特許第6856688号(P6856688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856688フレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856688
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/09 20060101AFI20210329BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20210329BHJP
   C22F 1/08 20060101ALN20210329BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   H05K1/09 A
   C22C9/00
   !C22F1/08 B
   !C22F1/00 622
   !C22F1/00 627
   !C22F1/00 630G
   !C22F1/00 661A
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 685Z
   !C22F1/00 694Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-57781(P2019-57781)
(22)【出願日】2019年3月26日
(65)【公開番号】特開2020-161581(P2020-161581A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】石野 裕士
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−127603(JP,A)
【文献】 特開2019−029606(JP,A)
【文献】 特開2017−115222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/09
C22C 9/00
C22F 1/00
C22F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.0質量%以上のCu、残部不可避的不純物からなる銅箔であって、
前記銅箔から回路を形成した幅12.7mm、長さ:200mmの二層片面CCLサンプルを用い、曲率半径R=2.0で2000回のIPC摺動屈曲を行った後の前記回路表面の表面粗さRaが0.030μm以上0.400μm以下であるフレキシブルプリント基板用銅箔。
但し、前記二層片面CCLサンプルは、前記銅箔の片面に銅粗化めっきを行った後、厚み25μmのポリイミドフィルムの両面に2枚の前記銅箔のそれぞれ前記銅粗化めっき側を向けて積層し、300℃×30分の加熱プレスにて4MPaで貼り合せ、片面の前記銅箔をエッチアウトで完全に除去して二層片面CCLを作製する。そして、前記二層片面CCLサンプルの銅箔側の面に、線幅25μmで圧延方向に沿って延びる回路を、回路本数8本、回路間隔125umでエッチング形成する。
【請求項2】
前記IPC摺動屈曲を行う前の前記回路表面の表面粗さRaが0.010μm以上0.200μm以下である請求項1に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔。
【請求項3】
JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅又はJIS−H3100(C1020)の無酸素銅からなる請求項1に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔。
【請求項4】
さらに、添加元素として、P、Ag、Si、Ge、Al、Ga、Zn、SnおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を合計で0.7質量%以下含有してなる請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔と、樹脂層とを積層してなる銅張積層体。
【請求項6】
請求項5に記載の銅張積層体における前記銅箔に回路を形成してなるフレキシブルプリント基板。
【請求項7】
請求項6に記載のフレキシブルプリント基板を用いた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルプリント基板等の配線部材に用いて好適な銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブル配線板、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板(フレキシブル配線板、以下、「FPC」と称する)はフレキシブル性を有するため、電子回路の折り曲げ部や可動部に広く使用されている。例えば、HDDやDVD及びCD−ROM等のディスク関連機器の可動部や、折りたたみ式携帯電話機の折り曲げ部等にFPCが用いられている。
FPCは銅箔と樹脂とを積層したCopper Clad Laminate(銅張積層体、以下CCLと称する)をエッチングすることで配線を形成し、その上をカバーレイと呼ばれる樹脂層によって被覆したものである。カバーレイを積層する前段階で、銅箔とカバーレイとの密着性を向上するための表面改質工程の一環として、銅箔表面のエッチングが行われる。また、銅箔の厚みを低減して屈曲性を向上させるため、減肉エッチングを行う場合もある。
【0003】
ところで、電子機器の小型、薄型、高性能化に伴い、FPCの屈曲性がさらに要求されている。そこで、銅箔の平均結晶粒径及び最大結晶粒径を規制して屈曲性を改善した技術が報告されている(特許文献1)。又、板厚と破断伸との関係を規定することでMIT屈曲性を改善した技術が報告されている(特許文献2)。
又、電子機器の小型、薄型、高性能化に伴い、FPCの回路幅、スペース幅の微細化(例えば、20〜30μm程度)も要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-188415号公報
【特許文献2】特開2018-131653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、FPCの回路が微細化すると、FPCを屈曲させたときに低ひずみの繰り返し変形が回路(銅箔)に掛かり、表面粗さが大きくなって凹部に応力が集中し屈曲性が低下するという問題がある。
つまり、銅箔の厚みに対して十分に回路幅が広い場合、屈曲方向に平行な方向の変形が支配的であるが、微細回路の場合、銅箔の(厚み/幅)の値が大きくなるため、屈曲方向に垂直な幅方向の変形も考慮する必要が出てくる。また一般に回路の幅方向中央部に比べて、端部付近は周囲からの拘束が少なく変形し易いと考えられるが、微細回路においては、その変形し易い端部付近と見なせる領域の割合が大きくなる。以上の理由により、回路幅が狭くなることで、屈曲性がより厳しくなると考えられる。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、微細回路形成後の屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは種々検討した結果、FPCの微細回路の屈曲性を低下させる繰り返し変形による銅箔(回路)の表面粗さの増大が、最終冷間圧延における最終パスのひずみ速度と関係があることを見出し、屈曲性を低下させない表面粗さの範囲を規定した。
【0007】
すなわち、本発明のフレキシブルプリント基板用銅箔は、99.0質量%以上のCu、残部不可避的不純物からなる銅箔であって、前記銅箔から回路を形成した幅12.7mm、長さ:200mmの二層片面CCLサンプルを用い、曲率半径R=2.0で2000回のIPC摺動屈曲を行った後の前記回路表面の表面粗さRaが0.030μm以上0.400μm以下である。但し、前記二層片面CCLサンプルは、前記銅箔の片面に銅粗化めっきを行った後、厚み25μmのポリイミドフィルムの両面に2枚の前記銅箔のそれぞれ前記銅粗化めっき側を向けて積層し、300℃×30分の加熱プレスにて4MPaで貼り合せ、片面の前記銅箔をエッチアウトで完全に除去して二層片面CCLを作製する。そして、前記二層片面CCLサンプルの銅箔側の面に、線幅25μmで圧延方向に沿って延びる回路を、回路本数8本、回路間隔125umでエッチング形成する。
【0008】
本発明のフレキシブルプリント基板用銅箔において、前記IPC摺動屈曲を行う前の前記回路表面の表面粗さRaが0.010μm以上0.200μm以下であることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント基板用銅箔は、JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅又はJIS−H3100(C1020)の無酸素銅からなることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント基板用銅箔は、さらに、添加元素として、P、Ag、Si、Ge、Al、Ga、Zn、SnおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を合計で0.7質量%以下含有してなることが好ましい。
【0009】
本発明の銅張積層体は、前記フレキシブルプリント基板用銅箔と、樹脂層とを積層してなる。
【0010】
本発明のフレキシブルプリント基板は、前記銅張積層体における前記銅箔に回路を形成してなる。
【0011】
本発明の電子機器は、前記フレキシブルプリント基板を用いてなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、微細回路形成後の屈曲性に優れたフレキシブルプリント基板用銅箔が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】屈曲試験方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る銅箔の実施の形態について説明する。なお、本発明において%は特に断らない限り、質量%を示すものとする。
まず、微細回路形成後の屈曲性の評価について説明する。
上記したように、微細回路の場合、銅箔の(厚み/幅)の値が大きくなるため、屈曲方向に垂直な幅方向の変形が大きくなると共に、変形し易い回路の端部の領域の割合が大きくなる。その結果、低ひずみの繰り返し変形が回路(銅箔)に掛かると、表面粗さが大きくなって凹部に応力が集中し屈曲性が低下する。
【0015】
そこで、微細回路を模擬的に作製し、所定の屈曲試験を行った前後の回路(銅箔)の表面粗さを測定し、屈曲後のRaを0.030μm以上0.400μm以下に規定した。
屈曲後のRaを上記範囲に管理することで、表面にかかる応力を均一に分散することができ、優れた屈曲性が発現する。
屈曲後のRaが0.030μm未満であると、表面が平滑過ぎて、変形前から存在する小さな起伏(オイルピット等)に応力が集中し、かえって屈曲性が低下する。屈曲後のRaが0.400μmを超えると、表面粗さが大きくなって凹部に応力が集中し屈曲性が低下する。
【0016】
また、屈曲前のRaが0.010μm以上0.200μm以下であると好ましい。
屈曲前のRaが0.010μm未満であると、屈曲後のRaも0.030μm未満になり易く、屈曲前のRaが0.200μmを超えると、屈曲後のRaも0.400μmを超え易い。
【0017】
模擬的な微細回路は以下のように作製する。まず、最終冷間圧延後の銅箔の片面に銅粗化めっきを行い、ポリイミドフィルム(厚み25μm)の両面にそれぞれ銅箔の粗化めっき側に積層し、加熱プレス(4MPa)で貼り合せて三層の両面銅箔CCLサンプルを得る。なお、フィルムの積層時に300℃×30分の熱処理を加える。さらに、三層の両面銅箔CCLサンプルのうち、片面の銅箔をエッチアウトで完全に除去して二層片面CCLを作製する。
本発明に係る銅箔はフレキシブルプリント基板に用いられ、その際、銅箔と樹脂とを積層したCCLは、200〜400℃で樹脂を硬化させるための熱処理を行う。この熱処理を想定し、300℃×30分とした。
【0018】
二層片面CCLサンプルの銅箔側の面に、線幅25μmで圧延方向に沿って延びる回路を、回路本数8本、回路間隔125umでエッチング形成する。回路のエッチングファクタEFは4.0以上とする。
【0019】
なお、粗めっきは、屈曲試験中に銅箔と樹脂の剥離を防止できれば、特にメッキ条件等は限定されないが、例えば、一般的にFPC用途で用いられているものとして以下が例示される。めっき浴組成:Cu15g/L、Co8.5g/L、Ni8.6g/L 、めっき液pH:2.5 、めっき温度:38℃ 、電流密度:20A/dm 、めっき時間:2.0秒
エッチング液は、例えばCuCl2-2H2O:3mol/L、HCl:4mol/L、エッチング温度は例えば50℃、エッチング時間は回路幅が25umになるように調整すればよい。
【0020】
そして、この回路形成したCCLにつき、図1に示すIPC(アメリカプリント回路工業会)屈曲試験装置により、2000回の摺動屈曲を施した後、レーザー顕微鏡を用いて回路方向に平行方向の表面粗さRaを測定する。
この装置は、発振駆動体4に振動伝達部材3を結合した構造になっており、FPC1は、矢印で示したねじ2の部分と振動伝達部材3の先端部の計4点で装置に固定される。振動伝達部材3が上下に駆動すると、FPC1の中間部は、所定の曲率半径rでヘアピン状に屈曲される。本試験では、以下の条件下で屈曲を繰り返す。
なお、試験条件は次の通りである:試験片幅:12.7mm、試験片長さ:200mm、試験片採取方向:試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように採取、曲率半径r:2mm、振動ストローク:20mm、振動速度:100回/分、曲げ方向:FPC1のうち銅箔が内側、とする。
【0021】
表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、銅箔表面の凹凸プロファイルからJIS B0601-1994に準じて算出される中心線平均粗さである。
表面粗さRaの測定は、キーエンス社製の形状解析レーザー顕微鏡VK-X1050を用いることができる。測定条件は、対物レンズ:50倍、中間レンズ:24倍の条件で、回路方向に平行に10本の線粗さ分析を行い、その平均値を表面粗さRaとして採用する。線分析の間隔は、1本目と10本目の間が回路表面の幅の80%以上となるように、等間隔に調整する。
【0022】
<組成>
本発明に係る銅箔は、99.0質量%以上のCu、残部不可避的不純物からなる。
又、添加元素として、上記組成に対し、P、Ag、Si、Ge、Al、Ga、Zn、SnおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を合計で0.7質量%以下含有すると、再結晶粒を微細化し、繰り返し変形による表面粗さの増大を抑制することができる。
上記添加元素は、冷間圧延時に転位の絡み合いの頻度を増加させるので、再結晶粒が微細化することができる。
上記添加元素を合計で0.7質量%を超えて含有させると、導電率が低下し、フレキシブル基板用銅箔として適さない場合があるので、0.7質量%を上限とした。上記添加元素の含有量の下限は特に制限されないが、例えば各元素につき0.0005質量%より小さく制御することは工業的に難しいので、各元素の含有量の下限を0.0005質量%とするとよい。
【0023】
本発明に係る銅箔を、JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅(TPC)又はJIS−H3100(C1020)の無酸素銅(OFC)からなる組成としてもよい。
又、上記TPC又はOFCに対し、Pを含有させてなる組成としてもよい。
【0024】
本発明の銅箔は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、銅インゴットを溶解、鋳造した後、熱間圧延し、冷間圧延と焼鈍を行い、最終冷間圧延を行うことにより箔を製造することができる。
ここで、最終冷間圧延における最終パスのひずみ速度を高くすると、繰り返し変形による回路(銅箔)の表面粗さの増大を抑制することができる。この理由は、歪速度を大きくすると、銅箔の内部に比べ、銅箔の圧延面に大きな歪が集中して蓄積する。その結果、銅箔の再結晶時に、圧延面に微細な結晶粒がランダムな方位で配列することとなり、繰り返し変形による変形が局部に集中せずに表面が粗くなることを抑制して平滑さが維持される。最終冷間圧延における最終パスのひずみ速度は7.4×103(1/s)以上が好ましい。但し、ひずみ速度が大きすぎると、圧延中に銅箔が破断し、製造性が低下するおそれがあるので、9.5×103(1/s)を最終パスひずみ速度の上限とするとよい。
【0025】
<銅張積層体及びフレキシブルプリント基板>
又、本発明の銅箔に(1)樹脂前駆体(例えばワニスと呼ばれるポリイミド前駆体)をキャスティングして熱をかけて重合させること、(2)ベースフィルムと同種の熱可塑性接着剤を用いてベースフィルムを本発明の銅箔にラミネートすること、により、銅箔と樹脂基材の2層からなる銅張積層体(CCL)が得られる。又、本発明の銅箔に接着剤を塗着したベースフィルムをラミネートすることにより、銅箔と樹脂基材とその間の接着層の3層からなる銅張積層体(CCL)が得られる。これらのCCL製造時に銅箔が熱処理されて再結晶化する。
これらにフォトリソグラフィー技術を用いて回路を形成し、必要に応じて回路にめっきを施し、カバーレイフィルムをラミネートすることでフレキシブルプリント基板(フレキシブル配線板)が得られる。
【0026】
従って、本発明の銅張積層体は、銅箔と樹脂層とを積層してなる。又、本発明のフレキシブルプリント基板は、銅張積層体の銅箔に回路を形成してなる。
樹脂層としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられるがこれに限定されない。また、樹脂層として、これらの樹脂フィルムを用いてもよい。
樹脂層と銅箔との積層方法としては、銅箔の表面に樹脂層となる材料を塗布して加熱成膜してもよい。又、樹脂層として樹脂フィルムを用い、樹脂フィルムと銅箔との間に以下の接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに樹脂フィルムを銅箔に熱圧着してもよい。但し、樹脂フィルムに余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。
【0027】
樹脂層としてフィルムを用いた場合、このフィルムを、接着剤層を介して銅箔に積層するとよい。この場合、フィルムと同成分の接着剤を用いることが好ましい。例えば、樹脂層としてポリイミドフィルムを用いる場合は、接着剤層もポリイミド系接着剤を用いることが好ましい。尚、ここでいうポリイミド接着剤とはイミド結合を含む接着剤を指し、ポリエーテルイミド等も含む。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。又、本発明の作用効果を奏する限り、上記実施形態における銅合金がその他の成分を含有してもよい。また、電解銅箔でも良い。
例えば、銅箔の表面に、粗化処理、防錆処理、耐熱処理、またはこれらの組み合わせによる表面処理を施してもよい。
【実施例】
【0029】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。電気銅に、表1に示す元素をそれぞれ添加して表1に示す組成とし、Ar雰囲気で鋳造して鋳塊を得た。鋳塊中の酸素含有量は15ppm未満であった。この鋳塊を900℃で均質化焼鈍後、熱間圧延した後、冷間圧延および再結晶焼鈍を繰り返し、さらに最終再結晶焼鈍及び最終冷間圧延を行って圧延銅箔を得た。
得られた圧延銅箔に上述のようにしてCCLを作製した。
【0030】
<屈曲試験前後の銅箔(回路)の表面粗さ>
上述のようにして測定した。
<屈曲疲労寿命>
上述の屈曲試験用の回路作成済のCCL(二層片面CCL)と同一の方法で作製したサンプルにつき、IPC摺動屈曲試験にて、回路の両端を流れる初期の電気抵抗値から10%を超えて高くなった時点を屈曲疲労寿命とした。屈曲疲労寿命を求める際の測定条件は以下の通りである:試験片幅:12.7mm、試験片長さ:200mm、試験片採取方向:試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように採取、曲率半径r:5mm、振動ストローク:20mm、振動速度:1500回/分、曲げ方向:FPC(二層片面CCL)1のうち銅箔が内側、とする。
なお、屈曲疲労寿命が8万回以上の場合に優れた屈曲性を有しているとし、屈曲疲労寿命が8万回未満を屈曲性が劣るとして評価した。
【0031】
得られた結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1、表2から明らかなように、屈曲試験後の回路表面の表面粗さRaが0.030μm以上0.400μm以下である各実施例の場合、屈曲疲労寿命が優れたものとなった。
【0034】
Raが0.030μm未満である比較例1の場合、屈曲疲労寿命が劣った。これは、表面が平滑過ぎて、変形前から存在する小さな起伏(オイルピット等)に応力が集中したためと考えられる。
Raが0.400μmを超えた比較例2〜6の場合、屈曲疲労寿命が劣った。なお、比較例2〜6の場合、最終冷間圧延における最終パスのひずみ速度が実施例より低く、圧延面に十分に歪が蓄積しなかったと考えられる。
図1