特許第6856350号(P6856350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6856350-銀粉およびその製造方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856350
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】銀粉およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20210329BHJP
   C22C 5/06 20060101ALI20210329BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20210329BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20210329BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20210329BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20210329BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B22F9/08 A
   C22C5/06 Z
   B22F1/00 K
   H01B13/00 501Z
   H01B5/00 F
   H01B1/22 A
   H01B1/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-204799(P2016-204799)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-82327(P2017-82327A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-213682(P2015-213682)
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】江原 厚志
(72)【発明者】
【氏名】井上 健一
(72)【発明者】
【氏名】道明 良幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−188702(JP,A)
【文献】 特開平01−180901(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/075133(WO,A1)
【文献】 特開2007−084906(JP,A)
【文献】 特開2016−141817(JP,A)
【文献】 特開2013−119651(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1164452(CN,A)
【文献】 A. T. Ankus et al.,The water atomization of silver: effect of pressure and superheat,Powder Technology,1992年12月 1日,vol.73,No.2,p.169-179
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 9/30
H01B 1/00− 1/24
H01B 5/00− 5/16
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀の融点より330〜730℃高い温度に加熱した銀溶湯を落下させながら高圧水を水圧90〜160MPaで吹き付けて急冷凝固させることによって銀を粉末化することを特徴とする、銀粉の製造方法。
【請求項2】
前記温度が銀の融点より438〜730℃高い温度であることを特徴とする、請求項1に記載の銀粉の製造方法。
【請求項3】
0.1質量%以下の炭素と銀のみからなり、平均粒径が1〜6μm、500℃における収縮率が8%以下であり、平均粒径と500℃における収縮率の積が1〜11μm・%であることを特徴とする、銀粉。
【請求項4】
溶剤および樹脂を含み、導電性粉体として請求項に記載の銀粉を含むことを特徴とする、導電性ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀粉およびその製造方法に関し、特に、積層コンデンサや積層インダクタの内部電極や回路基板の導体パターン、ディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペーストに使用するのに適した銀粉およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層コンデンサや積層インダクタの内部電極、回路基板の導体パターン、ディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペーストとして、銀粉をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加えて混練することによって製造される導電性ペーストが使用されている。
【0003】
このような導電性ペースト用の銀粉を製造する方法として、湿式還元法やアトマイズ法によって銀粉を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−80901号公報(段落番号0007)
【特許文献2】特開2007−18884号公報(段落番号0007−0012)
【特許文献3】特開平11−163487号公報(段落番号0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、このような導電性ペースト用の銀粉は、電子部品の小型化、導体パターンの高密度化、ファインライン化などに対応するため、粒径を小さくすることが望まれている。
【0006】
しかし、従来の銀粉の製造方法では、銀粉の粒径を小さくしようとすると、導電性ペースト用の銀粉として使用すると、導電性ペーストを焼成する際に大きく収縮するという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、平均粒径が小さく且つ熱収縮率が小さい銀粉およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、銀の融点より330〜730℃高い温度に加熱した銀溶湯を落下させながら高圧水を吹き付けて急冷凝固させることによって銀を粉末化することにより、平均粒径が小さく且つ熱収縮率が小さい銀粉を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明による銀粉の製造方法は、銀の融点より330〜730℃高い温度に加熱した銀溶湯を落下させながら高圧水を吹き付けて急冷凝固させることによって銀を粉末化することを特徴とする。この銀粉の製造方法において、高圧水を水圧90〜160MPaで吹き付けるのが好ましい。
【0010】
また、本発明による銀粉は、平均粒径が1〜6μm、500℃における収縮率が8%以下であり、平均粒径と500℃における収縮率の積が1〜11μm・%であることを特徴とする。この銀粉は、BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)/結晶子径(m)の値が1×1013〜6×1013(m−2)であるのが好ましい。また、銀粉中の炭素含有量が0.1質量%以下であるのが好ましい。
【0011】
なお、本明細書中において、「平均粒径」とは、レーザー回折法により求められる体積基準の平均粒径(累積50%粒子径D50)をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、平均粒径が小さく且つ熱収縮率が小さい銀粉を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例および比較例の銀粉を円柱形のペレット状にして大気雰囲気中において室温から800℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の収縮率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による銀粉の製造方法の実施の形態では、銀溶湯を落下させながら高圧水を吹き付けて急冷凝固させる水アトマイズ法により銀粉を製造する際に、銀の融点(962℃)より330〜730℃高い温度(1292〜1692℃)に加熱した銀溶湯を落下させながら(好ましくは、水圧90〜160MPa、水量80〜190L/分で)高圧水を吹き付けて急冷凝固させることによって銀を粉末化する。
【0015】
また、本発明による銀粉の実施の形態は、平均粒径が1〜6μm、500℃における収縮率が8%以下(好ましくは7%以下)であり、平均粒径と500℃における収縮率の積が1〜11μm・%(好ましくは1.5〜10.5μm・%)である。銀粉の平均粒径が小さくなると、銀粉の500℃における収縮率は大きくなり易いが、銀粉の平均粒径を1〜6μm、500℃における収縮率を8%以下、平均粒径と500℃における収縮率の積を1〜11μm・%にすれば、平均粒径が小さく且つ熱収縮率が小さい銀粉を製造することができる。この銀粉のBET比表面積は、銀粉を導電性ペーストに使用して高い導電性の導電膜を形成することができるように、0.1〜3m/gであるのが好ましく、0.2〜1m/gであるのがさらに好ましい。また、銀粉のタップ密度は、充填密度を高くすることにより導電性ペーストに使用して高い導電性の導電膜を形成することができるように、1〜7g/cmであるのが好ましく、2〜6g/cmであるのがさらに好ましい。また、銀粉の結晶子径は、銀粉の粒界の数を少なくして高い導電性の導電膜を形成することができるように、10〜200nmであるのが好ましく、30〜150nmであるのがさらに好ましい。また、この銀粉は、単位体積当たりの表面積(=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m))と、単位範囲における結晶子数(=1/結晶子径(m))との積が、1×1013〜6×1013(m−2)であるのが好ましい。銀粉の単位体積当たりの表面積が大きくなると、加熱による影響を受け易くなり、熱収縮し易くなると考えられ、また、銀粉の単位範囲における結晶子数が多くなると、熱収縮し得る結晶粒の数も多くなるが、これらの積が上記の範囲内であれば、銀粉を導電性ペーストに使用して高い導電性の導電膜を形成することができると考えられる。また、銀粉中の炭素含有量は、銀粉を導電性ペーストに使用して基材との密着性の高い導電膜を形成するために、0.1質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%であるのがさらに好ましい。
【0016】
なお、上記の銀粉を導電性粉体として、樹脂、溶剤、ガラスフリットなどと混合(必要に応じてさらに分散剤などを混合)して混練することにより導電性ペーストを作製し、この導電性ペーストを焼成して導電膜を作製すれば、焼成による線収縮率が小さい導電膜を得ることができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明による銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0018】
[実施例1]
銀12kgを1600℃(銀の融点(962℃)より638℃高い温度)に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水圧150MPa、水量160L/分で高圧水を吹き付けて急冷凝固させ、得られた粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕し、風力分級機(株式会社セイシン企業製のクラッシールN−01型)により粗大粒子を除去して、銀粉を得た。
【0019】
このような水アトマイズ法で製造された銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0020】
銀粉の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで測定した。その結果、累積10%粒子径(D10)は0.6μm、累積50%粒子径(D50)は1.6μm、累積90%粒子径(D90)は2.7μmであった。
【0021】
銀粉の収縮率は、銀粉0.5gと溶剤としてブチルカルビトールアセテート30μLとを混合して内径5mmの円筒形の金型に入れ、1623Nの加重をかけて成形した円柱形ペレット状の銀粉試料を、熱機械的分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製のTMA/SS6200)を用いて、大気雰囲気中において室温から800℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合の試料の長さを測定して求めた。その結果を図1に示す。図1に示すように、この実施例では、円柱形ペレット状の銀粉試料を大気雰囲気中において室温から800℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合に、膨張せずに収縮していくのがわかる。なお、500℃における収縮率は6.2%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値を求めると9.9μm・%であった。
【0022】
銀粉の結晶子径は、Scherrerの式(Dhkl=Kλ/βcosθ)によって求めた。この式中、Dhklは結晶子径の大きさ(hklに垂直な方向の結晶子の大きさ)(オングストローム)、λは測定X線の波長(オングストローム)(Coターゲット使用時1.7889オングストローム)、βは結晶子の大きさによる回折線の広がり(rad)(半価幅を用いて表す)、θは回折角のブラッグ角(rad)(入射角と反射角が等しいときの角度であり、ピークトップの角度を使用する)、KはScherrer定数(Dやβの定義により異なり、βに半価幅を用いる場合にはK=0.9)である。なお、測定には粉末X線回折装置を使用し、計算には(111)面のピークデータを使用した。その結果、銀粉の結晶子径(Dx)は50.9nmであった。
【0023】
BET比表面積は、BET比表面積測定器(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。 その結果、銀粉のBET比表面積は0.62m/gであった。
【0024】
銀粉のタップ密度(TAP)は、特開2007−263860号公報に記載された方法と同様に、銀粉を内径6mmの有底円筒形のダイに充填して銀粉層を形成し、この銀粉層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加えた後、銀粉層の高さを測定し、この銀粉層の高さの測定値と、充填された銀粉の重量とから、銀粉の密度を求めて、銀粉のタップ密度とした。その結果、銀粉のタップ密度は4.9g/cmであった。
【0025】
なお、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と、単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積を求めると、5.97×1013(m−2)になる。
【0026】
銀粉中の炭素含有量は、炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−220V)により測定した。その結果、銀粉中の炭素含有量は0.012質量%であった。
【0027】
[実施例2]
風力分級機により粗大粒子を除去する際に10μmより大きい銀の凝集体を除去することにより粒度を調整した以外は、実施例1と同様の方法により、得られた銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0028】
その結果、累積10%粒子径(D10)は0.7μm、累積50%粒子径(D50)は2.0μm、累積90%粒子径(D90)は4.1μm、500℃における収縮率は1.0%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は2.0μm・%であった。結晶子径(Dx)は84.4nm、BET比表面積は0.48m/g、タップ密度は5.2g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は2.96×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.010質量%であった。
【0029】
[実施例3]
加熱温度を1400℃とし、水圧を100MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、得られた銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0030】
その結果、累積10%粒子径(D10)は1.0μm、累積50%粒子径(D50)は3.0μm、累積90%粒子径(D90)は6.1μm、500℃における収縮率は3.4%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は10.2μm・%であった。結晶子径(Dx)は80.3nm、BET比表面積は0.36m/g、タップ密度は5.4g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は2.42×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.017質量%であった。
【0031】
[実施例4]
加熱温度を1400℃とし、水圧を70MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、得られた銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0032】
その結果、累積10%粒子径(D10)は1.7μm、累積50%粒子径(D50)は4.9μm、累積90%粒子径(D90)は9.5μm、500℃における収縮率は1.5%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は7.4μm・%であった。結晶子径(Dx)は131.6nm、BET比表面積は0.26m/g、タップ密度は5.6g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は1.11×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.008質量%であった。
【0033】
[実施例5]
加熱温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、得られた銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0034】
その結果、累積10%粒子径(D10)は0.7μm、累積50%粒子径(D50)は1.8μm、累積90%粒子径(D90)は2.9μm、500℃における収縮率は3.4%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は6.1μm・%であった。結晶子径(Dx)は45.4nm、BET比表面積は0.60m/g、タップ密度は4.5g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は5.92×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.008質量%であった。
【0035】
[比較例1]
加熱温度を1250℃とし、水圧を150MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、得られた銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0036】
その結果、累積10%粒子径(D10)は0.5μm、累積50%粒子径(D50)は1.3μm、累積90%粒子径(D90)は2.4μm、500℃における収縮率は9.7%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は12.6μm・%であった。結晶子径(Dx)は61.9nm、BET比表面積は0.90m/g、タップ密度は4.2g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は6.11×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.020質量%であった。
【0037】
[比較例2]
銀54kgを含む硝酸銀水溶液4500kgに、25質量%のアンモニア水203kgを添加して、銀アンミン錯塩水溶液を得た。この銀アンミン錯塩水溶液の液温を40℃とし、37質量%のホルマリン水溶液240kgを添加して銀粒子を析出させて銀含有スラリーを得た。この銀含有スラリー中に、銀に対して0.2質量%のステアリン酸を含むステアリン酸エマルジョンを添加した後、濾過し、水洗し、ケーキ15.0kgを得た。このケーキを乾燥機に投入し、乾燥粉13.6kgを得た。この乾燥粉を解砕した後、分級して10μmより大きい銀の凝集体を除去した。
【0038】
このような湿式還元法で製造された銀粉について、粒度分布、収縮率、結晶子径、BET比表面積、タップ密度、炭素含有量を求めた。
【0039】
その結果、累積10%粒子径(D10)は0.9μm、累積50%粒子径(D50)は1.9μm、累積90%粒子径(D90)は3.0μm、500℃における収縮率は14.1%であり、累積50%粒子径(D50)×500℃における収縮率の値は26.8μm・%であった。結晶子径(Dx)は40.7nm、BET比表面積は0.43m/g、タップ密度は6.5g/cmであり、単位体積当たりの表面積=BET比表面積(m/g)×タップ密度(g/m)と単位範囲における結晶子数=1/結晶子径(m)との積は6.87×1013(m−2)であった。また、炭素含有量は0.196質量%であった。
【0040】
これらの実施例および比較例の銀粉の製造条件および特性を表1〜表3を示し、収縮率の温度変化を図1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
図1