(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キャリア板と、前記キャリア板の上面に剥離層を介して積層された金属箔とを含む支持板に対して、前記金属箔の表面に電解めっき法により第1の配線層を形成する工程と、
第2の金属板をエッチングして突起部を形成する工程と、
半硬化状態の樹脂層の上面に前記第1の配線層を向けて前記支持板を配置し、前記樹脂層の下面に前記突起部を向けて前記第2の金属板を配置し、前記支持板と前記第2の金属板とを前記樹脂層に押圧し、前記樹脂層を硬化して前記第1の配線層と前記突起部とが埋設された絶縁層を形成する工程と、
前記キャリア板を前記金属箔から剥離する工程と、
前記金属箔と前記第1の配線層と前記絶縁層を貫通して前記突起部の上面の一部を露出する貫通孔を形成する工程と、
電解めっき法により前記貫通孔にめっき金属を形成して前記第1の配線層と前記第2の金属板とを接続する接続ビアを形成する工程と、
前記金属箔を除去する工程と、
前記第2の金属板をパターニングして前記絶縁層の下面より下に位置する配線部を形成する工程と、を有する配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。また、各形態において同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略する場合がある。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を
図1等の鉛直方向(図中上下方向)から視ることを言い、「平面形状」とは、対象物を
図1等の鉛直方向から視た形状のことを言う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、配線基板1は、第1の配線層10、第2の配線層20、絶縁層30、接続ビア40、ソルダーレジスト層51,52、表面処理層61,62を有している。
【0012】
絶縁層30は、薄い平板状である。絶縁層30の材料としては、例えば熱硬化性を有する樹脂を用いることができる。熱硬化性を有する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂などを用いることができる。
【0013】
第1の配線層10は、絶縁層30の上面30aの側に配設されている。第1の配線層10は、絶縁層30に埋設されている。第1の配線層10の上面10aは、絶縁層30から露出している。本実施形態において、第1の配線層10の上面10aは、絶縁層30の上面と同じ高さに位置している。
【0014】
図1(b)に示すように、第1の配線層10の側面10cは、第1の配線層10の下面10bの端部から上面10aに向かって広がるように湾曲した曲面状に形成されている。詳述すると、第1の配線層10は、平面視における断面が、第1の配線層10の下面10bから絶縁層30の上面30aに向かって広がるように形成されている。さらに、第1の配線層10の側面10cは、下端から第1の配線層10の上面10aにかけて、絶縁層30に対して第1の配線層10の内側に向かって凹状に湾曲している。第1の配線層10の下面10b及び側面10cは、絶縁層30に接している。
【0015】
図1(a)に示すように、第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bの側に配設されている。第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bより下方に配設された配線部21と、絶縁層30に埋設された突起部22とを有している。
【0016】
図1(b)に示すように、突起部22の側面22bは、配線部21に向かって広がるように湾曲した曲面状に形成されている。詳述すると、突起部22は、平面視における断面形状が、突起部22の上面22aから配線部21に向かって広がるように形成されている。さらに、突起部22の側面22bは、上端から配線部21にかけて、絶縁層30に対して突起部22の内側に向かって凹状に湾曲して形成されている。突起部22の側面22b及び上面22aは、絶縁層30に接している。
【0017】
第2の配線層20は、突起部22の上面22aが第1の配線層10の下面10bと対向している。そして、第2の配線層20の突起部22の上面22aと第1の配線層10との間には、絶縁層30の延在部31が介在されている。
【0018】
第1の配線層10は、所望の位置に第1の配線層10を上下方向に貫通する貫通孔10Xを有している。絶縁層30の延在部31は、平面視において第1の配線層10の貫通孔10Xと同じ位置に、延在部31を上下方向に貫通する貫通孔31Xを有している。本実施形態において、貫通孔10Xの内径と貫通孔31Xの内径は互いに等しい。
【0019】
第1の配線層10の貫通孔10Xと絶縁層30の貫通孔31Xには、接続ビア40が配設されている。接続ビア40は、絶縁層30(延在部31)の貫通孔31Xに配設された貫通部としてのビア部41と、第1の配線層10の貫通孔10Xに配設された貫通部としてのビア部42とを含む。なお、両ビア部41,42は一体的に形成されている。
【0020】
接続ビア40(ビア部41)は、第2の配線層20の突起部22の上面22aに接続されている。ビア部41の周面は絶縁層30(延在部31)の貫通孔31Xの内周面と接している。ビア部42の周面は、第1の配線層10の貫通孔10Xの内周面に接続されている。接続ビア40の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。この接続ビア40は、第1の配線層10と第2の配線層20とを互いに接続する。
【0021】
図1(a)に示すように、ソルダーレジスト層51は、絶縁層30の上面30aに、第1の配線層10の一部を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層51は、第1の配線層10の上面10aの一部を露出する開口部51Xを有している。
【0022】
ソルダーレジスト層52は、絶縁層30の下面30bに、第2の配線層20の一部を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層52は、第2の配線層20の下面20bの一部を露出する開口部52Xを有している。
【0023】
ソルダーレジスト層51の材料としては、例えば感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等が用いられる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層30と第1の配線層10とを、熱圧着したドライフィルムによりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部51Xを有するソルダーレジスト層51を形成する。また、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、ソルダーレジスト層51が形成される。
【0024】
ソルダーレジスト層52の材料としては、例えばソルダーレジスト層51の材料と同じものを用いることができる。つまり、ソルダーレジスト層52の材料としては、例えば感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等が用いられる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層30と第2の配線層20とを、熱圧着したドライフィルムによりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部52Xを有するソルダーレジスト層52を形成する。また、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、ソルダーレジスト層52が形成される。なお、ソルダーレジスト層51,52について互いに異なる材料を用いることもできる。
【0025】
ソルダーレジスト層51の開口部51Xから露出する第1の配線層10の上面10aには、表面処理層61が形成されている。表面処理層61の上面は、半導体チップなどの電子部品等を接続する外部接続端子P1として機能する。
【0026】
表面処理層61としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層61を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層61が形成される。
【0027】
ソルダーレジスト層52の開口部52Xから露出する第2の配線層20の配線部21の下面21bには、表面処理層62が形成されている。表面処理層62の下面は、配線基板1を他の回路基板等に搭載するための外部接続端子P2として機能する。
【0028】
表面処理層62としては、例えば金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層62を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層62が形成される。
【0029】
図2に示すように、半導体装置は、配線基板1と、配線基板1に搭載された半導体チップ81を含む。半導体チップ81は、バンプ82により外部接続端子P1に接続される。つまり、半導体チップ81は、配線基板1にたいしてフリップチップ接続される。半導体チップ81と配線基板1との間にはアンダーフィル樹脂83が形成されている。半導体チップ81は、CPU等のロジックチップや、メモリチップ、等である。バンプ82は、例えば、はんだバンプや金バンプである。はんだバンプの材料は、例えば、鉛を含む合金、錫と金との合金、錫と銅との合金、錫と銀との合金、錫と銀と銅の合金などである。アンダーフィル樹脂83の材料は、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂である。
【0030】
(配線基板の製造方法)
次に、上述の配線基板1の製造方法を説明する。
なお、説明の便宜上、最終的に配線基板1の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。また、各図の説明に必要な部材について符号を付し、説明しない部材については符号を省略する場合がある。
【0031】
図3(a)に示すように、第1の金属板100を用意する。この第1の金属板100は、
図1(a)に示す第1の配線層10のためのものである。第1の金属板100の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。第1の金属板100の厚さは、例えば50〜70μmとすることができる。なお、第1の金属板100の厚さは、例えば
図1(a)に示す第2の配線層20の配線部21の厚さと等しくすることができる。
【0032】
図3(b)に示すように、第1の金属板100の下面100bに、開口部101Xを有するエッチングマスク101を形成する。エッチングマスク101は、
図1(a)に示す第1の配線層10の部分に対応する位置に形成される。
【0033】
エッチングマスク101は、例えばレジスト層である。レジスト層の材料としては、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、第1の金属板100の下面100bにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層を形成することができる。
【0034】
また、第1の金属板100の上面100aに、保護層102を形成する。保護層102は、第1の金属板100に対するエッチング処理において、第1の金属板100の上面100aを保護する。この保護層102の材料としては、例えばエッチングマスク101と同じものを用いることができる。なお、保護層102として、エッチングマスク101の材料と異なる材料が用いられてもよい。
【0035】
図3(c)に示すように、エッチングマスク101の開口部101Xから第1の金属板100にエッチング処理を施し、第1の金属板100に所要の深さの凹部100cを形成する。第1の金属板100として銅板を用いた場合、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用いることができる。エッチング装置としては、スプレーエッチング装置を用いることができる。このエッチング処理において第1の金属板100の下面100bの側に残された部分、つまりエッチングマスク101により覆われた部分が、
図1(a)に示す第1の配線層10となる。
【0036】
図3(d)に示すように、第1の金属板100からエッチングマスク101及び保護層102(
図3(c)参照)を除去する。エッチングマスク101としてレジスト層を用いた場合、アッシング処理やアルカリ性の剥離液を用いてエッチングマスク101を除去することができる。保護層102についても、エッチングマスク101と同様である。これにより、第1の配線層10を有する第1の金属板100を得る。
【0037】
図4(a)に示すように、第2の金属板110を用意する。この第2の金属板110は、
図1(a)に示す第2の配線層20のためのものである。第2の金属板110の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。第2の金属板110の厚さは、例えば100〜150μmとすることができる。
【0038】
図4(b)に示すように、第2の金属板110の上面110aに、開口部111Xを有するエッチングマスク111を形成する。エッチングマスク111は、
図1(a)に示す第2の配線層20の部分、詳しくは、突起部22の部分に対応する位置に形成される。
【0039】
エッチングマスク111は、例えばレジスト層である。レジスト層の材料としては、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、第2の金属板110の上面110aにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層を形成することができる。
【0040】
また、第2の金属板110の下面110bに、保護層112を形成する。保護層112は、第2の金属板110に対するエッチング処理において、第2の金属板110の下面110bを保護する。この保護層112の材料としては、例えばエッチングマスク111と同じものを用いることができる。なお、保護層112として、エッチングマスク111の材料と異なる材料が用いられてもよい。
【0041】
図4(c)に示すように、エッチングマスク111の開口部111Xから第2の金属板110にエッチング処理を施し、第2の金属板110に所要の深さの凹部110cを形成する。第2の金属板110として銅板を用いた場合、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用いることができる。エッチング装置としては、スプレーエッチング装置を用いることができる。このエッチング処理において第2の金属板110の上面110aの側に残された部分、つまりエッチングマスク111により覆われた部分が、
図1(a)に示す第2の配線層20の突起部22となる。
【0042】
図4(d)に示すように、第2の金属板110からエッチングマスク111及び保護層112(
図4(c)参照)を除去する。エッチングマスク111としてレジスト層を用いた場合、アッシング処理やアルカリ性の剥離液を用いてエッチングマスク111を除去することができる。保護層112についても、エッチングマスク111と同様である。これにより、突起部22を有する第2の金属板110を得る。
【0043】
図5(a)に示すように、モールドシート120を用意する。モールドシート120としては、熱硬化性を有する半硬化状態の樹脂を用いることができる。また、モールドシート120の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂や熱硬化性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、半硬化状態の樹脂層の材料としては、上記以外の樹脂を用いてもよい。また、シリカの粒子等の無機フィラーを含有する半硬化状態の樹脂層、等を用いることができる。無機フィラーとして、アルミナの粒子や炭化珪素の粒子等を用いてもよい。また、複数種類の粒子を用いてもよい。また、モールドシート120の材料として、上記以外の樹脂を用いてもよい。
【0044】
そして、モールドシート120の上面120a側に、その上面120aに第1の配線層10を向けて第1の金属板100を配置する。また、モールドシート120の下面120b側に、その下面120bに突起部22を向けて第2の金属板110を配置する。
【0045】
図5(b)に示すように、例えば真空雰囲気で第1の金属板100と第2の金属板110とをモールドシート120に向けて押圧し、所定の温度(例えば190〜230度)に加熱してモールドシート120を硬化させ、絶縁層30とする。この工程により、構造体130を得る。この構造体130は、絶縁層30と、絶縁層30の上面30aの側に積層された第1の金属板100と、絶縁層30の下面30bの側に積層された第2の金属板110とを有する。第1の金属板100の第1の配線層10は、絶縁層30の上面30aの側に埋設される。また、第2の金属板110の突起部22は、絶縁層30の下面30bの側に埋設される。そして、第1の金属板100の下面100bと、第2の金属板110の突起部22の上面22aとの間に、絶縁層30が挟まれる。この挟まれた部分が延在部31となる。
【0046】
図6(a)に示すように、第1の金属板100の上面100aに、開口部141Xを有するエッチングマスク141を形成する。エッチングマスク141の開口部141Xは、
図1(a)に示す第1の配線層10の貫通孔10Xに対応する位置に形成される。エッチングマスク141としては、上述のエッチングマスクと同様に、例えばレジスト層を用いることができる。
【0047】
また、第2の金属板110の下面110bに、保護層142を形成する。保護層142は、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うように形成される。保護層142として、エッチングマスク141と同じものを用いることができる。なお、保護層142として、エッチングマスク141の材料と異なる材料が用いられてもよい。
【0048】
図6(b)に示すように、エッチングマスク141の開口部141Xから第1の金属板100にエッチング処理を施し、第1の金属板100を貫通する貫通孔10Xを形成する。この貫通孔10Xを形成するエッチング処理において、上述したエッチング処理と同様に、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用い、エッチング装置として、スプレーエッチング装置を用いることができる。
【0049】
図6(c)に示すように、エッチングマスク141の開口部141Xから露出する絶縁層30の延在部31に貫通孔31Xを形成する。貫通孔31Xは、既存の樹脂除去プロセスを用いることができる。樹脂除去プロセスとしては、例えば、過マンガン酸カリウム溶液などを用いたデスミア処理や、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工、等が挙げられる。
【0050】
図7(a)に示すように、第1の金属板100の上面100aを覆い開口部151Xを有するレジスト層151を形成する。また、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うレジスト層152を形成する。レジスト層151,152の材料としては、例えば次工程のめっき処理に対して対めっき性を有する材料を用いることができる。例えば、レジスト層152,152の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジスト)等を用いることができる。例えば、ドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、レジスト層151,152を形成する。なお、上述のエッチング処理において用いられるエッチングマスク141と保護層142を剥離せず、レジスト層151,152として利用してもよい。
【0051】
そして、構造体130に対して第2の金属板110をめっき給電層に利用した電解めっき法を施す。この電解めっきにより、貫通孔10X,31X内に露出した第2の金属板110の突起部22の上面22aから徐々に電解めっき膜(銅めっき膜、めっき金属)153が析出成長する。絶縁層30の延在部31は薄いため、析出成長する電解めっき膜153は、第1の金属板100の貫通孔10Xの内面につながる。そして、
図7(b)に示すように、電解めっき膜153により貫通孔10X,31Xを充填する。この電解めっき膜153は、第2の金属板110の突起部22と、第1の金属板100とを接続する。つまり、貫通孔10X、31X内に形成しためっき金属としての電解めっき膜153は、
図1(a)に示す接続ビア40となる。
【0052】
そして、レジスト層151,152を除去する。例えば、レジスト層151,152を例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。
本実施形態において、接続ビア40は、例えばめっき金属(電解めっき膜153)よりなり、シード層を含まない。例えば、絶縁層の両面に銅箔が貼り付けられた銅張りコアを用いて配線基板を製造する場合、絶縁層に形成した貫通孔に接続ビアを形成するため、絶縁層の貫通孔の内面にシード層を形成する工程を必要とする。これに対し、本実施形態の製造工程では、シード層を形成する工程が不要であるため、製造に要する時間が短い。
【0053】
図8(a)に示すように、第2の金属板110の下面110bに、保護層161を形成する。保護層161は、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うように形成される。保護層161は、例えばレジスト層である。レジスト層の材料としては、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、第2の金属板110の下面110bにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層を形成することができる。
【0054】
次に、第1の金属板100を上面100aの側からエッチングする。これにより、
図8(b)に示すように、絶縁層30に埋設された第1の配線層10を有する構造体131を得ることができる。つまり、第1の金属板100を上面100aの側からエッチングし、絶縁層30に埋設された第1の配線層10を残す。第1の金属板100に銅板を用いた場合、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用い、エッチング装置として、スプレーエッチング装置を用いることができる。そして、保護層161を除去する。保護層161としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって保護層161を除去する。
【0055】
図9(a)に示すように、第2の金属板110の下面110bに、開口部171Xを有するエッチングマスク171を形成する。エッチングマスク171は、
図1(a)に示す第2の配線層20の配線部21に対応する位置に形成される。エッチングマスク171としては、上述のエッチングマスクと同様に、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。また、構造体131の上面、つまり絶縁層30及び配線層10を保護層172により被覆する。保護層172としては、上述の保護層と同様に、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。
【0056】
次に、エッチングマスク171の開口部171Xから第2の金属板110にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、
図9(b)に示すように、絶縁層30の下面30bを露出させる、第2の配線層20の配線部21を形成する。
【0057】
図9(c)に示すように、エッチングマスク171及び保護層172(
図9(b)参照)を除去する。エッチングマスク171としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。また、保護層172としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。
【0058】
図10(a)に示すように、開口部51Xを有するソルダーレジスト層51と、開口部52Xを有するソルダーレジスト層52を形成する。ソルダーレジスト層51の開口部51Xは、第1の配線層10の一部を露出するように形成される。ソルダーレジスト層52の開口部52Xは、第2の配線層20の配線部の一部を露出するように形成される。ソルダーレジスト層51は、例えば、感光性の樹脂フィルムをラミネートし、又は液状やペースト状の樹脂を塗布し、当該樹脂をフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより得られる。同様に、ソルダーレジスト層52は、例えば、感光性の樹脂フィルムをラミネートし、又は液状やペースト状の樹脂を塗布し、当該樹脂をフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより得られる。
【0059】
図10(b)に示すように、ソルダーレジスト層51の開口部51Xから露出する第1の配線層10の上面10aに、表面処理層61を形成する。例えば、表面処理層61がNi層/Au層である場合には、第1の配線層10の上面10aに、Ni層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層61を形成する。なお、これらNi層、Au層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0060】
また、ソルダーレジスト層52の開口部52Xから露出する第2の配線層20の配線部21の下面21bに、表面処理層62を形成する。例えば、表面処理層62がNi層/Au層である場合には、配線部21の下面21bに、Ni層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層62を形成する。なお、これらNi層、Au層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0061】
(作用)
次に、上記の配線基板1の作用を説明する。
配線基板1は、絶縁層30の上面30a側に、その絶縁層30に埋設された第1の配線層10を有している。従って、配線層を絶縁層の上面に形成するものに比べ、第1の配線層10が絶縁層30から剥離し難い。
【0062】
配線基板1は、絶縁層30の下面30b側に配設された第2の配線層20を有している。第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bより下方に配設された配線部21と、絶縁層30に埋設された突起部22とを有している。従って、配線層を絶縁層の下面に形成するものに比べ、第2の配線層20が絶縁層30から剥離し難い。
【0063】
第1の配線層10と第2の配線層20は、接続ビア40を介して接続されている。接続ビア40は、第1の配線層10の貫通孔10Xと、第1の配線層10と第2の配線層20の突起部22との間の延在部31の貫通孔31Xに形成されている。従って、第1の配線層10と第2の配線層20の突起部22とは、延在部31を介して相互に接着されている。このため、配線部21及び突起部22が絶縁層30から脱落し難い。
【0064】
配線基板1の製造工程において、第1の金属板100の厚さを、第2の金属板110において、配線部21を形成する部分の厚さを等しくした。従って、モールドシート120を挟んで第1の金属板100と第2の金属板110を積層した構造体130(
図5(b)参照)において、モールドシート120の両面の厚さがひとしいため、構造体130に反りが発生し難い。
【0065】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1−1)配線基板1は、絶縁層30の上面30a側に、その絶縁層30に埋設された第1の配線層10を有している。従って、配線層を絶縁層の上面に形成するものに比べ、第1の配線層10が絶縁層30から剥離し難いため、配線基板1の信頼性を向上できる。
【0066】
(1−2)配線基板1は、絶縁層30の下面30b側に配設された第2の配線層20を有している。第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bより下方に配設された配線部21と、絶縁層30に埋設された突起部22とを有している。従って、配線層を絶縁層の下面に形成するものに比べ、第2の配線層20が絶縁層30から剥離し難いため、配線基板1の信頼性を向上できる。また、突起部22が絶縁層30に埋設されているため、第2の配線層20において、絶縁層30の下面30bの配線を形成することが可能となる。
【0067】
(1−3)第1の配線層10と第2の配線層20は、接続ビア40を介して接続されている。接続ビア40は、第1の配線層10の貫通孔10Xと、第1の配線層10と第2の配線層20の突起部22との間の延在部31の貫通孔31Xに形成されている。従って、第1の配線層10と第2の配線層20の突起部22とは、延在部31を介して相互に接着されている。このため、配線部21及び突起部22が絶縁層30から脱落し難く、配線基板1の信頼性が向上する。
【0068】
(1−4)配線基板1の製造工程において、第1の金属板100の厚さを、第2の金属板110において、配線部21を形成する部分の厚さを等しくした。従って、モールドシート120を挟んで第1の金属板100と第2の金属板110を積層した構造体130(
図5(b)参照)において、モールドシート120の両面の厚さがひとしいため、構造体130の反りの発生を抑制できる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略する場合がある。
【0070】
図11(a)に示すように、配線基板201は、第1の配線層210、第2の配線層20、絶縁層30、接続ビア40、ソルダーレジスト層51,52、表面処理層61,62を有している。
【0071】
絶縁層30は、薄い平板状である。絶縁層30の材料としては、例えば熱硬化性を有する樹脂を用いることができる。熱硬化性を有する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂などを用いることができる。
【0072】
第1の配線層210は、絶縁層30の上面30aの側に配設されている。第1の配線層210は、絶縁層30に埋設されている。第1の配線層210の上面210aは、絶縁層30から露出している。本実施形態において、第1の配線層210の上面210aは、絶縁層30の上面と同じ高さに位置している。
【0073】
図21に示すように、第1の配線層210は、パッド部211と、配線部212とを含む。パッド部211は平面視において円形状に形成されている。配線部212は、パッド部211と適宜接続される。配線部212の線幅は、例えば、30ミクロンとすることができる。
【0074】
図11(b)に示すように、パッド部211の側面211cは、上下方向に延びるように形成されている。同様に、配線部212の側面212cは、上下方向に延びるように形成されている。パッド部211の側面211c及び下面211bは、絶縁層30に接している。同様に配線部212の側面212c及び下面212bは、絶縁層30に接している。
【0075】
図11(a)に示すように、第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bの側に配設されている。第2の配線層20は、絶縁層30の下面30bより下方に配設された配線部21と、絶縁層30に埋設された突起部22とを有している。
【0076】
図11(b)に示すように、突起部22の側面22bは、配線部21に向かって広がるように湾曲した曲面状に形成されている。詳述すると、突起部22は、平面視における断面形状が、突起部22の上面22aから配線部21に向かって広がるように形成されている。さらに、突起部22の側面22bは、上端から配線部21にかけて、絶縁層30に対して突起部22の内側に向かって凹状に湾曲して形成されている。突起部22の側面22b及び上面22aは、絶縁層30に接している。
【0077】
第2の配線層20は、突起部22の上面22aが第1の配線層210のパッド部211の下面211bと対向している。そして、第2の配線層20の突起部22の上面22aと第1の配線層210との間には、絶縁層30の延在部31が介在されている。
【0078】
第1の配線層210において、パッド部211は、所望の位置に第1の配線層210を上下方向に貫通する貫通孔211Xを有している。
絶縁層30の延在部31は、平面視において第1の配線層210の貫通孔211Xと同じ位置に、延在部31を上下方向に貫通する貫通孔31Xを有している。第1の配線層210(パッド部211)の貫通孔211Xと絶縁層30(延在部31)の貫通孔31Xには、接続ビア40が配設されている。接続ビア40は、絶縁層30(延在部31)の貫通孔31Xに配設されたビア部41と、第1の配線層210のパッド部211の貫通孔211Xに配設されたビア部42とを含む。なお、両ビア部41,42は一体的に形成されている。
【0079】
接続ビア40(ビア部41)の下面は、第2の配線層20の突起部22の上面22aに接続されている。ビア部41の周面は、絶縁層30(延在部31)の貫通孔31Xの内周面と接している。ビア部42の周面は、第1の配線層210のパッド部211の貫通孔211Xの内周面に接続されている。接続ビア40の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。この接続ビア40は、第1の配線層210と第2の配線層20とを互いに接続する。
【0080】
図11(a)に示すように、ソルダーレジスト層51は、絶縁層30の上面30aに、第1の配線層210の一部を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層51は、第1の配線層210の上面210aの一部を露出する開口部51Xを有している。
【0081】
ソルダーレジスト層52は、絶縁層30の下面30bに、第2の配線層20の一部を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層52は、第2の配線層20の下面20bの一部を露出する開口部52Xを有している。
【0082】
ソルダーレジスト層51の材料としては、例えば感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等が用いられる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層30と第1の配線層210とを、熱圧着したドライフィルムによりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部51Xを有するソルダーレジスト層51を形成する。また、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、ソルダーレジスト層51が形成される。
【0083】
ソルダーレジスト層52の材料としては、例えばソルダーレジスト層51の材料と同じものを用いることができる。つまり、ソルダーレジスト層52の材料としては、例えば感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等が用いられる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層30と第1の配線層210とを、熱圧着したドライフィルムによりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口部52Xを有するソルダーレジスト層52を形成する。また、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、ソルダーレジスト層52が形成される。なお、ソルダーレジスト層51,52について互いに異なる材料を用いることもできる。
【0084】
ソルダーレジスト層51の開口部51Xから露出する第1の配線層210の上面210aには、表面処理層61が形成されている。表面処理層61の上面は、半導体チップなどの電子部品等を接続する外部接続端子P1として機能する。
【0085】
表面処理層61としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層61を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層61が形成される。
【0086】
ソルダーレジスト層52の開口部52Xから露出する第2の配線層20の配線部21の下面21bには、表面処理層62が形成されている。表面処理層62の下面は、配線基板201を他の回路基板等に搭載するための外部接続端子P2として機能する。
【0087】
表面処理層62としては、例えば金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層62を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層62が形成される。
【0088】
(製造方法)
次に、上述の配線基板201の製造方法を説明する。
図12(a)に示すように、支持体301の上面301aと下面301bとに支持基板としてのキャリア付金属箔302を積層する。支持体301としては、例えば半硬化状態の樹脂層を用いることができる。半硬化状態の樹脂層としては、熱硬化性を有したエポキシ樹脂や熱硬化性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、半硬化状態の樹脂層の材料としては、上記以外の樹脂を用いてもよい。また、シリカの粒子等の無機フィラーを含有する半硬化状態の樹脂層、等を用いることができる。無機フィラーとして、アルミナの粒子や炭化珪素の粒子等を用いてもよい。また、複数種類の粒子を用いてもよい。また、支持体301の材料として、上記以外の樹脂を用いてもよい。
【0089】
キャリア付金属箔302は、キャリア板303と、キャリア板303の一方の面に剥離層(図示略)を介して積層された極薄の金属箔304とを有している。キャリア板303の厚さは、例えば35μmである。キャリア板303の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。金属箔304の厚さは、例えば5μmである。金属箔304の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0090】
キャリア板303を支持体301に向けてキャリア付金属箔302を配置する。そして、例えば真空雰囲気でキャリア付金属箔302を支持体301に向けて所定の圧力で押圧し、所定の温度(例えば190〜230℃)に加熱して支持体301を硬化させる。
【0091】
図12(b)に示すように、金属箔304の表面に、開口部305Xを有するレジスト層305を形成する。レジスト層305の材料としては、例えば次工程のめっき処理に対して対めっき性を有する材料を用いることができる。例えば、レジスト層305の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジスト)等を用いることができる。例えば、金属箔304の表面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、レジスト層305を形成する。なお、液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等の液状レジスト)を用いてレジスト層305を形成してもよい。
【0092】
図13(a)に示すように、レジスト層305をめっきマスクとして、金属箔304の表面に、金属箔304を給電層に利用した電解めっき法(電解銅めっき法)を施し、レジスト層305の開口部305X内に、第1の配線層210を形成する。そして、
図13(b)に示すように、レジスト層305を、例えばアッシング処理やアルカリ性の剥離液を用いて除去する。
【0093】
図14に示すように、支持体301の上面側の第1の配線層210の上方に、モールドシート120と第2の金属板110を配置する。また、支持体301の下面側の第1の配線層210の下方に、モールドシート120と第2の金属板110を配置する。モールドシート120は、熱硬化性を有する半硬化状態の樹脂を用いることができる。また、モールドシート120の材料としては、例えば、熱硬化性を有したエポキシ樹脂や熱硬化性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、半硬化状態の樹脂層の材料としては、上述以外の樹脂を用いてもよい。また、シリカの粒子等の無機フィラーを含有する半硬化状態の樹脂層、等を用いることができる。無機フィラーとして、アルミナの粒子や炭化珪素の粒子等を用いてもよい。また、複数種類の粒子を用いてもよい。また、モールドシート120の材料として、上記以外の樹脂を用いてもよい。第2の金属板110は、配線部21と突起部22を有している。第2の金属板110の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0094】
図15(a)に示すように、例えば真空雰囲気で第2の金属板110を支持体に向けて押圧し、所定の温度(例えば190〜230度)に加熱してモールドシート120を硬化させ、絶縁層30とする。この工程により、構造体310を得る。この構造体310は、支持体301を中心として、支持体301の上面側に、キャリア付金属箔302、第1の配線層210、絶縁層30、第2の金属板110が積層されるとともに、支持体301の下面側に、キャリア付金属箔302、第1の配線層210、絶縁層30、第2の金属板110が積層されている。キャリア付金属箔302の金属箔304と第1の配線層210は、第2の金属板として機能する。
【0095】
そして、キャリア付金属箔302の金属箔304を剥離層によりキャリア板303から剥離する。これにより、
図15(b)に示す2枚の構造体311を得る。
図16(a)に示すように、構造体311において、金属箔304の上面304aに、開口部321Xを有するエッチングマスク321を形成する。エッチングマスク321の開口部321Xは、
図11(a)に示す第1の配線層210の貫通孔211Xに対応する位置に形成される。エッチングマスク321としては、上述のエッチングマスクと同様に、例えばレジスト層を用いることができる。
【0096】
また、第2の金属板110の下面110bに、保護層322を形成する。保護層322は、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うように形成される。保護層322として、エッチングマスク321と同じものを用いることができる。なお、保護層322として、エッチングマスク321の材料と異なる材料が用いられてもよい。
【0097】
図16(b)に示すように、エッチングマスク321の開口部321Xから金属箔304及びパッド部211にエッチング処理を施し、金属箔304及びパッド部211を貫通する貫通孔211Xを形成する。この貫通孔211Xを形成するエッチング処理において、上述したエッチング処理と同様に、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用い、エッチング装置として、スプレーエッチング装置を用いることができる。
【0098】
図16(c)に示すように、エッチングマスク321の開口部321Xから露出する絶縁層30の延在部31に貫通孔31Xを形成する。貫通孔31Xは、既存の樹脂除去プロセスを用いることができる。樹脂除去プロセスとしては、例えば、過マンガン酸カリウム溶液などを用いたデスミア処理や、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工、等が挙げられる。
【0099】
図17(a)に示すように、金属箔304の上面を覆い開口部331Xを有するレジスト層331を形成する。また、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うレジスト層332を形成する。レジスト層331,332の材料としては、例えば次工程のめっき処理に対して対めっき性を有する材料を用いることができる。例えば、レジスト層331,332の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジスト)等を用いることができる。例えば、ドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、レジスト層331,332を形成する。なお、上述のエッチング処理において用いられるエッチングマスク321と保護層322を剥離せず、レジスト層331,332として利用してもよい。
【0100】
そして、構造体311に対して第2の金属板110をめっき給電層に利用した電解めっき法を施す。この電解めっきにより、貫通孔31X,211X内に露出した第2の金属板110の突起部22の上面22aから徐々に電解めっき膜(銅めっき膜、めっき金属)153が析出成長する。絶縁層30の延在部31は薄いため、析出成長する電解めっき膜153は、パッド部211及び金属箔304の貫通孔211Xの内面につながる。そして、
図17(b)に示すように、電解めっき膜153により貫通孔31X,211Xを充填する。この電解めっき膜153は、第2の金属板110の突起部22と、パッド部211及び金属箔304とを接続する。つまり、貫通孔31X,211X内に形成しためっき金属としての電解めっき膜153は、
図11(a)に示す接続ビア40となる。
【0101】
そして、レジスト層331,332を除去する。例えば、レジスト層331,332を例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。
本実施形態において、接続ビア40は、例えばめっき金属(電解めっき膜153)よりなり、シード層を含まない。例えば、絶縁層の両面に銅箔が貼り付けられた銅張りコアを用いて配線基板を製造する場合、絶縁層に形成した貫通孔に接続ビアを形成するため、絶縁層の貫通孔の内面にシード層を形成する工程を必要とする。これに対し、本実施形態の製造工程では、シード層を形成する工程が不要であるため、製造に要する時間が短い。
【0102】
図18(a)に示すように、第2の金属板110の下面110bに、保護層341を形成する。保護層341は、第2の金属板110の下面110bの全体を覆うように形成される。保護層341は、例えばレジスト層である。レジスト層の材料としては、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。具体的には、レジスト層の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、第2の金属板110の下面110bにドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層を形成することができる。
【0103】
次に、金属箔304をエッチングする。これにより、
図18(b)に示すように、絶縁層30に埋設された配線層210を有する構造体312を得ることができる。金属箔304に銅箔を用いた場合、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、又は塩化第二銅溶液などを用い、エッチング装置として、スプレーエッチング装置を用いることができる。そして、保護層341を除去する。保護層341としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって保護層341を除去する。
【0104】
図19(a)に示すように、第2の金属板110の下面110bに、開口部351Xを有するエッチングマスク351を形成する。エッチングマスク351は、
図11(a)に示す第2の配線層20の配線部21に対応する位置に形成される。エッチングマスク351としては、上述のエッチングマスクと同様に、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。また、構造体312の上面、つまり絶縁層30及び配線層210を保護層352により被覆する。保護層352としては、上述の保護層と同様に、次工程のエッチング処理に対して耐エッチング性がある材料を用いることができる。
【0105】
次に、エッチングマスク351の開口部351Xから第2の金属板110にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、
図19(b)に示すように、絶縁層30の下面30bを露出させる、第2の配線層20の配線部21を形成する。
【0106】
図19(c)に示すように、エッチングマスク351及び保護層352(
図19(b)参照)を除去する。エッチングマスク351としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。また、保護層352としてレジスト層を用いた場合、例えばアルカリ性の剥離液によって除去する。
【0107】
図20(a)に示すように、開口部51Xを有するソルダーレジスト層51と、開口部52Xを有するソルダーレジスト層52を形成する。ソルダーレジスト層51の開口部51Xは、第1の配線層210の一部を露出するように形成される。ソルダーレジスト層52の開口部52Xは、第2の配線層20の配線部の一部を露出するように形成される。ソルダーレジスト層51は、例えば、感光性の樹脂フィルムをラミネートし、又は液状やペースト状の樹脂を塗布し、当該樹脂をフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより得られる。同様に、ソルダーレジスト層52は、例えば、感光性の樹脂フィルムをラミネートし、又は液状やペースト状の樹脂を塗布し、当該樹脂をフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより得られる。
【0108】
図20(b)に示すように、ソルダーレジスト層51の開口部51Xから露出する第1の配線層210の上面210aに、表面処理層61を形成する。例えば、表面処理層61がNi層/Au層である場合には、第1の配線層210の上面210aに、Ni層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層61を形成する。なお、これらNi層、Au層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0109】
また、ソルダーレジスト層52の開口部52Xから露出する第2の配線層20の配線部21の下面21bに、表面処理層62を形成する。例えば、表面処理層62がNi層/Au層である場合には、配線部21の下面21bに、Ni層とAu層とをこの順番で積層して表面処理層62を形成する。なお、これらNi層、Au層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0110】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(2−1)上述の第1実施形態と同様の効果をそうする。
(2−2)金属箔302を給電層とする電解めっき法により第1の配線層210を形成した。従って、金属板をエッチングして配線層を形成する場合と比べ、第1の配線層210に含まれる配線部212を微細化することができる。このため、配線密度の高い配線基板201を得ることができる。
【0111】
(2−2)支持体301の両面にキャリア付金属箔302を貼付し、それらのキャリア付金属箔302の金属箔304を用いて2枚の構造体311を形成するようにした。従って、構造体311を得るまでの製造工程において、反り等の発生を抑制できる。
【0112】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施形態では、第1の配線層10,210の上面10a,210aに表面処理層61を形成したが、表面処理層61を省略してもよい。この場合、第1の配線層10,210の上面10a,210aが外部接続端子P1として機能し、この外部接続端子に半導体チップ等の電子部品や別の配線基板を搭載することができる。
【0113】
・上記各実施形態では、第2の配線層20の配線部21の下面21bに表面処理層62を形成したが、表面処理層62を省略してもよい。この場合、第2の配線層20の配線部21の下面21bが外部接続端子P2として機能し、この外部接続端子P2にはんだ等のバンプによりマザーボード等の回路基板に実装することができる。
【0114】
・上記各実施形態では、第2の配線層20の配線部21の下面21bに形成した表面処理層62の表面を外部接続端子P2としたが、第2の配線層20の配線部21を回路基板等に実装するバンプとして利用するようにしてもよい。
【0115】
図22(a)〜
図22(b)は、バンプとして利用する配線部を形成する工程の一例を示す。
図22(a)に示すように、第2の金属板110の下面110bの所望位置にレジスト層361を形成する。このレジスト層361は、バンプを形成する位置に対応する。
【0116】
次に、
図22(b)に示すように、第2の金属板110にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、絶縁層30の下面30bより下方に位置する配線部25が形成される。この配線部25は、突起部22と同様に、配線部25の側面25bは、絶縁層30の下面30bに向かって広がるように湾曲した曲面状に形成されている。詳述すると、配線部25は、平面視における断面形状が、配線部25の下面20bから絶縁層30の下面30bに向かって広がるように形成されている。さらに、配線部25の側面25cは、下端から絶縁層30の下面30bにかけて、配線部25の内側に向かって凹状に湾曲して形成される。そして、
図22(c)に示すように、レジスト層361(
図22(b)参照)を除去する。
【0117】
・上記各実施形態に対し、半導体チップを搭載するパッド(ダイパッド)を形成してもよい。
図23(a)に示すように、配線基板401は、第1の配線層410と第2の配線層420とを有している。第1の配線層410は、パッド部411を有している。第2の配線層420は、パッド部421を有している。ソルダーレジスト層51は、絶縁層30の上面と第1の配線層410の一部を被覆し、パッド部411の上面を露出する開口部51Xを有している。ソルダーレジスト層52は、絶縁層30の下面と第2の配線層420の一部を被覆し、パッド部421の下面を露出する開口部52Xを有している。
【0118】
図23(b)に示すように、パッド部411の上には、半導体チップ481がフェースアップにて実装される。半導体チップ481は、半導体チップ481の下面481bとパッド部411の上面411aとの間の接着層(図示略)を介してパッド部411上に搭載されている。半導体チップ481の上面481aの電極端子(図示略)は、金属線482を介して、ソルダーレジスト層51の開口部51Xから露出する第1の配線層410の上面410aに接続されている。この第1の配線層410の上面410aには、第1実施形態の配線基板1と同様の表面処理層(図示略)が形成されている。接着層としては、例えば、エポキシ樹脂等のダイボンド材(ダイアタッチ材)やエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂に銀フィラーを分散させた銀ペーストを用いることができる。金属線482としては、例えば、金(Au)ワイヤ、アルミニウム(Al)ワイヤや銅(Cu)ワイヤなどを用いることができる。なお、半導体チップ481と金属線482とを覆う樹脂層(例えばエポキシ樹脂)が形成されてもよい。
【0119】
このように、第1の配線層410にダイパッドとしてパッド部411を形成することで、半導体チップ481を搭載するモジュール基板として配線基板401を利用することができる。そして、第2の配線層420にパッド部421を形成することにより、第1の配線層410のパッド部411に搭載した半導体チップ481の熱を効率よく外部へと放熱することができる。なお、第2の配線層420のパッド部421に放熱部材を直接接続することもできる。
【0120】
図24(a)に示す配線基板501は、第1の配線層510と第2の配線層520とにそれぞれパッド部511,521を有している。第2の配線層520は、絶縁層30の下面より下方に位置する配線部522がバンプとして利用可能に形成されている。
図24(b)に示すように、第1の配線層510のパッド部511の上には、半導体チップ581がフェースアップにて実装される。半導体チップ581は、半導体チップ581の下面581bとパッド部511の上面511aの間の接着層(図示略)を介してパッド部511上に搭載されている。半導体チップ581の上面581aの電極端子(図示略)は、金属線582を介して、第1の配線層510の上面510aに接続されている。この第1の配線層510の上面510aには、第1実施形態の配線基板1と同様の表面処理層(図示略)が形成されている。接着層としては、例えば、エポキシ樹脂等のダイボンド材(ダイアタッチ材)やエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂に銀フィラーを分散させた銀ペーストを用いることができる。金属線582としては、例えば、金(Au)ワイヤ、アルミニウム(Al)ワイヤや銅(Cu)ワイヤなどを用いることができる。なお、半導体チップ481と金属線482とを覆う樹脂層(例えばエポキシ樹脂)が形成されてもよい。
【0121】
このように、第1の配線層510にダイパッドとしてパッド部511を形成することで、半導体チップ581を搭載するモジュール基板として配線基板501を利用することができる。第2の配線層520にパッド部521を形成することにより、第1の配線層510のパッド部511に搭載した半導体チップ581の熱を効率よく外部へと放熱することができる。なお、第2の配線層520のパッド部521に放熱部材を直接接続することもできる。
【0122】
・上記各実施形態に対し、構成部材の形状を適宜変更してもよい。
図25(a)に示すように、絶縁層30が接する面を粗化面としてもよい。つまり、第1の配線層10において、下面10b及び側面10cを粗化面とする。第2の配線層20において、突起部22の側面22b及び上面22aを粗化面とする。粗化面により配線層10,20と絶縁層30との間の密着性が向上する。粗化面を形成する粗化処理として、例えば、黒化処理、エッチング処理、レーザ処理、ブラスト処理等を用いることができる。なお、第1の配線層10と第2の配線層20の何れか一方を粗化面としてもよい。
【0123】
図25(b)に示すように、絶縁層30の延在部31の貫通孔31Xの内径を、第1の配線層10の貫通孔10Xの内径より大きくしてもよい。例えば、第1の配線層10の貫通孔10Xを形成した後の樹脂除去プロセスの処理時間を調整することで、貫通孔10Xの内径より大きな内径の貫通孔31Xを形成することができる。このように貫通孔10X,31Xを形成することで、第1の配線層10と第2の配線層20の突起部22との間において絶縁層30の延在部31を形成しつつ、貫通孔10X,31Xに形成した接続ビア40と第1の配線層10との間、接続ビア40と第2の配線層20との間の接続部分の面積を大きくすることができる。
【0124】
図25(c)に示すように、第1の配線層10の上面10aより絶縁層30の上面30aを上方に位置するようにしてもよい。このようにすると、例えばフェースダウン状態にて半導体チップを搭載する際に必要となるリセスを形成することができる。
【0125】
図25(d)に示すように、接続ビア40の上面40aを、第1の配線層10の上面10aより下方に位置するようにしてもよい。このようにしても、接続ビア40と第1の配線層10との間の接続性、つまり第1の配線層10と第2の配線層20との間において必要とする接続性が確保される。そして、接続ビア40の上面40aが第1の配線層10の上面10aより低い分、接続ビア40の形成に要する時間、つまり電解めっき法を施す時間が短くてすみ、製造に要する時間を短縮できる。
【0126】
・上記各実施形態では、例えば
図6(b)に示す工程において、第1の金属板100にエッチングを施して貫通孔10Xを形成したが、レーザ加工によって貫通孔10Xを形成してもよい。この場合、レーザ加工法によって絶縁層30に貫通孔31Xを形成することができる。レーザ加工法に、例えばCO
2レーザを用いることができる。なお、必要に応じて、デスミア処理を施し、貫通孔10X,31Xの残渣を除去するようにしてもよい。
【0127】
・上記第2の実施形態では、支持体301の両面にそれぞれキャリア付金属箔302を積層し、それらのキャリア付金属箔302の金属箔304を用いて第1の配線層210を有する2枚の構造体311(
図15(b)参照)を製造し、構造体311から配線基板201(
図11(a)参照)を形成するようにした。これに対し、支持体301の上面にキャリア付金属箔302を積層し、そのキャリア付金属箔302の金属箔304を用いて配線基板を形成するようにしてもよい。