(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項5に記載のシステムであって、ガードリング装置の高さの調節により、本電子光学システム内の上記一通り又は複数通りのフリンジ場の分布変更及び弱化のうち少なくとも一方を引き起こすシステム。
請求項11に記載のシステムであって、ガードリング装置の電圧の調節により、本電子光学システム内の上記一通り又は複数通りのフリンジ場の分布変更及び弱化のうち少なくとも一方を引き起こすシステム。
請求項1に記載のシステムであって、検出器アセンブリが、1個又は複数個の二次電子検出器及び1個又は複数個の後方散乱電子検出器のうち少なくとも1個を備えるシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に示す本願記載の主題について詳示することにする。
【0014】
図1A〜
図4Cを全般的に参照し、本件開示に係る電子光学システム内フリンジ場補償システム及び方法について記述する。本件開示の諸実施形態が指向している電子光学システムは、検査及び/又はレビュー中にウェハエッジに現るフリンジ場(例.双極子場、四極子場等々)を補償できるものである。ある種の実施形態では、可調ガードリング(guard ring)装置を利用しフリンジ場が弱化及び/又は分布変更される。ガードリング装置の高さ及び/又は電圧を調節することで、フリンジ場補償を適切な水準に到達させうるので、ウェハエッジでの秀逸な電子ビーム撮像が可能となる。他種実施形態では、ルックアップテーブルを利用しフリンジ場が弱化及び/又は分布変更されるため、ウェハエッジ又はその付近に現るフリンジ場の影響を軽減すべく、本電子光学システムに備わる1個又は複数個の構成部材を同システムで調節することが可能である。
【0015】
図1Aに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る電子光学システム及びサンプルの一部分10に関わるフリンジ場の断面を示す。電子光学式検査及び/又はレビューシステムでは、高分解能化を達成するため
図1Aに示す如く浸漬減速型対物レンズ14が利用される。サンプル22(例.ウェハ)は、対物レンズ14の磁場中にそのサンプル22が深く浸るよう、対物レンズポールピース(極片)系のすぐそばに配置するとよい。浸漬型対物レンズ14は軸上球面収差及び色収差が少ないので高分解能を実現できることに注意されたい。他方、放出源・対物レンズ間を進行している電子のエネルギは、電子間クーロン相互作用による分解能低下を軽減するため、通例に倣い高めに設定される(例.10〜30kVの範囲内)。高エネルギ電子から衝撃を受け損傷しないようサンプル22を保護するため、そのサンプル22に対する電子のランディングエネルギ(LE)は低く設定される(例.1kV未満)。そのため、サンプル22付近の静電場は急減速場となる。
【0016】
図1Aに示す急減速電子ランディングシステムでは、接地電極12・ポールピース14間電位差又はポールピース14・サンプル22間電位差を十分に大きくすることで、低エネルギで所与抽出場(extraction field)を得るという条件を満たすことができる。サンプルのエッジ(例.ウェハのエッジ)には、
図1Aに示されている非対称な減速性造作が一因となり強いフリンジ場が形成される。このフリンジ場は、(電子)光学的には、(電子)光軸zの関数たる双極子場E(z)、四極子場Q(z)、六極子場H(z)及び八極子場O(z)として認識することができる。
【0017】
図1Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるフリンジ双極子場と光軸沿い位置との関係を、ウェハエッジからの距離複数通りについて示す。
図1Bに示すフリンジ双極子場E(z)は、光軸z沿いに変化するだけでなくエッジ距離aによっても変化している。グラフ30はフリンジ双極子場強度を示すグラフであり、サンプル112のエッジからの(XY平面内)距離複数通りについて示されている。この例ではa
1<a
2<…<a
nであり、そのことはサンプルエッジに近いとフリンジ場が強いことを表している。注記すべきことに、フリンジ四極子場Q(z)はフリンジ双極子場が呈する
図1B中のそれと同じ分布を呈する。
【0018】
フリンジ双極子場は電子ビームの偏向ブラー(deflection blur)及び位置誤差(position error)をもたらす場であり、偏向コマ(deflection coma)、像面湾曲(field curvature)、軸外非点収差(off-axis astigmatism)、伝達色収差(transfer chromatic aberration)及び歪み(distortion)に代表される軸外性能劣化(off-axis degradation of performance)を特徴としている。フリンジ四極子場は、軸外非点収差よりかなり大きいのが通例な軸上非点収差(axial astigmatism)を発生させる。更に、六極子場及び八極子場によりブラーも生じるが、双極子場及び四極子場に比べればかなり影響は小さい。
【0019】
電子的欠陥レビュー(eDR)の場合、サンプルエッジに現る双極子/四極子場により引き起こされた軸外ブラー成分及び軸上非点収差の影響で、そのシステムにより得られる画質が不十分となり欠陥を識別しにくくなる。加えて、軸外歪みによりもたらされるビーム配置誤差により、そのシステムの欠陥位置特定精度が欠陥検出不能点まで劣化してしまう。
【0020】
図1C及び
図1Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りサンプルエッジに現るフリンジ場を補償する電子光学システムの簡略模式図である。実施形態に係るシステム100は、1本又は複数本の電子ビーム103を生成する電子ビーム源101を備えている。実施形態に係るシステム100は、サンプル112をしっかり保持するサンプルステージ110を備えている。実施形態に係るシステム100は電子光学カラム109を備えている。実施形態に係るシステム100は、サンプル112に発する電子を検出する検出器アセンブリ114を備えている。
【0021】
実施形態に係る電子光学カラム109には、1本又は複数本の電子ビームのうち少なくとも一部分をサンプル112のエッジ部分上へと差し向ける一組の電子光学素子を具備させることができる。当該一組の電子光学素子には、一次電子ビーム103を集束させ、差し向け及び/又は条件調整するのに適し、本件技術分野で既知な、あらゆる電子光学素子を含めることができる。簡略化のため、
図1Aには電子光学カラムを1個だけ示している。注記するなら、この構成を以て本件開示に対する限定事項と解釈すべきではない。例えば、本システム100に複数個の電子光学カラムを具備させてもよい。電子光学カラム109を構成している一組の電子光学素子により、一次電子ビーム103のうち少なくとも一部分をサンプル112の指定部分上へと差し向けることができる。
【0022】
実施形態に係る電子光学カラム109は1個又は複数個の電子光学レンズ、例えば1個又は複数個の磁気レンズ或いは1個又は複数個の静電レンズを備えている。当該1個又は複数個の電子光学レンズには、例えば、電子ビーム源101から来る電子を集める1個又は複数個のコンデンサレンズ105を含めることができる。また例えば、それら電子光学レンズに、一次電子ビーム103をサンプル112の指定領域上へと集束させる1個又は複数個の対物レンズ104を含めることができる。当該1個又は複数個の対物レンズ104には、例えば対物レンズポールピースを具備させることができる。
【0023】
実施形態に係る電子光学カラム109はカラム接地装置102を有している。そのカラム接地装置102には、例えば、対物レンズ104のポールピースによって少なくとも部分的に囲まれた態で接地電極を具備させることができる。先に注記した通り、接地装置102・対物レンズポールピース間(並びにポールピース・サンプル112間)に大電位差を発現させうることにも注意されたい。
【0024】
他の実施形態に係り電子光学カラム109に備わる一組の電子光学素子には、1個又は複数個の電子ビーム走査素子107が含まれている。当該1個又は複数個の電子ビーム走査素子107には、例えば、1個又は複数個の電磁走査コイル又は静電偏向器であり、サンプル112の表面に対するビーム103の位置を制御するのに適するものを、含めることができる。この構成では、当該1個又は複数個の走査素子107を利用することで、指定パターンに従い電子ビーム103でサンプル112上を走査することができる。
【0025】
電子ビーム源101は、本件技術分野で既知ないずれの電子源を備えていてもよい。例えば、電子ビーム源101が1個又は複数個の電子銃等を備えていてもよい。一例としては、電子ビーム源101が1本の電子銃を備え、その電子銃で1本の電子ビーム103を発生させるようにするとよい。別例としては、電子ビーム源101が複数本の電子銃を備え、それらの電子銃で複数本の電子ビーム103を発生させるようにしてもよい。
【0026】
サンプルステージ110は、検査/レビューの分野で既知なサンプルをしっかりと保持するのに適し、本件技術分野で既知な、あらゆるタイプのサンプルステージで以て構成することができる。サンプル112は、例えば基板等、電子ビーム顕微鏡による検査/レビューに適していればどのようなサンプルでもよい。その基板の例としてはウェハ、例えばシリコンウェハがある。実施形態に係るサンプルステージ110はアクチュエータブルなステージである。一例としては、一通り又は複数通りの直線方向(例.x方向、y方向及び/又はz方向)沿いにサンプル112を選択的に並進させるのに適した1個又は複数個の並進ステージ等で以て、サンプルステージ110を構成することができる。別例としては、回動方向沿いにサンプル112を選択的に回動させるのに適した1個又は複数個の回動ステージ等で以て、サンプルステージ110を構成することができる。更に別の例としては、サンプルを直線方向沿いに選択的に並進させること及び/又は回動方向沿いに選択的に回動させることに適した並進ステージ及び回動ステージ等で以て、サンプルステージ110を構成することができる。なお、本システム100は本件技術分野で既知なあらゆる走査モードで動作させることができる。一例としては、本システム100をスワシングモードで動作させつつサンプル112の表面上を一次電子ビーム103で走査することができる。このときは、サンプルを動かしつつ本システム100により一次電子ビーム103でサンプル112上を走査するに当たり、走査方向がサンプル運動方向に対し名目上直交することとなろう。別例としては、本システム100をステップアンドスキャンモードで動作させつつサンプル112の表面上を一次電子ビーム103で走査することができる。このときは、本システム100により一次電子ビーム103でサンプル112上を走査するに当たり、名目上サンプル112を静止させつつビーム103により走査されることとなろう。
【0027】
検出器アセンブリ114は、電子式検査及び/又はレビューの分野で既知な、あらゆる検出器アセンブリ又は検出器で以て構成することができる。例えば、サンプル112から来る二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するのに適した、あらゆるカラム内又はカラム外検出器アセンブリで以て検出器アセンブリ114を構成することができる。
図1Aに示す実施形態のように、カラム外エバハートソーンリー検出器(又はその他の種類のシンチレータ式検出器)を用い二次電子を集め撮像するとよい。別の実施形態に従い、カラム内マイクロチャネルプレート型検出器(図示せず)を用い電子を集め撮像してもよい。更に別の実施形態に従い、PIN又はp−n接合型検出器例えばダイオード又はダイオードアレイを用い電子を集め撮像してもよい。別の実施形態に従い、1個又は複数個のアバランシェフォトダイオード(APD)を用い電子を集め撮像してもよい。
【0028】
他の実施形態に係るシステム100は、サンプル112付近に位置するサンプル位置基準装置108を備えている。例えば、
図1C及び
図1Dに示す如くサンプル112のエッジ部分の外側にミラープレートを配置することで、そのサンプル112の位置を計測するための基準面を提供することができる。一例に係る基準装置108は、サンプル112のエッジを囲むリング状のミラープレート108で以て構成されるものであり、そのリング状ミラープレートとサンプル112のエッジとの間の距離は、
図1Dに示すように幾ばくかのサンプル・基準間距離d
refによって与えられる。
【0029】
他の実施形態に係るシステム100は、一通り又は複数通りのフリンジ場を補償すべくサンプル112のエッジとサンプル位置基準装置108との間に配置されたガードリング装置106を備えている。他の実施形態に係るガードリング装置106は、それに備わる一通り又は複数通りの特性が可調なものである。例えば、本願中で更に詳細に議論する通り、ガードリング装置106の高さ(例.光軸沿い位置)及び/又は電圧を調節することで、一通り又は複数通りのフリンジ場(例.
図1A中に示す力線)の影響を補償することができる。その際には、ガードリング装置106の高さ調節及び/又は電圧調節の作用で、当該一通り又は複数通りのフリンジ場が分布変更及び弱化されることとなろう。当該一通り又は複数通りのフリンジ場の弱化の作用で、さもなくば当該一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされたであろう一通り又は複数通りの影響、例えばビーム位置オフセット誤差、焦点ぼけ(defocus)及び非点収差を補正することができる。
【0030】
実施形態に係るガードリング装置106は導電リング構造であり、サンプル112のエッジを囲んでいる。ガードリング装置106には、例えば、
図1Dに示す段差付構造を具備させることができる。
図1Dに示す構造は単に例証目的で提示されたものであり、本件開示の技術的範囲がこれに限定されるわけではない。ご認識頂けるように、システム100の脈絡に従うのであればどのようなガード装置を構成してもよい。例えば、ガードリング装置106が段差を全く有していなくても、或いは3個以上の段差を有していてもよい。更に、ガードリング装置106が単一のリング構造を有していても、或いはその組合せにより所望の段差構造が形成される複数個のリング構造を有していてもよい。更に、ガードリング装置106は
図1Dに示した平坦な段差付構造に限定されない。例えば、ガードリング装置106がどのような幾何形状のエッジを有していてもよく、例えば丸み付のエッジを有していてもよい。そうした丸み付の面は、一通り又は複数通りのフリンジ場の最適補償に役立ちうる。
【0031】
図1Eに示す実施形態では、ガードリング装置106が途切れのないリング構造を有していて、そのリング構造によってサンプル112が囲まれている。
図1Fに示す別の実施形態では、ガードリング装置106が一組の下位構造117を有していて、それらの協働で形成される略円形の構造によりサンプル112が囲まれている。注記すべきことに、密配置された複数個の下位構造117を使用し、サンプル112のエッジとガードリング装置との間の間隙距離、即ち
図1D中のd
ringを調節することが可能である。図示しないが、別の実施形態に従い、グリッド又はメッシュ構造を呈するようガードリング装置106を形成してもよい。
【0032】
任意に選ばれた素材でガードリング装置106を形成できることに注意すべきである。ガードリング装置106を導電性にする場合は、本件技術分野で既知な導電素材又は素材群のうちいずれかでガードリング装置106を形成すればよい。一例としては、一種類又は複数種類の金属又は合金でガードリング装置106を形成することができる。例えば金、銅、銀、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等からガードリング装置106を形成することができる。別例としては、一種類又は複数種類の非金属素材を一種類又は複数種類の金属又は合金で被覆したものでガードリング装置106を形成することができる。
【0033】
図1Gは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、サンプルエッジに現るフリンジ場を補償するため高さ可調型ガードリング装置106が装備されている電子光学システム100の簡略模式図である。
図1Gに示すガードリング装置106は、サンプル112のエッジに現るフリンジ場を、本システム100の光軸に沿いガードリング装置106の高さを調節することで補償する。
【0034】
実施形態に係るシステム100は、ガードリング装置106に機械結合された1個又は複数個のアクチュエータ装置110を備えている。更に、本システム100には、アクチュエータ装置110に可通信結合されると共にアクチュエータ装置110に指令するよう構成されていて、その指令によりガードリング装置106の位置を制御するコントローラ112を、具備させることができる。例えば、コントローラ112がアクチュエータ装置110に指令することで、ガードリング装置106の光軸沿い位置を調節することができる。こうして、サンプル112を基準としたガードリング装置106の高さd
zを本システム100により制御することができる。
【0035】
注記すべきことに、急減速型で非対称なシステム100のサンプル112・サンプル基準108間領域内にガードリング装置106を配置することで、サンプル112のエッジ又はその付近に現る一通り又は複数通りのフリンジ場を、大きく弱化及び/又は分布変更させることができる。一通り又は複数通りのフリンジ場の弱化及び/又は分布変更の作用により、さもなくば当該一通り又は複数通りのフリンジ場によって引き起こされていたであろう一通り又は複数通りの影響、例えばビーム位置オフセット誤差、焦点ぼけ及び非点収差が補正される。
【0036】
注記すべきことに、フリンジ場により引き起こされた電子ビーム103の偏向の距離Dを補償することができ、また軸外ブラー成分及び歪みを補正することができる。注記すべきことに、それら様々なブラー成分及び歪みは偏向距離に対し別様の依存性を呈する。例えば、軸外コマブラー及び伝達色ブラー(transfer chromatic blur)はD、像面湾曲及び非点収差はD
2、歪みはD
3に対し、直線的な関係を呈する。
【0037】
図1H及び
図1Iは、本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるフリンジ双極子場と光軸(即ちz軸)沿い位置との関係を諸使用状況について示すグラフである。例えば、グラフ120にはガードリングがシステム100内に存在しない制御状況が示されている。この状況では双極子場強度が最高になる。高さd
zに高さd
1のガードリング装置106を導入する、ということは、ガードリングがない状況に比べ、ガードリング装置106を配置することが優れている(但し最適でないかもしれない)、ということなのである。しかも高さを最適高さd
optにすることが可能である。最適高さとは、システム内の指定位置(例.z軸沿い指定位置)に現る一通り又は複数通りのフリンジ場(例.フリンジ双極子場)が最弱になる高さのことである。フリンジ場補償中には、一通り又は複数通りのフリンジ場が分布変更され負から正へと転ずるので、サンプル112における偏向を解消(或いは少なくとも低減)することができる。双極子フリンジ場を負から正へと転ずる手法が、最適高さd
optに係る曲線の態で
図1Iに示されている。加えて、その四極子場Q(z)の振幅が大きく低下するため、フリンジ四極子場に起因する軸上非点収差を(無視可能点まで)大きく低減することができる。
【0038】
注記すべきことに、ガードリング装置106の高さd
zを調節し最適高さd
optにすることが可能である。それには、一通り又は複数通りのフリンジ場が最弱になるまで、或いは所定の許容レベル未満に弱まるまで、ガードリング装置106の高さをコントローラ112により調節していけばよい。或いは、ガードリング装置106の最適高さをシステム100の作動に先立ち算出又は計測しておき、その場所にガードリング装置106を配置してからそのシステム100を作動させてもよい。
【0039】
図1Jは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、サンプルエッジに現るフリンジ場を補償するため電圧可調型ガードリング装置106が装備されている電子光学システム100の簡略模式図である。
図1Jに示すガードリング装置106では、サンプルエッジに現るフリンジ場が、そのガードリング装置106の電圧を調節することで補償される。
【0040】
実施形態に係るシステム100は、ガードリング装置106に電気的に結合された電圧制御回路140を有している。更に、その電圧制御回路140にコントローラ112を可通信結合させることができ、また電圧制御回路140に指令し指定電圧V
ringをガードリング装置106に印加させるようそのコントローラ112を構成することができる。注記すべきことに、ガードリング装置106に対するV
ringの印加によってフリンジ場をz軸沿いで分布変更させることができる。
【0041】
ビームエネルギ、ビームランディングエネルギ、並びにサンプル表面上の抽出場により特徴付けられる動作手法下では、注記すべきことに、ガードリング電圧V
ringを調節することで、フリンジ場を分布変更させること及び/又は所望レベルまで弱化させることができる。更に注記すべきことに、電圧を最適電圧V
ring−optにすることで、既述のガードリング装置高さ調節に類する態で、フリンジ場の影響を最小化すること並びにフリンジ場を負から正へと変化させることができる。
【0042】
注記すべきことに、ガードリング装置106に作用する電圧V
ringを調節し最適電圧V
ring−optにすることができる。それには、一通り又は複数通りのフリンジ場が最弱になるまで、或いは所定の許容レベル未満に弱まるまで、ガードリング装置106に作用する電圧をコントローラ112により調節していけばよい。或いは、ガードリング装置106の最適電圧をシステム100の作動に先立ち算出又は計測しておき、ガードリング装置106をその電圧まで励振してからそのシステム100を作動させてもよい。
【0043】
図1K及び
図1Lは、本件開示の1個又は複数個の実施形態におけるビーム位置オフセット140及び軸上非点収差150とガードリング装置電圧との関係を、複数通りの使用状況について示すグラフである。
図1Kには、ガードリング電圧V
ringと関連付けて計測されたビーム位置オフセットを示す曲線142、144、146及び148によって、四通りの使用状況が描かれている。ビーム位置オフセット計測値に関しては、使用状況別最適V
ring値がそれぞれ電圧V1、V2、V3及びV4で示されている。この場合、ビーム軸外ブラー、ビーム軸上非点収差及びビーム位置オフセットをそれら最適ガードリング電圧にて遍く最小化することができる。注記すべきことに、ビーム位置オフセット補正上の最適電圧V1、V2、V3及びV4は、
図1L中に曲線152、154、156及び158で示す四通りの使用状況において軸上非点収差の補正/最小化上必要なそれと同じである。
【0044】
なお、
図1G〜
図1Lでは明瞭化のためガードリング装置の高さ調節と電圧調節とを切り分けて示したが、これは本件開示の技術的範囲に対する限定事項ではない。寧ろ、システム100の働きでフリンジ場を(負から正へと)分布変更させうること、並びにガードリング装置106の高さ及びそのガードリング装置106に作用する電圧のいずれを調節することでもフリンジ場を補償しうることを認識されたい。その際、本システム100では、まずガードリング装置106の高さを設定し、その後その高さにおける最適
高さを見いだす、という要領で、フリンジ場を補償することが可能である。或いは、まずガードリング装置106に作用する電圧を設定し、その後その電圧における最適
電圧を見いだす、という要領で、本システム100によりフリンジ場を補償することもできる。こうすることで、一通り又は複数通りのフリンジ場の影響、例えばビーム位置オフセット、焦点ぼけ及び非点収差を補正(或いは少なくとも低減)することができる。更に、高さ及び電圧の同時調節により、ガードリング装置106の電圧不適正化及び/又は高さ不適正化のリスクを軽減し、本システム100の様々な使用状況、とりわけそのパラメタ例えばビームエネルギ、ランディングエネルギ及び抽出場に大きな違いが現れうる諸状況全般に亘る柔軟性を、高めることができる。例えば、最適電圧V
ring−optにするのに必要な電圧を下げアーク発生のリスクを排するためには、ガードリング装置を調節して指定高さにし、そこで小さめの近隣電極間電位差で以てガードリング装置電圧を印加すればよい。
【0045】
図2Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、サンプルエッジに現るフリンジ場をルックアップテーブルを利用し補償するシステム100の簡略模式図である。実施形態に係るシステム100は、本電子光学システム100内の一通り又は複数通りのフリンジ場を補償するためのルックアップテーブルを生成するコントローラ202を有している。この実施形態では、コントローラ202が本電子光学システム100の一部分又は複数部分に対し指令することで、一通り又は複数通りのフリンジ場に起因する(電子)光学的効果を、コントローラ202により生成されたルックアップテーブルを用い補正することができる。
【0046】
そのルックアップテーブルは、例えば、電子ビーム103の位置的誤差、その電子ビームにおける焦点ぼけ、その電子ビームにおける非点収差、及び/又は、ウェハ全体(極角で言えばθ=0〜360°の範囲内)に亘るフリンジ場の影響を補正しうるよう、構成することができる。実施形態に係るコントローラ202は、電子ビーム源101、電子光学カラム109の一部分又は複数部分、ステージ110及び/又は電圧制御回路206に可通信結合されている。一例としては、1個又は複数個の集束素子(例.レンズ)にコントローラ202を可通信結合し然るべく構成することで、その又はそれらの集束素子を制御し電子ビーム103の焦点ぼけを補正することができる。別例としては、サンプルと電気的に通信する電圧制御回路206にコントローラ202を可通信結合し然るべく構成することで、その電圧制御回路206を制御することができる。例えば、コントローラ202により電圧制御回路を制御し、サンプル112に作用するバイアスをそれにより調節することで、電子ビーム103における焦点ぼけを補償することができる。別例としては、電子光学カラム109に備わるスティグメータ204にコントローラ202を可通信結合し然るべく構成することで、そのスティグメータ204を制御し電子ビーム103における軸上非点収差を補償することができる。別例としては、サンプルステージ110にコントローラ202を可通信結合し座標又は動き補正を実行することで、一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた位置オフセットを補償することができる。別例としては、電子源にコントローラ202を可通信結合し然るべく構成することで、その電子源を制御すること、ひいては一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた位置オフセットを補償することができる。
【0047】
図2Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、サンプルエッジに現るフリンジ場をルックアップテーブルを利用し補償する方法210を示す。ステップ212では、1本又は複数本の電子ビームに備わりサンプルのエッジ部分に現る一通り又は複数通りの特性を代表する、1個又は複数個のパラメタを受け取る。ステップ214では、一通り又は複数通りの電子光学システム内フリンジ場を補償するためのルックアップテーブルを生成する。ステップ216では、生成したルックアップテーブルに基づき一通り又は複数通りの電子光学システム特性を調節する。
【0048】
例えば、ユーザ又は他システムによって、特定の検査及び/又はレビュー計測プロセスに係り指定使用状況に関する情報が入力されることがある。この情報(例.サンプル及び電子光学システムの幾何学的構成、ビームパラメタ等)に基づき、コントローラ202によって、一通り又は複数通りの電子光学システム100内フリンジ場を補償するためのルックアップテーブルを生成することができる。その上で、生成したルックアップテーブルに基づき、コントローラ202によって、本電子光学システム100に備わる一通り又は複数通りの特性を調節することができる。ルックアップテーブルの生成並びに本電子光学システムの一部分又は複数部分の調節に関わる詳細事項について、以下、より詳細に説明する。
【0049】
ご認識頂けるように、一通り又は複数通りのフリンジ場例えば双極子場及び/又は四極子場の挙動は指数的であり、またそれらの場に関わる光学的効果(例.双極子場偏向による電子ビーム位置オフセット、像面湾曲による焦点ぼけ並びに四極子場による非点収差)の挙動も指数的である。
【0050】
一例を挙げると、フリンジ双極子場E(z,a)(
図1B参照)は、P及びTを定数とし次式
∫E(z,a)dz=P*exp(T*a) (1)
に示す通り、サンプルエッジまでの距離aに対し指数則に従う。E(z,a)のz軸沿い積分値はそのエッジ距離aにおける総偏向強度に相当する。同様に、フリンジ四極子場Q(z,a)も
∫Q(z,a)dz=P*exp(T*a) (2)
なる指数的関係に従い、Q(z,a)のz軸沿い積分値はそのエッジ距離aにおける総非点収差強度に相当する。
【0051】
フリンジ双極子場E(z,a)は一通り又は複数通りの軸外ブラー成分(例.コマ、像面湾曲、非点収差、伝達色収差)及び歪み(例.ビーム位置オフセット誤差)を発生させる。更に、フリンジ四極子場Q(z,a)は軸上非点収差を発生させる。判明している通り、それらフリンジ効果全てがまた次式
[軸外ブラー,歪み,軸上非点収差]=P*exp(T*a) (3)
の如く指数的挙動を呈する。
【0052】
判明している通り、サンプル112のエッジにて生じるフリンジ場効果のなかでは、双極子フリンジ場により引き起こされる歪み及び像面湾曲並びにフリンジ四極子場による軸上非点収差が最重要である。電子ビームによる欠陥レビューの場合、歪みによりビーム位置合わせ誤差が生じて欠陥位置特定の正確性が低下する一方、像面湾曲及び軸上非点収差により画質が損なわれる。
【0053】
図2Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、サンプルエッジに現るフリンジ場をルックアップテーブルを利用し補償する際に用いる座標系の概念
図220である。
【0054】
XY座標系は理想基準座標系を表しており、電子光学システム100の性能がフリンジ場の影響を受けない系である。xy座標系は実基準座標系を表しており、全電子光学システムが一通り又は複数通りのフリンジ場の影響を強く受ける系である。例えば電子ビーム103を移動させたい先たる理想位置が位置P(X,Y)である場合、フリンジ双極子場による偏向が原因となり、実際の移動先たる実位置は位置Q(x,y)となる。結局、偏向歪みによる電子ビーム位置オフセット(dx,dy)、像面湾曲効果による電子ビーム焦点ぼけ距離dz、並びにフリンジ四極子場による非点収差ブラーd
stigが発生する。再度の注記となるが、これらフリンジ場効果はいずれも指数則
[(dx,dy),dz,d
stig]=P*exp(−T*a)=P*exp[−T*(W−R)] (4)
に従う。
【0055】
係数(P,T)は電子光学システム使用コンディション、例えばビームエネルギ(BE)、電子ビームランディングエネルギ(LE)及びサンプル表面上の抽出場(EF)の関数である。この関係を表すと次式
(P,T)=f(BE,LE,xF) (5)
となる。
【0056】
実施形態に係るコントローラ202は、(例.コンピュータシミュレーションを媒介にして)(P,T)値のルックアップテーブルを生成した後、既述の通り本電子光学システム100の一部分又は複数部分の調節を指令することで、フリンジ場効果[(dx,dy),dz,d
stig]を補正する。コントローラ202には、例えば、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを、具備させることができる。指定されたシミュレーションを実行することで(P,T)値のルックアップテーブルを生成するよう、当該一組のプログラム命令をプログラミングすればよい。その上で、本電子光学システムの一部分又は複数部分の調節であり、フリンジ場効果[(dx,dy),dz,d
stig]を補正するのに適するそれを、当該一組のプログラム命令に従い1個又は複数個のプロセッサに決定させる。そして、それらの調節をコントローラ202が自動実行するか、或いはユーザインタフェースを介しユーザから確認を得た上でコントローラ202が実行すればよい。
【0057】
ビーム位置オフセット補正については、フリンジ場の影響を受けていない理想的な電子ビーム位置座標、即ち
図2C中のP(X,Y)が
X=(W−a)cos(θ) (6−1)
Y=(W−a)sin(θ) (6−2)
によって与えられる。
【0058】
この実施形態では、フリンジ場の影響を受けた実際の電子ビーム位置座標、即ち
図2C中のQ(x,y)が
x=X+dx (7−1)
y=Y+dy (7−2)
により与えられ、またこの式中のdx及びdyが
dx=dx
0cos(θ)−dy
0sin(θ) (8−1)
dy=dx
0sin(θ)+dy
0cos(θ) (8−2)
で以て表される。
【0059】
注記すべきことに、(dx
0,dy
0)は、ある指定された定数値極角θ例えばθ=0°での実ビーム位置を表している。加えて、dx
0,dy
0はエッジ距離aの指数関数
(dx
0,dy
0)=P*exp(−T*a) (9)
である。
【0060】
更に注記すべきことに、係数P,Tは上掲の等式(5)に従いルックアップテーブルにて提供される。等式(8)中の電子ビーム位置オフセット(dx,dy)は様々な手法で補正することができる。例えば、サンプル112を搬送するステージ110の運動マッピング/補正を通じ電子ビームオフセットを補正することができる。
【0061】
ビーム焦点ぼけ補正については、注記すべきことに、フリンジ双極子場による像面湾曲に起因する電子ビーム焦点ぼけdz(θ,a)が極角θから独立であるので、どういった所与極角でもdz(θ,a)=dz(a)となる。
【0062】
更に、焦点ぼけdz(a)は等式(4)中の指数的関係に従う。注記すべきことに、dz(a)は様々な手法で補正することができる。一例としては、本電子光学システム100の電子光学カラム109内の1個又は複数個の集束素子を調節することで、dz(a)を補正することができる。別例としては、電圧制御回路206を介しサンプルバイアス電圧を調節することで、dz(a)を
dz(a)→dWB(a)=P*exp(−T*a) (10)
の如く補正することができる。
【0063】
ここでも、係数(P,T)は、コントローラ202により生成され(メモリ内に格納され)たルックアップテーブル内に格納することができる。
【0064】
軸上非点収差補正については、注記すべきことに、サンプルエッジに現るフリンジ四極子場により引き起こされた軸上非点収差を、スティグメータの働きで補正することができる。
図2Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、フリンジ四極子場により引き起こされた軸上非点収差を補正するための補正電圧を印加する、静電スティグメータ230の簡略模式図である。
【0065】
スティグメータ230は様々な形態を採ることができ、それらでは静電場及び/又は磁場が利用され又は多極プレート(コイル)が構成に用いられる。
図2Dに示す実施形態に係るスティグメータ230は、非点収差補正電圧stigV
a及びstigV
bが印加されるプレートを8枚備えている。注記すべきことに、それら補正電圧stigV
a及びstigV
bは次式
stigV
a(a,θ)=V
a(a)*cos(2θ+π/4) (11−1)
stigV
b(a,θ)=V
b(a)*sin(2θ+π/4) (11−2)
の如く極角θ並びにサンプルエッジまでの距離aの関数とすることができ、その式中の電圧V
a(a)及びV
b(a)については、極角から独立であるため、好き好きな極角例えば
図2C中のθ=0°にて定めることができる。更に注記すべきことに、電圧V
a(a)及びV
b(a)についても
[V
a(a),V
b(a)]=P*exp(−T*a) (12)
の如く指数的に挙動すること、またその係数(P,T)が上述の如く生成されたルックアップテーブルにて与えられることが判明している。
【0066】
翻って
図2Aのシステム100では、本件開示の1個又は複数個の付加的実施形態に従い、サンプルエッジ座標の正確性及び無非点収差を補正すべく予測校正技術を実行することができる。実施形態に係るコントローラ202により、実験データを取得しそのサンプル位置情報(例.径方向位置及び角度位置)を座標誤差に関連付ければよい。その上で、コントローラ202がその関連付けを利用し座標補正用のルックアップテーブルを生成すればよい。
【0067】
図3は本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る概念
図300であり、径方向位置及び角度位置並びにそれに対応する径方向オフセット及び角度オフセットの間の関連付け、特にフリンジ場により引き起こされサンプルエッジに現れる位置不正確性及び無非点収差を補正するための関連付けを示している。再度の注記となるが、電子光学システム100内フリンジ場は電子ビーム103の逸脱/屈曲を引き起こしかねず、ひいては座標の正確性及び/又は画像の無非点収差特にサンプル112のエッジでのそれが貧弱になりかねない。これらの効果もまた、ウェハエッジにおける座標正確性や画質を貧弱化させ、関連する電子光学ツールの感度に影響する。
【0068】
図4Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、径方向オフセットと複数個のツール及び複数枚のウェハから得られた径方向位置との関係を示すグラフ400である。
図4Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、角度オフセットと複数個のツール及び複数枚のウェハから得られた角度位置との関係を示すグラフ410である。実施形態に係るコントローラ202によれば、これらの関係及びそれに類する関係を用いルックアップテーブルを生成すること、特に本電子光学システム100の座標系に対し補正因数を提供することとなるそれを生成することができる。
【0069】
図4Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、電子光学システム内でサンプルエッジ又はその付近に一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた位置オフセットを補正する方法420を示す処理フロー図である。
【0070】
ステップ422では一組の計測座標位置が計測される。例えば、ある範囲内の径方向位置値に亘り電子ビーム103の径方向位置が一組計測される。また例えば、ある範囲内の角度位置値に亘り電子ビーム103の角度位置が一組計測される。
【0071】
ステップ424では一組の位置オフセット値が計測される。例えば、一組の径方向位置オフセット値が電子ビーム103に関し計測される。一例としては、ステップ422にて計測された電子ビーム103の径方向位置毎に径方向位置オフセット値が計測される。また例えば、一組の角度位置オフセット値がその電子ビーム103に関し計測される。一例としては、ステップ422にて計測された電子ビーム103の角度位置毎に角度位置オフセット値が計測される。
【0072】
ステップ426では座標位置及びオフセット値が関連付けされる。例えば、
図4Aに示すように、径方向座標位置と、それに対応する一組の径方向位置オフセット値と、の間の関係を特定することができる。また例えば、
図4Bに示すように、角度座標位置と、それに対応する一組の角度位置オフセット値と、の間の関係を特定することができる。
【0073】
ステップ428では、電子ビーム103の位置に対する補正因数をもたらすルックアップテーブルを生成することができる。例えば、ステップ426にて特定された関係に基づき補正因数提供用のルックアップテーブル又は関係を確立し、ビーム位置に現るビームオフセットであり上述の如くビーム位置の関数たるそれを補償するのに役立てることができる。
【0074】
上掲の記述は本実施形態の実現形態のうち位置オフセット補正の文脈に沿うものに焦点を置いているが、ご認識頂けるように、この手法は画像の無非点収差に係る補正にも拡張することができる。
【0075】
コントローラ112及び/又はコントローラ202に1個又は複数個のプロセッサ(図示せず)を具備させることや、プログラム命令を実行するようそのプロセッサを構成することや、それらプログラム命令を、本願記載の1個又は複数個のステップを当該1個又は複数個のプロセッサに実行させるのに適した命令とすることができる。実施形態に係るコントローラ112及び/又は202に備わる1個又は複数個のプロセッサを記憶媒体(例.非一時的格納媒体)と通信させることや、その記憶媒体にプログラム命令を組み込むことや、それらプログラム命令を、コントローラ112及び/又はコントローラ202に備わる1個又は複数個のプロセッサに本願の随所に記載の諸ステップを実行させるよう構成することができる。ご認識頂くべきことに、本願の随所に記載されている様々な処理ステップは、単一の情報処理システムに実行させてもよいし複数個の情報処理システムに実行させてもよい。コントローラ112及び/又はコントローラ202は、例えば、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他、本件技術分野で既知なあらゆる装置で以て構成することができる。総じて、語“コンピュータシステム”は、1個又は複数個のプロセッサ又は処理素子を有する装置であり記憶媒体から得た命令を実行するもの全てが包括されるよう、広義に定義することができる。更に、本システム100を構成する様々なサブシステムのなかには、コンピュータシステムや論理素子であり、上述したステップのうち少なくとも一部分を実行するのに適したものを、含めることができる。従って、上掲の記述は、本件開示に対する限定事項としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0076】
本願記載の方法は、皆、その方法実施形態を構成する1個又は複数個のステップの結果を格納媒体に格納するステップを、有するものとすることができる。それら結果が本願記載のどの実行結果を含んでいてもよいし、本件技術分野で既知ないずれの要領でその結果が格納されるのでもよい。格納媒体には、本件技術分野で既知なあらゆる格納媒体を、或いは本件技術分野で既知で適性のある他のあらゆる格納媒体を含めることができる。結果格納後は、その格納媒体内の結果にアクセスすること、並びにそれを本願記載の方法又はシステム実施形態のうちいずれかで用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、他のソフトウェアモジュール、方法又はシステムで用いること等々ができる。更に、それら結果の格納は、「恒久的」なもの、「半恒久的」なもの、一時的なもの、或いは一定期間に亘るもののいずれでもよい。例えば、格納媒体をランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、結果がその格納媒体内で必ずしも永遠には保持されなくてもかまわない。
【0077】
いわゆる当業者にはご認識頂けるように、現在の技術水準は、諸態様のシステムのハードウェア的実現形態とソフトウェア的実現形態との間にほとんど違いが残らない点まで進歩しているし、ハードウェアを用いるのかそれともソフトウェアを用いるのかは、一般に(但しある種の状況下ではハードウェア・ソフトウェア間選択が重大になるので常にではない)コスト対効率のトレードオフを反映する設計的選択事項となっている。いわゆる当業者にはご認識頂けるように、本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他の技術を実行可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかは当該プロセス及び/又はシステム及び/又はその他の技術が利用される状況によって変わるであろう。例えば、速度及び正確性が肝要であると実施者が判断している場合、その実施者は主としてハードウェア的及び/又はファームウェア的な手段を選択するであろうし、そうではなく柔軟性が肝要である場合は、実施者は主としてソフトウェア的な実現形態を選択するであろうし、そのいずれでもない場合は、実施者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択するであろう。このように、本願記載のプロセス及び/又は装置及び/又はその他の技術を実行・実現可能な潜在的手段が幾通りかあるなか、いずれかのものが他のものに比べ本質的に優れているわけではなく、どの手段を利用すべきかは、その手段が重用される状況や実施者の具体的懸念といった、変転しうる事項によって左右される選択的事項である。いわゆる当業者にはご認識頂けるように、諸実現形態の光学的諸態様では、通常、光学指向のハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアが採用されよう。
【0078】
いわゆる当業者にはご理解頂けるように、本願中で説明した形式で装置及び/又はプロセスを記述した上で、技術的手法を用いデータ処理システム内にそれら記述された装置及び/又はプロセスを統合することが、本件技術分野では常識である。即ち、本願記載の装置及び/又はプロセスの少なくとも一部分を、相応量の実験を通じデータ処理システム内に統合することができる。いわゆる当業者にはご理解頂けるように、通常のデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、動画表示装置、メモリ例えば揮発性メモリ及び不揮発性メモリ、プロセッサ例えばマイクロプロセッサ及びディジタル信号プロセッサ、情報処理エンティティ例えばオペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインタフェース及びアプリケーションプログラム、1個又は複数個のインタラクティブデバイス例えばタッチパッド又はスクリーン、及び/又は、フィードバックループ及び制御モータ(例.位置及び/又は速度感知用のフィードバックや諸構成要素及び/又は諸量を移動及び/又は調節するための用制御モータ)を有する制御システムのうち1個又は複数個を有している。通常のデータ処理システムは、データ処理/通信及び/又はネットワーク情報処理/通信システムによく見られるそれをはじめ、あらゆる適切な市販部材を利用し実現することができる。
【0079】
信ずるところによれば、本件開示及びそれに付随する利点の多くが上掲の記述によって理解されるであろうし、明らかな通り、開示されている主題から離隔することなく又はその主要な長所全てを犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施すことができる。記載されている形態は単なる説明用のそれであり、後掲の特許請求の範囲の意図は、それら改変を包括及び包含することにある。
本件開示は、以下の態様を含む。
(1)1本又は複数本の電子ビームを生成するよう構成された電子ビーム源と、
サンプルをしっかり保持するよう構成されたサンプルステージと、
上記1本又は複数本の電子ビームのうち少なくとも一部分をサンプルのエッジ部分上へと差し向けるよう構成された一組の電子光学素子を有する電子光学カラムと、
サンプルの表面に発する電子を検出するよう構成された検出器アセンブリと、
電子ビーム源、電子光学カラムに備わる一組の電子光学素子並びにステージのうち少なくとも1個の一部分又は複数部分に可通信結合されたコントローラと、
を備え、コントローラが、
サンプルのエッジ部分における上記1本又は複数本の電子ビームの一通り又は複数通りの特性を代表する1個又は複数個のパラメタを受け取るよう、
本電子光学システム内の一通り又は複数通りのフリンジ場を補償するためのルックアップテーブルを生成するよう、且つ
生成したルックアップテーブルに基づき本電子光学システムの一通り又は複数通りの特性を調節するよう、
構成されている電子光学システム。
(2)前記(1)に記載のシステムであって、コントローラが電子光学カラムのスティグメータに可通信結合されており、上記一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた軸上非点収差を、そのスティグメータを制御することで補償するよう、そのコントローラが構成されているシステム。
(3)前記(1)に記載のシステムであって、コントローラが電子光学カラムに備わる1個又は複数個の集束素子に可通信結合されており、上記一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた上記1本又は複数本の電子ビームの焦点ぼけを、当該1個又は複数個の集束素子を制御することで補償するよう、そのコントローラが構成されているシステム。
(4)前記(1)に記載のシステムであって、コントローラが、サンプルと電気的に通信する電圧制御回路に可通信結合されており、上記一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた上記1本又は複数本の電子ビームの焦点ぼけを、その電圧制御回路を制御しサンプルに対するバイアスを調節することで補償するよう、そのコントローラが構成されているシステム。
(5)前記(1)に記載のシステムであって、上記一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた位置オフセットを、上記電子ビーム源を制御することで補償するよう、コントローラが構成されているシステム。
(6)前記(1)に記載のシステムであって、上記一通り又は複数通りのフリンジ場により引き起こされた位置オフセットを、ステージを制御することで補償するよう、コントローラが構成されているシステム。