特許第6856471号(P6856471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856471ラクトン化合物の製造方法、および該ラクトン化合物を使用したビオチンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856471
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】ラクトン化合物の製造方法、および該ラクトン化合物を使用したビオチンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/048 20060101AFI20210329BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   C07D491/048
   C07D495/04 103
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-143033(P2017-143033)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2018-108979(P2018-108979A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2020年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-128(P2017-128)
(32)【優先日】2017年1月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】関 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 博将
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−127994(JP,A)
【文献】 米国特許第3876656(US,A)
【文献】 特表2010−526138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素の存在下、
下記式(1)
【化1】
(式中、
、およびRは、それぞれ、水素原子、又はウレイレン基の保護基であり、
は、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、
、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子である。)で示されるアミドアルコール化合物を、
分子中の全炭素数が2〜12であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒中で環化させることにより、
下記式(2)
【化2】
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である)で示されるラクトン化合物を製造する方法。
【請求項2】
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、下記式(A)
【化3】
(式中、
1Aは、炭素数1〜6のアルキル基であり、
1Bは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキルであり、nが2以上の場合、R1Bは同一の基であっても、異なる基であってもよく、
nは、1〜6の整数である。)で示され、かつ分子中の全炭素数が2〜12であるアルコールである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、分子中の全炭素数が2〜6であること特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、および2−メトキシ−1−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールである請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の方法により前記式(2)で示されるラクトン化合物を製造した後、該ラクトン化合物と硫化剤とを反応させることにより、
下記式(3)
【化4】
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるチオラクトン化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法により前記式(3)で示されるチオラクトン化合物を製造した後、該チオラクトン化合物を原料として、
下記式(4)
【化5】
で示されるビオチンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビオチン中間体の新規な製造方法に関し、かつ、該製造方法で得られる中間体を使用してビオチンの製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビオチンは、糖尿病予防効果等が期待される医薬品、及び飼料添加剤等に使用される水溶性ビタミンである。
【0003】
該ビオチンは、非常に長い製造工程を有する。そのため、中間体であっても多くの工程を経て製造されている。例えば、ビオチンの代表的な中間体である、
下記式(2)
【0004】
【化1】
【0005】
(式中、R、およびRは、それぞれ、水素原子、又はウレイレン基の保護基である。)で示されるラクトン化合物であっても、以下のような非常に長い工程で製造されている(特許文献1参照)。下記工程においては、R、およびRがベンジル基(Bn基)である場合の例(特許文献1の実施例1、3)を示した。
【0006】
【化2】
【0007】
特許文献1の実施例には、先ず、1,3−ジベンジル−2−イミダゾリドン−シス−4,5−ジカルボン酸にα−フェネチルアミン((R)−(+)−1−メチルベンジルアミン)のような光学活性アミンを反応させて、1,3−ジベンジル−5−(α−フェネチル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−a]イミダゾール−2,4,6−トリオンを製造する(step1)。次いで、1,3−ジベンジル−5−(α−フェネチル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−a]イミダゾール−2,4,6−トリオンを還元(step2)、酸による環化反応(step3)を実施することにより、ベンジル基を有するラクトン化合物を製造する方法が示されている。そして、特許文献1には、該ラクトン化合物の硫化反応を行ったチオラクトン化合物とし、その後、さらに7工程の反応を行い、最終目的物であるビオチンが得られることが示されている。
【0008】
以上の通り、ビオチンは、非常に多くの工程を経て製造される。そのため、ビオチンの製造コストを低減するためには、各工程における中間体の製造コスト、すなわち各中間体の収率向上も重要になる。
【0009】
前記方法において、アミドアルコール化合物を酸によって環化してラクトン化合物を製造する際には、酸として硫酸または塩酸を使用していた。しかしながら、硫酸は使用後の除去が難しいこと、および副反応が生じ易いことがあり、後処理工程が煩雑となるという点で改善の余地があった。加えて、特許文献1では、反応溶媒としてブタノールを使用しており、該ブタノールが水に溶解し難い。そのため、後工程を煩雑とする要因となり、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3876656号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記の通り、ラクトン化合物の収率、および製造時の操作性を改善することができれば、最終的に得られるビオチンの収率も改善することができる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、ビオチンの中間体であるラクトン化合物の収率、および操作性を改善できる、該中間体の新規な製造方法を提供することにある。そして、該中間体を原料とした、ビオチンの新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、前記ラクトン化合物を製造する際の条件を様々検討した。その結果、塩化水素を酸として使用し、かつ、特定のアルコール、具体的には、水に対して溶解し易い、特定のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、第一の本発明は、
塩化水素の存在下、
下記式(1)
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、
、およびRは、それぞれ、水素原子、又はウレイレン基の保護基であり、
は、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、
、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子である。)で示されるアミドアルコール化合物を、
分子中の全炭素数が2〜12であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒中で環化させることにより、
下記式(2)
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である)で示されるラクトン化合物を製造する方法。
【0019】
第一の本発明においては、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、下記式(A)
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、
1Aは、炭素数1〜6のアルキル基であり、
1Bは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキルであり、nが2以上の場合、R1Bは同一の基であっても、異なる基であってもよく、
nは、1〜6の整数である。)で示され、かつ分子中の全炭素数が2〜12であるアルコールであることが好ましい。
【0022】
また、第一の本発明においては、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、分子中の全炭素数が2〜6であることが好ましい。
【0023】
さらに、第一の本発明においては、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルが、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、および2−メトキシ−1−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールであることが好ましい。
【0024】
第二の本発明は、第一の本発明により前記式(2)で示されるラクトン化合物を製造した後、該ラクトン化合物と硫化剤とを反応させることにより、
下記式(3)
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるチオラクトン化合物を製造する方法である。
【0027】
第三の本発明は、第二の本発明により前記式(3)で示されるチオラクトン化合物を製造した後、該チオラクトン化合物を原料として、
下記式(4)
【0028】
【化7】
【0029】
で示されるビオチンを製造する方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の方法によれば、ビオチンの中間体であるラクトン化合物の収率を改善することができる。そして、反応に使用した反応溶媒の除去が容易となり、後処理工程の操作性を向上できる。その結果、本発明の方法によれば、ビオチンを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、塩化水素の存在下、前記アミドアルコール化合物を、分子中の全炭素数が2〜12であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒中で環化させることにより、前記ラクトン化合物を製造する方法である。以下、順を追って説明する。
【0032】
(原料となるアミドアルコール化合物)
本発明おいては、下記式(1)
【0033】
【化8】
【0034】
で示されるアミドアルコール化合物を原料とする。
【0035】
前記式(1)において、R、およびRは、それぞれ、水素原子、又はウレイレン基の保護基であり、同一であっても、異なる基であってもよい。イミド基の保護基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはアシル基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜11のアラルキル基、または炭素数1〜11のアシル基が挙げられる。特に、それぞれがベンジル基であることが好ましい。
【0036】
ここで、ウレイレン基は−NHCONH−で示される基である。ウレイレン(ureylene)基の保護基とは、ウレイド基に置換して所定反応中に不活性化する基である。所定反応後、脱保護によりウレイレン基が形成される。
【0037】
前記式(1)において、Rは、アルキル基、アラルキル基、アリール基である。中でも、炭素数1〜10アルキル基、炭素数6〜11のアラルキル基、または炭素数5〜10のアリール基が好ましい。特に、メチル基であること好ましい。
【0038】
また、R、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。中でも、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、またはハロゲン原子であることが好ましく、特に、全ての基が水素原子であることが好ましい。
【0039】
これらの中でも、アミドアルコール化合物自体の生産性等を考慮すると、R、およびRは、それぞれ、ベンジル基が好ましく、Rは、メチル基であることが好ましく、R、R、およびRは、それぞれ、水素原子であることが好ましい。
【0040】
該アミノアルコール化合物は、公知の方法、例えば、特許文献1に記載の方法で合成することができる。
【0041】
(環化反応の条件(ラクトン化合物の製造条件))
本発明においては、分子中の全炭素数が2〜12であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒中で、前記アミドアルコール化合物と塩化水素とを接触させることにより、該アミドアルコール化合物を環化させて、前記ラクトン化合物を製造することができる。
【0042】
(塩化水素)
本発明は、塩化水素の存在下で実施する。使用する塩化水素は、水を含む塩酸の状態で反応系内に導入することもできるし、塩化水素ガスを反応系内に導入することもできる。ただし、生産性、装置の簡便化を考慮すると、水を含む塩酸の状態で使用することが好ましい。塩酸を使用する場合、塩化水素が30〜40質量%であり、水が60〜70質量%である塩酸(ただし、水と塩化水素との合計は100質量%である)を使用することができる。これら塩化水素、または塩酸は、市販のものを使用することができる。
【0043】
塩化水素の使用量は、特に制限されるものではないが、後処理工程を容易とし、反応を十分に進めるためには、前記アミドアルコール化合物1モルに対して、0.1〜100モル使用することが好ましく、さらには、1〜10モル使用することが好ましい。
【0044】
(反応溶媒:アルキレングリコールモノアルキルエーテル)
本発明においては、分子中の全炭素数が2〜12であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒中で環化反応を行う。該アルキレングリコールモノアルキルエーテルを使用することにより、比較的短時間で反応が進み、かつ副生物の生成を抑制し、後処理工程を容易にすることができる。中でも、その除去をより容易とし、ラクトン化合物の収率をより高めるためには、分子中の全炭素数が2〜6であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを使用することが好ましい。
【0045】
該アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、下記式(A)
【0046】
【化9】
【0047】
(式中、
1Aは、炭素数1〜6のアルキル基であり、
1Bは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキルであり、nが2以上の場合、R1Bは同一の基であっても、異なる基であってもよく、
nは、1〜6の整数である。)で示されるアルコールであることが好ましい。すなわち、前記式(A)において、R1Aの炭素原子数と、nの繰り返し部分における炭素原子数との合計数が2〜12であり、さらには2〜6となることが好ましい。
【0048】
1Aは、炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0049】
1Bは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基である。また、nが2以上の場合、R1Bは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。異なる基である場合には、例えば、一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜6のアルキル基であってもよい。
【0050】
また、nは、1〜6の整数であり、好ましくは1〜2の整数である。
【0051】
具体的なアルキレングリコールモノアルキルエーテルを例示すると、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノール等が挙げられる。中でも、ラクトン化合物の収率、取り扱い易さ、除去のし易さを考慮すると、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノールを使用することが好ましい。
【0052】
本発明において、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの使用量は、特に制限されるものではなく、反応系内が十分に攪拌混合できるだけの量を使用すればよい。中でも、操作性、除去のし易さを考慮すると、23℃における前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの使用量は、前記アミドアルコール化合物1gに対して、0.5〜20mlが好ましく、さらには1〜10mlが好ましい。
【0053】
本発明においては、前記アルキレングルコールモノアルキルエーテルを主成分とする反応溶媒とすれば、環化反応に悪影響を及ぼさない範囲でその他の溶媒が含まれてよい。例えば、塩化水素を塩酸として反応系内に存在させる場合には、反応溶媒として水を含んでいてもよい。また、その他、前記アミドアルコール化合物に含まれる溶媒を含むこともできるし、不可避的に混入する溶媒を含むこともできる。ただし、本発明の効果を考慮すると、反応溶媒を100体積%としたとき、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルを90〜100体積%、その他の溶媒を0〜10体積%とすることが好ましい。
【0054】
(その他の反応条件)
本発明においては、塩化水素と前記アミドアルコール化合物とを前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む反応溶媒中で接触させるため、撹拌混合することが好ましい。反応系内に、前記アミドアルコール化合物、塩化水素、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルを導入する方法は、特に制限されるものではない。例えば、前記アミドアルコール化合物を前記反応溶媒に溶解させておき、撹拌混合しながら、そこに塩化水素(塩酸)を加えることができる。
【0055】
前記アミドアルコール化合物を環化させてラクトン化合物とする際の温度(反応温度)は、特に制限されるものではなく、反応を十分に進行させるためには、10〜200℃が好ましく、さらには50〜120℃が好ましい。
【0056】
反応温度は、特に制限されるものではなく、前記アミドアルコール化合物の消費量、前記ラクトン化合物の生成量を確認し、適宜決定すればよい。通常であれば、1分間〜20時間であればよく、10分間〜2時間であることが好ましい。
【0057】
また、反応時の雰囲気も特に制限されるものではなく、空気雰囲気下、または不活性ガス雰囲気下の何れであってもよい。操作性を考慮すると、空気雰囲気下で実施することが好ましい。また、反応時の圧力も特に制限されるものではなく、加圧下、大気圧下、減圧下の何れであってもよい。こちらも操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。
【0058】
(ラクトン化合物の取り出し)
以上のような条件で、下記式(2)
【0059】
【化10】
【0060】
(式中、R、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるラクトン化合物を製造することができる。得られたラクトン化合物は、特に制限されるものではないが、以下の方法により反応系外に取り出すことが好ましい。すなわち、反応液に水を加え、その中で結晶として取り出す方法を採用することが好ましい。前記ラクトン化合物を含む反応液に加える水の量は、特に制限されるものではないが、得られるラクトン化合物の純度を高くするためには、反応液に含まれる水の全量が、ラクトン化合物1gに対して、5〜50mlとなるように加えることが好ましく、さらに1〜10mlとなるように加えることが好ましい。なお、この水の全量には、例えば、塩酸を使用した場合の水も含まれるものとする。
【0061】
ラクトン化合物の結晶を析出させる際の温度は、特に制限されるものではないが、純度のより高いラクトン化合物を得るためには、10〜40℃が好ましく、20〜35℃がより好ましい。
【0062】
ブタノールを使用している従来技術においては、ブタノールが水と混合し難く、相分離を生じてしまう。そのため、制したラクトン化合物を反応系外に取り出すには、沸点の高いブタノールを留去する必要があり、このことが操作性を低下させる一因となっていた。これに対し、本発明においては、水に対する溶解性の高い前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルを使用しているため、反応系内に水を導入しても相分離することなく、その中でラクトン化合物の結晶を析出することができる。その結果、操作性よく、純度の高いラクトン化合物を取り出すことができる。
【0063】
取り出したラクトン化合物の結晶は、公知の方法で精製、乾燥を行えばよい。
【0064】
(チオラクトン化合物の製方法)
前記方法で得られたラクトン化合物は、公知の方法でチオラクトン化合物とすることができる。具体的には、前記ラクトン化合物を硫化剤と反応させることにより、
【0065】
【化11】
【0066】
(式中、R、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるチオラクトン化合物を製造できる。
【0067】
使用する硫化剤としては、特に制限されるものではなく、公知の硫化剤を使用できる。具体的には、チオ酢酸カリウム、キサントゲン酸カリウム、水流化ナトリウム、チオアセトアミド等を挙げることができる。
【0068】
前記アミドアルコール化合物と前記硫化剤とは、接触させるために、両者を混合すればよい。混合においては、反応溶媒中で混合することが好ましい。反応溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を使用することができる。
【0069】
使用する硫化剤の量は、特に制限されるものではなく、通常、前記ラクトン化合物1モルに対して、1〜10モル使用すればよい。また、反応温度も、特に制限されるものではないが、50〜200℃で実施することが好ましい。
【0070】
以上のような方法に従えば、前記チオラクトン化合物を製造することができる。得られたラクトン化合物は、適当な溶媒で抽出、濃縮、再結晶、及び乾燥等の操作を行い、反応系内から取り出すことができる。
【0071】
(ビオチンの製造方法)
前記チオラクトン化合物は、それを原料として、下記式(4)
【0072】
【化12】
【0073】
で示されるビオチンを製造することができる。
【0074】
前記チオラクトン化合物からビオチンを製造する方法は、公知の方法を採用できる。具体的には、特許文献1、その特許文献のファミリー特許である特公昭53−35076号公報、特公昭55−16435号公報、および特開2000−191665号公報の方法に従い実施すればよい。
【0075】
具体的には、グリニヤール反応により側鎖を導入し、脱水、水素添加する。次いで、ハロゲン化水素によりスルホニウム塩とし、マロン酸ジエチルと反応させ、加水分解脱炭酸し、N,N−置換基を除去することにより、前記ビオチンを製造することができる(特許文献1、特公昭53−35076号公報、特公昭55−16435号公報参照。)。
【0076】
また、側鎖に該当する亜鉛試薬(亜鉛試薬:X−Zn−CH−Q−Y、式中、X:ハロゲン原子、Q:例えば、トリメチレン基、Y:例えば、エステル基)を前記チオラクトン化合物に付加反応させた後、加水分解し、脱水を行う。次いで、還元、および必要に応じてR、およびRの脱保護反応を行うことにより、前記ビオチンを製造できる(特開2000−191665号公報参照)。
【0077】
以上のような方法でビオチンを製造することができる。本発明によれば、ビオチンの中間体である、前記アミドアルコール化合物の収率を向上することができるため、最終的に得られるビオチンも効率よく製造することができる。
【実施例】
【0078】
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0079】
実施例1(ラクトン化合物の製造)
【0080】
【化13】
【0081】
前記式の反応を行った。前記アミドアルコール化合物は、特許文献1の方法に従い製造したものを使用した。
【0082】
3口ナスフラスコに、前記式のアミドアルコール化合物(235.0g、含水量17質量%、440mmol)と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルとして、2−メトキシエタノール940mLと、36質量%塩酸(115.9g、塩化水素 1140mmol、前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0083】
予め温めていたオイルバスに、前記3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で10分間攪拌した。攪拌したまま25℃〜30℃に冷却し、水(940mL)を5分以上かけてゆっくりと加えた後、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物を反応液中に析出させた。得られた反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して、前記ラクトン化合物の結晶を得た。得られた結晶に水(200mL)を加えて、かき混ぜろ過した。同じ操作を6回行い結晶の洗浄を行なった。最後に、結晶に水(600mL)を加えてかき混ぜろ過した。ろ液のpHと、洗浄に使用している水のpHの差が0.5以下であることを確認した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を136.5g得た(423.5mmol、収率96%)。
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0084】
実施例2(ラクトン化合物の製造)
実施例1と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例1と同じアミドアルコール化合物(5.00g、含水量17%、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−ブトキシエタノール(20mL)と、36質量%の塩酸(2.47g、塩化水素 24mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0085】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で1時間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(40mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0086】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(50mL)を加えてかき混ぜろ過した。さらに水(100mL)を加えて、結晶と水とをかき混ぜろ過した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン体を2.30g得た(6.93mmol、収率74%)。
得られたラクトン化合物の分析値;mp:99〜101℃、IR(Nujol):1775cm−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0087】
比較例1
実施例1と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例1と同じアミドアルコール化合物(40.00g、90mmol)と、ブタノール(400mL)と、36質量%の塩酸(93.5g、塩化水素 900mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して10モル使用)を仕込んだ。
【0088】
内温110℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応液に6N NaOH水(90mL)を加えて中和した。得られた混合物を分液し、有機層を水洗後減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチルで抽出し、再度水洗後減圧濃縮した。濃縮残渣は結晶化しなかったので、シリカゲルカラムクロマト(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製することにより目的とするラクトン化合物20g(68%)得た。
【0089】
実施例3 チオラクトン化合物の製造
下記の反応式に従い、以下の条件でチオラクトン化合物を製造した。
【0090】
【化14】
【0091】
実施例1で製造したラクトン化合物(3.22g)のN,N−ジメチルアセトアミド(5mL)溶液に、チオ酢酸カリウム(1.52g)を加え、150℃で1時間、撹拌混合撹拌した。反応終了後、水(17mL)を60℃で加え、室温まで徐々に冷却後、10℃以下で1時間、撹拌混合した。得られた固体を濾取後メタノールから再結晶することによりチラクトン化合物(2.87g、85%)を得た。mp126℃。
【0092】
実施例4 ビオチンの製造方法
下記の反応式に従い、以下の条件でビオチンを製造した。
【0093】
【化15】
【0094】
臭素(5.8g)を亜鉛末(9.3g)のTHF(18mL)とトルエン(12ml)縣濁液に40℃以下で加えた。この縣濁液に5−ヨードペンタン酸エチルエステル(18.6g)を1時間かけて加えた。同温で1時間、撹拌混合した後、実施例3で製造したチオラクトン化合物(17.6g)、トルエン(36mL)、ジメチルホルムアミドDMF(4.4ml)、10質量%Pd/C(0.5g)を加えて、28℃から40℃の温度範囲で5時間、撹拌混合した。反応終了後、反応液に18質量%塩酸水(34mL)を加えて室温で1時間、撹拌混合した。有機層を分離し水洗、乾燥後、減圧濃縮した。
【0095】
濃縮残渣をメタノール(160ml)と水(44mL)の混合液に溶かし、Pd(OH)/C(50質量%ウエット、1.6g)を加えて、110℃、水素圧0.9MPaで12時間、接触還元した。反応終了後、反応液を濾過後、濾液に31質量%NaOH水溶液(19g)を加えて40℃で2時間、撹拌混合した。
【0096】
水素付加反応終了後、反応液に10質量%塩酸を加えてpH1とした。メタノールを減圧留去し、生成物を酢酸エチルで抽出、水洗、濃縮した。
【0097】
濃縮残渣にメタンスルホン酸(1.2g)およびメシチレン(1.2mL)を加えて135℃で3時間、撹拌混合した。反応液を85℃まで冷却後、分液し、下層を水(8ml)中に注入する。この混合液を10℃以下で1時間、撹拌混合した後、析出した結晶を濾過することによりビオチン(10.7g、85%)を得た。mp231-232℃。
【0098】
製造例1
(トリオン化合物の準備)
下記式で示される方法で製造したトリオン化合物を以下の方法で準備した。
【0099】
【化16】
【0100】
3口ナスフラスコにcis−1,3−ジベンジル−2−オキソ−4,5−イミダゾリジンジカルボン酸(200.0g、564.4mmol ウレイド化合物(式の左側の化合物))、メシチレン(600.0mL;沸点165℃)を仕込んだ。3口ナスフラスコにDean−Stark管と冷却管を取り付け、窒素を1分流し窒素置換をした。185℃で加熱、環流、攪拌した。Dean−Stark管に溜まった水は適時除去した。合計3時間以上加熱した。反応の進行は反応液を0.1〜0.2mL抜き出し、2mLのメタノールを加え、さらに5MのNaOMeメタノール液を数滴加えるメタリシス処理を行なったサンプルを用いてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した(ジカルボン酸を脱水した無水化合物が合成されているのを確認した。)。この脱水反応により、沸点が140℃以上の芳香族炭化水素系溶媒と前記無水化合物とを含む第二反応溶液を準備した。第二反応溶液は、前記無水化合物1g当たり、メシチレンを3mL含むものであった。
【0101】
(無水化合物と光学活性アミン化合物との反応)
前記3口ナスフラスコに滴下ロートを取り付け、(R)−(+)−1−メチルベンジルアミン(65.6g、536.2mmol、0.95当量 光学活性アミン化合物)を前記3口ナスフラスコ中に仕込んだ。つまり、第二反応溶液を185℃に加熱、撹拌したまま、2時間30分かけて、該第二反応溶液中に該光学活性アミン化合物を滴下した。瞬時に反応が完了した。無水化合物が消費された(下記式で示されるアミド体Iおよびアミド体IIを含む混合物が生成した)のは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した。また、この際、アミド体Iおよびアミド体IIを含む混合物は、溶液中に析出しなかった。以上の方法を行うことにより、前記混合物、およびメシチレンを含む第一反応溶液を準備した。この時、第一反応溶液は、前記混合物1g当たり、メシチレンを3mL含むものであった。
【0102】
【化17】
【0103】
(混合物の脱水反応)
光学活性アミン化合物の滴下終了後さらに、撹拌しながら第一反応溶液を3時間30分加熱した。そして、Dean−Stark管にさらに水が溜まらないことを確認した。前記混合物(前記式で示されるアミド体Iおよびアミド体II)が消費された(トリオン化合物(最初の反応式の右側の化合物)が生成した)のは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で確認した。
【0104】
(トリオン化合物の取り出し、精製)
その後、このDean−Stark管からメシチレンを合計200mL抜き出した。反応器内の温度を100℃以下に下げた。攪拌しながらイソプロピルアルコールを700mL加えた。温度を80℃に保ちながら、さらに水を280mL滴下した。その後、種晶を加え、さらに、水を220mL加えた。その後、23℃まで放冷して24時間撹拌し、得られた結晶をろ過した。
【0105】
ろ取した結晶を5℃以下に冷却したイソプロピルアルコール75mLと水25mL混合液で洗浄した。洗浄した結晶を60℃で23時間30分真空乾燥することにより、目的のトリオン化合物を205.2g得た(466.9mmmol、収率87%)。mp:157℃、IR(KBr):1780、1705、1680cm−1
【0106】
(水素化カルシウムの準備)
ナスフラスコに塩化カルシウム(68.26mmol、7.97g(純度95%))とエタノール(180mL、純度99.4%)を入れて超音波を用いて溶かした。氷浴につけて5分以上攪拌した。氷浴で冷やしたまま、水素化ホウ素ナトリウム(136.51mmol、5.74g(純度90%))を加えた。そのまま氷浴で20分攪拌して水素化ホウ素カルシウムを製造した。
【0107】
(トリオン化合物の還元;アミドアルコール化合物の製造)
前記方法と同様の操作を行い製造したトリオン化合物(30.0g、68.26mmol)を、水素化カルシウムを準備したナスフラスコに仕込み、室温(23℃)で16時間攪拌した。50℃に温度を上げて2時間攪拌した。得られた反応液をHPLCで分析した。トリオン化合物の転化率:100%、異性体比:75/25、アミナール体:0.6%であった。
【0108】
反応液に水(270mL)と酢酸(15mL)を加えた。反応液をろ過した。得られた固体を60℃で6時間以上真空乾燥した。本品を含水メタノールから再結晶することにより下記式で示されるアミドアルコール化合物を得た(収量:18.8g収率:62%)
【0109】
【化18】
【0110】
実施例5(ラクトン化合物の製造)
製造例1と同様の操作を行い、得られたアミドアルコール化合物を使用して以下の反応を行った。
【0111】
【化19】
【0112】
3口ナスフラスコに、製造例1と同様の操作を行い得られたアミドアルコール化合物(235.0g、含水量17質量%、440mmol)と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルとして、2−メトキシエタノール940mLと、36質量%塩酸(115.9g、塩化水素 1140mmol、前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0113】
予め温めていたオイルバスに、前記3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で10分間攪拌した。攪拌したまま25℃〜30℃に冷却し、水(940mL)を5分以上かけてゆっくりと加えた後、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物を反応液中に析出させた。得られた反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して、前記ラクトン化合物の結晶を得た。得られた結晶に水(200mL)を加えて、かき混ぜろ過した。同じ操作を6回行い結晶の洗浄を行なった。最後に、結晶に水(600mL)を加えてかき混ぜろ過した。ろ液のpHと、洗浄に使用している水のpHの差が0.5以下であることを確認した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を136.5g得た(423.5mmol、収率96%)。
【0114】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0115】
実施例6(ラクトン化合物の製造)
実施例5と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例5と同じアミドアルコール化合物(製造例1と同様の方法で製造したアミドアルコール化合物; 5.00g、含水量17%、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−ブトキシエタノール(20mL)と、36質量%の塩酸(2.47g、塩化水素 24mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.6モル使用)を仕込んだ。
【0116】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温105℃で1時間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(40mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で一晩攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0117】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(50mL)を加えてかき混ぜろ過した。さらに水(100mL)を加えて、結晶と水とをかき混ぜろ過した。得られた結晶を80℃で1日真空乾燥した。目的のラクトン化合物を2.30g得た(7.14mmol、収率76%)。
【0118】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:99〜101℃、IR(Nujol):1775cm−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。
【0119】
実施例7(ラクトン化合物の製造)
実施例5と同じ反応を行った。3口ナスフラスコに実施例5と同じアミドアルコール化合物(製造例1と同様の方法で製造したアミドアルコール化合物; 4.15g、9.4mmol)と、アルキレンモノアルキルエーテルとして2−メトキシ−1−プロパノール(8.3mL)と、36質量%の塩酸(2.07g、塩化水素 20.4mmol 前記アミドアルコール化合物1モルに対して2.2モル使用)を仕込んだ。
【0120】
予め温めておいたオイルバスに該3口ナスフラスコを入れて加熱した。内温100℃で15分間攪拌した。攪拌したまま30℃に冷却し、水(83mL)を5分以上かけてゆっくりと加え、室温(25℃)で2時間攪拌して、前記式で示されるラクトン化合物の結晶を反応液中に析出させた。
【0121】
反応液をガラスフィルター漏斗でろ過して結晶を得た。得られた結晶に水(20mL)を加えてかき混ぜろ過した。得られた結晶を60℃で17時間、送風乾燥した。目的のラクトン化合物を2.96g得た(9.18mmol、収率98%)。
【0122】
得られたラクトン化合物の分析値;mp:100〜101℃、IR(Nujol):1775cm−1であり、目的とするラクトン化合物であることが確認できた。