特許第6853977号(P6853977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853977
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20210329BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01L29/78 652J
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 652F
   H01L29/78 652S
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-5471(P2017-5471)
(22)【出願日】2017年1月16日
(65)【公開番号】特開2018-116986(P2018-116986A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 直之
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
(72)【発明者】
【氏名】大西 泰彦
【審査官】 恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−072999(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/002766(WO,A1)
【文献】 特開平10−098188(JP,A)
【文献】 特開2017−112161(JP,A)
【文献】 特開2018−093067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に形成された低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層上の領域に形成される素子構造が、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に選択的に形成された第2導電型第1ベース領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の内部に選択的に形成された第2導電型第2ベース領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に選択的に形成され前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層より高濃度の第1導電型領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の反対側の表面に形成された第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面層に選択的に形成された第1導電型ソース領域と、第2導電型コンタクト領域と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層とを貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅く形成されたトレンチと、を有する半導体装置において、
前記第2導電型第2ベース領域が前記トレンチに対向して設けられ、
前記第2導電型第1ベース領域は、素子のおもて面側から見て前記第2導電型第2ベース領域と深さが同じ領域と浅い領域とが交互に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電型第1ベース領域と、前記第2導電型第2ベース領域の不純物濃度が同じであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2導電型第2ベース領域が前記第2導電型第1ベース領域の浅い領域以外の領域で前記第2導電型第1ベース領域に接続していることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板が炭化珪素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2導電型第1ベース領域の前記浅い領域の幅は、0.2μm〜1.9μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項6】
さらに、前記トレンチの表面に沿って当該トレンチの底部および側部に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜により前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層および前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層と絶縁されており、少なくとも一部が前記トレンチ内部に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜と、前記第1導電型ソース領域と前記第2導電型コンタクト領域との表面に共通に接触するソース電極と、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と、を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型第1ベース領域の第1領域および第2導電型第2ベース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面から前記第2導電型第1ベース領域の第1領域および前記第2導電型第2ベース領域よりも深く第1導電型領域の第1領域を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に低濃度の第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側から第2導電型第1ベース領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側に第1導電型領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第1導電型ソース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型ソース領域に隣接するように前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型コンタクト領域を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面のうち前記第1導電型ソース領域の一部に前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅いトレンチを形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、
前記第2導電型第1ベース領域の前記第1領域を所定間隔を有して選択的に形成することで、前記第2導電型第1ベース領域の少なくとも一部に、前記第2導電型第2ベース領域よりも素子の表面側から見て浅い領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型第1ベース領域の第1領域および第2導電型第2ベース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面から前記第2導電型第1ベース領域の第1領域および前記第2導電型第2ベース領域よりも深く第1導電型領域の第1領域を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に高濃度の第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側から前記第2導電型第1ベース領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第1導電型ソース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型ソース領域に隣接するように前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型コンタクト領域を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面のうち前記第1導電型ソース領域の一部に前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅いトレンチを形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、
前記第2導電型第1ベース領域の前記第1領域を所定間隔を有して選択的に形成することで、前記第2導電型第1ベース領域の少なくとも一部に、前記第2導電型第2ベース領域よりも素子の表面側から見て浅い領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2導電型第1ベース領域の第1領域と、前記第2導電型第2ベース領域とを同時に形成することを特徴とする請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板が炭化珪素であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記トレンチ底部および側部にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1導電型ソース領域および前記第2導電型コンタクト領域の表面にソース電極を形成する工程と、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレンチ構造を有するワイドバンドギャップ半導体で縦型MOSFET等の半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチングデバイスである縦型MOSFETでは、チャネルが基板表面に対して並行に形成されるプレーナー型よりも基板面に対して垂直に形成されるトレンチ型の方が単位面積当たりのセル密度を増やすことが出来るため単位面積当たりの電流密度を増やすことができ、コスト面から有利である。
【0003】
しかしながら、トレンチ構造を形成すると、チャネルを垂直方向に形成するためにトレンチ内部全域をゲート酸化膜で覆う構造となり、トレンチ底がドレイン側の電極にさらされ、ゲート酸化膜に高電界が印加されやすい。特に、ワイドバンドギャップ半導体では超高耐圧素子を作製するため、トレンチ底のゲート酸化膜への影響は大きく信頼性に大きく影響する。このような理由により、ワイドバンドギャップ半導体ではトレンチ底の電界強度を緩和させるためにトレンチから離れた位置、および、トレンチ下部にp型領域を形成する構造が先行技術として開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−260253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される構造は、抵抗を下げるためにトレンチ下部のp領域の幅をトレンチ幅より狭くしているため、トレンチ横に高電界が印加されやすくなり、トレンチ底の端部へ高電界が緩和されない。また、トレンチから離れた位置の深いp構造に対してトレンチ下部のp型領域幅が狭くなった場合、ブレークダウン時のアバランシェ電流がトレンチ底部に多く流れるため、トレンチ底のゲート酸化膜を劣化させてしまう、ひいては、ゲート酸化膜が破壊してしまう虞がある。
【0006】
この発明は上述した従来技術による問題点を解消するため、アバランシェ耐圧を簡単な構造で確保できる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に形成された低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層上の領域に形成される素子構造が、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に選択的に形成された第2導電型第1ベース領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の内部に選択的に形成された第2導電型第2ベース領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に選択的に形成され前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層より高濃度の第1導電型領域と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の反対側の表面に形成された第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面層に選択的に形成された第1導電型ソース領域と、第2導電型コンタクト領域と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層とを貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅く形成されたトレンチと、を有する半導体装置において、前記第2導電型第2ベース領域が前記トレンチに対向して設けられ、前記第2導電型第1ベース領域は、素子のおもて面側から見て前記第2導電型第2ベース領域と深さが同じ領域と浅い領域とが交互に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記第2導電型第1ベース領域と、前記第2導電型第2ベース領域の不純物濃度が同じであることを特徴とする。
【0009】
また、前記第2導電型第2ベース領域が前記第2導電型第1ベース領域の浅い領域以外の領域で前記第2導電型第1ベース領域に接続していることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板が炭化珪素であることを特徴とする。
【0011】
また、前記第2導電型第1ベース領域の前記浅い領域の幅は、0.2μm〜1.9μmであることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記トレンチの表面に沿って当該トレンチの底部および側部に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜により前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層および前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層と絶縁されており、少なくとも一部が前記トレンチ内部に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜と、前記第1導電型ソース領域と前記第2導電型コンタクト領域との表面に共通に接触するソース電極と、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面に設けられたドレイン電極と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型第1ベース領域の第1領域および第2導電型第2ベース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面から前記第2導電型第1ベース領域の第1領域および前記第2導電型第2ベース領域よりも深く第1導電型領域の第1領域を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に低濃度の第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側から第2導電型第1ベース領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側に第1導電型領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第1導電型ソース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型ソース領域に隣接するように前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型コンタクト領域を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面のうち前記第1導電型ソース領域の一部に前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅いトレンチを形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、前記第2導電型第1ベース領域の前記第1領域を所定間隔を有して選択的に形成することで、前記第2導電型第1ベース領域の少なくとも一部に、前記第2導電型第2ベース領域よりも素子の表面側から見て浅い領域を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板表面に低濃度の第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型第1ベース領域の第1領域および第2導電型第2ベース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面から前記第2導電型第1ベース領域の第1領域および前記第2導電型第2ベース領域よりも深く第1導電型領域の第1領域を形成する工程と、前記第1導電型第1ワイドバンドギャップ半導体層の表面に高濃度の第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面側から前記第2導電型第1ベース領域の第2領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型第2ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第1導電型ソース領域を選択的に形成する工程と、前記第1導電型ソース領域に隣接するように前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面に第2導電型コンタクト領域を形成する工程と、前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層の表面のうち前記第1導電型ソース領域の一部に前記第2導電型ワイドバンドギャップ半導体層を貫通し、前記第2導電型第2ベース領域よりも浅いトレンチを形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、前記第2導電型第1ベース領域の前記第1領域を所定間隔を有して選択的に形成することで、前記第2導電型第1ベース領域の少なくとも一部に、前記第2導電型第2ベース領域よりも素子の表面側から見て浅い領域を形成することを特徴とする。
【0015】
また、前記第2導電型第1ベース領域の第1領域と、前記第2導電型第2ベース領域とを同時に形成することを特徴とする。
【0016】
また、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板が炭化珪素であることを特徴とする。
【0017】
さらに、前記トレンチ底部および側部にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1導電型ソース領域および前記第2導電型コンタクト領域の表面にソース電極を形成する工程と、前記第1導電型高濃度ワイドバンドギャップ半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、トレンチ底部のゲート酸化膜の電界強度を緩和させて活性部の耐電圧を確保し、かつ、ブレークダウン時にトレンチ底部に流れるアバランシェ電流を抑制することで素子のアバランシェ耐量を確保することができる。また、簡単な構造で簡易に形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アバランシェ耐圧を簡単な構造で確保できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
図2図2は、図1のA−A’線を奥行方向に見た側断面図である。
図3図3は、図1のB−B’線を基板面と平行に切断した平断面図である。
図4図4は、第1p+ベース領域3の一部の浅い領域幅と耐圧の関係を示す図表である。
図5図5は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その1)
図6図6は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その2)
図7図7は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その3)
図8図8は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その4)
図9図9は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その5)
図10図10は、図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。(その6)
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および−を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“−”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“−”を付けることで負の指数をあらわしている。
【0022】
本発明にかかる半導体装置は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成される。実施の形態においては、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いて作製された炭化珪素半導体装置について、MOSを例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構成を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、n+型炭化珪素基板(ワイドバンドギャップ半導体基板)1の第1主面、例えば(0001)面(Si面)、にn型炭化珪素エピタキシャル層(ワイドバンドギャップ半導体堆積層)2が堆積されている。
【0024】
+型炭化珪素基板1は、例えば窒素(N)がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n型炭化珪素エピタキシャル層2は、n+型炭化珪素基板1よりも低い不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされている低濃度n型ドリフト層である。n型炭化珪素エピタキシャル層2の第1主面側は濃い不純物濃度のn型領域5が形成されており、濃いn型領域5はn+型炭化珪素基板1よりも低く、n型炭化珪素エピタキシャル層2よりも高い不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされている。
【0025】
以下、n+型炭化珪素基板1単体、またはn+型炭化珪素基板1とn型炭化珪素エピタキシャル層2、またはn+型炭化珪素基板1とn型炭化珪素エピタキシャル層2と後述するpベース層6とを併せて炭化珪素半導体基体とする。
【0026】
図1に示すように、n+型炭化珪素基板1のn型炭化珪素エピタキシャル層2側に対して反対側の表面(炭化珪素半導体基体の裏面)には、裏面電極13が設けられている。裏面電極13は、ドレイン電極を構成する。
【0027】
炭化珪素半導体基体の第1主面側には、トレンチ構造が形成されている。具体的には、トレンチは、pベース層6のn+型炭化珪素基板1側に対して反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面からpベース層6を貫通する。トレンチの表面に沿って、トレンチの底部および側部に形成されたゲート絶縁膜9が形成されており、ゲート絶縁膜9によりn型炭化珪素エピタキシャル層2およびpベース層6と絶縁されているゲート電極10がトレンチ内部に形成されている。ゲート電極10の一部はトレンチ外部に突出していても良い。
【0028】
n型炭化珪素エピタキシャル層2のn+型炭化珪素基板1側に対して反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面層には、第1p+ベース領域(第2導電型第1ベース領域)3と、第2p+ベース領域(第2導電型第2ベース領域)4が選択的に設けられている。第2p+ベース領域4は、トレンチ下に形成されており、第2p+ベース領域4の幅はトレンチの幅と同じかそれよりも広い。第1p+ベース領域3と第2p+ベース領域4は、例えばアルミニウムがドーピングされている。第1p+ベース領域3の一部をトレンチ側に引き伸ばすことで第2p+ベース領域4に接続した構造となっていても良い。その理由はゲート下の第2p+ベース領域4とn型炭化珪素エピタキシャル層2の接合部分でアバランシェ降伏が起こったときに発生するホールを効率よくソース電極に退避させることで、ゲート酸化膜への負担を軽減し信頼性を上げるためである。
【0029】
n型炭化珪素エピタキシャル層2の第1主面側には、pベース層6が設けられており、pベース層6の第1主面側にn+ソース領域7およびp++コンタクト領域8が設けられている。また、n+ソース領域7およびp++コンタクト領域8は互いに接する。また、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面層の第1p+ベース領域3と第2p+ベース領域4に挟まれた領域と、pベース層6と第2p+ベース領域4に挟まれた領域は濃いn型領域5が設けられており、この濃いn型領域5は、第1p+ベース領域3と第2p+ベース領域4よりも深い位置まで形成されている。
【0030】
図1では、2つのトレンチMOS構造のみを図示しているが、さらに多くのトレンチMOS構造が並列に配置されていてもよい。
【0031】
層間絶縁膜11は、炭化珪素半導体基体の第1主面側の全面に、トレンチに埋め込まれたゲート電極10を覆うように設けられている。ソース電極12は、層間絶縁膜11に開口されたコンタクトホールを介して、n+ソース領域7およびp+コンタクト領域8に接する。ソース電極12は、層間絶縁膜11によって、ゲート電極10と電気的に絶縁されている。ソース電極12上には、ソース電極パッド14が設けられている。
【0032】
ここで、第1p+ベース領域3の少なくとも一部には第2p+ベース領域4よりも浅い領域を有する。図2は、図1のA−A’線を奥行方向に見た側断面図である。図2では、n+型炭化珪素基板1と素子上側のp++コンタクト領域を省いて記載してある。図3は、図1のB−B’線を基板面と平行に切断した平断面図である。
【0033】
図2および図3に示すように、第1p+ベース領域3は、第2p+ベース領域4の底面と同じ深さ位置を有する第1領域3aと、第2p+ベース領域4の底面から浅い位置に連続する深さ位置を有する第2領域3bと、を有する。第1領域3aは、図1の奥行方向で見て島状に形成されている。すなわち、第1p+ベース領域3は、少なくとも一部には第2p+ベース領域4よりも基板のおもて面から見て浅い領域を有する。
【0034】
これにより、第2p+ベース領域4よりも第1pベース領域3側でブレークダウンが起こりやすくなり、トレンチ底部に流れるアバランシェ電流を抑制することできるようになる。それにより、素子のアバランシェ耐量を確保することができる。
【0035】
図4は、第1p+ベース領域3の一部の浅い領域幅と耐圧の関係を示す図表である。第1p+ベース領域3の一部に浅い領域を形成し、その幅(W_sp)と耐圧の関係を示す。pベース濃度について異なる3つの条件(条件1〜条件3)としているが、どの条件においても、浅い領域の幅を広げることで、第1p+ベース領域3の耐圧が低下することが分かる。この時、第2p+ベース領域4の耐圧は1700V程度であるので、浅い領域を形成することで、図4に示すように、第2p+ベース領域4の耐圧よりも低くなる第1p+ベース領域3側でブレークダウンが起こり、トレンチ底部に流れるアバランシェ電流を抑制することができる。今回の検討の場合、第1p+ベース領域3の浅い領域の幅(W_sp)は、0.2μm以上が好ましく、1200Vの耐圧を得るためには1.9μm以下であることが好ましいことが分かった。
【0036】
図5図10は、それぞれ図1に示した半導体装置の製造工程を示す断面図である。図5図10の順に製造工程を説明する。まず、図5に示すように、n型の炭化珪素でできたn+型炭化珪素基板1を用意する。そして、このn+型炭化珪素基板1の第1主面上に、n型の不純物、例えば窒素原子をドーピングしながら炭化珪素でできた第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aを、例えば10μm程度の厚さまでエピタキシャル成長させる。この第1の半導体層は、n半導体層2となる。ここまでの状態が図5に示されている。
【0037】
次いで、図6に示すように、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを、例えば酸化膜で形成する。そして、イオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウム原子をイオン注入する。それによって、図6に示すように、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の深い第1p+ベース領域3aと第2p+ベース領域4が、例えば隣り合う深い第1p+ベース領域3aと第2p+ベース領域4との間の距離が1〜1.5μm程度となるように、設けられる。
【0038】
このとき、第1p+ベース領域3aの一部のマスクを残すように形成し、第1p+ベース領域の奥行き方向の少なくとも一部に未注入領域を存在させる。この未注入領域の幅(u 2,図3のW_sp)は、0.2〜1.9μm程度が好ましい。また、深い第1p+ベース領域3aと第2p+ベース領域4を設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば不純物濃度が1×1018〜1×1019/cm3程度となるように設定してもよい。
【0039】
次いで、深い第1p+ベース領域3aと第2p+ベース領域4を設けるためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。そして、イオン注入法によってn型の不純物、例えば窒素原子をイオン注入する。それによって、図6に示すように、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面領域の一部に、深い第1p+ベース領域3の第1領域3aと第2pベース領域4よりも深い位置まで深い濃いn型領域5aが設けられる。深く濃いn型領域5aを設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば不純物濃度が5×1016〜5×1017/cm3程度となるように設定してもよい。ここまでの状態が図6に示されている。
【0040】
次いで、図7に示すように、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、n型の不純物、例えば窒素原子をドーピングしながら第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bを、例えば0.5μm程度の厚さまでエピタキシャル成長させる。この第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bと第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aを合わせてn型炭化珪素エピタキシャル層2となる。第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bを設けるためのエピタキシャル成長の条件を、例えば第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの不純物濃度が8×1015/cm3程度となるように設定してもよい。
【0041】
次いで、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを、例えば酸化膜で形成する。そして、イオン注入法によってp型の不純物、例えばアルミニウム原子をイオン注入する。それによって、図7に示すように、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の浅い第1p+ベース領域3の第2領域3bが、例えば深い第1p+ベース領域の第1領域3aの上部に重なるように設けられる。この浅い第1pベース領域3の第2領域3bと、深い第1p+ベース領域の第1領域3aとを合わせて第1p+ベース領域3となる。浅い第1p+ベース領域3の第2領域3bを設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば不純物濃度が1×1018〜1×1019/cm3程度となるように設定してもよい。
【0042】
次いで、浅い第1p+ベース領域3の第2領域3bを設けるためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。そして、イオン注入法によってn型の不純物、例えば窒素原子をイオン注入する。それによって、図7に示すように、第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の浅く濃いn型領域5bが設けられる。浅く濃いn型領域5bを設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば不純物濃度が5×1016〜5×1017/cm3程度となるように設定してもよい。この浅く濃いn型領域(第2領域)5bと深く濃いn型領域(第1領域)5aを合わせて濃いn型領域5となる。ここまでの状態が図7に示されている。
【0043】
そして、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面上に、p型の不純物、例えばアルミニウム原子をドーピングしながらpベース層6を、例えば0.7〜1.3μm程度の厚さまでエピタキシャル成長させる。pベース層6を設けるためのエピタキシャル成長の条件を、例えば不純物濃度が1×1016〜5×1018/cm3程度となるように設定してもよい。
【0044】
次いで、露出したpベース領域6の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを例えば酸化膜で形成する。そして、イオン注入法によってn型の不純物、例えばリンをイオン注入する。それによって、図8に示すように、pベース層6の表面領域の一部にn+ソース領域7が設けられる。n+ソース領域7を設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば第1p+ベース領域3よりも不純物濃度が高くなるように設定してもよい。
【0045】
次いで、n+ソース領域7を設けるためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。そして、露出したpベース領域6の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを例えば酸化膜で形成しpベース層6の表面上にp型の不純物、例えばアルミニウムをイオン注入する。それによって、図8に示すように、pベース層6の表面領域の一部にp++コンタクト領域8が設けられる。p++コンタクト領域8を設けるためのイオン注入時のドーズ量を、例えば第2p+ベース領域4よりも不純物濃度が高くなるように設定してもよい。続いて、p++コンタクト領域8を設けるためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。ここまでの状態が図8に示されている。
【0046】
次いで、熱処理(アニール)を行って、例えば第1p+ベース領域3、第2p+ベース領域4、n+ソース領域7、p++コンタクト領域8を活性化させる。熱処理の温度は、例えば1700℃程度であってもよい。熱処理の時間は、例えば2分程度であってもよい。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。
【0047】
次いで、図9に示すように、露出したpベース領域6の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有する図示しないマスクを例えば酸化膜で形成する。そして、ドライエッチング用によってpベース層6を貫通してn型炭化珪素エピタキシャル層2に達するトレンチを形成する。トレンチの底部は第2p+ベース領域4に達しても良く、pベース層6と第2p+ベース領域4に挟まれたn型炭化珪素エピタキシャル層2内に設置されても良い。続いて、トレンチを設けるために用いたマスクを除去する。ここまでの状態が図9に示されている。
【0048】
次いで、図10に示すように、n+ソース領域7、p++コンタクト領域8、トレンチの表面に沿ったトレンチの底部および側部にゲート絶縁膜9を形成する。このゲート絶縁膜9は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱処理によって熱酸化によって形成してもよい。また、この酸化膜はHigh Temperature Oxide(HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0049】
次いで、ゲート絶縁膜9上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ内を埋めるように形成しても良い。この多結晶シリコン層をパターニングして、トレンチ内部に残すことによって、ゲート電極10を設ける。ゲート電極10の一部はトレンチ外部に突出していても良い。
【0050】
次いで、ゲート絶縁膜9及びゲート電極10を覆うように、例えばリンガラスを1μm程度の厚さで成膜し、層間絶縁膜11を設ける。層間絶縁膜11及びゲート絶縁膜9をパターニングして選択的に除去することによって、コンタクトホールを形成し、n+ソース領域7及びp++コンタクト領域8を露出させる。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜11を平坦化する。ここまでの状態が図10に示されている。
【0051】
次いで、コンタクトホール内及び層間絶縁膜11の上にソース電極12となる導電性の膜を設ける。この導電性の膜を選択的に除去して、例えばコンタクトホール内にのみソース電極12を残す。
【0052】
次いで、n+半導体基板1の第2主面上に、例えばニッケルの膜でできたドレイン電極13を設ける。その後、例えば970℃程度の温度で熱処理を行って、n+半導体基板1とドレイン電極13とをオーミック接合する。
【0053】
次いで、図1に示したように、例えばスパッタ法によって、ソース電極12及び層間絶縁膜11を覆うように、例えばアルミニウムの膜を、厚さが例えば5μm程度になるように、設ける。その後、Alの膜を選択的に除去して、素子全体の活性部を覆うように残すことによって、ソース電極パッド14を形成する。
【0054】
次いで、ドレイン電極13の表面に、例えばチタン、ニッケル及び金を順に積層することによって、ドレイン電極パッド15を設ける。以上のようにして、図1に示す半導体装置が完成する。
【0055】
なお、本実施の形態においては、浅く濃いn型領域5bの形成をイオン注入で行う形態を示したが、n型炭化珪素エピタキシャル層2bのエピタキシャル成長時に窒素の不純物濃度が5×1016〜5×1017/cm3程度となるように設定し、イオン注入を省略する製造方法としても良い。
【0056】
以上において本発明では、炭化珪素でできた炭化珪素基板の主面を(0001)面とし当該(0001)面上にMOSを構成した場合を例に説明したが、これに限らず、ワイドバンドギャップ半導体、基板主面の面方位などを種々変更可能である。
【0057】
また、本発明では、実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧の炭化珪素半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 n+型炭化珪素基板
2 n型炭化珪素エピタキシャル層
2a 第1n型炭化珪素エピタキシャル層
2b 第2n型炭化珪素エピタキシャル層
3 第1p+ベース領域
3a 深い第1p+ベース領域(第1領域)
3b 浅い第1p+ベース領域(第2領域)
4 第2p+ベース領域
5 濃いn型領域
5a 深く濃いn型領域
5b 浅く濃いn型領域
6 pベース層
7 n+ソース領域
8 p++コンタクト領域
9 ゲート絶縁膜
10 ゲート電極
11 層間絶縁膜
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14 ソース電極パッド
15 ドレイン電極パッド
W_sp 第1p+ベース領域3の第2p+ベース領域4よりも浅い領域の幅(第1領域の間隔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10