【実施例】
【0078】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0079】
実施例1(ラクトン化合物の製造)
【0080】
【化13】
【0081】
前記式の反応を行った。前記アミドアルコール化合物は、特許文献1の方法に従い製造したものを使用した。
【0082】
3口ナスフラスコに、前記式のアミドアルコール化合物(235.0g、含水量17質量%、440mmol)と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルとして、2−メトキシエタノール940mLと、36質量%塩酸(115.9g、塩化水素 1140mmol、前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0083】
予め温めていたオイルバスに、前記3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で10分間攪拌した。攪拌したまま25℃〜30℃に冷却し、水(940mL)を5分以上かけてゆっくりと加えた後、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物を反応液中に析出させた。得られた反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して、前記ラクトン化合物の結晶を得た。得られた結晶に水(200mL)を加えて、かき混ぜろ過した。同じ操作を6回行い結晶の洗浄を行なった。最後に、結晶に水(600mL)を加えてかき混ぜろ過した。ろ液のpHと、洗浄に使用している水のpHの差が0.5以下であることを確認した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を136.5g得た(423.5mmol、収率96%)。
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm
−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0084】
実施例2(ラクトン化合物の製造)
実施例1と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例1と同じアミドアルコール化合物(5.00g、含水量17%、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−ブトキシエタノール(20mL)と、36質量%の塩酸(2.47g、塩化水素 24mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0085】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で1時間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(40mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0086】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(50mL)を加えてかき混ぜろ過した。さらに水(100mL)を加えて、結晶と水とをかき混ぜろ過した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン体を2.30g得た(6.93mmol、収率74%)。
得られたラクトン化合物の分析値;mp:99〜101℃、IR(Nujol):1775cm
−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0087】
比較例1
実施例1と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例1と同じアミドアルコール化合物(40.00g、90mmol)と、ブタノール(400mL)と、36質量%の塩酸(93.5g、塩化水素 900mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して10モル使用)を仕込んだ。
【0088】
内温110℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応液に6N NaOH水(90mL)を加えて中和した。得られた混合物を分液し、有機層を水洗後減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチルで抽出し、再度水洗後減圧濃縮した。濃縮残渣は結晶化しなかったので、シリカゲルカラムクロマト(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製することにより目的とするラクトン化合物20g(68%)得た。
【0089】
実施例3 チオラクトン化合物の製造
下記の反応式に従い、以下の条件でチオラクトン化合物を製造した。
【0090】
【化14】
【0091】
実施例1で製造したラクトン化合物(3.22g)のN,N−ジメチルアセトアミド(5mL)溶液に、チオ酢酸カリウム(1.52g)を加え、150℃で1時間、撹拌混合撹拌した。反応終了後、水(17mL)を60℃で加え、室温まで徐々に冷却後、10℃以下で1時間、撹拌混合した。得られた固体を濾取後メタノールから再結晶することによりチラクトン化合物(2.87g、85%)を得た。mp126℃。
【0092】
実施例4 ビオチンの製造方法
下記の反応式に従い、以下の条件でビオチンを製造した。
【0093】
【化15】
【0094】
臭素(5.8g)を亜鉛末(9.3g)のTHF(18mL)とトルエン(12ml)縣濁液に40℃以下で加えた。この縣濁液に5−ヨードペンタン酸エチルエステル(18.6g)を1時間かけて加えた。同温で1時間、撹拌混合した後、実施例3で製造したチオラクトン化合物(17.6g)、トルエン(36mL)、ジメチルホルムアミドDMF(4.4ml)、10質量%Pd/C(0.5g)を加えて、28℃から40℃の温度範囲で5時間、撹拌混合した。反応終了後、反応液に18質量%塩酸水(34mL)を加えて室温で1時間、撹拌混合した。有機層を分離し水洗、乾燥後、減圧濃縮した。
【0095】
濃縮残渣をメタノール(160ml)と水(44mL)の混合液に溶かし、Pd(OH)
2/C(50質量%ウエット、1.6g)を加えて、110℃、水素圧0.9MPaで12時間、接触還元した。反応終了後、反応液を濾過後、濾液に31質量%NaOH水溶液(19g)を加えて40℃で2時間、撹拌混合した。
【0096】
水素付加反応終了後、反応液に10質量%塩酸を加えてpH1とした。メタノールを減圧留去し、生成物を酢酸エチルで抽出、水洗、濃縮した。
【0097】
濃縮残渣にメタンスルホン酸(1.2g)およびメシチレン(1.2mL)を加えて135℃で3時間、撹拌混合した。反応液を85℃まで冷却後、分液し、下層を水(8ml)中に注入する。この混合液を10℃以下で1時間、撹拌混合した後、析出した結晶を濾過することによりビオチン(10.7g、85%)を得た。mp231-232℃。
【0098】
製造例1
(トリオン化合物の準備)
下記式で示される方法で製造したトリオン化合物を以下の方法で準備した。
【0099】
【化16】
【0100】
3口ナスフラスコにcis−1,3−ジベンジル−2−オキソ−4,5−イミダゾリジンジカルボン酸(200.0g、564.4mmol ウレイド化合物(式の左側の化合物))、メシチレン(600.0mL;沸点165℃)を仕込んだ。3口ナスフラスコにDean−Stark管と冷却管を取り付け、窒素を1分流し窒素置換をした。185℃で加熱、環流、攪拌した。Dean−Stark管に溜まった水は適時除去した。合計3時間以上加熱した。反応の進行は反応液を0.1〜0.2mL抜き出し、2mLのメタノールを加え、さらに5MのNaOMeメタノール液を数滴加えるメタリシス処理を行なったサンプルを用いてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した(ジカルボン酸を脱水した無水化合物が合成されているのを確認した。)。この脱水反応により、沸点が140℃以上の芳香族炭化水素系溶媒と前記無水化合物とを含む第二反応溶液を準備した。第二反応溶液は、前記無水化合物1g当たり、メシチレンを3mL含むものであった。
【0101】
(無水化合物と光学活性アミン化合物との反応)
前記3口ナスフラスコに滴下ロートを取り付け、(R)−(+)−1−メチルベンジルアミン(65.6g、536.2mmol、0.95当量 光学活性アミン化合物)を前記3口ナスフラスコ中に仕込んだ。つまり、第二反応溶液を185℃に加熱、撹拌したまま、2時間30分かけて、該第二反応溶液中に該光学活性アミン化合物を滴下した。瞬時に反応が完了した。無水化合物が消費された(下記式で示されるアミド体Iおよびアミド体IIを含む混合物が生成した)のは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した。また、この際、アミド体Iおよびアミド体IIを含む混合物は、溶液中に析出しなかった。以上の方法を行うことにより、前記混合物、およびメシチレンを含む第一反応溶液を準備した。この時、第一反応溶液は、前記混合物1g当たり、メシチレンを3mL含むものであった。
【0102】
【化17】
【0103】
(混合物の脱水反応)
光学活性アミン化合物の滴下終了後さらに、撹拌しながら第一反応溶液を3時間30分加熱した。そして、Dean−Stark管にさらに水が溜まらないことを確認した。前記混合物(前記式で示されるアミド体Iおよびアミド体II)が消費された(トリオン化合物(最初の反応式の右側の化合物)が生成した)のは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した。
【0104】
(トリオン化合物の取り出し、精製)
その後、このDean−Stark管からメシチレンを合計200mL抜き出した。反応器内の温度を100℃以下に下げた。攪拌しながらイソプロピルアルコールを700mL加えた。温度を80℃に保ちながら、さらに水を280mL滴下した。その後、種晶を加え、さらに、水を220mL加えた。その後、23℃まで放冷して24時間撹拌し、得られた結晶をろ過した。
【0105】
ろ取した結晶を5℃以下に冷却したイソプロピルアルコール75mLと水25mL混合液で洗浄した。洗浄した結晶を60℃で23時間30分真空乾燥することにより、目的のトリオン化合物を205.2g得た(466.9mmmol、収率87%)。mp:157℃、IR(KBr):1780、1705、1680cm
−1。
【0106】
(水素化カルシウムの準備)
ナスフラスコに塩化カルシウム(68.26mmol、7.97g(純度95%))とエタノール(180mL、純度99.4%)を入れて超音波を用いて溶かした。氷浴につけて5分以上攪拌した。氷浴で冷やしたまま、水素化ホウ素ナトリウム(136.51mmol、5.74g(純度90%))を加えた。そのまま氷浴で20分攪拌して水素化ホウ素カルシウムを製造した。
【0107】
(トリオン化合物の還元;アミドアルコール化合物の製造)
前記方法と同様の操作を行い製造したトリオン化合物(30.0g、68.26mmol)を、水素化カルシウムを準備したナスフラスコに仕込み、室温(23℃)で16時間攪拌した。50℃に温度を上げて2時間攪拌した。得られた反応液をHPLCで分析した。トリオン化合物の転化率:100%、異性体比:75/25、アミナール体:0.6%であった。
【0108】
反応液に水(270mL)と酢酸(15mL)を加えた。反応液をろ過した。得られた固体を60℃で6時間以上真空乾燥した。本品を含水メタノールから再結晶することにより下記式で示されるアミドアルコール化合物を得た(収量:18.8g収率:62%)
【0109】
【化18】
【0110】
実施例5(ラクトン化合物の製造)
製造例1と同様の操作を行い、得られたアミドアルコール化合物を使用して以下の反応を行った。
【0111】
【化19】
【0112】
3口ナスフラスコに、製造例1と同様の操作を行い得られたアミドアルコール化合物(235.0g、含水量17質量%、440mmol)と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルとして、2−メトキシエタノール940mLと、36質量%塩酸(115.9g、塩化水素 1140mmol、前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0113】
予め温めていたオイルバスに、前記3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で10分間攪拌した。攪拌したまま25℃〜30℃に冷却し、水(940mL)を5分以上かけてゆっくりと加えた後、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物を反応液中に析出させた。得られた反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して、前記ラクトン化合物の結晶を得た。得られた結晶に水(200mL)を加えて、かき混ぜろ過した。同じ操作を6回行い結晶の洗浄を行なった。最後に、結晶に水(600mL)を加えてかき混ぜろ過した。ろ液のpHと、洗浄に使用している水のpHの差が0.5以下であることを確認した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を136.5g得た(423.5mmol、収率96%)。
【0114】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm
−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0115】
実施例6(ラクトン化合物の製造)
実施例5と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例5と同じアミドアルコール化合物(製造例1と同様の方法で製造したアミドアルコール化合物; 5.00g、含水量17%、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−ブトキシエタノール(20mL)と、36質量%の塩酸(2.47g、塩化水素 24mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0116】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で1時間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(40mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0117】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(50mL)を加えてかき混ぜろ過した。さらに水(100mL)を加えて、結晶と水とをかき混ぜろ過した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を2.30g得た(7.14mmol、収率76%)。
【0118】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:99〜101℃、IR(Nujol):1775cm
−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0119】
実施例7(ラクトン化合物の製造)
実施例5と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例5と同じアミドアルコール化合物(製造例1と同様の方法で製造したアミドアルコール化合物; 4.15g、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−メトキシ−1−プロパノール(8.3mL)と、36質量%の塩酸(2.07g、塩化水素 20.4mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.2モル使用)を仕込んだ。
【0120】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温100℃で15分間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(83mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で2時間攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0121】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(20mL)を加えてかき混ぜろ過した。得られた結晶を60℃で17時間、送風乾燥した。目的のラクトン化合物を2.96g得た(9.18mmol、収率98%)。
【0122】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm
−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。