定することができる。コイル部とこれに対応する冷却プレートの間の距離を定めると、対応するコイル部と対応する冷却プレートの間の熱抵抗を明確に定めることができる。本発明のある実施形態では、充填要素は、可撓性の、すなわち圧縮性のスペーサであってよい。ある実施形態では、可撓性スペーサは、PU(ポリウレタン)フォームや押出ポリスチレンフォームやPE(ポリエチレン)フォームなどの発泡体を含んでよい。ある実施形態では、塗布された発泡体は、コイル部間に可撓性スペーサとして塗布された1つ以上のディスクの形状であってよい。ある実施形態では、可撓性スペーサは、例えば粘着(PSA)テープなどの圧縮性テープを含んでよい。ある実施形態では、1つ以上の充填要素は、例えばコイル間に複数のドットとして塗布され、ゲル相に達して剛性が増したときにコイルが組み立てられるポッティング化合物を含んでよい。
【0035】
[034] 冷却プレートは、熱伝導材のプレートを含んでよく、受動冷却又は能動冷却を行うことができる。能動冷却の場合、例えば、冷却液が流れる冷却用ダクトを冷却プレートに設ける、又は冷却プレートと熱接触させてよい。冷却プレートは、アクチュエータに組み込まれる別部品であってよい。代替的に、冷却プレートは、例えば、互いに向き合い、離間され、間に間隙を有する2つの冷却面を備えて(例えば冷却チャネルを内側に備えた一体品、例えば3Dプリンタを使用して)製造された冷却構造などの冷却構造の一部を形成してよい。コイル部は、コアに巻回された巻線を備えてよく、巻線は、銅やアルミニウムなどのワイヤ又はホイルで形成されてよい。
【0036】
[035] 間隙は、例えばコイル部間で0.1ミリメートルから1ミリメートル程度の厚さなどの任意の適当なサイズを有してよい。
【0037】
[036] 充填要素FLLは、例えば弾性フォームといった弾性材などの弾性要素を含んでよい。さらに又は代替的に、弾性要素は、例えば板バネ又はコイルバネなどのバネを含んでよい。また、弾性要素は、接着剤(例えば加熱されて間隙の少なくとも一部を埋めるように広がる接着剤)などの可撓性物質を含んでよい。弾性要素は、冷却プレートの一方又は両方の内面に垂直な方向に圧縮された形で間隙に配置され、圧縮された弾性要素の復元力によって弾性要素が第1のコイル部を第1の冷却プレート方向に押し、第2のコイル部を第2の冷却プレート方向に押す。これにより、弾性要素は、冷却プレートの平面に垂直な方向のコイル部のいかなる寸法公差も調整し、同じ弾性要素を使用した公差範囲の調整を可能にする。
【0038】
[037] 充填要素は、間隙に配置されるとき、冷却プレートの平面に垂直な方向の間隙の寸法を埋めるサイズを有してよい。
【0039】
[038] したがって、非圧縮形状の、かつ冷却プレートの平面に垂直な方向の弾性要素の寸法は当該方向の間隙の寸法を上回る。したがって、冷却プレートの内面間の距離公差及び冷却プレートの平面に垂直な方向のコイル部の厚さ公差は弾性要素によって調整することができる。
【0040】
[039] 弾性要素の代わりに又は弾性要素に加えて、充填要素FLLは、シム、すなわちそれぞれのコイル部をそれぞれ対向する冷却プレートの方向に押すときに冷却プレートの平面に垂直な方向の間隙を埋める充填要素を含んでよい。コイル部は外寸寸法公差を示す可能性があり、同様に冷却プレートの内面間の距離が(例えば冷却プレートの厚さ公差に起因する)公差を示す可能性があるため、冷却プレートの一方又は両方の内面に垂直な方向の間隙の寸法はこの公差を累積することになる。したがって、冷却プレートの平面に垂直な方向のシムの寸法は、この公差範囲を考慮に入れるように調整される。シムは、例えば冷却プレートの平面に垂直な方向に間隙に圧入するように寸法設定することができる。
【0041】
[040] 充填要素は、第1及び第2のコイル部間に置かれた層などの単一要素で形成することができる。代替的に、複数のより小さい充填要素を間隙に設けてもよい。例えば、コイル部にねじれ弱さがある場合は、1コイルにつき3つの充填要素、又は1コイルにつき4つの充填要素で支えることができる。
【0042】
[041] また、充填要素は積層構造を含んでよい。例えば、充填要素は、シム間又は弾性要素間に配置された冷却フィンなどのフィンのスタックを備えてよい。
【0043】
[042] アクチュエータはさらにポッティング材PTMを含み、充填要素外側の間隙の容積はポッティング材によって充填される。ポッティング材はコイルを適所に保つ働きをすることができる。ポッティング材は、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン及び/又はシリコン、例えばシリコンベースの接着剤やゲルを含んでよい。アクチュエータが動作するとき、コイルは、コイルがリニアモータなどのモータの磁石と相互作用した結果として生じた力などの力を受ける可能性がある。したがって、コイルは、力が作用する結果、アクチュエータ内で変位しやすい可能性がある。さらに、アクチュエータが可動構造の一部を形成するとき、可動構造の加速度がコイルにさらなる力をもたらす可能性がある。さらにまた、ポッティング材は動作時に充填要素にかかる力を緩和することができる。ポッティング材はコイル部間の間隙を埋めることができるため、コイル部に作用しなければ充填要素に全てが作用する力を、高い電流が流れ、コイル部が高い力を受けたときでもコイル部を所定位置に保持するのを支援できるポッティング材によって、例えば重要な部分のために、少なくとも部分的に調整することができる。
【0044】
[043] 上記のように、コイル部はポッティング材で機械的に締結することができる。代替的に、コイル部は、コイル部間の間隙又はコイル部と冷却プレートの間の間隙に、主に熱的特性のために選択されてきたポッティング材を充填する自由をさらに与え得る機械的アタッチメントで締結することもできる。
【0045】
[044] コイル部はそれぞれ向かい合う冷却プレートに当接することができる。したがって、第1のコイル部は第1の冷却プレートに当接することができ、第2のコイル部は第2の冷却プレートに当接することができる。したがって、それぞれのコイル部と冷却プレートとの間に良好な熱的接続を実現し、結果として低い熱抵抗及び高い熱伝導率を実現することができる。代替的に、コイル部と冷却プレートの間に1つ又は複数のスペーサを設ける、すなわち第1のコイル部と第1の冷却プレートの間に1つ又は複数のスペーサを設け、第2のコイル部と第2の冷却プレートの間に1つ又は複数のスペーサを設けてもよい。スペーサを設けることで、コイル部と冷却プレートとの間に一定の距離を設けることができる。一定の距離は、各コイル部とそれに対応する冷却プレートとの間にそれぞれ間隙をもたらすことができる。このような間隙に、例えばポッティング材を充填することができ、したがって、正確に定められた厚さを有するポッティング材の層をコイル部と冷却プレートの間に設けることができ、結果として、一方でポッティング材の層による機械的保持特性を、他方でポッティング材の層の熱抵抗を正確に設定することを可能にする。
【0046】
[045] コイル部は、それぞれ冷却プレートの平面に垂直な方向に延びる軸周りに巻回された巻線を形成することができる。第1及び第2のコイル部の巻線は、共に紙面垂直方向に延びる軸、すなわち一方の冷却プレートからもう一方の冷却プレートへ延びる軸周りに巻回することができる。コイル部に流れる電流により生成された場は足し合わされ、単一のコイルによりもたらされる場と類似した、コイル部に流れる電流による場をもたらすことができる。コイル部は、例えば電気的に直列に接続することができ、(軸について見られるように)同じ方向に巻回することができる。コイル部は共通のコイルコアに取り付けることができる。各コイル部が独自のコアを備える、又はコアを全く使用しない可能性もある。
【0047】
[046] ある実施形態では、充填要素はコイル部の絶縁層の間に配置される。コイル部は、カプトン材やテフロン材の層といった電気的絶縁層を備えてよい。絶縁層は、コイル部間又はコイル部の巻線間を電気的に絶縁することができる。コイルの製造中、絶縁層はコイル部間に配置することができ、これにより1つ又は複数の充填要素を絶縁層間又は絶縁層とコイル部の間に配置することができる。したがって、コイル部及び充填要素は一体アセンブリを形成することができる。絶縁層間に配置された充填要素は、例えば弾性要素で形成され、結果として、以上で説明したように弾力性によって寸法公差を調整することができる。絶縁層及び充填要素は、充填要素の層が2つの絶縁層間に配置された積層構造を形成することができる。積層構造は、充填要素(好ましくは弾性充填要素)をコイルの一体部分として提供できる可能性があり、その結果、コイルやアクチュエータの製造に追加のステップをほとんど必要とすることなく、上記のように公差を調整することができる。
【0048】
[047] 以上は2つのコイル部間の単一の間隙の例を提供しているが、他の構成も可能である。例えば、間隙、すなわち第1及び第2のコイル部間に第3の冷却プレートを配置し、これによって間隙の残部に少なくとも1つの充填要素を配置してもよい。
【0049】
[048]
図4は、
図3を参照して以上で説明したアクチュエータなどのアクチュエータACTと、アクチュエータの両側の磁石MGとを備えたリニアモータLMを示している。磁石は永久磁石及び/又は電磁石で形成されてよい。アクチュエータは、リニアモータに一定の熱的特性を与えることができ、その結果、リニアモータを適切に制御された熱的条件で動作させることができる。結果として、リニアモータは高い電流で動作することができ、これによって、コイルを形成するコイル部と冷却プレートの熱接触を正確に定めることができるため、熱冷却能力の部分間差異について安全マージンを考慮する必要性が低下する可能性がある。
【0050】
[049] 上記のアクチュエータACTは、
図1を参照して説明したリソグラフィ装置のようなリソグラフィ装置が備えることができる。
図1は主として透過型投影システムを有するリソグラフィ装置に関連するが、このアクチュエータは同様に、反射型投影システムを有するリソグラフィ装置に設けることができることは理解されるであろう。リソグラフィ装置は、このアクチュエータを備えたリニアモータを備えてよい。したがって、リニアモータなどの、一定の熱的特性を有するアクチュエータをリソグラフィ装置に設けることができ、その結果、アクチュエータを適切に制御された熱的条件で動作させることができる。結果として、リソグラフィ装置のアクチュエータは高い電流で動作することができ、これによって、コイルを形成するコイル部と冷却プレートの熱接触を正確に定めることができるため、熱冷却能力の部分間差異について安全マージンを考慮する必要性が低下する可能性がある。
【0051】
[050] リソグラフィ装置では、リニアモータは、サポートを位置決めする第1のポジショナ及び基板テーブルを位置決めする第2のポジショナのうちの1つが備えることができる。
【0052】
[051] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0053】
[052] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0054】
[053] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0055】
[054] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。