特許第6856898号(P6856898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856898葉菜の姿勢変換装置および葉菜の調製装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856898
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】葉菜の姿勢変換装置および葉菜の調製装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/24 20060101AFI20210405BHJP
   B65G 15/14 20060101ALI20210405BHJP
   A23N 15/02 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B65G47/24 Z
   B65G47/24 H
   B65G15/14
   A23N15/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-72095(P2017-72095)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172203(P2018-172203A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(72)【発明者】
【氏名】小林 有一
(72)【発明者】
【氏名】大森 弘美
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡史
(72)【発明者】
【氏名】中山 夏希
(72)【発明者】
【氏名】坪田 将吾
(72)【発明者】
【氏名】グエン ティタン ロアン
(72)【発明者】
【氏名】山口 正人
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 章一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優太
(72)【発明者】
【氏名】大門 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】本間 功
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 透
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−321115(JP,A)
【文献】 特開平10−262634(JP,A)
【文献】 特開平04−333414(JP,A)
【文献】 特開2001−048138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22−47/32
A23N 15/02
B65G 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に対して直角方向に載置された葉菜を搬送しながら、前記葉菜の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に、または、垂直姿勢から水平姿勢に変換する姿勢変換装置であって、
丸ベルトを張架するための2つの溝が各々形成された4つのプーリを備え、
第1プーリおよび第2プーリはそれぞれ高さが異なる水平軸を中心として回転し、前記第2プーリは前記第1プーリよりも上方に配置され、
第3プーリおよび第4プーリは、互いに異なる垂直軸を中心として回転し、それぞれ前記第1プーリおよび第2プーリに対して同方向に対向し、前記搬送方向に対して直角方向に間隔をあけて配置され、
前記第1プーリの一方の溝と前記第3プーリの上側の溝とは第1丸ベルトで張架され、前記第1プーリの他方の溝と前記第3プーリの下側の溝とは第2丸ベルトで張架され、前記第2プーリの2つの溝のうち、前記第1プーリの前記一方の溝と同じ側の溝と前記第4プーリの上側の溝とは第3丸ベルトで張架され、前記第2プーリの他方の溝と前記第4プーリの下側の溝とは第4丸ベルトで張架され
前記第4プーリが、前記第3プーリよりも鉛直方向に低い位置に設置されていることを特徴とする、葉菜の姿勢変換装置。
【請求項2】
前記第1丸ベルトおよび前記第2丸ベルトを、前記搬送方向に対して直角に前記第4プーリの方向へ押圧する第1の押圧ローラが、前記搬送方向下流側のプーリの近傍に配置され、
前記第3丸ベルトおよび前記第4丸ベルトを、前記搬送方向に対して直角に前記第3プーリの方向へ押圧する第2の押圧ローラが、前記搬送方向下流側のプーリの近傍に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の葉菜の姿勢変換装置。
【請求項3】
前記第1プーリ、第2プーリ、第3プーリ、および第4プーリは、溝と外周面との間が面取りされていることを特徴とする、請求項1または2に記載の葉菜の姿勢変換装置。
【請求項4】
水平姿勢に載置された葉菜を搬送する搬入部と、垂直姿勢の前記葉菜の葉身部を挟持して搬送しながら調製作業を行う調製部と、を有し、
前記搬入部と前記調製部との間に、請求項1〜のいずれか一項に記載の姿勢変換装置が備えられていることを特徴とする、葉菜の調製装置。
【請求項5】
水平姿勢に載置された葉菜を搬送する搬入部と、垂直姿勢の前記葉菜の葉身部を挟持して搬送しながら調製作業を行う調製部と、前記調製部の搬送方向下流側に、調製後の前記葉菜を水平姿勢で搬送する搬出部と、を有し、
前記搬入部と前記調製部との間、および、前記調製部と前記搬出部との間に、請求項1〜のいずれか一項に記載の姿勢変換装置が備えられていることを特徴とする、葉菜の調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウレンソウやコマツナ、シュンギク等の葉菜の調製において、葉菜の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に、または、垂直姿勢から水平姿勢に変換する葉菜の姿勢変換装置およびその姿勢変換装置を用いた葉菜の調製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホウレンソウやコマツナ、シュンギク等、非結球性の葉菜の多くは軟弱野菜とも呼ばれ、収穫から急速に鮮度が低下する。そのため、収穫後すぐに出荷して店頭に並べなければならず、調製に対する時間的制約が大きい。
【0003】
このような葉菜、例えばホウレンソウの調製作業においては、収穫後の根切り作業や子葉および下葉の除去等に多くの労働時間を要しており、省力化が求められている。従来、ブラシを用いて子葉や下葉をかき寄せて除去していたが、ホウレンソウの株元の泥やアクによりブラシが汚れやすく、ブラシの洗浄や交換を頻繁に行う必要があった。そこで、近年は、ブラシでかき寄せる代わりに、葉菜の姿勢を水平から垂直に変換して重力により子葉や下葉を下方に垂らし、その後、子葉や下葉を除去する方法が提案されている。
【0004】
物品の姿勢を90度又は180度変換しながら搬送する技術は、例えば特許文献1〜特許文献9等に開示されている。また、特許文献10には、垂直のネギを寝かせて収容するため、ベルトを捻曲しながら収穫したネギを搬送する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−321115号公報
【特許文献2】特開平4−164713号公報
【特許文献3】特許第3195267号公報
【特許文献4】特開2015−30547号公報
【特許文献5】特許第4219531号公報
【特許文献6】特開平11−180541号公報
【特許文献7】特開平5−24635号公報
【特許文献8】特開平4−333414号公報
【特許文献9】実公昭51−9916号公報
【特許文献10】特開2002−171813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、搬送ベルトで物品を挟持しながら姿勢変換を行う場合、ベルトを捻ってローラに巻き付けるため、ベルトがローラから浮いて脱線しやすいという問題がある。そのため、細いベルトを組み合わせる場合は、脱線を予防するために、張力が一定になるように長さを調整する必要がある。上記特許文献1〜9に記載された装置では、いずれも姿勢変換に必要な搬送距離を長く確保することで、ベルトの弾性によって長さの違いを吸収している。ところが、この場合、搬送距離が長く、装置が大型になる。このような長い搬送距離で葉菜の姿勢変換を行うと、姿勢変換の途中で葉菜がしなってしまい、挟持部分から遅れて回転するため、装置の出口で完全に姿勢変換を終えることができないうえ、葉菜の品質低下が危惧される。
【0007】
上記特許文献10では、出口側のローラを傾斜させることでベルトの長さをそろえているが、傾斜させたローラそれぞれの回転軸および動力が必要となり、装置が複雑になる。
【0008】
本発明の目的は、ホウレンソウやコマツナ、シュンギク等の葉菜の姿勢を、短い搬送距離で水平姿勢から垂直姿勢に、または、垂直姿勢から水平姿勢に変換できる姿勢変換装置、および、その姿勢変換装置を用いた葉菜の調製装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、搬送方向に対して直角方向に載置された葉菜を搬送しながら、前記葉菜の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に、または、垂直姿勢から水平姿勢に変換する姿勢変換装置であって、丸ベルトを張架するための2つの溝が各々形成された4つのプーリを備え、 第1プーリおよび第2プーリはそれぞれ高さが異なる水平軸を中心として回転し、前記第2プーリは前記第1プーリよりも上方に配置され、第3プーリおよび第4プーリは、互いに異なる垂直軸を中心として回転し、それぞれ前記第1プーリおよび第2プーリに対して同方向に対向し、前記搬送方向に対して直角方向に間隔をあけて配置され、前記第1プーリの一方の溝と前記第3プーリの上側の溝とは第1丸ベルトで張架され、前記第1プーリの他方の溝と前記第3プーリの下側の溝とは第2丸ベルトで張架され、前記第2プーリの2つの溝のうち、前記第1プーリの前記一方の溝と同じ側の溝と前記第4プーリの上側の溝とは第3丸ベルトで張架され、前記第2プーリの他方の溝と前記第4プーリの下側の溝とは第4丸ベルトで張架され、前記第4プーリが、前記第3プーリよりも鉛直方向に低い位置に設置されていることを特徴とする、葉菜の姿勢変換装置を提供する。
【0010】
前記葉菜の姿勢変換装置において、前記第1丸ベルトおよび前記第2丸ベルトを、前記搬送方向に対して直角に前記第4プーリの方向へ押圧する第1の押圧ローラが、前記搬送方向下流側のプーリの近傍に配置され、前記第3丸ベルトおよび前記第4丸ベルトを、前記搬送方向に対して直角に前記第3プーリの方向へ押圧する第2の押圧ローラが、前記搬送方向下流側の近傍に配置されていることが好ましい。
【0011】
前記第1プーリ、第2プーリ、第3プーリ、および第4プーリは、溝と外周面との間が面取りされていてもよい。
【0012】
また、本発明によれば、水平姿勢に載置された葉菜を搬送する搬入部と、垂直姿勢の前記葉菜の葉身部を挟持して搬送しながら調製作業を行う調製部と、を有し、 前記搬入部と前記調製部との間に、前記姿勢変換装置が備えられていることを特徴とする、葉菜の調製装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、水平姿勢に載置された葉菜を搬送する搬入部と、垂直姿勢の前記葉菜の葉身部を挟持して搬送しながら調製作業を行う調製部と、前記調製部の搬送方向下流側に、調製後の前記葉菜を水平姿勢で搬送する搬出部と、を有し、前記搬入部と前記調製部との間、および、前記調製部と前記搬出部との間に、前記姿勢変換装置が備えられていることを特徴とする、葉菜の調製装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で、葉菜の姿勢を、短い搬送距離の間に水平姿勢から垂直姿勢に、または、垂直姿勢から水平姿勢に変換できる。そのため、葉菜の調製装置の小型化および調製作業の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる調製装置の概略を示す正面図である。
図2図1の調製装置の搬送機構部分を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる姿勢変換装置の斜視図である。
図4図2の姿勢変換装置の側面図である。
図5図2の姿勢変換装置の正面図である。
図6図2の姿勢変換装置の平面図である。
図7】丸ベルトの異なる実施形態の例を示す図である。
図8】丸ベルトのさらに異なる実施形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる調製装置を示す。調製装置1は、ホウレンソウやコマツナ、シュンギク等、軟弱野菜とも呼ばれる非結球性の葉菜の子葉や下葉の除去等の調製作業を行う際に使用される。調製装置1は、水平姿勢に載置された葉菜を搬送する搬入部2と、葉菜9の姿勢変換を行う姿勢変換装置3と、姿勢変換された葉菜9の調製を行う調製部4を備えている。さらに、葉菜9の搬送方向下流側に、調製後の葉菜9の姿勢変換を行って再び水平姿勢にする姿勢変換装置5と、水平姿勢の葉菜9を載置して搬送する搬出部6を備えている。
【0018】
搬入部2には、水平姿勢に載置した葉菜9を搬送方向に搬送するコンベア11が設けられている。作業者は、葉菜9の根部の向きを所定方向に揃えて、コンベア11のベルト上に載置する。搬入部2には、図1に示すように、葉菜9の株元の位置決めをするための位置決め板12を設けてもよい。位置決め板12は、三角形の突出部と谷部との連続からなり、コンベア11のベルトと同速度で搬送方向に移動する。作業者は、位置決め板12の谷部に葉菜9の根を載せることで、葉菜9を正しい向きに載置することができる。
【0019】
調製部4では、葉菜9の子葉や下葉の除去等の調製作業が行われる。調製部4は、垂直姿勢の葉菜9の葉身部を挟んで搬送する搬送機構13を備えている。搬送機構13は、図2に示すように、垂直軸を中心として回転する2組の一対のローラ14a、15aとローラ14b、15b間にそれぞれ無端帯16a、16bが巻回されている。無端帯16a、16bは、搬送方向に対して垂直の方向(左右方向)に僅かな隙間をあけて並列に配置され、その隙間に、垂直姿勢の葉菜9の葉身部が挟持される。そして、ローラ14a、14b、15a、15bが、搬送方向から見て左右対称に回転し、葉菜9が搬送される。葉菜9が搬送機構13に搬送されて調製部4を通過する間、垂直姿勢によって重力で下方に垂れた葉菜9の子葉や下葉を、ブラシ17で刈り落とす。刈り落とした子葉や下葉は、下方の回収箱18に収容される。なお、本明細書において、搬送方向に対して垂直方向を左右方向と記載することがある。
【0020】
搬入部2と調製部4との間には、本実施形態にかかる姿勢変換装置3が設置されている。この姿勢変換装置3は、搬入部2で水平姿勢に載置された葉菜9を垂直姿勢に変換するものである。
【0021】
姿勢変換装置3の構成を図3図6に示す。図3は斜視図、図4は葉菜9の搬送方向に見た図、図5は調製装置1の正面から見た図、図6は上方から見た平面図である。姿勢変換装置3は、丸ベルトを張架するための2つの溝が各々形成された4つのプーリを備えている。第1プーリ21および第2プーリ22は、高さの異なる水平軸を中心として回転し、第2プーリ22は第1プーリ21よりも上方に配置されている。第3プーリ23および第4プーリ24は、互いに異なる垂直軸を中心として回転し、それぞれ第1プーリ21および第2プーリ22に対向して、葉菜9の搬送方向下流側に配置されている。第3プーリ23および第4プーリ24は、搬送方向に対して直角方向に間隔をあけて配置されている。第1プーリ21と第2プーリ22との上下方向の隙間25を、水平姿勢の葉菜9が通過し、第3プーリ23と第4プーリ24との左右方向の隙間26を、垂直姿勢の葉菜9が通過する。搬入部2と調製部4との間に設置されるこの姿勢変換装置3は、第1プーリ21および第2プーリ22が上流側になる。
【0022】
第1プーリ21と第3プーリ23には、第1丸ベルト31および第2丸ベルト32が張架される。第1プーリ21の一方の溝、例えば図3において左側の溝21aと、第3プーリ23の上側の溝23aに、第1丸ベルト31が張架される。また、第1プーリ21の他方の溝、すなわち図2において右側の溝21bと、第3プーリ23の下側の溝23bに、第2丸ベルト32が張架される。そして、第2プーリ22と第4プーリ24には、第3丸ベルト33および第4丸ベルト34が張架される。第2プーリ22の2つの溝のうち、第1プーリ21の一方の溝(左側の溝21a)と同じ側、すなわち図2において左側の溝22aと、第4プーリ24の上側の溝24aに、第3丸ベルト33が張架される。また、第2プーリ22の他方の溝、すなわち図2において右側の溝22bと、第4プーリ24の下側の溝24bに、第4丸ベルト34が張架される。
【0023】
搬入部2側の姿勢変換装置3では、第1プーリ21は、搬入部2のコンベア11の下流側ローラと同軸で回転するようにしてもよい。この場合、搬入部2のコンベア11は、搬送方向から見て左右方向に2つのベルトに分割され、2つのベルトの間に第1プーリが取り付けられる。また、第3プーリ23または第4プーリ24のいずれかまたは両方は、調製部4の搬送機構13の上流側ローラ14a、14bと同軸で回転するようにしてもよい。本実施形態では、第3プーリ23および第4プーリ24の両方を搬送機構13の上流側ローラ14a、14bと同軸とし、図3図6に示すように、第3プーリ23の外径を第4プーリ24より小さくしている。これは、搬送機構13の無端帯16a、16bで葉菜9をしっかりと把持するためにローラ14a、14b間の隙間を小さくすると、第3プーリ23と第4プーリ24との間に葉菜9が挟まれて損傷する場合があるためであり、第3プーリ23の外径を小さくすることにより、第3プーリ23と第4プーリ24との間隔を拡げて、葉菜9が通過する十分な隙間26を確保することができる。なお、葉菜9が強く挟まれずに通過できる隙間26を確保できればよいので、第4プーリ24を第3プーリ23より小さくしてもよいし、第3プーリ23と第4プーリ24の両方をローラ14a、14bよりも小さくしても構わない。
【0024】
さらに、第1丸ベルト31および第2丸ベルト32を搬送方向Cに対して直角に第4プーリ24の方向へ押圧する第1の押圧ローラ41が、第3プーリ23の近傍に配置される。また、第3丸ベルト33および第4丸ベルト34を搬送方向Cに対して直角に第3プーリ23の方向へ押圧する第2の押圧ローラ42が、第4プーリ24の近傍に配置される。姿勢変換装置3のように一対のプーリ間に2本の丸ベルトを巻回した2組を搬送方向Cに平行な回転軸で90度捻ると、一対のプーリに間に巻回されるそれぞれの丸ベルトの周回距離に差が生じる。そのため、同一長の丸ベルトを巻回すると、一方のベルトに長さの余裕が生じプーリからの脱線(プーリからの脱落)が生じやすい。そこで、押圧ローラ41、42を配置することにより、各丸ベルト31、32、33、34を押さえ付けて張力を維持し、脱線を防止する。また、各丸ベルト31、32、33、34を第3プーリ23および第4プーリ24の水平方向の溝23a、23b,24a、24bに対して、丸ベルト31、32、33、34の入り側および出側の方向がなるべく正対するように押さえ付ける。そのために、第1および第2の押圧ローラ41、42は、なるべく、それぞれ第3プーリ23および第4プーリ24に近い位置に設けられる。さらに、押圧ローラ41、42を傾斜させることで、一対のプーリに張架する2本の丸ベルトのテンションが等しくなるように調整することができる。このように、押圧ローラ41、42を設けることで、丸ベルト31、32、33、34の脱線を防ぎ、プーリ径を小さくすることなく、短い搬送距離でも円滑に動作させて葉菜9の姿勢を変換させることができる。
【0025】
また、各プーリ21、22、23、24の溝と外周面との間を面取りして、溝の両側方にC面を設けることで、丸ベルト31、32、33、34が溝に円滑にガイドされ、さらに脱線を防ぐことができる。
【0026】
さらにまた、本実施形態では、図3図5に示すように、第4プーリ24は、第3プーリ23よりも鉛直方向に低い位置に設置されている。これにより、搬送される葉菜9の図3の矢印R方向の回転を促進し、搬送中の早い段階で姿勢変換が終了する。
【0027】
短い搬送距離での姿勢変換を図るためには、丸ベルト31、32、33、34のねじり角度が急になり、脱線しやすくなる。しかしながら、本実施形態では、第3プーリ23および第4プーリ24の近傍にそれぞれ押圧ローラ41、42を設けて丸ベルト31、32、33、34を押さえつけ、さらに各プーリ21、22、23、24の溝に面取りしたC面を設けることにより、一対のプーリ(第1プーリ21と第3プーリ23)に張架される第1丸ベルト31と第2丸ベルト32の長さを等しくしても、脱線を防止できる。同様に、一対のプーリ(第2プーリ22と第4プーリ24)に張架される第3丸ベルト33と第4丸ベルト34の長さを等しくしても、脱線を防止できる。
【0028】
搬入部2から搬入された水平姿勢の葉菜9は、第1プーリ21と第2プーリ22との隙間25から図3の搬送方向Cに沿って姿勢変換装置3内に侵入する。その後、各丸ベルト31、32、33、34に誘導されて矢印R方向に90°回転し、垂直姿勢になり、第3プーリ23と第4プーリ24との隙間26を通って調製部4に搬送される。
【0029】
調製部4の下流側には、上流側の姿勢変換装置3と同様の構造を有する姿勢変換装置5が、上流側とは略対称に配置される。なお、丸ベルト31、32、33、34の脱線を防止するために、押圧ローラ41、42は、それぞれ下流側となるプーリの近傍に配置される。押圧ローラ41、42が押圧する向きは、上述の姿勢変換装置3と同様に、搬送方向Cに対して直角な方向であり、第1丸ベルト31および第2丸ベルト32を第4プーリ24の方向へ押圧する第1の押圧ローラ41が、第1プーリ21の近傍に配置される。また、第3丸ベルト33および第4丸ベルト34を第3プーリ23の方向へ押圧する第2の押圧ローラ42が、第2プーリ22の近傍に配置される。この姿勢変換装置5によって、上流側とは逆に、垂直姿勢の葉菜9が水平姿勢に姿勢変換される。すなわち、葉菜9が垂直姿勢で第3プーリ23と第4プーリ24との隙間26の隙間から侵入し、各丸ベルト31、32、33、34に誘導されて90°回転し、水平姿勢になって、第1プーリ21と第2プーリ22との隙間25から搬出される。
【0030】
水平姿勢に姿勢変換された葉菜9は、搬出部6のコンベア19に載置されて、所定位置まで水平搬送される。
【0031】
以上のように、本実施形態にかかる姿勢変換装置3、5は、2本の丸ベルトを張架する一対のプーリを互いに90度傾けて配置したものが2組設置されている。この姿勢変換装置3、5により、葉菜9を挟持し、姿勢を変えながら、搬送方向Cに搬送することができる。本実施形態によれば、短い搬送距離、例えば20cm程度の搬送距離で、葉菜の姿勢を90°変換させることができる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0033】
例えば、各プーリ間を張架するのは断面形状が円形の丸ベルトには限らず、図7に示すように、葉菜9に接触する部分が平面状のベルト35であっても構わない。この場合、より安定して葉菜9を保持することができる。さらに、図8に示すように、ベルト35の葉菜9に接触する部分にスポンジ等のクッション材36が取り付けられてもよく、これにより保持力を分散し、葉菜9の損傷を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、葉菜の姿勢変換装置および調製装置に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 調製装置
2 搬入部
3、5 姿勢変換装置
4 調製部
6 搬出部
9 葉菜
11、19 コンベア
12 位置決め板
13 搬送機構
14a、14b、15a、15b ローラ
16a、16b 無端帯
17 ブラシ
21 第1プーリ
21a (第1プーリの)左側の溝
21b (第1プーリの)右側の溝
22 第2プーリ
22a (第2プーリの)左側の溝
22b (第2プーリの)右側の溝
23 第3プーリ
23a (第3プーリの)上側の溝
23b (第3プーリの)下側の溝
24 第4プーリ
24a (第4プーリの)上側の溝
24b (第4プーリの)下側の溝
25、26 隙間
31 第1丸ベルト
32 第2丸ベルト
33 第3丸ベルト
34 第4丸ベルト
41 第1の押圧ローラ
42 第2の押圧ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8