(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、可とう性を有し、有機溶剤への溶解性に優れ、使用勝手がよいポリベンゾオキサゾール樹脂、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、所定のシリコーン変性したポリベンゾオキサゾール樹脂によって前記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本発明は、下記シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂及びその製造方法を提供する。
1.下記式(1a)で表される繰り返し単位及び下記式(1b)で表される繰り返し単位を有するシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂。
【化1】
[式中、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、グリシジル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含んでもよい。m及びnは、それぞれ独立に、0〜300の整数である。R
5は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキレン基、又はフェニレン基である。a及びbは、0<a<1、0<b<1、及びa+b=1を満たす正数である。X
1は、下記式(2)で表される2価の連結基である。
【化2】
(式中、X
2は、単結合又は2価の有機基である。R
11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R
12は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。R
13は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又はグリシジルオキシ基である。R
14は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。r及びsは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。)]
2.重量平均分子量が3,000〜500,000である1のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂。
3.X
2が、下記式で表される基から選ばれる基である1又は2のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂。
【化3】
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基である。kは、1〜6の整数である。xは、0〜4の整数である。y及びzは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
4.1〜3のいずれかのシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂を含む樹脂皮膜。
5.下記式(1−A)で表されるオルガノポリシロキサンと、下記式(1−B)で表される化合物と、下記式(2−A)で表されるベンゾオキサゾール化合物とを付加重合反応させる、1〜3のいずれかのシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂の製造方法。
【化4】
(式中、R
1〜R
5、R
11〜R
14、X
2、m、n、p、q、r及びsは、前記と同じ。)
6.下記式(2−A)で表されるベンゾオキサゾール化合物。
【化5】
[式中、R
11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R
12は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。R
13は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又はグリシジルオキシ基である。R
14は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。r及びsは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。X
2は、単結合、又は下記式で表される基から選ばれる2価の有機基である。
【化6】
(式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基である。kは、1〜6の整数である。xは、0〜4の整数である。y及びzは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)]
7.下記式(2−B)で表される化合物と、下記式(2−C)で表される化合物と、下記式(2−D)で表される化合物とを反応させる、6のベンゾオキサゾール化合物の製造方法。
【化7】
(式中、R
11〜R
14、X
2、p、q、r及びsは、前記と同じ。Eは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜8のアルコキシ基、及びフェノキシ基から選ばれる脱離基である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、加熱処理により容易に樹脂皮膜を形成することができる。この樹脂皮膜は、有機溶剤に対する耐性が高く、更に高湿条件下においても銅等の金属基板や、ガラス、シリコン又はその窒化物膜や酸化物膜等の半導体基板への接着性、密着性及び耐久性にも優れる。したがって、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、各種金属の表面保護、半導体素子の保護材、各種基板の保護材、接着剤、耐熱塗料等として有用である。また、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂の製造方法によれば、簡便に効率よく目的物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂]
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、下記式(1a)で表される繰り返し単位及び下記式(1b)で表される繰り返し単位を有する。
【化8】
【0010】
式(1a)中、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、グリシジル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含んでもよい。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、芳香族基等が挙げられる。
【0011】
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。前記芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0012】
式(1b)中、R
5は、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキレン基、又はフェニレン基である。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。これらのうち、メチレン基又はフェニレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0013】
m及びnは、それぞれ独立に、0〜300の整数であるが、0〜200が好ましく、0〜100がより好ましい。a及びbは、0<a<1、0<b<1、及びa+b=1を満たす正数であるが、0.05≦a≦0.8、0.2≦b≦0.95を満たすことが好ましく、0.1≦a≦0.7、0.3≦b≦0.9を満たすことがより好ましい。
【0014】
式(1a)及び(1b)中、X
1は、下記式(2)で表される2価の連結基である。
【化9】
【0015】
式(2)中、X
2は、単結合又は2価の有機基である。R
11は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R
12は、それぞれ独立に、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基を構成するメチレン基の一部が、エーテル結合又はフェニレン基で置換されていてもよい。R
13は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜8の1価炭化水素基、又はグリシジルオキシ基である。R
14は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、該1価炭化水素基の水素原子の一部が、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
前記炭素数1〜8の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、芳香族基等が挙げられるが、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。前記アルキル基及び芳香族基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0017】
式(2)中、p及びqは、それぞれ独立に、0〜4の整数であるが、0又は1が好ましい。r及びsは、それぞれ独立に、0〜3の整数であるが、0が好ましい。
【0018】
X
2で表される2価の有機基としては、以下に示すものから選ばれることが好ましい。
【化10】
【0019】
式中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜8のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基である。kは、1〜6の整数である。xは、0〜4の整数であるが、好ましくは0〜2である。y及びzは、それぞれ独立に、0〜4の整数であるが、好ましくは0〜2である。
【0020】
これらのうち、以下に示すものがより好ましい。
【化11】
(式中、R、x、y、及びzは、前記と同じ。)
【0021】
X
1としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化12】
【0022】
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30〜80質量%であることが好ましい。
【0023】
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、重量平均分子量(Mw)が3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフランを溶出溶剤として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0024】
[シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂の製造方法]
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、下記式(1−A)で表されるオルガノポリシロキサンと、下記式(1−B)で表される化合物と、下記式(2−A)で表されるベンゾオキサゾール化合物との付加重合反応によって製造することができる。
【化13】
(式中、R
1〜R
5、R
11〜R
14、X
2、m、n、p、q、r及びsは、前記と同じ。)
【0025】
前記付加重合反応は、金属触媒存在下で行うことが好ましい。前記金属触媒としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・xH
2O、H
2PtCl
6・xH
2O、NaHPtCl
6・xH
2O、KHPtCl
6・xH
2O、Na
2PtCl
6・xH
2O、K
2PtCl
4・xH
2O、PtCl
4・xH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・xH
2O(ここで、xは、0〜6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号明細書に記載のもの);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(例えば、米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、及び米国特許第3,775,452号明細書に記載のもの);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(いわゆるウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特に、ビニル基含有環状シロキサン)との錯体等を使用することができる。
【0026】
前記触媒の使用量は触媒量であり、通常、前記付加重合反応において使用する溶剤以外の化合物の総質量中、白金族金属として0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.01〜0.1質量%であることがより好ましい。
【0027】
前記付加重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。反応温度は、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、40〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。重合時間は、得られる樹脂の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5〜100時間が好ましく、0.5〜30時間がより好ましい。反応終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂を得ることができる。
【0028】
反応方法は、特に限定されないが、まず、式(2−A)で表される化合物を溶剤に加え加熱した後、前記混合液に金属触媒を添加し、次いで式(1−A)及び(1−B)で表される化合物を0.1〜5時間かけて滴下するのがよい。
【0029】
前記付加重合反応においては、各原料化合物は、式(2−A)で表される化合物が有するアルケニル基の合計に対し、式(1−A)及び(1−B)で表される化合物が有するヒドロシリル基の合計が、モル比で、好ましくは0.67〜1.67、より好ましくは0.83〜1.25となるように配合するのがよい。得られる樹脂のMwは、o−アリルフェノールのようなモノアリル化合物、トリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシラン、モノヒドロシロキサン等を分子量調整剤として使用することにより制御することが可能である。
【0030】
一般的なポリベンゾオキサゾール樹脂の製造方法は、カルボン酸化合物とビスアミノフェノール化合物を反応させ、ポリアミドを経由した後、150℃以上の高温での閉環ポリベンゾオキサゾール化反応が必要となるが、この条件は過酷であり、かつ時間がかかるといった問題点を有していた。しかし、前述した本発明の方法によれば、簡便に効率よく目的物を得ることができる。
【0031】
式(2−A)で表されるベンゾオキサゾール化合物は、下記式(2−B)で表される化合物と、下記式(2−C)で表される化合物と、下記式(2−D)で表される化合物とを反応させ、オキサジン環化合成を行うことによって製造することができる。
【化14】
【0032】
式(2−B)〜(2−D)中、R
11〜R
14、X
2、p、q、r及びsは、前記と同じ。Eは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜8のアルコキシ基、及びフェノキシ基から選ばれる脱離基である。前記脱離基としては、脱離能が高く、短時間で反応の完結が可能という観点から、ヒドロキシ基又はフェノキシ基が好ましい。
【0033】
前記反応は、必要に応じて溶剤中で行われる。前記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、アミド系溶剤、ラクトン類、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、尿素系溶剤、スルホキシド系溶剤、スルホン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0034】
また、必要に応じて、ポリリン酸、カルボジイミド等の反応促進剤を用いてもよい。また、二重結合が酸によりカチオン重合反応を起こしうる場合には、重合禁止剤等を入れてもよい。
【0035】
反応温度は、原料や生成物が分解せず、収率よく短時間で反応完結が可能という観点から、100〜250℃程度が好ましく、150〜230℃程度がより好ましい。また、反応時間は、目的化合物の種類及び量にもよるが、反応系中に湿気の介入を防ぐ観点から、0.5〜100時間程度が好ましく、0.5〜30時間程度がより好ましい。
【0036】
前記反応においては、各原料化合物は、式(2−B)で表される化合物1molに対し、式(2−C)で表される化合物及び式(2−D)で表される化合物を合計で2〜3mol配合することが好ましく、2〜2.3mol配合することがより好ましい。なお、式(2−C)で表される化合物及び式(2−D)で表される化合物の使用量は、目的とするベンゾオキサゾール化合物に応じて適宜設定すればよい。また、製造が容易である点から、式(2−C)で表される化合物及び式(2−D)で表される化合物は、同じ化合物であることが好ましい。
【0037】
式(1−A)で表されるオルガノポリシロキサン及び式(1−B)で表される化合物は、従来公知の方法で合成することができ、又は市販品として入手可能である。
【0038】
[シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂皮膜]
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂を、トルエン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させてシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物をガラス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属、ガラス等の基材からなる基板上に塗布し、溶剤を蒸発・除去して成膜した後に、好ましくは40〜400℃、より好ましくは80〜250℃の範囲の温度条件で、好ましくは0.01〜30時間、より好ましくは0.1〜20時間加熱することにより、表面が平滑で、アルコール類、ケトン類、トルエン系等に対する耐溶剤性に優れた良好な樹脂皮膜が得られる。前記樹脂皮膜は、形成方法にもよるが、好ましくは1μm〜1cm程度、より好ましくは10〜500μmの範囲内で任意なものとすることができる。また、得られた樹脂皮膜は、基材との接着性や密着性に優れたものである。なお、前記樹脂組成物においては、シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0039】
また、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂皮膜の製造に際して、架橋反応を促進する目的で、前記樹脂組成物に硬化触媒を添加することも可能である。使用される硬化触媒としては、有機過酸化物、オニウム塩、カチオン触媒等が挙げられる。有機過酸化物の例としてはベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、ビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオアミド]等が挙げられ、オニウム塩の例としては、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、ピリジニウムm−ニトロベンゼンスルホネート、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等が挙げられ、カチオン触媒としては、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−キシレンスルホン酸等が挙げられる。硬化触媒を用いる場合、その使用量は特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、通常、シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂100質量部に対し、0.1〜4質量部程度である。
【0040】
なお、前記架橋・硬化反応機構については、付加重合反応に関与しなかった環内オレフィン性炭素−炭素二重結合及び/又は付加重合反応後に残存している端部のオレフィン性炭素−炭素二重結合の解裂に基づくものと推測される。
【0041】
更に、前記シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填剤を配合してもよい。前記無機質充填剤の例としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、カーボンブラック、マイカ、クレー、カオリン、ガラスビーズ、窒化アルミニウム、亜鉛華、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらの無機質充填剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用してもよい。また、その配合量は、特に限定されないが、好ましくはシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂100質量部に対し、1〜500質量部程度である。
【0042】
また、前記シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物には、導電性を付与するために、必要に応じて導電性粒子を配合してもよい。前記導電性粒子としては、金、銀、銅、ニッケル等の金属粒子や、プラスチック等の表面を金属で被覆した粒子が挙げられる。前記導電性粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用してもよい。また、その配合量は、特に限定されないが、好ましくはシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂100質量部に対し、100〜1,000質量部程度である。
【0043】
更に、前記シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物には、これから得られる樹脂皮膜と基材との接着性・密着性を向上させるために、必要に応じてカーボンファンクショナルシランを添加してもよい。カーボンファンクショナルシランとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(γ−アミノプロピル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。前記カーボンファンクショナルシランは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用してもよい。また、カーボンファンクショナルシランの配合量は、通常、シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部程度である。
【0044】
本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、基材に成膜して積層体としても有効に使用できる。例えば、前記シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂組成物を、ガラス、プラスチック(アクリル樹脂、PET、エポキシ樹脂等)、金属(Si、Cu、Fe、Al等)、ケイ素化合物(SiO
2、SiN等)等の基材に、公知の方法で塗布し、常温〜250℃で乾燥させることで皮膜を形成できる。その際の膜厚は、好ましくは0.1〜1,000μmがよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、Mwは、GPCカラムとしてTSKGEL Super HZM-H(東ソー(株)製)を用い、流量0.6mL/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0046】
実施例及び比較例において使用した化合物を以下に示す。なお、下記式中、Phはフェニル基である。
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
[1]ベンゾオキサゾール化合物の合成
[実施例1]ベンゾオキサゾール化合物S−1aの合成
窒素気流下、300mL4口フラスコに、化合物A−2を35.6g(0.20mol)仕込み、γ−ブチロラクトン50gに溶解させた。これに、ジシクロへキシルカルボジイミド41.2g(0.20mol)をγ−ブチロラクトン50gに溶解させた溶液を5℃で滴下した。その後、温度を5℃に保ったまま20分攪拌した後、γ−ブチロラクトン50gに化合物A−1を36.6g(0.10mol)溶解させた溶液を5℃で滴下した。その後、5℃で3時間攪拌し、更に室温で10時間攪拌した。攪拌終了後、系内を200℃まで昇温し、閉環脱水反応を20時間行った。なお、閉環脱水反応中は、ディーン・スタークトラップを用いて系内から水を取り除きながら反応を行った。副生成物の尿素を濾過で除去した後、イソプロピルアルコール中で再結晶を行い(純水を貧溶剤として添加した。)、最後に結晶を120℃×3時間乾燥させることで、ベンゾオキサゾール化合物S−1aを53.3g得た(収率82.0%)。
1H−NMR及び
13C−NMR(Bruker社製AV400M、溶剤:重トルエン、以下同じ。)の結果を、それぞれ表1及び2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【化20】
【0054】
【表2】
【0055】
【化21】
【0056】
[実施例2]ベンゾオキサゾール化合物S−1bの合成
窒素気流下、300mL4口フラスコに、化合物B−1を28.0g(0.10mol)及び化合物B−2を47.6g(0.20mol)仕込み、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gに溶解させ、180℃まで加熱した。なお、反応中は、系中を減圧して副生成物として出たフェノールを取り除きながら行った。3時間加熱した後、常圧に戻し、系内を200℃まで昇温し、閉環脱水反応を20時間行った。なお、閉環脱水反応中は、ディーン・スタークトラップを用いて系内から水を取り除きながら反応を行った。反応溶液を水1,000mLに投入し再沈殿させ、結晶を取り出し、イオン交換水及びメタノールで洗浄し、最後に結晶を120℃×3時間乾燥させることで、ベンゾオキサゾール化合物S−1bを45.3g得た(収率85.2%)。
1H−NMR及び
13C−NMRの結果を、それぞれ表3及び4に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【化22】
【0059】
【表4】
【0060】
【化23】
【0061】
[実施例3]ベンゾオキサゾール化合物S−1cの合成
窒素気流下、300mL4口フラスコに、化合物C−1を25.8g(0.10mol)及び化合物C−2を50.8g(0.20mol)仕込み、NMP100gに溶解させ、180℃まで加熱した。なお、反応中は、系中を減圧して副生成物として出たフェノールを取り除きながら行った。3時間加熱した後、常圧に戻し、系内を200℃まで昇温し、閉環脱水反応を20時間行った。なお、閉環脱水反応中は、ディーン・スタークトラップを用いて系内から水を取り除きながら反応を行った。反応溶液を水1,000mLに投入し再沈殿させ、結晶を取り出し、イオン交換水及びメタノールで洗浄し、最後に結晶を120℃×3時間乾燥させることで、ベンゾオキサゾール化合物S−1cを42.6g得た(収率78.7%)。
1H−NMR及び
13C−NMRの結果を、それぞれ表5及び6に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
【化24】
【0064】
【表6】
【0065】
【化25】
【0066】
[2]シリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂の合成
[実施例4]樹脂Aの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1a325.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=40、信越化学工業(株)製)755.0g(0.25mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)48.5g(0.25mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Aを得た。樹脂Aは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により、式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂AのMwは42,000、シリコーン含有率は67.0質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.5、b=0.5であった。
【0067】
[実施例5]樹脂Bの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1b266.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=40、信越化学工業(株)製)151.0g(0.05mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)87.3g(0.45mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Bを得た。樹脂Bは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂BのMwは44,000、シリコーン含有率は30.0質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.1、b=0.9であった。
【0068】
[実施例6]樹脂Cの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1c271.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=40、信越化学工業(株)製)1057.0g(0.35mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)29.1g(0.15mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Cを得た。樹脂Cは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により、式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂CのMwは45,000、シリコーン含有率は77.9質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.7、b=0.3であった。
【0069】
[実施例7]樹脂Dの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1a325.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=20、信越化学工業(株)製)396.3g(0.25mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)48.5g(0.25mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Dを得た。樹脂Dは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により、式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂DのMwは40,000、シリコーン含有率は51.5質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.5、b=0.5であった。
【0070】
[実施例8]樹脂Eの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1b266.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=20、信越化学工業(株)製)396.3g(0.25mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)48.5g(0.25mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Eを得た。樹脂Eは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により、式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂EのMwは39,000、シリコーン含有率は55.8質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.5、b=0.5であった。
【0071】
[実施例9]樹脂Fの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、ベンゾオキサゾール化合物S−1c271.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=20、信越化学工業(株)製)396.3g(0.25mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)48.5g(0.25mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Fを得た。樹脂Fは、
1H−NMR及び
29Si−NMR(Bruker社製)により、式(1a)で表される繰り返し単位及び式(1b)で表される繰り返し単位を有することを確認した。樹脂FのMwは41,000、シリコーン含有率は55.4質量%、式(1a)及び(1b)におけるa及びbは、a=0.5、b=0.5であった。
【0072】
[3]シリコーン変性ポリイミド樹脂の合成
[比較例1]樹脂Gの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、式(S−3a)で表される化合物285.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=40、信越化学工業(株)製)906.0g(0.30mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)38.8g(0.20mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Gを得た。樹脂GのMwは44,000、シリコーン含有率は73.7質量%であった。
【0073】
[比較例2]樹脂Hの合成
攪拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、式(S−3b)で表される化合物286.0g(0.5mol)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃になるまで加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−2)で表される化合物(d=20、信越化学工業(株)製)317.0g(0.20mol)及び式(S−4)で表される化合物(信越化学工業(株)製)58.2g(0.30mol)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃になるまで加熱し、6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂Hを得た。樹脂HのMwは41,000、シリコーン含有率は47.9質量%であった。
【0074】
[4]樹脂皮膜の形成及びその評価
[実施例10〜15、比較例3〜4]
樹脂A〜Hを、それぞれ、メチルエチルケトン(MEK)に濃度が30質量%になるように溶解し、樹脂組成物を調製した。得られた各樹脂組成物を用いて、以下のとおり樹脂皮膜を形成し、その評価を行った。
【0075】
(1)耐溶剤性評価
各樹脂溶液を、それぞれ、ガラス基板上に塗布し、60℃の温度で30分間、更に230℃の温度で2時間加熱し、樹脂皮膜(厚さ:120μm)を形成させた。
得られたガラス基板上に密着した状態の各樹脂皮膜を、25℃のMEKに5分間浸漬した後、皮膜の表面の変化の有無を光学顕微鏡によって観察した。結果を表7に示す。なお、「表面平滑」との表示は、樹脂皮膜表面がMEKにより膨潤して、前記表面に変形、凹凸等が生じていないことを示す。
【0076】
(2)接着性評価
各樹脂溶液を、それぞれ、銅基板、ガラス基板、シリコンウェハー、SiNウェハー、及びSiO
2ウェハー、アクリル系プラスチック、エポキシ系プラスチック上に塗布し、60℃の温度で30分間、更に230℃の温度で2時間加熱し、樹脂皮膜(厚さ:25μm)を各基板上に形成させた。次いで、2.1気圧の飽和水蒸気中に72時間放置した後、各基板上の前記各樹脂皮膜について、碁盤目剥離テスト(JIS K 5400)を行い、高湿条件放置後の接着性を評価した。結果を表7に示す。なお、表7中の数値は、分画数100当たり、剥離しなかった分画数を表す。すなわち、100の場合は全く剥離せず、0の場合はすべて剥離したことを示す。
【0077】
(3)屈曲追従性評価
各樹脂溶液を、それぞれ、銅基板上に塗布し、60℃の温度で30分間、更に230℃の温度で2時間加熱し、樹脂皮膜(厚さ:25μm)を形成させた。これを試験片として、2mmφのマンドレルによりJIS K 5600に準拠し、屈曲追従性を調べた。結果を表7に示す。なお、「○」は、屈曲追従性が良好であり、樹脂皮膜の基板からの剥離又は破断が生じていないことを示す。また、「×」は、樹脂皮膜の基板からの剥離又は破断を示す。
【0078】
【表7】
【0079】
以上の結果より、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、加熱処理により容易に樹脂皮膜を形成することができることがわかった。この樹脂皮膜は、有機溶剤に対する耐性も高く、更に高湿条件下においても金属基板や各被着体等への接着性・密着性及び耐久性にも優れていた。したがって、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、各種金属の表面保護、半導体素子の保護材、各種基板の保護材、接着剤、耐熱塗料等として有用である。また、本発明のシリコーン変性ポリベンゾオキサゾール樹脂の製造方法は、簡便であり、効率よく目的物を得ることができる。