(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記折曲基点部は、前記前後方向において隣接する領域に対して前記吸収コアの吸収材料の目付が異なる目付変化部を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
前記折曲基点部は、前記第1領域における前記本体部の前記前後方向の外端縁から前記本体部の前記前後方向の長さの1/3までの範囲に、3つ以上設けられている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、前記本体部は、前記本体部の前記前後方向の中心に対して前記前後方向の一方側に位置する第1領域と、前記本体部の前記前後方向の中心に対して前記前後方向の他方側に位置する第2領域と、を有する吸収性物品であって、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれには、前記本体部を前記前後方向に折り曲げる基点となる折曲基点部が複数設けられており、前記テープ部材は、前記第1領域に固定されており、前記第2領域の前記折曲基点部の平均間隔は、前記第1領域の前記折曲基点部の平均間隔よりも短い。
【0010】
使用者は、廃棄時に第2領域側から吸収性物品を丸め、テープ部材によって丸めた状態の吸収性物品を固定する。このとき、丸めた状態で内側に位置する第2領域の折曲基点部の平均間隔が短いため、コンパクトに丸めることができる。また、丸めた状態で外側に位置する第1領域にも複数の折曲基点部が設けられているため、第1領域及び第2領域ともに容易に丸めることができ、かつ丸めた状態を維持し易い。よって、吸収性物品をコンパクトに丸めた状態を維持し、後処理用のテープ部材によって清潔に廃棄することができる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記第1領域は、前記前後方向の中心に対して後側に位置する。
【0012】
使用者は、通常吸収性物品を丸める際に、吸収性物品の前端縁又は後端縁から前後方向に丸め始める。そのうち、約8割の使用者は、吸収性物品の前端縁から丸め始める。よって、テープ部材は、前後方向の中心に対して後側に位置する領域に設けられていることが好ましい。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記第2領域の前記折曲基点部の数は、前記第1領域の前記折曲基点部の数よりも多い。
【0014】
丸めた状態で内側に位置する第2領域に折曲基点部の数が多いため、丸めた状態の内側に多くの変形基点が形成され、コンパクトにより丸め易い。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記第1領域の前記幅方向の最大長さは、前記第2領域の前記幅方向の最大長さよりも長い。
【0016】
丸めた状態で外側に位置する第1領域の幅方向の最大長さが長いため、丸めた状態で内側に位置する第2領域を外側に位置する第1領域によって覆うことができ、丸めた状態をより維持し易くなる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、少なくとも前記吸収コアを厚み方向に圧搾した圧搾部を含む。
【0018】
圧搾部は、圧搾部が形成されていない領域と比較して剛性が高く、かつ厚みが薄い。当該圧搾部が折曲基点部を構成することにより、厚み差及び剛性差によって吸収性物品をコンパクトに丸め易くなる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記圧搾部は、肌対向面側から非肌対向面側に向かって凹んでいる。
【0020】
使用者は、一般的に、廃棄時に排泄物が付着した肌対向面側を内側にして吸収性物品を丸める。肌対向面側から非肌対向面側に向かって圧搾部が凹んでいるため、肌対向面側が近づくように変形し易く、肌対向面側を内側にして吸収性物品を丸め易くなる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、前記前後方向において隣接する領域に対して前記吸収コアの吸収材料の目付が異なる目付変化部を含む。
【0022】
目付変化部は、前後方向に隣接する領域と吸収材料の目付が異なっており、吸収コアの厚さ及び剛性が異なる。当該目付変化部が折曲基点部を構成することにより、厚み差及び剛性差によって吸収性物品をコンパクトに丸め易くなる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記低目付部は、前記前後方向に隣接する領域に対して目付が低い低目付部であり、
前記低目付部は、幅方向に沿って設けられており、
前記前後方向に沿った断面視にて、前記低目付部の肌対向面の前記前後方向の長さは、前記低目付部の非肌対向面の前記前後方向の長さよりも長い。
【0024】
使用者は、一般的に、廃棄時に排泄物が付着した肌対向面側を内側にして吸収性物品を丸める。低目付部の肌対向面の前後方向の長さが低目付部の非肌対向面の前後方向の長さよりも長いため、肌対向面側が近づくように変形し易く、肌対向面側を内側にして吸収性物品を丸め易くなる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、前記吸収性物品の肌対向面が向き合うように折り畳む折り目を含む。
【0026】
折り目の折り癖によって肌対向面側が近づくように変形し易く、肌対向面側を内側にして吸収性物品を丸め易くなる。
【0027】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、前記幅方向に沿って延びている。
【0028】
吸収性物品を丸める際の変形基点が幅方向に沿って延び、吸収性物品の幅方向全域を前後方向に丸め易くなる。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、前記幅方向の長さが前記前後方向の長さよりも長い第1折曲基点部と、前記前後方向の長さが前記幅方向の長さよりも長い第2折曲基点部と、を有し、前記第1折曲基点部の数は、前記第2折曲基点部の数よりも多い。
【0030】
第1折曲基点部の数が第2折曲基点部の数多いため、吸収性物品を丸める際に幅方向よりも前後方向に丸め易くなる。よって、吸収性物品を前後方向によりコンパクトに丸めやすく、また丸めた状態をより維持し易くなる。
【0031】
好ましい一態様によれば、前記折曲基点部は、前記第1領域における前記本体部の前記前後方向の外端縁から前記本体部の前記前後方向の長さの1/3までの範囲に、3つ以上設けられている。
【0032】
本体部を前後方向に丸めた状態の周長は、一般的に、本体部の前後方向の長さに対する1/3位になる。本体部の前後方向の長さに対する1/3は、丸めた状態で外側の表面に位置する部分となる。当該部分に3つ以上の折曲基点部が設けられていることにより、丸めた状態をより維持し易くなる。
【0033】
(2)吸収性物品の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。
【0034】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0035】
図1は、肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。
図2は、非肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
図3は、
図1に示すA−A線に沿った断面図であり、
図4は、前後方向に巻かれた状態の吸収性物品の斜視図である。
【0036】
吸収性物品10は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。
【0037】
吸収性物品10は、本体部20と、後処理用のテープ部材60と、を有する。本体部20は、着用者の肌に向けられる表面シート21と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間に配置された吸収コア23と、を含む。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向く。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収コア23は、吸収性物品の前後方向Lに沿って延びている。
【0038】
本体部20は、本体部20の前後方向Lの中心20CLに対して前後方向Lの一方側に位置する第1領域R1と、本体部20の前後方向Lの中心20CLに対して前後方向Lの他方側に位置する第2領域R2と、を有してよい。第1領域R1は、テープ部材60が固定された領域であり、第2領域R2は、テープ部材60が固定されていない領域である。本実施の形態の第1領域R1は、本体部20の前後方向Lの中心20CLに対して後側に位置し、第2領域R2は、本体部20の前後方向Lの中心20CLに対して前側に位置している。第1領域R1は、本体部20の後端縁と中心20CLとの間の領域であり、第2領域R2は、本体部20の前端縁と中心20CLとの間の領域である。
【0039】
本体部20は、圧搾部26を有してよい。圧搾部26は、少なくとも吸収コア23を厚み方向に圧縮されていればよく、表面シート21と吸収コア23が圧縮されていてもよい。また、圧搾部26は、周囲よりも密度が高く、その剛性が高い。圧搾部26は、肌対向面側から非肌対向面側に凹んでよい。表面シート側から裏面シート側に圧縮することによって、圧搾部26は、肌対向面側T1から非肌対向面側T2に凹む形状となる。
【0040】
吸収コア23は、低目付部25及び高目付部27(
図5参照)を有してよい。低目付部25は、周囲と比較して吸収材料の目付が低い領域である。ここで、「低目付部」は、その周囲の吸収コアよりも低い目付を有する吸収コアからなる領域、又は吸収コアを有していない領域(すなわち目付が零の領域)を意味するものとする。高目付部27は、周囲と比較して吸収材料の目付が高い領域である。低目付部25及び高目付部27は、後述する目付変化部を構成する。
【0041】
本体部20は、ヒップフラップ50を有していてもよい。ヒップフラップ50は、本体部20の前後方向の中心20CLよりも後側において、幅方向Wに膨らんだ部分である。ヒップフラップ50は、幅方向Wにおける吸収コア23の外縁よりも外側に膨らんだ部分である。本体部20は、ウイングを有してもよい。本体部20は、使用中に着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口対向域S1を有する。排泄口対向域S1は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域であって、吸収コア23が存在する領域に相当する。
【0042】
図2に示すように、本体部20は、裏面シート22の非肌対向面側に設けられた粘着部52,70を有してよい。粘着部52,70は、吸収性物品10を着用物品に止めるための粘着剤が設けられた領域である。粘着部は、本体粘着部70と、フラップ粘着部52と、を含んでよい。
【0043】
裏面シート22の非肌対向面側に設けられた粘着部52,70によって、吸収性物品10を下着等の着用物品に固定することができる。また、粘着部52,70によって、吸収性物品10の使用後に、吸収性物品10を巻いた状態でテープ部材60を止着させ、巻いた状態を維持することもできる。したがって、粘着部52,70は、着衣に固定する用途と、後処理用のテープ部材を止着する用途と、の2つに兼用できる。
【0044】
本体粘着部70は、吸収性物品10の厚み方向Tにおいて、吸収コア23と重なる領域に設けられている。本体粘着部70は、少なくとも排泄口対向域S1から吸収性物品10の後方へ連続的又は断続的に延びていることが好ましい。本体粘着部70は、前後方向Lに延びており、幅方向Wに間隔をあけて複数設けられていてよい。他の形態において、本体粘着部70は、幅方向Wに延び、かつ前後方向に間隔を空けて複数設けられてよい。フラップ粘着部52は、ヒップフラップ50に設けられている。
【0045】
吸収性物品10は、幅方向Wに沿って延びた折り目を有していてもよい。折り目は、吸収性物品の肌対向面が向き合うように折り畳む折り目であってよい。
図1,2に示す例では、吸収性物品10の折り目は、第1折り目F1と、第2折り目F2と、第3折り目F3と、を有している。第1折り目F1は、吸収性物品10の前端縁E1に最も近い折り目である。第2折り目F2は、吸収性物品10の後端縁E2に最も近い折り目である。第3折り目F3は、第1折り目F1と第2折り目F2の間に配置される。なお、折り目は、4本以上設けられていてもよい。折り目は、吸収性物品の包装時に、吸収性物品の肌対向面側T1を内側にして吸収性物品10を折り畳むためのラインである。
【0046】
テープ部材60は、本体部20の第1領域R1に固定されている。テープ部材60は、
図3に示すように、本体部20に固定された固定部62を有してよい。固定部62は、テープ部材60の一端に設けられてよい。固定部62は、接着剤等の接着手段によって本体部20に固定されてよい。固定部62は、本体部20の非肌対向面を構成する裏面シート22に固定されてよい。
【0047】
また、テープ部材60は、本体部20に固定されていない非固定部64を有してよい。非固定部64は、裏面シート22に固定されてなく、使用者がテープ部材60を操作する部分である。より詳細には、使用者は、テープ部材60を使用する際に、非固定部64を引っ張ったり、固定部62を基点に非固定部64を折り返したりした後に、非固定部64を本体部20に止着する。非固定部64は、伸長方向に伸長可能に構成されてよい。非固定部64の伸長方向は、固定部62から非固定部64に向かう方向であってよい。固定部62と非固定部64が前後方向Lに隣接する構成にあっては、伸長方向は、前後方向Lであってよい。ここで、「伸長」とは、「弾性変形」又は「塑性変形」による伸長を含む。一例として、テープ部材60は、伸縮性シート、フィルムから構成されていてよい。
【0048】
テープ部材60の非固定部64に仮固定部(図示せず)を設けてもよい。仮固定部は、本体部20の非肌対向面である裏面シート22に剥離可能に接合されてよい。仮固定部を設けることにより、テープ部材60の使用前(製造時、着用時)に非固定部64が捲れたり、非固定部64が折れたりすることを抑制できる。仮固定部の接合力は、固定部62の接合力よりも低くてよい。仮固定部の接合力が固定部62の接合力よりも低いため、使用者は、テープ部材60の使用時に容易に仮固定部を剥がし、非固定部64を掴んでテープ部材60を操作することができる。仮固定部の固定手段としては、接着剤、エンボス加工、熱溶着、超音波溶着を例示でき、固定部62よりも接着剤の塗布量(面積、目付)を少なくしたり、固定部62よりもエンボス加工の圧搾を弱くしたりできる。また、仮固定部は、本体部の外縁のエンボスによって構成されていてもよい。
【0049】
テープ部材60は、吸収性物品10の廃棄時に、吸収性物品の肌対向面側を内側にして巻かれた状態の本体部20に止着し、吸収性物品10が巻かれた状態を維持するように構成されてよい。テープ部材60の非固定部64は、本体部20に対して止着可能に構成されている。非固定部64が本体部20に止着する構成は、本体部20の粘着部であってもよいし、テープ部材60に設けられた粘着剤やフック部材等の止着手段であってもよい。
【0050】
本実施の形態のテープ部材60の非固定部64は、本体粘着部70を介して廃棄時に本体部20に止着する。本体部20の粘着部によってテープ部材60が本体部20に止着する構成にあっては、非固定部64には、粘着剤等の止着手段が設けられていなくてよい。
【0051】
図2に示すように、テープ部材60は、伸長していない状態(自然状態)において、本体部20の外縁20Eよりも内側に配置されてもよい。テープ部材60は、肌対向面側から見ると、本体部20に隠れた状態であってもよい。
図3に示すように、テープ部材60は、伸長した状態(伸長状態)において、本体部20の外縁20Eよりも外側に延出してもよい。使用者は、吸収性物品10の使用後に本体部20を前後方向Lに巻いた後、テープ部材60を本体部20の外縁20Eよりも外側に延出させ、本体部20にテープ部材60を止着することができる(
図4参照)。
【0052】
このような構成によれば、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側で本体部20の外縁20Eよりも内側に配置されているため、経血のような体液が付されない。使用者は、吸収性物品10の使用後に、外側に延出させたテープ部材60を本体粘着部70等に止着することによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。ここで、テープ部材60に経血のような体液が付着しないため、テープ部材60と本体粘着部70との接合力の低下、又はテープ部材の止着手段の接合力の低下を防止することができる。さらに、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側に設けられ、本体部20の外縁20Eより外側へ延びていないため、テープ部材60は、着用者の肌に直接当たらない。したがって、使用中の違和感や不快感を低減することができる。
【0053】
また、他の形態において、テープ部材60は、伸長していない状態(自然状態)において、本体部20の外縁20Eよりも外側に延出していてもよい。テープ部材60は、肌対向面側から見ると、視認可能な状態であってもよい。
【0054】
テープ部材60は、本体部20の前後方向Lの中心よりも後側に設けられていることが好ましい。使用者は、通常吸収性物品10を丸める際に、吸収性物品10の前端縁E1又は後端縁かE2から前後方向Lに丸め始める。そのうち、約8割の使用者は、吸収性物品10の前端縁E1から丸め始める。よって、テープ部材60は、本体部20の前後方向Lの中心20CLに対して後側に位置する領域に設けられていることが好ましい。テープ部材60の少なくとも一部は、吸収コア23の後端縁を跨いで、または吸収コアの後端縁よりも後側に配置されてよい。
【0055】
また、テープ部材60は、第1折り目F1〜第3折り目F3のうちの最も後側の第2折り目F2よりも後側に設けられていることがより好ましい。約8割の使用者は、使用後の吸収性物品10を前側から巻き始める。テープ部材60が第2折り目F2よりも後側に設けられていることにより、多くの使用者は、吸収性物品10の前端縁E1から丸め始め、巻き終わり部分をテープ部材60によって止着できる。
【0056】
本実施の形態の吸収性物品の具体的な構成の一例を示す。表面シートは、目付30g/m
2のエアースルー不織布(PE/PET)によって構成されてよい。表面シートと吸収コアの間にセカンドシートが設けられてよい。セカンドシートしては、表面シートと同様の材料によって構成されてよい。本体部の幅方向の外側には、表面シートが配置されず、サイドシートが配置されてもよい。サイドシートとしては、目付13g/m
2のSMS不織布(PP)によって構成されてよい。吸収コアの吸収材料は、針葉樹クラフトパルプと高吸収ポリマーによって構成されてよい。吸収材料全体の重量に対する高吸収ポリマーの重量の比率は、10%であってよい。排泄口対向域を含む領域の吸収コアの目付は、周囲の吸収コアの目付よりも高く構成されてよい。排泄口対向域S1を含む領域の吸収コアの目付は、950g/m
2であってよく、周囲の吸収コアの目付は、300g/m
2であってよい。裏面シートは、目付23.5g/m
2のポリエチレンフイルム(非通気タイプ)によって構成されてよい。吸収性物品は、表面シートと吸収コアが厚み方向に圧搾された圧搾部が形成されていてもよい。本体粘着部は、ゴム系のホットメルト型接着剤によって構成されてよい。本体粘着部の目付は、27g/m
2のであってよい。本体粘着部は、幅方向に空けて6本設けられてよい。各本体粘着部の幅方向の長さは、5mm、各本体粘着部の前後方向の長さは、320mmであってよい。吸収性物品の前後方向の長さは、420mm、吸収性物品の幅方向の長さは、200mmであってよい。後処理用のテープ部材は、目付35g/m
2のポリエチレンフイルムによって構成されてよい。テープ部材の長手方向の長さは、45mm、テープ部材の短手方向の長さは、25mmであってよい。テープ部材は、100g/m
2のゴム系のホットメルト型接着剤によって本体部に固定されてよい。接着剤は、幅21mm、かつ長さ5mmの範囲で塗布されてよい。テープ部材の裏面シート側の面には、印刷が施されてよい。印刷は、ピンク糸のウレタン系インクを用いてよい。また、伸長するテープ部材としては、目付10g/m
2のポリプロピレン層、10g/m
2のスチレン系ゴム層、及び目付10g/m
2のポリプロピレン層の積層によって構成されてよい。
【0057】
次いで、このように構成された吸収性物品の折曲基点部80について説明する。折曲基点部80は、本体部20を前後方向Lに折り曲げる際の基点となる。折曲基点部80は、剛性差、厚み差、目付差等によって本体部20を折り曲げ易くする。
【0058】
折曲基点部80は、圧搾部26を含んでよい。より詳細には、圧搾部26の前端縁及び後端縁は、折曲基点部80を構成する。また、複数の圧搾部が前後方向にずれて配置されている構成にあっては、それぞれの圧搾部の前端縁及び後端縁が折曲基点部80を構成する。折曲基点部80を構成する圧搾部は、吸収コアを圧縮した部分であり、表面シートのみを圧縮した部分を含まない。圧搾部26は、圧搾部26が形成されていない領域と比較して剛性が高く、かつ厚みが薄い。当該圧搾部26が折曲基点部80を構成することにより、厚み差及び剛性差によって本体部20をコンパクトに丸め易くなる。好適には、
図3に示すように、圧搾部26は、肌対向面側T1から非肌対向面側T2に向かって凹んでいてよい。使用者は、一般的に、廃棄時に排泄物が付着した肌対向面側T1を内側にして吸収性物品10を丸める。肌対向面側T1から非肌対向面側T2に向かって圧搾部26が凹んでいるため、肌対向面側T1が近づくように変形し易く、肌対向面側T1を内側にして吸収性物品を丸め易くなる。
【0059】
折曲基点部80は、目付変化部を含んでよい。目付変化部は、前後方向Lにおいて隣接する領域に対して吸収コア23の吸収材料の目付が異なる部分である。具体的には、吸収コア23の前端縁及び後端縁は、目付変化部を構成する。高目付部の前端縁及び後端縁も、目付変化部を構成する。低目付部は、前後方向の長さによって異なる。低目付部の前後方向の長さが20mm未満の場合には、当該低目付部の前後方向の中心は、目付変化部を構成する。低目付部の前後方向の長さが20mm以上の場合には、当該低目付部の前端縁及び後端縁が目付変化部を構成する。また、前後方向に離れて複数の低目付部が設けられ、かつ当該複数の低目付部が連なっている場合には、前後方向に離れた低目付部のそれぞれが目付変化部を構成する。このように構成された目付変化部は、前後方向に隣接する領域と吸収材料の目付が異なっており、吸収コア23の厚さ及び剛性が異なる。当該目付変化部が折曲基点部を構成することにより、厚み差及び剛性差によって吸収性物品をコンパクトに丸め易くなる。
【0060】
好ましくは、目付変化部としての低目付部25は、幅方向に沿って設けられてよい。
図3に示す前後方向Lに沿った断面視にて、低目付部25の肌対向面の前後方向の長さL251は、低目付部25の非肌対向面の前後方向Lの長さL252よりも長くてよい。低目付部25の肌対向面の前後方向の長さL251が低目付部25の非肌対向面の前後方向の長さL252よりも長いため、肌対向面側が近づくように変形し易く、肌対向面側を内側にして吸収性物品10を丸め易くなる。
【0061】
折曲基点部80は、吸収性物品10の肌対向面が向き合うように折り畳む折り目F1、F2及びF3を含んでよい。折り目が前後方向Lに一定の長さを有している構成にあっては、折り目F1、F2及びF3の前端縁及び後端縁が、折曲基点部80を構成する。折り目F1、F2及びF3の折り癖によって肌対向面側が近づくように変形し易く、肌対向面側を内側にして吸収性物品10を丸め易くなる。すなわち、折曲基点部80は、圧搾部26、低目付部25及び折り目の少なくともいずれかによって構成されてよい。このように折曲基点部80が設けられていることにより、使用者が吸収性物品10を前後方向に巻きやすくなり、丸めた状態で廃棄し易くなる。
【0062】
第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれには、折曲基点部80が複数設けられている。すなわち、折曲基点部80は、第1領域R1に複数設けられ、かつ第2領域R2に複数設けられている。第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれに複数の折曲基点部80が設けられているため、吸収性物品全体を前後方向に丸め易くなる。間隔は、前後方向に隣接する折曲基点部どうしの前後方向の距離であってよい。なお、折曲基点部80が前後方向に間隔を空けて複数設けられている構成にあっては、それぞれが折曲基点部80として機能する。ただし、折曲基点部80同士の前後方向の距離が5mm以下の場合には、一体化した変形基点として機能するため、5mm以下の間隔で設けられた複数の折曲基点部80全体が1個の折曲基点部を構成する。
【0063】
具体的には、本実施の形態の第2領域R2の折曲基点部80は、前側から後側に向かって前後方向に間隔を空けて次の順序で設けられている。第2領域の折曲基点部80は、吸収コアの前端縁、幅方向に延びる圧搾部26、幅方向に間隔が空いた一対の点状の圧搾部26、本体部の幅方向の中心に位置する圧搾部26、第1折り目F1、低目付部25、低目付部25、及び第3折り目F3を含む。本実施の形態の第1領域R1の折曲基点部80は、前側から後側に向かって前後方向に間隔を空けて次の順序で設けられている。第1領域R1の折曲基点部80は、第2折り目F3、前後方向Lに延びる圧搾部26、幅方向に延びる圧搾部26、第2折り目F2、幅方向に延びる圧搾部26及び吸収コアの後端縁を含む。
【0064】
第2領域R2の折曲基点部80の平均間隔は、第1領域R1の折曲基点部80の平均間隔よりも短い。間隔は、各領域において前後方向Lに隣り合う折曲基点部80同士の間隔である。当該間隔は、吸収性物品の外端縁と、最も前後方向の外側に位置する折曲基点部80との距離も含む。平均間隔は、例えば、第1領域R1に2本の折曲基点部80が設けられている構成にあっては、当該2本の折曲基点部80の間隔D1である。また、第1領域R1に第1折曲基点部、第2折曲基点部及び第3折曲基点部の3本が設けられている構成にあっては、第1折曲基点部と第2折曲基点部の間隔と、第2折曲基点部と第3折曲基点部の間隔と、の平均値である。また、間隔は、第1折曲基点部と第2折曲基点部の前後方向の距離であり、例えば、第1折曲基点部の後端縁と第2折曲基点部の前端縁との前後方向Lの距離である。
図1に、第1領域R1における折曲基点部80の間隔D1と、第2領域R2の折曲基点部80の間隔D2と、を示す。なお、複数の折曲基点部80全体が1個の折曲基点部を構成する場合は、5mm以下の間隔で設けられた折曲げ基点部同士の間隔は、折曲基点部80の間隔に含まない。
【0065】
なお、幅方向Wに沿う同一ライン上に同一形状の折曲基点部が複数設けられている構成にあっては、同一ライン上の折曲基点部のうち1個のみを選択し、前後方向の間隔を測定する。具体的には、
図1に示すように、第2領域R2には、幅方向Wに間隔を空けた点状の圧搾部26が設けられている。点状の圧搾部26は、幅方向Wに沿う同一ラインFL1上に設けられた第1点状圧搾部261及び第2点状圧搾部262を有する。第1点状圧搾部261及び第2点状圧搾部262と前後方向Lに離間して、第3点状圧搾部263が設けられている。第2領域R2の折曲基点部80の平均間隔を算出する際は、第1点状圧搾部261と第3点状圧搾部263の間隔D2を算入し、第2点状圧搾部262と第3点状圧搾部263の間隔D2を算入しなくてよい。第1点状圧搾部261及び第2点状圧搾部262が協働して、本体部20を前後方向Lに曲げる基点として機能し、前後方向Lにずれた折曲基点を構成しないためである。
【0066】
使用者は、廃棄時に第2領域R2側から吸収性物品10を丸め、テープ部材60によって丸めた状態の吸収性物品10を固定する。このとき、丸めた状態で内側に位置する第2領域R2の折曲基点部80の平均間隔が短いため、コンパクトに丸めることができる。また、丸めた状態で外側に位置する第1領域R1にも複数の折曲基点部80が設けられているため、第1領域R1及び第2領域R2ともに容易に丸めることができ、かつ丸めた状態を維持し易い。よって、吸収性物品10をコンパクトに丸めた状態を維持し、テープ部材60によって清潔に廃棄することができる。
【0067】
第2領域R2の折曲基点部80の数は、第1領域R1の折曲基点部80の数よりも多くてよい。丸めた状態で内側に位置する第2領域R2の折曲基点部の数が多いため、丸めた状態の内側に多くの変形基点が形成され、コンパクトにより丸め易い。折曲基点部80の数は、全ての折曲基点部80の数を足すことによって算出する。例えば、幅方向Wに沿う同一ライン上に同一形状の折曲基点部が複数設けられている構成にあっては、同一ライン上の折曲基点部のうち1個のみを選択せず、全ての折曲基点部を足して、折曲基点部の数を算出する。吸収性物品を丸める際は、前後方向に巻こうとしても前後方向に対して斜めに巻かれてしまうことがある。このような場合に、第1点状圧搾部261と第2点状圧搾部262は、異なる曲げ基点として機能するためである。
【0068】
折曲基点部80は、幅方向Wに沿って延びていてよい。幅方向Wに沿って延びる構成は、幅方向Wと平行である構成のみならず、幅方向Wに対して45度未満で傾斜する構成も含むものである。吸収性物品10を丸める際の変形基点が幅方向Wに沿って延び、吸収性物品10の幅方向全域を前後方向に丸め易くなる。
【0069】
折曲基点部の形状は、限定されず、点状であってもよいし、帯状であってもよいし、円弧状であってもよいし、多角形状であってもよい。折曲基点部80は、第1折曲基点部81と、第2折曲基点部82と、を有してよい。第1折曲基点部81の幅方向Wの長さW81は、第1折曲基点部81の前後方向Lの長さL81よりも長い。第2折曲基点部82の前後方向Lの長さL82は、第2折曲基点部82の幅方向Wの長さW82よりも長い。本体部20は、第1折曲基点部81を基点として前後方向Lに曲がり易くなり、第2折曲基点部82を基点として幅方向Wにも曲がり易くなる。吸収性物品全体における第1折曲基点部81の数は、第2折曲基点部82の数よりも多くてよい。吸収性物品を丸める際に幅方向よりも前後方向に丸め易くなる。よって、吸収性物品を前後方向によりコンパクトに丸めやすく、また丸めた状態をより維持し易くなる。好適には、第2領域R2において、第1折曲基点部81の数は、第2折曲基点部82の数よりも多く、第1領域R1において、第1折曲基点部81の数は、第2折曲基点部82の数よりも多くてよい。
【0070】
また、吸収性物品10は、前後方向Lに丸めた状態を維持し易く構成されてよい。
図2に示すように、第1領域R1の幅方向Wの最大長さWR1は、第2領域R2の幅方向の最大長さWR2よりも長くてよい。丸めた状態で外側に位置する第1領域の幅方向の最大長さWR1が長いため、丸めた状態で内側に位置する第2領域R2を外側に位置する第1領域R1によって覆うことができ、丸めた状態をより維持し易くなる。
【0071】
折曲基点部80は、第1領域R1における本体部20の前後方向の外端縁から本体部20の前後方向の長さの1/3までの範囲に、3つ以上設けられてよい。第1領域R1における本体部20の前後方向の外端縁は、本実施の形態における本体部20の後端縁である。
図1に、本体部20の前後方向の外端縁から本体部20の前後方向の長さの1/3までの範囲R3を示す。本体部を前後方向に丸めた状態の周長は、一般的に、本体部の前後方向の長さに対する1/3位になる。本体部の前後方向の長さに対する1/3は、丸めた状態で外側の表面に位置する部分となる。当該部分に3つ以上の折曲基点部が設けられていることにより、丸めた状態をより維持し易くなる。
【0072】
次いで、他の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同じ箇所については、同符号を用いて説明を省略する。
図5は、変形例1に係る吸収性物品10Aの非肌対向面側から見た平面図である。変形例1に係る吸収性物品は、高目付部27を有している。変形例1に係る吸収性物品10Aは、中心20CLと吸収性物品の後端縁の間にテープ部材60が設けられている。よって、第1領域R1は、第2領域R2よりも後側に位置する。変形例1に係る吸収性物品10Aには、複数の折曲基点部80が設けられている。
【0073】
具体的には、変形例1の第2領域R2の折曲基点部80は、前側から後側に向かって前後方向に間隔を空けて次の順序で設けられている。第2領域の折曲基点部80は、吸収コアの前端縁、左右一対で設けられた第1圧搾部26Aの前端縁、第1圧搾部26Aよりも内側に位置する第2圧搾部26Bの前端縁、第2圧搾部26Bの後端縁、第1圧搾部の後端縁、第1圧搾部よりも後方に位置し、左右一対で設けられた第3圧搾部26Cの前端縁、折り目F1の前端縁、折り目F1の前端縁、折り目F1の後端縁、高目付部の前端縁、第3圧搾部26Cよりも後方に位置する第4圧搾部の前端縁、及び第3圧搾部の後端縁を含む。このとき、第2圧搾部26Bの後端縁、第1圧搾部の後端縁、第3圧搾部26Cの前端縁、及び折り目F1の前端縁は、互いの前後方向の距離が5mm以下であるため、1個の折曲基点部80を構成する。
【0074】
また、変形例1の第1領域R1の折曲基点部80は、前側から後側に向かって前後方向に間隔を空けて次の順序で設けられている。第1領域の折曲基点部80は、高目付部の後端縁、第3折り目の前端縁、第3折り目の後端縁、第4圧搾部26Dよりも後方に位置する第5圧搾部26Eの前端縁、第4圧搾部の後端縁、第5圧搾部26Eよりも後方に位置する第6圧搾部26Fの前端縁、第5圧搾部の後端縁、第2折り目の前端縁、第2折り目の後端縁、第6圧搾部26Fの後端縁、及び吸収コアの後端縁を含む。このとき、第3折り目の後端縁、第5圧搾部26Eの前端縁、及び第4圧搾部の後端縁は、互いの前後方向の距離が5mm以下であるため、1個の折曲基点部80を構成する。また、
図5において、ハート型で示す部分は、表面シートのみを圧縮した部分であり、折曲基点部を構成しない。
【0075】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。