(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数枚の基板及び断熱板を保持する基板保持具と、前記基板保持具が収容される反応管と、前記基板保持具に保持された基板を加熱する加熱部と、を有する基板処理装置であって、
前記基板保持具は、前記基板が保持される基板処理領域と前記断熱板が保持される断熱板領域に区別され、前記断熱板領域の上層部に該上層部以外の断熱板領域に保持される断熱板よりも反射率の高い断熱板が保持されるよう構成され、
前記断熱板領域の上層部には、少なくとも一つの熱や光を吸収する黒色断熱板が設けられるよう構成されている基板処理装置。
前記基板保持具は、前記断熱板領域の上層部に該上層部以外の前記断熱板領域に保持される断熱板よりも厚さの小さい断熱板を有するよう構成される請求項1記載の基板処理装置。
前記基板保持具は、前記断熱板領域の上層部に保持される断熱板の断熱板間の距離が、該上層部以外の前記断熱板領域に保持される断熱板の断熱板間の距離よりも狭くなるよう構成される請求項1記載の基板処理装置。
前記断熱板領域の上層部は、前記断熱板の側面に前記加熱部が配置される領域であり、前記断熱板領域の下層部は、前記断熱板の側面に前記加熱部が配置されない領域であるよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0011】
本実施の形態において、
図1及び
図2に示されているように、本発明に係る基板処理装置は、ICの製造方法における成膜工程を実施するバッチ式縦型装置として構成されている。
【0012】
図1に示された基板処理装置10は、支持された縦形の反応管としてのプロセスチューブ11を備えており、プロセスチューブ11は互いに同心円に配置された外管としてのアウタチューブ12と内管としてのインナチューブ13とから構成されている。アウタチューブ12は石英(SiO
2)が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されている。インナチューブ13は上下両端が開口した円筒形状に形成されている。インナチューブ13の筒中空部は後記する基板保持具としてのボート31が搬入される処理室14を形成しており、インナチューブ13の下端開口はボート31を出し入れするための炉口部15を構成している。後述するように、ボート31は複数枚の基板1(以後、ウエハともいう)を長く整列した状態で保持するように構成されている。したがって、インナチューブ13の内径は取り扱う基板1の最大外径(例えば、直径300mm)よりも大きくなるように設定されている。
【0013】
アウタチューブ12とインナチューブ13との間の下端部は、略円筒形状に構築された炉口フランジ部としてのマニホールド16によって気密封止されている。アウタチューブ12およびインナチューブ13の交換等のために、マニホールド16はアウタチューブ12およびインナチューブ13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。マニホールド16が基板処理装置10の筐体2に支持されることによって、プロセスチューブ11は垂直に据え付けられた状態になっている。以後、図ではプロセスチューブ11としてインナチューブ13を省略する場合もある。
【0014】
アウタチューブ12とインナチューブ13との隙間によって排気路17が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。
図1に示されているように、マニホールド16の側壁の上部には排気管18の一端が接続されており、排気管18は排気路17の最下端部に通じた状態になっている。排気管18の他端には圧力コントローラ21によって制御される排気装置19が接続されており、排気管18の途中には圧力センサ20が接続されている。圧力コントローラ21は圧力センサ20からの測定結果に基づいて排気装置19をフィードバック制御するように構成されている。
【0015】
マニホールド16の下方にはガス導入管22がインナチューブ13の炉口部15に通じるように配設されており、ガス導入管22には原料ガス供給装置、反応ガス供給装置および不活性ガス供給装置(以下、ガス供給装置という。)23が接続されている。ガス供給装置23はガス流量コントローラ24によって制御されるように構成されている。ガス導入管22から炉口部15に導入されたガスは、インナチューブ13の処理室14内を流通して排気路17を通って排気管18によって排気される。
【0016】
マニホールド16には下端開口を閉塞する蓋体としてのシールキャップ25が垂直方向下側から接するようになっている。シールキャップ25はマニホールド16の外径と略等しい円盤形状に構築されており、筐体2の待機室3に設備されたボートカバー37に保護されたボートエレベータ26によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ26はモータ駆動の送りねじ軸装置およびベローズ等によって構成されており、ボートエレベータ26のモータ27は駆動コントローラ28によって制御されるように構成されている。シールキャップ25の中心線上には回転軸30が配置されて回転自在に支持されており、回転軸30は駆動コントローラ28によって制御されるモータ29により回転駆動されるように構成されている。回転軸30の上端にはボート31が垂直に支持されている。
【0017】
ボート31は上下で一対の端板32,33と、これらの間に垂直に架設された三本の保持部材34とを備えており、三本の保持部材34には多数の保持溝35が長手方向に等間隔に刻まれている。三本の保持部材34において同一の段に刻まれた保持溝35同士は、互いに対向して開口するようになっている。ボート31は三本の保持部材34の同一段の保持溝35間に基板1を挿入されることにより、複数枚の基板1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。また、三本の保持部材34の同一段の保持溝39間に断熱板120,122を挿入されることにより、複数枚の断熱板120,122を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
【0018】
つまり、ボート31は、複数枚の基板1が保持される端板32から端板38間の基板処理領域と、複数枚の断熱板120,122が保持される端板38から端板33間の断熱板領域とを区別するように構成され、基板処理領域の下方に断熱板領域が配置されるよう構成されている。端板38と端板33の間に保持される断熱板120,122により断熱部36が構成される。
【0019】
回転軸30はボート31をシールキャップ25の上面から持ち上げた状態に支持するように構成されている。断熱部36は、炉口部(炉口空間)15に設けられ、炉口部15を断熱するよう構成されている。
【0020】
図2に示すように、プロセスチューブ11の外側には、加熱部としてのヒータユニット40が同心円に配置されて、筐体2に支持された状態で設置されている。これにより、ヒータユニット40は、ボート31に保持される基板処理領域内の基板1を加熱するよう構成される。ヒータユニット40はケース41を備えている。ケース41はステンレス鋼(SUS)が使用されて上端閉塞で下端開口の筒形状、好ましくは円筒形状に形成されている。ケース41の内径および全長はアウタチューブ12の外径および全長よりも大きく設定されている。
【0021】
図2に示すように、ケース41内には本発明の一実施の形態である断熱構造体42が設置されている。本実施の形態に係る断熱構造体42は、筒形状好ましくは円筒形状に形成されており、その円筒体の側壁部43が複数層構造に形成されている。すなわち、断熱構造体42は側壁部43のうち外側に配置された側壁外層(以後、外層ともいう)45と、側壁部のうち内側に配置された側壁内層(以後、内層ともいう)44とを備え、外層45と内層44の間には、側壁部43を上下方向で複数のゾーン(領域)に隔離する仕切部105と、該仕切部と隣り合う仕切部の間に設けられる環状のダクトとして構成されるバッファ部としての環状バッファ106と、を備える。
【0022】
また、
図2に示すように、ケース41には、各ゾーンに拡散防止部としてのチェックダンパ104が設けられている。チェックダンパ104には、逆拡散防止体104aが設けられ、この逆拡散防止体104aの開閉により冷却エア90がガス導入路107を介してバッファ部106に供給されるように構成されている。図示しないガス源から冷却エア90が供給されないときには、この逆拡散防止体104aが蓋となり、内部空間(以後、空間ともいう)75の雰囲気が逆流しないように構成されている。この逆拡散防止体104aの開く圧力をゾーンに応じて変更するよう構成してもよい。また、外層45の外周面とケース41の内周面との間は、金属の熱膨張を吸収するブランケットとしての断熱布111が設けられている。
【0023】
そして、バッファ部106に供給された冷却エア90は、内層44内に設けられたガス供給流路108を流れ、該ガス供給流路108を含む供給経路の一部としての開口部としての開口穴110から冷却エア90を空間75に供給するように構成されている。尚、
図2では、ガス供給系及び排気系が省略されている。
【0024】
図1および
図2に示されているように、断熱構造体42の側壁部43の上端側には天井部としての天井壁部80が空間75を閉じるように被せられている。天井壁部80には空間75の雰囲気を排気する排気経路の一部としての排気孔81が環状に形成されており、排気孔81の上流側端である下端は内側空間75に通じている。排気孔81の下流側端は排気ダクト82に接続されている。
【0025】
図3に示すように、制御部としての制御用コンピュータであるコントローラ200は、CPU(Central Precessing Unit)201およびメモリ202などを含むコンピュータ本体203と、通信部としての通信IF(Inter face)204と、記憶部としての記憶装置205と、操作部としての表示・入力装置206とを有する。つまり、コントローラ200は一般的なコンピュータとしての構成部分を含んでいる。
【0026】
CPU201は、操作部の中枢を構成し、記憶装置205に記憶された制御プログラムを実行し、表示・入力装置206からの指示に従って、記憶装置205に記録されているレシピ(例えば、プロセス用レシピ)を実行する。尚、プロセス用レシピは、
図6に示す後述するステップS1からステップS9までの温度制御を含むのは言うまでもない。
【0027】
また、一時記憶部としてのメモリ202は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等であり、特に、RAMは、CPU201のワークエリアなどとして機能する。
【0028】
通信部204は、圧力コントローラ21、ガス流量コントローラ24、駆動コントローラ28、温度コントローラ64(これらをまとめてサブコントローラということもある)と電気的に接続されている。コントローラ200は、この通信部204を介してサブコントローラと各部品の動作に関するデータをやり取りすることができる。ここで、サブコントローラは、本体203を少なくとも有する構成であり、コントローラ200と同様な構成であってもよい。
【0029】
本発明の実施形態において、コントローラ200を例に挙げて説明したが、これに限らず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納したUSB等の外部記録媒体207から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行することもできる。また、通信回線、通信ネットワーク、通信システム等の通信IF204を用いてもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0030】
図4は、基板処理装置10の断熱部36(断熱板領域)周辺の拡大図である。尚、
図4では、ガス供給系や排気系は省略してある。また、
図4に示すように断熱板120,122は、後述する基板1がボート31に装填されるウエハチャージ(基板搬入)工程前に、予めボート31の下部に配置され、断熱板領域が形成される。
【0031】
ボート31の断熱板領域には、反射率の異なる複数枚の断熱板120,122が保持されている。断熱板120は、断熱板122と比較して反射率の高いものである。断熱板120は、少なくとも断熱板領域の最も一番上(最上端)に設けられるよう構成すればよい。また、本実施形態によれば、断熱板120は、断熱板領域の最上端に一枚または、断熱板領域の上端側に複数枚設けられることにより、断熱板領域の上層部を構成する。
【0032】
また、断熱板122よりも反射率の高い複数枚の断熱板により上層部を形成する場合、反射率は同じでなくてもよく、更に、断熱板領域の最上端の断熱板の反射率が一番高く、最上端から下側に向けて設けられる断熱板の反射率が徐々に小さくなるように構成してもよい。また、断熱板領域の最上端の断熱板の反射率が一番高く、最上端から下側に向けて設けられる複数枚の断熱板の反射率が徐々に小さくなるように構成してもよい。
【0033】
図4に示すように、側面(側方)に発熱体56が配置される断熱板領域の高温部には、複数枚の断熱板120を配置することにより上層部を構成するのが好ましい。また、側面(側方)に発熱体56が配置されない断熱板領域の低温部には、断熱板122を配置することにより、下層部を構成するようにしてもよい。言い換えれば、
図4に示すように、断熱板領域内の基板処理領域側に、断熱板領域内の炉口部15側に保持される断熱板122より反射率の高い断熱板120を配置することにより、上層部が形成されると共に、複数枚の断熱板122で下層部が形成される。
【0034】
更に、言い換えれば、断熱板領域の上層部は、該上層部に保持される断熱板120の側面(側方)にヒータユニット40が配置される領域であり、断熱板領域の下層部は、該下層部に保持される断熱板122の側面(側方)にヒータユニット40が配置されない領域であるよう構成されている。すなわち、断熱板領域の上層部は、ヒータユニット40が上層部に保持される断熱板120の側面を水平に取り囲む領域であり、断熱板領域の下層部は、ヒータユニット40が下層部に保持される断熱板122の側面を水平に取り囲まない領域であるよう構成されている。
【0035】
更に、
図4において、断熱板120よりも反射率が低く、断熱板122より反射率が高い断熱板を、断熱板120により形成される上層部と断熱板122により形成される下層部の間に設け、断熱板領域を3層構造にしてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、ヒータユニット40(または発熱体56)は、処理室14を囲繞するように設けられており、基板1は側方から加熱される。このため、特に、処理室14下方の基板1の中心部が加熱され難く、又、温度が下がり易く、処理室14の昇温に時間が掛かり、リカバリ時間(温度安定時間)が長くなる傾向であったが、上述のように断熱板領域の上層部に反射率の高い断熱板120を配置することにより、低減することができた。
【0037】
つまり、本実施形態によれば、断熱板領域の上端側に反射率の高い断熱板120を配置することにより上層部を形成すると、断熱板120を通過する放射エネルギーが減少し、ボート31の下方であって、断熱板領域上方の基板1中心部付近の受熱量を増加させることができる。これにより、処理室14下方の基板中心部の温度の低下によって発生する面内温度偏差を低減することが可能となる。
【0038】
図5に示すように、移載装置125は、主に、基板1を載置して搬送する支持部としてのツイーザ126と、基板1を移載する位置を検出する検知部300と、ツイーザ126と検知部300とを作動させる機構部302から構成される。
【0039】
機構部302は、移載装置125の台座として水平方向に回転自在に構成されている。
【0040】
ツイーザ126は、ツイーザ126の移動方向を固定する固定部304に装着され、固定部304が機構部302上を摺動し、ツイーザ126が移動される。また、機構部302が水平方向に回転されることで、ツイーザ126が回転される。ツイーザ126は、例えばU字形状を有しており、複数枚(本実施形態においては5枚)、垂直方向等間隔に水平に取り付けられている。
【0041】
すなわち、移載装置125の固定部304が、機構部302上を前後方向に摺動され、機構部302の回転によりツイーザ126が水平方向(後述する左右方向)に回転され、不図示の移載装置エレベータにより、移載装置125が上下方向に移動される。
【0042】
検知部300は、基板1の位置を光学的に検知するセンサであり、この検知された検知情報が位置情報として記憶装置205に記憶される。また、表示・入力装置206からの動作命令がコントローラ200に入力されるとともに、コントローラ200で得られたステータスや駆動コントローラ28で得られたエンコーダ値が記憶装置205に入力されて記憶される。このエンコーダ値は移載装置125及び移載装置エレベータの駆動モータが発生するパルス数であり、これによって移載装置125の移動距離(すなわち、ツイーザ126の移動距離)を検出しつつ動作制御を行うことができる。
【0043】
コントローラ200は、記憶装置205に記憶された位置情報及びエンコーダ値に基づいて駆動コントローラ28に動作指示を与え、移載装置125や移載装置エレベータを動作させる。つまり、移載装置125は、
図5に示すように、ボート31の基板処理領域の保持溝35の位置情報を取得し、ボート31の基板処理領域に基板1を移載するよう駆動コントローラ28により制御される。
【0044】
また、例えば後述する
図9に示すような断熱板の種類や位置情報に関する情報と、ボート31の断熱板領域の保持溝35の位置情報に基づき、移載装置125により断熱板領域の上層部に断熱板120を移載させたり、断熱板領域の下層部に断熱板122を移載させたりするよう構成してもよい。
【0045】
次に、上述の基板処理装置10を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)のシーケンス例について説明する。
【0046】
以下、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてアンモニア(NH
3)ガスを用い、基板1上にシリコン窒化膜(Si
3N
4膜、以下、SiN膜ともいう)を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ200及びサブコントローラにより制御される。
【0047】
本実施形態における成膜処理では、処理室14の基板1に対してHCDSガスを供給する工程と、処理室14からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室14の基板1に対してNH
3ガスを供給する工程と、処理室14からNH
3ガス(残留ガス)を除去する工程と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、基板1上にSiN膜を形成する。
【0048】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0049】
(基板搬入:ステップS1)
駆動コントローラ28により移載装置125及び移載装置エレベータを動作させて、ボート31の基板処理領域に複数枚の基板1が保持されて装填(ウエハチャージ)される。尚、ボート31の断熱板領域には、既に、複数枚の断熱板120,122が保持されて装填されている。本実施例では、断熱板領域の下層部に断熱板122を、断熱板領域の上層部に下層部の断熱板122よりも反射率の高い断熱板120が保持されている。
【0050】
そして、基板1と断熱板120,122が保持されたボート31は、駆動コントローラ28によりボートエレベータ26を動作させてプロセスチューブ11内に装入され、処理室14に搬入(ボートロード)される。このとき、シールキャップ25は、不図示のOリングを介してインナチューブ13の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。
【0051】
(圧力調整および温度調整:ステップS2)
処理室14が所定の圧力(真空度)となるように、圧力コントローラ21によって排気装置19が制御される。この際、処理室14の圧力は、圧力センサ20で測定され、この測定された圧力情報に基づき排気装置19が、フィードバック制御される。排気装置19は、少なくとも基板1に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0052】
また、処理室14の基板1が所定の温度となるように、ヒータユニット40によって加熱される。この際、温度コントローラ64により処理室14が所定の温度分布となるように、熱電対65が検出した温度情報に基づきヒータユニット40への通電具合がフィードバック制御される。ヒータユニット40による処理室14の加熱は、少なくとも基板1に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0053】
また、モータ29によるボート31および基板1の回転を開始する。具体的には、駆動コントローラ28によりモータ29を回転させると、ボート31が回転されるに伴い、基板1が回転される。このモータ29の回転によるボート31および基板1の回転は、少なくとも、基板1に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0054】
<成膜処理>
処理室14内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の4つのステップ、すなわち、ステップS3〜S6を順次実行する。
【0055】
(原料ガス供給:ステップS3)
このステップでは、処理室14の基板1に対し、HCDSガスを供給する。
【0056】
このステップでは、ガス導入管22から処理室14に導入されたHCDSガスが、ガス流量コントローラ24によって流量制御され、インナチューブ13の処理室14を流通して排気路17を通って排気管18から排気される。このとき、同時に、ガス導入管22内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス流量コントローラ24により流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室14へ供給され、排気管18から排気される。基板1に対してHCDSガスを供給することにより、基板1の最表面上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層の厚さのシリコン(Si)含有層が形成される。
【0057】
(パージガス供給:ステップS4)
第1の層が形成された後、HCDSガスの供給を停止する。このとき、排気装置19により処理室14を真空排気し、処理室14に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室14から排出する。このとき、N
2ガスの処理室14への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室14に残留するガスを処理室14から排出する効果を高めることができる。
【0058】
(反応ガス供給:ステップS5)
ステップS4が終了した後、処理室14の基板1、すなわち、基板1上に形成された第1の層に対してNH
3ガスを供給する。NH
3ガスは熱で活性化されて基板1に対して供給されることとなる。
【0059】
このステップでは、ガス導入管22から処理室14に導入されたNH
3ガスが、ガス流量コントローラ24によって流量制御され、インナチューブ13の処理室14を流通して排気路17を通って排気管18から排気される。このとき、同時に、ガス導入管22内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス流量コントローラ24により流量調整され、NH
3ガスと一緒に処理室14へ供給され、排気管18から排気される。このとき、基板1に対してNH
3ガスが供給されることとなる。基板1に対して供給されたNH
3ガスは、ステップS3で基板1上に形成された第1の層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1の層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。
【0060】
(パージガス供給:ステップS6)
第2の層が形成された後、NH
3ガスの供給を停止する。そして、ステップS4と同様の処理手順により、処理室14に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を処理室14から排出する。このとき、処理室14に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップS4と同様である。
【0061】
(所定回数実施:ステップS7)
上述した4つのステップを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、基板1上に、所定膜厚のSiN膜を形成することができる。なお、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層(SiN層)を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0062】
(パージおよび大気圧復帰:ステップS8)
成膜処理が完了した後、ガス導入管22からN
2ガスを処理室14へ供給し、排気管18から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室14がパージされ、処理室14に残留するガスや反応副生成物が処理室14から除去される(パージ)。同時に、冷却ガスとしての冷却エア90がチェックダンパ104を介してガス導入路107に供給される。供給された冷却エア90はバッファ部106内で一時的に溜められ、複数個の開口穴110からガス供給流路108を介して空間75に吹出す。そして、開口穴110から空間75に吹き出した冷却エア90は排気孔81および排気ダクト82によって排気される。その後、処理室14の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室14の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0063】
(基板搬出:ステップS9)
駆動コントローラ28によりボートエレベータ26を下降させることによりシールキャップ25が下降され、プロセスチューブ11の下端が開口される。そして、処理済の基板1が、ボート31に支持された状態で、プロセスチューブ11の下端からプロセスチューブ11の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済の基板1は、ボート31より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0064】
ここで、基板1をボート31に装填する(ウエハチャージ)前に所定の断熱板をボート31に装填する工程(準備工程)を半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程に含むようにしてもよい。
【0065】
以下に、本実施形態の断熱部36の変形例について
図7及び
図8に基づいて説明する。
【0066】
<変形例1>
図7は、変形例1に係る断熱部46(断熱板領域)周辺の拡大図である。
変形例1に係る断熱部46は、基板面内温度リカバリ時間を重視したい場合に用いる。
【0067】
変形例1に係る断熱部46は、上述した断熱板120と同じ材質(同じ反射率)であって、断熱板120よりも厚さ(熱容量)の小さい複数枚の断熱板124で構成される。つまり、断熱板領域に上述した断熱板120と同様に反射率が高く、上述した断熱板120よりも厚さの小さい断熱板124を配置する。
【0068】
断熱板124の厚さの合計は、上述した実施形態の断熱部36の断熱板120と断熱板122の組み合わせの厚さの合計の半分程となっている。つまり、断熱板の厚さの影響を反射率で補うことで面内温度偏差は上述した実施形態の断熱部36と同等を維持しながら、基板の面内温度リカバリ時間を45%程度短縮可能とすることができる。
【0069】
<変形例2>
図8は、変形例2に係る断熱部66(断熱板領域)周辺の拡大図である。
変形例2は、基板面内温度偏差を重視したい場合に用いる。
【0070】
変形例2に係る断熱部66は、厚さと反射率の異なる断熱板を組み合わせて用いる。具体的には、側面に発熱体56が配置される断熱板領域には、側面に発熱体56が配置されない断熱板領域の断熱板122に比べて厚さが小さく反射率の高い複数枚の断熱板124を配置することにより上層部を構成する。また、
図4と同様に、側面に発熱体56が配置されない断熱板領域には、断熱板122を配置することにより、下層部を構成するようにしてもよい。
【0071】
つまり、本実施形態によれば、基板処理領域側に保持される断熱板124の厚さを、基板処理領域の反対側に保持される断熱板122の厚さよりも小さくすると共に、基板処理領域側に保持される断熱板124の反射率を、基板処理領域の反対側に保持される断熱板122の反射率よりも高くすることにより、断熱板124を通過する放射エネルギーが減少し、ボート31の下方であって、断熱板領域上方の基板1中心部付近の受熱量を増加させることができる。
【0072】
また、
図8によれば、断熱板領域において、反射率の高い断熱板124の枚数は、反射率の低い断熱板122の枚数よりも多く配置されている。また、断熱板領域において、厚さが薄い断熱板124の枚数が、厚さの大きい断熱板122の枚数よりも多く配置されている。
【0073】
また、
図8によれば、断熱板領域内の基板処理領域側に保持される断熱板124間の距離が基板処理領域の反対側に保持される断熱板122間の距離(間隔)よりも狭くなるよう配置されている。
【0074】
このように、断熱板122より厚さが小さく反射率が高い断熱板領域の断熱板124間の間隔を断熱板122間の間隔よりも小さくすることにより、上層部を形成する断熱板124の枚数を断熱板122の枚数よりも増やすことで更に基板中心付近の受熱量が上述した実施形態の断熱部36を用いた場合よりも増加し、基板面内温度偏差の低減及び基板面内温度リカバリ時間の短縮が可能となる。
【0075】
以下、
図9〜
図11に実験例を説明するが、本発明はこれらの実験例により限定されるものではない。
【0076】
<実験例>
図9に示すように、比較例では、断熱部として4mmの断熱板122を13枚用いた。また、実施例1では、
図4に示す上述した本実施形態に係る断熱部36を用いて、具体的には、断熱板領域に4mmの断熱板120を8枚配設し上層部を形成し、断熱板領域に4mmの断熱板122を5枚配設し、下層部を形成した。また、実施例2では、
図7に示す変形例1に係る断熱部46を用いて、断熱板領域に2mmの断熱板124を13枚配設した。また、実施例3では、
図8に示す変形例2に係る断熱部66を用いて、断熱板領域に2mmの断熱板124を16枚配設し上層部を形成し、断熱板領域に4mmの断熱板122を5枚配設し、下層部を形成した。
【0077】
図9に示す反射率「大」の断熱板120,124は、例えば、80%以上の光や熱を反射するように構成されており、反射率「中」の断熱板122は、例えば、40%程度の光や熱を反射するように構成されている。
【0078】
図10は、
図9に示す実施例1〜実施例3と比較例における断熱部を用いて、上述した基板処理工程を行った場合の炉内温度800℃での基板1のボート31の保持位置と基板面内温度偏差の関係を示した図である。
図10に示されるように、実施例1と実施例3のように反射率の異なる断熱板を組み合わせて用いることで、ボート31下方の基板の面内温度偏差ΔTを比較例の断熱部を用いた場合の2分の1から3分の1程度まで改善できることが確認された。また、実施例2の薄く反射率の高い断熱板を用いることにより、ボート31下方の基板の面内温度偏差ΔTを比較例の断熱部を用いた場合の2分の1程度まで改善でき、基板処理領域を大きくすることができることが確認された。つまり、基板処理領域のピッチ拡大による成膜均一性の向上等の効果を得ることができることが確認された。
【0079】
図11は、
図9に示す実施例1〜実施例3と比較例における断熱部を用いて、上述した基板処理工程を行った場合の炉内温度を800℃に昇温後の基板1のボート31の保持位置と基板面内温度リカバリ時間との関係を示す図である。
【0080】
図11に示されるように、実施例2の薄く反射率の高い断熱板や、実施例1,3の反射率の異なる断熱板を組み合わせて用いることにより、ボート31下方に配置された基板の面内温度リカバリ時間が比較例の断熱部を用いた場合と比べて最大45%短縮され、処理に要する時間が短縮されることが確認された。
【0081】
<他の実験例>
以下、
図12及び
図13により他の実施例について説明する。装置構成については同じであるため説明は省略し、ボート31の断熱板領域(断熱部)に特化して説明する。
図12に示すように、AからDの4パターンについて温度測定を行った。ここで、図では、断熱板が9枚となっているが、実施例1等に合せて13枚としてもよく、この枚数に限定されないのは言うまでもない。尚、断熱部において上述の実施例と異なる点は、熱や光を吸収する黒色の断熱板(黒色断熱板)128を用いる点である。この他の実施例では、断熱材の最適な配置、材質、厚み(熱容量)を検討した。ここで、断熱板128は、断熱板122,124と比較して、厚さ1mm〜4mmで数%〜十数%程度の光や熱を反射するように構成される。例えば、室温では、断熱板128の反射率が厚さ4mmで2〜3%程度であり、厚さ2mmで約8%、厚さ1mmで約18%である。また、断熱板128は、熱放射率が、600℃以上で70%程度となり、1000℃以上で80%程度となることが分かっている。
【0082】
図12に示すように、パターンAでは、断熱部として2mmの断熱板124と4mmの黒色断熱板128を(1枚毎に)交互に配置することにより形成し、パターンBでは、断熱板領域に4mmの黒色断熱板128を複数枚(ここでは4枚)配設し、断熱板領域に2mmの断熱板124を複数枚(ここでは5枚)配設し形成した。パターンCでは、上述の実施例2と同様に、断熱板領域に2mmの断熱板124を9枚配設し、パターンDは、上述の比較例と同様の断熱板122を9枚配設した。
【0083】
なお、パターンBでは、黒色断熱板128が配設された領域を上層部とし、断熱板124が配設された領域を下層部としてもよい。また、各パターン(パターンA〜パターンD)において、側面(側方)に発熱体56が配置される断熱板領域の高温部を上層部とし、側面(側方)に発熱体56が配置されない断熱板領域の低温部を下層部とする構成としてもよい。
【0084】
図13は、
図12に示すパターンAからパターンDにおける断熱部を用いて、N2雰囲気で炉内圧力400Paを維持しつつ、初期温度を炉内温度400℃とし、目標温度を炉内温度740℃としたときの基板1の温度依存性の解析結果の例を示すものである。縦軸が基板温度(℃)、横軸が時間(秒)である。ここで、基板温度は、基板1面内の平均温度である。なお、基板1の位置は、ボート31の保持部材34に刻設された保持溝35のうち、断熱板領域に一番近い保持溝35(スロット1ともいう)から5番目に近い保持溝35(スロット5)の間の所定位置であり、本実施例では、ボート31の保持部材34に刻設された保持溝35のうち、最も断熱板領域に近いスロット1である。
【0085】
図13において、上述の実施例2に相当するパターンCと上述の比較例に相当するパターンDを比較すると、パターンCでは、断熱材の厚みを小さくした高反射率断熱材124の方が炉内温度を高温に保持すると共に、昇温時間が早いことが分かる。
【0086】
次に
図13において、パターンCと、該パターンCから高反射率石英の上部分(断熱板領域の最上部から断熱板4枚分)を輻射熱の吸収が高い黒色断熱材を用いたものに変更した断熱板128に変更したパターンBとを比較すると、断熱板領域の上部で効率よく輻射を吸収するため基板1の温度をより早くより高温にすることができることがわかる。つまり、黒色断熱板128を利用することにより、断熱板領域の上部で蓄熱することができ、熱逃げが生じにくく、基板処理領域の下部に近いところであっても基板1を効率よく加熱することができるためである。
【0087】
更に
図13において、パターンBと、高反射率の断熱材の間に黒色断熱材を挟み込んだパターンAの構造とを比較すると昇温時間と高温保持能力が高くなった。断熱板領域で効率よく輻射を吸収するため基板1の温度をより早くより高温にすることができることがわかる。言い換えると、パターンBの場合、黒色断熱板128が断熱板領域の上部にしかないため、断熱板領域の下部の熱逃げを抑制することができない。一方、パターンAでは、断熱板124と黒色断熱板128を1枚ずつ交互に配置することにより断熱板領域全体での熱逃げを抑制することができる。さらに、パターンAは、黒色断熱板128の室温近くでは反射率が低く、高温になるにつれて熱放射率が上昇する特性が、断熱板領域全体で最も効率良く影響しているので、昇温時間と高温保持能力を向上させることができているといえる。
【0088】
図13に示すように、断熱板124と黒色断熱板128を1枚ずつ交互に配置するパターンAでは、目標温度の740℃で保持することができることが分かる。更に、昇温時間に関しても初期温度400℃から700℃までの昇温時間をパターンBより短くすることができる。また、パターンC及びパターンDが、基板温度700℃に到達できなかったのに対して、パターンA及びパターンBは、基板温度700℃に到達している。
【0089】
このように、本実施形態によれば、光や熱の輻射を吸収できる断熱部材(本実施例では黒色断熱材)128を用いることにより、断熱板領域(炉口部)から熱逃げを抑制し、効率よく基板処理領域下部の基板1に熱を供給することができる。つまり、反射率の高い断熱板124と黒色断熱材128を組み合わせることで、基板1の昇温時間及び目標温度での保持時間を制御することができる。
【0090】
本実施形態によれば、基板保持具は、基板が保持される基板処理領域と断熱板が保持される断熱板領域に区別され、断熱板領域において、反射率の大きい断熱板と光を吸収する黒色断熱板が適宜組合せられ、保持されるよう構成されている。特に、断熱板領域において、反射率の大きい断熱板と光を吸収する黒色断熱板が交互に保持されるよう構成されているので、処理基板の目標温度までの昇温時間及び目標温度の保持を精度よく制御することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、光や熱の輻射を吸収できる黒色断熱材128を用いることにより、断熱板領域(炉口部)から熱逃げを抑制し、効率よく基板処理領域下部の基板1に熱を供給することができ、目標温度(例えば、740℃)までの到達時間(昇温時間)を改善することができる。更に、黒色断熱板128の高温になるにつれて熱放射率が大きくなる特性と反射率が大きい断熱板と適宜組合せることにより、目標温度(例えば、740℃)での保持時間を維持させることができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0093】
例えば、断熱板領域の熱履歴を抑える為に断熱材領域の温度を意図的に下げたい場合などもある。その場合は意図的に断熱板の熱容量をあげる、もしくは反射率の悪い材料を選択することで断熱材領域の温度コントロールが可能である。
【0094】
例えば、上述の実施形態では、ボート31の基板処理領域に基板1を載置し、ボート31の断熱板領域に複数枚の断熱板120〜124を載置する構成について説明したが、これに限らず、ボート31の下方に断熱板120〜124を保持する断熱板保持具をボート31とは別体で設ける構成にも適用することができる。
【0095】
また、上述の実施形態では、SiN膜を形成する例について説明したが、膜種は特に限定されない。例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)、金属酸化膜等の酸化膜等の種々の膜種に適用することができる。
【0096】
また、上述の実施形態では、基板処理装置について説明したが、半導体製造装置全般に適用することができる。また、半導体製造装置に限らずLCD(Liquid Crystal Display)装置のようなガラス基板を処理する装置にも適用することができる。