(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(D)の量が、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量(100質量部)に対し、0.02〜0.5質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において用いられる現像液、溶剤、フォトレジスト液;インクジェットプリンタにおけるプリンタインク等の薬液等に溶存しているガスを脱気するために中空糸モジュールが用いられている。
【0003】
中空糸モジュールは、選択的透過性を有する複数本の中空糸を引き揃えた状態で束ねた中空糸束と、中空糸束を収納する筒状の収納ケースとから構成されている。中空糸束の両端部は、ポッティング剤の硬化物によって中空糸間の隙間が埋められた状態で集束されているとともに、ポッティング剤の硬化物によって収納ケースに固定されている。
【0004】
中空糸モジュールは、例えば、以下のようにして製造される。
複数本の中空糸を引き揃えた状態で束ねて中空糸束とする。中空糸束の両端部をそれぞれポッティング剤中に浸漬し、この状態でポッティング剤を半硬化させ、半硬化物とする。半硬化物の一部を中空糸ごと切断、除去して、所望形状にするとともに中空糸の端部の開口が半硬化物の切断面から露出した状態とする。両端部が半硬化物によって集束された中空糸束を収納ケースに収納し、半硬化物をさらに硬化させることによって、中空糸束をポッティング剤の硬化物を介して収納ケースに固定する。
【0005】
このような製造方法に用いられるポッティング剤には、以下の点が要求される。
・中空糸の両端部をポッティング剤中に浸漬し、中空糸の間にポッティング剤を隙間なく充填させるため、硬化にかかる時間を制御できること。
・半硬化物の一部を切断、除去するため、浸漬後の硬化条件で切断が容易な硬さに短時間で達すること。
・半硬化物をさらに硬化させた最終硬化物は薬液に接触するため、最終硬化物が耐薬品性および耐水性を有すること。
【0006】
低温と高温との二つの温度にて二段階硬化させることができ、最終硬化物が耐薬品性に優れるポッティング剤としては、下記のものが提案されている。
(1)エポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物と、チオール基を4個以上有するエポキシ化合物と、フェノール性水酸基および/またはアミノ基を少なくとも有する硬化触媒とを含み、エポキシ化合物のエポキシ基に対するチオール化合物のチオール基のモル比が0.05〜0.5であるポッティング剤(特許文献1)。
【0007】
中空糸束の端部を固定する際に中空糸の間に隙間なく充填され、気泡を抜く時間を十分に確保でき、かつ最終硬化物が耐溶剤性に優れるポッティング剤としては、下記のものが提案されている。
(2)分子内に少なくとも2つのチオール基を有するチオール化合物と、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、ホスフィン化合物と、酸とを含むポッティング剤(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、(1)のポッティング剤は、高温での硬化に例えば100℃×12時間という加熱が必要であり、中空糸の材質によっては中空糸に欠陥が生じる。
(2)のポッティング剤は、イソシアネート化合物の反応性とエポキシ化合物の反応性とが異なるため、二段階硬化が可能であり、半硬化物は切断容易な硬さとなる。また、比較的低温で最終硬化物を得ることができる。しかし、最終硬化物の耐水性が不充分である。
【0010】
本発明は、半硬化物が切断容易な硬さとなり、最終硬化物が耐薬品性および耐水性に優れ、かつ比較的低温で最終硬化物を得ることができる硬化性組成物、ポッティング剤および硬化性組成物キット、ならびに中空糸束の固定部分の耐薬品性および耐水性に優れる中空糸モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>成分(A):分子内に少なくとも2つのチオール基を有するチオール化合物と、成分(B):分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有し、かつイソシアネート当量が130〜1000g/molである変性脂肪族イソシアネート化合物と、成分(C):分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、成分(D):ホスフィン化合物とを含む、硬化性組成物。
<2>前記成分(B)と前記成分(C)との合計に対する前記成分(B)の質量比が、0.25〜0.9である、前記<1>の硬化性組成物。
<3>前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計に対する前記成分(A)の質量比が、0.35〜0.65である、前記<1>または<2>の硬化性組成物。
<4>前記成分(D)が、下記式(I)で表される化合物である、前記<1>〜<3>のいずれかの硬化性組成物。
【化1】
ただし、X
1、X
2およびX
3は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基または複素環基であり、X
1、X
2およびX
3は、それぞれ置換基を有していてもよく、その置換基は、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基および複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
<5>前記成分(D)の量が、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量(100質量部)に対し、0.02〜0.5質量部である、前記<1>〜<4>のいずれかの硬化性組成物。
<6>中空糸モジュールにおいて中空糸束の端部を固定するためのポッティング剤であって、前記<1>〜<5>のいずれかの硬化性組成物からなる、ポッティング剤。
<7>成分(A):分子内に少なくとも2つのチオール基を有するチオール化合物と、成分(D):ホスフィン化合物とを含み、下記成分(B)と下記成分(C)とを含まない組成物(X)を収容した第1の容器と、成分(B):分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有し、かつイソシアネート当量が130〜1000g/molである変性脂肪族イソシアネート化合物と、成分(C):分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物とを含み、前記成分(A)と前記成分(D)とを含まない組成物(Y)を収容した第2の容器とを有する、硬化性組成物キット。
<8>前記<6>のポッティング剤の硬化物で中空糸束が固定された中空糸モジュール。
【発明の効果】
【0012】
本発明の硬化性組成物およびポッティング剤によれば、半硬化物が切断容易な硬さとなり、最終硬化物が耐薬品性および耐水性に優れ、かつ比較的低温で最終硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物キットによれば、半硬化物が切断容易な硬さとなり、最終硬化物が耐薬品性および耐水性に優れ、かつ比較的低温で最終硬化物を得ることができる、取扱性に優れた2液型硬化性組成物を提供できる。
本発明の中空糸モジュールは、中空糸束の固定部分の耐薬品性および耐水性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「イソシアネート当量」は、イソシアネート化合物の分子量を、1分子あたりのイソシアネート基の数で除算することによって求めた値である。
「タイプDデュロメータ硬さ」は、JIS K 6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」(対応国際規格ISO 7619−1)に準拠の手法によって求めた値である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
【0014】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、成分(A):分子内に少なくとも2つのチオール基を有するチオール化合物と、成分(B):分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有し、かつイソシアネート当量が130〜1000g/molである変性脂肪族イソシアネート化合物と、成分(C):分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、成分(D):ホスフィン化合物とを含む。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
【0015】
本発明の硬化性組成物は、二段階で硬化させることができる。本発明の硬化性組成物の二段階硬化においては、成分(A)と成分(B)との反応によって半硬化物が得られたのち、成分(A)と成分(C)との反応によって最終硬化物が得られる。
半硬化物は、容易に切断できるために適度な硬度を有する必要がある。半硬化物の25℃におけるタイプDデュロメータ硬さは、1〜50が好ましい。
【0016】
(成分(A))
成分(A)は、分子内に少なくとも2つのチオール基(メルカプト基)を有するチオール化合物である。
成分(A)としては、脂肪族ポリチオール化合物、芳香族ポリチオール化合物、チオール基以外に硫黄原子を有する芳香族ポリチオール化合物、チオール基以外に硫黄原子を有する脂肪族ポリチオール化合物等が挙げられる。
【0017】
脂肪族ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、トリス−[(2−メルカプトアセチルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0018】
芳香族ポリチオール化合物としては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等が挙げられる。
【0019】
チオール基以外に硫黄原子を有する芳香族ポリチオール化合物としては、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、およびこれらの各アルキル化物等が挙げられる。
【0020】
チオール基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物としては、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、およびこれらのチオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸およびメルカプトブタン酸のエステル;ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトブチレート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトブチレート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジブタン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジブタン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジブタン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジブタン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等が挙げられる。
成分(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
成分(A)のチオール基の数は、3〜6個が好ましく、4〜6個がより好ましい。成分(A)のチオール基の数が少ないと半硬化物が柔らかくなりすぎてしまい、多いと半硬化物が硬くなりすぎてしまう。成分(A)のチオール基の数が前記範囲内であれば、切断しやすい硬さとなりやすい。
チオール基の数が3〜6個の成分(A)としては、入手容易性等の点から、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、トリス−[(2−メルカプトアセチルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス−[(3−メルカプトブチリルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)が好ましい。
【0022】
(成分(B))
成分(B)は、変性脂肪族イソシアネート化合物である。変性脂肪族イソシアネート化合物は、他のイソシアネート化合物に比べ、半硬化物を与える温度において、反応性が高すぎたり、低すぎたりしない。変性脂肪族イソシアネート化合物は、10〜50℃の半硬化温度で適度な反応性を有する。
【0023】
変性脂肪族イソシアネート化合物のイソシアネート当量は、130〜1000g/molであり、150〜900g/molが好ましい。変性脂肪族イソシアネート化合物のイソシアネート当量が前記範囲内であれば、他のイソシアネート化合物に比べ、成分(A)との反応による半硬化物が適度な硬度を有するものとなる。また、最終硬化物の耐水性を低下させにくい。
【0024】
成分(B)としては、脂肪族ジイソシアネート化合物のビウレット型、イソシアヌレート型等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルイソシアネート)、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
成分(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
(成分(C))
成分(C)は、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物である。
成分(C)としては、耐薬品性および耐水性がさらに優れる最終硬化物を得る点から、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましく、分子内に少なくとも3つのエポキシ基を有するエポキシ化合物がより好ましい。
成分(C)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジル基を有する化合物等が挙げられる。
【0026】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、トリグリシジルアミノフェノール、ビフェニルジグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体等が挙げられる。
成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
(成分(D))
成分(D)は、ホスフィン化合物である。
成分(D)は、成分(A)と成分(B)との反応、および成分(A)と成分(C)との反応を促進する硬化促進剤として用いる。成分(B)と成分(C)は本質的に大きく異なる反応性を有しているが、成分(D)を用いることによって双方を順番に反応させることが可能となる。
成分(D)としては、ホスフィン類、ジホスフィン類等が挙げられる。
【0028】
ホスフィン類としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−2,4−キシリルホスフィン、トリ−2,5−キシリルホスフィン、トリ−3,5−キシリルホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン、ジ−t−ブチルフェニルホスフィン、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−t−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチル(2−ブテニル)ホスフィン、ジ−t−ブチル(3−メチル−2−ブテニル)ホスフィン、トリメシチルホスフィン等が挙げられる。
【0029】
ジホスフィン類としては、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン等が挙げられる。
成分(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
成分(D)としては、成分(C)への求核付加に適した求核性を有する点から、下記式(I)で表される化合物(I)が好ましい。
【0032】
ただし、X
1、X
2およびX
3は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基または複素環基である。
アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基およびアルキニル基は、それぞれ直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
【0033】
X
1、X
2およびX
3は、それぞれ置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、複素環基が挙げられる。
【0034】
(他の成分)
他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、脱臭剤、密着性向上剤または接着性改良剤(シランカップリング剤、チタンカップリング剤等)、酸化防止剤(ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等)、安定剤(金属石けん類、重金属(亜鉛、錫、鉛、カドミウム等)の無機または有機塩類、有機錫化合物等)、可塑剤(フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、ひまし油、流動パラフィンアルキル、多環芳香族炭化水素等)、ワックス類(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワンクス、重合ワックス、密ロウ、鯨ロウ、低分子量ポリオレフィン等)、非反応性希釈剤(ベンジルアルコール、タール、ピチューメン等)、反応性希釈剤(低分子脂肪族グリシジルエーテル、芳香族モノグリシジルエーテル、(メタ)アクリレートエステル類等)、充填材(炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、クレー、セリサイト、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ガラス粉、ガラスバルーン、シラスバルーン、石炭粉、アクリル樹脂粉、フェノール樹脂粉、金属粉末、セラミック粉末、ゼオライト、スレート粉等)、顔料または染料(カーボンブランク、酸化チタン、赤色酸化鉄、パラレッド、紺青等)、溶剤(酢酸エチル、トルエン、アルコール類、エーテル類、ケトン類等)、発泡剤、脱水剤(カルボジイミド化合物等)、帯電防止剤、抗菌剤、防かび剤、粘度調製剤、香料、難燃剤、レベリング剤、分散剤、ラジカル重合開始剤、揺変性付与剤、導電性付与剤等が挙げられる。
【0035】
(各成分の割合)
成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計に対する成分(A)の質量比((A)/{(A)+(B)+(C)})は、0.35〜0.65が好ましく、0.37〜0.60がより好ましく、0.40〜0.55がさらに好ましい。(A)/{(A)+(B)+(C)}が前記範囲内であれば、最終硬化物の耐薬品性および耐水性がさらに優れる。
【0036】
成分(B)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比((B)/{(B)+(C)})は、0.25〜0.9が好ましく、0.30〜0.8がより好ましく、0.35〜0.75がさらに好ましく、0.40〜0.60が特に好ましい。(B)/{(B)+(C)}が前記範囲の下限値以上であれば、半硬化物が切断容易な硬さとなりやすい。(B)/{(B)+(C)}が前記範囲の上限値以下であれば、最終硬化物の耐水性がさらに優れる。
【0037】
成分(D)の量は、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量(100質量部)に対し、0.02〜0.5質量部が好ましく、0.03〜0.4質量部がより好ましく、0.05〜0.3質量部がさらに好ましい。成分(D)の量が前記範囲の下限値以上であれば、成分(A)と成分(B)との反応を十分に促進し、半硬化物の硬さが適度な硬さとなりやすい。成分(D)の量が前記範囲の上限値以下であれば、硬化性組成物を半硬化させる工程で成分(A)と成分(C)との反応が進みすぎない。
【0038】
(作用機序)
以上説明した本発明の硬化性組成物にあっては、成分(B)および成分(C)を含むため、二段階で硬化させることができる。すなわち、成分(D)の存在下に、成分(B)は比較的低温で成分(A)と反応し、成分(C)は比較的高温で成分(A)と反応する。そのため、加熱履歴を適切にコントロールすることによって、半硬化物と最終硬化物(完全硬化物)とを任意のタイミングで形成できる。
また、成分(C)を含むため、最終硬化物の耐薬品性および耐水性に優れる。
また、成分(B)が、イソシアネート当量が130〜1000g/molである変性脂肪族イソシアネート化合物であるため、半硬化物が適度な硬度を有し、かつ最終硬化物の耐水性を低下させにくい。
また、成分(D)を含むため、比較的低温で最終硬化物を得ることができる。
以上のことから、本発明の硬化性組成物によれば、半硬化物が切断容易な硬さとなり、最終硬化物が耐薬品性および耐水性に優れ、かつ比較的低温で最終硬化物を得ることができる。
【0039】
(用途)
本発明の硬化性組成物は、中空糸モジュールのポッティング剤、接着剤、コーティング剤、繊維強化複合材料のマトリックス用の樹脂等として用いることができる。本発明の硬化性組成物は、ポッティング剤として好適である。
【0040】
<ポッティング剤>
ポッティング剤は、中空糸モジュールにおいて中空糸束の端部を固定するためのポッティング剤である。
本発明のポッティング剤は、本発明の硬化性組成物からなる。
【0041】
(中空糸モジュールの製造方法)
本発明のポッティング剤を用いた中空糸モジュールの製造方法について説明する。
複数本の中空糸を引き揃えた状態で束ねて中空糸束とする。中空糸は、中空糸膜とも呼ばれ、液体のろ過、液体中のガスの脱気、液体中へのガスの給気等に用いられる。
【0042】
中空糸束の端部をポッティング剤中に浸漬する。中空糸束の端部をポッティング剤に浸漬させた状態において、ポッティング剤を低温に加熱することによって半硬化させ、半硬化物とする。
【0043】
ポッティング剤の低温での加熱温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。ポッティング剤の低温での加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、成分(A)と成分(B)との硬化反応が十分に進行し、半硬化物の硬さが十分となる。そのため、切断工程において半硬化物が中空糸を切断応力に抗して支持することができず、中空糸を切断刃によって円滑に切断することができないという問題が生じにくい。ポッティング剤の低温での加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、成分(C)の硬化反応が進行しにくく、半硬化物が硬くなりすぎず、半硬化物の切断をさらに容易に行うことができる。
【0044】
半硬化物の一部を中空糸ごと切断し、中空糸の端部の開口が半硬化物の切断面から露出した状態とする。
切断後の半硬化物を、半硬化時よりも高い温度で加熱して最終硬化物とする。
【0045】
最終硬化物を得るための加熱温度は、50〜80℃が好ましく、60〜75℃がより好ましい。最終硬化物を得るための加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、半硬化物の硬化が十分となり、最終硬化物の耐薬品性および機械的強度がさらに優れる。最終硬化物を得るための加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、硬化反応が暴走することなく、最終硬化物が焦げたり、中空糸に欠陥を生じさせたりするおそれがない。
【0046】
ポッティング剤の最終硬化物は、優れた耐薬品性および機械的強度を有していることから、中空糸モジュール内に供給された薬液によって膨潤するようなことはない。また、薬液は中空糸モジュール内に圧力を加えた状態で供給されるが、最終硬化物は優れた機械的強度を有していることから、薬液の供給圧力に十分に耐えることができる。よって、本発明のポッティング剤の硬化物によって中空糸束の端部が集束された中空糸モジュールは、長期間にわたって安定的に使用することができる。
【0047】
<硬化性組成物キット>
成分(A)と成分(B)、および成分(A)と成分(C)とは、触媒がなくても反応するため、通常、成分(A)を含み、成分(B)および成分(C)を含まない組成物(X)と、成分(B)および成分(C)を含み、成分(A)を含まない組成物(Y)とからなる2液型硬化性組成物として用いられる。
成分(D)は、成分(C)と反応するため、成分(C)を含まない組成物(X)に含ませる。
【0048】
したがって、2液型硬化性組成物としては、成分(A)と成分(D)とを含み、成分(B)と成分(C)とを含まない組成物(X)と、成分(B)と成分(C)とを含み、成分(A)と成分(D)とを含まない組成物(Y)とからなるものが好ましい。
【0049】
2液型硬化性組成物は、組成物(X)を収容した第1の容器と、組成物(Y)を収容した第2の容器とを有する硬化性組成物キットとして提供されることが好ましい。
硬化性組成物キットによれば、保管時には経時変化が少なく、混合した際には成分(A)のチオール基と、成分(B)のイソシアネート基および成分(C)のエポキシ基との反応において、取扱性に優れた2液型硬化性組成物を提供できる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
(タイプDデュロメータ硬さ)
25mm×40mm×高さ2mmの型内に硬化性組成物を流し込み、40℃にて1時間にわたって加熱して半硬化させて半硬化物を得た。
半硬化物の25℃におけるタイプDデュロメータ硬さをJIS K 6253−3:2012に準拠の手法によって求めた。
【0052】
(耐薬品性、耐水性)
25mm×40mm×高さ2mmの型内に硬化性組成物を流し込み、40℃にて1時間にわたって加熱して半硬化させて半硬化物を得た。半硬化物を60℃にて6時間にわたって加熱して完全に硬化させて最終硬化物を得た。最終硬化物の質量W
0を測定した。最終硬化物を23℃のテトラヒドロフルフリルアクリレートまたは60℃の脱イオン水中に7日間にわたって浸漬した後、最終硬化物の質量W
1を測定した。
最終硬化物の質量変化率を下記式に基づいて算出した。
質量変化率(%)=100×(W
1−W
0)/W
0
【0053】
(成分(A))
成分(A1):ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学社製、PEMP)。
成分(A2):ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工社製、MT−PE1)。
【0054】
(成分(B))
成分(B1):ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(東ソー社製、コロネート(登録商標)HXR、イソシアネート当量:191g/mol)。
【0055】
(成分(B’))
成分(B’2):ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業社製、イソシアネート当量:84g/mol)。
【0056】
(成分(C))
成分(C1):トリグリシジルアミノフェノール(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)630)。
成分(C2):テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)604)。
【0057】
(成分(D))
成分(D1):トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、ホクコーTPP(登録商標))。
成分(D2):ジフェニルシクロヘキシルホスフィン(北興化学工業社製、DPCP(登録商標))。
【0058】
(実施例1〜16、比較例1)
表1に示す配合量で各成分を混合し、組成物(X)および組成物(Y)を調製した。組成物(X)および組成物(Y)を混合して硬化性組成物を得て、最終硬化物の耐薬品性および耐水性の試験に供した。表1〜表3に結果を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
比較例1は、成分(B)の代わりに、イソシアネート当量が130g/mol未満である変性されていない脂肪族イソシアネートを用いたため、最終硬化物の耐水性に劣っていた。