【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年1月31日に、川添徹也、松嶋道也、福本信次、および藤本公三が、第23回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウム(Mate2017)論文集、第181〜186頁にて、川添徹也、松嶋道也、福本信次、藤本公三、外薗洋昭、高橋良和、西村芳孝、福田恭平、および浅井竜彦が発明した温度場・応力場を制御可能な3点曲げ接合体強度試験について公開した。平成29年1月31日に、川添徹也、松嶋道也、福本信次、および藤本公三が、第23回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウム(Mate2017)、パシフィコ横浜 会議センターにて、川添徹也、松嶋道也、福本信次、藤本公三、外薗洋昭、高橋良和、西村芳孝、福田恭平、および浅井竜彦が発明した温度場・応力場を制御可能な3点曲げ接合体強度試験について公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定段階において、前記信頼性試験における前記接合材料の1以上の縁部の変形に応じた変化量を機械的に与える前記機械的負荷を決定する請求項1から3のいずれか一項に記載の試験方法。
繰り返し曲げられた前記試験サンプルにおける接合された構造部の状態に基づいて、前記評価対象物の前記接合された構造部の信頼性を評価する評価段階を更に備える請求項1から12のいずれか一項に記載の試験方法。
前記評価段階において、複数温度条件のヒートサイクル試験のそれぞれに対応して、前記機械的負荷を決定することおよび前記繰り返し変形させることを行った結果に基づいて、ヒートサイクル寿命曲線を推定する
請求項13に記載の試験方法。
前記変形に応じた変化量として、前記評価対象物および前記試験サンプルの予め定められた範囲内における、応力またはひずみの一次元分布、二次元分布、または三次元分布を用いる請求項5から7、16、および17のいずれか一項に記載の試験方法。
前記試験段階は、複数の前記試験サンプルのそれぞれに対して、前記サンプル基体に加える荷重、前記サンプル基体の面内に決定された荷重を与える力点と支点との間の距離、前記サンプル基体の厚み、前記サンプル被接合体の厚み、前記サンプル接合材料により接合された構造部の厚み、および前記サンプル被接合体のサイズのうち少なくとも1つが異なる前記試験サンプルを用いた機械的負荷を与える複数の試験を行う
請求項15から18のいずれか一項に記載の試験方法。
前記変形に応じた変化量として、前記評価対象物および前記試験サンプルの予め定められた範囲内における、応力またはひずみの一次元分布、二次元分布、または三次元分布を用いる請求項26または27に記載の評価方法。
前記取得段階は、前記複数の試験サンプルのそれぞれに対して、前記サンプル基体に加える荷重、前記サンプル基体の面内に決定された荷重を与える力点と支点との間の距離、前記サンプル基体の厚み、前記サンプル被接合体の厚み、前記サンプル接合材料により接合された構造部の厚み、および前記サンプル被接合体のサイズのうち少なくとも1つが異なる機械的負荷を与えた前記複数の試験の試験結果を取得する
請求項25から28のいずれか一項に記載の評価方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、H/C試験では、個々のヒートサイクルにおいて高温度及び低温度をそれぞれ約40分の保持時間の間、保持するため、ヒートサイクルを、1サイクルを約2時間で数1000サイクル又はそれ以上繰り返すことにより、例えば1年もの長い期間をかけて半導体モジュールを試験する。試験によりモジュールは製品規格を満足しないと評価された場合には、モジュールを設計変更して再度試験することとなる。それにより製品開発が著しく遅延することとなる。
【0005】
また、従来、Coffin−Manson則に従って、半導体モジュールに使用する接合材と同一材料からなるロッド状のバルク材に対して引張及び圧縮の疲労試験を行い、その結果を利用してヒートサイクルに対する半導体モジュールの信頼性を評価することがある。しかし、この手法は、引張及び圧縮によりバルク材に加わる応力はヒートサイクルにより接合材に加わる応力と振る舞いが異なるため、半導体モジュールの信頼性を評価するには必ずしも適当ではない。実際、信頼性を過少に評価する傾向にある。
【0006】
従って、半導体モジュールの信頼性をその設計の詳細によらず少ない因子のみで評価できるようにモジュールをモデル化し、それらの少ない因子のみによりヒートサイクルにより半導体モジュールに加わる応力を再現することで、様々な構成の半導体モジュールの信頼性を統一的に且つ短時間で評価することができる試験方法が望まれる。
【0007】
半導体モジュールの信頼性試験以外のあらゆる分野においても、基体に接合材料を接合した構造部を有する対象物を直接曲げ試験を行う、またはヒートサイクル試験等により間接的に応力を加えることによって信頼性を試験する場合がある。このような任意の構造部の信頼性を短時間で評価することもまた望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(項目1)
試験方法は、信頼性試験において基体に接合材料を接合した評価対象物に生じる変形に応じた変化を評価対象物に生じさせる機械的負荷を決定する決定段階を備えてよい。
試験方法は、接合材料に対応するサンプル接合材料を含む試験サンプルに対して機械的負荷を含む負荷を与える試験段階を備えてよい。
【0009】
(項目2)
信頼性試験は、ヒートサイクル試験またはパワーサイクル試験、であってよい。
【0010】
(項目3)
評価対象物は、基体および被接合体を接合材料により接合された構造部を有してよい。
試験サンプルは、基体に対応するサンプル基体および被接合体に対応するサンプル被接合体をサンプル接合材料により接合された構造部を有してよい。
【0011】
(項目4)
基体およびサンプル基体、被接合体およびサンプル被接合体、並びに接合材料およびサンプル接合材料のそれぞれは、同一材料により形成されてよい。
サンプル接合材料は、1以上の縁部において接合材料の対応する縁部に相当する厚みを有してよい。
【0012】
(項目5)
評価対象物は、基体としての金属ベースと、表面に回路パターンおよび裏面に金属板を接合した絶縁基板と、回路パターンに搭載された半導体素子とを備えてよい。
被接合体としての金属板と金属ベースとが接合材料により接合された構造部を有してよい。
【0013】
(項目6)
決定段階において、信頼性試験における接合材料の1以上の縁部の変形に応じた変化量を機械的に与える機械的負荷を決定してよい。
【0014】
(項目7)
決定段階において、信頼性試験中における評価対象物の変形に応じた変化量を計測してよい。
決定段階において、試験サンプルに対し、計測した変化量に対応する負荷を与える機械的負荷を決定してよい。
【0015】
(項目8)
決定段階において、信頼性試験において1以上の縁部における変形に応じた変化量を解析により算出してよい。
決定段階において、算出した変化量に対応する負荷を接合材料の1以上の縁部に与える機械的負荷を決定してよい。
【0016】
(項目9)
機械的負荷の決定において、試験サンプルに対して変化量に対応する負荷を機械的に与える機械的負荷を解析により算出してよい。
【0017】
(項目10)
試験段階は、サンプル基体の面内の2以上の支点で囲まれた領域を相対的に押して試験サンプルに反り変形を与えることにより行われてよい。
サンプル被接合体は、サンプル基体の面内で反り変形による曲率半径が最小となる方向に向かって二辺が互いに近づき交わる角部を有する板状の部材であってよい。
【0018】
(項目11)
サンプル基体およびサンプル被接合体は方形であってよい。
サンプル被接合体の外周辺のうちの一辺は、サンプル基体の外周辺のうちの一辺に対して予め定められた角度の方向に向けられていてよい。
【0019】
(項目12)
予め定められた角度は、45度であってよい。
【0020】
(項目13)
試験段階において、信頼性試験のサイクル数に応じた回数と同じ回数を繰り返し試験サンプルを変形させてよい。
【0021】
(項目14)
試験段階において、予め定められた温度条件下で試験サンプルを繰り返し変形させてよい。
【0022】
(項目15)
信頼性試験は、ヒートサイクル試験であってよい。
試験段階において、ヒートサイクル試験における条件に応じた温度条件下で試験サンプルを繰り返し変形させてよい。
【0023】
(項目16)
信頼性試験は、ヒートサイクル試験であってよい。
試験段階において、ヒートサイクル試験におけるサイクル時間以下の周期で試験サンプルを繰り返し変形させてよい。
【0024】
(項目17)
試験方法は、繰り返し曲げられた試験サンプルにおける接合された構造部の状態に基づいて、評価対象物の接合された構造部の信頼性を評価する評価段階を更に備えてよい。
【0025】
(項目18)
評価段階において、複数温度条件のヒートサイクル試験のそれぞれに対応して、機械的負荷を決定することおよび繰り返し変形させることを行った結果に基づいて、ヒートサイクル寿命曲線を推定してよい。
【0026】
(項目19)
試験段階は、決定段階に先立って、複数の試験サンプルのそれぞれに対して異なる機械的負荷を与える複数の試験を行ってよい。
決定段階は、複数の試験の中から、信頼性試験において評価対象物の接合された構造部に生じる変形に応じた変化を試験サンプルに与える試験を決定してよい。
試験方法は、決定された試験の試験結果に基づいて、評価対象物の接合された構造部の信頼性を評価する評価段階を更に備えてよい。
【0027】
(項目20)
決定段階は、複数の試験の中から、信頼性試験における評価対象物の変形に応じた変化量に対応する負荷を与えた試験を決定してよい。
【0028】
(項目21)
変形に応じた変化量として、応力、応力勾配、ひずみ、ひずみ勾配、および温度の少なくとも1つを用いてよい。
【0029】
(項目22)
変形に応じた変化量として、評価対象物および試験サンプルの予め定められた範囲内における、応力またはひずみの一次元分布、二次元分布、または三次元分布を用いてよい。
【0030】
(項目23)
試験サンプルは、サンプル基体およびサンプル被接合体をサンプル接合材料により接合した構造部を有してよい。
試験段階は、複数の試験サンプルのそれぞれに対して、サンプル基体に加える荷重、サンプル基体の面内に決定された荷重を与える力点と支点との間の距離、サンプル基体の厚み、サンプル被接合体の厚み、サンプル接合材料により接合された構造部の厚み、およびサンプル被接合体のサイズのうち少なくとも1つが異なる試験サンプルを用いた機械的負荷を与える複数の試験を行ってよい。
【0031】
(項目24)
試験サンプルは、基体および被接合体を接合材料により接合した構造を有する評価対象物における基体に対応するサンプル基体を備えてよい。
試験サンプルは、被接合体に対応するサンプル被接合体を備えてよい。
試験サンプルは、サンプル基体およびサンプル被接合体を接合するサンプル接合材料を備えてよい。
【0032】
(項目25)
試験方法における試験段階は、サンプル基体の面内の2以上の支点で囲まれた領域を相対的に押して試験サンプルに反り変形を与えることにより行われてよい。
サンプル被接合体は、サンプル基体の面内で反り変形による曲率半径が最小となる方向に向かって二辺が互いに近づき交わる角部を有する板状の部材であってよい。
【0033】
(項目26)
サンプル基体およびサンプル被接合体は方形であってよい。
サンプル被接合体の外周辺のうちの一辺は、サンプル基体の外周辺のうちの一辺に対して予め定められた角度の方向に向けられていてよい。
【0034】
(項目27)
予め定められた角度は、45度であってよい。
【0035】
(項目28)
試験システムは、項目1から23のいずれか一項に記載の試験方法により試験を行ってよい。
【0036】
(項目29)
評価方法は、サンプル接合材料を含む複数の試験サンプルのそれぞれに対して異なる機械的負荷を与えた複数の試験の試験結果を取得する取得段階を備えてよい。
評価方法は、複数の試験の中から、信頼性試験において、基体に接合材料を接合した評価対象物の接合された構造部に生じる変形に応じた変化を試験サンプルに与えた試験を決定する決定段階を備えてよい。
評価方法は、決定された試験の試験結果に基づいて、評価対象物の接合材料の部分の信頼性を評価する評価段階を備えてよい。
【0037】
(項目30)
決定段階は、複数の試験の中から、信頼性試験における評価対象物の変形に応じた変化量に対応する負荷を機械的に与えた試験を決定してよい。
【0038】
(項目31)
変形に応じた変化量として、応力、応力勾配、ひずみ、ひずみ勾配、および温度の少なくとも1つを用いてよい。
【0039】
(項目32)
変形に応じた変化量として、評価対象物および試験サンプルの予め定められた範囲内における、応力またはひずみの一次元分布、二次元分布、または三次元分布を用いてよい。
【0040】
(項目33)
試験サンプルは、サンプル基体およびサンプル被接合体をサンプル接合材料により接合した構造部を有してよい。
取得段階は、複数の試験サンプルのそれぞれに対して、サンプル基体に加える荷重、サンプル基体の面内に決定された荷重を与える力点と支点との間の距離、サンプル基体の厚み、サンプル被接合体の厚み、サンプル接合材料により接合された構造部の厚み、およびサンプル被接合体のサイズのうち少なくとも1つが異なる機械的負荷を与えた複数の試験の試験結果を取得してよい。
【0041】
(項目34)
評価システムは、項目29から33のいずれか一項に記載の評価方法を実行してよい。
【0042】
(項目35)
評価プログラムは、コンピュータに、項目29から33のいずれか一項に記載の評価方法を実行させてよい。
【0043】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0046】
図1は、本実施形態に係る試験方法及び評価方法により信頼性が評価される評価対象物の一例としての半導体モジュール1の構成の一例を示す。半導体モジュール1は、ケース2、絶縁基板3、接合材4、半導体素子5、端子6a,6c,6c、ワイヤ7b,7c、及びゲル充填材8を備える。
【0047】
ケース2は、半導体モジュール1の構成各部を収容する筐体であり、金属ベース2a、枠体2b、及び蓋体2cを含む。金属ベース2a(基体の一例)は、ケース2の底部を形成する板状の部材であり、その上に半導体モジュール1の構成各部を支持する。金属ベース2aは、放熱性の高い銅(Cu)基板、アルミ炭化ケイ素複合材(Al−SiC)基板等を採用することができる。本実施形態では、銅基板を採用する。枠体2bは、ケース2の側部を形成する枠状の部材であり、金属ベース2aの周縁上に立設される。蓋体2cは、ケース2の上部を形成する板状の部材であり、枠体2b上に載置されて半導体モジュール1の構成各部をケース2内に封入する。蓋体2cには、端子6a,6b,6cの上端をケース2外に突出するための複数の開口が形成されている。
【0048】
絶縁基板3は、半導体素子5を搭載する基板であり、例えばDCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazing)基板等を採用することができる。絶縁基板3は、絶縁板3a、金属板3b、及び配線板3cを含む。絶縁板3aは、例えば窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化アルミニウム等の絶縁性セラミックスから例えば0.2〜1mm厚に成形された板状部材である。金属板3b(被接合体の一例)は、銅、アルミニウム等の導電性金属を用いて、例えば0.1〜1mmの膜厚で、絶縁板3aの裏面に設けられている。配線板3cは、金属板3bと同様に銅、アルミニウム等の導電性金属を用いて、絶縁板3aのおもて面に設けられている。なお、配線板3cは、3つの回路パターン3c
1,3c
2,3c
3を有する。回路パターン3c
1は、絶縁板3a上における図面左側に配設されている。回路パターン3c
2及び3c
3は、絶縁板3a上における図面右側(それぞれ、奥及び手前)に並設されている。
【0049】
接合材4(接合材料の一例)は、絶縁基板3を金属ベース2aに接合するための部材であり、はんだ(例えば、Sn−5wt%Sb)を使用することができる。接合材4により、絶縁基板3上に設けられる半導体素子5が発する熱を金属ベース2aに効率良く導引(すなわち、排熱)することができる。なお、接合材4は、絶縁基板3及び金属ベース2aの間で、絶縁基板3側から金属ベース2a側に向かって裾を広げるフィレットを形成する。接合材4により被接合体としての絶縁基板3の金属板3bが金属ベース2a上に接合されてなる部分を構造部9と呼ぶ。
【0050】
半導体素子5は、一例として制御信号により動作するスイッチング素子であり、おもて面及び裏面のそれぞれに電極を有する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等を採用することができる。半導体素子5は、IGBT(又はMOSFET)の場合に、表面にエミッタ電極(又はソース電極)及びゲート電極、裏面にコレクタ電極(又はドレイン電極)を有する。本実施形態では、IGBTを採用する。半導体素子5は、裏面を接合材5aにより配線板3cの回路パターン3c
1に接合することで、絶縁基板3上に搭載される。
【0051】
端子6a,6b,6cは、半導体素子5に外部信号を入力する又は半導体素子5から電流を外部に入出力するための端子である。端子6a,6b,6cは、例えば銅、アルミニウム等の導電性金属を用いて円柱状又は平板状に成形されている。端子6aは、配線板3cの回路パターン3c
1の左端近傍に立設され、回路パターン3c
1を介して半導体素子5のコレクタ電極に接続する。端子6bは、配線板3cの回路パターン3c
2上に立設され、回路パターン3c
2及びワイヤ7bを介して半導体素子5のエミッタ電極に接続する。端子6cは、配線板3cの回路パターン3c
3上に立設され、回路パターン3c
3及びワイヤ7cを介して半導体素子5のゲート電極に接続する。端子6a,6b,6cは、はんだ等の接合材(不図示)により回路パターン上に立設されて、それぞれの先端を蓋体2cの開口を介してケース2外に突出する。
【0052】
ワイヤ7b,7cは、半導体素子5の表面電極を回路パターンに接合するワイヤ状の部材である。ワイヤ7b,7cは、例えば銅、アルミニウム等の導電性金属又は鉄アルミ合金等の導電性合金を用いて形成される。ワイヤ7bは、半導体素子5のエミッタ電極を回路パターン3c
2に接続する。ワイヤ7cは、半導体素子5のゲート電極を回路パターン3c
3に接続する。
【0053】
ゲル充填材8は、半導体モジュール1の構成各部を封止するための部材であり、一例としてシリコーンゲルを用いることができる。ゲル充填材8は、ケース2内(金属ベース2a上)に絶縁基板3、半導体素子5、端子6a,6b,6c、及びワイヤ7b,7cが配設された後、それらの上に充填される。さらに、蓋体2cを枠体2b上に載置することで、構成各部がケース2内に封入される。
【0054】
上述の構成の半導体モジュール1において、金属ベース2a、接合材4、及び絶縁基板3がそれぞれ異なる線膨張係数(例えば、それぞれ、16ppm、20ppm、及び7ppm)を有することで、熱負荷が加えられた場合に、それらの接合体が、高温度において絶縁基板3に対して金属ベース2a側に凸状に、低温度において金属ベース2aに対して絶縁基板3側に凸状に変形する。このような接合体に生じる変形により接合材4に曲げ応力(ストレス)が加わり、数100〜数1000サイクルの温度変化を介して疲労が蓄積し、端部から内側に向かってクラックが成長し、絶縁基板3上の半導体素子5から金属ベース2aへの熱伝導性が低下することにより半導体モジュール1の故障に至る。半導体モジュール1の製品寿命は接合材4の信頼性に強く依存することから、接合材4とこれに応力を加える金属ベース2a及び絶縁基板3とを含む接合体を評価対象物として代用してもよい。
【0055】
図2は、H/C試験においてヒートサイクルにより半導体モジュール1(ここでは接合体を代用している)の接合材4に加わる応力分布の一例を示す。比較のため、接合材4と同一材料からなるロッド状のバルク材の引っ張りによる応力分布を併せて示す。接合材4の応力分布は、フィレットの端部(特に、絶縁基板3の近傍の端部)から内部に向かう直線上の距離に対する一次元分布として与えられている。バルク材の応力分布は、ロッド表面から中心に向かう直線上の距離に対する一次元分布として与えられている。引張及び圧縮によりバルク材に加わる応力は、距離に対して一様である。これに対して、ヒートサイクルにより接合材4に加わる応力は、それを挟む絶縁基板3及び金属ベース2aの熱膨張及び収縮の差より引き起こされる応力であるため、接合材4の広がり方向(及び厚さ方向)に有限の分布を有し、特に端部(フィレット表面)に集中することがわかる。ただし、応力は端部からの距離に対して減衰し、接合材4の内部においてはバルク材の応力にほぼ等しく一様に分布する。応力分布は、接合材4、絶縁基板3及び金属ベース2aのそれぞれの線膨張係数、サイズ、形状等の設計の詳細に依存し得る。
【0056】
評価対象物である半導体モジュール1の信頼性を正確に評価するために、H/C試験においてヒートサイクルにより接合材4に加わる応力又はこれに伴って接合材4に生じるひずみ(接合材4に与える温度を含めて破壊モードと総称する)を再現する必要があり、そのために、半導体モジュール1における接合材4とこれに応力を加える金属ベース2a及び絶縁基板3(半導体素子5を含んでもよい)とを含む接合体に対応して試験サンプルを構成し、これを試験に使用するのが望ましい。しかし、絶縁基板3は、絶縁板3a、金属板3b、及び配線板3cを含み、配線板3cは複数の回路パターン3c
1,3c
2,3c
3を有し、半導体素子5を含めるとさらに試験サンプルの構成が複雑になり、信頼性評価のための因子が多くなる。少ない因子のみで半導体モジュールの信頼性を評価するには、試験サンプルをより簡素に構成する必要がある。
【0057】
H/C試験においてヒートサイクルにより接合材4に加わる破壊モードを再現するには、温度場(すなわち、温度又は温度分布)及び応力場(すなわち、応力分布又はこれに伴って接合材4に生じるひずみ分布)を独立に接合材4に与えればよい。さらに、半導体モジュール1の設計の詳細に依らずに応力場を少ない因子でパラメトライズすることで、半導体モジュール1の信頼性を簡便に評価することが可能となる。
【0058】
ここで、金属ベース2a及び絶縁基板3の線膨張係数の違いにより、接合材4を金属ベース2a及び絶縁基板3の間に配し、リフローすることで絶縁基板3を金属ベース2aに接合する際、熱膨張時の変形した状態で接合体が形成されて変形に伴う応力が接合材4に残ることがある。しかし、接合材4に残留する応力(残留応力と呼ぶ)は、実際問題、H/C試験において数100〜数1000回ものヒートサイクルによる信頼性評価に対して無視できる程度の寄与をもたらすにすぎない。そこで、接合材4の残留応力を無視し、評価対象物である半導体モジュール1のH/C試験を模擬するための試験体として次の試験サンプル11を導入する。
【0059】
図3A及び
図3Bは、試験サンプル11の構成を示す。ここで、
図3Aは、
図3Bにおける基準線Lに関する断面構成を示し、
図3Bは、下面上の構成を示す。試験サンプル11は、評価対象物である半導体モジュール1における接合材4の信頼性をモジュールの設計の詳細に依らず少ない因子のみで評価できるように、半導体モジュール1をこれに含まれる構造部9に対応して簡素化した試験体であり、これにより様々な構成の半導体モジュールの信頼性を統一的に評価することを可能とする。試験サンプル11は、サンプル基体12a、サンプル被接合体13b、及びサンプル接合材料14を含む。
【0060】
サンプル基体12aは、金属ベース2aに対応する板状部材であり、金属ベース2aと同一材料より形成されている。サンプル基体12aは、方形状、ここでは一例として基準線Lに平行な方向を長手とする矩形状に成形されている。
【0061】
サンプル被接合体13bは、被接合体である金属板3bに対応する部材であり、金属板3bと同一材料より形成されている。サンプル被接合体13bは、方形状、ここでは一例として正方形状に成形され、サンプル基体12aの下面上で、基準軸Lと平行な方向に二辺が互いに近づき交わる角部を向ける。それにより、サンプル被接合体13bの外周辺のうちの一辺(例えば、左上辺)は、サンプル基体12aの外周辺のうちの一辺(例えば、基準線Lに平行な上辺)に対して予め定められた角度θの方向、ここでは一例として45度の方向に向けられている。なお、後述する機械疲労試験では、サンプル基体12aの面内で反り変形による曲率半径が最小となる方向が基準線Lに平行になるように、試験サンプル11に反り変形が加えられる。
【0062】
サンプル接合材料14は、接合材4に対応する部材であり、接合材4と同一材料により形成されている。サンプル接合材料14は、サンプル被接合体13bと同形状を有し、サンプル被接合体13bとサンプル基体12aとの間に配されて、それらを互いに接合する。ここで、サンプル接合材料14は、1以上の縁部において接合材4の対応する縁部に相当する厚みを有するとともに、接合材4と同様にサンプル被接合体13b側からサンプル基体12a側に向かって裾を広げるフィレットを形成する。
【0063】
試験サンプル11を用いて半導体モジュール1の信頼性を少ない因子のみで評価するために、試験サンプル11の設計条件、後述する機械疲労試験の試験条件を定める。
【0064】
図4は、半導体モジュール1を温度条件下、一例として低温度−40℃(上段)及び高温度125℃(下段)においた場合に接合材4内に発生するひずみ分布を示す。これらのひずみ分布は熱応力シミュレーションにより得られたものであり、接合材4の一角部の表面上の分布を示す。低温度下においては、ひずみは、接合材4の下側、すなわち金属ベース2a側に小さいひずみ量で集中する。それに対して、高温度下においては、ひずみは、接合材4の上側、すなわち絶縁基板3側に大きいひずみ量で集中する。従って、H/C試験におけるヒートサイクルでは、高温度下で接合材4の上側に加わる大きな応力が接合材4の信頼性に支配的に寄与するものと予想される。
【0065】
図5は、H/C試験後の半導体モジュール1の接合材4の状態(上段)及び後述する機械疲労試験後の試験サンプル11のサンプル接合材料14の状態(中段及び下段)を示す。これらは、超音波探傷装置を用いて観察されたものである。ここで、H/C試験の温度条件(すなわち、ヒートサイクル温度)は低温度−40℃及び高温度125℃であり、機械疲労試験の温度条件は−40℃(中段)及び125℃(下段)である。いずれの試験においても、接合材4の端部(すなわち、フィレットの表面)から内部に向かってクラックが成長している。ただし、H/C試験では、接合材4の金属板側(フィレットの上側)からクラックが成長しているのに対して、機械疲労試験では温度条件125℃の場合、同様に、接合材4の金属板側(フィレットの上側)からクラックが成長し、温度条件−40℃の場合、接合材4の金属ベース側(フィレットの下側)からクラックが成長している。これらの観察より、H/C試験においては高温度下において接合材4にクラックが発生したことがわかる。これは、上述の
図4のひずみ分布の解析から得られる知見とも一致する。
【0066】
上の結果より、機械疲労試験では、H/C試験のヒートサイクルにおける高温度を温度条件とし、その高温度下において接合材4に加えられる応力又はこれにより接合材4に生じるひずみを再現することで、H/C試験のヒートサイクルにより半導体モジュール1に加わる破壊モードを機械疲労試験により再現することができると期待される。
【0067】
図6は、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4内に発生するひずみ分布(左)、後述する機械疲労試験における曲げ変形により試験サンプル11のサンプル接合材料14内に発生するひずみ分布(中及び右)示す。これらのひずみ分布は、3次元有限要素法(FEM)解析等の構造解析により得られたものである。ここで、H/C試験に対して使用した半導体モジュール1の金属ベース2aに対する絶縁基板3の角度(先述の角度θに対応する)は90度、機械疲労試験に対して使用した試験サンプル11におけるサンプル基体12aに対するサンプル被接合体13bの角度(先述の角度θに等しい)は90度(中)及び45度(右)である。機械疲労試験の温度条件は、H/C試験のヒートサイクルにおける高温度に等しい。H/C試験のヒートサイクルにおいて接合材に加わる曲げ応力は、接合材4の角部に集中することがわかる。これに対して、機械疲労試験においてサンプル接合材料14に加わる曲げ応力は、90度の場合、サンプル接合材料14の辺部に、若干角部に偏って集中しているのに対して、45度の場合、サンプル接合材料14の角部に集中している。従って、試験サンプル11を用いることにより、H/C試験のヒートサイクルにおいて接合材4に加わる曲げ応力を再現することができると期待される。
【0068】
図7は、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4内に発生したクラック(左)、後述する機械疲労試験における曲げ変形により試験サンプル11のサンプル接合材料14内に発生したクラック(中及び右)示す。これらは、超音波探傷装置を用いて観察されたものである。ここで、H/C試験に対して使用した半導体モジュール1の金属ベース2aに対する絶縁基板3の角度(先述の角度θに対応する)は90度、機械疲労試験に対して使用した試験サンプル11におけるサンプル基体12aに対するサンプル被接合体13bの角度(先述の角度θに等しい)は90度(中)及び45度(右)である。機械疲労試験の温度条件は、H/C試験のヒートサイクルにおける高温度に等しい。H/C試験のヒートサイクルにおいて接合材4に発生するクラックは、角部から内部に向かって成長していることがわかる。これに対して、機械疲労試験においてサンプル接合材料14に発生するクラックは、90度の場合、サンプル接合材料14の辺部から内部に向かって成長しているのに対して、45度の場合、サンプル接合材料14の角部から内部に向かって成長していることがわかる。従って、試験サンプル11を用いることにより、H/C試験のヒートサイクルにおいて接合材4に加わる曲げ応力を再現することができると期待される。
【0069】
上述の構成の試験サンプル11は、サンプル基体12a、サンプル被接合体13b、及びサンプル接合材料14から構成される接合体であることから、半導体モジュール1に対するH/C試験においてヒートサイクルにより接合材4に加わる曲げ応力又はこれに伴って接合材4に生じるひずみを再現することができる。ただし、金属ベース2aに対応するサンプル基体12a及び金属板3bに対応するサンプル被接合体13bは同一材料であることから、それらを接合材4に対応するサンプル接合材料14により接合した際に残留応力は発生しない。従って、試験サンプル11を用いて後述する機械疲労試験を行うことで、試験サンプル11に加える荷重、その他少ない因子によりひずみを一意に制御することができ、それにより半導体モジュールの設計の詳細に依らず少ない因子のみで様々な構成の半導体モジュールの信頼性を評価することが可能となる。
【0070】
機械疲労試験では、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4に加わる応力又はそれにより接合材4に発生するひずみを再現するように、3点曲げ試験を採用する。ここで、機械疲労試験により、試験サンプル11を用いて半導体モジュール1の信頼性を少ない因子のみで評価するために、幾つかの試験条件を定める。なお、機械疲労試験の詳細は後述する。
【0071】
図8は、試験サンプル11の3点曲げ試験においてサンプル接合材料14に加える機械的負荷(すなわち、荷重)に対するサンプル接合材料14に生じる塑性ひずみの一例を示す。温度条件は、25℃及び125℃である。サンプル接合材料14の塑性ひずみは荷重に比例することから、荷重により塑性ひずみをコントロールできることがわかる。ここで、サンプル接合材料14に与える荷重の増大に対して発生する塑性ひずみが強く増大する場合、荷重のわずかなずれにより塑性ひずみが一意に定まらず、大きな誤差を伴うおそれがある。逆に、荷重の増大に対して塑性ひずみの増大が小さい場合、試験装置の出力規格内の荷重ではサンプル接合材料14に十分大きな塑性ひずみを生ずることができず、試験結果が得られないおそれがある。そこで、試験により再現すべき最大の塑性ひずみの量(目標ひずみ量と呼ぶ)を一例として接合材4が破断し得るひずみ量である10%と定め、塑性ひずみを微細に制御できるよう試験装置の荷重単位(すなわち、調整可能な荷重の単位)、例えば1Nに対して目標ひずみ量の100分の1が得られること、最大荷重、例えば1000Nに対して目標ひずみ量が得られることを条件とする。これらより、試験条件としてひずみ感受性(1Nの荷重を与えたときに生じる塑性ひずみ)0.01〜0.1%/Nが定められる。
【0072】
図9は、試験サンプル11の3点曲げ試験において試験サンプル11を支持する2支点間の距離(支点間距離)に対してサンプル接合材料14に加わる応力勾配及びひずみ感受性の一例を示す。ここで、応力勾配とは、サンプル接合材料14の端部(フィレットの端部)近傍約50μm内での応力の変化量であり、サンプル接合材料14の端部での応力の集中度を表す。水平方向及び垂直方向の応力勾配は、支点間距離に対してほぼ一定であるのに対して、ひずみ感受性は支点間距離に対して増大する。これから、H/C試験のヒートサイクルにより接合材4に加わる応力を3点曲げ試験による機械疲労試験により再現するうえで、先に定めたひずみ感受性に対する条件より、支点間距離は27mm以下とするのが望ましいことがわかる。
【0073】
図10は、試験サンプル11の3点曲げ試験において試験サンプル11を構成するサンプル被接合体13bの厚さに対してサンプル接合材料14に加わる応力勾配及びひずみ感受性の一例を示す。水平方向の応力勾配は、約5mm以下の厚さに対して大きく減少し、約5mm以上の厚さに対してほぼ一定となる。垂直方向の応力勾配は、約5mm以下の厚さに対して小さく増大し、約5mm以上の厚さに対してほぼ一定となる。ひずみ感受性は、約5mm以下の厚さに対して大きく増大し、約5mm以上の厚さに対してほぼ一定となる。これから、H/C試験のヒートサイクルにより接合材4に加わる応力を3点曲げ試験による機械疲労試験により再現するうえで、先に定めたひずみ感受性に対する条件より、サンプル被接合体13bの厚さは5mm以下とするのが望ましいことがわかる。
【0074】
図11は、試験サンプル11の3点曲げ試験において試験サンプル11を構成するサンプル接合材料14の厚さに対してサンプル接合材料14に加わる応力勾配及びひずみ感受性の一例を示す。水平方向の応力勾配は、サンプル接合材料14の厚さに対して減少する。垂直方向の応力勾配は、厚さに対して増大し、厚さ約170μmで極大を呈して緩やかに減少する。ひずみ感受性は、厚さに対して減少する。これから、H/C試験のヒートサイクルにより接合材4に加わる応力を3点曲げ試験による機械疲労試験により再現するうえで、先に定めたひずみ感受性に対する条件より、サンプル接合材料14の厚さは100μm以上とするのが望ましいことがわかる。また、垂直方向の応力勾配の振る舞いが厚さ約170μm以下と以上とで変わり、応力分布が変化するおそれがあることから、応力分布が変化しないようサンプル接合材料14の厚さは170μm以下とするのが望ましいことがわかる。
【0075】
その他、サンプル被接合体13bのサイズは任意に定めてよく、サンプル基体12aの厚さはひずみ感受性に対する条件より5mm以下とするのが望ましい。
【0076】
図12に、寿命曲線の一例を示す。機械疲労試験では、上述のとおり定めた試験条件に従って試験サンプル11を用いて3点曲げ試験を行った。ここで、一例として、試験サンプル11のサンプル基体12aの材質を無酸素銅(H材に相当)、大きさを40×100mm、及び厚さを3mmとし、サンプル被接合体13bの材質を無酸素銅(O材に相当)、大きさを20×20mm、及び厚さを3mmとし、サンプル接合材料14の材質をはんだ(Sn−5wt%Sb)、厚さを100μm、及びフィレット形状(傾き)を40度とし、支持治具の支点間距離を20mmとし、機械的負荷(すなわち、荷重)を1.0kN,1.5kN,2.0kNとし、温度条件を125℃とした。サンプル接合材料14に相当塑性ひずみ(単に塑性ひずみとも呼ぶ)Δε
inを与える3点曲げを繰り返し、サンプル接合材料14に1mm以上のクラックが発生したサイクル数を寿命サイクルとした。H/C試験では、接合材4とこれにより接合された金属ベース2a及び絶縁基板3とを含む接合体を用いた。金属ベース2a、絶縁基板3、及び接合材4に対する条件は、機械疲労試験におけるサンプル基体12a、サンプル被接合体13b、及びサンプル接合材料14に対する条件と同じとした。また、ヒートサイクル温度は、低温度−40℃及び高温度105,125,150℃とした。それぞれのヒートサイクル温度(により接合材4に発生する塑性ひずみΔε
in)に対してヒートサイクルを繰り返し、接合材4に1mm以上のクラックが発生したサイクル数を寿命サイクルとした。疲労試験では、接合材4と同一材料からなるロッド状のバルク材を用いて引張及び圧縮を行った。温度条件は125℃とした。塑性ひずみを与える引張及び圧縮を繰り返し、バルク材に加わる応力が初期応力に対して25%低下したサイクル数を寿命サイクルとした。
【0077】
H/C試験より得られた寿命曲線に対して、バルク材を用いた疲労試験より得られた寿命曲線は、同じ寿命サイクル数に対する塑性ひずみが小さく、傾きが大きい。これに対して、機械疲労試験より得られた寿命曲線は、同じ寿命サイクル数に対する塑性ひずみが若干小さく、傾きはほぼ等しい。従って、試験サンプル11を用いた3点曲げによる機械疲労試験により、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4に加わる応力又はそれにより接合材4に発生するひずみを再現することができ、H/C試験に代えて半導体モジュール1の信頼性を評価することができる。
【0078】
表1は、試験サンプル11を用いた3点曲げによる機械疲労試験における試験条件を示す。半導体モジュール1のH/C試験を模擬する観点から、試験サンプル11のサンプル基体12aの材質、サンプル被接合体13bの材質、サンプル接合材料14の材質及び厚さは半導体モジュール1の金属ベース2aの材質、金属板3bの材質、接合材4の材質及び厚さに一致するように定められる。また、温度は、H/C試験のヒートサイクル温度の高温度に定められる。その他の条件は、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4に加わる応力又はそれにより接合材4に発生するひずみを再現するよう任意に定められる。
【表1】
【0079】
図13は、本実施形態に係る試験システム100の構成を示す。試験システム100は、H/C試験により半導体モジュール1内の接合材4に加わる応力又はこれにより構造部9に引き起こされるひずみをモジュール外から機械的負荷を付加することで再現し、その機械的負荷を短いサイクル時間で繰り返しモジュールに付加することで試験時間を短縮することを目的とするものであり、H/C試験装置110、機械疲労試験装置120、及び制御装置130を備える。
【0080】
H/C試験装置110は、半導体モジュール1をH/C試験する装置であり、チェンバ(不図示)、加熱冷却部111、及び測定部112を含む。チェンバは、その内部に半導体モジュール1(接合体でもよい)を収容する。加熱冷却部111は、チェンバ内部を、例えば100〜250度の高温度に加熱するとともに、例えば−40度の低温度に冷却する。加熱冷却部111は、温度センサ(不図示)を用いてチェンバ内の温度を測定してよい。加熱冷却部111は、制御装置130により制御される。測定部112は、例えば半導体モジュール1に接着されたひずみゲージを用いて半導体モジュール1のひずみを測定する又は画像相間法によりひずみを算出する。その測定結果は、制御装置130に送信される。
【0081】
H/C試験では、加熱冷却部111により、半導体モジュール1を収容したチェンバ内部を加熱して高温度を保持時間の間、保持し、次いでチェンバ内部を冷却して低温度を保持時間の間、保持する。保持時間は、接合材4に加わる応力が時間変化することがあるため、時間変化のスケール(接合材4の材料、半導体モジュール1の構造等に依存する)に応じて例えば約40分とする。この1サイクルの温度変化を約2時間で数1000サイクル繰り返して、半導体モジュール1に熱負荷を加える。
【0082】
ヒートサイクルの繰り返しの途中、一定サイクル毎に、半導体モジュール1をチェンバから取出し、超音波探傷装置を用いて接合材4の疲労の状態、特にクラックの成長の程度を観察する。クラックが1mmの長さに達したサイクル数を寿命サイクル(単に寿命とも呼ぶ)とする。
【0083】
なお、H/C試験に先立って、半導体モジュール1の接合部にひずみゲージを接着し、測定部112により、ひずみゲージを用いて1サイクルの温度変化により半導体モジュール1の接合部に加わる塑性ひずみ(単にひずみとも呼ぶ)を測定する。または、画像相間法によりひずみを算出してもよい。この塑性ひずみは、1サイクル当たりに半導体モジュール1に加えられる熱負荷(すなわち、高温度と低温度との温度差)に比例する。幾つかの温度差に対して塑性ひずみと寿命サイクル数を測定することで、塑性ひずみに対する寿命サイクル数の関係、すなわち寿命曲線が得られる。
【0084】
図14A及び
図14Bは、機械疲労試験装置120の構成を示す。ここで、
図14A及び
図14Bは、それぞれ、側面視及び上面視における構成を示す。機械疲労試験装置120は、試験サンプル11に機械的負荷を加えることで半導体モジュール1に対するH/C試験を模擬した機械疲労試験を行うための装置であり、チェンバ(不図示)、支持治具121、押し込み治具122、加熱冷却部123(
図13参照)、及び測定部124(
図13参照)を含む。
【0085】
チェンバは、試験サンプル11を収容する部材であり、支持治具121及び押し込み治具122を内部に含む。
【0086】
支持治具121は、試験サンプル11をチェンバ内で支持する部材であり、ベース121a及び2つの支持部材121bを有する。ベース121aは、支持部材121bを介して試験サンプル11に加えられる荷重を受ける直方体状のブロックである。2つの支持部材121bは、ベース121a上で試験サンプル11を支持する半円柱状の部材であり、それぞれ基準線LLに平行な方向の一側及び他側に、それぞれの長手を基準線LLに直交する方向に向けて、側面をベース121aの上面に当接してベース121a上に配置されている。2つの支持部材121bの支点の離間距離(すなわち、支点間距離)は任意に変更することができる。2つの支持部材121bにより試験サンプル11の両端を下方から支持することで、試験サンプル11が支持治具121上に支持される。ベース121a及び2つの支持部材121bともに、例えばステンレス鋼を用いて形成することができる。
【0087】
なお、支持治具121は、2つの支持部材121bにより試験サンプル11を支持するに限らず、3以上の支持部材121bにより試験サンプル11を支持してもよい。また、支持部材121bの形状は半円柱に限らず半球とし、3以上の支持部材により3以上の支点で試験サンプル11を支持してもよい。また、試験サンプル11の一端を挟圧して片持ち支持してもよい。
【0088】
押し込み治具122は、支持治具121上に支持された試験サンプル11を上方から下方に押し込む部材である。押し込み治具122は、ラウンドトップ状の棒形状を有し、支持治具121の2つの支持部材121bの中央の上で先端を下方に向けて支持され、駆動装置(不図示)により駆動されて下方に繰り出される。押し込み治具122と2つの支持部材121bとにより挟圧することで、試験サンプル11に3点曲げ変形が与えられる。
【0089】
なお、押し込み治具122を2つ又はそれ以上設けて、試験サンプル11に4点又はそれ以上の多点曲げ変形を与えることとしてもよい。また、押し込み治具122は、棒状部材に限らず、半円柱状の端部を有する板状部材でもよい。
【0090】
加熱冷却部123は、チェンバ内部を、例えば−40〜250℃の温度範囲内で加熱又は冷却する。加熱冷却部123は、温度センサ(不図示)を用いてチェンバ内の温度を測定してよい。加熱冷却部123は、制御装置130により制御される。
【0091】
測定部124は、例えば試験サンプル11に接着されたひずみゲージを用いて試験サンプル11のひずみを測定する又は画像相間法によりひずみを算出する。その測定結果は、制御装置130に送信される。
【0092】
機械疲労試験では、まず、試験サンプル11を、チェンバ内の支持治具121上に載置する。ここで、試験サンプル11の長手を基準線LLに平行な方向に向け、サンプル被接合体13bの中心を押し込み治具122の直下に位置決めして、2つの支持部材121bにより試験サンプル11の両端を支持する。
【0093】
次に、加熱冷却部123により、試験サンプル11を収容したチェンバ内部を加熱又は冷却して、予め定められた温度条件下に保持する。ここで、予め定められた温度条件は、H/C試験における条件に応じた温度条件であり、1サイクルにおける高温度から低温度の間の温度である。
【0094】
次に、駆動装置を駆動して押し込み治具122を下方に繰り出し、試験サンプル11の上面中心に当接して下方に押圧することで、試験サンプル11を支持する2つの支持部材121bの支点で囲まれた試験サンプル11の上面内の領域を相対的に押し、それにより試験サンプル11に下向きに凸の反り変形を与える。これをH/C試験における1サイクル時間以下の周期でサイクル数と同じ回数繰り返して、試験サンプルを繰り返し変形させて機械的負荷を加える。
【0095】
繰り返し変形の途中、一定サイクル毎に、試験サンプル11をチェンバから取出し、超音波探傷装置を用いてサンプル接合材料14の疲労の状態、特にクラックの成長の程度を観察する。クラックが1mmの長さに達したサイクル数を寿命サイクル(単に寿命とも呼ぶ)とする。
【0096】
なお、機械疲労試験に先立って、試験サンプル11のサンプル基体12a又はサンプル被接合体13bにひずみゲージを接着し、測定部124により1回の機械的負荷の加重による変形に伴いサンプル基体12a又はサンプル被接合体13bに生じる塑性ひずみを測定し、その測定結果を再現するようFEM解析等の構造解析を行ってサンプル接合材料14に生じる塑性ひずみを算出する。または、サンプル基体12a又はサンプル被接合体13bに生じる塑性ひずみを画像相関法により算出してもよい。この塑性ひずみは、試験サンプル11に加えられる機械的負荷に比例する。幾つかの強度の機械的負荷に対して塑性ひずみと寿命サイクル数を測定することで、塑性ひずみに対する寿命サイクル数の関係、すなわち寿命曲線が得られる。
【0097】
なお、サンプル接合材料14の疲労の状態より試験サンプル11の寿命を評価するために、サンプル接合材料14に生じるクラックが1mmの長さに達するサイクル数を評価したが、長さの基準は任意に定めてよい。また、疲労の状態として、サンプル接合材料14に生じるクラックに限らず、例えばサンプル接合材料14の組織変化より試験サンプル11の寿命を評価してもよい。また、サンプル接合材料14の疲労の状態に限らず、サンプル接合材料14以外の試験サンプル11の構成各部又は試験サンプル11全体の疲労の状態より試験サンプル11の寿命を評価してもよい。
【0098】
制御装置130は、試験システム100を構成する装置を制御するとともに、試験結果に基づいて半導体モジュール1の信頼性を評価する装置である。制御装置130は、決定部132、試験部134、及び評価部136を含む。制御装置130は、コンピュータ、マイクロコントローラ等を含む情報処理装置に、例えば不揮発性メモリ等の記憶装置或いはCD−ROM等の記録媒体に記憶された制御用プログラムを実行させることによって各機能部を発現し、制御装置として機能する。
【0099】
決定部132は、H/C試験において評価対象物である半導体モジュール1に生じる変形に応じた変化を半導体モジュール1に生じさせる機械的負荷を決定する。決定部132の機能の詳細については後述する。
【0100】
試験部134は、機械疲労試験装置120を用いて半導体モジュール1の接合材4に対応するサンプル接合材料14を含む試験サンプル11に対して機械疲労試験を行う。試験部134の機能の詳細については後述する。
【0101】
評価部136は、試験部134により繰り返し曲げ変形を加えられた試験サンプル11におけるサンプル接合材料14(又はサンプル全体)の状態に基づいて、半導体モジュール1の構造部9の信頼性を評価する。評価部136の機能の詳細については後述する。
【0102】
図15は、本実施形態に係る試験システム100を用いた第1の試験方法のフローを示す。
【0103】
ステップS102では、決定部132により、H/C試験において評価対象物である半導体モジュール1に生じる変形に応じた変化を半導体モジュール1に生じさせる機械的負荷を決定する。ここで、変形に応じた変化として、半導体モジュール1の接合材4に加わる応力(応力分布を含む)又はこれにより接合材4に生じるひずみ(ひずみ分布を含む)を採用する。これらの状態量を採用することで、機械疲労試験において試験サンプル11に加える機械的負荷をH/C試験において半導体モジュール1に加える熱負荷に容易に対応させることができ、試験サンプル11を用いた機械疲労試験により半導体モジュール1のH/C試験を再現することが可能となる。なお、これらに限らず、変形に応じた変化として微細組織変化、硬さ(硬さ分布を含む)等を採用してもよい。
【0104】
決定部132は、半導体モジュール1に対するH/C試験における接合材4の1以上の縁部の変形に応じた変化量を決定する。ここで、決定部132は、H/C試験装置110を用いて半導体モジュール1(又は接合材4とこれにより接合された金属ベース2a及び絶縁基板3とを含む接合体でもよい)にヒートサイクルを加えて、それによる接合材4の変形に応じた変化量、すなわち変形により縁部に生じるひずみ分布を計測する。ひずみの測定については先述のとおりである。または、決定部132は、熱応力シミュレーションを行って、ヒートサイクルにより接合材4の縁部に加わる応力分布又はひずみ分布を算出してもよい。
【0105】
そして、決定部132は、計測したひずみ分布又は算出した応力分布若しくはひずみ分布に対応する負荷を試験サンプル11内のサンプル接合材料14の縁部に与える機械的負荷を決定する。ここで、決定部132は、試験サンプル11に対するFEM解析等の構造解析により機械的負荷を算出する、つまり試験サンプル11の3点曲げ試験によりサンプル接合材料14の縁部に加わる応力分布又はひずみ分布を構造解析により算出し、算出された応力分布又はひずみ分布が先に熱応力シミュレーションにより算出したヒートサイクルにより接合材4の縁部に加わる応力分布又はひずみ分布に十分に一致する3点曲げ試験の条件(表1参照)を決定する。特に、押し込み治具122を繰り出す駆動力(機械的負荷又は荷重に相当する)又は繰り出し量を決定する。
【0106】
なお、接合材4のクラックは応力が集中する端部から生じることから、応力分布又はひずみ分布の一致は、例えば、接合材4又はこれに対応するサンプル接合材料14の端部における応力及び応力勾配又はこれらに対応するひずみ及びひずみ勾配の一致により判断してよい。
【0107】
なお、決定部132は、
図8のひずみ感受性を用いて機械的負荷(荷重)を決定してもよい。決定部132は、上述のように半導体モジュール1に対するH/C試験において接合材4の縁部に生じる塑性ひずみを計測又は算出し、これをひずみ感受性に適用して塑性ひずみを生ずる機械的負荷を決定する。
【0108】
決定部132は、H/C試験における複数の温度条件(すなわち、ヒートサイクル温度)のそれぞれに対応して機械的負荷を決定する。決定された複数の機械的負荷は、試験部134に送信される。
【0109】
ステップS104では、試験部134により、機械疲労試験装置120を用いて半導体モジュール1の接合材4に対応するサンプル接合材料14を含む試験サンプル11に対して機械疲労試験を行う。ここで、試験サンプル11は、先述のとおり、評価対象物である半導体モジュール1の金属ベース2a、金属板3b、及び接合材4と同一材料よりそれぞれ形成されたサンプル基体12a、サンプル被接合体13b、及びサンプル接合材料14から構成されている。
【0110】
試験部134は、試験サンプル11に、予め定められた温度条件下で、H/C試験におけるヒートサイクル数に応じた回数と同じ回数、サイクル時間以下の周期で繰り返し3点曲げ試験による反り変形を与える。ここで、温度条件は、H/C試験における条件に応じて1サイクルのヒートサイクルにおける高温度から低温度の間のいずれかの温度、ここでは
図5による分析より決定したヒートサイクルにおける高温度とする。3点曲げ試験により試験サンプル11に与える機械的負荷は、ステップS102において決定された複数の負荷とし、それぞれの負荷について試験サンプル11に対する機械疲労試験を行う。機械疲労試験装置120による試験サンプル11の3点曲げ試験の詳細は先述のとおりであり、その結果(すなわち、寿命サイクル)は評価部136に送信される。
【0111】
ステップS106では、評価部136により、ステップS104において繰り返し曲げ変形を加えられた試験サンプル11におけるサンプル接合材料14(又はサンプル全体)の状態に基づいて、半導体モジュール1の構造部9の信頼性を評価する。評価部136は、ステップ102において決定された複数の機械的負荷のそれぞれに対してステップS104において得られた機械疲労試験の結果より、複数の機械的負荷のそれぞれにより試験サンプル11のサンプル接合材料14に生じる塑性ひずみに対する寿命サイクルの関係、すなわち寿命曲線を得ることで、H/C試験における複数の温度条件のヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4に生じる塑性ひずみに対する寿命サイクルの関係、すなわちH/C寿命曲線を推定する。
【0112】
先述の第1の試験方法では、半導体モジュール1の接合材4に与える温度場(すなわち、温度分布)及び応力場(すなわち、応力分布)を独立に制御することにより、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1に加わる応力を再現し、H/C寿命曲線を推定した。さらに、半導体モジュール1を簡素化した試験サンプル11を用いることで、設計の詳細によらず少ない因子のみで半導体モジュール1の信頼性を評価することを可能とした。ここで、信頼性評価の因子が少ないことで、事前に、試験サンプル11を用いて少ない因子に対して温度場及び応力場を与えて寿命曲線のデータベースを構築し、そのデータベースから評価対象の半導体モジュール1に対応する寿命曲線を選択することで信頼性試験を行うことなく信頼性を評価することもできる。
【0113】
図16は、本実施形態に係る試験システム100を用いた第2の試験方法のフローを示す。
【0114】
ステップS202では、試験部134により、機械疲労試験装置120を用いて複数の試験サンプル11のそれぞれに対して異なる機械的負荷を与える機械疲労試験を行って、寿命曲線のデータベースを作成する。
【0115】
試験サンプル11は、先述のとおり、半導体モジュール1の構造部9に対応して、サンプル基体12a及びサンプル被接合体13bをサンプル接合材料14により接合した構造部を有する。試験サンプル11は、サンプル基体12aの材質(例えば、金属ベース2aに対して採用される銅、アルミ炭化ケイ素複合材等)、サンプル被接合体13bの材質(たとえば、金属板3bに対して採用される銅、アルミニウム等)、及びサンプル接合材料14の材質(例えば、接合材4に対して採用されるSn−5wt%Sb等のはんだ)の組み合わせに対して複数用意されているものとする。その他、応力分布を制御するために(表1参照)、例えば
図8から
図11より決定した範囲内でサンプル基体12aの大きさ及び厚さ、サンプル被接合体13bの大きさ及び厚さ、並びにサンプル接合材料14のフィレットの形状等の試験サンプル11の設計条件に対して試験サンプル11を用意してもよい。
【0116】
試験部134は、機械疲労試験装置120を用いて、複数の試験サンプル11のそれぞれに対して3点曲げ試験による反り変形を繰り返し与える。ここで、試験条件(表1参照)として、H/C試験において定められる温度範囲内の温度条件、3点曲げ試験により試験サンプル11に加える荷重、支持治具121の支点間距離の幾つかの組み合わせが定められ、それぞれの条件に対して3点曲げ試験が行われる。これらの条件、さらに上述の試験サンプル11の設計条件を含む試験条件により、3点曲げ試験により試験サンプルに加えられる変形に応じた変化量、例えば応力、応力勾配、ひずみ、ひずみ勾配、及び温度が制御される。機械疲労試験装置120による試験サンプル11の3点曲げ試験の詳細は先述のとおりであり、その結果(すなわち、寿命サイクル)は評価部136に送信される。
【0117】
なお、上述の試験条件により、試験サンプル11の予め定められた範囲、例えばサンプル接合材料14の端部(すなわち、フィレット表面)における応力又はひずみの一次元分布、二次元分布、又は三次元分布を制御することとしてもよい。ここで、一次元分布は、例えば、高温度下で応力が集中するサンプル接合材料14の上側端部(フィレット表面上の点)から内部に向かう直線上の分布である。二次元分布は、サンプル接合材料14の端面(フィレット表面)から内部に向かう断面上の分布である。三次元分布は、サンプル接合材料14の端部(フィレット)を含む領域内での分布である。なお、信頼性試験として衝撃試験を採用する場合には、変形に応じた変化量としてひずみ速度を採用してもよい。
【0118】
評価部136は、FEM解析等の構造解析により、上述の試験条件に対して3点曲げ試験により試験サンプル11のサンプル接合材料14に加えられる変形に応じた変化量を算出する。例えば、評価部136は、サンプル接合材料14の端部における応力(又はひずみ)の二次元分布を算出し、フィレット表面で最も応力(ひずみ)が集中している点を選択し、その点から内部に向かう直線上での一次元分布から応力及び応力勾配(ひずみ及びひずみ勾配)を算出してもよい。その算出結果を用いて試験部134による機械疲労試験の結果を編集することで、試験サンプル11の構成各部の材質、温度条件、及び変形に応じた変化量(例えば、サンプル接合材料14の端部での応力及び応力勾配)に対してサンプル接合材料14に生じる塑性ひずみに対する寿命サイクルの関係、すなわち寿命曲線が得られる。なお、サンプル接合材料14に生じる塑性ひずみは、試験サンプル11に加える荷重から決まる。評価部136は、得られた寿命曲線を記憶装置(不図示)に記憶してデータベースを作成する。
【0119】
表2は、試験サンプル11を用いた機械疲労試験の試験結果より作成されたデータベース内の寿命曲線を選択するための試験条件を示す。サンプル基体12aの材質、サンプル被接合体13bの材質、サンプル接合材料14の材質及び厚さに対して、評価対象の半導体モジュール1の金属ベース2aの材質、金属板3bの材質、接合材4の材質及び厚さに一致するものを選択する。応力及び応力勾配(又はひずみ又はひずみ勾配)に対して、H/C試験におけるヒートサイクルにより半導体モジュール1の接合材4に加えられる応力分布(又は接合材4に生じるひずみ分布)に対応するものを選択する。温度に対して、ヒートサイクル温度の高温度から低温度の間のいずれかの温度を選択する。それにより、データベースの中から、半導体モジュール1のH/C試験の結果を再現する寿命曲線が抽出される。
【表2】
【0120】
なお、上述の試験条件により寿命曲線を選択することができれば、試験サンプル11の3点曲げ試験による機械疲労試験の試験結果に限らず、半導体モジュール1のH/C試験の試験結果からデータベースを作成してもよいし、両試験の結果を併せてデータベースを作成してもよい。表2に示した試験条件に対して寿命曲線のデータベースを作成すれば、任意の試験方法により得られた寿命曲線をデータベースに取り込むことができ、また任意の構成の半導体モジュール1の寿命設計に利用することができる。
【0121】
ステップS204では、決定部132により、ステップS202において実行した複数の機械疲労試験の結果の中から、H/C試験において半導体モジュール1の接合された構造部9に生じる変形に応じた変化を試験サンプル11に与えた試験を決定する。決定部132は、サンプル基体12aの材質、サンプル被接合体13bの材質、サンプル接合材料14の材質及び厚さに対して、評価対象の半導体モジュール1の金属ベース2aの材質、金属板3bの材質、接合材4の材質及び厚さに一致するものを選択する。決定部132は、例えば熱応力シミュレーションにより、H/C試験のヒートサイクルにより評価対象である半導体モジュール1の接合材4に与えられる変形に応じた変化量、例えば応力及び応力分布(又はひずみ又はひずみ勾配)を算出し、算出されたそれらに一致する又は最も等しいものを選択する。なお、変化量の一致は、サンプル接合材料14内の一角部に限らず、複数個所について判断してもよい。決定部132は、温度に対して、ヒートサイクル温度の高温度を選択する。それにより、算出された変化量に対応する機械的負荷(荷重)を与えた試験が複数の機械疲労試験の中から決定される。なお、算出された変化量に対応する機械的負荷とは、必ずしも一致する負荷とは限らず、最も等しい負荷であってもよい。決定された試験は、評価部136に送信される。
【0122】
ステップS206では、評価部136により、決定された試験の試験結果に基づいて、半導体モジュール1の接合された構造部9の信頼性を評価する。評価部136は、ステップS202において作成されたデータベース内の寿命曲線の中からステップS204において決定された試験に対するものを抽出し、表示デバイス(不図示)上に出力する。それにより、ユーザが、H/C試験による半導体モジュール1の信頼性を評価することができる。
【0123】
上述の第2の試験方法では、半導体モジュール1の信頼性の評価に先立って、機械疲労試験装置120を用いて試験サンプル11の機械疲労試験を行って寿命曲線のデータベースを作成したが、作成済みのデータベースを入手し、これを用いて半導体モジュール1の信頼性を評価してもよい。
【0124】
図17は、変形例に係る評価システム200の構成を示す。評価システム200は、寿命曲線のデータベースを用いて半導体モジュール1の信頼性を評価するシステムであり、記憶装置240及び評価装置230を備える。
【0125】
記憶装置240は、寿命曲線のデータベースを記憶する装置であり、評価装置230(に含まれる取得部238)と通信可能に接続される。なお、記憶装置240は、寿命曲線のデータベースを記憶する記録媒体を読み取り可能に有する読み取り装置であってもよい。データベースは、例えば、先述のステップS202と同様の手順により作成されているものとする。
【0126】
評価装置230は、取得部238、決定部232、及び評価部236を備える。
【0127】
取得部238は、記憶装置240にアクセスして、機械疲労試験の試験結果(すなわち、寿命曲線)を取得する。
【0128】
決定部232及び評価部236は、それぞれ、先述の決定部132及び評価部136と同様に構成される。
【0129】
図18は、変形例に係る評価システム200を用いた評価方法のフローを示す。
【0130】
ステップ302では、取得部238により、記憶装置240に記憶されたデータベースから、サンプル接合材料14によりサンプル被接合体13bがサンプル基体12aに接合された接合部を有する複数の試験サンプル11のそれぞれに対して異なる機械的負荷を与えた複数の機械疲労試験の試験結果(すなわち、寿命曲線)を取得する。ここで、取得部238は、複数の試験サンプルのそれぞれに対して、H/C試験において定められる温度範囲内の温度条件、3点曲げ試験により試験サンプル11に加える荷重、支持治具121の支点間距離、さらに上述の試験サンプル11の設計条件(サンプル基体12aの大きさ及び厚さ、サンプル被接合体13bの大きさ及び厚さ、並びにサンプル接合材料14の厚さ(試験サンプル11全体の厚さでもよい)及びフィレットの形状等)のうちの少なくとも1つが異なる機械的負荷を与えた複数の機械疲労試験の試験結果を取得する。
【0131】
なお、上記の条件により、3点曲げ試験により試験サンプルに加えられる変形に応じた変化量、例えば応力、応力勾配、ひずみ、ひずみ勾配、および温度が制御される。さらに、試験サンプル11の予め定められた範囲、例えばサンプル接合材料14の端部(すなわち、フィレット表面)における応力又はひずみの一次元分布、二次元分布、又は三次元分布が制御されてもよい。これらの分布の詳細は先述したとおりである。
【0132】
ステップ304では、決定部232により、複数の機械疲労試験の中から、H/C試験において半導体モジュール1の接合された構造部9に生じる変形に応じた変化を試験サンプル11に与えた試験を決定する。決定部232は、FEM解析等の構造解析により、H/C試験のヒートサイクルにより評価対象である半導体モジュール1の接合材4に与えられる変形に応じた変化量を算出し、算出された変化量に対応する機械的負荷(荷重)を与えた試験を複数の機械疲労試験の中から決定する。なお、算出された変化量に対応する機械的負荷とは、必ずしも一致する負荷とは限らず、最も等しい負荷であってもよい。決定された試験は、評価部236に送信される。
【0133】
ステップS306では、評価部236により、決定された機械疲労試験の試験結果に基づいて、半導体モジュール1の接合材4の部分の信頼性を評価する。評価部236は、ステップS302において取得された複数の機械疲労試験の試験結果(すなわち、寿命曲線)の中からステップS304において決定された試験に対するものを抽出し、表示デバイス(不図示)上に出力する。それにより、ユーザが、H/C試験による半導体モジュール1の信頼性を評価することができる。
【0134】
本実施形態に係る試験方法及び評価方法では、評価対象物の一例である半導体モジュール1において絶縁基板3を金属ベース2aに接合する接合材4としてはんだを採用したが、これに限らず、はんだ以外の金属を採用してもよい。また、樹脂材料を用いて絶縁基板3を金属ベース2aに接着してもよい。また、評価対象物は、絶縁基板3に含まれる金属板3bと金属ベース2aとの2つの金属の接合体を含む半導体モジュールとしたが、これに限らず、2つの樹脂材を接着してなる接合体を含む半導体モジュールでもよい。評価対象物は、任意の接合材料により複数の部材が接合された任意の構成の構造体でもよい。
【0135】
なお、本実施形態に係る試験方法及び評価方法では、半導体モジュールの信頼性試験としてヒートサイクルを適用したが、これに限らず、パワーサイクル試験等、任意の信頼性試験を適用してもよい。
【0136】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0137】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0138】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0139】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0140】
図19は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0141】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0142】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0143】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD−ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD−ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0144】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0145】
プログラムが、DVD−ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0146】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0147】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226(DVD−ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0148】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0149】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0150】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0151】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。