(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マスキング工程及び前記印刷工程の少なくとも1つの工程において、前記屈曲基材を固定する治具を使用し、前記治具は、前記治具と接する屈曲基材の主面と対応する形状を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1、2に記載の印刷方法においては、平坦なスクリーン版が用いられる。そのため、平坦面からの押し込み限界量以上の曲げ深さを有する物品の被印刷面には、スクリーン版が届かず、印刷ができない。また、平坦なスクリーン版を用いるため、凸部と凹部の両方を有する物品の被印刷面には、凹部の印刷の際に凸部がスクリーン版と干渉する場合があり、これによっても印刷ができなくなる。
【0005】
また、被印刷面に対する印刷方法としては、スクリーン印刷以外にも、パッド印刷、スプレー印刷、フィルム転写などの印刷方法が知られているが、それぞれ異なる課題があり、上述した小さな曲率で湾曲する屈曲基材に対して印刷精度や生産性のよい印刷手法の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、曲面部を有する屈曲基材に対して印刷精度や生産性のよい印刷が可能な印刷層を備える屈曲基材
の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 屈曲基材にマスキング材を形成して所定のパターンを形成するマスキング工程と、
前記マスキング材を含む前記屈曲基材の被印刷面に印刷層を形成する印刷工程と、
を有する、印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(2) 前記マスキング工程後に、マスキング材の端面を洗浄するマスキング洗浄工程を更に備える、(1)に記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(3) 前記屈曲基材に印刷された印刷材料を加熱する加熱工程を更に備える、(1)または(2)に記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(4) 前記屈曲基材に印刷された印刷材料をUV照射する工程を更に備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(5) 前記マスキング工程は、前記印刷工程で使用される印刷材料と異なる印刷材料をマスキング材として印刷する、(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(6) 前記印刷工程は、ノズルから印刷材料を吐出して前記屈曲基材に塗布する、(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(7) 前記印刷工程は、ノズルから印刷材料を吐出して前記屈曲基材に塗布するスプレー法による、(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(8) 前記屈曲基材は、平面部と曲面部とを有し、
前記マスキング材は、前記平面部に形成される、(1)〜(7)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(9) 前記印刷工程後、前記屈曲基材に形成した前記マスキング材を除去する除去工程を更に備える、(1)〜(8)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(10) 前記マスキング材の除去工程は、前記マスキング材を溶剤中に溶出させる工程である、(9)に記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(11) 前記マスキング材の除去工程後、前記印刷層の端面を除去する工程を更に備える、(9)または(10)に記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(12) 前記マスキング工程及び前記印刷工程の少なくとも1つの工程において、前記屈曲基材を固定する治具を使用し、前記治具は、前記治具と接する屈曲基材の主面と対応する形状を有する、(1)〜(11)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(13) 前記屈曲基材はガラスである、(1)〜(12)のいずれかに記載の印刷層を備える屈曲基材の製造方法。
(14) 厚さ方向断面視において、屈曲基材上の印刷層と非印刷面との境界を中心とし、前記印刷層の端面と、前記屈曲基材の面と接触している前記印刷層の面とで形成される角度αが鈍角である、印刷層を備える屈曲基材。
(15) 前記角度αは、90°超、120°以下である、(14)に記載の印刷層を備える屈曲基材。
(16) 厚さ方向断面視において、前記屈曲基材上の印刷層の端面のうち上部の接線と、前記屈曲基材の面と接触している前記印刷層の面の接線とで形成される角度をβとしたとき、α≧βとなる、(14)または(15)に記載の印刷層を備える屈曲基材。
(17) 前記角度βは、45°以上、120°以下である、(16)に記載の印刷層を備える屈曲基材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の印刷層を備える屈曲基材の製造方法によれば、屈曲基材にマスキング材を形成して所定のパターンを形成するマスキング工程と、マスキング材を含む屈曲基材の被印刷面に印刷層を形成する印刷工程と、を有するので、屈曲基材の被印刷面に対して、高い印刷精度で、生産効率よく印刷できる。
【0009】
また、本発明の印刷層を備える屈曲基材によれば、厚さ方向断面視において、屈曲基材上の印刷層と非印刷面との境界を中心とし、印刷層の端面と、屈曲基材の面と接触している印刷層の面とで形成される角度が鈍角であるので、印刷層の端面の精度が良好となり、印刷層の端面付近まで均一な厚さとできるため、非印刷面に表示パネルを貼合した際に、良好な外観が得られる。また、印刷層の端面と、屈曲基材の面と接触している印刷層の面とで形成される角度が鈍角であるので、非印刷面に表示パネルを貼合した際に使用した接着層などと嵌合するようになり、印刷層を備える屈曲基材と表示パネルとが強固に固定され、剥離しにくくなる。これにより長期使用にも耐え得るようになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る印刷層を備える屈曲基材、及びその製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の印刷層を備える屈曲基材の製造方法は、印刷対象となる屈曲基材を準備する準備工程(ステップS1)と、適宜の手段によってマスキング材を屈曲基材に形成して所定のパターンを形成するマスキング工程(ステップS2)と、マスキング材を含む屈曲基材に印刷材料を塗布して印刷層を形成する印刷工程(ステップS3)と、屈曲基材からマスキング材を除去する除去工程(ステップS4)、を備える。これにより、マスキングされていない部分にのみに印刷層が形成され、マスキングされた部分には、印刷層が印刷されずに、所定のパターンが出現する。
【0013】
図2も参照して、準備工程(ステップS1)で用意される屈曲基材10としては、木材、無機ガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネート等の有機ガラスといったガラスやポリエチレンテレフタレートなどの汎用樹脂、ETFEなどのフッ素樹脂などを素材とできる。屈曲基材10としては比較的表面が平滑であるものが望ましく、平面部11及び曲面部12を有している。無機ガラスは、インキや、マスキング材を除去する際の溶媒との化学反応性が低い点、耐候性や耐衝撃性が高い点で本発明の屈曲基材の製造方法に好適である。さらに、無機ガラスは、物理強化処理や化学強化処理といった強化処理されていることが好ましく、無機ガラスの厚さが2mm以下であれば、化学強化処理が好ましい。また、基材の厚さの上限は、5mmが好ましく、3mmがより好ましく、2mmがさらに好ましい。基材の厚さが上限値以下であれば、軽量化した印刷層を備えた屈曲基材が得られ、取扱いが容易になる。さらに、基材の厚さの下限は、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。基材の厚さが下限値以上であれば、高強度な印刷層を備えた屈曲基材が得られる。
なお、厚さとは平面部11における厚さでも曲面部12における厚さでもよい。曲面部12における厚さとは、厚さ方向断面視において、一方の主面における任意の点での接線に対する法線を他方の主面にひいた際の一方の主面から他方の主面までの距離をいう。
【0014】
また、曲面部12とは曲率半径Rが1000mm以下であり、平面部11とは曲率半径Rが1000mm超である部位をいう。本発明によれば、曲率半径Rが700mm以下であるような曲率半径の小さな曲面部12に対しても均一に印刷できる。曲率半径Rは500mm以下がより好ましく、200mm以下がさらに好ましい。
曲面部12の曲率半径Rは、1mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。曲面部の曲率半径が下限値以上であると、後述の静電スプレーも含めたスプレー法においてインキの液滴が均一に着弾し、より均一な印刷層を形成できる。
【0015】
屈曲基材10の曲げの深さを示す「曲げ深さ」という指標がある。曲げ深さとは、屈曲基材の厚さ方向断面視において、2つの端部を結ぶ線分と、これと平行となる直線のうち、屈曲基材の曲面部に接する接線との距離と定義する。屈曲基材10の曲げ深さは1000mm以下が好ましく、800mm以下がより好ましく、500mm以下がさらに好ましく、200mm以下が特に好ましい。上限値以下の曲げ深さを有する屈曲基材であれば、従来例のようなこれまでの手法では印刷できなかった曲げの深い屈曲基材10に対し、均一な印刷層を形成できる。
屈曲基材10の曲げ深さの下限値は特に制限はないが、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。曲げ深さは小さいが、従来のスクリーン印刷法などで均一印刷できなかった下限値以上の曲げ深さを有する屈曲基材10に、本発明にかかる印刷方法を使用すると均一な印刷層を備える屈曲基材を得られる。
【0016】
屈曲基材10の曲面部12の曲率中心を中心とした曲げ角度は、360°以下であれば特に制限はないが、270°以下が好ましく、180°以下がより好ましく、135°以下がさらに好ましく、120°以下が特に好ましく、90°以下がとりわけ好ましい。このような曲げ角度の曲面部を有する屈曲基材10は、従来均一な印刷を実施できなかった。本発明では、印刷層を形成しない部分を維持しつつ均一な印刷層を備える屈曲基材を得られる。
【0017】
屈曲基材10の曲面部12はひねり構造を有してもよい。ひねり構造とは、ひねられた面を有する構造であり、例えば、曲面部12の一端側の曲率半径をR1とすると、曲面部12の他端側の曲率半径をR2となるように、同一の曲面部において異なる曲率半径となるような箇所を備える構造をいう。このようなひねり構造を有する屈曲基材10には、従来の印刷方法では均一に印刷層を形成できなかった。本発明では、印刷層を形成しない部分を維持しつつ均一な印刷層を備える屈曲基材を得られる。
【0018】
さらに、屈曲基材10の表面は、上述したように平滑であることが好ましいが、アンカー効果による印刷層の剥離抑制を期待した場合には、表面を多少粗れさせることも考えられる。このため、本実施形態における屈曲基材10の表面は、通常、例えば、算術平均粗さRaで、1nm〜1000nm、好ましくは、1nm〜500nmとしている。表面粗さは、算術平均粗さRaだけでなく、算術平均うねり(Wa)や最大高さRzといった「表面粗さ」を表すパラメータであれば、特に制限はない。
【0019】
マスキング工程(ステップS2)は、屈曲基材10の表面にマスキング材Mを形成することで、マスキング材Mによる所定のパターンを形成する。使用されるマスキング材Mは、後述の印刷工程で説明される無機系や有機系のいずれのインキであってもよいが、印刷工程で使用するインキ(印刷材料)と異なる特性が必要である。例えば、インキが水溶性でない場合にはマスキング材Mが水溶性であることが好ましい。或いは、インキの昇華温度よりも大幅に低い温度で昇華するマスキング材Mが好ましい。また、マスキング材Mの粘性が大きすぎると欠けが生じやすく、逆に粘性が小さすぎると滲みが生じやすい。従って、マスキングにより精密なパターンを形成するには、適した粘性のマスキング材Mを使用するのがよい。
【0020】
マスキング形成工程では、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、フィルム転写印刷、静電スプレーや二流体スプレーなどのスプレー印刷などの技術が利用される。
【0021】
スクリーン印刷は、所定のパターンが形成されたスクリーン版を屈曲基材10に対して水平位置決めを行ったうえで、屈曲基材10の上面に配置し、スクリーン版上面に適切な量供給したマスキング材Mがスクリーンを通過することで、屈曲基材10の表面にマスキング層を形成する。スクリーン版は、柔軟性のあるシート状のスクリーンの外周を剛性の高いフレームで固定して形成されている為、屈曲基材10の比較的平坦な面に、面状のパターンを形成する場合に好適である。
【0022】
インクジェット印刷は、ノズルから液状にしたマスキング材Mの微少液滴をパルス状に吐出して、屈曲基材10上にドット状のパターンを形成する方法であり、ノズル移動機構の原点を基準として屈曲基材10を位置決めし、コンピュータからの指令に基づいて、ノズルがマスキング材Mの微少液滴を吐出しながら、屈曲基材10の面上を概略水平方向へ移動する。これを一層以上積層することにより、点状のマスキング層が連続して形成されて所定のパターンのマスキング層が形成される。屈曲基材10の被印刷面が比較的急な曲面である場合は、パターンの歪などを考慮すると、マスキング材Mの液滴を吐出するノズルと屈曲基材10との距離は略一定であることが好ましい。即ち、ノズルと屈曲基材10との距離を概略一定に維持した上で、パターンに応じてノズルを回動、移動させる機構を使用することが好ましい。
【0023】
パッド印刷は、パッド移動機構の原点を基準として屈曲基材を位置決め固定し、印刷版面上に形成された所定のパターンを、弾性体であるパッドを用いて屈曲基材10へ転写する方法であり、パッドが印刷版に接触して、予め印刷版上に形成された所定のパターンをパッド面に転写する。そして、パッドが屈曲基材の被印刷面に接触して、パッド表面のパターンを屈曲基材10へ転写し、屈曲基材10にマスキング層を形成する。パッド材としては、弾性率の比較的低い材質、例えば、シリコンゴムなどを使用することで、転写時の面の形状への追従性を高められ、比較的急な曲面を持つ屈曲基材10にも使用できる。
【0024】
フィルム転写印刷は、フィルム上に所定のパターンを有するマスキング材Mが形成されており、該フィルムを屈曲基材10の被印刷面に接触させ、フィルムに形成されたマスキング材Mを屈曲基材10へ転写し、フィルムを除去することで、屈曲基材10にマスキング層を形成する。フィルム材としては、屈曲基材10の被印刷面の形状に追従できる柔軟性を持っていることが好ましい。フィルムを屈曲基材10の被印刷面に接触させる際には、必要に応じてフィルムの位置決めを行う。マスキング材Mを屈曲基材10へ転写する際には、ゴムロールによる加圧や、加熱といった手段が補助的に行われる。
【0025】
上記したように、
図2に示すような、平面部11と曲面部12とを有する屈曲基材10において、マスキング材Mを形成する部位として平面部11でも曲面部12でもよいが、マスキング工程をスクリーン印刷、インクジェット印刷、フィルム転写印刷によって行う場合には、マスキング材Mは、平面部11に形成されることが好ましい。
【0026】
また、各種印刷技術によってマスキング材Mのパターンが形成された屈曲基材10は、マスキング材Mを固定化させるため、マスキングパターンを含む屈曲基材10全体を加熱炉内に移送して加熱処理を行う。加熱処理は、マスキング材Mの昇華温度と分解温度より低いことが好ましい。加熱処理は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。加熱処理の下限値は固定化できればよく、特に制限はないが、25℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
【0027】
この安定化処理は、マスキング材Mの材料に応じて、加熱硬化以外の方法が行われてもよく、例えば、紫外線硬化樹脂などである場合には、UV露光によって行われてもよい。前記の通り、マスキング材Mに加熱処理やUV露光を実施する場合に、マスキング材Mが収縮や膨張することがある。そのため、所望の大きさのマスキング材Mを形成するには、予め固定化前のマスキング材の大きさを適宜調整するのが好ましい。
【0028】
マスキングパターンの形状は特に制限はなく、最終的に得たい印刷層の形状となるようにマスキングパターンを形成すればよい。マスキングパターンの形状は、平面視で、矩形、円形、多角形などとできる。本発明によれば、複雑な形状を備える印刷層を精度よく、効率的に形成できる。
【0029】
印刷工程(ステップS3)は、マスキング材を含む屈曲基材10の被印刷面に印刷層Pを形成するもので、屈曲基材10の曲面部12にも印刷可能であるスプレー印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、ディップ印刷などの技術が適用できる。特に、これらの印刷技術では、被印刷面に一様に印刷層を形成でき、印刷箇所に応じて、該印刷を分けて印刷する必要もない。
【0030】
スプレー印刷は、インキ(印刷材料)と気体の混合体をスプレーノズルから噴射して、被印刷面に吹き付けることにより印刷層を形成する方法であり、例えば、スプレーノズルは、ロボットアームに取り付けられ、予めプログラミングされたコースに従って移動しながら、基板表面全体にインキを塗布する。スプレー印刷は、広い面積に亘って効率的に印刷でき、また、スプレーノズルと被印刷面の相対位置を任意に変化させることで、曲面部12にも均一な印刷層を形成できる。また、インキと気体の混合する割合を調整することで、印刷面の色調や印刷層の厚さを調整することが容易である。インキは複数使用してよいが、印刷層の密着性、色調の統一性の観点から同一のインキであることが好ましい。
【0031】
また、スプレー印刷として静電塗装ガンを使用した静電スプレー法を使用し、印刷層を形成してもよい。静電スプレー法は、印刷材料と溶媒などを混合した塗布液を、静電気力を利用して基材に塗布する方法である。静電気力を利用して印刷を実施するため均一に印刷でき、特に曲面部を備えた屈曲基材10に均一印刷できる点が優れている。屈曲基材10としてガラスを使用する場合には、屈曲基材10を固定させる治具に導電性を付与することが好ましい。導電性を備える治具の材質としては特に制限はないが、金属やカーボン、導電性樹脂を使用できる。これにより、基材上に着弾した静電気を帯びた印刷材料から、速やかに帯電を除去でき、効率的かつ均一に印刷層を形成できる。
【0032】
パッド印刷は、マスキング工程と同様に、印刷版面上に形成された所定のパターンを、弾性体であるパッドを用いて屈曲基材10へ転写して印刷層を形成する方法であり、屈曲基材10の比較的急な曲面部12にも印刷できる。上記と同様に、パッド材としては、弾性率の比較的低い材質、例えば、シリコンゴムなどを使用することで、転写時の面の形状への追従性が高まる。
【0033】
ディップ印刷は、屈曲基材10をインキ(印刷材料)に浸漬することで印刷層を形成する方法であり、広い面積にも効率的に印刷できる。また、端部を含む屈曲基材10の両面に均一な印刷層を形成できる。なお、マスキング材M以外に、印刷が必要でない面や端面は、予めフィルムなどで覆う必要がある。また、インキの成分や溶媒を調整することで、印刷面の色調や印刷層の厚さを調整することが容易である。インキは複数使用してよいが、印刷層の密着性、色調の統一性の観点から同一のインキであることが好ましい。
【0034】
また、上記の印刷法以外にも、曲面部の曲率半径が大きい場合や、曲面部の曲げ深さが浅い等、屈曲基材10の形状によっては、スピンコート印刷やロール印刷も適用できる。
スピンコート印刷は、スピンコータの回転中心を基準として屈曲基材10の位置決めし、表面上にインキを滴下して、屈曲基材10を回転させ、遠心力を利用して均一な印刷層を形成する。余剰となったインキは、屈曲基材10の端面から外へ飛散していくため、ムラなく均一な印刷層が容易に形成される。また、インキの成分や溶媒、回転速度を調整することで、印刷面の色調や印刷層の厚さ調整が容易である。インキは、複数使用してよいが、印刷層の密着性、色調の統一性の観点から同一のインキであることが好ましい。
【0035】
ロール印刷は、円筒状のロールを屈曲基材10に沿って回転させることで、ロール表面のインキを屈曲基材10に転写して印刷層を形成する印刷方法であり、広い面積に効率的に印刷できる。また、ロールの寸法を任意に変化させることで印刷層を形成する領域を限定できる。インキの成分や溶媒を調整することで、印刷面の色調や印刷層の厚さを調整することが容易である。インキは複数使用してよいが、印刷層の密着性、色調の統一性の観点から同一のインキであることが好ましい。
【0036】
上記した印刷工程で用いられるインキ(印刷材料)は、無機系でも有機系であってもよい。
無機系のインキとしては、例えば、SiO
2、ZnO、B
2O
3、Bi
2O
3、Li
2O、Na
2O、及びK
2Oから選択される1種以上、CuO、Al
2O
3、ZrO
2、SnO
2、及びCeO
2から選択される1種以上、Fe
2O
3、及びTiO
2からなる組成物が使用できる。
【0037】
有機系のインキとしては、樹脂を溶剤に溶解した種々の印刷材料を使用できる。例えば、樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、オレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等の樹脂からなる群の中から少なくとも1種を選択して使用できる。
【0038】
また、溶媒としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤が用いられる。例えば、アルコール類としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等を使用でき、エステル類としては酢酸エチル、ケトン類としてはメチルエチルケトンを使用できる。また、芳香族炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン、エクソンモービル社製のソルベッソ100、ソルベッソ150等を使用でき、脂肪族炭化水素系溶剤としてはヘキサン等を使用できる。
【0039】
有機系のインキは、透明な屈曲基材10に塗布した後、溶媒を蒸発させて樹脂の層を形成することで印刷層となる。なお、これらは例として挙げたものであり、その他、種々の印刷材料が使用可能である。
【0040】
また、印刷層に用いられるインキは、着色剤が含まれてもよい。着色剤としては、例えば、印刷層を黒色とする場合はカーボンブラックなどの黒色の着色剤を使用できる。その他、所望の色に応じて適切な色の着色剤を使用できる。
【0041】
印刷層が形成された基板は、インキを乾燥焼結させるための工程として、マスキングパターンが残ったまま、印刷された屈曲基材10全体を加熱炉内に移送して加熱処理を行う。加熱処理方法としては、加熱炉内で加温された気体を循環させる対流加熱方式が好ましい。
【0042】
加熱処理は、マスキング材Mの昇華温度と分解温度より低いことが好ましく、マスキング材Mと印刷層の昇華温度と分解温度より低いことがさらに好ましい。加熱処理は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。加熱処理の下限値は印刷層を乾燥焼結できればよく、特に制限はないが、25℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
【0043】
なお、印刷を多層重ねる場合や、色を変化させる場合は、一連の印刷作業を繰返し行う。さらに印刷材料は、乾燥焼結する材料に限らず、UV硬化する材料を使用してよい。
【0044】
印刷材料にUV硬化する材料を使用する場合、マスキング材MがUV等に対して非感光性材料であることが好ましい。UV硬化する印刷材料を使用する場合、従来は露光マスクを使用し、所望の印刷層を形成する必要があった。本発明では事前にマスキング材Mによりパターンを形成し、これに印刷材料を塗布することで、所望の印刷層が得られる。このため、高価な露光マスクを準備する必要はなくなり安価に印刷層を形成できるようになる。また従来は、露光マスクと基材との位置合わせが難しく、特に屈曲基材の場合にはさらに難しく、精度よい印刷層を形成できなかった。本発明により、高精度の印刷層を生産性よく形成できるようになる。
【0045】
マスキング材Mの除去工程(ステップS4)は、溶剤への溶出、加熱による昇華や、加熱による溶融、機械的な剥ぎ取りなどの手段が利用でき、マスキング材Mとインキの物性との組合せによって適宜選択される。
【0046】
マスキング材Mを溶剤中に溶出させる方法では、容器内の溶媒に屈曲基材10を浸漬して、一定時間放置した後、屈曲基材10を水で洗浄してリンス処理を行う。浸漬、洗浄の過程では、必要に応じて溶媒を攪拌してもよい。使用する溶媒は、水、有機溶剤などマスキング材の種類によって選択されるが、印刷層のインキとの反応性がなく、該インキが溶出しないことが求められる。
即ち、マスキング材Mが水溶性の場合には、水による洗浄によってマスキング材Mを除去してもよい。
【0047】
加熱により昇華する方法では、屈曲基材10を電気炉などの加熱炉内に隣り合う屈曲基材10(例えば、上下方向に隣り合う屈曲基材10)と間隔を設けて配置し、所定の勾配で昇温と冷却とを行い、加熱炉から基材を取出して充分に冷却した後、屈曲基材10を水で洗浄してリンス処理を行う。加熱炉の温度は、マスキング材Mは昇華可能であり、且つインキは変質しない温度に設定することが好ましい。また加熱炉は、密閉式ではなく、炉内の気体を換気できる方式とするのが好ましい。
したがって、印刷工程S3におけるインクの乾燥焼結工程の熱によって、マスキング材Mを昇華させられ、即ち、屈曲基材10を加熱することで、インクの乾燥焼結工程とマスキング材Mの除去工程を同時に実施できる。
【0048】
また、機械的な剥ぎ取りは、屈曲基材10に洗浄水を供給しながら、回転するブラシを接触させてマスキング材Mを機械的に除去して洗い出す。ブラシは、インキ層に傷を付けないように、硬度、押付力、回転数などを設定することが好ましい。これに限られず、フィルム状のマスキング材Mであれば、手作業や機械を使用して剥がしてもよい。
【0049】
なお、マスキング材M除去後の表面の品質を考慮すると、マスキング材Mの除去は、マスキング材Mを溶剤中に溶出させる方法が好ましい。また、マスキング材Mの除去後、水洗浄、溶媒洗浄、プラズマ洗浄、コロナ洗浄、超音波洗浄などにより洗浄してもよい。これにより残存したマスキング材M由来の成分を分解でき、清浄な基材表面とできる。
【0050】
(実施例)
ここで、スクリーン印刷技術を利用してマスキング材Mによるパターンを屈曲基材としての屈曲ガラスに形成し、スプレー印刷技術により印刷層を形成した後、マスキング材Mを溶剤へ溶出させて除去する実施例について、具体的に説明する。
【0051】
先ず、マスキング処理作業は、
図3に示すように、表面が清浄な屈曲ガラス10を、不図示のマスキング装置の治具20上の所定の位置に位置決めし、更に不図示の真空吸着等の手段を利用して治具20に固定する。屈曲ガラス10を固定するための治具20の形状は、屈曲ガラス10の治具20と接する主面と対応する形状を有するので、真空吸着による固定と相まって屈曲ガラス10がしっかりと治具20に固定される。
なお、変形例として、治具20には、屈曲ガラス10の主面と同様の形状を底面とした凹部(図示せず)が設けられることで、屈曲ガラス10をより確実に固定できる。
【0052】
そして、マスキング材Mの形成面である屈曲ガラス10の平面部11の被印刷領域に合せて製作された、矩形形状のパターンを有するスクリーン版21を、屈曲ガラス10の上方に配置する。次いで、スクリーン版21の上面に、マスキング材Mを適切な量供給し、スキージ23をスクリーン版21の上面に押し付けながら移動させることで、屈曲ガラス10の平面部11に矩形形状のパターンのマスキング層が形成される(
図2(a)参照)。
【0053】
次いで、マスキング層を含む屈曲ガラス10全体を加熱炉内に移送し、マスキング材Mを加熱硬化により安定化させる。
【0054】
マスキング材Mを形成した屈曲ガラス10は、不図示の印刷装置上の所定の位置に位置決めし、更に真空吸着等の手段を利用して固定する。なお、屈曲ガラス10は、マスキング装置で使用された治具20と共に、印刷装置に位置決めされてもよい。次いで、
図2(b)に示すように、インキSと気体の混合体をスプレーノズル30から噴射して、マスキング層を含む屈曲ガラス10の全面に吹き付けることにより印刷層Pを形成する。即ち、スプレー印刷によるインキSは、マスキング層の上面にも塗布される。なお、スプレー印刷する際の屈曲ガラス10の位置決めの精度は、マスキング処理を行う場合の位置決めより低い精度であってもよい。スプレーノズル30によりインキSを塗布することで、例えば、スクリーン印刷では対応が困難な、大きく湾曲する曲面部12にも、容易に印刷できる。
【0055】
そして、全面にインキSが塗布された屈曲ガラス10は、加熱炉内に搬入されて加熱処理を行い、インキSを乾燥焼結させる。
【0056】
インキSが乾燥した屈曲ガラス10は、容器内の溶媒に屈曲ガラス10を浸漬して一定時間放置し、マスキング材Mだけを選択的に溶出させて除去した後、屈曲ガラス10を水で洗浄してリンス処理を行う。
【0057】
これにより、
図2(c)に示すように、屈曲ガラス10のマスキングされた部分が露わになり、それ以外の部分に印刷層Pのパターンが出現する。そして、屈曲ガラス10を製品として次工程へ移送する際には、洗浄処理を行い、表面に付着している溶媒を除去する。
【0058】
なお、マスキング材Mは、スクリーン印刷によって形成されているので、矩形形状のパターンの縁部は、精度良く印刷されている。このため、マスキングが除去されたガラス面と、スプレー印刷による印刷層Pとの境界が平滑で、良好な美観性が与えられる。
【0059】
図4(a)〜(d)は、屈曲ガラス10上の印刷層Pと非印刷面との境界付近(即ち、パターンの縁部)を、上記工程の順に示した屈曲ガラス10の厚さ方向断面図である。
図4(a)に示すように、マスキング材Mが形成された屈曲ガラス10を加熱硬化して、マスキング材Mの自由端部分Maを収縮させる(
図4(b)参照)。そして、
図4(c)に示すように、この状態の屈曲ガラス10に印刷層Pが形成されるので、マスキング材Mが除去された屈曲ガラス10では、
図4(d)に示す端面Paを持った印刷層Pが形成される。
【0060】
つまり、前記の通り、精度の良いマスキング材Mを使用して印刷層Pを形成すると、
図4(d)に示す屈曲ガラス10の厚さ方向断面視において、屈曲ガラス10上の印刷層Pと非印刷面との境界Cを中心とし、印刷層Pの端面Pa(以下、下部端面という)と、屈曲ガラス10の面と接触している印刷層Pの面Pbとで形成される角度αは鈍角となる。具体的に、該角度αは、90°超、120°以下が好ましい。これにより、印刷層Pの端面Paの精度が良好となり、印刷層Pの端面付近まで均一な厚さとできるため、非印刷面に表示パネルを貼合した際に、良好な外観が得られる。この時、角度αと隣り合う非印刷面と印刷層Pとの端面が鋭角であり、60°以上、90°未満となる。この範囲であれば、表示パネル貼合時に使用する接着剤を貼付した際に、隙間に空気が残りにくくなり、貼合時に欠陥となりにくい。また、印刷層Pの端面と、屈曲ガラス10の面と接触している印刷層Pの面Pbとで形成される角度αが鈍角であるので、非印刷面に表示パネルを貼合した際に使用した接着層などと嵌合するようになり、印刷層Pを備える屈曲ガラス10と表示パネルとが強固に固定され、剥離しにくくなる。これにより長期使用にも耐え得るようになる。
なお、印刷層Pの角度αは、マスキング材Mの自由端部分Maの収縮に依存して形成されるが、マスキング材Mの端面を洗浄することで、角度αを与える様にしてもよい。
【0061】
また、
図4(d)に示す印刷層Pを備える屈曲ガラス10において、印刷層Pの端面Paを洗浄や加工を実施してよい。特に印刷層Pの端面Paについては
図5(a)に示すように、その端面のうち、屈曲ガラス10の面と接触していない印刷層Pの面Pb’側の上部端面Pa’を、研削ツール40を使用した研削などにより加工して加工端面Pcを形成するのが好ましい。これにより
図5(b)に示すような、印刷層Pの上部に加工端面Pcを有する印刷層Pを備える屈曲ガラス10が得られる。印刷層Pのうち、最も端面精度が得にくい上部端面Pa’を、直線性が良好で精度の高い加工端面Pcとできる。この屈曲ガラス10を、
図5(c)に示すように接着剤40を介して表示パネル50を貼合した場合、屈曲ガラス10を通して表示パネル50を視認すると、印刷層Pの端面Pcの精度の高い端面Pcを視認でき美観を向上できる。また、上部端面Pa’は厚さが薄くもろいため、表示パネルとの貼合時に、上部端面Pa’が欠け、欠点となりやすい。上部端面Pa’を加工して加工端面Pcとすることで、上記の課題を解決でき、美観に優れ、表示パネル50と接着層40を介して強固に固定できる印刷層Pを備えた屈曲ガラス10が得られる。
【0062】
印刷層Pを備えた屈曲ガラス10の厚さ方向断面視において、加工端面Pcの接線と、屈曲ガラス10の面Pbとで形成される角度βは、α≧βとする。該角度βは、45°以上120°以下が好ましく、45°以上115°以下がより好ましく、60°以上90°以下がさらに好ましい。
【0063】
特に、本実施例では、マスキング材Mのインクとして、水溶性マスキング液、印刷層を形成するインクとして、ウレタン系インクを使用することで、精度良く、且つ生産性のよい印刷層を備えた屈曲ガラスが与えられる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の屈曲基材の製造方法によれば、屈曲基材10にマスキング材Mを形成して所定のパターンを形成するマスキング工程と、マスキング材Mを含む屈曲基材10の被印刷面に印刷層Pを形成する印刷工程と、を有するので、屈曲基材10の被印刷面に対して、高い印刷精度で、生産性よく印刷できる。
【0065】
また、マスキング工程後に、マスキング材Mの端面を洗浄するマスキング洗浄工程を更に備えるので、所望の角度αを持った印刷層Pの端面を与えることができる。
【0066】
また、屈曲基材10に印刷された印刷材料を加熱する加熱工程を更に備えるので、効率よく印刷材料を乾燥できる。
【0067】
屈曲基材10に印刷された印刷材料をUV照射する工程を更に備えるので、高精度の印刷層を生産性よく形成できるようになる。
【0068】
また、マスキング工程は、印刷工程で使用される印刷材料と異なる印刷材料をマスキング材として印刷するので、マスキング工程を生産性よく実施できる。
【0069】
また、印刷工程は、ノズルから印刷材料を吐出して屈曲基材10に塗布するスプレー法によるので、広い面積の被印刷面に効率的に印刷できる。
【0070】
また、マスキング材Mは、平面部11と曲面部12とを有する屈曲基材10の平面部11に形成されるので、スクリーン印刷やインクジェット印刷、パッド印刷、転写印刷などの技術により、精度のよいマスキングが可能となる。
【0071】
また、印刷工程後、屈曲基材10に形成したマスキング材Mを除去する除去工程を更に備えるので、マスキング材Mを除去することで、マスキングによって印刷されない部分が露出して印刷パターンが出現する。
【0072】
また、マスキング材Mの除去工程は、マスキング材Mを溶剤中に溶出させる工程であるので、効率よくマスキング材Mを除去できる。
【0073】
また、マスキング材Mの除去工程後、印刷層Pの端面Paを除去する工程を更に備えるので、表示パネルと貼合した場合の美観を向上できる。
【0074】
また、マスキング工程や印刷工程において、屈曲基材10を固定する治具20を使用し、治具20は、治具20と接する屈曲基材10の主面と対応する形状を有するので、屈曲基材10を位置精度よく、且つ安定して保持でき、マスキング作業や印刷作業が容易になる。
【0075】
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施例では、マスキングによる所定のパターンを矩形形状としているが、所定のパターンは、これに限定されるものではない。例えば、複数の矩形形状を間隔を開けて設けるものであってもよいし、マスキング材Mの矩形形状の内部に、印刷層によって与えられる模様やロゴなどが設けられるものであってもよい。
【0076】
また、本発明のマスキング形成工程は、本実施形態の各種印刷技術によって所定のパターンをマスキングする以外に、他の手法によってマスキング材Mを形成してもよい。その場合、レーザー加工によってマスキング材Mの不要な部分を除去し、所定のパターン形状に形成してもよい。
【0077】
本出願は、2016年4月8日出願の日本特許出願2016−78186に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。