(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853664
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】異常診断機能を備えた増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 1/52 20060101AFI20210322BHJP
H03F 3/21 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
H03F1/52
H03F3/21
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-250585(P2016-250585)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-107565(P2018-107565A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 秀幸
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−114885(JP,A)
【文献】
特公平8−12988(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/52
H03F3/21−3/213
G01R19/165−19/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号入力端子と信号出力端子の間に接続された増幅器と、該増幅器を動作させるためのオン制御信号と前記増幅器を停止するためのオフ制御信号からなるオン/オフ制御信号を入力するとともに異常診断信号を出力するためのオン/オフ制御入出力端子と、前記オン制御信号の入力に基づいて前記増幅器を動作させ、前記オフ制御信号の入力に基づいて前記増幅器を停止させるオン/オフ制御回路と、前記増幅器の異常の有無を検出する異常検出回路と、前記オン/オフ制御回路に送出される信号を保持するラッチと通過させる開放の一方に切り替えられるラッチ回路を含み、前記異常検出回路が異常を検出しないときは前記オン/オフ制御入出力端子に入力させる前記オン/オフ制御信号を前記オン/オフ制御回路に出力し、前記異常検出回路が異常を検出したときは前記ラッチ回路が前記オン/オフ制御回路へ前記オン制御信号を出力する状態をラッチするとともに前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子に前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す異常動作時制御手段と、を備えることを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載の増幅装置において、
オン制御信号出力用とオフ制御信号出力用に切り替えられ前記オン/オフ制御入出力端子に前記オン/オフ制御信号を出力するオン/オフ制御出力端子と、前記オン/オフ制御入出力端子から出力する前記異常診断信号を入力する異常診断入力端子とを有し、該異常診断入力端子に入力した前記異常診断信号を判定することで前記オン/オフ制御出力端子の信号を前記オン制御信号出力用から前記オフ制御信号出力用に切り替える制御装置を前記増幅装置に接続して備え、
前記制御装置の前記オン/オフ制御出力端子が前記オフ制御信号出力用に切り替えられたとき、前記異常動作時制御手段と前記オン/オフ制御回路によって前記増幅器がオフに制御されることを特徴とする増幅装置。
【請求項3】
請求項2に記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、
前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記ラッチ回路を制御するタイミング生成回路を備え、
前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記オン/オフ制御入出力端子に生じている前記オン制御信号を前記ラッチ回路でラッチする第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記ラッチ回路のラッチを開放させる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、
ことを特徴とする増幅装置。
【請求項4】
請求項2に記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、
前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子と前記オン/オフ制御回路の間に接続された第2スイッチ手段と、該第2スイッチ手段と前記オン/オフ制御回路の入力側の共通接続点をプルアップする第2抵抗と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記第2スイッチ手段を制御するタイミング生成回路を備え、
前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記第2スイッチ手段をオフさせる第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記第2スイッチ手段をオンさせる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、
ことを特徴とする増幅装置。
【請求項5】
請求項2に記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、
前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地との間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子と前記オン/オフ制御回路の間に接続された第3抵抗と、前記第3抵抗と前記オン/オフ制御回路の入力側との共通接続点と正電源端子との間に接続された第3スイッチ手段と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1及び第3スイッチ手段を制御するタイミング生成回路を備え、
前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記第3スイッチ手段をオンさせる第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記第3スイッチ手段をオフさせる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、
ことを特徴とする増幅装置。
【請求項6】
請求項2に記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用と前記オフ制御信号出力用で切り替えるCMOS出力回路を備え、
前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御出力端子と前記オン/オフ制御入出力端子との間に接続された第4抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子から前記オン/オフ制御回路に送出される信号を保持するラッチと通過させる開放の一方に切り替えられるラッチ回路と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記ラッチ回路を制御するタイミング生成回路とを備え、
前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記オン/オフ制御入出力端子に生じている前記オン制御信号を前記ラッチ回路でラッチする第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記ラッチ回路のラッチを開放させる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、
ことを特徴とする増幅装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1つに記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断入力端子に入力する前記異常診断信号の繰り返し回数を所定数カウントすることで、前記オン/オフ制御出力端子から出力される信号を前記オン制御信号から前記オフ制御信号に切り替えることを特徴とする増幅装置。
【請求項8】
請求項2乃至6のいずれか1つに記載の増幅装置において、
前記制御装置は、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断入力端子に入力する前記異常診断信号の繰り返しの継続時間が所定時間を経過することで、前記オン/オフ制御出力端子から出力される信号を前記オン制御信号から前記オフ制御信号に切り替えることを特徴とする増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵する増幅器に異常が発生した際にそれを診断する異常診断機能を備えた増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーエレクトロニクスなどの分野では、走行中の車輛の安全性を高める為に、電子部品や基板を含めた電子回路の異常を早期検出する必要があり、特にパワーアンプのような大電流を駆動することが出来る増幅器を備えた増幅装置は、異常診断機能を備えることが望ましい。この異常診断機能は、増幅器の動作中において自身の異常電流や異常発熱、出力短絡などが発生した際に異常診断信号を発生して、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と呼ぶ)等からなる制御装置に送信する機能である。この異常診断信号を受けた制御装置は、その異常診断信号の内容を判定して、異常が発生した増幅器の停止、エラー表示、エラーログの記録などを行うことが可能となる。
【0003】
図7に、マイコン10によってオン/オフの制御が行われる従来の一般的な異常診断機能を備えた増幅装置20Cの一例を示し、
図8にそのタイミングチャートを示した。
【0004】
マイコン10において、T11はオン/オフ制御出力端子であり、オープンドレイン型のNMOSトランジスタM11のドレインが接続されている。T12は異常診断信号を入力する異常診断入力端子である。
【0005】
増幅装置20Cにおいて、信号入力端子T21と信号出力端子T22の間に増幅器21が接続されている。T24はマイコン10のオン/オフ制御出力端子に接続されるオン/オフ制御入力端子であり、抵抗R1によってプルアップされている。T25はマイコン10の異常診断入力端子T12に接続される異常診断出力端子であり、抵抗R5によってプルアップされている。22はオン/オフ制御入力端子T24のオン/オフ制御信号によって増幅器21の動作と停止を制御するオン/オフ制御回路、23は増幅器21に発生した異常を検出する異常検出回路である。M21は異常診断出力端子T25と接地との間に接続されたオープンドレイン型のNMOSトランジスタであり、異常検出回路23によって制御される。
【0006】
マイコン10のトランジスタM11がオフに制御されているときは、オン/オフ制御出力端子T11はハイインピーダンスになっていて、増幅装置20Cのオン/オフ制御入力端子T24がプルアップの抵抗R1により“H”のオン制御信号になり、オン/オフ制御回路22によって増幅器21は通常動作している。
【0007】
時刻t1に、出力電圧変動や出力短絡、過剰負荷電流、過熱などの異常動作が発生すると、異常検出回路23がこの異常を検出して、トランジスタM21をオンさせる。これにより、抵抗R5でプルアップされている異常診断出力端子T25を“L”の異常診断信号に制御して、マイコン10の異常診断入力端子T12へ“L”の異常診断信号を送信する。
【0008】
マイコン10の側では、異常診断入力端子T12からバッファ11に“L”の異常診断信号が取り込まれ、それが所定時間だけ継続すると異常が発生していると内部回路で判定して、時刻txにおいて、トランジスタM11をオンに制御し、オン/オフ制御出力端子T11を“L”のオフ制御信号にする。
【0009】
増幅装置20Cの側では、オン/オフ制御出力端子T11からオン/オフ制御入力端子T24に“L”の異常診断信号が入力されると、オン/オフ制御回路22により増幅器21が停止状態に制御され、増幅器21の保護が行われる。
【0010】
ところで、増幅装置では、カーエレクトロニクスの分野に限らず、部品実装密度の向上やコストダウンは当然の事として要求される。しかしながら、
図7に示した従来例の増幅装置20Cのように、特別に異常診断出力端子T25を設けることは、前記要求に反して端子数の増加に繋がり、パッケージ端子が増大し、実装面積が増え、コストアップに繋がってしまう。特に、パワーアンプのような増幅器は、製造プロセスや熱設計的な面から単機能の集積回路として独立することが多く、少ない端子数のパッケージが選定されることが多い為、端子数に余裕が無い。このような事情により、主機能ではない異常診断機能を増幅装置に搭載することは断念せざるを得ないという問題があった。
【0011】
また、端子に余裕のない小型パッケージの増幅装置に関しては、新たな端子を必要とする上記したような異常診断機能を搭載することが出来ず、増幅器の動作と停止を制御するマイコンが、増幅装置の異常、故障を知るすべは無い。
【0012】
そこで、従来では、
図9に示すように、オン/オフ制御信号の入力と異常診断信号の出力に共用できるようにしたオン/オフ制御入出力端子T23を設けるように増幅装置20Dを構成している(非特許文献1)。そして、このオン/オフ制御入出力端子T23を、マイコン10BのCMOS出力回路12に接続されるオン/オフ制御出力端子T21に対しては抵抗R6を介して接続し、異常診断入力端子T13には直接接続している。26は異常検出回路23が異常を検出するとオンに制御される電流源であり、オン/オフ制御入出力端子T23と接地間に接続されている。
【0013】
マイコン10BのCMOS出力回路12の出力が“H”のオン制御信号のときは、増幅装置20Dのオン/オフ制御入出力端子T23も“H”のオン制御信号になっていて、オン/オフ制御回路22によって増幅器21は通常動作している。
【0014】
時刻t1で異常が発生すると、異常検出回路23がそれを検出して電流源26をオンさせて、その電流源26によりオン/オフ制御入出力端子T23から定電流ΔIを引き込む。このとき、オン/オフ制御入出力端子T23は、抵抗R6と電流ΔIで決まる電圧ΔV(=R6×ΔI)だけ低下する。
【0015】
マイコン10Bの側では、異常診断入力端子T13にその電圧ΔVの低下を異常診断信号として取り込む。そして、ΔVだけの電圧低下が所定時間だけ継続すると、時刻txで、CMOS出力回路12の出力を“L”オフ制御に制御してオン/オフ制御出力端子T11を“L”のオフ制御信号にする。これにより増幅装置20Dではオン/オフ制御入出力端子T23が“L”のオフ制御信号になって、オン/オフ制御回路22により増幅器21の動作が停止される。
【0016】
このようにして、
図9の増幅装置20Dでは、オン/オフ制御入出力端子T23を、オン/オフ制御信号の入力と異常診断信号の出力に共用できるようにして、その増幅装置10Dの端子数の削減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Infineon Technologies、カタログ HITFET BTS133 Page8、2000年5月19日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、
図9で説明した従来例の増幅装置20Dでは、マイコン10Bの側の異常診断入力端子T13はアナログ入力ポートであり、マイコン10Bの内部に微小電圧変化ΔVを検出する為のA/Dコンバータ13を特別に設ける必要が生じてしまうという問題がある。また、マイコンの低電圧化がすすみ微小電圧変化ΔVが大きくとれないという問題がある。
【0019】
ここで、V
DDをマイコンの電源電圧、V
1Lをオン/オフ制御入出力端子T23の仕様上の“L”識別レベルとすると、次式を満たす必要がある。
V
DD−ΔV>V
1L (1)
【0020】
さらに、オン/オフ制御入出力端子T23の“L”識別レベルは仕様とする値よりも高く設計されており、V
1LREALをオン/オフ制御入出力端子T23の実際の“L”識別レベルとすると、式(1)は式(2)のように書き直すことができる。
V
DD−ΔV>V
1LREAL>V
1L (2)
【0021】
よって、マイコンの低電圧動作化が進み電源電圧V
DDが下がれば、V
1LREALに近づくことになり、上記の式(2)の関係が保たれたとしても、「V
DD−ΔV」が「V
1LREAL」に近い場合には、それぞれの設定電圧のバラツキやノイズの混入等により、オン/オフ制御入出力端子T23において、“L”のレベルの誤認識が発生する恐れがあり、微小電圧変化ΔVを大きくとれないことになる。
【0022】
本発明の目的は、オン/オフ制御入出力端子を増幅器のオン/オフ制御信号の入力用及び異常診断信号の出力用として共用しながらも、マイコン等の制御装置の側にA/Dコンバータなどが必要ないようにした異常診断機能を備えた増幅装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の増幅装置は、信号入力端子と信号出力端子の間に接続された増幅器と、該増幅器を
動作させるためのオン制御信号と前記増幅器を停止するための
オフ制御信号からなるオン/オフ制御信号を入力するとともに異常診断信号を出力するためのオン/オフ制御入出力端子と、前記
オン制御信号の入力に基づいて前記増幅器を動作させ、前記オフ制御信号の入力に基づいて前記増幅器を停止させるオン/オフ制御回路と、前記増幅器の異常の有無を検出する異常検出回路と、
前記オン/オフ制御回路に送出される信号を保持するラッチと通過させる開放の一方に切り替えられるラッチ回路を含み、前記異常検出回路が異常を検出しないときは前記オン/オフ制御入出力端子に入力させる前記オン/オフ制御信号を前記オン/オフ制御回路に出力し、前記異常検出回路が異常を検出したときは
前記ラッチ回路が前記オン/オフ制御回路へ前記オン制御信号を出力する状態をラッチするとともに前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子
に前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す異常動作時制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の増幅装置において、オン制御信号出力用とオフ制御信号出力用に切り替えられ前記オン/オフ制御入出力端子に前記オン/オフ制御信号を出力するオン/オフ制御出力端子と、前記オン/オフ制御入出力端子から出力する前記異常診断信号を入力する異常診断入力端子とを有し、該異常診断入力端子に入力した前記異常診断信号を判定することで前記オン/オフ制御出力端子の信号を前記オン制御信号出力用から前記オフ制御信号出力用に切り替える制御装置を
前記増幅装置に接続して備え、前記制御
装置の前記オン/オフ制御出力端子が前記オフ制御信号出力用に切り替えられたとき、前記異常動作時制御手段と前記オン/オフ制御回路によって前記増幅器がオフに制御されることを特徴とする。
【0025】
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と
、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記ラッチ回路を制御するタイミング生成回路を備え、前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記オン/オフ制御入出力端子に生じている前記オン制御信号を前記ラッチ回路でラッチする第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記ラッチ回路のラッチを開放させる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、ことを特徴とする。
【0026】
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子と前記オン/オフ制御回路の間に接続された第2スイッチ手段と、該第2スイッチ手段と前記オン/オフ制御回路の入力側の共通接続点をプルアップする第2抵抗と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記第2スイッチ手段を制御するタイミング生成回路を備え、前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記第2スイッチ
手段をオフさせる第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記第2スイッチ
手段をオンさせる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、ことを特徴とする。
【0027】
請求項5にかかる発明は、請求項2に記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用のハイインピーダンスと前記オフ制御信号出力用の接地電位に切り替えるオープンドレイントランジスタを備え、前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御入出力端子をプルアップする第1抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地との間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子と前記オン/オフ制御回路の間に接続された第3抵抗と、前記第3抵抗と前記オン/オフ制御回路の入力側との共通接続点と正電源端子との間に接続された第3スイッチ手段と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1及び第3スイッチ手段を制御するタイミング生成回路を備え、前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記第3スイッチ手段をオンさせる第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記第3スイッチ手段をオフさせる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、ことを特徴とする。
【0028】
請求項6にかかる発明は、請求項2に記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御出力端子を前記オン制御信号出力用と前記オフ制御信号出力用で切り替えるCMOS出力回路を備え、前記異常動作時制御手段は、前記オン/オフ制御出力端子と前記オン/オフ制御入出力端子との間に接続された第4抵抗と、前記オン/オフ制御入出力端子と接地間に接続された第1スイッチ手段と、前記オン/オフ制御入出力端子から前記オン/オフ制御回路に送出される信号を保持するラッチと通過させる開放の一方に切り替えられるラッチ回路と、前記異常検出回路が検出する異常の有無に基づいて前記第1スイッチ手段と前記ラッチ回路を制御するタイミング生成回路とを備え、前記タイミング生成回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき前記オン/オフ制御入出力端子に生じている前記オン制御信号を前記ラッチ回路でラッチする第1タイミングと、該第1タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオンさせる第2タイミングと、該第2タイミングの後に前記第1スイッチ手段をオフさせる第3タイミングと、該第3タイミングの後に前記ラッチ回路のラッチを開放させる第4タイミングとを生成し、該第4タイミングの後に前記第1乃至第4タイミングを繰り返すことで、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断信号を出力する状態と前記オン/オフ制御入出力端子を開放し前記オン/オフ制御信号が入力される状態とを交互に繰り返す、ことを特徴とする。
【0029】
請求項7にかかる発明は、請求項2乃至6のいずれか1つに記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断入力端子に入力する前記異常診断信号の繰り返し回数を所定数カウントすることで、前記オン/オフ制御出力端子の信号を前記オン制御信号出力用から前記オフ制御信号出力用に切り替えることを特徴とする。
【0030】
請求項8にかかる発明は、請求項2乃至6のいずれか1つに記載の増幅装置において、前記制御装置は、前記オン/オフ制御入出力端子から前記異常診断入力端子に入力する前記異常診断信号の繰り返しの継続時間が所定時間を経過することで、前記オン/オフ制御出力端子の信号を前記オン制御信号出力用から前記オフ制御信号出力用に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の増幅装置によれば、オン/オフ制御入出力端子を、増幅器のオン/オフ制御信号の入力用と増幅器に異常が発生した際の異常診断信号の出力用として共用することができるので、異常診断信号の出力端子を特別に設ける必要がないことはもとより、異常発生時には、オン/オフ制御入出力端子にオン制御信号と異常診断信号が繰り返され、その繰り返しは“H”、“L”を繰り返すデジタル信号となる。このため、制御装置の異常診断入力端子にA/Dコンバータを備える必要はない。したがって、増幅装置のパッケージの端子数の増加やコストアップを回避しつつ、内蔵する増幅器の安全性や信頼性を向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施例の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施例の制御装置と増幅装置の動作のタイミングチャートである。
【
図3】本発明の第1実施例の制御装置と増幅装置の動作のフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施例の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図5】本発明の第3実施例の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図6】本発明の第4実施例の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図7】従来の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図8】
図7の制御装置と増幅装置の動作のタイミングチャートである。
【
図9】従来の別の制御装置と増幅装置のブロック図である。
【
図10】
図9の制御装置と増幅装置の動作のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施例>
図1は本発明の第1実施例を示すブロック図で、制御装置としてのマイコン(マイクロコンピュータ)10によって増幅器21の動作と停止が制御される異常診断機能を備えた増幅装置20を示す。
【0034】
マイコン10において、M11はオープンドレイン型のNMOSトランジスタであり、ソースが接地され、ドレインがオン/オフ制御出力端子T11に接続されている。T12は異常診断入力端子であり、内部のバッファ11に接続されている。オン/オフ制御出力端子T11はオン制御信号出力用のときはハイインピーダンスになり、オフ制御信号出力用のときは“L”になる。
【0035】
増幅装置20において、T21は信号入力端子、T22は信号出力端子であり、両端子T21,T22の間に増幅器21が接続されている。T23はオン/オフ制御入出力端子であり、マイコンの10のオン/オフ制御出力端子T11と異常診断入力端子T12に接続されている。R1はオン/オフ制御入出力端子T23をプルアップするための抵抗であり、増幅装置20に内蔵されていてもよい。M21はオープンドレイン型のNMOSトランジスタであり、ドレインがオン/オフ制御入出力端子T23に接続され、ソースが接地されている。このトランジスタM21は第1スイッチSW1を構成する。22は増幅器21の動作(オン)と停止(オフ)を制御するオン/オフ制御回路である。23は異常検出回路であり、増幅器21の動作中において自身の異常電流や異常発熱、出力短絡などが発生した際に異常検出信号を出力する。
【0036】
24はラッチ回路であり、オン/オフ制御入出力端子T23からオン/オフ制御回路22に入力する信号を保持するラッチとその信号を通過させる開放の一方に切り替えられる。このラッチ回路24は、C端子の信号が“L”の期間は“L”になった時点にD端子に入力している信号をラッチしてQ端子から出力し、C端子の信号が“H”の期間はD端子に入力する信号をそのまま通過させてQ端子から出力する。
【0037】
25はタイミング生成回路であり、異常検出回路23から異常検出信号が入力することで、P1端子とP2端子からH/Lを繰り返す180度位相が異なる2相信号を出力する。P1端子はラッチ回路24のC端子に接続され、P2端子はNMOSトランジスタM21のゲートに接続されている。
【0038】
請求項との関連では、抵抗R1、トランジスタM21(スイッチSW1)、ラッチ回路24、及びタイミング生成回路25が、異常動作時制御手段を構成している。
【0039】
次に、
図2のタイミングチャートと
図3のフローチャートを参照して、本実施例の動作を説明する。まず、通常動作時は、マイコン10のトランジスタM11がオフしていて、そのドレインはハイインピーダンスであり、オン/オフ制御入出力端子T23は抵抗R1によって“H”のオン制御信号に持ち上げられている。
【0040】
このとき、異常検出回路23から異常検出信号は出力しない(ステップS1、S2)ので、タイミング生成回路25のP1端子は“H”であり、ラッチ回路24のC端子は“H”になってラッチ開放状態になっており、オン/オフ制御入出力端子T23に入力している“H”のオン制御信号がそのまま通過してオン/オフ制御回路22に入力し、増幅器21は動作状態に制御されている。また、タイミング生成回路25のP2端子は“L”であるので、トランジスタM21はオフしている。
【0041】
以上ような通常動作をしている増幅器21に、時刻t1において異常が発生し、それを検出した異常検出回路23が異常検出信号を発生する(ステップS2)と、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”に立ち下り、ラッチ回路24がそのときD端子に入力しているオン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号をラッチして(ステップS3)Q端子に出力し、増幅器21は動作状態が保持される。
【0042】
時刻t2になると、タイミング生成回路25のP2端子の信号が“H”に立ち上るので、トランジスタM21がオンして、オン/オフ制御入出力端子T23の信号を“H”のオン制御信号から“L”の異常診断信号(増幅装置20のオン/オフ制御入出力端子T23からマイコン10の異常診断入力端子T12に入力させるための“L”のオフ制御信号を、本実施例ではこのように「“L”の異常診断信号」と呼ぶ。)に変化させ、異常診断入力端子T12に“L”の異常診断信号が入力する(ステップS4)。このとき、ラッチ回路24はラッチ状態にあるのでQ端子は“H”のオン制御信号から変化せず、増幅器21は動作状態が保持される。
【0043】
時刻t3になると、タイミング生成回路25のP2端子が“H”から“L”に変化するので、トランジスタM21がオンからオフに変化し、オン/オフ制御入出力端子T23は抵抗R1によりプルアップされて“H”のオン制御信号に復帰する。異常診断入力端子T12も同様に“H”のオン制御信号に復帰する(ステップS5)。このとき、タイミング生成回路25のP1端子は“L”を継続するので、ラッチ状態にあり、Q端子は“H”のオン制御信号のままであり、増幅器21は動作状態が保持される。
【0044】
時刻t4になると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”から“H”に変化するので、ラッチ回路24がラッチ開放状態に切り替わり(ステップS6)、D端子に入力しているオン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号をそのままQ端子に通過させ、増幅器21は動作状態が保持される。
【0045】
時刻t5以降では、上記した時刻t1〜t4における動作と同じ動作が繰り返される。
【0046】
以上のようにして、増幅器21の異常が検出されたときは、オン/オフ制御入出力端子T23の信号が“H”のオン制御信号と“L”の異常診断信号を繰り返すが、ラッチ回路24のQ端子は“H”のオン制御信号から変化せず、増幅器21は動作状態を継続する。マイコン10の異常診断入力端子T12には“H”のオン制御信号と“L”の異常診断信号を繰り返す信号がバッファ11から内部に取り込まれて、“L”から“H”に変化するエッジが、内部のカウンタ(図示せず)をカウントアップさせる。
【0047】
そして、そのカウンタのカウント値が予め設定された値に達した時刻txにおいて、トランジスタM11がオンに制御される。この結果、オン/オフ制御出力端子T21が“L”のオフ制御信号に制御される(ステップS9、S10)。このため、増幅装置20のオン/オフ制御入出力端子T23が強制的に“L”のオフ制御信号になり、この信号がラッチ開放状態のラッチ回路24を通過してオン/オフ制御回路22に入力し、増幅器21が動作停止に制御される(ステップS7、S8)。
【0048】
このとき、マイコン10では、エラー告知とエラーログ記録が行われ(ステップS11)、故障認知となる(ステップS12)。
【0049】
<第2実施例>
図4は本発明の第2実施例を示すブロック図で、制御装置としてのマイコン10によって増幅器21の動作と停止が制御される異常診断機能を備えた増幅装置20Aを示す。本実施例の増幅装置20Aでは、
図1の増幅装置20におけるラッチ回路24に代えて、オン/オフ制御入出力端子T23とオン/オフ制御回路22との間に第2スイッチSW2を接続し、そのスイッチSW2とオン/オフ制御回路22の共通接続点と正電源端子+Vとの間にプルアップ用の抵抗R2を接続している。スイッチSW2はタイミング生成回路25のP1端子が“H”のときオンし、“L”のときオフする。他は
図1の増幅装置20と同じである。
【0050】
請求項との関連では、抵抗R1,R2、トランジスタM21、スイッチSW2、及びタイミング生成回路25が、異常動作時制御手段を構成している。
【0051】
通常動作時は、タイミング生成回路25のP1端子が“H”であるのでスイッチSW2がオンし、またP2端子が“L”であるのでトランジスタM21がオフする。よって、オン/オフ制御回路22には抵抗R1,R2によってプルアップされた“H”のオン制御信号が入力し、増幅器21は動作状態に制御される。
【0052】
異常検出回路23で増幅器21の異常が検出されると、タイミング生成回路25のP1端子が“L”になってからP2端子が“H”になり、その後にP2端子が“L”になってからP1端子が“H”なる動作(
図2の時刻t1〜t4の動作)が繰り返される。
【0053】
このため、時刻t1において異常が発生し、それを検出した異常検出回路23が異常検出信号を発生すると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”に立ち下り、スイッチSW2がオフになる。このときオン/オフ制御回路22には抵抗R2によってプルアップされた“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0054】
時刻t2になると、タイミング生成回路25のP2端子の信号が“H”に立ち上るので、トランジスタM21がオンして、オン/オフ制御入出力端子T23の信号を“H”のオン制御信号から“L”の異常診断信号に変化させ、異常診断入力端子T12に“L”の異常診断信号が入力する。このときも、オン/オフ制御回路22には抵抗R2によってプルアップされた“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0055】
時刻t3になると、タイミング生成回路25のP2端子が“H”から“L”に変化するので、トランジスタM21がオンからオフに変化し、オン/オフ制御入出力端子T23は抵抗R1によりプルアップされて“H”のオン制御信号に復帰する。異常診断入力端子T12も同様に“L”の異常診断信号から“H”のオン制御信号に復帰する。このときも、オン/オフ制御回路22には抵抗R2によりプルアップされた“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0056】
時刻t4になると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”から“H”に変化するのでスイッチSW2がオンする。このため、オン/オフ制御回路22には抵抗R1,R2によりプルアップされた“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0057】
時刻t5以降では、上記した時刻t1〜t4における動作と同じ動作が繰り返される。その他の動作は、
図1の第1実施例の動作と同じである。
【0058】
<第3実施例>
図5は本発明の第3実施例を示すブロック図で、制御装置としてのマイコン10によって増幅器21の動作と停止が制御される異常診断機能を備えた増幅装置20Bを示す。本実施例の増幅装置20Bでは、
図1の増幅装置20におけるラッチ回路24に代えて、オン/オフ制御入出力端子T23とオン/オフ制御回路22との間に抵抗R3を接続し、その抵抗R3とオン/オフ制御回路22の共通接続点と正電源端子+Vとの間に第3スイッチSW3を接続している。スイッチSW3はタイミング生成回路25のP1端子が“H”のときオフし、“L”のときオンする。他は
図1の増幅装置20と同じである。
【0059】
請求項との関連では、抵抗R1,R3、トランジスタM21、スイッチSW3、及びタイミング生成回路25が、異常動作時制御手段を構成している。
【0060】
通常動作時は、タイミング生成回路25のP1端子が“H”であるので、スイッチSW3はオフして、オン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号が抵抗R3を介してオン/オフ制御回路22に入力して、増幅器21は動作状態に制御されている。
【0061】
異常検出回路23で増幅器21の異常が検出されると、タイミング生成回路25のP1端子が“L”になってからP2端子が“H”になり、その後にP2端子が“L”になってからP1端子が“H”なる動作(
図2の時刻t1〜T4の動作)が繰り返される。
【0062】
このため、時刻t1において異常が発生し、それを検出した異常検出回路23が異常検出信号を発生すると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”に立ち下り、スイッチSW3がオンになり、オン/オフ制御回路22にはスイッチSW3によって“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0063】
時刻t2になると、タイミング生成回路25のP2端子の信号が“H”に立ち上るので、トランジスタM21がオンして、オン/オフ制御入出力端子T23の信号を“H”のオン制御信号から“L”の異常診断信号に変化させ、異常診断入力端子T12に“L”の異常診断信号が入力する。このときも、オン/オフ制御回路22にはスイッチSW3によって“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0064】
時刻t3になると、タイミング生成回路25のP2端子が“H”から“L”に変化するので、トランジスタM21がオンからオフに変化し、オン/オフ制御入出力端子T23は抵抗R1によりプルアップされて“H”のオン制御信号に復帰する。異常診断入力端子T12も同様に“L”の異常診断信号から“H”のオン制御信号に復帰する。このとき、オン/オフ制御回路22にはスイッチSW3により“H”のオン制御信号が入力して、増幅器21は動作状態が保持される。
【0065】
時刻t4になると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”から“H”に変化するのでスイッチSW3がオフするが、オン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号がオン/オフ制御回路22に入力するので、増幅器21は動作状態が保持される。
【0066】
時刻t5以降では、上記した時刻t1〜t4における動作と同じ動作が繰り返される。その他の動作は、第1実施例の動作と同じである。
【0067】
<第4実施例>
図6は本発明の第4実施例を示すブロック図で、制御装置としてのマイコン10Aによって増幅器21の動作と停止が制御される異常診断機能を備えた増幅装置20を示す。本実施例のマイコン10Aでは、オン/オフ制御出力端子T11の電位をCMOS出力回路12により“H”のオン制御信号と“L”のオフ制御信号に制御するマイコン10Aを使用している。また、プルアップ抵抗R1に代えて、マイコン10Aのオン/オフ制御出力端子T11と増幅装置20のオン/オフ制御入出力端子T23の間に抵抗R4を接続している。制御回路10Aのオン/オフ制御出力端子T11は、オン制御信号出力用のときは“H”になり、オフ制御信号出力用のときは“L”になる。
【0068】
請求項との関連では、抵抗R4、トランジスタM21、ラッチ回路24、及びタイミング生成回路25が、異常動作時制御手段を構成している。
【0069】
通常動作時は、マイコン10AのCMOS出力回路12の出力が“H”のオン制御信号に設定され、その信号が増幅装置20のオン/オフ制御入出力端子T23に入力する。このときタイミング生成回路25のP1端子が“H”であるので、オン/オフ制御出力端子T21の“H”のオン制御信号がラッチ解除状態のラッチ回路24を通過してオン/オフ制御回路22に入力して、増幅器21は動作状態に制御されている。
【0070】
異常検出回路23で増幅器21の異常が検出されると、タイミング生成回路25のP1端子が“L”になってからP2端子が“H”になり、その後にP2端子が“L”になってからP1端子が“H”なる動作(
図2の時刻t1〜T4の動作)が繰り返される。
【0071】
このため、時刻t1において異常が発生し、それを検出した異常検出回路23が異常検出信号を発生すると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”に立ち下り、ラッチ回路24がそのときD端子に入力しているオン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号をラッチしてQ端子に出力し、増幅器21は動作状態が保持される。
【0072】
時刻t2になると、タイミング生成回路25のP2端子の信号が“H”に立ち上るので、トランジスタM21がオンして、オン/オフ制御入出力端子T23の信号を“H”のオン制御信号から“L”の異常診断信号に変化させ、マイコン10Aの異常診断入力端子T12に“L”の異常診断御信号が入力する。このとき、ラッチ回路24はラッチ状態にあってQ端子は“H”のオン制御信号から変化せず、増幅器21は動作状態が保持される。
【0073】
時刻t3になると、タイミング生成回路25のP2端子が“H”から“L”に変化するので、トランジスタM21がオンからオフに変化し、オン/オフ制御入出力端子T23にはマイコン10Aの抵抗R4を経由した“H”のオン制御信号が入力する。異常診断入力端子T12も同様に“L”の異常診断信号から“H”のオン制御信号に復帰する。このとき、タイミング生成回路25のP1端子は“L”を継続するので、ラッチ状態にあり、Q端子は“H”のオン制御信号のままであり、増幅器21は動作状態が保持される。
【0074】
時刻t4になると、タイミング生成回路25のP1端子の信号が“L”から“H”に変化するので、ラッチ回路24がラッチ開放状態に切り替わり、D端子に入力しているオン/オフ制御入出力端子T23の“H”のオン制御信号をそのままQ端子に通過させ、増幅器21は動作状態が保持される。
【0075】
時刻t5以降では、上記した時刻t1〜t4における動作と同じ動作が繰り返される。その他の動作は、第1実施例の動作と同じである。
【0076】
<その他の実施例>
なお、以上説明した第1〜第4実施例では、増幅器21に異常が発生したとき、マイコン10の異常診断入力端子T12やマイコン10Aの異常診断入力端子T13に入力する“L”の異常診断信号と“H”オン制御信号の繰り返し回数をカウンタでカウントして、トランジスタM11をオンさせ、あるいはCMOS出力回路12の出力を“L”に制御して、オン/オフ制御出力端子T11を“L”のオフ制御信号に制御するようにしたが、これに限られるものではない。
【0077】
たとえば、異常診断入力端子T12に繰り返し入力する“L”の異常診断信号が最初に“L”になってから、タイマで設定した所定時間を経過しても“L”と“H”が繰り返されている場合に、オン/オフ制御出力端子T11を“L”のオフ制御信号に制御してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10A,10B:マイコン(制御装置)、11:バッファ、12:CMOS出力回路、13:A/Dコンバータ、T11:オン/オフ制御出力端子、T12,T13:異常診断入力端子
20,20A,20B,20C,20D:増幅装置、21:増幅器、22:オン/オフ制御回路、23;異常検出回路、24:ラッチ回路、25:タイミング生成回路、26:電流源、T21:信号入力端子、T22:信号出力端子、T23:オン/オフ制御入出力端子、T24:オン/オフ制御入力端子、T25:オン/オフ制御出力端子