特許第6856629号(P6856629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856629
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 133/40 20060101AFI20210329BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20210329BHJP
   C10M 101/02 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 40/12 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20210329BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   C10M133/40
   C10M169/04
   !C10M101/02
   C10N30:10
   C10N40:04
   C10N40:08
   C10N40:12
   C10N40:25
   C10N40:30
   C10N50:10
【請求項の数】24
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-511418(P2018-511418)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-526514(P2018-526514A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016050149
(87)【国際公開番号】WO2017040961
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】62/213,241
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,ラバット
(72)【発明者】
【氏名】デリー,マリー,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】レイクストロー,ブリジェット
(72)【発明者】
【氏名】シャム,サイ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】オドリシオ,ポール,アンジェロ
【審査官】 三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−194886(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0031890(US,A1)
【文献】 特開2011−057718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00− 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
前記潤滑剤組成物100重量部当たり70重量部超の量で存在する基油、及び
構造
【化1】
[式中、各Xは、独立してC-A又はNであり、ここで、少なくとも1つのXはNであるがXのうち2つ以下がNであることを条件とし、
Aは、H、シアノ、或いは
(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は
(2)アリール基若しくはアルキル基である
電子供与基であり、
各Rは、独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は、独立してアルキル基又はアリール基である]
を有する抗酸化剤
を含む潤滑剤組成物。
【請求項2】
構造(A)において、8位のXがNであるとき、以下の置換:(i)少なくとも1つのAがHではない、(ii)別のXがNである、又は(iii)2位の炭素に結合しているRがHではない、の少なくとも1つが存在する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
5位のXがNであるとき、少なくとも1つのAがHである、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記抗酸化剤が構造:
【化2】
を有する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記抗酸化剤が構造:
【化3】
を有する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
Aが、芳香族環に直接的に結合されている酸素原子又は窒素原子を有する電子供与基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記電子供与基が-NR"2、-NH2、-OH、-OR"、-NHCOR"又は-OCOR"であり、ここで各R"は、独立して1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
前記電子供与基が-NR"2であり、ここで各R"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
前記電子供与基が-NH2である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
前記電子供与基が-OHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
前記電子供与基が-OR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
前記電子供与基が-NHCOR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項13】
前記電子供与基が-OCOR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
前記電子供与基が1個から20個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
前記電子供与基がアリール基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
Xの2つがNである、請求項1から15のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項17】
前記抗酸化剤が、前記潤滑剤組成物100重量部当たり0.1重量部から2重量部の量で存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項18】
前記基油が、APIグループI、グループII又はグループIIIの油としてさらに定義される、請求項1から17のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項19】
前記基油が、鉱物基油若しくは合成基油、又は鉱物基油及び合成基油の混合物としてさらに定義される、請求項1から17のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物を形成する方法であって、基油を用意するステップ、抗酸化剤を用意するステップ、並びに基油及び抗酸化剤を組み合わせて潤滑剤組成物を形成するステップを含む、方法。
【請求項21】
構造
【化4】
[式中、各Xは、独立してC-A又はNであり、ここで、少なくとも1つのXはNであるがXのうち2つ以下がNであることを条件とし、
Aは、H、シアノ、或いは
(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は
(2)アリール基若しくはアルキル基である
電子供与基であり、
各Rは、独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は、独立してアルキル基又はアリール基である]
を有する抗酸化剤、並びに
1種以上の金属不活性化剤、1種以上の耐磨耗添加剤及び/又は1種以上の追加の抗酸化剤
を含む、添加剤濃縮物パッケージ
【請求項22】
抗酸化剤が、構造:
【化5】
含む、請求項21に記載の添加剤濃縮物パッケージ
【請求項23】
構造(A)において、8位のXがNであるとき、以下の置換:(i)少なくとも1つのAがHではない、(ii)別のXがNである、又は(iii)2位の炭素に結合しているRがHではない、の少なくとも1つが存在する、請求項21に記載の添加剤濃縮物パッケージ。
【請求項24】
5位のXがNであるとき、少なくとも1つのAがHである、請求項21に記載の添加剤濃縮物パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、潤滑剤組成物に関する。より具体的には、該潤滑剤組成物は、電子供与基を含む特定の抗酸化剤を含む。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤組成物は、当技術分野において一般的によく知られており、油又は水ベースの組成物、即ち、大きな重量百分率の非極性化合物((基)油など)又は大きな重量百分率の水をそれぞれ含む組成物として大まかに分類される。潤滑剤組成物は、典型的に、エンジン油、駆動系油、ギヤ油、グリース、自動及び手動変速機の流体及び油、油圧油、工業用ギヤ油、タービン油、さび及び酸化(R&O)抑制油、圧縮機油、又は抄紙機油などとしてさらに分類される。これらの組成物の各々は、特定の仕様及び設計要件を有し、大部分は、腐食及び磨耗を最小化するように、熱的及び物理的分解に抵抗するように、且つ酸化性化合物及び金属断片などの一般異物の影響を最小化できるように設計される。
【0003】
抗酸化剤は、酸化を遅延できる化合物であり、したがって、こうした潤滑剤組成物における添加剤として有用である。抗酸化剤は、望まれない酸化を低減すること及び性能基準を増加させることを補助するために、潤滑剤組成物において一般に利用される。燃焼エンジン潤滑剤は、エンジンの高い運転温度で容易に酸化し、ひいては、潤滑剤の粘度が増加するにつれて潤滑能力が低減される。また、酸化生成物は、蓄積することにより堆積物を形成する傾向があり、これは、ひいては、エンジン部品のより大きな磨耗につながる。例えば、ペルオキシルラジカルは、ラジカル鎖の形成をもたらし、最終的には酸化的分解につながり得る。抗酸化剤は、こうしたラジカルと反応し、ラジカル鎖を短くして、分解を低減するために使用される。残念ながら、多くの抗酸化剤は、所望されるほど速くは反応しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、改善された抗酸化剤を開発する機会が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、潤滑剤組成物100重量部当たり70重量部超の量で存在する基油を含むとともに抗酸化剤も含む潤滑剤組成物を提供する。該抗酸化剤は、構造:
【0006】
【化1】
を有し、式中、各Xは、独立してC-A又はNであり、ここで、少なくとも1つのXはNであるがXのうち2つ以下がNであることを条件とする。さらに、Aは、H、シアノ、或いは(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は(2)アリール基若しくはアルキル基である電子供与基である。さらに、各Rは独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は独立してアルキル基又はアリール基である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、潤滑剤組成物を提供する。各種実施形態において、潤滑剤組成物は、さらに、完全配合潤滑剤として、又は代替としてエンジン油、駆動系油、ギヤ油、グリース、自動及び/若しくは手動変速機の流体及び/若しくは油、油圧油、工業用ギヤ油、タービン油、さび及び酸化(R&O)抑制油、圧縮機油、抄紙機油、並びに/又はその組合せとして記載することができる。
【0008】
一実施形態において、「完全配合潤滑剤」という専門用語は、最終的な市販油である最終組成物全体を指す。この最終的な市販油には、配合用途に依存して、例えば、洗剤、分散剤、抗酸化剤、消泡添加剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、耐磨耗添加剤、摩擦改質剤、及び他の通例の添加剤が含まれ得る。当技術分野において、エンジン油は、下に記載されている通りの基油及び性能添加剤を含むと見なすことができる。本開示の潤滑剤組成物は、基油及び特定の抗酸化剤を含み、前述の添加剤のいずれか1種以上を含むことができる。
【0009】
基油:
基油は、特に限定されず、天然及び合成の潤滑油又は基油、並びにその混合物など、1種以上の潤滑粘度の油(oil of lubricating viscosity)を含むとさらに定義することができる。一実施形態において、基油は潤滑剤としてさらに定義される。別の実施形態において、基油は潤滑粘度の油としてさらに定義される。また別の実施形態において、基油は、自動車及びトラックエンジン、2サイクルエンジン、航空用ピストンエンジン、並びに海洋及び鉄道ディーゼルエンジンを含む、火花点火及び圧縮点火内燃エンジンのためのクランクケース潤滑油としてさらに定義される。代替として、基油は、ガスエンジン、定置原動機及びタービンにおいて使用されるべき油としてさらに定義することができる。基油は、高負荷又は低負荷用エンジン油としてさらに定義することができる。一実施形態において、基油は高負荷ディーゼルエンジン油としてさらに定義される。代替として、基油は、例えば、米国特許第6,787,663号及びU.S.2007/0197407(各々が1つ以上の非限定的な実施形態において参照により本明細書に明確に組み込まれる)に開示されている通りの、潤滑粘度の油又は潤滑油として記載することができる。代替として、基油は、エンジン油、駆動系油、ギヤ油、グリース、自動及び手動変速機の流体若しくは油、油圧油、工業用ギヤ油、タービン油、さび及び酸化(R&O)抑制油、圧縮機油又は抄紙機油などにおいて、或いはそれらとして使用することができる。
【0010】
基油は、ベースストック油としてさらに定義することができる。代替として、基油は、同じ製造者の仕様を満たすとともに、独特の式、製品識別番号又はそれらの両方によって識別される、同じ仕様に合わせて(送給源又は製造者の位置とは無関係に)単一製造者によって生成される構成成分としてさらに定義することができる。基油は、以下に限定されないが、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化及び再精製を含む、様々な異なるプロセスを使用して製造又は抽出することができる。再精製ストックは、典型的に、製造、汚染又は前使用を介して導入された材料が実質的にない。一実施形態において、基油は、当技術分野において知られている通りのベースストック群(slate)としてさらに定義される。
【0011】
代替として、基油は、水素化分解油、水素化油、水素化仕上げ油、精製油及び再精製油若しくはその混合物由来とすることができるか、又は1種以上のこうした油を含むことができる。一実施形態において、基油は、天然又は合成の油及び/又はその組合せなどの潤滑粘度の油としてさらに定義される。天然油としては、以下に限定されないが、動物油及び植物油(例えば、ひまし油、ラード油)、並びに液体石油及び溶剤処理又は酸処理鉱物系潤滑油、例えばパラフィン系油、ナフテン系油又は混合パラフィン系-ナフテン系油が挙げられる。
【0012】
様々な他の実施形態において、基油は、石炭又は頁岩由来の油としてさらに定義することができる。適当な油の非限定的な例としては、炭化水素油、例えば重合及び中間重合(interpolymerized)オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン)、並びにその混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、及びジ(2-エチルヘキシル)-ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、及びアルキル化ポリフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、並びにその誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。
【0013】
また他の実施形態において、基油は、1種以上のアルキレンオキシドポリマー及びインターポリマー並びにその誘導体が含まれ得る合成油としてさらに定義することができ、ここで末端ヒドロキシル基は、エステル化、エーテル化又は同様の反応によって修飾されている。典型的に、これらの合成油は、酸化エチレン又は酸化プロピレンを重合してポリオキシアルキレンポリマーを形成し、これをさらに反応させて油を形成し得ることにより調製される。例えば、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテル及びアリールエーテル(例えば、1,000の重量平均分子量を有するメチルポリイソプロピレングリコールエーテル; 500〜1,000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル;及び1,000〜1,500の重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテル)、並びに/又はそのモノ及びポリカルボン酸エステル(例えば、酢酸エステル、混合C3〜C8脂肪酸エステル、又はテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステル)も利用することができる。
【0014】
なおさらなる実施形態において、基油には、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、並びにアルケニルマロン酸)と様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル及びプロピレングリコール)とのエステルが含まれ得る。これらのエステルの具体例としては、以下に限定されないが、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸とを反応させることによって形成される複合エステル、並びにその組合せが挙げられる。基油として有用なエステル又は基油に含まれる場合の有用なエステルには、C5からC12モノカルボン酸とポリオール及びポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールとから形成されるものも含まれる。
【0015】
基油は、代替として、精製油及び/若しくは再精製油、又はその組合せとして記載することができる。未精製油は、典型的に、天然又は合成供給源から、さらに精製処理することなく得られる。例えば、レトルト作業から直接的に得られる頁岩油(シェール油)、蒸留から直接的に得られる石油、又はエステル化プロセスから直接的に得られるエステル油(さらに処理することなく使用される)は全て、本開示において利用することができる。精製油は、それらが1つ以上の特性を改善するための精製を典型的に受けていることを除いて、未精製油と同様である。多くのこうした精製技法、例えば溶剤抽出、酸又は塩基抽出、濾過、パーコレーション、及び同様の精製技法は、当業者に知られている。再精製油は、再生油又は再処理油としても知られており、しばしば、使用済み添加剤及び油分解生成物の除去を対象とする技法によって追加的に処理される。
【0016】
基油は、代替として、米国石油協会(API)基油互換性ガイドラインに特定されている通りに記載することができる。言い換えると、基油は、さらに、5つの基油グループ:グループI(硫黄含有量>0.03wt%(重量%)、及び/又は<90wt%の飽和物、粘度指数80〜120)、グループII(硫黄含有量0.03wt%以下、及び90wt%以上の飽和物、粘度指数80〜120)、グループIII(硫黄含有量0.03wt%以下、及び90wt%以上の飽和物、粘度指数120以上)、グループIV(全てのポリアルファオレフィン(PAO))、及びグループV(グループI、II、III又はIVに含まれない全ての他のもの)の1つ又は2つ以上の組合せとして記載することができる。一実施形態において、基油は、APIグループI、II、III、IV、V及びその組合せから選択される。別の実施形態において、基油は、APIグループII、III、IV及びその組合せから選択される。また別の実施形態において、基油は、さらに、APIグループII、III又はIVの油として定義され、潤滑油の最大約49.9wt%、典型的に最大約40wt%まで、より典型的に最大約30wt%まで、いっそう典型的に最大約20wt%まで、いっそう典型的に最大約10wt%まで、いっそう典型的に最大約5wt%までのAPIグループI又はVの油を含む。水素化処理、水素化仕上げ、水素異性化又は他の水素化アップグレードプロセスによって調製されるグループII及びグループIIベースストックは、上に記載されているAPIグループIIに含まれ得ることも企図される。さらに、基油には、フィッシャー・トロプシュ油又はガスから液体のGTL油が含まれ得る。これらは、例えば、U.S.2008/0076687(これは、1つ以上の非限定的な実施形態において参照により本明細書に明確に組み込まれる)に開示されている。
【0017】
基油は、典型的に、該組成物中に、組成物100重量部当たり70重量部から99.9重量部、80重量部から99.9重量部、90重量部から99.9重量部、75重量部から95重量部、80重量部から90重量部、又は85重量部から95重量部の量で存在する。代替として、基油は、該組成物100重量部当たり70重量部超、75重量部超、80重量部超、85重量部超、90重量部超、91重量部超、92重量部超、93重量部超、94重量部超、95重量部超、96重量部超、97重量部超、98重量部超又は99重量部超の量で存在することができる。各種実施形態において、完全配合潤滑剤(存在する希釈剤又は担体油を含む)における潤滑油の量は、約80重量パーセントから約99.5重量パーセント、例えば、約85重量パーセントから約96重量パーセント、例えば約90重量パーセントから約95重量パーセントである。当然、基油の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動してよい。
【0018】
抗酸化剤:
潤滑剤組成物は、抗酸化剤も含む。こうした抗酸化剤の1種以上が使用され得る。該抗酸化剤は、構造:
【0019】
【化2】
を有し、式中、各Xは、独立してC-A又はN、即ち、「A」基に結合している炭素原子又は窒素原子(N)であるが、少なくとも1つのXがNであることを条件とする。しかしながら、Xのうち2つ以下がNである。さらに、Aは、H(即ち、水素原子)、シアノ基、或いは(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は(2)アリール基若しくはアルキル基である電子供与基である。さらに、各Rは独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は独立してアルキル基又はアリール基である。
【0020】
他の実施形態において、抗酸化剤は、構造:
【0021】
【化3】
を有し、式中、各Xは、独立してCH又はNであるが、少なくとも1つのXがNであることを条件とし、式中、Aは電子供与基である。電子供与基は、(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は(2)アリール基若しくはアルキル基である。さらに、各Rは、独立して、当技術分野において知られている任意のものであってよいアルキル基又はアリール基である。
【0022】
「アリール」基という専門用語は、芳香族環、例えばフェニル、ナフチル、チエニル、インドリルなど由来の任意の官能基又は置換基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環式であってよく、典型的に、1個から20個の炭素原子を含む。アルキル基は、20個より多い炭素原子を含んでもよい。各種実施形態において、アルキル基は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個若しくは20個の炭素原子、又はその任意の範囲を含む。アルキル基は、さらに、アルカン、アルケン又はアルキンとして定義することができる。アルキル基は、代替として、上に記載されている通りの式CnH2n+1(式中、nは1から20である)を使用して記載することができる。各種実施形態において、アルキル基は、メチル、エチルプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、又はその任意の異性体として記載することができる。
【0023】
各種実施形態において、抗酸化剤は、構造:
【0024】
【化4】
を有する。追加の実施形態の例は、以下の通りである:
【0025】
【化5】
【0026】
抗酸化剤の芳香族環内の1個以上の炭素原子が窒素で置き換えられている場合、結果として得られた化合物は、ペルオキシルラジカルを用いる反応についての改善された推算活性化エンタルピー(ΔΗ*)を有することができる一方で、炭素について窒素の置換がない同じ化合物と比較した場合に、空気中でのそれらの安定性を反映する相対的に高い推算イオン化エンタルピー(ΔΗ<ιοη>)も維持する。窒素原子の置換は、イオン化エンタルピー(ΔΗ'οη)の増加をもたらすことができ、したがって、1電子酸化(例えば、空気中のO2又は炭化水素酸化から生じるヒドロペルオキシドとの反応による)に対して該化合物を安定化する。この安定性は、電子供与基との置換がペルオキシルラジカルとの反応についての活性化エンタルピー(ΔΗ*)を低下させることによってラジカル捕捉性抗酸化剤として反応性を増加させることを可能にすることができる。
【0027】
電子供与基は、(1)抗酸化剤の芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は(2)アリール基若しくはアルキル基である。電子供与基は、代替として、当技術分野において理解されている通りの「EDG」として記載することができる。各種実施形態において、電子供与基は、少なくとも1つの孤立電子対を有する、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子などの原子を有する。例えば、酸素及び硫黄は各々、典型的に2つの孤立電子対を有し、一方、窒素及びリンは各々、典型的にただ1つの孤立電子対を有する。「孤立対」という専門用語は、他の原子と共有されない及び/又は化学結合において使用されない1対の価電子を表す。これらの電子は、非結合性電子対として記載することもできる。孤立対電子は、原子の最外電子殻に見出される。孤立対電子の数プラス結合性電子の数は、原子の周りの価電子の合計数に等しい。抗酸化剤の芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子の例は、以下の通りである:
【0028】
【化6】
【0029】
電子供与基は、代替として、アリール基又はアルキル基であってよい。「アリール」基という専門用語は、芳香族環、例えばフェニル、ナフチル、チエニル、インドリルなど由来の任意の官能基又は置換基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環式であってよく、典型的に1個から20個の炭素原子を含む。しかしながら、アルキル基は、20個より多い炭素原子を含んでもよい。各種実施形態において、アルキル基は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個若しくは20個の炭素原子、又はその任意の範囲を含む。アルキル基は、さらに、アルカン、アルケン又はアルキンとして定義することができる。アルキル基は、代替として、上に記載されている通りの式CnH2n+1(式中、nは1から20である)を使用して記載することができる。各種実施形態において、アルキル基は、メチル、エチルプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、又はその任意の異性体として記載することができる。
【0030】
他の実施形態において、電子供与基は、-NR"2、-NH2、-OH、-OR"、-NHCOR"又は-OCOR"であり、ここで各R"は、独立して、上に記載されている通りの、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、電子供与基は-NR"2であってよく、ここで各R"は、独立して、上に記載されている通りの、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である。別の実施形態において、電子供与基は-NH2である。別の実施形態において、電子供与基は-OHである。さらなる実施形態において、電子供与基は-OR"であり、ここでR"は、上に記載されている通りの、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である。さらなる実施形態において、電子供与基は-NHCOR"であり、ここでR"は、上に記載されている通りの、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である。別の実施形態において、電子供与基は-OCOR"であり、ここでR"は、上に記載されている通りの、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である。こうした実施形態に対応する構造の非限定的な例は、下記に説明されている:
【0031】
【化7】
様々な非限定的な実施形態において、メチル基の1つ、2つ又は3つが上に記載されている通りの各々独立するRである前述の構造の各々の類似体が明確に企図される。
【0032】
他の実施形態において、電子供与基は、芳香族又は脂肪族として記載することができる。また他の実施形態において、電子供与基には、炭化水素基、アルコキシ基(OR3)、アミン基、一置換アミン基(NHR3)若しくは二置換アミン基(NR32)を含むか、又はそれらである。他の実施形態において、電子供与基はジアリルアミンであってよい。アルコキシ基又はアミン基の電子供与強度は、それぞれO原子及びN原子上の孤立電子対に主に由来し、そのため、R3基の各々は、水素又は飽和若しくは不飽和の分岐若しくは直鎖炭化水素部分であり得、並びに/或いは1つ以上の脂環式基及び/又は1つ以上の芳香族炭化水素、又はその組合せを含み得るが、アルコキシ基又はアミン基の電子供与の特徴を損なうことはない。こうした実施形態において、「脂環式」という用語は、単環式環又は二環式環を含む飽和又は不飽和の炭素環式部分を表す。脂環式基は、典型的に、3員から7員の飽和炭素環式部分を含む。脂環式部分の例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられ、その部分的不飽和誘導体、例えばシクロヘキセニル、シクロペンテニルなどを含む。代替として、「炭化水素基」という用語は、例えば上に記載されている通りの、1個から20個の炭素原子を含む炭化水素を表すことができ、脂肪族部分及び/又は1つ以上の脂環式基及び/又は1つ以上の芳香族炭化水素、又はその組合せを含む、飽和又は不飽和の分岐又は直鎖炭化水素部分を含む。
【0033】
電子供与基は、代替として、チオール、スルフィド、チオエーテル又はチオエステル(例えば、ここで該基の硫黄原子は、供与されている基に隣接する)であってよい。代替として、電子供与基はホスファンであってよい。
【0034】
また他の実施形態において、該抗酸化剤は、以下の構造を有する:
【0035】
【化8】
加えて、前述の抗酸化剤のいずれか1種以上の組合せが利用され得る。
【0036】
抗酸化剤は、典型的に、該潤滑剤組成物100重量部当たり30重量部、25重量部、20重量部、15重量部、10重量部、5重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部又は0.5重量部の量又はそれ未満で存在する。各種実施形態において、抗酸化剤は、該潤滑剤組成物100重量部当たり0.1重量部から2重量部、0.5重量部から2重量部、1重量部から2重量部、又は1.5重量部から2重量部の量で存在する。当然、抗酸化剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0037】
添加剤:
該組成物は、追加として、様々な化学的及び/又は物理的特性を改善するための1種以上の添加剤を含むことができる。1種以上の添加剤の非限定的な例としては、耐磨耗添加剤、金属不動態化剤、さび抑制剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、洗剤及び減摩添加剤が挙げられる。添加剤の1種以上は、灰分含有又は灰分なしであってよい。
【0038】
耐磨耗添加剤:
耐磨耗添加剤は特に限定されず、当技術分野において知られている任意のものであってよい。一実施形態において、耐磨耗添加剤は、ZDDP、亜鉛ジアルキル-ジチオホスフェート、及びその組合せの群から選択される。代替として、耐磨耗添加剤としては、硫黄及び/若しくはリン及び/若しくはハロゲン含有化合物、例えば硫化オレフィン及び植物油、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、アルキル化トリフェニルホスフェート、リン酸トリトリル、リン酸トリクレシル、塩素化パラフィン、アルキル及びアリールのジスルフィド及びトリスルフィド、モノ及びジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールの誘導体、エチル3-[(ジイソプロポキシホスフィノチオイル)チオ]プロピオネート、トリフェニルチオホスフェート(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート及びその混合物(例えば、トリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3-ヒドロキシ-1,3-チアホスフェタン3-オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5-トリス[イソオクチル2-アセテート]、2-メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、例えば1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-2-メルカプト-1H-1,3-ベンゾチアゾール、エトキシカルボニル-5-オクチルジチオカルバメート、並びに/又はその組合せが挙げられ得る。一実施形態において、耐磨耗添加剤は、例えばホスホロチオネート及び/又はジチオホスフェートエステルにおけるリン及び硫黄を含む。
【0039】
耐磨耗添加剤は、典型的に、該組成物100重量部当たり0.1重量部から20重量部、0.5重量部から15重量部、1重量部から10重量部、5重量部から10重量部、5重量部から15重量部、5重量部から20重量部、0.1重量部から1重量部、0.1重量部から0.5重量部、又は0.1重量部から1.5重量部の量で組成物に存在する。代替として、耐磨耗添加剤は、該組成物100重量部当たり20重量部未満、15重量部未満、10重量部未満、5重量部未満、1重量部未満、0.5重量部未満又は0.1重量部未満の量で存在することができる。耐磨耗添加剤は、該組成物100重量部当たり0.2重量部から0.8重量部、0.2重量部から0.6重量部、0.2重量部から0.4重量部、又は0.3重量部から0.5重量部の量で存在することができることも企図される。当然、耐磨耗添加剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動してよい。
【0040】
追加の抗酸化剤:
該潤滑剤組成物は、上に記載されている抗酸化剤に加えて1種以上の追加の抗酸化剤を含んでもよい。適当な、非限定的な追加の抗酸化剤としては、アルキル化モノフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、2,6-ジ-ノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6(1'-メチルウンデカ-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルヘプタデカ-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルトリデカ-1'-イル)フェノール、及びその組合せが挙げられる。
【0041】
適当な追加の抗酸化剤の他の非限定的な例としては、アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、及びその組合せが挙げられる。ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート、及びその組合せも利用することができる。
【0042】
さらに、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2'-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4'-チオビス-(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4'-ビス-(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、及びその組合せも使用することができる。
【0043】
アルキリデンビスフェノール、例えば2,2'-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-フェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3'-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス-(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、及びその組合せが追加の抗酸化剤として利用され得ることも企図される。
【0044】
O-、N-及びS-ベンジル化合物、例えば3,5,3',5'-テトラ-tert-ブチル-4,4'-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、及びその組合せも利用することができる。
【0045】
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル-2,2-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)-マロネート、ジ-オクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-マロネート、ジ-ドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、及びその組合せも、追加の抗酸化剤としての使用のために適当である。
【0046】
トリアジン化合物、例えば2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、及びその組合せも使用することができる。
【0047】
追加の抗酸化剤のさらなる適当であるが非限定的な例としては、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、及びその組合せが挙げられる。ベンジルホスホネート、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、並びにその組合せも利用することができる。加えて、アシルアミノフェノール、例えば4-ヒドロキシラウルアニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチルN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメートが使用され得る。
【0048】
[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及びその組合せとのエステルも使用することができる。β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と、一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及びその組合せとのエステルが使用され得ることがさらに企図される。13-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及びその組合せとのエステルも使用することができる。さらに、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と、一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及びその組合せとのエステルが利用され得る。
【0049】
適当な追加の抗酸化剤のさらなる非限定的な例としては、窒素が含まれるもの、例えばβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンが挙げられる。追加の抗酸化剤の他の適当な非限定的な例としては、アミン系抗酸化剤、例えばN,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチル-ブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N'-ジメチル-N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p'-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N',N'-テトラメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチル-フェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1',3'-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、N-アリルフェノチアジン、N,N,N',N'-テトラフェニル-1,4-ジアミノブタ-2-エン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリド-4-イル-ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリド-4-イル)セバケート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オン及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、並びにその組合せが挙げられる。
【0050】
適当な追加の抗酸化剤のなおさらなる非限定的な例としては、脂肪族又は芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸若しくはチオ二酢酸のエステル、又はジチオカルバミン酸若しくはジチオリン酸の塩、2,2,12,12-テトラメチル-5,9-ジヒドロキシ-3,7,1トリチアトリデカン及び2,2,15,15-テトラメチル-5,12-ジヒドロキシ-3,7,10,14-テトラチアヘキサデカン、並びにその組合せが挙げられる。さらに、硫化脂肪エステル、硫化脂肪及び硫化オレフィン、並びにその組合せが使用され得る。
【0051】
1種以上の追加の抗酸化剤は、組成物における量において特に限定されないが、該組成物における抗酸化剤の総量が、該組成物100重量部当たり約30重量部、25重量部、20重量部、15重量部、10重量部、5重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部若しくは0.5重量部又はそれ未満、或いは0.1重量部から2重量部、0.5重量部から2重量部、1重量部から2重量部、又は1.5重量部から2重量部であるように存在することができる。代替として、該組成物における抗酸化剤の総量は、該組成物100重量部当たり2重量部未満、1.5重量部未満、1重量部未満又は0.5重量部未満であってよい。当然、1種以上の追加の抗酸化剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0052】
金属不活性化剤:
各種実施形態において、1種以上の金属不活性化剤が該組成物に含まれ得る。1種以上の金属不活性化剤の適当な非限定的な例としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、例えば4-又は5-アルキルベンゾトリアゾール(例えばトリアゾール)及びその誘導体、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール及び5,5'-メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾール又はトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)トリアゾール及び1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール;並びにアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば1-(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール及び1-(1-シクロヘキシルオキシブチル)トリアゾール、並びにその組合せが挙げられる。
【0053】
1種以上の金属不活性化剤の追加の非限定的な例としては、1,2,4-トリアゾール及びその誘導体、例えば3-アルキル(又はアリール)-1,2,4-トリアゾール、並びに1,2,4-トリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1-[ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル-1,2,4-トリアゾール;アルコキシアルキル-1,2,4-トリアゾール、例えば1-(1-ブトキシエチル)-1,2,4-トリアゾール;並びにアシル化3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール誘導体、例えば4,4'-メチレンビス(2-ウンデシル-5-メチルイミダゾール)及びビス[(N-メチル)イミダゾール-2-イル]カルビノールオクチルエーテル、並びにその組合せが挙げられる。
【0054】
1種以上の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、硫黄含有複素環式化合物、例えば2-メルカプトベンゾチアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール及びその誘導体;並びに3,5-ビス[ジ(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-1,3,4-チアジアゾリン-2-オン、及びその組合せが挙げられる。1種以上の金属不活性化剤のなおさらなる非限定的な例としては、アミノ化合物、例えばサリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン及びその塩、並びにその組合せが挙げられる。
【0055】
1種以上の金属不活性化剤は、該組成物における量において特に限定されないが、典型的に、該組成物100重量部当たり0.01重量部から0.1重量部、0.05重量部から0.01重量部、又は0.07重量部から0.1重量部の量で存在する。代替として、1種以上の金属不活性化剤は、該組成物100重量部当たり0.1重量部未満、0.7重量部未満又は0.5重量部未満の量で存在することができる。1種以上の金属不活性化剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0056】
さび抑制剤及び摩擦改質剤:
各種実施形態において、1種以上の追加のさび抑制剤及び/又は1種以上の摩擦改質剤が該組成物に含まれ得る。1種以上の追加のさび抑制剤及び/又は1種以上の摩擦改質剤の適当な非限定的な例としては、有機酸、それらのエステル、金属塩、アミン塩及び無水物、例えばアルキル及びアルケニルコハク酸並びにそれらの、アルコール、ジオール又はヒドロキシカルボン酸との部分エステル、アルキル及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4-ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシ及びアルコキシエトキシカルボン酸、例えばドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸及びそのアミン塩、並びにまたN-オレオイルサルコシン、モノオレイン酸ソルビタン、ナフテン酸鉛、アルケニルコハク酸無水物、例えばドデシルコハク酸無水物、2-カルボキシメチル-1-ドデシル-3-メチルグリセロール及びそのアミン塩、並びにその組合せが挙げられる。1種以上のさび抑制剤及び/又は摩擦改質剤の追加の適当な非限定的な例としては、窒素含有化合物、例えば、第1級、第2級又は第3級脂肪族又は脂環式アミン、及び有機酸及び無機酸のアミン塩、例えば油溶性アルキルアンモニウムカルボキシレート、並びにまた1-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-(4-ノニルフェノキシ)プロパン-2-オール、並びにその組合せが挙げられる。さらに適当な非限定的な例としては、複素環式化合物、例えば:置換イミダゾリン及びオキサゾリン、及び2-ヘプタデセニル-1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリン、リン含有化合物、例えば:リン酸部分エステル又はホスホン酸部分エステルのアミン塩、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛、モリブデン含有化合物、例えばモリブデンジチオカルバメート及び他の硫黄及びリン含有誘導体、硫黄含有化合物、例えば:バリウムジノニルナフタレンスルホネート、カルシウム石油スルホネート、アルキルチオ置換脂肪族カルボン酸、脂肪族2-スルホカルボン酸のエステル及びその塩、グリセロール誘導体、例えば:モノオレイン酸グリセロール、1-(アルキルフェノキシ)-3-(2-ヒドロキシエチル)グリセロール、1-(アルキルフェノキシ)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)グリセロール及び2-カルボキシアルキル-1,3-ジアルキルグリセロール、並びにその組合せが挙げられる。
【0057】
1種以上の追加のさび抑制剤及び/又は1種以上の摩擦改質剤は、該組成物における量において特に限定されないが、該組成物100重量部当たり0.05重量部から0.5重量部、0.01重量部から0.2重量部、0.05重量部から0.2重量部、0.1重量部から0.2重量部、0.15重量部から0.2重量部、又は0.02重量部から0.2重量部の量で存在することができる。代替として、1種以上の追加のさび抑制剤及び/又は1種以上の摩擦改質剤は、該組成物100重量部当たり0.5重量部未満、0.4重量部未満、0.3重量部未満、0.2重量部未満、0.1重量部未満、0.5重量部未満又は0.1重量部未満の量で存在することができる。1種以上のさび抑制剤及び摩擦改質剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0058】
粘度指数向上剤:
各種実施形態において、1種以上の粘度指数向上剤が該組成物に含まれ得る。1種以上の粘度指数向上剤の適当な非限定的な例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー及びポリエーテル、並びにその組合せが挙げられる。1種以上の粘度指数向上剤は、該組成物における量において特に限定されないが、典型的に、該組成物100重量部当たり1重量部から1重量部、2重量部から8重量部、3重量部から7重量部、4重量部から6重量部、又は4重量部から5重量部の量で存在する。代替として、1種以上の粘度指数向上剤は、該組成物100重量部当たり10重量部未満、9重量部未満、8重量部未満、7重量部未満、6重量部未満、5重量部未満、4重量部未満、3重量部未満、2重量部未満又は1重量部未満の量で存在することができる。1種以上の粘度指数向上剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0059】
流動点降下剤:
各種実施形態において、1種以上の流動点降下剤が該組成物に含まれ得る。流動点降下剤の適当な非限定的な例としては、ポリメタクリレート及びアルキル化ナフタレン誘導体、並びにその組合せが挙げられる。1種以上の流動点降下剤は、該組成物における量において特に限定されないが、典型的に、該組成物100重量部当たり0.1重量部から1重量部、0.5重量部から1重量部、又は0.7重量部から1重量部の量で存在する。代替として、1種以上の流動点降下剤は、該組成物100重量部当たり1重量部未満、0.7重量部未満、又は0.5重量部未満の量で存在することができる。1種以上の流動点降下剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0060】
分散剤:
各種実施形態において、1種以上の分散剤が該組成物に含まれ得る。1種以上の分散剤の適当な非限定的な例としては、ポリブテニルコハク酸アミド又はイミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体及び塩基性マグネシウム、カルシウム及びバリウムのスルホネート及びフェノラート、コハク酸エステル及びアルキルフェノールアミン(マンニッヒ塩基)、並びにその組合せが挙げられる。
【0061】
1種以上の分散剤は、該組成物における量において特に限定されないが、典型的に、該組成物100重量部当たり0.1重量部から5重量部、0.5重量部から4.5重量部、1重量部から4重量部、1.5重量部から3.5重量部、2重量部から3重量部、又は2.5重量部から3重量部の量で存在する。代替として、1種以上の分散剤は、該組成物100重量部当たり5重量部未満、4.5重量部未満、3.5重量部未満、3重量部未満、2.5重量部未満、2重量部未満、1.5重量部未満又は1重量部未満の量で存在することができる。1種以上の分散剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0062】
洗剤:
各種実施形態において、1種以上の洗剤が該組成物に含まれ得る。1種以上の洗剤の適当な非限定的な例としては、過塩基性又は中性の金属スルホネート、フェネート及びサリチレート、並びにその組合せが挙げられる。
【0063】
1種以上の洗剤は、該組成物における量において特に限定されないが、典型的に、該組成物100重量部当たり0.1重量部から5重量部、0.5重量部から4.5重量部、1重量部から4重量部、1.5重量部から3.5重量部、2重量部から3重量部、又は2.5重量部から3重量部の量で存在する。代替として、1種以上の洗剤は、該組成物100重量部当たり5重量部未満、4.5重量部未満、3.5重量部未満、3重量部未満、2.5重量部未満、2重量部未満、1.5重量部未満又は1重量部未満の量で存在することができる。1種以上の洗剤の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0064】
各種実施形態において、該組成物は水を実質的に含まず、例えば、5重量パーセント未満、4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満又は1重量パーセント未満の水を含む。代替として、該組成物は、0.5重量パーセント未満若しくは0.1重量パーセント未満の水、該組成物100万重量部当たり(ppm)500重量部未満、100重量部未満、50重量部未満、20重量部未満、15重量部未満、10重量部未満若しくは5重量部未満の水を含み得るか、又は水がなくてよい。当然、水の重量パーセントは、上に記載されているそれらの範囲及び値内の、任意の値若しくは値の範囲、整数及び小数の両方であってよく、並びに/又は上記の値及び/若しくは値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%など変動する量で存在することができる。
【0065】
該潤滑剤組成物は、ASTM D 874に従って、且つ当技術分野において知られている灰分含有又は灰分なしとしてさらに定義することができる。典型的に、「灰分なし」という専門用語は、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの金属の(有意な)量の非存在を指す。当然、潤滑剤組成物は、灰分含有又は灰分なしのいずれかとして定義されると特に限定されないことが理解されるべきである。
【0066】
添加剤濃縮物(コンセントレート)パッケージ:
当開示は、本開示の抗酸化剤を含むとともに、1種以上の金属不活性化剤、1種以上の耐磨耗添加剤、1種以上の追加の抗酸化剤、及び/又は前述の添加剤の1種以上も含む、添加剤濃縮物パッケージも提供する。添加剤濃縮物パッケージは、本開示の抗酸化剤を含み、任意の追加の抗酸化剤を含まなくてもよい。一実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、液圧添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、エンジン油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。さらなる実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、駆動系油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。追加の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、ギヤ油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。また別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、グリース添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。さらなる実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、自動及び/又は手動変速機の流体及び/又は油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、工業用ギヤ油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、タービン油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、さび及び酸化抑制油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、圧縮機油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、抄紙機油添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、前述の油の2つ以上の組合せのための添加剤濃縮物パッケージとしてさらに定義される。
【0067】
別の実施形態において、添加剤濃縮物パッケージは、10〜40重量パーセントの抗酸化剤、0〜15重量パーセントの金属不活性化剤(例えば、黄色金属腐食阻害剤)、0〜15重量パーセントの腐食阻害剤(例えば、本開示の腐食阻害剤及び第一鉄金属腐食阻害剤)、0〜10重量パーセントの摩擦改質剤(例えば、モノオレイン酸グリセロール)、20〜35重量パーセントの耐磨耗添加剤、及び0〜1重量パーセントの消泡添加剤を含む。追加として、0〜25重量パーセントの分散剤も含まれ得る。粘度調整剤及び流動点降下剤も含まれ得るが、典型的に、こうしたパッケージの一部ではない。
【0068】
上に記載されている化合物の一部は、潤滑剤組成物において相互作用し得るので、最終形態における潤滑剤組成物の構成成分は、初めに一緒に添加又は組み合わされる構成成分と異なることがある。それによって形成された一部の生成物は、本開示の組成物をそれの意図される使用において用いる際に形成される生成物を含み、簡単に記載されない又は記載可能でない。それでもなお、本開示の組成物をそれの意図される使用において用いる際に形成される、全てのこうした修飾物、反応生成物、及び生成物は、明確に企図され、本明細書によって、本明細書における様々な非限定的な実施形態に含まれる。本開示の各種実施形態には、上に記載されている通り、組成物を用いることから形成される、修飾物、反応生成物、及び生成物の1種以上が含まれる。
【0069】
組成物を形成する方法:
本開示は、該組成物を形成する方法も提供する。該方法は、基油を用意するステップ、本開示の抗酸化剤を用意するステップ、並びに基油及び抗酸化剤を組み合わせるステップを含む。該方法は、前述の添加剤のいずれか1種以上を用意するステップ、並びに1種以上の前述の添加剤と本開示の基油及び/又は抗酸化剤とを任意の順序で及び任意の量で組み合わせるステップの1つ以上のステップも含み得る。
【0070】
組成物から独立した抗酸化剤:
本開示は、任意の潤滑剤組成物から独立して、抗酸化剤自体も提供する。該抗酸化剤は、本明細書に記載されている通りのいずれかであってよい。
【0071】
抗酸化剤を作製する方法:
本開示は、抗酸化剤を作製する方法も提供する。各種実施形態において、該方法は、アルキル基が各々独立して1個から20個の炭素原子を有するアミノジアルキルアミノピリミジンを用意するステップ、触媒量のヨウ素を用意するステップ、アセトンを用意するステップ、並びにアミノジアルキルアミノピリミジン、ヨウ素及びアセトンを組み合わせることにより本開示の抗酸化剤を形成するステップを含む。
【0072】
他の実施形態において、該方法は、下記に概説する通りの1つ以上のステップを含み得る。当業者は、必要に応じて出発材料を変更することができる。例えば、任意の適当な第2のアミンは、ビス-2-エチルヘキシルアミンの代わりに利用することができる。また他の実施形態において、該方法は、EP94245(様々な非限定的な実施形態においてその全体が本明細書に明確に組み込まれる)に記載されている通りの1つ以上のステップを含む。例えば、当業者は、当開示の抗酸化剤を形成するために、EP94245から1つ以上の合成ステップを選択することができる。
【0073】
【化9】
【0074】
ジアルキルアミノピリミジンのアルキル基は、各々独立して、直鎖状、分岐状又は環式であってよく、典型的に、1個から20個の炭素原子を含む。アルキル基は、20個より多い炭素原子を含み得る。各種実施形態において、アルキル基は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個若しくは20個の炭素原子、又はその任意の範囲を含む。アルキル基は、アルカン、アルケン又はアルキンとしてさらに定義することができる。アルキル基は、代替として、上に記載されている通りの式CnH2n+1(式中、nは1から20である)を使用して記載することができる。各種実施形態において、アルキル基は、メチル、エチルプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、又はその任意の異性体として記載することができる。
【0075】
様々な非限定的な実施形態において、当開示の抗酸化剤の1種以上は、仮出願連続番号62/213,245、仮出願連続番号62/213,241、仮出願連続番号62/213,239、仮出願連続番号62/347,907、BASF Docket番号: PF76423WO01を有する本発明と同時出願のPCT出願、及び/又はBASF Docket番号: PF76497WO01を有する本発明と同時出願のPCT出願に記載されている1種以上の抗酸化剤との組合せで利用することができる。これらの各々は、様々な非限定的な実施形態においてその全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【実施例】
【0076】
本開示の抗酸化剤の例は、以下の通りに形成することができる:
【0077】
[実施例1]
乾燥フラスコ中で、5-アミノ-N,N-ジオクチルアミノピリミジン及び触媒量のヨウ素を、溶媒としてのアセトンと混合する。その結果得られた反応混合物を終了するまで加熱する。反応の終了で、混合物を冷却し、生成物を単離する。
【0078】
【化10】
【0079】
[実施例2]
1,2-ジヒドロ-6-メトキシ-2,2,4-トリメチル-1,5-ナフチリジン:窒素ガス供給源に接続された還流凝縮器、熱電対及び磁気撹拌子が備えられている1Lの3つ口丸底フラスコ中で、5-アミノ-2-メトキシピリジン52.48gをアセトン500mL中に溶解した。その結果得られた溶液に、ヨウ素6.8gを添加した。その結果得られた混合物を窒素雰囲気下にて撹拌し、還流で加熱し、内部測定反応温度は60℃であった。14時間の加熱後、その結果得られた混合物を周囲温度に冷却し、真空下で濃縮することにより、暗色の粘稠な粗製油が得られた。粗反応混合物をジクロロメタン中に溶解し、ジクロロメタンで溶出するシリカゲルの短カラムに通過させることにより、1,2-ジヒドロ-6-メトキシ-2,2,4-トリメチル-1,5-ナフチリジン69g(80%の収率)を黄色の油として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.26 (s, 6H), 2.05 (s, 3H), 3.4 (s, 1H), 3.86 (s, 3H), 5.49 (s, 1H), 6.4 (d, 1H), 6.7 (d, 1H)。この反応を下記で視覚的にも説明する:
【0080】
【化11】
【0081】
[実施例3]
6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,2,4-トリメチル-1,5-ナフチリジン:磁気撹拌子が備えられている600mLの圧力瓶中で、1,2-ジヒドロ-6-メトキシ-2,2,4-トリメチル-1,5-ナフチリジン10gをエタノール30mL中に溶解した。その結果得られた溶液に、追加のエタノール25mLを使用して触媒として10%のPd炭素0.75gを添加して、確実にフラスコに触媒を全て移動した。その結果得られた混合物を窒素でパージし、20psiから40psiの水素圧下でさらなる水素が吸収されなくなるまで反応させた。反応混合物を窒素でパージし、触媒を濾過によって除去した。濾液を真空下で濃縮することにより、6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,2,4-トリメチル-1,5-ナフチリジン9.93g(98%の収率)を淡い琥珀色の油として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 1.17 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.39 (d, 3H), 1.5 (t, 1H), 1.84 (dd, 1H), 2.93 (m, 1H), 3.05 (s, 1H), 3.87 (s, 3H), 6.41 (d, 1H), 6.76 (d, 1H)。MS: m/z=207 (M)+。この反応を下記で視覚的にも説明する:
【0082】
【化12】
【0083】
形成後、実施例3において形成された抗酸化剤を油に添加し、これは、高圧示差走査熱量測定及びASTM D6186を使用して酸化誘発時間を決定するために評価される。いずれの抗酸化剤も含まない様々な比較組成物も形成される。結果を直下で説明する。
【0084】
【表1】
【0085】
上記の表に示されているデータに基づき、抗酸化剤の使用は、抗酸化剤が存在しない比較組成物と比較して、0.5〜2wt%の抗酸化剤を含む組成物について酸化誘発時間の改善を示す。
【0086】
全開示にわたる前述の実施形態の全ての組合せは、こうした開示が上記の単一の段落又はセクションにおいて逐語的に記載されていなくても、1つ以上の非限定的な実施形態において、本明細書によって明確に企図される。言い換えると、明確に企図される実施形態は、開示のいずれかの部分から、上に記載、選択及び組み合わされている任意の1つ以上の要素を含み得る。
【0087】
上に記載されている値の1つ以上は、変動が本開示の範囲内にとどまる限り、±5%、±10%、±15%、±20%、±25%など変動することができる。予想外の結果が、全ての他の要素(member)から独立するマーカッシュグループの各要素から得られることがある。各要素は、個々に及び/又は組合せにおいて依拠することができ、添付の請求項の範囲内において特定の実施形態のための適切なサポートを提供する。独立請求項並びに単一項及び複数項の両方に従属する従属請求項の全ての組合せの主題は、本明細書において明確に企図される。本開示は、限定よりもむしろ記載の単語を含む、例示的なものである。本開示の多くの修飾及び変動は、上記教示に照らせば可能であり、本開示は、本明細書に具体的に記載されている通り以外に実践することができる。
【0088】
本開示の各種実施形態を記載する際に依拠される任意の範囲及びサブ範囲は、独立して及び集団的に添付の請求項の範囲内に入り、こうした値が本明細書において明確に書かれていなくともその整数及び/又は小数(分数)の値を含む全ての範囲を記載及び企図すると理解されることも理解されるべきである。当業者は、列挙された範囲及びサブ範囲が、本開示の各種実施形態を十分に記載及び可能にすること、並びにこうした範囲及びサブ範囲が、関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳述することができることを容易に認識する。単に1つの例として、「0.1から0.9の」範囲は、下部3分の1、即ち0.1から0.3、中央3分の1、即ち0.4から0.6、及び上部3分の1、即ち0.7から0.9にさらに詳述することができ、これらは個々に及び集団的に添付の請求項の範囲内であり、個々に及び/又は集団的に依拠することができ、添付の請求項の範囲内における特定の実施形態のための適切なサポートを提供する。加えて、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などの範囲を定義又は修飾する言語に関して、こうした言語は、サブ範囲及び/又は上限若しくは下限を含むことが理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10から35のサブ範囲、少なくとも10から25のサブ範囲、25から35のサブ範囲などを本質的に含み、各サブ範囲は、個々に及び/又は集団的に依拠することができ、添付の請求項の範囲内における特定の実施形態のための適切なサポートを提供する。最終的に、開示範囲内における個々の数は、依拠することができ、添付の請求項の範囲内における特定の実施形態のための適切なサポートを提供する。例えば、「1から9の」範囲には、様々な個々の整数、例えば3、並びに小数点(又は小数)、例えば4.1を含む個々の数が含まれ、これらは依拠することができ、添付の請求項の範囲内における特定の実施形態のための適切なサポートを提供する。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
潤滑剤組成物であって、
前記潤滑剤組成物100重量部当たり70重量部超の量で存在する基油、及び
構造
【化13】
[式中、各Xは、独立してC-A又はNであり、ここで、少なくとも1つのXはNであるがXのうち2つ以下がNであることを条件とし、
Aは、H、シアノ、或いは
(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は
(2)アリール基若しくはアルキル基である
電子供与基であり、
各Rは、独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は、独立してアルキル基又はアリール基である]
を有する抗酸化剤
を含む潤滑剤組成物。
項2
前記抗酸化剤が構造:
【化14】
を有する、項1に記載の潤滑剤組成物。
項3
前記抗酸化剤が構造:
【化15】
を有する、項1に記載の潤滑剤組成物。
項4
Aが、芳香族環に直接的に結合されている酸素原子又は窒素原子を有する電子供与基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項5
前記電子供与基が-NR"2、-NH2、-OH、-OR"、-NHCOR"又は-OCOR"であり、ここで各R"は、独立して1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項6
前記電子供与基が-NR"2であり、ここで各R"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項7
前記電子供与基が-NH2である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項8
前記電子供与基が-OHである、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項9
前記電子供与基が-OR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項10
前記電子供与基が-NHCOR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項11
前記電子供与基が-OCOR"であり、ここでR"は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項12
前記電子供与基が1個から20個の炭素原子を有するアルキル基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項13
前記電子供与基がアリール基である、項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項14
Xの2つがNである、項1から13のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項15
前記抗酸化剤が、前記潤滑剤組成物100重量部当たり0.1重量部から2重量部の量で存在する、項1から14のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項16
前記基油が、APIグループI、グループII又はグループIIIの油としてさらに定義される、項1から15のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項17
前記基油が、鉱物基油若しくは合成基油、又は鉱物基油及び合成基油の混合物としてさらに定義される、項1から15のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
項18
項1から17のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物を形成する方法であって、基油を用意するステップ、抗酸化剤を用意するステップ、並びに基油及び抗酸化剤を組み合わせて潤滑剤組成物を形成するステップを含む、方法。
項19
構造
【化16】
[式中、各Xは、独立してC-A又はNであり、ここで、少なくとも1つのXはNであるがXのうち2つ以下がNであることを条件とし、
Aは、H、シアノ、或いは
(1)芳香族環に直接的に結合されている少なくとも1つの孤立電子対を有する原子を有するか、又は
(2)アリール基若しくはアルキル基である
電子供与基であり、
各Rは、独立してH、アルキル基又はアリール基であり、各R'は、独立してアルキル基又はアリール基である]
を有する抗酸化剤。
項20
構造:
【化17】
を有する、項19に記載の抗酸化剤。
項21
項19又は20に記載の抗酸化剤を形成する方法であって、アルキル基が各々独立して1個から20個の炭素原子を有するアミノジアルキルアミノピリミジンを用意するステップ、触媒量のヨウ素を用意するステップ、アセトンを用意するステップ、並びにアミノジアルキルアミノピリミジン、ヨウ素及びアセトンを組み合わせて抗酸化剤を形成するステップを含む、方法。
項22
項19又は20に記載の前記抗酸化剤、並びに1種以上の金属不活性化剤、1種以上の耐磨耗添加剤及び/又は1種以上の追加の抗酸化剤を含む、添加剤濃縮物パッケージ。