特許第6856907号(P6856907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6856907
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】酢酸含有飲食品
(51)【国際特許分類】
   C12J 1/00 20060101AFI20210405BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20210405BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20210405BHJP
【FI】
   C12J1/00
   A23L2/00 D
   A23L2/68
   A23L5/00 K
【請求項の数】12
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-34287(P2020-34287)
(22)【出願日】2020年2月28日
【審査請求日】2020年5月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(73)【特許権者】
【識別番号】317006214
【氏名又は名称】株式会社Mizkan
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 玲奈
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−099316(JP,A)
【文献】 特開2010−124696(JP,A)
【文献】 特開2014−103946(JP,A)
【文献】 特開2014−103947(JP,A)
【文献】 特開2007−289166(JP,A)
【文献】 J Sci Food Agric,2015年,Vol.95,p.2395-2403
【文献】 Food Sci.Biotechnol.,2016年,Vol.25,p.1313-1318
【文献】 Food Research International,2018年,Vol.105,p.880-896
【文献】 Food Sci.Biotechnol.,2013年,Vol.22,p.1559-1565
【文献】 Food Chemistry,2010年,Vol.120,p.561-571
【文献】 J Food Sci Technol,2018年,Vol.55,p.2631-2640
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12J
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸を0.02w/v%以上含有し、
(A成分)イソブタナール、
(B成分)ブタナール、
(C成分)2−メチルブタナール、
(D成分)ペンタナール、
(E成分)酢酸イソブチル、及び
(F成分)酢酸ブチル
からなる群より選択される少なくとも2種の香気成分であって、前記B成分及び前記D成分を含有する香気成分を含有し、
前記香気成分の合計含有量が0.5ppb以上であり、且つ
要件i〜iiiからなる群より選択される少なくとも1種の要件:
(要件i)前記A成分、前記B成分、前記C成分、及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
(要件ii)前記E成分の含有量が1.0ppb以上であること、並びに
(要件iii)前記F成分の含有量が5.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件
を満たす、酢酸含有飲食品。
【請求項2】
(要件X)前記A成分、前記B成分、前記C成分、前記D成分、及び前記E成分の合計含有量が0.1ppb以上であること、並びに
(要件Y)前記F成分の含有量が1.0ppb以上であること、
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす、請求項1に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項3】
前記要件iが、
(要件ia)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、並びに(要件ib)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たすことである、請求項1又は2に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項4】
(要件ia’)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が1.0ppb以上であること、(要件ib’)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、(要件ii’)前記E成分の含有量が2.0ppb以上であること、並びに
(要件iii’)前記F成分の含有量が10.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項5】
前記B成分と前記D成分との質量比(B成分質量:D成分質量)が2:8〜8:2である、請求項1〜のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項6】
さらに果汁を含有する、請求項1〜のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項7】
果汁含有率(ストレート果汁換算)が、0.2質量%以上700質量%以下である、請求項に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項8】
前記果汁がリンゴ果汁、ブルーベリー果汁、柑橘果汁、イチゴ果汁、ザクロ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、ウメ果汁、マンゴー果汁である、請求項又は7に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項9】
飲料又は該飲料の調製用組成物である、請求項1〜のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項10】
酢酸を含有量が0.02w/v%以上になるように配合すること、並びに
(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも2種の香気成分であって、前記B成分及び前記D成分を含有する香気成分を、合計含有量が0.5ppb以上になるように、且つ要件i〜iiiからなる群より選択される少なくとも1種の要件:
(要件i)前記A成分、前記B成分、前記C成分、及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
(要件ii)前記E成分の含有量が1.0ppb以上であること、並びに
(要件iii)前記F成分の含有量が5.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件
を満たすように配合すること
を含む、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。
【請求項11】
(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を合計含有量が0.5ppb以上になるように配合することを含む、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種を抑制する方法。
【請求項12】
(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有し、且つ酢酸含有飲食品中の前記香気成分の合計含有量が0.5ppb以上になるように用いるための、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種の抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸含有飲食品等に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸は、調味成分として、またその静菌作用等を期待して、各種食品において利用されている。また、近年では、健康志向の高まりと共に、酢酸の各種有用作用、例えば肥満改善作用、血圧抑制作用、血糖値上昇抑制作用等を期待して、飲料として積極的に摂取することが広まっている。
【0003】
しかしながら、酢酸含有飲食品には、酢酸(特に醸造酢)に由来する酸臭(酢酸臭)、刺激臭(セメダインやシンナー様の臭い)、及びムレ臭(むれた足や、脱いだ靴下の臭い)が感じられることがあり、これらが酢酸含有飲食品の摂取の妨げになり得る。特に、上記有用作用を期待する場合は、酢酸含有飲食品を日常的に摂取することが重要であるので、この問題の解決が特に重要となる。
【0004】
特許文献1では、酢酸を含有する飲食品中に、酢酸とヘキサナールの含有質量比が特定の範囲になるように、ヘキサナールを添加するという、簡易かつ汎用的な方法で、食品の味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酢酸臭を低減する方法が提案されている。しかしながら、刺激臭及びムレ臭の対策については、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-124696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
適量の果汁の添加は、調製直後の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を和らげることがある。ただ、特にムレ臭に対しては、その効果は持続せず、加熱や、流通・保管といった経時により果汁本来の好ましい香気が消失し、寧ろ、果汁を添加したことで、ムレ臭が悪化してしまうことがある。また、果汁の添加は、光や、加熱や、流通や保管といった経時による劣化臭発生の原因にもなり得る。
【0007】
本発明は、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭が抑制された酢酸含有飲食品を提供することを課題とする。さらに、本発明は、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭が抑制され、且つ劣化臭も抑制された果汁入り酢酸含有飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有し、且つ前記香気成分の合計含有量が0.1ppb以上である、酢酸含有飲食品、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0009】
項1. 酢酸を0.02w/v%以上含有し、
(A成分)イソブタナール、
(B成分)ブタナール、
(C成分)2−メチルブタナール、
(D成分)ペンタナール、
(E成分)酢酸イソブチル、及び
(F成分)酢酸ブチル
からなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有し、且つ前記香気成分の合計含有量が0.1ppb以上である、酢酸含有飲食品.
項2. (要件X)前記A成分、前記B成分、前記C成分、前記D成分、及び前記E成分の合計含有量が0.1ppb以上であること、並びに
(要件Y)前記F成分の含有量が1.0ppb以上であること、
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす、項1に記載の酢酸含有飲食品.
項3. 前記香気成分の合計含有量が0.5ppb以上である、項1又は2に記載の酢酸含有飲食品.
項4. (要件i)前記A成分、前記B成分、前記C成分、及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
(要件ii)前記E成分の含有量が1.0ppb以上であること、並びに
(要件iii)前記F成分の含有量が5.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす、項1〜3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項5. 前記要件iが、
(要件ia)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、並びに
(要件ib)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たすことである、項4に記載の酢酸含有飲食品.
項6. (要件ia’)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が1.0ppb以上であること、
(要件ib’)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、
(要件ii’)前記E成分の含有量が2.0ppb以上であること、並びに
(要件iii’)前記F成分の含有量が10.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす、項1〜5のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項7. 前記B成分及び前記D成分を含有する、項1〜6のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項8. 前記B成分と前記D成分との質量比(B成分質量:D成分質量)が2:8〜8:2である、項1〜7のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項9. さらに果汁を含有する、項1〜8のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項10. 果汁含有率(ストレート果汁換算)が、0.2質量%以上700質量%以下である、項9に記載の酢酸含有飲食品.
項11. 前記果汁がリンゴ果汁、ブルーベリー果汁、柑橘果汁、イチゴ果汁、ザクロ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、ウメ果汁、マンゴー果汁である、項9又は10に記載の酢酸含有飲食品.
項12. 飲料又は該飲料の調製用組成物である、項1〜11のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項13. 酢酸を含有量が0.02w/v%以上になるように配合すること、並びに(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を合計含有量が0.1ppb以上になるように配合することを含む、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種が低減された酢酸含有飲食品の製造方法.
項14. (A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を合計含有量が0.1ppb以上になるように配合することを含む、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種を抑制する方法.
項15. (A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種の抑制剤.
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭が抑制された酢酸含有飲食品を提供することができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭が抑制され、且つ劣化臭も抑制された果汁入り酢酸含有飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0012】
本明細書において、A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、及びF成分をまとめて、「本発明の香気成分」と示すこともある。
【0013】
本発明は、その一態様において、酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有し、且つ前記香気成分の合計含有量が0.1ppb以上である、酢酸含有飲食品(本明細書において、「本発明の酢酸含有飲食品」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
【0014】
本発明の酢酸含有飲食品中の各成分の濃度の算出方法は、次の通りである。本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、後述の試験例2に記載の方法に従って又は準じて算出することができる。なお、本明細書中の「ppm」、及び「ppb」は、いずれも質量濃度(w/w)である。
【0015】
本発明の酢酸含有飲食品は酢酸を含有するが、酢酸とは、酢酸分子(CH3COOH)と酢酸イオン(CH3COO-)をいい、酢酸の含有量とは、これらを合計した濃度をいう。本発明の酢酸含有飲食品中の酢酸の含有量は、0.02w/v%以上である限り、特に制限されない。この程度の含有量である場合、さらには下記の好ましい下限値以上の濃度である場合、酢酸臭の不快さがより大きくなる、すなわち本発明の酢酸臭抑制技術の必要性がより高くなる。該含有量は、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点、喫食に供される飲食品の調製に適しているという観点等(特に、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点)から、好ましくは0.02〜15w/v%、より好ましくは0.02〜10w/v%、さらに好ましくは0.02〜8w/v%、よりさらに好ましくは0.02〜7w/v%、とりわけ好ましくは0.02〜5w/v%、特に好ましくは0.02〜4w/v%である。なお、本発明の酢酸含有飲食品における酢酸の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、食品添加物由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が該食品添加物に含まれる酢酸)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が調味料、食品原料等に含まれる酢酸)であることもできる。
【0016】
本発明の酢酸含有飲食品は、酢酸と共に、ムレ臭源の1つとして、イソ吉草酸を含み得る。イソ吉草酸はむれた足や、脱いだ靴下の臭いの原因とされる成分であり、糖類やデンプンを糖化した液を酵母によってアルコール発酵させたものを、酢酸菌を用いて酢酸発酵させた醸造酢に特徴的に含まれる成分である。イソ吉草酸は、前記醸造酢に限らず、チーズや納豆はじめ、多くの食品に含まれる成分でもある。本発明の酢酸含有飲食品中のイソ吉草酸の含有量は、イソ吉草酸由来のムレ臭がより大きくなる、すなわち本発明のムレ臭抑制技術の必要性がより高くなるという観点等から、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.3ppm以上、さらに好ましくは1.0ppm以上、よりさらに好ましくは3.0ppm以上である。該含有量の上限は特に制限されず、例えば3000ppm、1000ppm、500ppm、300ppm、200ppm、100ppm、50ppmである。
【0017】
A成分(イソブタナール、Propanal, 2-methyl-(CAS登録番号:78-84-2))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:ナッツ、トースト、バナナ、チョコレート様。A成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、A成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、A成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がA成分を含有する場合、A成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が該製剤に含まれるA成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が調味料、食品原料等に含まれるA成分)であることもできる。
【0018】
本発明の酢酸含有飲食品がA成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のA成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。A成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは0.3ppb以上、より好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは0.8ppb以上、特に好ましくは1.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば3000ppb、1500ppb、300ppbである。上記含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、又は100ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上3000ppb以下、好ましくは0.5ppb以上1500ppb以下、より好ましくは1.0ppb以上300ppb以下である。
【0019】
B成分(ブタナール、Butanal(CAS登録番号: 123-72-8))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:魚、スモーキー、フライドオニオン、キャラメル様。B成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、B成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、B成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がB成分を含有する場合、におけるB成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が該製剤に含まれるB成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が調味料、食品原料等に含まれるB成分)であることもできる。
【0020】
本発明の酢酸含有飲食品がB成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のB成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。B成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは0.2ppb以上、より好ましくは0.3ppb以上、さらに好ましくは0.4ppb以上、特に好ましくは0.5ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば1000ppb、500ppb、100ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば1ppb、3ppb、10ppb、30ppb、又は50ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上1000ppb以下、好ましくは0.3ppb以上500ppb以下、より好ましくは0.5ppb以上100ppb以下である。
【0021】
C成分(2−メチルブタナール、Butanal, 2-methyl-(CAS登録番号:96-17-3))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:マッシュルーム、ヘーゼルナッツ、バター、グリーンハーブ様。C成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、C成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、C成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がC成分を含有する場合、におけるC成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のC成分が該製剤に含まれるC成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のC成分が調味料、食品原料等に含まれるC成分)であることもできる。
【0022】
本発明の酢酸含有飲食品がC成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のC成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。C成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは0.3ppb以上、より好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは0.8ppb以上、特に好ましくは1.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば3000ppb、1500ppb、300ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、又は100ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上3000ppb以下、好ましくは0.5ppb以上1500ppb以下、より好ましくは1.0ppb以上300ppb以下である。
【0023】
D成分(ペンタナール、Pentanal(CAS登録番号:110-62-3))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:油っぽい、ビター、木材、麦芽様。D成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、D成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、D成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がD成分を含有する場合、におけるD成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のD成分が該製剤に含まれるD成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のD成分が調味料、食品原料等に含まれるD成分)であることもできる。
【0024】
本発明の酢酸含有飲食品がD成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のD成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。D成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは0.2ppb以上、より好ましくは0.3ppb以上、さらに好ましくは0.4ppb以上、特に好ましくは0.5ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば1500ppb、750ppb、150ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば1ppb、3ppb、10ppb、30ppb、又は100ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上1500ppb以下、好ましくは0.3ppb以上750ppb以下、より好ましくは0.5ppb以上150ppb以下である。
【0025】
E成分(酢酸イソブチル、Isobutyl acetate(CAS登録番号:110-19-0))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:接着剤、プラスティック、花、キャンディ様。E成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、E成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、E成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がE成分を含有する場合、におけるE成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のE成分が該製剤に含まれるE成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のE成分が調味料、食品原料等に含まれるE成分)であることもできる。
【0026】
本発明の酢酸含有飲食品がE成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のE成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。E成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは0.2ppb以上、より好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは1.0ppb以上、よりさらに好ましくは1.5ppb以上、特に好ましくは2.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば50000ppb、20000ppb、15000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、100ppb、300ppb、1000ppb、又は3000ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上50000ppb以下、好ましくは1.0ppb以上20000ppb以下、より好ましくは2.0ppb以上15000ppb以下である。
【0027】
F成分(酢酸ブチル、Acetic acid, butyl ester(CAS登録番号:123-86-4))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0 西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:エーテル、ジューシー、バナナ、グリーン様。F成分により、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。さらに、F成分の含有量を調整することにより、これらの抑制効果をより(場合によっては、顕著に)向上させることができる。また、F成分により、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制することができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品がF成分を含有する場合、におけるF成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のF成分が該製剤に含まれるF成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のF成分が調味料、食品原料等に含まれるF成分)であることもできる。
【0028】
本発明の酢酸含有飲食品がF成分を含有する場合、本発明の酢酸含有飲食品中のF成分の含有量は、単独で又は他の本発明の香気成分と共に、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭の抑制効果を発揮する限りにおいて特に制限されない。F成分の含有量は、単独での上記効果の観点から、例えば0.1ppb以上、好ましくは1.0ppb以上、より好ましくは5.0ppb以上、さらに好ましくは8.0ppb以上、特に好ましくは10.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば50000ppb、40000ppb、35000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば30ppb、100ppb、300ppb、1000ppb、3000ppb、又は10000ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上50000ppb以下、好ましくは5.0ppb以上40000ppb以下、より好ましくは10.0ppb以上35000ppb以下である。
【0029】
本発明の酢酸含有飲食品中の本発明の香気成分の合計含有量は、0.1ppb以上である。この合計含有量であることにより、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。該合計含有量は、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、劣化臭等の抑制効果の観点から、好ましくは0.3ppb以上、より好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは1ppb以上、よりさらに好ましくは3ppb以上、とりわけ好ましくは5ppb以上、とりわけさらに好ましくは10ppb以上である。
【0030】
本発明の香気成分の中でも、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、劣化臭等の抑制効果の観点から、好ましくはA成分、B成分、C成分、D成分、及びE成分が挙げられ、より好ましくはA成分、B成分、C成分、及びD成分が挙げられ、さらに好ましくはB成分及びD成分が挙げられる。この点を踏まえ、本発明の酢酸含有飲食品は、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、劣化臭等の抑制効果の観点から、以下の要件を満たすことが好ましい。
【0031】
好ましくは、本発明の酢酸含有飲食品は;
(要件X)前記A成分、前記B成分、前記C成分、前記D成分、及び前記E成分の合計含有量が0.1ppb以上であること、並びに
(要件Y)前記F成分の含有量が1.0ppb以上であること、
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす。
【0032】
より好ましくは、本発明の酢酸含有飲食品は;
(要件i)前記A成分、前記B成分、前記C成分、及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
(要件ii)前記E成分の含有量が1.0ppb以上であること、並びに
(要件iii)前記F成分の含有量が5.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす。
【0033】
さらに好ましくは、本発明の酢酸含有飲食品は;
(要件ia)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、
(要件ib)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.3ppb以上であること、
(要件ii)前記E成分の含有量が1.0ppb以上であること、並びに
(要件iii)前記F成分の含有量が5.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす。
【0034】
特に好ましくは、本発明の酢酸含有飲食品は;
(要件ia’)前記A成分及び前記C成分の合計含有量が1.0ppb以上であること、
(要件ib’)前記B成分及び前記D成分の合計含有量が0.5ppb以上であること、
(要件ii’)前記E成分の含有量が2.0ppb以上であること、並びに
(要件iii’)前記F成分の含有量が10.0ppb以上であること
からなる群より選択される少なくとも1種の要件を満たす。
【0035】
要件Xにおける合計含有量は、好ましくは0.2ppb以上、より好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは1.0ppb以上、よりさらに好ましくは1.5ppb以上、特に好ましくは2.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば50000ppb、20000ppb、15000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、100ppb、300ppb、1000ppb、又は3000ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.1ppb以上50000ppb以下、好ましくは1.0ppb以上20000ppb以下、より好ましくは2.0ppb以上15000ppb以下である。
【0036】
要件Yにおける好ましい含有量は、上記したF成分の含有量と同様である。
【0037】
要件i及び要件iaにおける合計含有量は、好ましくは0.5ppb以上、さらに好ましくは0.8ppb以上、特に好ましくは1.0ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば3000ppb、1500ppb、300ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、又は100ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.3ppb以上3000ppb以下、好ましくは0.5ppb以上1500ppb以下、より好ましくは1.0ppb以上300ppb以下である。
【0038】
要件ibにおける合計含有量は、好ましくは0.4ppb以上、特に好ましくは0.5ppb以上である。該含有量の上限は、特に制限されず、例えば1500ppb、750ppb、150ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば1ppb、3ppb、10ppb、30ppb、又は100ppbであることができる。該含有量の範囲は、上記上限及び下限を任意に組合わせた範囲であり、例えば0.3ppb以上1500ppb以下、好ましくは0.3ppb以上750ppb以下、より好ましくは0.5ppb以上150ppb以下である。
【0039】
要件iiにおける好ましい含有量は、上記したE成分の含有量と同様である。
【0040】
要件iiiにおける好ましい含有量は、上記したF成分の含有量と同様である。
【0041】
上記の通り、発明の香気成分の中でも、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、劣化臭等の抑制効果の観点から、B成分及びD成分が最も好ましい。このため、本発明の酢酸含有飲食品は、好ましくは、B成分及びD成分を含有する。B成分とD成分との質量比(B成分質量:D成分質量)は、特に制限されず、例えば0.1:9.9〜9.9:0.1、0.5:9.5〜9.5:0.5、1:9〜9:1である。該質量比は、B成分とD成分との組み合わせによる相乗効果の観点から、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは2.5:7.5〜7.5:2.5、特に好ましくは3:7〜7:3である。
【0042】
本発明の酢酸含有飲食品の性状としては、飲食品が採り得る性状である限り特に制限されず、例えば液状、乳化液状、ゲル状、フォーム状、固形状等が挙げられる。本発明の酢酸含有飲食品は、単一性状のもの、及び複数の性状の飲食品の組み合わせからなるものを包含する。
【0043】
酢酸含有飲食品としては、特に制限されないが、例えば、そのまま喫食に供される飲食品、喫食に供される飲食品の調製用組成物(つまり、そのまま喫食に供される飲食品を調製に使用するための組成物)等が挙げられる。なお、「そのまま喫食に供される飲食品」とは、何らの成分も添加されずに喫食される飲食品以外にも、喫食者が喫食時に必要に応じて調味料を適宜添加して喫食される飲食品も包含される。
【0044】
そのまま喫食に供される飲食品としては、特に制限されないが、例えば飲料、菓子類、米飯類、麺類、惣菜、汁物(スープ)、パン類、ピザ、シリアル類、弁当等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは飲料と菓子類が挙げられ、特に好ましくは飲料が挙げられる。
【0045】
飲料としては、例えば果汁含有飲料(例えば柑橘類(みかん、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、柚子、カボス、スダチ、ベルガモット、ピンクグレープフルーツ、八朔、カラマンシー等)、熱帯果実(パイナップル、バナナ、グアバ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ等)、ライチ、イチゴ、リンゴ、モモ、ブドウ、白ブドウ、カシス、ラズベリー、ザクロ、ウメ、梨、杏、スモモ、キウイフルーツ、メロン、ブルーベリー、アサイー等のフルーツジュース、エード、ニアウォーター、美容系飲料、スムージー等)、乳製品含有飲料(例えば乳等の乳及びその加工品である脱脂粉乳や全脂粉乳、濃縮乳、ヨーグルト、生クリーム、練乳、バター、脱脂乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー等の乳成分を含む飲料)、野菜飲料(例えばトマト、ニンジン、かぼちゃ等のジュース、スムージー、青汁等)、清涼飲料水(例えばスポーツドリンク、レモネード等のエード、果実風味ドリンク)、炭酸飲料、ゼリー飲料、穀物飲料(例えば米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料類等)、茶系飲料(例えば紅茶、ウーロン茶、緑茶、黒茶、抹茶、ジャスミン茶、ローズヒップ茶、カモミール茶、ほうじ茶の他、ブレンド茶(はと麦、大麦、玄米、大豆、とうもろこし等の穀物、柿の葉、びわの葉、クマ笹、アマチャヅル、アシタバ、ドクダミ等の葉、昆布、ベニバナ、しいたけ、レイシ等))、コーヒー飲料、粉末飲料(例えばココア、青汁等)、酒(例えばビール、発泡酒等のビールテイスト飲料、果実酒、日本酒等の醸造酒、焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ等の蒸留酒、蒸留酒に糖類等の副原料を混合するリキュール等の混成酒、さらにこれら酒類に果汁やフレーバー、炭酸ガス等を加えたカクテル、フィズ、チューハイ等)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは果汁含有飲料が挙げられる。
【0046】
菓子類とは、甘味や塩味などの味覚を強調し、あるいは食感などの触覚を工夫し、各種の匂いで嗅覚などの食味感覚の嗜好品として製造、調理された食品である。より具体的には、例えば、ゼリー、プディング、チョコレート、冷菓(アイスクリーム、シャーベット等)等が挙げられ、これらの中でも、好ましくはゼリー、冷菓(アイスクリーム、シャーベット等)が挙げられ、その中でも特に好ましくはゼリーが挙げられる。
【0047】
米飯類としては、例えば、白飯、塩飯、赤飯、おこわ、炊き込み御飯、混ぜ込みご飯、おにぎり、寿司飯、餅、団子等が挙げられる。なお、「米」は、粳米、もち米や、精米度の異なる無洗米や、玄米等が挙げられる。また、これら以外にも、これらの米飯類と他の食材との調理品、例えば寿司、ちらし寿司、カレーライス、丼物、チャーハン、天津飯等が挙げられる。
【0048】
麺類とは、小麦粉、米粉、そば粉、マメ等の穀類の粉を主原料とし、麺状や板状やリボン状等に成形、加工されたものを、茹でたり、煮たり、蒸煮したりすることで調理される食品であり、この限りにおいて特に制限されない。例えば、そば、うどん、きしめん、ラーメン、中華麺、パスタ、マカロニ、素麺、フォー、韓国冷麺、春雨等が挙げられる。
【0049】
惣菜は、肉類、魚介類、卵、乳、野菜、果物、ハーブ、海藻等の具材を適当な方法で調理して得られた食品である。惣菜としては、例えば漬物、煮物、焼き物、揚げ物、炒め物、蒸し物、和え物等が挙げられる。より具体的には、例えば酢豚、酢の物、酢漬け等が挙げられる。
【0050】
汁物(スープ)は、肉類、魚介類、卵、乳、野菜、果物、ハーブ、海藻等の具材を適当な方法で調理して得られた、水を多く含む食品である。汁物として、具体的には、例えばミネストローネ、サンラータン、白湯スープ、チゲスープ等が挙げられる。
【0051】
パン類とは、小麦粉又はこれに穀粉類を加えたものを主原料とし、これにイーストを
加えたもの又はこれらに水、食塩、ぶどう等の果実、野菜、卵及びその加工品、砂糖類、食用油脂、乳及び乳製品等を加えたものを練り合わせ、発酵させたもの(以下「パン生地」という。)を焼いた、水分が10%以上の食品である。パン類として、具体的には、例えばパン生地を食パン型(直方体又は円柱状の焼型)に入れて焼いた食パンや、あん、クリーム、ジャム類、食用油脂等をパン生地で包み込み、若しくは折り込み、又はパン生地の上部に乗せたものを焼いた菓子パン等が挙げられる。
【0052】
ピザとは、小麦粉、水、塩、イースト、砂糖、少量のオリーブ油をこねた後に発酵させて作った生地を丸く薄くのばし、その上に具を乗せ、オーブンや専用の窯などで焼いた食品である。
【0053】
シリアル類とは、トウモロコシ、オーツ麦、小麦、大麦、米などの穀物を、押しつぶして薄い破片(フレーク)にする、パフ状にする(膨化させる)、混ぜ合わせてシート状にしてから砕くなどの加熱調理で食べやすく加工し、長期保存に適した形状にした簡便食品である。
【0054】
弁当は、容器に上記飲食品が1種又は複数種配置されてなるものであり、この限りにおいて特に制限されない。
【0055】
喫食に供される飲食品の調製用組成物としては、特に制限されないが、例えば飲料の調製用組成物、デザートソース・クリーム、調味料、レトルト食品等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは飲料の調製用組成物、デザートソース・クリーム、調味料等が挙げられ、より好ましくは飲料の調製用組成物が挙げられる。
【0056】
飲料の調製用組成物としては、例えば飲料の濃縮タイプが挙げられる。これは、適当な飲料(例えば、水、又は上記で例示された飲料)で希釈してから、飲用に供される。推奨される希釈倍率は、例えば1.1〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは3〜12倍、さらに好ましくは4〜8倍である。
【0057】
デザートソース・クリームとは、飲料や、菓子類(ゼリー、ケーキ、アイスクリーム等)にかけたり、載せたり、混ぜたりして、風味、テクスチャー、色をデザートに加える液体状、または半固体状のソースやクリームであり、具体的には、例えばキャラメルソース、カスタードソース、チョコレートソースや、ラズベリーソース、ストロベリーソース、ブルーベリーソース、アップルソース、ザクロソースなどのフルーツソース等が挙げられる。
【0058】
調味料としては、特に制限されないが、例えばタレ(ゴマだれ等のゴマ含有調味料、焼肉だれ等)、ドレッシング(ノンオイルドレッシング、分離ドレッシング、乳化ドレッシング等)、調味酢(例えば汎用性調味酢、酢の物用調味酢、すし飯用調味酢、酢漬け(例えばピクルス等)用調味液、甘酢等)、米飯用調味料、ぽん酢調味料、だし含有調味料(例えばめんつゆ、鍋つゆ等)、納豆用調味料、漬物用調味料、肉用調味料、食酢、ウスターソース、ケチャップ、オイスターソース、サルサ、サンバルソース、チリソース、辛味スパイス含有調味料、チャツネ、マスタード、マヨネーズ等が挙げられる。
【0059】
レトルト食品としては、レトルトパウチ又は缶内に調理済み又は半調理済みの食品が詰められてなるものである限り、特に制限されない。詰められる食品としては、例えば、上記した食品そのもの、又は簡単な調理(例えば、食材を加えて加熱調理するなど)により上記した食品を得ることができるもの等が挙げられる。
【0060】
本発明の酢酸含有飲食品は、飲食品の種類に応じて、他の原料を含有することができる。他の原料としては、水、糖類(高甘味度甘味料を含む)、果実や野菜を切削やすり潰す等の処理により得られる破砕物(搾汁液(果汁や、野菜汁)、ピューレ、ペースト等)、フレーバー、食酢、食塩、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料(又は酸味料)、酸味料、風味原料、旨味調味料、酒類、油脂類、香辛料、香辛料抽出物、香味オイル、粘度調整剤、安定剤、着色料、カルシウム塩、具材等が挙げられる。これら他の原料の組み合わせ及び含有量は、特に限定はされず、飲食品の種類に応じて適宜設定することができる。
【0061】
上記他の原料は、特に、飲料、飲料の調製用組成物、調味料において、好適に使用することができる。また、中でも、飲料、飲料の調製用組成物において好適に使用できるものとしては、例えば水、糖類(高甘味度甘味料を含む)、果実や野菜を切削やすり潰す等の処理により得られる破砕物(搾汁液(果汁や、野菜汁)、ピューレ、ペースト等)、フレーバー、食酢、食塩、安定剤、着色料、カルシウム塩、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料(又は酸味料)、風味原料、旨味調味料、酒類等が挙げられる。
【0062】
本発明によれば、果汁由来の劣化臭を抑制することができるので、その効果を得るために本発明の酢酸含有飲食品は果汁を含有することが好ましい。果汁としては、たとえば後述の果実由来の果汁を使用することができ、好ましくはリンゴ果汁、ブルーベリー果汁、柑橘(オレンジ、レモン、柚子、カボス、スダチ、ライム、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ、八朔、カラマンシー等)果汁、イチゴ果汁、ザクロ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、ウメ果汁、マンゴー果汁、を使用することができ、より好ましくはリンゴ果汁、レモン果汁、柚子果汁、オレンジ果汁、ミカン果汁、ブルーベリー果汁、ザクロ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、ウメ果汁を使用することができ、特に好ましくはリンゴ果汁、ザクロ果汁を使用することができる。
【0063】
本発明の酢酸含有飲食品中の果汁含有率(ストレート果汁換算)は、特に制限されるものではないが、本発明の酢酸含有飲食品の調製の容易さ、果汁添加の利点(爽やかな香りの付加等)を得るという観点から、例えば0.2質量%以上700質量%以下、1質量%以上500質量%以下、2質量%以上300質量%以下である。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば0.5質量%、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、10質量%、30質量%、50質量%、100質量%、200質量%、300質量%、400質量%、500質量%、600質量%である。なお、果汁含有率(ストレート果汁換算)とは、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの質量%濃度をいい、飲料に配合される果汁の含有率(質量%)に、果汁の濃縮倍率を乗じて算出することができる。例えば、濃縮倍率が5倍であるリンゴ果汁を飲料に10質量%で配合した場合には、果汁含有率(ストレート換算)は50質量%となる。
【0064】
本発明の酢酸含有飲食品が飲料又はその調製用組成物である場合、そのpHは、酸性値(pH7未満)であればよく、特に限定されない。通常は風味と呈味のバランスの観点から決定すればよい。但し、特に限定されるものではないが、通常2.0以上、中でも2.2以上、更には2.3以上であることが好ましく、また、通常4.6以下、中でも4.5以下、更には4.4以下であることが好ましい。
【0065】
上記糖類としては、例えば、砂糖、麦芽糖、果糖、異性化液糖、ブドウ糖、黒糖、はちみつ、水あめ、デキストリン、ラクトース、ガラクトースや、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類等が挙げられる。これらの糖類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0066】
上記高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、甘草抽出物、ステビアやその酵素処理物等が挙げられる。これらの高甘味度甘味料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0067】
上記果実としては、例えば、リンゴ、モモ、ブドウ、アセロラ、ブルーベリー、梨、杏、オレンジ、レモン、柚子、カボス、スダチ、ライム、みかん、グレープフルーツ、イチゴ、パイナップル、バナナ、メロン、キウイフルーツ、カシス、アプリコット、グアバ、プラム、マンゴー、パパイヤ、ライチ、ウメ、ザクロ、アサイー、ピンクグレープフルーツ、ラズベリー、白ブドウ、ベルガモット、パッションフルーツ、八朔、カラマンシー等に由来する果実が挙げられる。この中でも、好ましくは、リンゴ、ブルーベリー、レモン、柚子、オレンジ、ミカン、イチゴ、ザクロ、ブドウ、モモ、ウメ、マンゴーを使用することができ、より好ましくはリンゴ、ブルーベリー、ザクロ、ブドウ、モモ、ウメを使用することができ、特に好ましくはリンゴ、ザクロを使用することができる。果実はこれらに限定されるものではなく、1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
【0068】
上記野菜としては、例えば、トマト、ピーマン、パプリカ、キュウリ、ナス、レッドベルペッパー、かぼちゃ、大豆、枝豆、等の果菜、ショウガ(ジンジャー)、ニンニク(ガーリック)、大根、コーン、ニンジン、ビーツ等の根菜、タマネギ(オニオン)、キャベツ、レタス、ほうれん草、白菜、セロリ、小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ、ケール、シソ、ニラ、パセリ、ネギ等の葉菜、ニンニク、アスパラガス、たけのこ等の茎菜、ブロッコリー、カリフラワー等の花菜等、その他きのこ類等に由来する野菜が挙げられる。野菜はこれらに限定されるものではなく、1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。この中でも、好ましくは、トマト、パプリカ、レッドベルペッパー、かぼちゃ、大豆、枝豆、ショウガ(ジンジャー)、コーン、ニンジン、ビーツ、ホウレン草、ケール、シソ、ブロッコリーを使用でき、さらに好ましくは、トマト、パプリカ、カボチャ、コーン、ビーツ、ニンジン、特に好ましくは、トマト、ニンジンを使用することができる。なお、これらの野菜、果実より得られた搾汁液(果汁や、野菜汁)やピューレ、ペースト等を、本発明の飲料に1種又は2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で配合してもよい。
【0069】
上記フレーバーとしては、例えば、ブドウフレーバー、リンゴフレーバー、レモンフレーバー、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバー、柚子フレーバー、スダチフレーバー、ブルーベリーフレーバー、ウメフレーバー、カシスフレーバー、ザクロフレーバー、モモフレーバー、ラズベリーフレーバー等や、ヨーグルトフレーバー等の乳フレーバー、その他、ローズヒップフレーバー、カモミールフレーバー、ジャスミンフレーバー、ジンジャーフレーバー、ガーリックフレーバー、マスタードフレーバー、オニオンフレーバー、ゴマフレーバー、ねぎフレーバー、ニラフレーバー、シソフレーバー、わさびフレーバー等が挙げられる。これらのフレーバーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0070】
上記食酢としては、例えば、米や麦などの穀物や果汁を原料として生産される醸造酢と、氷酢酸や酢酸の希釈液に砂糖等の調味料を加えるか、又はそれに醸造酢を加えた合成酢と、があり、何れも使用することができる。醸造酢としては、例えば、米酢、穀物酢(玄米酢、黒酢、粕酢、麦芽酢、はと麦酢、大豆酢等)、果実酢(リンゴ酢、ブドウ酢、白ブドウ酢、柑橘(レモン、柚子、カボス、オレンジ、ミカン、シークワーサー、グレープフルーツ、カラマンシー等)酢、マンゴー酢、イチゴ酢、ブルーベリー酢、ザクロ酢、モモ酢、ウメ酢、パイナップル酢、ワイン酢、バルサミコ酢等)、エタノールを原料とした酢酸発酵によって製造される酒精酢、中国酢、シェリー酢などが挙げられる。また、合成酢としては、氷酢酸又は酢酸を水で適宜希釈したものなどが挙げられる。なお、これらの食酢は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
上記食塩はそのものでもよいが、食塩を含有する食品でも良い。食塩を含有する食品は特に限定はないが、例として、醤油、味噌、出汁等が挙げられる。
【0072】
上記醤油としては特に限定されるものではないが、例えば濃口醤油、淡口醤油、白醤油、溜り醤油、再仕込み醤油等が挙げられる。これらの醤油は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0073】
上記味噌としては特に限定されるものではないが、例えば麦味噌、米味噌、豆味噌、調合味噌などに加えて、その製法に起因する色の違いによって命名される赤味噌・白味噌・淡色味噌等が挙げられる。これらの味噌は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0074】
上記アミノ酸系調味料としては、例えば、L−グルタミン酸ナトリウム、DL−アラニン、グリシン、L−又はDL−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−又はDL−メチオニン、L−リシン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アルギニン等が挙げられる。これらのアミノ酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0075】
上記核酸系調味料としては、例えば、5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、5’−ウリジル酸二ナトリウム、5’−シチジル酸二ナトリウム、5’−リボヌクレオチドカルシウム、5’−リボヌクレオチド二ナトリウム等が挙げられる。これらの核酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0076】
上記有機酸系調味料としては、例えば、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸水素カリウム、L−酒石酸水素カリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの有機酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。2種以上の有機酸系調味料を併用することで、双方の呈味が相乗的に高まるため好ましい。
【0077】
上記酸味料としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フィチン酸、フマル酸、リン酸等が挙げられる。これらの酸味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0078】
上記風味原料としては、例えば、鰹だし、昆布だし、野菜エキス、鰹エキス、昆布エキス、魚介エキス、蓄肉エキス等が挙げられる。これらの風味原料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0079】
上記旨味調味料としては、例えば、たん白加水分解物、酵母エキス等が挙げられる。これらの旨味調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0080】
上記酒類としては、清酒、合成清酒、みりん、焼酎、ワイン、リキュール、紹興酒等が挙げられる。これらの酒類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0081】
上記油脂類としては、例えば、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、へーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、藻類油等が挙げられる。これらの油脂類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0082】
上記香辛料とは、特有の香り、刺激的な呈味、色調を有し、香り付け、消臭、調味、着色等の目的で飲食品に配合する植物体の一部(植物の果実、果皮、花、蕾、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎など)をいい、香辛料にはスパイス又はハーブが含まれる。スパイスとは、香辛料のうち、利用部位として茎と葉と花を除くものをいい、例えば、胡椒(黒胡椒、白胡椒、赤胡椒)、ニンニク、ショウガ、ゴマ(ゴマの種子)、唐辛子、ホースラディシュ(西洋ワサビ)、マスタード、ケシノミ、柚子、ナツメグ、シナモン、パプリカ、カルダモン、クミン、サフラン、オールスパイス、クローブ、山椒、オレンジピール、ウイキョウ、カンゾウ、フェネグリーク、ディルシード、カショウ、ロングペッパー、オリーブの実などが挙げられる。また、ハーブとは、香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものをいい、例えば、クレソン、コリアンダー、シソ、セロリ、タラゴン、チャイブ、チャービル、セージ、タイム、ローレル、ニラ、パセリ、マスタードグリーン(からしな)、ミョウガ、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ディル、ワサビ葉、山椒の葉などが挙げられる。
【0083】
上記香辛料抽出物としては、一般的に「香辛料」又は「スパイス」と表示される食品の抽出物であれば何でもよく、その例としては、唐辛子抽出物、マスタード抽出物(カラシ抽出物)、ショウガ抽出物(ジンジャー抽出物)、ワサビ抽出物、ペッパー抽出物、ニンニク抽出物(ガーリック抽出物)、オニオン抽出物、サンショウ抽出物等が挙げられる。これらの香辛料抽出物は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0084】
上記香味オイルとしては、例えば、ジンジャーオイル、ガーリックオイル、マスタードオイル、オニオンオイル、ゴマ油、ねぎオイル、ニラオイル、セリオイル、シソオイル、わさびオイル、レモンオイル、柚子オイル、魚介オイル、蓄肉オイル等が挙げられる。これらの香味オイルは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0085】
また、上記粘度調整剤としては、例えばキサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、アラビアガム、タマリンドシードガム、タラガム、トラガントガム、ペクチン、セルロース、カラギーナン、寒天、澱粉、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラヤガム、プルラン、キチン、キトサン等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0086】
上記具材としては、例えば野菜(ニンジン、ゴボウ、大根等)や、穀類(小豆、大豆等)や、肉類や、魚類等が挙げられる。これらの具材は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0087】
本発明の酢酸含有飲食品は、酢酸を含有量が0.02w/v%以上になるように配合すること、並びに(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を合計含有量が0.1ppb以上になるように配合することを含む方法により、製造することができる。このため、本発明は、その一態様において、該方法を含む、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種が低減された酢酸含有飲食品の製造方法(本明細書において、「本発明の製造方法」と示すこともある。)、に関する。
【0088】
さらに、本発明は、その一態様において、(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を合計含有量が0.1ppb以上になるように配合することを含む、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種を抑制する方法(本明細書において、「本発明の方法」と示すこともある。)、に関する。
【0089】
酢酸、A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分、及び必要に応じて配合される他の成分それぞれの配合のタイミングは、特に制限されない。該タイミングとしては、例えば飲食品の製造時、飲食品の製造後、喫食前等が挙げられる。酢酸、A成分、B成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分等の由来は飲食品に適する由来である限り特に限定されず、これらの成分は、例えばフレーバー等の製剤、食品添加物、調味料、食品原料等に由来するものである。酢酸、A成分、B成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分、及び必要に応じて配合される他の成分を配合した後は、必要に応じて、成分が飲食品中にできるだけ均一に分散されるように、混合することが好ましい。
【0090】
また、本発明によれば、(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭からなる群より選択される少なくとも1種の抑制剤(本明細書において、「本発明の剤」と示すこともある。)を提供することもできる。本発明の剤は、その一態様において、本発明の香気成分を、本発明の剤100質量%に対して、例えば1〜100質量%、20〜100質量%、40〜100質量%、60〜100質量%、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%、99〜100質量%、又は99.9〜100質量%含有することができる。
【0091】
本発明の剤の性状としては、特に制限されず、例えば固体(例えば粉末)、半固体、液体等が挙げられる。本発明の剤は、例えば飲食品、食品添加剤として利用することができる。飲食品としては、例えば、上記で例示した飲食品が挙られる。食品添加剤は、他の成分が含まれるものであってもよい。ここで食品添加剤とは、食品の製造過程において、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用されるものである。他の成分としては、食品に配合可能な成分であれば特に限定されないが、食品に配合可能な担体(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、湿潤剤等)や添加剤等が挙げられる。食品添加剤の形態としては、特に制限されず、例えば顆粒剤、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬カプセル剤および軟カプセル剤が含まれる)等が挙げられる。本発明の剤は、飲食品に配合することにより、調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制することができる。また、果汁由来の劣化臭も抑制することが可能である。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0093】
試験例1.風味評価試験1
まず、各評価対象成分の希釈液を調製した。70%エタノール水溶液に、(A成分)イソブタナール(試薬名:Propanal, 2-methyl-、東京化成工業社製 純度98%以上、CAS#:78-84-2)、(B成分)ブタナール(試薬名:Butanal、東京化成工業社製 純度98%以上、CAS#:123-72-8)、(C成分)2−メチルブタナール(試薬名:Butanal, 2-methyl-、東京化成工業社製 純度95%以上、CAS#:96-17-3)、(D成分)ペンタナール(試薬名:Pentanal、関東化学社製 グレード:鹿特級、純度98%以上、CAS#:110-62-3)、(E成分)酢酸イソブチル(試薬名:Isobutyl acetate、東京化成工業社製 純度99%以上、CAS#:110-19-0)、又は(F成分)酢酸ブチル(試薬名:Acetic acid, butyl ester、シグマアルドリッチジャパン合同会社製 グレード:特級、純度98%以上、CAS#:123-86-4)を添加し、十分に攪拌して10,000ppmの溶液を調製した。得られた溶液をイオン交換水で希釈して、各評価対象成分の希釈液を調製した。
【0094】
続いて、イオン交換水に、酢酸(関東化学株式会社製、グレード:特級、純度99.7%以上)、又はイソ吉草酸(富士フィルム和光純薬社製、グレード:特級、純度98%以上)を添加し、十分に攪拌して、酢酸希釈液及びイソ吉草酸希釈液を調製した。
【0095】
最後に、各評価対象成分の希釈液、酢酸希釈液、イソ吉草酸希釈液、及び5倍濃縮リンゴ果汁の一部又は全部を添加し、十分に攪拌して、表1〜4に示される配合組成及び濃度の試験液(実施例1〜40及び比較例1〜5)を調製した。なお、上記5倍濃縮リンゴ果汁は、市販のリンゴジュース(長野興農株式会社製、信州 シナノスイートりんごジュース、160g缶)を鍋に入れ、火にかけ、60〜70℃で焦げないようよく攪拌しながら加熱し、糖度用屈折計(アタゴ社の「手持ち屈折計H50」))の測定値が加熱前のジュースの5倍になるまで濃縮することで調製した。
【0096】
一方で、評価対象成分及び5倍濃縮リンゴ果汁を含まない以外は実施例1〜40及び比較例1〜5と同配合のコントロール(対照試験液)を調製した。
【0097】
調製直後の試験液及びコントロールと、調製後にボトル(150ml容量のガラス瓶)に充填、密封して60℃で10日間保存(常温20℃で12カ月間保存に相当)した後の試験液及びコントロールについて、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を、風味に関する判定能力が一定の試験により担保された専門パネラー10名に評価させた。なお、前記の風味に関する一定の試験とは、下記1)および2)の識別試験をいい、本試験で特に成績が優秀であった者を専門パネラーとした。選定されたパネラーは、官能検査員歴10年以上の熟練のパネラーであった。各試験液について、評価対象成分及び5倍濃縮リンゴ果汁を含まない以外はその試験液と同配合のコントロールの評価との比較に基づいて下記評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出した。
識別試験1)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨味:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
識別試験2)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
【0098】
酢酸臭評価基準
+3:コントロールに比べ、酢酸臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、酢酸臭が強い。
+1:コントロールに比べ、酢酸臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、酢酸臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、酢酸臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、酢酸臭が非常に弱い。
【0099】
刺激臭評価基準
+3:コントロールに比べ、刺激臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、刺激臭が強い。
+1:コントロールに比べ、刺激臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、刺激臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、刺激臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、刺激臭が非常に弱い。
【0100】
ムレ臭評価基準
+3:コントロールに比べ、ムレ臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、ムレ臭が強い。
+1:コントロールに比べ、ムレ臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、ムレ臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、ムレ臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、ムレ臭が非常に弱い。
【0101】
さらに、調製直後及び60℃で10日間保存後の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭それぞれの評点平均点から平均値を算出し、得られた平均値に基づいて下記評価基準に従って総合評価した。
【0102】
総合評価
A:−3.0≦平均値≦−2.5。
B:−2.5<平均値≦−2.0。
C:−2.0<平均値≦−1.5。
D:−1.5<平均値≦−0.5。
E:−0.5<平均値≦+3.0。
【0103】
また、5倍濃縮リンゴ果汁を含む試験液(実施例36〜40及び比較例1〜5)については、60℃で10日間保存した後の、果汁由来の劣化臭(調整直後のサンプルとは異なるイモを蒸 したような鼻に残る重たい嫌な臭いや埃っぽい臭い、ソース様の臭い)についても、上記専門パネラー10名に評価させた。各試験液について、下記評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出した。
【0104】
劣化臭評価基準
+3:劣化臭が非常に強い。
+2:劣化臭が強い。
+1:劣化臭をわずかに感じる。
±0:劣化臭を感じない。
【0105】
なお、評価は具体的には次のようにして行った。中身色が見えないよう着色された官能検査用のグラスに試験液又はコントロールを10ml入れたものに、シャーレでフタをした。この状態でグラスを数回回してからフタをあけて臭いをかぎ、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、及び劣化臭を評価した。鼻腔から香りが消えたら次のサンプル評価を行った。
【0106】
結果を表1〜4に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
表1〜4より、A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、及びF成分からなる群より選択される少なくとも1種の香気成分により、調製直後のみならず保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を抑制できることが分かった。さらにこれらの含有量を調整することによって、該効果をより(場合によっては、顕著に)向上できることが分かった。またさらに、成分の組み合わせによって、該効果をより(場合によっては、顕著に)向上できることが分かった。また、表4より、上記香気成分は、保存後の果汁由来の劣化臭をも抑制できることが分かった。
【0112】
試験例2.風味評価試験2
表5に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、イソ吉草酸、及びA〜F成分(試験例1と同じものを使用した。)を表6に記載の含有量となるように適宜添加して、20℃で均一になるよう十分に攪拌混合した後、90℃で120秒の殺菌処理を行い、ボトル(150ml容量のガラス瓶)に充填して、飲料(実施例41〜53)を調製した。一方で、評価対象成分を添加しない以外は実施例41〜53と同配合のコントロール(対照試験液)とする飲料を調製した。
【0113】
なお、実施例及びコントールの飲料サンプル中の酢酸、イソ吉草酸、及びA〜F成分それぞれの含有量は、以下のようにして測定した。
【0114】
<酢酸の含有量>
サンプルは、酢酸の濃度が100mg%付近になるように超純水で希釈し、以下の条件に従って、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、酢酸のピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した100mg%の酢酸を、標品サンプルとして同様に分析し、外部標準法により実施例とコントロールの各飲料サンプルの酢酸の含有量を算出した。
・測定機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、機種LC-10ADVP)
・移動相(1)4mM p−トルエンスルホン酸水溶液、流速0.9mL/min
・移動相(2)4mM p−トルエンスルホン酸、80μMEDTAを含む16mMBis−Tris水溶液、流速0.9mL/min
・カラム:Shodex RS pak KC−811×2(昭和電工社製)
・カラム温度:52℃
・検出:電気伝導度検出器。
【0115】
<イソ吉草酸の含有量>
サンプルは、イソ吉草酸の濃度が10mg%付近になるように超純水で希釈し、上記酢酸の測定同様、イソ吉草酸のピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した10mg%のイソ吉草酸を、標品サンプルとて同様に分析し、外部標準法により各サンプルのイソ吉草酸の含有量を算出した。
【0116】
<A〜F成分の含有量>
〔1〕成分の分離濃縮方法
以下の条件に従って、成分の分離濃縮を行った。
サンプルは100gを1Lバイアルに測り取り、密封した後40℃で30min予備加熱をした。その後、バイアル中の気相をサンプルとして200mlを濃縮装置に導入した。
・揮発性成分濃縮装置
Entech7200(Entech社製)
・濃縮モード:CTD
・M1(Empty)温度 : Trap −40℃→Desorb 10℃
・M2(Tenax)温度 : Trap −50℃→Desorb 220℃
・M3(CryoFoucus)温度 : Trap −150℃→Desorb 80℃
【0117】
〔2〕成分の分析方法
以下の条件に従ってガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、各成分のピーク面積を分析した。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System (Agilent Technologies社製)
・GCカラム:DB−1 (Agilent Technologies社製) 長さ60m,口径0.32mm,膜厚1.0μm
・キャリア:Heガス、ガス流量2.68mL/min
・温度条件:35℃(5min)保持→220℃まで3℃/min昇温→5分間保持
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 5977B MSD(Agilent Technologies社製)
・イオン化方式:EI
・測定モード:SCAN
【0118】
〔3〕成分の定量方法(外部標準法)
無水エタノールで希釈した濃度既知の各成分(配合に使用したものと同一のもの)を、標品サンプルとして分析し、検出されたピーク面積をもとに検量線を作成した。分析サンプルの分析結果を検量線にあてはめ、含有量を算出した。なお、コントロールの飲料サンプル中には、評価対象成分は検出限界以下、であることを確認した。
【0119】
調製直後の飲料と、調製後に密封して60℃で10日間保存した後の飲料について、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を、また、調製後に密封して60℃で10日間保存した後の飲料についてはさらに劣化臭(調整直後品にはほとんど感じられない不快な臭い(イモ様の臭い、埃様の臭い、ソース様の臭い、金属様の臭い、テルペン系の臭い、鼻をつく薬品系の臭い等))を、試験例1同様、味や香りに関する判定能力が一定の試験により担保された専門パネラー10名に評価させた。各飲料について、下記評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出した。
【0120】
なお、評価は具体的には次のようにして行った。中身色が見えないよう着色された官能検査用のグラスに飲料を10ml入れたものに、シャーレでフタをした。この状態でグラスを数回回してからフタをあけて臭いをかぎ、酢酸臭、刺激臭、ムレ臭、及び劣化臭を評価した。鼻腔から香りが消えたら次のサンプル評価を行った。
【0121】
酢酸臭評価基準
+3:コントロールに比べ、酢酸臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、酢酸臭が強い。
+1:コントロールに比べ、酢酸臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、酢酸臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、酢酸臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、酢酸臭が非常に弱い。
【0122】
刺激臭評価基準
+3:コントロールに比べ、刺激臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、刺激臭が強い。
+1:コントロールに比べ、刺激臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、刺激臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、刺激臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、刺激臭が非常に弱い。
【0123】
ムレ臭評価基準
+3:コントロールに比べ、ムレ臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、ムレ臭が強い。
+1:コントロールに比べ、ムレ臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、ムレ臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、ムレ臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、ムレ臭が非常に弱い。
【0124】
劣化臭評価基準
+3:コントロールに比べ、劣化臭が非常に強い。
+2:コントロールに比べ、劣化臭が強い。
+1:コントロールに比べ、劣化臭がわずかに強い。
±0:コントロールと同等。
−1:コントロールに比べ、劣化臭がわずかに弱い。
−2:コントロールに比べ、劣化臭が弱い。
−3:コントロールに比べ、劣化臭が非常に弱い。
【0125】
さらに、調製直後及び60℃で10日間保存後の酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭それぞれの評点平均点から平均値を算出し、得られた平均値に基づいて下記評価基準に従って総合評価した。
【0126】
総合評価
A:−3.0≦平均値≦−2.5。
B:−2.5<平均値≦−2.0。
C:−2.0<平均値≦−1.5。
D:−1.5<平均値≦−0.5。
E:−0.5<平均値≦+3.0。
【0127】
結果を表6に示す。
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
試験例3.風味評価試験3
表7に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、イソ吉草酸、及びA〜F成分(試験例1と同じものを使用した。)を表7に記載の含有量となるように適宜添加して、20℃で均一になるよう十分に攪拌混合した後、90℃で120秒の殺菌処理を行い、ボトル(150ml容量のガラス瓶)に充填して、食品(調味料及び菓子:実施例54〜60)を調製した。一方で、評価対象成分を添加しない以外は実施例54〜60と同配合のコントロール(対照試験液)とする食品を調製した。実施例及びコントロールの食品サンプル中の酢酸、イソ吉草酸、及びA〜F成分それぞれの含有量は、試験例2と同様にして測定した。
【0131】
調製直後の食品と、調製後に密封して60℃で10日間保存した後の食品について、酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭を、また、調製後に密封して60℃で10日間保存した後の食品についてはさらに劣化臭(調整直後品にはほとんど感じられない不快な臭い(イモ様の臭い、埃様の臭い、ソース様の臭い、金属様の臭い、テルペン系の臭い、鼻をつく薬品系の臭い等))を、試験例1同様、味や香りに関する判定能力が一定の試験により担保された専門パネラー10名に評価させた。各食品について、試験例2と同様の評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出し、さらに試験例2と同様に総合評価した。なお、実施例60の冷菓については、調製直後、および60℃で10日間保管後のサンプルともに、風味評価前に、-20℃の冷凍庫にて2時間おきにフォークでよくかき混ぜつつ計6時間保管した後取り出し、フォークでよくかき混ぜてから評価に供した。
【0132】
結果を表7に示す。
【0133】
【表7】
【要約】
【課題】調製直後のみならず一定期間保存後も酢酸臭、刺激臭、及びムレ臭が抑制された酢酸含有飲食品を提供すること。
【解決手段】酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)イソブタナール、(B成分)ブタナール、(C成分)2−メチルブタナール、(D成分)ペンタナール、(E成分)酢酸イソブチル、及び(F成分)酢酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種の香気成分を含有し、且つ前記香気成分の合計含有量が0.1ppb以上である、酢酸含有飲食品。
【選択図】なし